水・土壌・地盤・海洋環境の保全

温泉排水規制に関する検討会(第9回)議事録

日時

平成25年3月8日(金) 13:00~15:00

場所

航空会館 地下1階 B101会議室

議事

  • (1)第8回検討会における主な御意見と対応
  • (2)暫定排水基準の考え方について
  • (3)その他
  • 北村課長 それでは、定刻より少々早いですけれども、皆さんおそろいでございますので、ただいまから第9回「温泉排水規制に関する検討会」を開会いたします。
    本日は、委員総数12名中10名の御出席をいただいております。
    続きまして、お手元の配付資料について御確認いただきたいと存じます。
    一番上にあります議事次第に資料及び参考資料ということで記載しておりますので、御確認をいただきたいと存じます。不足等ございましたら、随時事務局までお申しつけください。よろしいでしょうか。
    カメラ撮りはなさそうですけれども、ここまでということにさせていただきますので、よろしくお願いします。
    それでは、以下の進行は、須藤座長にお願いをいたします。
    よろしくお願いいたします。
  • 須藤座長 かしこまりました。
    それでは、今、お話がございましたように、第9回温泉排水規制に関する検討会を開かせていただきます。
    東京では、真冬から急に初夏になったような日が訪れておりまして、花粉症の方々も大変苦労されているように伺っております。
    そういう中をお集まりいただきましたことにお礼を申し上げたいと思います。
    本日も、傍聴の方にもたくさんおいでいただきましたことについても、感謝申し上げたいと思います。
    それでは、本日は、議題がここにございますとおりに、前回の御意見の対応と、本日は本年度の最終の検討会でございますので、取りまとめをさせていただきたいと思っております。
    前回につきましては、ヒアリングもさせていただきました。議事録(案)を委員限りでお配りしておりますので、それをごらんになっていただいて、修正がございましたら、後日、事務局までお申し出いただきたいと思います。
    それでは、本来の議事に入りたいと思います。
    温泉排水規制に関する検討会として、今、申し上げましたように、本年度最後の検討会でございますので、これまでいただきました御意見を踏まえ、平成25年7月からの暫定排水基準の考え方、これはそのためにこの検討会を設けたわけでございますので、どうやったらいいかということについてのあり方について、議論をいただき、取りまとめをしていきたいと思います。
    では最初に、第8回検討会での御意見や御指摘について、資料3として事務局で取りまとめたものがございますので、それについて御説明を願います。
    上西補佐どうぞ。
  • 上西課長補佐 ありがとうございます。水環境課上西でございます。
    では、資料3から御説明を申し上げたいと思います。資料3をごらんいただきたいと思います。「第8回検討会における主な御意見と対応(案)」でございます。
    第8回のときの資料、暫定排水基準(案)について御意見を頂戴したものについて取りまとめております。
    まず、御意見1でございます。
    浅野委員から御意見を頂戴しております。
    自然湧出とする場合の条件や現在の行政の扱いの自然湧出とここで言っている自然湧出とは異なるということを十分明確にしておく必要があるというふうに御意見を頂戴しております。
    対応方針(案)でございます。
    自然湧出源泉に当たるかどうかの判断につきましては、資料4でお示しをしたいというふうに考えてございます。
    御意見2でございます。
    眞柄委員、須藤座長、藤田委員等々から御意見を頂戴したものでございます。
    温泉地であってもできるだけ下水道整備をして、温泉水と生活排水を一緒に処理することが問題を解決する上で大変有効な手段だと思われますが、ほう素、ふっ素につきまして、下水道の除害施設の基準等どういうふうになっているのかというのを調べてくるようにという御意見を頂戴しております。
    対応方針(案)でございます。
    ほう素、ふっ素につきましては、下水道法において、特定事業場からの下水の排除の制限に係る水質の基準、つまりは下水の受入基準でございますが、これについて、水濁法の排水基準と同じ値が定められてございます。水濁法等で暫定排水基準が定められている場合は、その暫定排水基準が下水の受入基準というふうになってございます。
    ですから、もし、受入基準を超える排水があれば、事業者は当然除害施設を設ける必要があるということになります。
    また、旅館業の用に供する施設につきましては、「下水の排除の制限等の限定規定が適用されない特定施設」というふうに定められていますけれども、温泉を利用する旅館業の入浴施設につきましては、この規定から外されておりますので、下水の排除の制限の規定が適用されるということになってございます。
    別紙1のほうに、下水道法、下水道法施行令の抜粋を示しておりますので、ごらんいただきたいと思います。
    2ページでございます。
    まず、下水道法の抜粋でございます。第十二条の二に特定事業場からの下水の排除につきましては、政令で定める基準に適合した下水を排除してはならない。つまり、そういうお水を下水に流してはならないというふうになってございます。
    この基準は、3ページの施行令第九条の四に定めてございます。
    第九条の四、施行令でございます。下のほうの二十五号に「ほう素及びその化合物」の下水道受入基準が載ってございます。河川その他の公共の水域を放流先とする下水道の受入基準は、一リットルにつき、ほう素十ミリグラム以下、海域を放流先とする下水の受入基準につきましては、一リットルにつきほう素二百三十ミリグラム以下。
    4ページでございます。こちらのほうに「ふつ素及びその化合物」の下水道受入基準が掲載されております。
    二十六号 「ふつ素及びその化合物」でございます。
    河川その他の公共の水域を放流先とする下水道におきましては、受入基準は、一リットルにつきふっ素八ミリグラム以下、海域を放流先とする下水につきましては、一リットルにつきふっ素十五ミリグラム以下というふうになってございます。水質汚濁防止法の一般排水基準と同じ値でございます。
    5項について御説明をいたします。
    ただし、水濁法等によりまして、暫定排水基準が適用されている場合には、これらの規定にかかわらず、その排水基準、つまり暫定排水基準を下水の受入基準とするというふうに定められてございます。
    施行令、第九条の二についても御説明を申し上げます。「下水の排除の制限等の規定が適用されない特定施設」でございます。水濁法施行令別表第一、第六十六号の三に掲げる施設、つまり旅館業の用に供する施設ですけれども、これは下水の排除の制限等の規定が適用されない特定施設となってございます。
    ただし、下から3行目の右のほうから括弧書きが書いてあると思いますけれども、温泉を利用する旅館業については、この条文の規定から除かれております。したがって、下水の受入基準が適用されるということになってございます。
    以上でございます。
  • 須藤座長 どうもありがとうございました。
    資料3について御説明をいただきました。特に下水道に関する排除基準のところについて丁寧に御説明をいただきました。何か御質問なり、御意見はございますか。
    よろしいですか。この辺は先生方お詳しいと思いますので、これはこのとおりということにさせていただきます。
    次が資料4「温泉排水規制の在り方について」御説明をいただきたいと思います。
    続いて上西補佐お願いします。
  • 上西課長補佐 ありがとうございます。
    資料4につきまして、御説明を申し上げます。
    「温泉排水規制の在り方について(案)」というふうにお示ししております。この資料につきましては、前回お示しした資料にいただいた御意見を踏まえた修正を行いまして、また文言の整理等を行ったものでございます。
    資料4参考資料という別途まとめたものがございますが、これとあわせて御説明を申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
    まず資料4でございます。
    1ページ目、「温泉排水に対するほう素、ふっ素の規制の経緯」でございます。
    「旅館業の用に供する施設への規制(特定施設への追加)」がなされ、平成13年からほう素、ふっ素につきまして、規制がかかっているところでございます。この温泉旅館施設に対するほう素、ふっ素の排水規制につきましては、資料4参考資料の1ページ、2ページに掲げてございますので、ごらんいただけたらと思います。
    資料4参考資料の1ページでございます。
    1ページのほうに、「ほう素及びその化合物」の暫定排水基準の変遷の経緯が表に示してございます。
    網かけがかかっている部分が旅館業でございます。平成13年当時からほう素につきましては、500mg/Lということで、3回の見直しの間にも500で続いてきたということをお示ししております。
    2ページでございます。ふっ素の暫定排水基準の経緯の表を載せてございます。網かけの部分が旅館業でございます。これにつきましても、平成13年から数字を変わらず規制をさせていただいていたということをお示しさせていただいております。
    少し字が小さいですけれども、この表で訂正がございますので、申しわけございません。
    旅館業の左から2つ目の欄、網かけの上のほうの段、「水質汚濁防止法施行令及び云々」というふうに書いてございますけれども、この欄につきましては、何の説明かと申し上げますと、この説明は、排水量の「以上」「未満」となっている「以上」のところについての説明でございます。申しわけございません。「未満」につきましては、49年以降にゆう出したもので、温泉を利用するものという形になっております。
    続きまして、資料4にお戻りください。
    参考資料につきましては、4、5ページをお開きいただきたいと思います。
    資料4でございます。2ページでございます。「自然湧出温泉の取扱いについて」「(1)自然由来の有害物質の取扱いについて」でございます。
    「自然由来かどうかにかかわらず、温泉を利用する旅館業の排水について、従前より排水規制の対象としており、引き続き、排水規制の対象とする」としております。自然由来であっても、健康に影響が出ることが知られておりまして、過去においても、実際、ふっ素等の影響による健康被害報告が確認されている形でございます。
    (参考)といたしまして、水濁法におきましては、事業場の敷地内に降った雨につきましても、排出水について規制の対象となっているところでございます。
    また、土壌汚染対策防止法につきましては、自然由来により有害物質が含まれる汚染土壌についても、搬出等に関して規制対象となってございます。
    参考資料でございます。こちらに「土壌汚染対策防止法による『自然由来により有害物質が含まれる汚染土壌の取扱い』」についてお示しをしておりますので、ごらんいただけたらと思います。
    参考資料の5ページのフロー図の右下のほうの二重線で囲まれている部分です。ここに「汚染土壌の搬出等に関する規制」ということの説明が載ってございますけれども、これにつきまして、自然由来による汚染土壌につきましても対象とするというふうに定められてございます。
    資料4の3ページでございます。
    「(2)自然湧出温泉とそれ以外の温泉の取扱いについて」でございます。
    「自然湧出以外の源泉を利用する温泉排水については、事業活動に伴い、新たな環境への負荷をより積極的に与えることとなることから、自然湧出の源泉を利用する温泉排水とは区別して暫定排水基準値を検討することが考えられるのではないか」。
    「事業活動に伴い排出される温泉排水については、環境への負荷を低減する観点から、従来どおり排水規制の対象とする」というふうにしておりますが、自然湧出以外の源泉を利用する温泉排水については、事業活動に伴い、新たな環境への負荷をより積極的に与えることとなることから、区別して考えることが適当ではないかというふうに考えてございます。
    特に、ふっ素につきましては、源泉のふっ素濃度が30mg/L以上の温泉を利用する旅館業のうち自然湧出の源泉は、C温泉地の1本であり、4施設でございます。したがって、ふっ素につきましては、自然湧出以外の源泉を利用する温泉排水について、それ以外と区別をし、基準値を検討するということが考えられてございます。
    4ページでございます。
    「(3)自然湧出源泉を利用する温泉の判断について」でございます。
    こちらは、前回の御意見を踏まえまして、少し整理をさせていただいております。配湯とか導水の方法の観点というよりも、自然湧出源泉を利用するかどうかということに着目して整理をさせていただいております。参考資料につきましては、6ページからに載ってございます。
    資料4に戻ります。4ページの「『自然湧出源泉を利用する温泉』に当たるかどうかを判断するに当たっては、温泉法の許可状況をまず確認したうえで、温泉法施行以前に掘削や動力装置の設置が行われていないかを温泉台帳上情報収集できるものについては確認することとする」というふうにさせていただいております。
    温泉湧出形態として温泉法に基づく掘削の許可、動力の装置の許可の状況を整理をしておりまして、表1に「一律排水基準を超過する源泉における湧出形態別源泉数」を掲げさせていただいております。
    本表の「自然湧出」「掘削自噴」「動力楊湯」につきましては、それぞれ温泉法の許可の有無により便宜的に分類したところでございます。
    参考資料の6ページでございます。「温泉法の概要」をお示ししてございます。このフロー図の「法の概要」の図のところを見ていただきたいのですが、「温泉の保護等」のところに、「温泉の掘削等の許可制」というふうになってございます。温泉の掘削・増掘・動力の装置は、都道府県知事の許可が必要ということになってございます。
    まず、許可状況を確認することというのが適当ではないかというふうに考えてございます。
    資料4の4ページでございます。
    温泉法(土地の掘削の許可)については、温泉法第3条第1項に、「増掘又は動力の装置の許可等」につきましては、温泉法第11条第1項に規定されているところでございます。
    このように、上記の分類に基づいて便宜的に「自然湧出」として整理した源泉について実態を調査したところ、温泉法施行が昭和23年でございますが、それ以前に掘削、増掘あるいは動力装置の設置が行われている源泉もこれに含まれてしまうということが明らかとなりました。
    したがって、自然湧出源泉かどうかを温泉法の許可状況だけに基づいて判断、分類するということは困難なので、温泉法の許可状況をまず確認したうえで、温泉法施行以前に掘削や動力装置の設置が行われていないかを温泉台帳上情報収集できるものについては確認することとするというふうに考えてございます。
    資料4の5ページでございます。
    下から2番目の〇でございます。また、タンクローリー等で温泉水を運搬して利用するような場合も実態値としてあるということがわかってまいりました。この場合、源泉と異なる流域で排水するということが考えられます。こういうものにつきましては、自然湧出源泉を利用する温泉としての暫定排水基準を適用しないということが適当ではないかというふうに考えてございます。
    これらの考え方を踏まえまして、その上の「確認フロー案」というものをお示しさせていただいております。
    まず、温泉法の掘削許可、増掘・動力装置の許可を要しない源泉かどうか。要しないのであればYes、許可を持っているというものであればNoという形になります。Yesであれば、温泉法施行以前に掘削、増掘、動力装置の設置が行われていない源泉かどうかということを温泉台帳で確認することになります。行われているということであれば、自然湧出以外の基準適用と。行われていないということであれば、Yesという形になります。
    さらに確認として、利用施設から源泉と同じ流域に排出されるかどうかを確認して、同じであれば自然湧出源泉利用温泉の基準適用とすることが適当ではないかというふうに考えました。
    下の〇でございます。暫定排水基準と申しますのは、もともと一般排水基準を直ちに達成させることが困難な業種に係る事業場等に対して、あくまでも経過措置として設定しているものであります。この趣旨を踏まえますと、自然湧出源泉を利用する温泉としての暫定排水基準の適用に当たりましては、限定的に運用するものとし、上記のフローで明確に確認できないものについては、自然湧出以外の暫定排水基準を適用することが適当ではないかというふうに考えてございます。  資料4でございます。
    「暫定排水基準値について」でございます。参考資料につきましては、8ページからになってございます。
    資料4、6ページでございます。
    全国の自治体を対象にアンケート調査を実施し、ほう素、ふっ素濃度が高い源泉本数の割合を調査したところ、回答があった源泉1万8,607本のうち、ほう素30mg/L超が343本、ふっ素24mg/L超が40本、これはそれぞれ一律基準の3倍超ということでございました。
    それらの源泉を利用する宿泊施設等特定事業場数はこれでございました。これの円グラフが参考資料の8ページに示させていただいております。
    これは、一律基準を超える源泉本数という形でほう素、ふっ素、それぞれ10mg/L超、8㎎/L超のところで、色を塗らせていただいておりますが、3倍以上になると、これよりもさらに小さい割合で源泉があるということがおわかりいただけているのではないかというふうに考えます。
    資料4に戻ります。6ページでございます。
    これらの一律基準の3倍超の施設等の排水濃度を把握したところ、ほう素については、A温泉地以外は300mg/L以下であって、ふっ素については、C温泉地以外は30mg/L以下ということがわかりました。それらのグラフについて、図1及び図2で示しておるところでございます。
    まず、ほう素について、低減可能性を検討したところ、A温泉施設につきましては、計画排水量をもとに試算をしますと、排水濃度の平準化により、排水のほう素濃度は平均的には100mg/L程度に低減可能ではないかというふうに考えられます。
    また、循環ろ過については、広く用いられている方法でございますので、源泉使用料の削減による濃度の低減というものも期待できるのではないかというふうに考えてございます。
    さらに、排水分析の採水箇所や測定頻度を増やし、排水濃度の変動原因を精査することにより、高濃度排水時の状況を把握することが、低減方策に有効であるというふうに考えてございます。
    7ページでございます。
    ふっ素についてでございます。ふっ素の低減方策につきましては、温泉排水処理技術の実証試験を行っているところでございますが、導入にはさまざまな課題を有している状況でございます。したがって、全体として暫定排水基準値を下げるということは困難であるというふうに考えられます。
    資料4参考資料でございます。
    10ページから高濃度の源泉を利用する施設についての低減方策を、既に前回の検討会でもお示しした資料を念のため参考につけさせていただいております。
    参考資料14ページでございます。
    こちらに「温泉排水処理技術実証試験結果の概要」を示させていただいております。
    「総括」のところを見ていただきたいのですが、高濃度のふっ素、ほう素を一律基準値まで除去することについて、技術的には可能であるということは確認されましたけれども、いずれの処理技術につきましても、処理に必要な費用が実証試験を行うに当たって目標とするコスト、イニシャルコストが1,000万円以下、ランニングコストが300万円以下というのを提示して、実証試験を行っているのですけれども、それを上回っているということですので、まだ実際に導入することはなかなか困難であろうということがわかってまいりました。
    ただし、ふっ素を「概ね半減する」ということを目標とした場合には、一部の処理技術について、処理費用が目標とするコストを若干上回る程度まで低減可能であるというふうに、大分この処理技術についても適用の方向性というのが見えてきたところでございます。
    ほう素につきましては、まだ処理目標を「概ね1/3」とした場合でも、処理費用は目標とするコストを大幅に上回っている状態でございます。
    また、温泉排水につきましては、共存物質(鉄、アルミニウム等)が多く含まれている場合がございますので、吸着剤、吸着方式による処理では、吸着剤の寿命が短くなるといったことが処理コストを押し上げているというふうに考えられますので、その対策がいろいろ必要であるというふうに考えているところでございます。
    「実証試験の概要」につきましては、平成18年度から24年度にかけて行った技術概要を15ページ以降にお示ししております。
    平成24年度、今年度につきましても、実証試験を行っているところでございますが、その結果については、現在取りまとめ中なので、こちらにはお示ししてはおりません。
    資料4に戻ります。
    「暫定排水基準値の見直しの考え方について」でございます。
    「排水の排出実態を踏まえた可能な範囲で、暫定排水基準値を低減させることが適当である」というふうに考えてございます。
    今まで御説明させていただいたとおり、暫定排水基準につきましては、引き続き暫定排水基準が3回の見直しの中で延長されてきたところでございます。
    処理技術につきましても、実証試験等を行っているところですけれども、まださまざまな課題があるというところでございます。
    一方、排水の排出実態につきましては、濃度の調査、事業者ヒアリング等を通じまして、現在の暫定排水基準値と同程度の高濃度源泉を利用している施設はある程度少ないということが明らかとなってまいりました。
    したがって、排水の排出実態等を踏まえ、可能な範囲で、暫定排水基準値を低減させることが適当であるというふうに考えでございます。
    資料4、9ページでございます。
    「ほう素の暫定排水基準値の見直しについて」でございます。
    ほう素濃度の高いA温泉施設における低減方策の導入可能性や、低減方策導入に必要な改修期間、排水濃度の変動を考慮し、ほう素の暫定排水基準値の見直しを行うということが適当であると考えてございます。
    A温泉地につきましては、低減方策をとることが可能であるとは考えられますけれども、低減方策の導入につきましては、排水濃度の変動の実態の精査や低減方策の具体的な導入の検討、また導入に必要な改修等に時間を要すると考えられます。したがって、今回の見直しにおいては、前提排水基準値を従前どおりとし、次期のほう素の暫定排水基準値の見直しの際、暫定の値を下げる方向で見直しを行うことが適当ではないかというふうに考えてございます。
    ですから、現行500mg/Lにつきまして、今回の見直し案が500mg/Lでございます。
    資料4、10ページでございます。
    「ふっ素の暫定排水基準値の見直しについて」でございます。
    現在、ふっ素濃度が最も高いC温泉地の源泉は自然湧出であり、それ以外の温泉の排水濃度は30mg/L以下である。このため、自然湧出とそれ以外のものについて区分をし、排出実態も踏まえ、自然湧出以外の温泉については暫定排水基準値を下げるということが考えられます。
    なお、C温泉地につきましても、低減方策の導入可能性や排水濃度の変動を考慮しながら、引き続き排水濃度の低減を検討していくことが適当ではないかというふうに考えてございます。
    「ふっ素の暫定排水基準値案」につきましては、現行の改正政令施行時以前、改正政令と申しますのは、昭和49年以前に湧出した温泉を利用する温泉旅館につきましては、50mg/L、それ以降に湧出した温泉を利用する旅館につきましては、排出水量が50m3/日未満については50、50m3/日以上につきましては15mg/Lというふうな現行に対しまして、見直し案でございます。自然湧出とそれ以外の源泉利用施設を区分したものでございます。
    まず、改正政令施行時以降、昭和49年以降に湧出した温泉を利用する施設につきまして、50m3/日以上の排水のものにつきましては15mg/L、これは現行どおりでございます。それ以外のもの、49年以前に湧出した温泉を利用する施設、加えて49年以降に湧出した温泉を利用する施設の中で50m3未満のものにつきまして、「自然湧出」「自然湧出以外」を区分いたしまして、自然湧出のものは50mg/L、自然湧出以外が30mg/Lというふうに提示をさせていただいております。
    資料4の11ページでございます。
    「旅館業以外の温泉利用施設の取扱いについて」でございます。
    「旅館業以外の温泉利用施設の排水実態」でございます。
    参考資料につきましては、22ページからになってございますので、ごらんいただきたいと思います。
    資料4に戻ります。11ページでございます。
    アンケート調査等を行いましたところ、ほう素、ふっ素濃度の高い源泉の割合は、先ほど申し上げたとおり、源泉1万8,607本のうち、ほう素30mg/L超が343本、ふっ素24mg/L超が40本でありました。それらの源泉を利用する施設につきましては、旅館業以外につきまして、公衆浴場等でございますが、ほう素237施設、ふっ素30施設ということがわかっております。
    これらの施設の源泉濃度も調査をいたしております。現地調査も行ってございます。福祉施設、病院等につきましては、温泉水の使用量は比較的少なく、温泉水以外の水使用比率が相対的に高い実態がみられました。
    一方、公衆浴場につきましては、施設規模、排水量、温泉水以外の水利用実態もさまざまでありましたが、福祉施設・病院等と比較をいたしまして、浴槽も大規模であり、利用人数等利用規模も大きく、排水量が多いということが示唆されました。
    参考資料のほうをごらんいただきたいと思います。22ページでございます。
    まず、今年度行いました実態調査について取りまとめてございます。
    日帰り温泉、公衆浴場でございますが5施設、福祉施設4施設について調査を行ってございます。
    23ページでございます。それぞれの源泉取水量、水道等使用料、推定希釈率ということで、グラフにさせていただいております。
    主に見ていただきたいのが、源泉取水量でございますけれども、左側の紫色の日帰り温泉施設、公衆浴場の取水量に対しまして、福祉施設等については比較して相対的に少ない、小さいということがよくごらんいただけるというふうに考えてございます。
    参考資料24ページからは、今までのお示しした日帰り温泉施設等の調査につきまして、抜粋をして載せさせていただいております。ほう素濃度、ふっ素濃度につきましては、公衆浴場について抜粋をさせていただいておりますが、温泉旅館等々も比べまして、ほとんど余り変わりがないような状態ということが見受けられます。
    参考資料の26ページでございますが、利用人数、これは公衆浴場と福祉施設を比べておりますが、公衆浴場のほうが利用者人数が圧倒的に多いということ。
    27ページでございます。
    公衆浴場、福祉施設を比べまして、源泉取水量も圧倒的な差があるということ。
    28ページにございます排水量についても、公衆浴場と福祉施設で比べるとこういうふうな差があるということをお示しをさせていただいております。
    資料4のほうに戻ります。12ページでございます。
    少し文言の整理をさせていただいております。「旅館業以外の温泉利用施設の取扱いについて」でございます。
    旅館業以外の温泉利用施設につきましては、施設規模、排水量、温泉水以外の水利用実態もさまざまでありますけれども、他の特定施設との公平性等の観点から、以下の事項等に留意して、今後、特定施設として追加することについて検討する必要があるとしております。
    日帰り温泉につきましては、水利用実態、施設規模等々さまざまでございますが、今、お示ししましたように、利用する源泉のほう素、ふっ素濃度の実態が、旅館業と比べてほぼ同等とみられることから、今後、特定施設として追加することについて検討する必要があるとしております。
    温泉を利用する介護福祉施設・病院につきましては、比較的小規模な浴槽が用いられ、温泉水以外の水利用比率も高いという実態がみられます。
    浴用以外の利用については、排水量が少ないものや常時排水が生じないものなど、環境中への負荷は相対的に小さいという実態がみられます。
    ただし、特定施設の追加の検討に当たりましては、温泉を利用する旅館業の排水規制との整合性の整理というものを行うことが必要であり、今後、生活環境項目やヒ素の排水実態についても調査し、検討を行うことが適当であるとしております。
    参考資料のほうでございます。
    29、30ページに、「温泉を利用する旅館業に係る排水規制」、ほう素、ふっ素だけではなく、その他の「健康項目」「生活環境項目」についても取りまとめてございます。
    以上でございます。
  • 須藤座長 要領よく御説明いただきまして、ありがとうございました。前回までいろいろ議論したことを事務局のほうで整理をしていただいて、温泉排水規制の在り方として、一通りまとめていただきました。
    本日は、これに基づいてもう少し議論をしていきたいと思います。
    それでは、どうぞ先生方で御意見のある部分がございましたら、おっしゃってください。
  • 眞柄委員 ほう素ですが、A温泉だけが高いですね。ではA温泉を廃業させたらどうなのですか。それはできないのですか。つまり、強制的に廃業はできないのですが、現実の問題として、これまでの環境行政の中で、環境基準が厳しくなって、業をやめていたところがいっぱいあるわけですね。どうしてこれだけできないのか。つまり、500にすれば、それ以外のところは200でも100でもいけるのです。
    とすれば、もう一つの考え方は、それはできないと言うのだったら、環境行政で暫定は500にしてもそれ以外のA温泉地以外は県で上乗せの暫定条例をつくってということはできないのですか。
    私はそこのところはやはり明確にしておくべきだと。この温泉業だけ基準が厳しくなって、何年も暫定でどんどん引っ張ってきているというのは、ほかの業との公平性という観点からすると、私は問題があるのではないだろうかと。ほかの業だけにそういうことをやってきているわけですから、努力して。ではこれだけはどうしてもこうなのだというのは、もしやるにしても、ほかの温泉地について、条例で暫定の上乗せを環境行政のほうで対応するべきではないかという認識です。どちらかです。
  • 須藤座長 それでは、これは、今、ここで議論が始まった話題で、ほかの先生方も同種の意見があると思いますので、眞柄先生の意見は後で総合的に取り上げていきたいと思います。
    藤田先生。
  • 藤田委員 今の意見と関連はあるかもわかりませんけれども、1つは暫定が今回はこれはやむを得ないというのは私も認識はしているのですけれども、それでは眞柄先生と同じで、やはり今度の3年後はどうするのだという、この道筋をどこかで書いておかないと、永遠にこれは暫定になるのではないかという恐れがあります。
    それともう1点は、ちょっと厳しいかもわかりませんけれども、ふっ素に関してはかなり技術的にも対応でき、しかもコストもリーズナブルなところまで来ているので、もう少し厳しく、例えば今回はだめにしても、次は何かやってくださいねというのはほしいなという気がします。
  • 須藤座長 ありがとうございます。ただ、この先生、資料4のほうのまとめでは、今回限りとは書いていないのだけれども、それを何となく暗示しているという部分はあるのではないかなというふうに思います。
    藤田委員 そういうふうに読みたいです。
    須藤座長 それではどうぞ、平沢先生。順番にいきます。一通り伺います。
  • 平沢委員 2点ございます。
    6ページのところの説明がございましたけれども、これからの対策で、前回もいろいろ対策を考えられて、それがいいと思うのですけれども、排水の平準化とかがあったと思うのです。これは実際に工業分野で暫定のところで大分それでクリアをして、実際にうまくやっている会社もあるけれども、個人的な意見として言いますと、やはり本質的には総量ではないかと思っていまして、それが環境基準点において、要するに環境基準を満足するかどうかというのは、総量ですから、平準化とか希釈というのは、いいと言うと、この前浅野先生に怒られましたけれども、本質的には私はよくない。要するに総量は変わらないのだから、環境基準点の濃度は変わらないということで、それは余りいい手立てではなくて、やはり水量を減らすか除去するか、それしかないのではないかというのが意見です。
    もう一点は、最後に言わなければいけない話なのですけれども、全体的な話で私、この暫定と自然由来と二つに関係するようなものを結構やってきているのですが、これからいろいろな規制を考えるときに、自然由来についてどうするのかという考え方を温泉排水だけではなくて、やったほうがいいなというのが1点。
  • 須藤座長 ほかにもありますよね。
  • 平沢委員 それから暫定で、やはり合理的な技術がないものについて、これからどうしていくのかというのを、やはりこれはこの委員会ではないかもしれないですけれども、別に全体的に暫定をどうするのというのをやってほしいと。
    以上でございます。
    ありがとうございました。
  • 須藤座長 では布山先生、どうぞそこにマイクがありますのでお願いします。
  • 布山委員 今回のものを非常によくまとめていただいて、ありがとうございます。
    それと、自然湧出温泉というものに御配慮いただいたということで、非常に感謝をしております。
    それで、1点だけ確認をさせていただきたいのですけれども、自然湧出温泉の扱いというか、5ページのほうで「同じ流域に排水する温泉施設に適用」というような1つの方向性が見えたのですが、これはどのぐらいの範囲を示しているのかということがちょっとわからなかったものですから、自然湧出で湧いている山の中から引湯してきて使っているというのも実態であると思うのです。それが本当に同じ流域なのかという話になってしまうと、ちょっと僕もクエスチョンのところがあったので、その辺を少し。
  • 須藤座長 同じ流域ということが。実態ではどうですかということですね。
  • 布山委員 その辺だけちょっと確認したかったということです。
    あと全般的には大体。
  • 須藤座長 大体受け入れは大丈夫ですか。
    では辰巳先生、どうぞ。
  • 辰巳委員 やはり技術のほうから行きたいのですけれども、これ、今、こんなふうに新しい暫定を決めたとしても、これはずっと調査をされて、ここまでだったら大丈夫だよというところでうまくまとめたという感じです。やはりこういう暫定を決める以上は、暫定から一律排水基準まで行くまでの間の過程をこういうふうに、例えば戦略を立てて、とりあえず300まで目標の技術を開発しましょうとか、200までにする技術を開発しましょうと、そういう中にも、私は吸着剤を使って半分までにするときはどうするかというのもあると思いますけれども、そういった技術を、やはりこれはセットになっていないと、いつまでたっても技術がないよ、で終わってしまうと思います。これをもし開発してもうかるのだったら、必ず技術はできると思うのです。吸着剤とかをやっていても、そんなに金額ががっぽりもうかるわけではないので、だからみんな投資しないのであって、技術的に絶対ないということはないのではないかと思うのです。それはもちろんいきなり一律排水基準まで行く技術はあるかと言われたら、それはちょっと疑問ですけれども。だからやはりそういうものはこういう暫定を考えていくときには、技術との関係でこういう暫定基準で大体行くのだというようなものがないと、来年、次回の議論ではこれより先に行けないのではないかという感じがしてしまうのです。けれども、ちょっと、それぞれがやはり技術を開発していこうというときには、必ずそこのところを念頭に置いて、これからプロジェクトなり何かを考えられることを、していくことが必要なのではないかなと、思っております。
    それと、これはちょっと小さなことなのですけれども、これは文章の中で、一律排水基準と一般排水基準と2つ言葉が出て、この使い方自体は。
  • 上西課長補佐 済みません。混在しております。
  • 辰巳委員 それともう一点、ふっ素のところなのですけれども、前回までとは変わって、要するにこの暫定の記載の中に50m3未満というのはなくなったわけです。これは、今見ている見直し案のところで、だから、それはどういうふうに変わったのかということは、暫定がなくなったという意味ではなくて、表現がなくなっているので、それはどうしてなのかという説明があってもいいのかな、というような感じをこの文章の中で受けたのです。
  • 上西課長補佐 はい。
  • 須藤座長 後でまとめて、幾つか質問がありますから、上西補佐、後でやりましょう。
  • 上西課長補佐 後でいいですか。済みません。御説明申し上げます。
  • 須藤座長 まだほかにも質問があると思いますので、では甘露寺先生どうぞ、
  • 甘露寺委員 まず、複雑なものをこれだけよくまとめられたのは、すばらしいと思います。それから、諸先生方の御意見を聞いて、全くごもっともなのですが、私は2点ぐらい考えているのですけれども、1つは、やはりこれはどうしても暫定排水基準を見直す方向であると、はっきり宣言するということです。そして、僕の考えは急にやるのではなくて、段階的にやっていくということが非常に重要なのではないのかと。
    今、先生おっしゃったように、技術とのこれは一応コンビネーションという問題になりますので、その辺のところもいろいろ出てくるだろうと思います。それが大きな意味での第1点です。
    第2点は、これは時々僕がこの会議で言っているのですけれども、温泉を掘削して、利用許可をとる段階で、こういう成分があって、これは将来排水基準がこうなるのだから、こういうものの利用についてはいろいろ考慮してくださいよというようなことをちゃんと言ったほうがいい。排水基準がこういうことなのだから、例えば、現在可燃性天然ガスの場合は、これが東京都の場合だとうんと出るぞというと、やめてしまったり、何かするわけです。
    それで、要するに変な水の温泉をなるべく使わない方向で出していくと。使う場合は、ある条件をつけて、いろいろ使っていくということなのではないかというふうに僕は考えています。
    簡単に言うとこんなところでございます。
  • 須藤座長 2番目のものは、新たに源泉を掘り出したときの話になるわけですね。
  • 甘露寺委員 掘削、利用許可のときに、結局、利用許可の場合は、温泉の成分の分析をつけますから、そのときどうだということは大体わかるわけです。ですから、掘削のときも大体ここに掘ったら変な水が出るよというようなことは大体わかるわけです。それと利用許可と2段階でいろいろな情報を提供して、そういうものがないと、結局ふえてしまうということになるので、やはり、ただこれは先生によっては非常にそれはまずいという先生もおられるかもしれません。
    要するに、塩分が非常に濃い温泉というのが、現在、大深度掘削が、今、そんなにふえていないのですけれども、あちこちでやられて、循環水が全く入っていない温泉があるとか、そういったことで要するに差別化といいますか、うちの温泉は非常に特殊性があるのだということを宣伝したいという意見の方がおられるわけです。
    もう一つの問題は、これは本当かどうかはわからないですが、阿岸先生にお聞きしたら、ヨーロッパでは、塩分含量の少ない温泉よりも、塩分含量の多い温泉を療養泉としてよりウエートを置いているという。例えば、単純温泉と我々が言っている日本で一番多い温泉はドイツではもう療養泉ではなくなっているのではないかということです。
    ですから、僕らで言えば、もう排水基準も何も考えなくていい単純温泉みたいなものを、それは僕は価値がないとはちっとも思っていないけれども、そういうものに対しての価値はいろいろ議論が出てくるということです。
    いずれにしても、掘削と利用許可の段階で、ある程度情報を掘削あるいは利用者に言って、こういうことがあるぞと、これは脅しではないけれども、こういう問題があるのだよということは、やはり言ったほうがいいと。これをこうしろとまでは言えるかどうか、僕はわかりませんけれども、その辺のところではないかなというふうな感じを今のところ持っているのですけれども。
  • 須藤座長 どうもありがとうございます。
    それでは、大久保先生。
  • 大久保委員 何点かあるのですが、1点目は自然由来の扱いなのですけれども、これは自然由来であっても、排水規制の対象とするというところは2ページ目にきちんと出ているのですけれども、それは堅持するとして、暫定の場合にどうするかというのが3ページ目の話なのですが、3ページ目の最初と2番目の〇はわかるのですが、〇の3番目の話はなぜこの文脈に入ってくるのかよくわからない。要するに積極的に人為を加えたものについては、区別しますよというところまでで止めておかないと、論理がすっきりしないので、3点目はここでは私は落としたほうがいいと思います。
    3点目の話はどこに出てきているのかというと、その後のふっ素のところで出てきているのです。それで、ふっ素の暫定基準が出てきて、書くのであれば、10ページで書けば十分であって、3ページのところは、暫定基準については自然湧出とそれ以外を区別するというところにとどめると。それで、10ページ目では、そうやって自然湧出、それ以外の暫定基準について、分けてみた結果、C温泉だけが自然湧出でありましたということのほうが説明としてはいいと。
    その次に、それ以外は30mg/Lだったので、暫定はそうしましたと言うと、何か事実がこうなったからこうしますという後追いにしか見えないので、ここのところは、これは中身はこれでもいいのですけれども、書き方としては経過措置という性格を踏まえ、その他については人為が加わったものについては、この間、さまざまな対策によってここまで下がってきているということで、これ以上については、技術上の問題点がまだあるので、その技術可能性を踏まえて、この値に暫定基準を維持するとか、そういう書き方にしないと、ちょっと後追い的だなというふうに思います。
    それで、経過の場合にも、単に暫定基準をそのまま適用しますだけではなくて、ここまで何回も来ているような場合の暫定基準については、これは暫定基準一般の話になるかもしれませんけれども、個別に残っているターゲットについて、そういうところはやはり今後どうするかというのは、行政としてもそうなのですけれども、事業者さんとしても例えばどうするのかという計画書のようなものの提出を義務づけるとか、そういう措置があってもいいのかなということと、それからほかの先生方、藤田委員とか甘露寺委員からも出てきていますように、ほかの先生であったかもしれませんが、新規のものでどんどん出てくるというのは困りますので、自治体の条例で規制するというのもそういう趣旨かもしれませんけれども、新規のものについては出てこないように、そこはきちんとカバーする必要があるのではないかということです。
    以上です。
  • 須藤座長 ありがとうございます。
    では、浅野先生、どうぞ。
  • 浅野委員 眞柄先生が条例で上乗せというふうにおっしゃって、論理的にはそうでしょうけれども、しかし、条例をつくれということは指示できないですね。
    それと、自治体のほうとしては、実際には条例をつくっても、ひっかかるところがありません、だから安心してやってくださいと言ったら、やるかもしれないけれども、ひっかかることがないならやる必要がないではないかとなりそうだし、国が決めている基準よりも、自治体がさらに厳しい基準をつくれと言われると、シュリンクするかもしれませんね。ひっかかるところがある。だからなかなか難しいかなという気はします。
    それから、御意見があった同じ流域に排水されるかということについては、基本的には河川法の河川管理の考え方が我々の頭の中にあって、そこで流域という言葉を使っていますから、要するに1本1本の小さな沢水みたいなものを1つの流域と考えるような発想ではなくて、流れ流れていって、その川のもとのところで環境基準が維持できればいいのだという考え方ですから、おっしゃるような懸念はまず起こらないのではないか。疑問が生じないように、この同じ流域というのは、要するに河川管理の観点から同一の流域と考えられるということで御理解いただけるような気がします。
    解説書をつくるのは、ともかく報告書ですから、こういうふうに変えますというので、なぜなくなりましたかの説明が要るとおっしゃいますけれども、見ればすぐわかるわけで、要するに、改正政令施行時以前のものについては、一定規模以上のものについては、極めて厳しい暫定基準ですが、それ以外のものについては、ちょっと今度は基準が厳しくなるというのは見ればわかるだろうと思うので、別に殊さらこれの説明をしなければならないということがないような気もします。
    ただ、大久保さん言われたように、説明の仕方として、30mg/L以下ですから、だから30ですというのは、いかにも説明としてはまずいと言われれば確かにそうかなという気はするので、従来よりも厳しくすればこのようなものだと。
    このような数字にしたとしても、これに抵触するような施設が現実には存在しないことから、これらは達成可能であるという言い方をすれば、同じことを言ってもスマートに聞こえるよというのが大久保さんの意見でしょうか。それは賛成しておきましょう。
    それから、どなたも御指摘にならなかったのですが、自然湧出ということについて、余りぎちぎち考えると、現場が持たないだろうというふうに考えます。ですから、この程度で勘弁してやらないといけないなと思うのです。
    考え方としては、もともと緩くしてもらえるのだから、自分のところは本当にここで言うところの自然湧出であることの挙証責任は排出者側にあるのだけれども、とは言うものの、そちらに立証させるということを言うと、今度はそれが正しいかどうか、行政はまたチェックしなければいけませんから、それはやはり行政に負担をかけ過ぎる。自治体によっては、物すごく温泉が多いところは大変だろうと思いますから、ここは台帳でわかるのなら行政もわかっていることだからといってやると。しかし、それ以外の場合に、微妙なケースが出てきたときは、これは個別に考える以外にないので、そこは環境省と御相談くださいということにでもして、状況を見ながら考えるということしかないのかな。
    だから、立ち入り調査をして、本当に自然湧出源泉をそのままの形で使ったのかどうかのチェックを徹底的にやれというのは無理でしょうから、事務局案のような言い方でとどめざるを得ないと思います。
    僕はそんなふうに考えて了解をしたいというふうに思います。
    あと、眞柄先生のおっしゃったことと若干関連があるのが、甘露寺さんのおっしゃったことだと思うのです。新規のものがいつまでも暫定基準で恩恵を浴するというのはよくないというなら、もう一つ考えるかなということになるのだけれども。どうですかね、ここはなかなか微妙でしょうね。本当は、改正政令ではなくて、再改正政令以降のものという、もう一幕あって、これは一律基準でやってくださいと言えば、事実上封じ込めることはできるのですけれども、そこまでやれるかどうか。
    それから、現実に、25ぐらいのものがちゃんとやってできたときは、次に厳しくしにくくなるという問題は確かに抱えてはいるわけですが、そこはどうでしょうか。
  • 須藤座長 どうぞ。
  • 眞柄委員 それに関連してですけれども、今の暫定は、例えばほう素は500を超えるところがあるわけです。それはA温泉地だけです。ふっ素はC温泉地だけで50ははるかに下ですね。高いところでも40です。そうすると、もともと暫定基準というのは一体何だったかということを、僕は浅野先生から解説していただきたいと思います。
    だから、現にほかの項目で、暫定を決めてきた幾つかの項目は、暫定であっても、その事業所は努力させてきたのです。それが今までのやり方だったと思います。それが温泉地だけ、なぜこれだけが、例えばふっ素、A温泉のほう素も、後ろのほうの混合希釈をやって、あるいは特環か何かの下水道が何かをやって、ほかの排水とやれば、実質的には水濁法の基準は下げられるわけです。そういう努力をしなくていいのかということを私は基本的にはこうやって努力してペーパーをまとめてきたのだけれども、ただ、今までの暫定の考え方が温泉があるがゆえに先に進まなくなってしまっている。そういう現実が今まであったわけです。
    同じような話が、この後ろのほうの旅館業以外のところで、いわば小規模事業所に関しては、水濁法がまだ規制の網がかかってないわけです。水濁法で小規模事業所排水がかからないのはなぜかと言ったら、できないからと言っているでしょう。そうしたら温泉もできないからということになってしまって、環境行政自体が進んでいかないというのが私は一番懸念をしているから、そういう意味で申し上げているので、だから浅野先生がそこを説明してください。お願いします。
  • 浅野委員 いえいえ、これは説明をする話かどうかはわかりませんけれども、半ば微妙ではありますよね。一律基準は、理想的なものではあるのだろうけれども、どうしてもできないのだから、暫定と言いながら、事実上ダブルスタンダードをつくっているという見方もできないことはない。
    それから、努力をしてここまで行ってもらうためのプロセスだという考え方もできないことはないですね。
    もう一つ、伝統的な公害規制の考え方は、負荷の高いところをきっちり押さえて、負荷の少ないところはまあいいやといって規制対象から外してきているのです。
    ところが、やっていったら、結局のところ負荷の高いところはきれいになってしまって、そうではないところがいっぱい残って、雑排水問題がずっと残ったというのがこれまでの公害規制行政の流れであったわけです。
    それの延長線ということもいえるわけです。
    だから、努力を全くしなくていいですよとほったらかしておくという限りは、例えば四国で問題になっているうどん屋さんの排水とか、こんなものは永遠に手をつけられないということになってしまうと。それがいいかどうかという問題がありますね。だから、暫定基準というものは、基本的にはダブルスタンダードをつくるということではなかったという確認は眞柄先生が一番強調なさりたいところだろうと思うのです。
    本当におかしかったら、一律基準というものをひょっとすると緩めなければいけないかもしれないです。
    あるいは、一律基準と言いながら、そこにある種ダブルスタンダードも諦めてつくってしまうというふうにしなければいけないのだけれども、一応そうではない仕掛けになっている以上は、あくまでも暫定だということでしょうね。
    今回、御意見があってそうだなと思ったのは、この中に暫定を今後もとにかく極力なくしていくということが基本なのだということを明確にするということはメッセージとしてとても大事なことだし、この中で特定の温泉について努力すればできないこともないだろうが、すぐは無理だろうからもうちょっと待ってあげられると。3年間は待ってあげるから、その間におやりと読めるような書き方をしているわけですから、そこはもうちょっとはっきり打ち出しておいて、それで努力をしてくださいということを言わなければいけないだろうと。そのことがおっしゃるように他の暫定基準の業種に対するメッセージにもなるし、さらに一番我々が最初から気になっていたのは、旅館だけ厳しくしておいて、ほかはほったらかしになっているのはまことに不公平だと。だから、大規模な公衆浴場でうんと温泉の旅館のお客をかっさらっているような業種には、やはり厳しくやってもらわなければおかしいではないかという話があるでしょう。そちらに対するメッセージとしても、規制がかかるとしても、暫定を永久に守ってもらえるという希望を余り持ってもらっては困るので、努力はしていただくというメッセージが必要です。そういう意味での表現を少し加えるということについては、必要なことだと思います。
  • 須藤座長 ありがとうございます。森田先生、最後になって申しわけございません。お願いいたします。
  • 森田委員 暫定というものは、一体いつになると正常化するのかと思います。そうすると、暫定は例えば3年おきにやっているとすると、3年おきに前進しているべきだというのが私の意見なのです。
    まず、ふっ素については少し前進している。ほう素は全然前進していない。一応、文章の中では、今後きつくするよというニュアンスは書いてあるのだけれども、できればとりあえず、例えば3年後には300ppmという数値目標が少し入っていれば、前進した格好になるかなという。それが感想なのですけれども、そこの300がいいか、250だとか、400なのかという線引きの問題がありますが、多分、印象とすると、300ぐらいはできそうな感じはするのです。できないというのは、多分やる気がないということのような気もするので、そういう努力目標でも、できれば数値目標で少し出しておいたほうがいいかなという感じです。
    以上です。
  • 浅野委員 森田先生の言われるように、自動車の排ガス規制はかなり先まで目標を決めて、努力をしていただくということでやってきているわけです。それとの関係では水は何にも言わないで3年後は厳しくしますよは、むしろ卑怯かもしれませんね。
  • 須藤座長 ただ、眞柄先生、私と先生が一番初めにこういうのを始めたころは、3回までしか許さないよという決めをやりましたね。それがどういうわけか、いつの間にか消えてしまったのですから、1回目、2回目はいいにして、3回目からは暫定ではなくて一律にしますよという約束をとって暫定を決めたことが過去にはあるのですが、難しいことが多かったし、政治的なことも多かったので、3回目は消えてしまっているということも事実ですね。
    それでは、一通り先生から伺えたので、質問が大分あったので、討論するべきことはこれから討論しますが、上西補佐のほうで質問の部分についてはお答えください。
  • 上西課長補佐 大分、浅野先生のほうで御回答いただいたのかなというふうにお聞きをしたところです。
    まず、暫定排水基準、国が定める暫定排水基準では、こうだということであるけれども、自治体のほうで条例で厳しくできないかという御意見がありましたけれども、それはまさに浅野委員のおっしゃるとおりかなというふうに考えてございます。
    もちろん、自治体によって、その地域が、温泉排水によって被害をこうむっているということであれば、もちろんそういうことで条例で定めることができることになってございますけれども、条例で厳しくしろということを国のほうから指導するということはできないと考えています。
    同じ領域とか、自然湧出源泉の適用について、同じ流域ということについても、浅野委員がおっしゃっていただいたとおりかなというふうに考えてございます。 技術的にタイムスケジュールをもって暫定排水基準を一律基準に進めていくための目標というか、スケジュール的にやっていかなければならないという御指摘については、全くそのとおりだと考えてございますけれども、温泉排水についても、そういうふうにしようと考えて実証試験、公募等を行ってきたところでございますが、なかなか先ほどお示ししたとおり、ふっ素については、ちょっと見えてきているものがございますけれども、ほう素についてはまだまだ難しいというところがございます。そういうタイムスケジュール的なものがまだ少し書けない状態ですけれども、それはもうおっしゃるとおりかなというふうに考えてございます。段階的に暫定排水基準を下げて一律排水基準を目指すということしか、まだお答えすることができないのかなというふうに考えています。
  • 須藤座長 課長、何か追加で、あるいはコメントをどうぞ。
  • 北村課長 特にございません。
  • 須藤座長 よろしいですか。補佐のおっしゃったとおりでよろしいですね。
  • 北村課長 はい、結構です。
  • 須藤座長 余り意見が割れているわけではないのですけれども、今回はとにかくほう素については、同じ500にするということで、次回はこの文章からすると、変えますよ、厳しくしますよということなのだけれども、幾つにするかということは、まだ目標値は示していないですね。それから、この検討会自身は、具体的な濃度というのは越権行為というか、実際の場合は排水基準の専門委員会なりでやることになりますので、方向性さえ示せばいいのかなというふうに思いますので、濃度を例えば300にしましょうとか、200にしましょうというのは、ちょっとやり過ぎかなという気がしますので、それはそれでいいのかなという気がします。
    それから、眞柄先生がおっしゃったことについて、地方に厳しい部分を任せるという部分は、多分、国がやらないで何でも地方に押しつけるのかと、これはこちらができないことを地方に任せるというのはやり過ぎかなという気もしなくはないかなという気もするわけです。
    それから、日帰り温泉の部分については、公平の原則からして、福祉施設である意味そういう部分については、水量も少ないし、量も少ないし、濃度も超えていないということなので、大体同等の旅館業以外の日帰り温泉のようなものについては、これは当てはめていくということについては、大体意見の一致をみているような気がします。
    それから、ふっ素は自然湧出以外と自然湧出とは分けて考えましょうという部分で、厳密で自然流出という人のことを言いだすと、これはほかの排水のときでもいつももめるわけですが、何を自然湧出するかということの議論もあるので、若干曖昧な部分があってもいいのかなという気もしなくはありません。そんなところで、総合的には大体皆さんの御意見をまとめるとそんなところになるかと思いますが、大ざっぱに言えば、これは大体認めていただいたということになるのだろうと思います。何かさらに追加の御意見ございますか。
  • 眞柄委員 A温泉のことですが、今、これ源泉2本あるわけです。それぞれは経営者が違うのですか。もし違っていても、例えば城崎は一括で源泉を管理して、それで外湯が多いのですけれども、みんな外湯でお湯を配っていて、全体管理をしていて、排水は海辺の下水処理場に行っているから、暫定の緩い値で行っているのですけれども、そういうテクニカルに最初から諦めるのではなくて、もう少し前向きにA温泉地が努力するようなことを僕はしてもらいたいと思います。
    ほう素は水道の水質基準を決めるときも、かなり苦労をして決めた経緯があって、それで現に食安委はTDIの値しか出さないわけです。水質基準値は、それぞれのリスクマネジメントをするところで決めるという流れの中で水道の基準値を決めてきているわけですが、その数値自体は、決して厳しくなくて、どちらかといえば緩いほうなのです。それは国際的にもほう素は取れないということをわかっているから。ですが、逆に言うと、環境基準を公共用水域で超えていたときは、水道水のほう素の濃度は必ず基準値を超えてしまうのです。取れないから。ですから、ほう素というのは、それぐらい神経質になって環境の管理をすべき対象の無機物質だと私は理解をしているのです。
    ですから、できるだけ先ほど平沢先生が総量規制という考え方で管理していかなければならない無機物質だと。単に濃度でできるものではないということだけは、次のステップのときにぜひ課の中であと3年後ですが引き継いでおいていただきたいと。それだけを申し上げます。
  • 須藤座長 ありがとうございました。
    ほかに先生方、よろしいですか。
  • 藤田委員 1つ。
  • 須藤座長 では藤田先生。
  • 藤田委員 総量規制というのはそうかもわかりませんけれども、1つは前回のヒアリングでも、かなりわかってきたのですけれども、業界団体というのが必ずしもしっかりしていないので、なかなか情報あるいは技術情報を含めてですけれども、キャッチボールをしようとしても、何となく受けとめ方が異なってくる。だから、極端に言えば、前回、旅館業のほうでヒアリングに来られた方が、ただただやむを得ないのだというふうな感じで来られましたけれども、結局、その部分は、多分、御自分のところの温泉は、実はクリアしているのですね。もう何もないのです。そうすると、温度差が全部違うのです。その辺を環境省として今後どういうふうに情報を与えていくのか、情報を流して、まさにキャッチボールをして、お互いに努力しましょうという仕組みをどういうふうにしたらいいのかというのは、実は一番の悩みのところです。
    多分、そこのところをしっかりとつくっていかないと、結局最後は自治体に任せてしまうということになって、でも自治体も温度差があって、例えば、秋田県とか、温泉王国だと、真剣にやらないといけないということで、ところがうちだといいですよとかという、その辺のところが出てくるのではないかなと。
    だったら、まとめの文章の中でそれは書けないのですけれども、繰り返しですけれども、やはり次の3年後にどうやって持っていくのかという中で、必ずそこがひっかかってくるような気がします。そこのところをぜひ考えておかないといけないのではないかなというふうに思っています。
  • 須藤座長 次の3年には、必ず暫定を下げるという、それはこの文章からとれるのですね。それは残していいですか。
  • 浅野委員 そもそも、温泉排水規制の在り方についての検討会だから、その範囲でしか議論ができない面もあるけれども、次にこれを水環境部会に持って行くときには、やはり暫定基準というものをなくすということが最初からの方針だったことを再度確認して、そのことをはっきりさせるという必要はあるのでしょうね。
  • 須藤座長 私もそう思います。
  • 浅野委員 そうしておかないといけないし、まずそれをもう一回審議会できちんと確認して、ほかのものについても考えなければいけないものは考えますということを宣言すると。その上で、今度の改正に関しては、先ほど御意見がありましたけれども、そうだなと思うのだけれども、少なくとも一律基準に最終的になりますよと。どこかの段階でなりますと。
    だから、新規掘削をして、新規に使う温泉に関しては、一律基準を超えるようなものである場合には要注意ですよと。そのことはちゃんと覚悟の上でやってくださいということをきちんと許可を出すときなり、何かの段階で担当者が申請者に伝えておくということができるようにしておかないといけないでしょうね。
    ここで、さらにもっとスタンダードを細かくして、今後、新規のものについてはとここに書くのがいいかどうか、若干疑問もあるのだという。大久保さんはそうしたらいいと言っているのだけれども、そこまで言うのはちょっとなという感じもあるので。しかし、本来そういう姿なのだということが徹底していないからこうなるのでしょうね。それはあるだろうと思います。
    それで、たとえこの検討会の文章であるにしても、9ページの本文の最後は、「ではないか」ではなくて、「きょうの議論を経て適当である」と直したらいいですね。
    それから、大久保さんがちょっとロジックがおかしいと言われたのは、言われてみればなるほどなという感じもするので、ここは各論から議論を始めているので、ついついこうなってしまっていますけれども、最終的に、表向きに出て行くときにはもうちょっとお化粧して、ちゃんと直したほうがいいと。そこはお任せしますから、しっかり直してやっていただきたいです。
  • 須藤座長 最終的には私がお手伝いしてチェックをしますということにしますので、よろしいですよね。
    どうぞ。
  • 眞柄委員 今の浅野先生のことでほう素に関しては、ほかの業も例えば資料4の参考資料で金属とか粘土かわらとかうわ薬だとかというところは、残はずっと150なのです。だから、当然のことながら、温泉の排水のやつで暫定を水環境部会で審議されるでしょうけれども、その段階で、ほかの業種のほう素も25年で切れるわけですから、どうするかということも忘れないで議論していただきたいと思います。
  • 須藤座長 そうです。これだけではないのですね。
    藤田先生、この辺の技術のほうのバックアップをしていただいているのですけれども、ほう素もそうだけれども、窒素もあって、ずっとまだどのぐらい残っているのですか。
    まだ結構残っているのですよね。
  • 藤田委員 この参考資料のところには、業種をずっと書いていますが、もう一つ、多分、窒素が出てきますので。硝酸性窒素が出ると、今度は農業、畜産業が入ってきます。これが一番やっかいです。
  • 眞柄委員 今度水道で、水質基準で亜硝酸性窒素が0.04になりましたので、そうすると水道の水質基準と環境基準のほうのリンクを今度は切らないと、環境で0.04が環境基準になったなんて言ったら大変なことになりますから、そういう意味では、やはり時代時代で基準、規制の考え方が変わっていくということは絶えず前提にしておかないと、古いままだと、どこかでほころびが出てしまいますので、そこだけはお願いします。
  • 大久保委員 済みません。
  • 須藤座長 どうぞ、大久保先生。
  • 大久保委員 ほかのところも暫定基準が残っているよねという話なのですけれども、ただそこは下げなさいと言おうとすると、旅館業だけは500なのに、何でほかだけ下げなければいけなくなるのと逆に言われそうな感じがするので、やはりここの温泉のところでしっかりやらないと、ちょっと厳しいかなという気がして、ちょっとよくわからなかったのは、新規については下げてねというふうに言うのは、そこまでやるとちょっとねというのを浅野先生がおっしゃったのはなぜなのですか。新規はだめよと、別にすっきり言えばいいではないですかと思うのですけれども、何がだめなのでしょうかということをお伺いできればと思います。
  • 浅野委員 そこは直感です。やはり実際に調べてみると、一律基準に該当しないところが結構、今、あるわけです。たから暫定基準から見ればクリアできていますというだけの話なのです。だから、一挙にそこを一律基準にざっと持っていくのはかなり実態がわかるとラジカルです。
  • 須藤座長 いずれの時点でこれを温泉だと藤田先生、一律行けますか。
  • 藤田委員 いや、無理だろうね。
  • 須藤座長 無理。いずれの時点でも。
    今回も次回に下げると言えばいいのです。300に下げるか、200に下げるかはともかくとして。
  • 藤田委員 温泉の技術のほうでずっと検討はしているのですけれども、眞柄先生がおっしゃるとおりです。ほう素は今のところお手上げます。もちろん技術がないわけではないです。ただ、合理的なという意味で、例えば負担可能なコストでというふうに言われると、ちょっと厳しいですというふうには思います。
    ただ、ふっ素に関しては、多分、参考資料のところにも出ていますけれども、設備等をうまくやっていけば、1日1万円とか、これは一応、100トンぐらいの排水という前提で、1日1万円ぐらいで行けるかなというところまでは出てきていますので、それは少し視野に入ってきたというふうには思います。多分、ふっ素は御存じのように除きやすい物質の1つでもあったという。
    ただ、恐らく水道のほうでも、これはちょっと離れてしまうのですけれども、先ほども各地域の環境の話が出たのですけれども、ついこの間、きょう兵庫県庁の秋山さんは欠席なのですけれども、兵庫県ですと、幾つかの川の流域ではいわゆる環境基準は超えているのです。そうしますと、それを水源にしている場合だと、ブレンドせざるを得ないという。ブレンドをして、落として、それを水道原水にしているという現実もありますので、多分、それは地域によっても幾つかそういう問題は出てくると思います。
  • 平沢委員 先生、いいですか。
  • 須藤座長 どうぞ。
  • 平沢委員 工業分野でほうろうとか粘土をやっているのであれなのですけれども、あの場合には、今、絶対クリアするようにと目標を立てて、今度やったのですけれども、やはりほう素の代替のものを探してもらうとかということがちょっとあって、でもこの温泉の場合は代替できないというか、もともと入ってしまって、しかもオーダーが高いですから、藤田先生がおっしゃるとおりだと思います。その点もちょっと言いたかったのです。
  • 須藤座長 そうすると、最終的にはすごく高い先ほどのAの幾つかについてはやめていただくとか、具体的にはそういうことになるわけですね。どうしてもということになれば。
  • 藤田委員 それともう一つは、やはり以前に甘露寺先生が言われたように、できるだけ少なくして、いわゆるほかの水を雑用水と一緒にしてやっていくという、これは実は平沢先生が、今、言われたように、工業分野の中で一律基準をクリアしてきて一律に移行したうちのほとんどは、実はプロセス見直しなのです。処理技術を入れたのではないのです。
    だから、そういう努力はやはり同じようにしていかないといけないと。
  • 須藤座長 それはできますね。
  • 藤田委員 それはそう思うのですけれども、今度、前の発言に戻るのですけれども、ではどなたに指導していいのかというときに、受け皿のほうがいわゆる組織化がまだ十分ではないので、その辺のところのやりとりがなかなか難しいという。そうすると、A社はAの温泉を持っている人にしか指導はできないということになってしまう。これは厳しいと思います。
  • 須藤座長 甘露寺先生、今の発言いかがですか。
    どうぞ。
  • 甘露寺委員 おっしゃるとおりなのですけれども、余り難しい話ではなくて、端的に言えば変なものを含んでいる温泉はなるべく使わないようにしましょうということなのです。そういうことなのです。それが一つなのです。
    それから、変なものというのは、ここでほう素とふっ素を取り上げていますけれども、ほかにもやっかいなヒ素とか何だかんだといっぱいあるのです。
    それから、49年条項がどうのこうのというのももちろんあるわけです。
    ですから、そういう問題もあるし、それからもう一つ、これは言っていいかどうかはわからないけれども、温泉水なのだけれども、温泉だと地中より湧出する鉱水、それから水蒸気その他のガスが含まれる。ですから火山の噴気ガスも温泉なのです。こういうものも実は将来はやはり対応をいろいろ考えていかなければいけない。だけれども、先ほどおっしゃった酸性泉でいろいろなものが入っている温泉というのは、火山の噴気ガスが水に溶け込んで温泉になっているのです。ですから、そういうことも考えておかないといけない。
    僕が考えて、自然の温泉でやっかいなのは、うんと大量に出ているのが結構あるのです。そういうものが酸性の温泉なんかはどうしてもやっかいなのです。
    それと、報告書の後にさっき言った低くする方向でということは明記したほうが僕はいいと思います。これはほう素を考えるということの方向で、僕自身は最初400ぐらいを頭に浮かべていたのですけれども、いろいろ先生方によっては、「いや200だ」という人もいるし、いろいろあるけれども、そのくらいのことをやはりやっていかなければいけないのではないかなというふうには考えたので、先ほどの先生のお話だと300ぐらいという。いずれにしても、低い方向でいろいろ将来を考えていくということ。あと一番重要なのは、余り高いのは使わないということを言ったっていいと思うのです。
    いずれにしても、排水の問題は難しい、もう一つは根本的な問題で、同じものでも業種によって排水基準が違いますよね、そこが人のバリエーションというのがいろいろなところで顔を出してくるわけです。
    ですから、その辺もひとつ大きな問題なのです。僕は一律基準というのは、非常に難しいという考えを持っているのですけれども、ではどうするのかというと、先ほど先生方がおっしゃった、それは一体誰に聞いて誰がやるのだという話に結局なるわけです。そういうところまでは、まだ温泉の技術は未成熟です。
  • 須藤座長 業界としても。
  • 甘露寺委員 たしかにそうやっているわけではないね。そんなことでございます。
    大体、この案は僕自身としては、特に文句はない。
  • 須藤座長 受け入れられると。
  • 甘露寺委員 受け入れられるということでございます。
  • 須藤座長 環境省としても、何となく暫定基準を再度下げられればいいやというように受け取れてしまうような内容なのだけれども、暫定基準はあくまでも暫定で、最終的には一律基準に持って行くのだということがきちんとあった上で、暫定を下げるのだというふうにちょっと修文をしたほうがいいような気もいたしますので、そのところはちょっと私も感じていましたので。
    それと、全体的にはこれは多分いいと思うのですが、業界に対しての指導とか何かというようなことも若干どこかのところに、そのためにそれが必要であるとか、そんなようなこととか、そんな文言をある程度。それから、濃度の高いものは温泉としては利用には不適格であるとか、そのようなことも。それから、掘り出したときに、そうだったらやめるかどうかは知らないけれども、そこで一段目のチェックは新しい場合にはするとか、若干これに加えるべき内容を入れていただいて、これはどこかへ報告書として出すわけではないわけでしょうから、当方としては、これを排水基準の専門委員会とかに次に提案できればいいのではないかなと思います。
    ということで、全体的にはこんなのでよろしゅうございましょうか。
    それでは、私のまとめも余りよくなかったかもしれませんが、そういう言葉を入れて、上西補佐には少し修文をやっていただいて、かなり大変かもしれないけれどもやっていただいて、課長もついておられるので、ぜひひとつよろしくどうぞ。
  • 北村課長 本日も、大変活発に御審議をいただきまして、まことにありがとうございました。
    いろいろ議論がございましたけれども、特にA温泉についてお話が多かったかと思いますが、今後、自治体、県になりますけれども、関係等をよく調整をしながら、ある意味対象が明確ですので、よく競争しながら取り組んでまいりたいというふうに存じます。
    本年度の検討会でございますが、今回でこの検討会としては終了ということでございます。
    今回の議事録につきましては、事務局で作成をいたしまして、メールにより御確認をいただきたいと存じます。
    今後の予定でございますが、暫定排水の基準の関係の全体検討会が温泉分野、工業分野、畜産分野の暫定排水基準の見直し案を全体検討会で取りまとめたのち、中央環境審議会水環境部会に報告をいたしまして、パブリックコメントを行った後、ことしの7月に暫定排水基準の改定という運びになりますということでございます。
    本年度はいろいろと御議論をいただきまして、まことにありがとうございました。
    来年度もよろしくお願いいたします。
    以上でございます。
  • 須藤座長 ありがとうございました。
    本検討会は、今回、第9回目でございますが、これをもって終了させていただきます。
    どうもお疲れさまでございました。

ページ先頭へ↑