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環境省地球環境・国際環境協力地球温暖化対策>気候変動枠組条約・京都議定書
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○地球温暖化について

 気候変動に関する科学者の集まりである、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、2007年に発表した最新の報告書(第4次評価報告書)の中で、「温暖化には疑う余地がない」と断定しました。大気や海洋の世界平均気温の上昇、南極や北極の氷及び山岳氷河などの広範囲にわたる減少、世界平均海面水位の上昇等が観測され、今や地球が温暖化していることは明らかとしています。
 また、最近50年の気温上昇は、過去100年の上昇速度のほぼ2倍に相当し、近年になるほど温暖化が加速化していることがわかります。

○気候変動枠組条約・京都議定書の発効

1992年に世界は、国連の下、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目標とする「気候変動に関する国際連合枠組条約」(United Nations Framework Convention on Climate Change、以下「気候変動枠組条約」)を採択し、地球温暖化対策に世界全体で貢献していくことに合意しました。同条約に基づき、1995年から毎年、気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されています。

 また、1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)では、我が国が議長を務め、先進国の拘束力のある削減目標(2008年〜2012年の5年間で1990年に比べて日本−6%、米国−7%、EU−8%等)を明確に規定した「京都議定書」(Kyoto Protocol)に合意することに成功し、世界全体での温室効果ガス排出削減の大きな一歩を踏み出しました。2002年に我が国も同議定書を締結し、2005年2月に同議定書は発効しました。

○2013年以降の国際枠組みの論点

 今後、更に地球温暖化対策を加速化させ、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させるという条約の究極目標を達成するには、京都議定書の現行の約束期間が終了した後(2013年以降)の国際枠組み(以下「次期枠組み」)を、世界全体に占める排出量の割合が大きい米国、中国等をはじめとするすべての主要国を含む公平かつ実効性のあるものとし、排出削減努力を一層拡大していく必要があります。

 京都議定書においては、2013年以降の先進国(条約附属書T国)の削減目標について、京都議定書を改正し定めること、その検討は遅くとも2005年に開始することが明記されています。これに基づき、2005年より「京都議定書改正に関する特別作業部会」(AWG-KP)の下での議論が継続されています。
 一方、京都議定書を批准していない先進国や、途上国等に削減努力を拡大するとともに、温室効果ガスの排出削減対策に意欲的に取り組む途上国や、気候変動の悪影響に対して脆弱な小島嶼国、最貧国等の適応対策への支援の道筋を付ける観点から、より包括的な次期枠組みの構築が必要との認識が高まり、2007年12月にインドネシア・バリ島で開催された気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)において、包括的な次期枠組みについて、枠組条約の下に「長期的協力行動に関する特別作業部会」(AWG-LCA)を設置して、2009年末までに合意を得ることとされました。

 これら2つのAWGの下で、2020年までの各国の削減目標・行動等については、地球温暖化の抑制に道筋を付けるためのIPCC等の科学の要請や、公平性等の観点から、議論がなされてきています。

 また、温室効果ガスの排出削減対策に意欲的に取り組む途上国や、気候変動の悪影響に対して脆弱な小島嶼国、最貧国等の途上国の適応対策、人材育成の分野等では、支援の道筋を付けていくことが求められています。

○COP15と「コペンハーゲン合意」

 2009年12月、デンマークのコペンハーゲンにおいて、気候変動枠組条約第15 回締約国会議(COP15)が開催されました。会議には約190カ国が参加しました。
 交渉官レベルでは実質的な議論の進展が得られず、状況を打開するため、閣僚レベルでの協議や、12月17日夜から18日深夜にかけては首脳による直接の協議・交渉も実施され、その成果として「コペンハーゲン合意」が作成され、締約国会議全体として「同合意に留意する」ことを採択しました。

 また我が国は、温室効果ガスの排出削減など気候変動対策に積極的に取り組む途上国や、気候変動の悪影響に脆弱な状況にある途上国を広く対象として、国際交渉の進捗状況を注視しつつ、2012年末までの約3年間で1兆7,500億円(おおむね150億ドル)、そのうち公的資金は1兆3,000億円(おおむね110億ドル)の支援を実施していくことを決定した旨発表いたしました。

○COP16と「カンクン合意」

 2010年11月から12月にかけて、メキシコ・カンクンにおいて、気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)が開催され、194の国と地域から、約2万人が参加しました。我が国は、「コペンハーゲン合意」を踏まえ、米国・中国を含む全ての主要国が参加する公平かつ実効性のある枠組みの構築を目指し、交渉に臨みました。
 途上国から先進国に対し、京都議定書の第二約束期間の設定に関する要求がありましたが、我が国は、京都議定書は世界全体のエネルギー起源CO2排出量の約27%しかカバーしておらず、全ての主要国を含む枠組みの保証がない中で第二約束期間を受け入れれば、2013年以降も一部の国のみが削減義務を負う枠組みが継続・固定化されることになり、世界規模での真の削減につながらない旨を粘り強く働きかけました。最終的には、閣僚間での交渉を重ねた結果、先進国・途上国両方の削減目標・行動が同じCOP決定の中に位置付けられ、我が国が目指す次期枠組みの基盤となるカンクン合意が採択されました。さらにカンクン合意には、緑の気候基金という新たな基金の設立、技術メカニズムの設立などが明記されるとともに、発展途上国向けの気候変動適応計画の策定や、途上国における森林減少・劣化対策等(REDD+)といった途上国支援に関連した事項が盛り込まれる等、重要な前進となりました。
 また、COP16と同時に開催された京都議定書第6回締約国会合(CMP6)では、京都議定書第二約束期間に対する各国の立場を害しない旨脚注で明記しつつ、COPと同様に先進国の排出削減目標をまとめた文書に留意することとなりました。

○COP21と「パリ協定」

 今般、2015年にフランス・パリで開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において、気候変動に関する2020年以降の新たな国際枠組みである「パリ協定」(Paris Agreement)が採択されました。
 パリ協定には、世界共通の長期目標として2℃目標の設定や、すべての国による削減目標の5年ごとの提出・更新、各国の適応計画プロセスと行動の実施、先進国が引き続き資金を提供することと並んで途上国も自主的に資金を提供すること、共通かつ柔軟な方法で各国の実施状況を報告・レビューを受けること、JCMを含む市場メカニズムの活用等が位置づけられています。
 日本政府は、パリ協定を踏まえた今後の対策の取組方針を2015年12月22日に決定しました(地球温暖化対策推進本部決定)。この中で、国内対策として、パリ協定の2℃目標等を踏まえ、我が国としても世界規模での排出削減に向けて長期的、戦略的に貢献すること、COP21に先立ち我が国が国際的に約束した目標(約束草案)の着実な実施に向けてこの春までに地球温暖化対策計画を策定することと政府実行計画を策定すること、政府が旗振り役となり国民運動を強化すること、更にパリ協定の署名・締結・実施に向けた取組を進めること等を決定したところです。

 我が国は、環境上の制約を克服し発展を実現してきた経験と、それを支えてきた技術、人材を活かし、先進国の一員として、率先して次期枠組みづくりに貢献していきます。

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