水・土壌・地盤・海洋環境の保全

温泉排水規制に関する検討会(第5回)議事録

日時

平成23年10月14日(金) 10:00~12:00

場所

環境省第一会議室(22F)

議事

  • 吉田課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第5回「温泉排水規制に関する検討会」を開会させていただきます。
    本日は、委員の皆様方12名中10名の方の御出席を予定されております。ただいま9名の御出席をいただいているところでございます。浅野先生が15分ほど遅れるということですので、始めさせていただければと存じます。
    議事に先立ちまして、水環境担当審議官の関よりごあいさつを申し上げます。
  • 関審議官 おはようございます。いつも大変お世話になりありがとうございます。
    前回の第4回の検討会が3月4日に開かれておりまして、それ以来、7か月経ちまして世の中が、随分変わってしまいまして、私どもの業務も大幅に変わりました。
    お気付きになったと思いますが、担当補佐が代わっております。以前担当していました補佐と係長は、現在は、セシウムの担当で、別の部屋にこもっております。私もほぼそういうようなものでございまして、大変な任務を環境省が担当するようになって、日夜、土日もなく、環境省の職員みんなが働いている、状況でございます。
    さて、ほう素、ふっ素の問題は大変重要でありまして、前回いろいろな御指摘をいただきまして、半年にわたって詳細な調査を行ってまいりました。今日はその結果を踏まえて、今後の温泉に係る暫定規制をどうするかということを更に踏み込んで御議論をいただければと思っています。
    いろいろな課題がございますけれども、従来からの水環境保全はどんな状況になっても極めて重要であると考えております。すべてを効率的にやり切るということで事務局は頑張っていきたいと思っておりますので、是非御支援、御指導のほどよろしくお願いいたします。
  • 吉田課長 続きまして、お手元の配付資料につきまして御確認をお願いいたします。
    議事次第の下段のところに配付資料ということで一覧を載せさせていただいております。
    資料の方は1から順次7までございまして、その後参考資料1と2がございます。
    過不足等ございましたら、随時事務局までお申し付けいただければと存じます。
    よろしければ、以下の進行につきまして須藤委員長の方にお願いいたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 須藤委員長 委員の先生方、どうもおはようございます。早朝からお繰り合わせ、御出席いただきましてどうもありがとうございます。
    先ほどお話がございましたように、環境省は新たな仕事を担当されお忙しい中に、この温泉排水の継続的な検討をするということで大変苦労されているのをかいま見てまいりました。ですが、これは本年中くらいにある程度見通しを立てなければいけないだろうということで、座長を預かる私としても叱咤激励をしてまいりました。本日はこの前の詳細調査の結果が出ておりますので、それを御検討いただきながらこれからの方向性を探っていただきたいと思います。
    また、本日もたくさんの傍聴の方においでいただきまして、お礼申し上げておきたいと思います。
    それでは、議事に入りたいと思いますが、第4回で検討いただいた御意見について整理をしていただきまして、環境省が本年度実施した温泉排水の実態調査を踏まえまして、今後の対応方針について議論をするということになっているわけでございます。この前の第4回検討会での御意見や御指摘について資料4として事務局でとりまとめてございますので、まずそこから御説明をいただきます。
    星野補佐、どうぞ。
  • 星野課長補佐 10月から担当になりました水環境課の星野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    資料4をごらんください。「第4回検討会における主な御意見と対応」でまとめさせていただいております。
    まず「1-1.ほう素・ふっ素の負荷の実態」で、ほう素、ふっ素のフラックスが全体としてどれくらいあって、そこを理解しなければいけないという話です。
    これについては資料7をごらんください。
    「ほう素・ふっ素の負荷量実態」で、1ページには算出の仕方を書いております。温泉については、湧出量に時間、濃度を掛けております。
    PRTRについては御存じのように届出の基準等がありますので、それに基づいたものを集計しているということでございます。
    2ページをごらんください。それを数値がほう素のみが高い源泉、ふっ素のみが高い源泉で、ほう素、ふっ素が両方高い源泉というふうに分けました。
    結果は3ページになります。上の方が工業部門から出ているほう素で、下が温泉の湧出量と水質から出してきたほう素の量でございます。出している前提が1ページの前提で算出しておりますので、正確な全量かとかいう議論はございますが、ある程度、温泉の量が多いことがわかると思います。
    4ページは、ふっ素について工業部門と温泉を比べたということでございます。
    5ページは参考情報ですが、温泉の最近の状況を整理しており、温泉の数も増えておりますし、湧出量も増えているということです。ここは動力と自然湧出と掘削自噴を合わせた自噴に分けております。
    6ページ以降も前回から出ている話ですが、ほう素、ふっ素の環境基準の達成状況を参考に付けております。
    資料4の方に戻りまして、1-1については資料7で工業分野と温泉の負荷の試算を行ったということでございます。
    「1-2.温泉利用施設の排水の実態」ということで、御指摘をいただいたことについては、それも踏まえて追加調査を実施しておりますので、その調査結果を見てお話をさせていただきたいと思います。
    「2-1.処理技術について」も御示唆をいただいております。これについては別途実証試験等を行っておりますので、その結果が出た時点で御報告をしていきたいということでございます。
    「2-2.その他の対応策」ということで、対応策はどうするのかというお話だと思いますが、それについて今回資料で実態調査結果を踏まえた対応策を検討しておりますので、説明させていただきたいと思います。
    「3.今後の方向性について」、ここが一番大きい話ですが、いろいろな御示唆をいただいておりますので、今回の実態調査結果も踏まえて、この検討会で今回も併せて今後に議論していただきたいということでございます。
    1つ抜けていたのですが、ほう素・ふっ素だけではなくて、水銀とか砒素についてとりまとめを行うべきではないかということだったのですが、今回作業が間に合っておりませんので、次回の委員会では、水銀、砒素についてとりまとめを行っていきたいということでございます。
    資料4の説明は以上になります。
  • 須藤委員長 どうも御説明ありがとうございました。
    私は先を急ぎ過ぎまして、議事録の確認をやっておりませんでしたので、その前に議事録の確認をさせていただきたいと思います。
    資料3をお示しいただいておりますが、これは先生方に一通り見ていただいて確認をとっております。これをとりあえずは第4回の議事録とさせていただきたいと思います。しかし、もし修正等がございましたら、後ほど御意見をいただくということでよろしゅうございましょうか。
    それでは、資料3は前回の議事録ということで確認をさせていただきたいと思います。
    その上で、ただいまの星野補佐の御説明の資料4のほとんどの問題が今日の議論の中にも出てまいりますが、とりあえずは前回の検討会で出た御意見についての対応でございますので、御意見がございましたらどうぞおっしゃってください。
    ほとんどが今日出てくる話ですね。ですので、もう一度ここら辺のところは、特に今後の方向性は継続審議でございますので、ここが本日のメインの議題になろうかと思いますので、この中で吸収して、前回分の対応については今日御意見をいただくということにしていきたいと思います。
    それでは、資料5に移って、先ほど審議官におっしゃっていただいたように、実態調査等の結果が出てまいりました。この問題について自治体のアンケート等もございますので、それをお聞き取りいただきまして、ほう素、ふっ素の特に濃度の高い箇所を中心として調査をされたと伺っておりますが、分析調査されて頻度分布等も出ているようでございますので、御説明の方を星野補佐からまたお願いいたします。
  • 星野課長補佐 続きまして「温泉利用施設に関する実態調査結果」ということで、資料5と資料6を用いて説明させていただきます。資料5の方は全体的なとりまとめ、資料6については、実際のローデータをとりまとめております。
    まず、資料5から説明させていただきたいと思います。
    概要的には3ページをごらんください。ほう素、ふっ素について、源泉の濃度が高いものをピックアップして、Aは基礎調査で排水調査データの収集、Bは詳細調査で、ほう素は200mg/l以上、ふっ素は40mg/l以上について詳細調査を行っております。この元のデータは、平成22年度に温泉排水実態調査を行っておりまして、大体2万8,000の温泉がありまして、そのうち2万7,000くらいの県のアンケートからの回答を得ておりまして、そこからほう素、ふっ素が高い源泉を抽出しているということでございます。
    調査内容は1ページに戻りまして、基礎調査ということで、ほう素が30mg/l、ふっ素が24mg/lを超えるようなものについて行う。詳細調査については、ほう素が200mg/l、ふっ素が40mg/lを超えるものについて行ったということです。詳細調査については現地で採水、ヒアリング等を行っているということでございます。
    これが全体の調査の概要でございまして、以降、結果でございます。4ページに基礎調査がございまして、これは排水データのある施設で調査を行っているということです。
    例えば、5ページに行きますと、源泉のほう素濃度が200mg/lを超えるものに対しては25施設あったんですが、実際排水データのある施設、県にデータがあったのは5施設しかなかった結果でございます。下の方は源泉ではなくて、旅館とかホテルの排水の濃度が200mg/lを超えるものが例えば2施設あったということでございます。
    例えば、今、言っている200mg/lを超える25施設と5施設の差の20施設については詳細調査を行っておりますので、調査結果についてはそちらで詳しく説明させていただきたいと思います。
    6ページは、ふっ素について同じことを行っているということです。
    このように、排水データのあるものは全体の施設数から余りなかったということです。
    8ページ以降が詳細調査において、現地で排水の調査を行ったということでございます。8ページについては概要が載っております。後でグラフ等で示しておりますので、省略させていただきます。
    9ページは、実際高いところが宿泊施設なのか、公衆浴場なのか、施設区分で公衆浴場、その他と届出上出ておりますので、その内容について詳しく書いております。老人福祉施設の入浴施設だったり、ゴルフ場のクラブハウスだったり、あと町中の公衆浴場があるのですが、これは実際現地で確認はしているのですけれども、皆さんが思っているような、いわゆる近代的な日帰り温泉なのか、昔ながらの公衆浴場なのかはなかなか判断が難しかったものですから、今の段階では、町中の公衆浴場と表現させていただいております。また、ほう素は、温泉地の足湯ありましたというような調査結果になっております。
    資料6で詳細の御説明をさせていただきたいと思います。
    資料6は調査結果のローデータに近いものです。ほう素、ふっ素と並んでおりまして、施設番号1、7、9と飛んでおりますが、これは排水の濃度が高い順に並べております。例えば1番については排水口1ということで344mg/l、703mg/l、295mg/lというほう素濃度が確認されているということです。
    例えば1番について説明していきますと、宿泊施設である、利用源泉は2本ある、温泉分析書の濃度が1,580mg/lと1,540mg/l、2本とも掘削自噴である、特定施設の設置の有無はありますというようなことが書いてあります。
    源泉1、源泉2で源泉が2本あって、あと3つ数字があるのは時間ごとに変わるのではないかというようなことがありまして、注2に書いてありますが、夕方と夜と翌日の午前中に測っているということであります。それが源泉の濃度です。それで排水口についても濃度を測っているということでございます。
    実は排水口といっても、ここに「排水の採水地点」と書いてありますが、かなり複雑な話がありまして、排水口で大きいふろの排水のみという確認をしておりますし、温泉排水のみということでございます。
    ただ、1番については、ここでデータを出しておりますが、昨日に地元の方から排水系を、もうちょっと見直すというか、例えばそこで水濁法の排水口になるのかという議論もありましたので、現状で測ったのはこの数値ですが、これが排水基準と一致する数字かは再度確認をしている状況でございます。
    そういうようなことで水質分析について書いてあります。
    裏のページが別表2になるのですが、これについてはヒアリング調査結果でございます。宿泊施設の方にヒアリングをした結果、排水形態はどんな排水形態、源泉の取水量はどのくらいか、加水はしているのかしていないのか、その他の水利用、可能性のある希釈倍率というのは、例えば加水とかその他の水利用を足したもので倍率を出しているということです。
    あと最大希釈率というのは源泉を最大の他の排水量で、割るとこれくらいの排水濃度になるという、これは想定の話でございます。これらを、ヒアリング調査結果等で整理しているという状態です。
    これらの分析を資料5の10ページ以降でしております。
    縦軸が排水のほう素の濃度、横軸が源泉のほう素濃度ということで、1対1、2対1、3対1、実際問題はいろいろ雑排水とかそういうもので希釈が考えられますので、一応そういうラインを引いております。例えば、施設番号1を点線で囲っておりますが、暫定排水基準をオーバーしているようなものが確認されているということです。ただ、1対1~2対1の間に入っており、すごく希釈されているところもありますし、希釈が余りされていないところもあるというのが実態でございます。これが宿泊施設です。
    11ページがふっ素について同じことを行っております。
    12ページが公衆浴場について同じ整理をしているということです。ただ、公衆浴場についてはばらつきが多いような話です。
    13ページはふっ素について行っているということでございます。
    14、15ページはその他に分類されるようなもの、福祉施設とか足湯とか温泉スタンドについて分析を行ってございます。
    16ページからは先ほど説明したヒアリング調査結果等を整理しておりまして、17ページの下になります。
    縦軸が可能性として考えらえる最大希釈倍率をとっておりまして、横軸が源泉取水量です。
    要は源泉取水量が多いものについては、ほかの水を使うところが少ないものですから、どうも希釈という考え方は難しいのかなというので、だんだん取水量が多いと悪くなってくるということを示しております。今後の規制の参考になる資料だと思います。
    18、19ページが最終の結論に近いようなものでして、19ページについては先ほど排水データプラス詳細調査も加えたもので、上の表は例えば200mg/lを超えるものについては25施設のうち24施設をつかんでおりますということで、そのうち実際排水の方で見ると、200mg/lを超えるのが4施設ありましたというグラフになっております。
    20、21ページについてはふっ素についてそれを行っておりまして、例えば40mg/lを超えるところは6施設のうち6施設をつかんでおりまして、全部斜線のものを展開すると排水のふっ素濃度はこの分布になってきているということでございます。
    併せまして対応方針の検討ということで22ページになります。「対応方策の検討」で、キーワード的というか、アイデア出しに近いような部分ですが、どんなことが考えられるのかというのを事務局の方で考えさせていただいています。
    まず源泉を変えるということ。それと源泉の取水量を減らすということで、加水量を増やす、またはかけ流しの量を減らして循環ろ過を一部導入することが考えられるということ。
    排水処理技術については個別で敷地内につくるのか、共同でつくるのかということ。それと5番として、これ以上余り、そういう新たに温泉を増やさないような対応も必要なのではないかということを対応方策の検討として考えております。
    23ページには、今までほう素、ふっ素についての調査を行っておりまして、大体ほう素については200mg/lを超えるところ、ふっ素については40mg/lを超えるところを中心に調査をしたんですが、希釈倍率とかの関係もありまして、例えば100~200mg/lとか、ふっ素にすれば24mg/l以上、ここら辺のところについてもやはり詳細調査が必要ではないかと事務局の方で考えております。ただやみくもに全部の調査をするわけではなくて、温泉の量の多いところが問題になるだろうということも加味して、全部の施設でなく、詳細の調査の追加を、温泉の量も付加して効率的にやっていきたいと考えております。
    事務局の方の説明としては以上になります。
  • 須藤委員長 どうも御説明ありがとうございました。
    それでは、詳細調査、実態調査をやっていただきましたので、これについて資料5の一覧表になっているのが資料6だったでしょうか、それをごらんになっていただきながら、御議論あるいは御質問をいただこうと思います。
    最後のところでおっしゃっていただいた対応方針の検討は後半で少し議論したいと思いますので、前半では今の詳細調査あるいは分析調査、この辺のところで御質問なり御意見があったら先にお伺いしたいと思います。何かございますか。
    甘露寺先生、どうぞお願いします。
  • 甘露寺委員 ちょっと聞き漏らしたかもしれないのですが、1日のうちでかなり希釈が違うという話が前の会議であったんです。その辺のところはどうでございますか。同じ施設でもうんと希釈されて排水の方に行く場合と余り希釈されないで行く場合、その辺の差がかなりあるのではないかという話が出たのですが、その辺はどうでございましょうか。
  • 須藤委員長 事務局、どうぞ。
  • 星野課長補佐 今すぐお示しできるのは資料5の17ページでございます。分析をすると、取水というか、温泉の量で希釈が、これは考えられる希釈量の話です。
    それともう一つあるのは、資料6の別表1でございます。源泉の濃度と排水口の希釈ということで、例えば1番については3分の1なり半分近くに希釈されているというのはわかっております。
    済みません、実際の希釈量は全部出していないので、ここは追加の整理をする必要があるかもしれません。
  • 須藤委員長 今の御質問については、1日なら1日を通して今の希釈率などの変化がありましょうかというのは、そのことについての調査は余りされていないのですね。とったときの希釈率がこうであったということの御説明でよろしいですね。いいですか。
  • 星野課長補佐 施設番号1のところで、3時間ごと、夕方と夜と翌日の午前中にとって、源泉の方の濃度と排水口の濃度を調べているということで、前回あったお湯を半分くらい捨てるとか、そこのところまでは細かい調査をしていないというのが現状でございます。
  • 須藤委員長 その結果を見れば、そんなに希釈率は変わっていないという理解でよろしいね。もっと回数をやれば別ですけれども、この程度の中ではそれが掌握できなかったということのようでございます。
    ほかの先生方はいかがでしょうか。
    あとはもう少し高濃度ではない、もうちょっと低い濃度までもう一回調査をかけてみたいという御意見もあったのですが、その辺の必要性、あるいはもうちょっと下までやった方がいいかとかいうところ、暫定排水基準をどうするかというときに、どのくらいまで詳細調査をやっておけばいいかということにもなろうかと思いますが、甘露寺先生、いかがでございますか。今のものは高濃度のところだけやっているんです。
  • 甘露寺委員 このデータで大体のオーダーはわかります。今の暫定基準でなくても、かなり低くしても何とかなりそうだということは言えるでしょう。半分くらいにしても大体いくのではないかという話が。そうかどうかわかりませんよ。わかりませんけれども、極めて大ざっぱにいけばそういうことです。僕自身はこういうことと余り関係なく、極めて勘で、今の暫定排水基準は甘いのだったら250mg/lくらい、辛いのだったら100mg/l以下と、僕個人としてはその程度を考えています。
  • 須藤委員長 辛い方ですね。
  • 甘露寺委員 辛い方だったら100mg/l以下、甘いんだったら250mg/lの線、半分くらい。
  • 須藤委員長 現状が500mg/lですね。それを250mg/lか。
    どうぞ、眞柄先生。
  • 眞柄委員 調査をされたところで、例えば箱根のように神奈川県が供給している、伊東も市だと思いますが、県や市町村が温泉原水を供給している施設がどれくらいあるか。ここの対象になっているのは旅館なりが自分の源泉で、パブリックが管理している温泉水を供給している地域がどれくらいあるか。その辺のところの調べはなされていらっしゃいましょうか。
  • 須藤委員長 それについてはいかがでございますか。公が管理して供給している、水道のようなものですね、それがあり得るのかどうなのか。先生がおっしゃっているんだからあるんでしょうけれども、それらのことについては調査されていますかという御質問です。
  • 星野課長補佐 ないことはないと思うのですが、今、ちゃんとした集計をしていないので、再度そこは集計をさせていただきたいと思っております。
  • 須藤委員長 先生が御存じですと、神奈川県にはあるのですね。
  • 眞柄委員 それだけではなくて、例えば函館の湯の川だと函館の水道局がやっていたり、そういう形でいくと、出るところばかりではなくて、供給する側でも制御可能なところもあるのではないかという印象があるものですからお伺いしたということです。有馬辺りも多分パブリックが管理しているような可能性があると思うのですが、それはわかりません。
  • 須藤委員長 これは甘露寺先生などの方も御存じではないですか。供給先は、どこから供給しているなんていうのはわからないですか。
  • 甘露寺委員 一応市町村がやっているというのは、例えば温泉の集中管理をやっているようなところは我々のところにある程度データがありますけれども、大体100~150か所くらい集中管理をやっているのですが、そういうデータは環境省の方の資料が一応あるのですが、それ以外のところはわからない。
  • 須藤委員長 どうぞ。
  • 吉田課長 ここで調べた温泉は、ここには名前を出しておりませんが、個別には全部わかっておりますので、確認ができます。その上で、そういうところであればまたいろいろと。
  • 眞柄委員 パブリックではなくても、要するにその地域の開発者が管理しているというところもあるのですよ。
  • 吉田課長 では、その辺の形態も含めて確認をさせていただきます。
  • 須藤委員長 供給体制といいましたか、温泉の原水の供給体制といったらいいのですか、そういう感じで、そうすると恐らく供給側である程度のコントロールができるのではなかろうかという先生の御意見だろうと思いますので、それは調べておいていただいた方がよろしいかもしれません。
    私が質問するのは余りよろしくないのだけれども、先ほどのものを伺うと暫定排水基準も幾つか超えていますね。それについての地方行政の対応はどういうふうになっていますか。排水基準を超えていることは間違いないわけですね。
  • 吉田課長 暫定排水基準を超えているのがこの表の1番と示している箇所、この1か所だけです。これについてはこの数値を我が方で確認をいたしまして、すぐに自治体に話をし、確認をいたしましたところ、どうも排水ポイントがいわゆる事業場全体からの排水ポイントと違うのではないかということがわかりまして、再度、調整をしているところなのですが、場合によってはもう一度調査し直すということも含めて考えております。ですので1番のこの数字だけは恐縮ですが、暫定的な値ということで御理解をいただきたいと思います。
  • 須藤委員長 そこは大事なところだと思いますけれども、立ち入りしてやっているわけでしょうから、そのときの水と我が方がとった水が違ったら今のような御意見になってしまいます。
    ほかの先生方はいかがでしょうか。
    そうしたら大体このデータは御理解いただいたという上で、もう少し下の濃度といいましょうか、1段階下がったところの濃度は予定されているんでしょうから、調査をいただくと。予定しているんですね。
  • 吉田課長 それについて補足をいたしますと、資料5の10、11ページのところに排水濃度と源泉濃度でグラフを書いています。
    昨年度調査をするときに、恐らく2~3倍くらい希釈されているのではないかということで高いところで実施をしたところ、余り希釈されていないもの、先ほどありました湧出量の多い温泉についてはほとんど希釈されていないところが多々あることがわかりましたので、そうするともう少し源泉濃度が低いところまでターゲットを広げて確認をする必要があるかなということで、今回追加的にそこは調査をしようということで考えているところです。
  • 須藤委員長 それをやっていただくのはまずはよろしいですね。
    あともう一つ、前から議論になっているのは、温泉旅館ではなくて、日帰り温泉とか、そういうような部分で結構これも調べていて、希釈率なども余り変わっていないですね。その議論はこれからの対応方針の中で議論すればよろしいわけですね。
  • 吉田課長 はい。
  • 須藤委員長 わかりました。
    それでは、あといろいろ含めて本日いろんな意見を出していただいて、今後暫定基準をどうすべきか、それは濃度の問題もございましょうし、温泉旅館だけでなくて、温泉に類似する施設のもの、例えば日帰りのレジャーランドのようなところの温泉とか、そんなようなものも含めて一緒にやる方が公平の原則からしていいのかとか、いろいろ御意見があろうかと思いますので、順番に秋葉先生の方から何か、この調査の結果でも結構でございますし、今日は比較的時間が多いし、あと1回くらいはやらないといけないので、十分に先生方の御意見を伺っておきたいと思いますので、順番に御意見をおっしゃってください。
  • 秋葉委員 全体的には公共用水域のほう素、ふっ素の超過点はそれほど多くないと思うのですけれども、例えばこの濃度が高いところで今回調査しましたが、この放流先の地点とかではどうなっているのか、高いのか、希釈されて問題ないのかとか。
    あとこれから日帰り温泉とかが問題になると思うのですけれども、そういったところが排水して、その後公共用水域でどのくらい影響があるか、その辺はいかがですか。
  • 須藤委員長 それは両方一緒でいいのですね、旅館も行楽施設も含めて排水が。
  • 秋葉委員 どのくらい影響を与えているか。
  • 須藤委員長 そういうことについてもう少し公共用水域側の知見が欲しいという意見ですか。
  • 秋葉委員 前その辺も調査するというような話だったので、その辺はどうなっているか。
  • 吉田課長 たしか昨年度のときに少しお示しさせていただいたような記憶がありまして、これまでの調査では、公共用水域の環境基準点でホウ素、フッ素の環境基準をオーバーしている箇所で、上流の温泉が原因のものというのは特定できませんでした。逆に言うと、温泉が原因で下流の環境基準点で環境基準をオーバーしている箇所はなかったということであります。
  • 須藤委員長 余りなかったということで、環境基準値もオーバーしていないわけですね。今、ほう素、ふっ素で基準値をオーバーしているのは海水の影響を受けているところが多いです。たしかそうだったですね。温泉というよりも海水ですね。
  • 吉田課長 ただ、温泉がなくて、多分上流の影響で出ているという箇所はたしかあったと記憶しています。勿論おっしゃるように海水の影響というか、河口付近での影響も、考えられます。
  • 須藤委員長 ありがとうございます。
    浅野先生、いかがですか。
  • 浅野委員 調査の結果はよくわかったわけです。これ以上もうちょっと調べるというのも、勿論説得材料としては調べておいた方がいいと思いますから、調べていただければと思います。
    結局のところ、最終的な落としどころをどうするかということを考えた場合には、とにかく暫定はやめてしまうという結論と、暫定を少し手直しするという選択肢と、当面このまま続けるという選択肢しかないわけです。その上でそれをどれに当てはめるかということについてもうちょっとバリエーションをつけるという余地はあるわけです。
    先ほど甘露寺さんが言われたように、ある程度直感的には方向が見えてきたかなというような感じはあるわけで、多分全廃ということにはなかなかなりにくいような感じもするし、現状維持というわけにはいかんということになるだろう。
    ただ、先ほど秋葉さんが言われたみたいに、公共用水域側に影響がないではないかという話を始めると、他の発生源がみんなこぞって言い始めるので、それはちょっと制度を維持する上では勘弁してくださいということになるのだろうと思うのです。やはり公平性ということがあるでしょうし、公衆浴場についても同じように公平性を考えなければいけないということがあるでしょう。
    少し先走った言い方をするのですが、仮に真ん中辺で何か答えを出そうという場合に、技術的に処理することが可能であるということにどの程度のリードタイムを用意する必要があるか。そこについてはある程度客観的なデータがとれるか。その場合にやれるかやれないかということもあるし、コストの面もあるし、コスト的に何とかやれるような技術はどれくらいで開発できる可能性があるだろうか。そこについての情報が欲しいです。ある程度の見通しがあれば、この期間という形で答えも出しやすいわけです。永遠にというのではなかなか納得されないのですけれども。
    ただし、何せ特殊でここにしか当てはまらない技術だということになると、技術開発のインセンティブが全然働きませんからなかなか難しいのですが、もうちょっと汎用性のある技術みたいなものがあって、これにも使えるあれにも使えるみたいなものがあるのかどうか私はよくわかりませんけれども、専門の先生方からその辺のお知恵をいただければ少し書きやすいかなという感じがします。
  • 須藤委員長 例えば低濃度の放射線の除染とこれが応用できるとか、そんなところにいけばインセンティブが働くかもしれませんね。
  • 浅野委員 もう一つは、22ページに[5]という選択肢があって、これは大久保さんに後でコメントをさせるべきだと思っていますが、私も行政法ではないのだけれども、直感的には掘る前に網をかぶせるということが、どのくらいの証拠があればできるのかという問題がありそうなので、仮に近傍が高いからここはだめだという因果関係が本当にちゃんと言えるか。私はどうも難しいような気がするのです。かなり一個一個について個性がありそうな気もするのですが、そうなると事前の許可をしないということができるかどうか。だけれど、とはいうものの、やってみて掘ってみたらアウトだというのではやる方も迷惑でしょうから、そこはお互い綱引きみたいなところがあるのだけれども、これは大久保さんに知恵を貸してもらえたらと思いますので、どうぞ。
  • 須藤委員長 では、大久保先生、御指名でもございますのでお願いします。
  • 大久保委員 私も、今、浅野先生がおっしゃったことと近い考え方です。施設区分については今回調査で上がってきたもので、結局特定施設になっていないものがたくさんあるということですので、特定施設になっているところだけをとらえて規制するということになりますと、やはり公平性の観点からいかがなものかという問題があると思います。
    また公衆浴場の中身ですけれども、先ほどの御説明では「日帰り温泉みたいなものを皆さんはお考えなのでしょうが、そうでもありません」というお話でしたので、その中身を精査する必要があるかと思います。一般的に日帰り温泉というと第三セクター的なパブリックが関与しているものもかなりあって、足湯などはそういうものが割合多いかと思うのですが、そればかりでもないので、公衆浴場をつかまえるにしても中身がどんなものかがもしわかればいいかなと思います。先ほどパブリックが源泉を押さえているところがどれくらいあるのかという話が出たと思うのですけれども、例えば有馬などは私が知る限り市や第三セクターが関与しており、公衆浴場的なものも運営しています。そこも少し見ていただければと思います。
    それから、既存の技術との関係では、22ページに「例えば」ということで[1]~[4]が上がってきています。対象となるものがたくさんあるのであれば一個一個について対応を考えるのは難しいと思うのですが、今上がってきている数くらいのものであれば、一番高いところであれば[1]でいけるよとか、1つ1つの検討をしてみて、何らかの現実的対応があるのであれば、そこで暫定基準を下げられるという部分もあると思います。
    [3][4]については浅野先生がおっしゃったとおり現在開発中ということなのですが、現に具体的な開発が行われていて、いつごろまでにという見通しがあるのかないのか。ちょっと考えてみようかという程度のことであればまだまだ時間がかかることになると思いますので、個別に当てはめて一番高いところが[1][2]でかなり対応可能ということなのであれば、それを念頭に置いて、少なくとももっと暫定基準を下げることができるのではないか。
    やはり暫定基準という名前からしていつまでもということはあり得ない。今のままというのは、もう暫定基準を設定してからどれくらい経っているのだという話になりますので、少なくとも段階的な削減か撤廃かという方向を考える必要がある。そうするとどこまでにするかというのは既存温泉施設の対応策との関係で考えていくということかと思います。
    最後に浅野先生も御指摘になられた点、[5]につきましては、どうぞ掘ってみてください、でも掘って出てきたら御自分の責任ですよと言われると、確かにリスクを負うことになる。この辺は御専門の先生にお聞きしたいのですけれども、一定の地域内で掘った場合に、全然泉質の違うものが出てくる場合も勿論あるのでしょうけれども、今、問題となっているような地域、割と特定されている地域だと思うのですが、そこに限ってみた場合に、場所を少し変えてみたからといって、それほど泉質が変わるのかという辺りの予測をお聞きしたいと思います。変わらないという可能性が高いのであれば、もう規制をかけてしまうということはやってもいいのかなと。そのデータを前提にという気がします。
  • 須藤委員長 その問題については温泉に詳しい先生に、あの辺が高いからここも高いだろうということが言えるのかどうかということですね。
  • 甘露寺委員 実は幾つかあるのですが、まず、一番最初に掘削する時点で、要するに塩分が濃くてほう素があって、また砒素とか鉄とかいろいろなものを含んでいる温泉、そういうものはやはりいろいろな問題があるから気を付けてくださいよということを、とにかく一応温泉を掘削する時点でいろんな啓蒙することが1つ必要だと思います。これは鉱山の開発も同じですけれども、温泉開発は本来、自然がせっかくこれは危ないよといって埋めたものをわっと出してばらまいているわけですから、僕はこういう講演ばかりやっているのですけれども、そういうことが1つある。
    もう一つ、先ほどのいろいろな問題で1つ重要なのは、今回の検討でわかってきたことは、化学処理に対しては今のところかなりコストの問題がある。そうすると処理は処理でも、僕などは長い間やって温泉の処理はスケールだろうと何であろうと水で希釈するのが一番いいのです。はっきり言ってこれ以外にないのです。
    なぜかというと、昔自然に入っていた人は川の水とかそういうもので希釈されて四十何度になったものに入っていたわけです。ですから温泉の利用そのものはそういう形の、温泉そのものの現象は水増し現象ですから、そういう考えを僕らなどは持っています。
    だけれど、お医者さんがこれに対してかなり反対でございます。というのは、変わった塩分の濃いもの、鉄があるもの、ほう素があるもの、そういういろいろな温泉については非常に体に対して作用があるというわけです。
    特に最近重要になってきたのは、深部体温をいろいろな先生方が測定して、カルシウムとかマグネシウムとか塩分が濃いと非常に長持ちして温まるというようなこと。
    それから、ヨーロッパのドイツなどで実は単純温泉という塩分のないものが療養泉として認められなくなってきているという情報がございます。
    ですから、塩分の高いものをやはり1つの特徴点として利用した方がいいという意見の先生もいらっしゃいます。私は反対なのですけれども、無色透明、無味無臭というものが何をやっても一番使いやすいんです。それが1つ。
    もう一つ、先ほどの問題で地域の問題が入ってくるのですけれども、こういった変なものを含んでいるものは一般的には山の中の高いところで川の水の量、沢の水の量が少ないところなのです。だから厄介なのです。そうすると水をどういうふうに扱うかということもこれからの大きな問題。
    それから、先ほど出ましたけれども、ろ過という問題。循環ろ過をやれば絶対量が減ります。ですから循環ろ過の促進をこれから、これは循環ろ過の管理ですけれども、それをきちんと厚生労働省が言っているようなやり方でやっていくというようなことで、温泉ではなかなか難しい問題がありますけれども、その辺もいろいろ考えていかなければいけない。
    要するに端的に言うと、源泉から始まってタンクを通しておふろへ行って捨てるという全過程でそういうものを、いろいろな先生方が今おっしゃいましたけれども、例えば排水先も一応見ていかなければいけない問題があるかもしれません。
    確かにおっしゃるように、僕らがいろいろ排水のことでやると、そんなもの害がないではないか、捨てて薄くなってしまうものを何でやるんだなんていう質問をよく受けるんです。全然関係ないではないかというような話がよく出てくる。そういう問題。
    もう一つは、1つは啓蒙というのか、これがかなり重要。排水は、人間は捨てるところになかなか神経が行ってやろうとしないのです。そこのところが僕らから見ると温泉の弱いところかなと思います。
    勿論量があって、量がある場合は酸性泉で玉川みたいに1分間に9tも出ているものもありますけれども、とにかく少ないところは一般的にいえば1分間に100?というのが日本の平均した1つの源泉の量と考えていいわけなんです。ですから、そういうようなことも併せていろいろ考えていくというふうに僕は考えています。
    基準値については、僕自身はある程度下げることについては賛成でございます。これは変えないでおいておくというのはもう無理なのではないかなという感じを確かに私は持っています。
    以上でございます。
  • 須藤委員長 どうもありがとうございました。
    それでは、辰巳先生、特に処理技術というか、除去技術の将来の見通し等も含めて、お差し支えなければお話ししていただけますでしょうか。
  • 辰巳委員 先ほど甘露寺先生の方から基準の案みたいなものが出ましたが、その案は恐らく今の技術、要するに何も方法がないという状況でもできるということではないかと思います。今後更にその先を考えていったときには、必ず技術開発が必要になるのではないかと思います。
    資料4のところにもありますように、現在開発中であるとか、公募して云々という話があります。例えば今後この暫定基準が変わるとして、どういう値になるかわかりませんけれども、通常、ほう素の処理技術を求めると、皆さんすごくきれいになるところまでやるんです。例えば吸着剤を使うとか。これはほとんどゼロにする処理法ですから、実際次にどのくらいの段階を考えるのか。例えば100ppmというオーダーを考えるのだったら、今ある値から100ppmまでにするのに処理費が半分になる、汚泥が半分になる、こういう技術を公募されたらいいと思うのです。それでないと公募の仕方によってせっかくある技術が拾い上げられないということがあるように思います。
    それから、現在でもいろいろなところでいろいろな先生がいろいろな研究をしています。ただ、実際の排水を知らずに、ただとれればいいということで研究している部分がたくさんあります。そういう目標がはっきりすると、例えば凝集で落とすにしても100ppmまで落とすんだ、という目標がハッキリするといいと思います。あるいは場合によっては本当に中小のいろいろなところの人がやっている技術も使える可能性があります。しかし、環境省が公募したときに、応募してこない部分がたくさんあるのではないかと思うのです。
    そういった技術をまず先にいろいろ拾い集めて、どういうものが実際にあって、これはネットでも何でも拾い集められますので、その中で本当に使えるものはないのかどうかという評価も一緒に進めていくような形にして、タイムスケジュールを考えて、いついつぐらいまでにはどこまで、最終的には排水基準までという、それを考えながら技術開発を求めていくような形をとられると一つ先に進むのではないかなと考えています。
    以上です。
  • 須藤委員長 ありがとうございます。
    例えば処理した水が100mg/lだとか50mg/lとか、そういう比較的高いオーダーくらいだったら、先生としても今でもあり得るかもしれない、あるいは実際に使っているかもしれない、そんな感じですか。そうしたら凝集沈殿でもいけるかもしれないというお考えですね。
  • 辰巳委員 はい。
  • 須藤委員長 ありがとうございました。
    それでは、次は布山先生、お立場上もありましょうから、暫定基準が下がるということについてはいろいろ御意見もあるかもしれませんけれども、どうぞおっしゃってください。
  • 布山委員 暫定基準が下がるということに関して全く反対するという立場ではありません。下げるということに関してはどのくらい下がるのかという点が1つの問題だと思うのです。
    先ほど濃度がちょっと薄いところも調査していただけるというお話だったものですから、それを実施していただいて、このくらい下げたときにはどのくらいの地域が引っ掛かる可能性があるのかということを次の段階でお示ししていただければ本当にありがたいと思います。
    公平性という問題で公衆浴場という問題も出ておると思うのですけれども、ここに関しては十分議論をしていただきたいと思います。ヒアリングの際に日本温泉協会の方から申し上げたことで、公衆浴場という1つのカテゴリーではありますけれども、その中でも日本の温泉地の文化みたいな形で地域の住民がずっと使ってきた共同浴場も勿論あります。そういうところと第3セクターあるいは民間が経営している大きな日帰り入浴施設と同一にされてしまうとちょっとつらい部分があるので、その辺も議論の対象にしていただきたいという希望をいたします。
    以上です。
  • 須藤委員長 どうもありがとうございました。
    どうぞ。
  • 浅野委員 今の点で公衆浴場の場合は、量である程度線引きをもう一つ加えるというようなことをやった場合、おっしゃるような伝統的なコミュニティーが維持しているものはかなり救われるという可能性はあります。
  • 布山委員 それは結局希釈の問題でしょうか?
  • 浅野委員 全体としての水量。だからやはり大規模でやっているところが問題なのだと考える余地はあります。
  • 布山委員 はい。
  • 須藤委員長 普通の公衆浴場くらいの水量は幾らか私はわかりませんけれども、多分数十トンとかそんなものでしょうね。
  • 布山委員 共同浴場はそれほど大きくはないはずです。
  • 須藤委員長 だから水量は考慮する余地があるかもしれません。それを考えましょう。
    では、藤田先生、先生も処理技術にもお詳しいので、将来の見通しを含めましてどういうお考えかお示しいただきたい。
  • 藤田委員 処理技術に関しましては辰巳先生と意見が違うのは、技術的になかなか中途半端に、例えば100mg/lとか50mg/lくらいで止める技術が現実にあるのかというと必ずしもそうではない。結局一部処理で希釈するという対応しかないだろうなという気がします。それはそれで1つの方法論としてはあり得るとは思います。
    ただ、一つだけ厄介なのは、これはいろいろと環境省で実証をやっている中で見えてきたのですけれども、例えば凝集沈殿といいましても、我々でいくと凝集と沈殿という非常にシンプルな方法を考えていたんですが、実はそう簡単にはいかない。というのは、凝集した粒子が非常に小さいので、逆に提案してくる技術からいくと、凝集して膜でろ過しないといけないという方法が出てくるわけです。
    現実に例えば生産工程などで使う場合ですと、それは十分採用できるということで多分間違いはないと思うのですけれども、半導体工場とか、言わば高コストなものをつくっているようなところであれば十分採用可能である。
    それに対して同じ技術を例えば温泉に持ってくるということになると、やはりその技術は余りにも初期コストが高い、あるいはランニングコストが高いことからなかなか適用しにくい。そういう面では技術開発にはまだ少しかかりそうな気がすると思います。
    もう一点は、多分最初の方でも問題になったと思うのですけれども、自噴泉の扱いをどうするのかなということがあると思うんです。普通自噴といいましても、実際にはほとんどが掘削自噴でやられているわけで、多分そうやって掘削をするということもかなり人為的に、少なくとも何かを掘り出してやろうという意識を持っているわけですから、それは動力で揚水するのとどう変わるのかというのが大きな問題になると思います。ただ、掘削自噴の場合に湯量がコントロールできないところに大きな問題点があるのではないかと思います。
    というのは、先ほどの技術的な問題を考えましても、実は少量であればそんなにコスト的にも大きなものではないので、甘露寺先生が言われたように、極端に言えば、できるだけ循環利用するような形で量的には少し抑えていくということであれば、何らかの技術的な対応策は将来的には見えてくるかもしれないと思います。ただ、よく一番極端な例で言われる特定の温泉などですと、あれは本当にどうしようもないと結論をつけた方がいいくらい、何しろ量的にも多く、なおかつ入浴者当たりの使っている湯の量が断トツに大きいわけです。そうすると本当に技術的に対応できても、経済的な意味からほとんど不可能に近いなと思います。そういう源泉のところでの言わば線引きはあるのかもしれない。
    ただ、浅野先生が公衆浴場のところで発言されたように、量である程度コントロールできるというその論理が成り立つのであれば、もしかすると自噴泉などでは対象となるケースも十分出てくる。ただ、動力で揚水する場合は完全にコントロールできるわけですから、それは対応できると思います。
    そんなところです。
  • 須藤委員長 ありがとうございます。
    藤田先生は、技術として高いレベルの除去をするのには若干まだ時間がかかりそうだという、そんな感じですか。
  • 藤田委員 そうです。
  • 須藤委員長 眞柄先生も同じように処理技術もお詳しいので、その辺のことも含めておっしゃってください。
  • 眞柄委員 今朝のテレビで例のラジウムの話、あのニュースを聞いたときにはすぐ私は北投石を思い出したのです。ラジウム温泉、北投石、ラドン温泉、それから、WHOが今度ガイドラインを変えたウラン、これは全部地下水ですね。地下水ですけれども、実は多くは温泉水ですね。ですから今はふっ素とほう素のことをやっていますけれども、先ほど水銀と砒素はどうですかというお話がでましたが、いろいろな問題を抱えているのです。地下水を扱う、温泉水を扱う。ですから、余り簡単にはいかなくて、楽観的に考えるとふっ素とほう素は済んだけれども、次に出てきたときに今度どうするんですかという話になってしまうので、私の今の立場はかなり慎重に対応した方がいい、慎重という言い方は、もう少し長いスパンで温泉水を含めて地下水管理をどうするかというのは環境行政の中で考えていただくべきではないだろうか。
    思い出したのは、ふっ素の環境基準をつくるときに水濁法の排水基準と廃棄物の関係です。そのときに製鉄産業の方が大変苦労されたんです。それは溶鉱炉でスラグの流動性を増すために、今、フッ化カルシウム、蛍石を使っています。そうするとスラグの中のふっ素が高い濃度で存在する。それであのスラグからふっ素が溶出しないということを当時建設省が実験をして、道路の基盤材として使えば環境に影響しないことになったということがありました。
    ふっ素の今の0.8mg/lという基準は、WHOの基準より日本の基準は低いです。そういう意味ではふっ素の基準は厳しいのです。厳しいふっ素の環境基準をベースにして水濁法の基準なり、あるいはそういう廃棄物の関係の基準ができています。
    ほう素の方はこの間お話ししたように、これは緩やかな基準です。その環境基準をベースにした排水基準ができている。現に先ほどのデータを見せていただいても、ほう素はかなり濃度が高いんのですけれども、そんなに基準をこえるところはない。ところが、ふっ素の方は0.8mg/lを前提にしていますから、かなり多い。
    先ほど秋葉委員が言われたのですけれども、例えば特定な温泉などは基準を超えると考えられます。今は地下に返していますけれども、東北の地熱発電の熱水は基準を超えるでしょうが、今は地下に戻しています。これから分散型のエネルギーを使うというので、日本では地熱発電をどんどん使われるようになると思うのですが、熱水を地表に、陸水に戻すのか、やはり今やっているようにもう一遍地下に返すのか、そういうことも含めて考えると、かなり慎重にいかなければならないのではないだろうか。
    同時に、規制の公平性を考えると、いわゆる小規模事業所排水を規制の対象にしていかないと面源負荷は絶対減らないです。そうすると小規模事業所排水と温泉排水などは言ってみれば似たようなものですから、やはり環境基本計画なり何なりもう少し長いスパンで小規模事業所排水をどうするかということも踏まえてこの問題を考えていかければいけないだろう。
    幸いほう素もふっ素も水道水の方では一応処理できるような体制をとっていますので、そういう意味では若干余裕はあるだろうという意味で、もう少し時間をかけて丁寧に議論していただいた方がいいのではないだろうかと思います。
    先ほど御紹介がありましたけれども、ベトナムのハノイの水道は地下水なのです。砒素と鉄が高いのです。どういう処理をしているかというと、地下水をくみ上げて、塩をつくっているような、塩田のように水を篠竹のところにかけて、鉄を酸化させて、酸化した鉄に砒素を吸着してろ過しているんです。ですから日本のようにがんじがらめで力づくでやる処理ばかりでなくて、一緒に入っている成分とどうやって対峙していこうかと考えていけばいいだろうと思いますが、ほう素だけは対処できません。だからほう素の環境基準は緩やかな基準になっているということです。そういう意味でほう素よりもむしろ、ふっ素の方を重点的に考えるというのが必要だろうと私は思います。
  • 須藤委員長 ありがとうございます。
    森田先生、どうぞ。
  • 森田委員 ほう素にしてもふっ素にしても比較的自然の循環量が大きくて、したがって人為起源と自然循環のバランスを絶えず考えなければいけないようなそういう元素なんだろうと思うのです。全体の印象としますと、例えばほう素にしても植物にとっては必須元素なので、うまくそういう技術を開発するというのが選択肢に入るだろうと思うのですが、今、どちらかというと化学的な処理が中心になってしまっているのですけれども、それを含めてまず技術開発はずっと続けなければいけないだろう。これがまず第1です。
    第2は先ほど温泉の水の量、あるいは温泉から供給されるフラックスがどのくらい大きいかということが絶えずその地域その地域で重要になってくる感じがしますので、それを含めて例えば先ほど希釈すればいいではないかという議論がありました。それはフラックスが小さければそういうアプローチはあると思いますので、それも希釈という言葉を使うと若干抵抗が強いので、とりあえず温泉水とはいえ温かい水を流してはいけないので冷やして流しなさいとかいろいろ変化球を投げて、フラックスが小さいときにはそういうところで地域、地域で解決できるかなという感想もあります。
    そもそも暫定基準をいつまでもこんな形でずっと保つのかという議論が当然ありますので、やはりある程度めどを立てて、あるタイミングで少しずつでも規制をきちんと強化するようなアプローチをスケジュール的にやった方がいいような感じはいたします。それは私の感想であります。
  • 須藤委員長 ありがとうございます。
    私も一言だけつけ加えておきますと、そもそも暫定基準の問題については指摘をしてきたところなのですが、私の過去の記憶からしますと、暫定基準はすぐに対応できずに、処理技術等もないから、あるいは不十分だから、3年間余裕を持たせて、それから本来の値にしましょうということでやって、でもなかなか間に合わないからというのでこれまで3回を限度としようというのが眞柄先生、過去の例ですね。この申し合わせの過去の例でいきますと、過去3回までは少しずつやって、それで本来の一律基準値にしようとなっていたと思うんです。それがこれで5回目になったのですか。今度やったら5回目ですか。
    それはそれで何回やってもいいのですけれども、過去のそういう例も含めて、本来だったら1回でやるべきであるということなのですが、この排水の性質上あるいは業種の対応上なかなかうまくいかなかったのも事実ですが、これからやるときには将来例えば3年後少し高い目標を、先ほどの先生の例を借りればとりあえず250mg/lですよ、その次は100mg/lですよというのを少しにおわせておいて、そこまでは処理技術でも希釈でも何でもいいからやってくださいよということを努力していただけるような方向性を出しておくべきかなというのが1点です。
    2点は浅野先生もおっしゃったけれども、これは有害物質ですね。有害物質は、本来は水量に関係ないのです。だけれども、この物質は有害だ、有害だといっても、水銀だのカドミウムだのとはわけが違うから、1滴たりともというわけではなくて、普通の生活環境項目と同じように50トンと。あるいは50トンが多過ぎれば10トンとか、何か水量も少し入れた、これは水濁法の枠を超えてしまうのかもしれないけれども、そんなことをそろそろ考えてもいいのかなと思っております。
    そういうことで全体を通していろいろな意見が出ましたが、あとまだ追加がございましたらどうぞ。
    甘露寺先生、どうぞ。
  • 甘露寺委員 先ほどの御質問で多分出るだろうと思って資料を持ってきたのですが、1つの温泉地で、今、ものすごく深掘りしてすごく塩分の濃い、それこそ汚濁防止法ではとても耐えられないような成分の温泉を開発するという傾向が全くないわけではない。深掘りしていろいろなところを掘るとかなり塩分の濃いものが出てくるのです。50gというのがここにもあるのです。これは和歌山ですが、先生が言われたように1つの地域で5本掘ると、50gが一番濃いのですが、それ以外に1.5gとか1g以下とかその間とかという幾つかの井戸が深度別に出てくるんです。量もある程度とれる。先ほどおっしゃいました、うんと濃くて何かやらなければいけないようなものはなるべく避けるというようなことを考えるときに、こういった考え方もあるかもしれない。これがすべての温泉、すべての源泉に当てはまるわけではないけれども、1つの地域でこういう考え方は1つの源泉であり得るというその事例でございます。これはそちらに資料を後でお渡ししておきます。
    これは最近掘ったやつですけれども50gで、これはポピュラーでみんなに出しているパンフレットでございますので、そのままコピーできるのですが、お医者さんなどは非常に注目している。外国の先生などもこういう50gなどというのは非常に、日本は大体水循環が割に盛んだから、余り塩分の濃いものがないのです。ですけれども、そういうものがあります。
  • 須藤委員長 医学的にはそのくらいのものが効果的だというドクターもいるわけですね。
  • 甘露寺委員 効果とは、本当に病気を治すとかというのではなくて、症状の改善とか、入った後に湯冷めがしないとか、そういったいろいろな副次的なことでかなりいい面があるということです。
    温泉で間違えてはいけないのは、今、考えているのは、我々もいろいろお医者さんと相談してやっているんですが、余り病気を直接治すとか、それはそれでもいいのですけれども、はっきり言うと、ある面では症状の改善なのです。
    それから、それを利用している人はそういう利用回数が多ければ、割に老人の医療費の伸び悩みが抑えられるとか、そういったことなのです。余り抗生物質とか何とかと同じような効果を期待してはだめなのです。
    温泉というのはおふろに入るだけではないのです。そこに行って、そこでいろいろな運動をしたり、見学したり、買い物したり、そこの人と接触したりして、そういったいろいろな刺激がその人をいい方向に持っていくのであって、おふろに入ることだけを重視してしまうのはちょっと問題なのです。だけれど、こういうものがこれから出てこないとも限らない。僕らはこういうものが嫌いだったのだけれども、最近お医者さんでこういうものが好きな先生がおられまして、一生懸命になってやっておられる先生もおられるんです。ですから恐らく1か所でそういう質問があるのではないかなと思って、その事例として今日コピーしてきたのですけれども、それでございます。
  • 須藤委員長 どうもお調べいただきありがとうございました。
    眞柄先生、どうぞ。
  • 眞柄委員 同じようなことですが、最近温泉の分析法の表示の仕方が変わってきたこともあるのでしょうか、「飲用不可」と明記している温泉が大分多くなってきました。飲用不可というのは、要するにこれでいうとふっ素、ほう素、砒素、塩素イオン濃度が高い。それは分析表にも「飲用不可」と書いてありますから、最近「この温泉水は飲めません」と書いてある温泉地が多くなってきました。
    ですから逆に、そういうようなことをもっと環境省のほかの部局ですが、そちらの方から指導をしていただくと、少しは私たちも入るときに注意しながら関心を持たなければいけないねというようなことで、環境教育というか、温泉教育の1つとして工夫していただくのもいいのかなと思います。
  • 須藤委員長 そこは水環境保全にもつながりますね。
    ほかの先生方、どうもありがとうございました。
    どうぞ。
  • 辰巳委員 技術の件ですけれども、例えば1つ言えるのは、凝集沈殿でほう素でもふっ素でも排水基準以下まで落とそうとすると、非常にスラッジが増えてしまうのです。これは要するに僕らが、研究する人たちが目標にすると、必ず排水基準をクリアーできる処理法ということで考えてしまうので、1つで考えてしまうんです。やはりこういう高いところから低いところまで1つの技術でやるのは絶対不可能な話であって、これをもう少し効率よく、例えば凝集沈殿でももっと高い濃度でいいのだということであれば、かなりスラッジの量も減らせるし、コストの面でもいろいろ変ってきます。そういう技術を幾つか組み合わせるような方法で考えていくという面からも、目標をどこら辺までにするのかというようなところで一つひとつ検討していっていただければ、研究する方もその目標に沿った研究が、またアイデアも新しいアイデアが出てくるのではないかなという感じがしますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
  • 須藤委員長 ありがとうございます。
    星野補佐、水環境の方の立場での行政需要(環境総合推進費)は、効率的な実現性のある処理法の開発の問題を含めていましたね。この前おっしゃっていただいた中には、ほう素、ふっ素という例も、入っていましたね。
  • 星野課長補佐 ほう素、ふっ素とは書いていないのですが、処理しづらい物質の除去技術ということで環境省の研究費で募集をするということで、進んでおります。
  • 須藤委員長 ほかの先生、いいですか。
    それでは、方向性は大体、結論を今日言ってしまうわけにはいきませんが、とにかく今までの暫定基準はやはり改定しなくてはいけないけれども、その前にもう少し詳細調査をやっていただくとか、温泉旅館以外のいろいろな行楽施設やらそういうところも含めて、今、どういうふうになっているかとか、あるいは公共機関がどういうふうに管理をされているとかいないとか、それから、本当のおふろのようなところの水量が大体どのくらい出ているんだろうかとか、幾つか水量の問題も大切だと思いますので、その辺の調査をもう少しやっていただきたいということであったかなと思います。抜けているかもしれませんが、そんなところが大方の意見であったかなと思います。処理技術についてはもう少し検討してほしいということでございました。
    それでは、今後の予定として事務局の方からお話しください。あと1回か2回か検討会をやってくださるわけですが、調査がありますので。
    どうぞ、星野補佐。
  • 星野課長補佐 御議論をありがとうございました。
    この検討会については年度内にもう一度開催したいと思っています。1度か2度かはまた調整いたしますが、日程調整の方は大体めどがついた時点とか、あらかじめ早い段階くらいでとりたいと思いますので、また御協力の方をよろしくお願いいたします。
  • 須藤委員長 課長、何かごあいさつはよろしいですか。
    それでは、本日の議事はこれで大体終了したと思います。
    本日は誠にどうもありがとうございました。お疲れ様でした。

ページ先頭へ↑