水・土壌・地盤・海洋環境の保全

温泉排水規制に関する検討会(第4回)議事録

日時

平成23年3月4日(金) 10:00~12:00

場所

環境省第一会議室(22F)

議事

  • 吉田課長 それでは、定刻より少し時間が早いようですが、皆さんおそろいですので、ただいまから第4回「温泉排水規制に関する検討会」の開会をさせていただきます。
    本日、委員総数12名中11名の方に御参加をいただいております。お忙しい中、委員の皆様方、本当にありがとうございます。
    続きまして、お手元の配付資料について御確認をお願いいたします。お手元の議事次第に、配付資料ということで一覧を載せさせていただいております。資料の方は1~7まで、参考資料といたしまして1~4まで、お手元にお配りをさせていただいております。
    もし不足等ございましたら、随時事務局まで申し付けいただければと存じます。
    よろしいでしょうか。
    (「はい」と声あり)
  • 吉田課長 それでは、以下の進行につきまして、須藤座長によろしくお願いをいたしたいと存じます。
  • 須藤委員長 かしこまりました。
    委員の先生方、おはようございます。課長からお話がございましたように、ただいまから第4回の「温泉排水規制に関する検討会」を開かせていただきますが、一言ごあいさつ申し上げた後、議事進行に移りたいと思います。
    前回までに温泉排水のさまざまな問題について議論し、環境省側にも調査をお願いをしたわけでございまして、本日は引き続いて第4回目で検討いたすわけですが、本日で結論を出すわけではございませんで、本年度としては最終回ということですが、来年度に引き続いて、この検討は続けていくということでございます。
    当初先生方にお願いするときには、約1年間ということでお願いしたようでございますが、もうちょっとかかると思っておりますので、よろしく御配慮いただきたいと思います。
    それでは、本日もオブザーバーの皆さんにも大勢おいでいただきましたことを、まずはお礼を申し上げておきたいと思います。
    議事に入ります前に、前回の議事録(案)を資料3として、委員限りでお配りしております。各委員には一度御確認いただいたものでございますが、特に修正等はないようでございましたら、第3回議事録とさせていただきます。
    何か修正はございますか。見ていただいているのでよろしいかと思いますので、もしございましたら、後ほどまたお申し出いただきたいと思います。
    それでは、本題の議事に入りたいと思います。
    本検討会は、今年度は最後となるわけでございますが、これまでの3回の検討会でいただきました御意見について整理をし、今後の対応方針についてまとめていければと考えております。
    最初に前回の御意見や御指摘について、資料4として事務局でとりまとめていただいたものがございます。まず、それについて御説明ください。
    水原補佐、お願いいたします。
  • 水原課長補佐 資料4に基づきまして御説明させていただきます。
    前回の「第3回検討会における御意見・指摘事項」についてです。
    1つ目としまして「1.処理技術、排水濃度の低減について」ということで、大きく3点ほどに分けてまとめております。
    「■排水処理技術の市場性」ということで、一律排水基準を超えるような高濃度の温泉排水が少ないという調査結果から、市場性がないととらえられることが問題ではないか。
    ほう素については、非常に処理というのは難しいが、将来的に技術が出てくると思う。ただ、市場が大きくないので、処理水質とコストの目標をはっきりさせることによって、いろいろと方法が出てくるのではないかという御指摘をいただいておりました。
    2つ目に関連してくるんですが、参考の御意見として、コストはこれぐらいであれば可能性はあるのではないかという御指摘もいただいておりますし、現状でも下水道に流している温泉施設というのはあると思いますので、それぐらいの費用の負担というのは、ある意味考えられるのではないかという御意見をいただいております。
    「■排水処理以外の排水濃度低減について」ということですが、温泉の施設を建てるときに、排水の方から考えていって、施設の計画をするというところでやっていくようになってもらいたいという御意見。
    あるいは、処理技術の適用だけで一律排水基準を達成することは難しい気がするので、温泉の利用方法も含めて検討することも1つの方法だという御意見をいただいております。
    2つ目が「2.自然由来について」ということになりますが、人の活動が介入すれば、全く自然に流れているものとは違うということで、何らかの政策対象になるのではないか。ただ、自然に流れているものを自然にそのまま使っている場合と、機械を使ってくみ出している場合というのは、政策的に評価が違っていいはず。どういったものを自然由来として扱っていくのかというのは、今後の整理というのをしていく必要がある。
    また、自然由来は規制対象から除くという議論があってもいいのではないかという御意見をいただいておりました。
    3つ目が「3.検討対象について」ということで、公衆浴場をどうするのかということについて、旅館業については規制する一方で、公衆浴場とかそういったところについて規制をしないというのは公平性に欠けるという御指摘をいただいております。
    2ページ目「4.温泉排水実態について」ということで、既に実施した調査の結果について御指摘をいただいております。源泉、排水の濃度のデータについて、いつ測ったものとか、季節的な変動、時間的な変動というものがあるのかないのか。
    あと、加水の種類。何で希釈しているのかということが重要であるという御意見をいただいております。
    「■次年度追加調査について」ですが、時間帯による変動は統計的に数字をとるというよりも、2~3例を基に大体わかればいいのではないか。
    排水は実際に温泉を使っている時間帯と、使っていない時間帯でかなり違うという御指摘がありました。また、公衆浴場だけで使われている源泉はどれぐらいの割合か、わかるデータがあるといいという御指摘がありました。
    また、特に高濃度の部分について集中的に詳細に調べていくというのは、1つの方向ではないかという御意見もありました。
    高い濃度の温泉を対象にした場合に、湯船を洗うなどで大量のお湯が出てしまうという部分をどう考えるのか。そういったところも検討対象になるという御意見をいただいておりました。
    「5.その他」としまして「■検討の方向性について」ということで、温泉の特殊性といいますか、温泉が我が国で国民の間で非常に愛されておりまして、価値が認められている。その価値を1つの評価軸に入れるということは、十分あり得ることではないか。暫定基準をもう少し厳しいものにすることによって、多くの方々の理解を得るとすると、どの辺りがいいかなど、いろいろ選択肢があるのではないか。
    あるいは、濃度の高い源泉の使用を控えることや、下水処理や地域処理など、対策としてもいろいろな選択肢があるということで、そういったことを自治体が総合的に検討する仕組みというのもあっていいのではないかという御指摘もいただいております。
    「■その他」としまして、温泉発電、地熱開発というものを含めた総合的な対応が必要になるのかもしれない。
    上流域で川の水量が少ない場所で温泉が出ているというところで、そういった水がほとんど流れていないところに排水が捨てられているという問題も考えなければいけないという御指摘がありました。
    地下水の環境基準の超過状況についても、示してもらいたいという御指摘がありましたので、最後の部分ですが、別紙で情報を追加させていただいております。地下水質の測定結果というものをまとめさせていただいております。
    これは環境省の方で水濁法に基づき、都道府県知事が常時監視をしておりまして、それを環境大臣に報告することになっておりまして、平成元年度以来、都道府県知事が毎年作成しております水質測定計画に従って、国、地方公共団体によって、地下水質の測定が実施されております。
    別紙で付けさせていただいているものは、平成20年度に実施された地下水質の測定結果をとりまとめたものになっております。
    区分としては概況調査、汚染井戸周辺地区調査、定期モニタリング調査の3つが並んでおりますが、まず、概況調査というものは、地域の全体的な地下水質の状況を把握するために実施する調査ということで行っておるものです。
    2つ目の汚染井戸周辺地区調査というものについてですが、概況調査、または事業者からの報告などによりまして、新たに発見された汚染について、その汚染範囲を確認するために実施している調査ということになります。
    3つ目が定期モニタリング調査ということで、汚染が確認された後の継続的な監視、経年的なモニタリングとして、定期的に実施する調査。
    この3種類に分けて調査を実施していまして、それをまとめたものが別紙のとおりとなります。御参考としてごらんいただければと思います。
    資料4については以上であります。
  • 須藤委員長 水原補佐、どうも御説明ありがとうございました。
    前回の議事概要といいますか、御討論をお願いした件については以上のとおりでございます。何か御追加なり、問題はございますか。
    では、順番にいきましょう。浅野先生、平沢先生といきましょう。
  • 浅野委員 地下水質測定結果ですけれども、こういう理解でいいのですか。汚染井戸周辺地区調査で一定期間調べた後は、定期モニタリングに移る。ですから、同じ場所であっても、汚染井戸周辺調査の対象からは外れて、定期モニタリングの方に移っていくということで良いですか。
    定期モニタリングは超過本数が増えていて、汚染井戸周辺地区調査は数が減っていますね。その理由というのは、そういうことだと理解をすればいいんでしょうかという質問です。
  • 須藤委員長 それは事務局の方でどうぞ。それでいいんですね。
  • 富坂課長補佐 はい。もともと目的としまして、概況調査というのは、汚染状況がどのようなところにあるのかというのを調べるものでございますので、毎年地点を変えて測定しております。
    汚染井戸周辺地区調査は、判明したところについて重点的に調べて、その後定期モニタリング調査に移行していくという流れで調査を行っております。
  • 浅野委員 汚染井戸周辺地区調査で数字がよくなっているのは、対策がとられたからという意味ではないと。
  • 須藤委員長 そういうことです。浅野委員の御指摘のとおりです。
    平沢先生、どうぞ。
  • 平沢委員 資料4の処理コストの目標のところなのですが、細かい話で申し訳ありません。
    1行目の100円以下から700円程度というのは、排水量1m3当たりと書いた方がいいのではないかと思います。
  • 須藤委員長 御指摘ありがとうございます。それは当然そうでしょう。それでよろしいですね。1m3当たりということですね。
  • 水原課長補佐 はい。
  • 平沢委員 もう一点は3行目なんですが、200~300万の自動車というのは、200~300万円ですね。
  • 須藤委員長 200~300万円の自動車です。
  • 平沢委員 もう一点よろしいでしょうか。
  • 須藤委員長 どうぞ。
  • 平沢委員 別紙の地下水質測定の推移なのですが、概況調査で19年~20年にかけて、基準超過本数が減っているのですが、これは何か、理由がわかったら教えてください。
  • 須藤委員長 これは年度によって、測る場所が違うんです。そういうことが影響していると思います。ローテーションで5年に一遍ぐらい回していますので、同じ地点だと超過本数が減ったと言えるのですけれども。
  • 平沢委員 それは何か、規制が始まったからですか。
  • 浅野委員 いえ、違います。
  • 須藤委員長 ローテーションで回してしまっているから、低いところを測ってしまったということです。私もそう思います。
  • 平沢委員 では、余り上下を気にしない方がいいのでしょうか。
  • 浅野委員 ローテーションの期間を計算して、その累積度を見れば、大体全体の状況が把握できるということです。
  • 平沢委員 どうもありがとうございました。
  • 須藤委員長 ほかの先生はよろしいですか。
    甘露寺先生、どうぞ。お願いします。
  • 甘露寺委員 資料4の費用です。100円以下と書いてあるのですけれども、実は一昨日行ってきたところが50円に満たないんです。ですから、50円ぐらいからと書いた方がいいかもしれませんね。
  • 須藤委員長 新しく情報を得られたのですね。
  • 甘露寺委員 大きな温泉地なので、しかも公共体がやっていますので、費用はそんなにかからないという事例もあることを付け加えます。
    まだほかにもあるかもしれません。私も100円前後は覚えていたのですけれども、詳しくは覚えていなかった。50円以下のところもありますので、一応。
    100円以下だから書かなくてもいいですけれども、ただ、そういうことは、一昨日実際に行って、間違いなく聞いてきたので、ここでそれを申し上げます。どうするかは構わないです。
  • 須藤委員長 要するに、今日の議事録には、当然これは載せていただくわけだけれども、ここのところを修正した方がいいか。
  • 浅野委員 100円以下というのは無限に下で、ゼロも含むわけです。
  • 須藤委員長 50円程度からにしましょう。
  • 眞柄委員 ただ、処理単価ですから、場所によっては市町村の一般会計からの繰入れが入っていますので、処理費用が50円というところはありますけれども、単価は50円とは限りませんので、そこは注意しておいた方がいいです。
  • 須藤委員長 そうですね。
  • 甘露寺委員 その辺は非常に詳しくやりますと、要するに町の財政の中で、課がいろいろありまして、それが担当して、処理がこちらで、こちらはこうというのがいろいろ違いますので、そういう問題が入ります。普通は、例えば温泉事業協同組合なんかでやる場合は、一応施設の建設費とか、償却費とか何とかと全部入れて、温泉の量から人件費も含めて立米単価を出して、人件費を除いてそれをどうする、ということをやっていくわけですが、ご指摘のようにそういう問題が入ります。
    ですから、ここの値段というのは、はっきり言って、本来はそういう経済的な問題もきちんと入れて、どうなんだということを本当は出していかないといけないのですけれども、極めてこれは大ざっぱな話でございますので、その点御了承をいただきたいと思います。
  • 須藤委員長 どうもありがとうございます。
    この処理コストの問題は、今のような町全体でどう予算を立ててやるかとか、いろいろ含まれますので、今後、来年度に技術と併せて議論しますので、今は議事録をとっていただいていますので、そこまではこれを直さないでおいて、今の50円程度というところだけ修正をしておきましょうか。
    ほかの先生はよろしいですか。
  • 布山委員 ちょっとよろしいですか。
  • 須藤委員長 布山先生、どうぞ。
  • 布山委員 今の処理コストの目標についてのところの3行目です。大体、一般的には200~300万円という話になったんですが、これは年間の処理コストということですか。
  • 須藤委員長 これは設備ですね。処理施設でもいいのでしょうか。イニシャルコストとはそういうことです。
    それは説明を入れておいた方がいいですね。
  • 吉田課長 では、そこは表現ぶりを。
  • 須藤委員長 そうしないと。皆さんはそう思っていて聞いているんですが、これは初めて聞いたら、何のことを言っているか。
    布山先生、どうぞ。
  • 布山委員 季節的な変動とか時間的な変動という話が出てくるのですが、例えば、これは曜日によってかなり違ってくると思うのです。特に旅館さんの場合というのは土曜日とかが非常に集中して混んで使われる量が多くなる。
    平日は配給を受けているところとか、集中管理をしているところは、絞って使わないということもあり得るわけなので、その辺をちょっと検討して、調査する日時というか、曜日を検討していただきたいと思うのです。
  • 吉田課長 ちょっとよろしいですか。
  • 須藤委員長 吉田課長、どうぞ。
  • 吉田課長 これは次年度の調査に関わってくる話になりますが、今のお話で、曜日による変動というのは、ここで言っています、濃度が変動する恐れがあるという理解でよろしいのですか。
  • 布山委員 濃度というか、結局希釈されて排出されている場合、大量にどんどん出てくるときと、使わなければ出てこないわけですから、その辺だと思います。
  • 須藤委員長 曜日による変動。
  • 布山委員 大きい意味で、時間的な変動ということに入ると思うのですけれども、調査をする曜日によって全然値が違ってくる可能性もある。
  • 須藤委員長 吉田課長、どうぞ。
  • 吉田課長 それは休日の関係というふうに理解しておけばよろしいのでしょうか。
  • 須藤委員長 そうでしょうね。
    甘露寺先生、どうぞ。
  • 甘露寺委員 温泉の量というのは一般的に、大体コンスタントです。お客が来ると、温泉以外の水の使用量は増えてしまうという問題が起こるんです。
    最初私たちが現実にこういうことをやっていったときに比べると、聞いたところによると、今はシャワーリングで使う水が結構多いようです。1人でかなり、何十リットルと使う。
    ですから、そういうことを考えたときは、確かにお客がうんと来る。しかも、そのお客さんの種類によってもあるかもしれません。かなり希釈されるという状態も恐らくあると思います。そういうのは調べてみないとわからない。温泉をうまく選んでやらないとだめです。
  • 浅野委員 わかりました。ということは、どうも増える方で効いてくるかと思ったら、下がる方で効いてくるわけです。そうであったら別にそんなに言わなくてもいいと思います。最高濃度がどのぐらいかというのがわかればいいわけでしょう。
    最高値のところで規制がかかるわけですから、薄ければ構わないわけですね。
    要するに、一番客が少なくて、源泉がそのまま流れ出てくるときがわかっていれば、それでいいではないですか。
    利用状況によって濃度が高くなるのかと思ったのです。しかし、温泉に行ったら流れっ放しでしょうから、甘露寺委員の言われるように、お客が増えればみんなが水増しをしてくれる。それで薄くなる。こういうことでしょう。
  • 須藤委員長 来客数による変動とか、そういう言葉がいいでしょうか。
  • 浅野委員 日変動、時間変動とか。そういう表現なのですね。
  • 須藤委員長 曜日による時間変動とか、そういう言葉を入れておいてください。
    よろしいですか。
    (「はい」と声あり)
  • 須藤委員長 ありがとうございます。ほかの先生はよろしいですか。
    (「はい」と声あり)
  • 須藤委員長 それでは、ここでまた具体的な討論をいただきたい。来年度に持ち越されるような議題もあったと思いますが、次にいきたいと思います。
    環境省の方でもいろいろな源泉の濃度についての調査結果を、前回も説明をいただいたわけでございますが、その後自治体側から新たな回答があったものも加えて、更新したものの説明をお願いいただきたいと思います。
    資料5について、水原課長補佐、お願いいたします。
  • 水原課長補佐 資料5について説明させていただきます。
    前回も出させていただいたもので、更新をしたという形になります。ほぼすべての自治体からの御回答をいただいております。
    2ページ目からで「2.源泉のゆう出形態」です。
    自噴、自然湧出、掘削自噴の内訳についてのデータを、1番下の図に載せております。前回の傾向と変わるものではないのですが、源泉の全体としては動力揚湧のものが7割ぐらいあるんですが、残り3割が自噴。下の円グラフを見ていただくと、その残りの3割のうちの、自然湧出のものが3割程度。残りの掘削自噴のものが7割程度という形になっております。
    全般的に言えることなのですが、前回お示ししたものと、それほど傾向が変わっているものではありません。
    3ページ目「3.ほう素、ふっ素の濃度が高い源泉」について調べたものです。
    再度確認なのですが、温泉利用施設のうち、ほう素、ふっ素の濃度が一律排水基準(ほう素10mg/l、ふっ素8mg/l)を超過する可能性がある施設というのは、どの程度あるかというところで調査を行っております。
    全体的には、次のページの表4に示しておりますが、平成23年2月末時点で、全国の源泉総数が約2万8,000本、湧出量で毎分約277万Lのうち、今回調査でまとまった回答をいただいたものが、約2万7,600本です。湧出量についても毎分265万L分の源泉について回答が得られております。
    ほう素のみが一律排水基準を超えている源泉というのは1,552本。回答のあった都道府県の源泉に対する割合としては5.6%。前回お示しした数字では5.0%でしたが、余り変わっていないかと思います。
    ふっ素のみが8mg/l超である源泉については683本。これは回答があった都道府県の全源泉に対する割合というのが2.5%。前回お示ししたのは3.3%ですので、若干減っているという状況です。
    ほう素、ふっ素の両方が超過しているものというのは107本。回答があった都道府県の全源泉に対する割合というのは0.4%。前回お示ししたのは0.3%でしたので、ほぼ変わらないかと思います。
    こういう状況になっておりまして、更に図2を見ていただきますと、多くの源泉ではほう素、またはふっ素のどちらかが高くなっているという形になっております。
    図3がちょっと小さくなって恐縮ですが、湧出量で見れば、ほう素、ふっ素の濃度が高い源泉の湧出量というのは、全湧出量の13%を示しているという状況になっております。
    3ページ、[2]としまして「利用・未利用別」で分けておりますが、ほう素のみ濃度が高い源泉というのが、利用されているものが1,224本、未利用のものが328本ということになります。同じく、ふっ素の方は585本、未利用が98本という状況になっております。
    湧出形態というのを湧出形態別に見ますと、動力揚湧の本数というのが一番多いという状況になっております。勿論、湧出量の方で見ても、動力揚湧が最も多いという状況になっております。
    7ページ、これも前回お示ししたものと同じかと思いますが「(2)地域別のほう素、ふっ素の濃度が高い源泉の分布状況」というところで、これも全国的に多少、多い少ないはあるかと思いますが、全国でほう素、ふっ素が高い源泉というのが存在するという状況になっております。
    8ページ「4.源泉のほう素、ふっ素の濃度」というところで、ほう素、ふっ素の濃度が高い源泉について、分布を示すと以下のとおりとなっております。一律排水基準を超えた、例えばほう素であれば10~20mg/lの一律排水基準の2倍以内のところが一番、量としては最も多くなっておりまして、高濃度に移るにつれて徐々に減っているという傾向があるというのが、前回お示ししたものと変わりはないかと思っております。ふっ素についても同じ傾向があるということかと思っております。
    この図5を、利用、未利用で分けたものが図6になっております。これも傾向としては前回と変わらないという状況になっております。
    その他、11ページからはしばらく省略させていただきまして、16ページ「5.ほう素、ふっ素の濃度が高い源泉を利用している施設数」で、宿泊施設が56%、それ以外にも公衆浴場とかがありまして、その他、足湯とか温泉スタンドとか、そういったものが16%ほどあったという状況になっております。これも前回の数字とほとんど変わらなかったと思います。
    17ページ「6.源泉と排水の濃度の関係」ということになりまして、これまで源泉の情報について大分お示ししてきたのですが、それと以前調査している温泉の排水の実態調査。源泉と実際の排水でどの程度希釈されているか。そういったものを見るためにプロットしたものになりますが、これも前回の傾向と余り変わらなくて、ほう素については右の方に傾き、y=0.3109と書いてありますので、大体3倍強希釈されている。あくまで平均的な数字ではありますが、こういった傾向は見られるということになっております。
    ふっ素の方が下になりますが、これも傾きが0.3777ですので、3倍近い希釈があるという状況になっております。
    全体を通してですが、前回お示ししたこととは余り変わりはないのかと思っております。
    以上です。
  • 須藤委員長 どうも、水原課長補佐、御説明ありがとうございました。
    前回も中間とりまとめとして御報告いただいたのですが、全部の自治体から回答がないということで、改めて整理をし直していただいた結果が、今、御報告のとおりですが、傾向としてはほとんど同じであったということですので、内容的には余り変わらないんですが、ほとんどの自治体の結果が出ておりますので、どうぞ御質問、あるいは御意見があればおっしゃってください。お願いします。
  • 平沢委員 質問をよろしいですか。
    何回も聞いているのかもしれないですけれども、忘れてしまって、15ページの表のほう素、ふっ素のものなのですけれども、右側の高張性、等張性、低張性はどういう意味になるんでしょうか。
  • 甘露寺委員 一応、温泉で成分の濃いもの、薄いもの、中程度というのがありますので、それを基準に我々は等張性、高張性、低張性と言っています。
    人間の血液の浸透圧は8~12gぐらいで、人間の血液と同じ程度のものを等張性といって、それが8~10gぐらいのところです。それより高いところと低いところを分けています。温泉の浸透圧によって、温泉が皮膚から入ってくる、入ってこないといういろいろな問題もあるのですけれども、現実では余り皮膚から浸透するということについては、昔ほど神経を使わなくなってきています。 
    ただ、一般的にこう言われています。塩分の濃いものほど、出た後に皮膚にそれが残ります。そのために、濃いほど温まるわけです。そのため、塩分の濃いものは、間接的にいろいろな症状の緩和につながるという議論はあります。
    成分では、例えば硫黄とか硫化水素とか炭酸ガスとかというのは直接吸収されるけれども、普通の塩分が皮膚のこのバリアーを通して、中にどんどん入ってくるということは、まず普通は考えられません。硫化水素とか炭酸ガスとかラドンとかそういうものは入ってきますけれども、先ほど言った、皮膚に跡がくっついて温まるということが非常に重要だと言われています。
    ただ、最近、また厄介な問題が出てきまして、日本で温泉は薄くてもいいという考えなのです。名湯と言われている温泉が割に単純温泉といって、薄いものが多いです。ところが、最近ヨーロッパでは、日本で言う単純温泉というのは、療養効果があると言わなくなってきたという問題がありまして、塩分があった方がいいという議論も、先生によってはかなり強く出されます。
    そして、いろいろなカルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩なんかで、深部体温の変化ということのデータをいろいろ出しまして、いろいろと言っているのです。
    私なんかは余り濃いのは好きではないし、余り濃いのには入らないのですけれども、濃いのが好きだと言う人や、変なものが入っているのが好きだと言う人が結構いるんです。それで困っているのです。
  • 平沢委員 よくわかりました。どうもありがとうございました。
  • 須藤委員長 眞柄先生、どうぞ。
  • 眞柄委員 16ページで、その他に病院があるわけですが、温泉を使っていても、病院に関しては水濁法の規制を受けているという理解でよろしいですね。
  • 須藤委員長 それもよろしいですね。事務局の方の答えは、病院は特定施設になっているわけです。
  • 水原課長補佐 はい。それでいいかと思います。
  • 須藤委員長 ほかの先生はいかがでしょうか。いいでしょうか。
    それでは、一応この調査結果については、前回とそう内容的には変わらないということでございましたので、その辺を踏まえまして、またいろいろ低張性とか等張性とかという、我々が普段余り使わない言葉についても、甘露寺先生から御説明いただいたので、十分理解ができたかと思います。
    今回の説明も受けまして、これまで3回にわたっていろいろ検討したわけでございますが、この問題についてまとめて審議をしていきたいと思いますが、資料6として、事務局の案が準備されておりますので、説明をお願いしたいと思います。
    資料7も今後の方針でございますので、これは来年度に検討することになるかもしれませんが、御説明を併せてお願いいたします。
    水原課長補佐、どうぞ。
  • 水原課長補佐 資料6、資料7について御説明いたします。資料4と重複するところもありますが、まとめさせていただいております。
    まず、1つ目として「1.自然由来について」ということで、先ほどあったとおり、自然にわき出しているものと、わざわざ機械を使ってくみ出している場合というのは、評価が違っていいはずという御指摘。
    あるいは、どういったものを自然由来として取り上げるのか。自然由来のものはそのままでいいという哲学を出してしまうと、土壌汚染対策法にも関係してくる。
    また、温泉の排水は使う前から、掘ったときに自然に出てきているもので、自然由来で適用対象外ではないか、適用対象にするのに違和感があるという御指摘をいただいております。
    また、自然由来は規制対象から除くという議論もあるといいのではないかという御指摘があります。
    それに対する対応方針として、右の方に書いております。湧出形態別に規制のレベルを考慮することについての妥当性、規制レベルについて御議論をいただければと思っております。
    そのため、一律排水基準を超過する源泉について、まだ湧出形態が未収集なものもございますので、引き続き調査を進めていきたいと考えております。
    なお、湧出形態の区分については、温泉法の掘削許可、及び動力装置許可の有無によって「自然湧出」「掘削湧出」「動力揚湧」と区分することとしてはどうかと考えております。
    続きまして「2.検討対象について」の「2-1.水質」についてです。
    温泉については、ほう素、ふっ素以外にも、ヒ素や水銀についての規制が、温泉旅館に関してどうなっているかというところも整理していかなければならないという御指摘をいただいております。
    対応としましては、右に書いておりますが、まずは本検討会では、ほう素、ふっ素について御議論いただくことを考えておりますが、ほう素、ふっ素以外の温泉成分についても視野に入れていきたいと考えております。
    「2-2.施設」に関して、検討対象として、温泉水を使ったプールもある。地下水を使っているいろいろな施設の排水をどうするかというのも、今後の検討対象にしなければならない。あるいは、公衆浴場以外の施設も考える必要があるのではないか。
    公衆浴場をどうするかについては公平性の話でありまして、旅館業については規制する一方で、公衆浴場について規制しないというのは公平性に欠ける。公衆浴場だけで使われている源泉はどれぐらいの割合かわかるデータがあると、より実態が把握できるという御指摘がありました。
    それに対してですが、日帰り温泉等の扱いについては、今後、情報収集等により、施設の実態、例えば利用施設の種別、特定施設の有無というものがあるのですが、これらについて調査を進めまして、その結果を踏まえて御議論をいただければと思っております。
    2ページ目の「3.濃度低減方策について」ということで、温泉排水処理技術について、いろいろ御指摘をいただいております。
    処理費用が高いということが、3年ぐらい先に安くなるのか、解決するのかということがありまして、それが無理であれば、暫定排水基準を下げていくことができるのかどうかという問題が出てくる。
    温泉排水の処理では、ありとあらゆる溶存物が含まれていることや、濃度にばらつきがあることが技術的、経済的に難しい。
    ふっ素の処理というのは、技術的に何とかなるかもしれないが、ほう素の方は無理なのではないかという御意見もいただいております。特にほう素について、処理技術がもうちょっと革新的なものができて、価格も安くならないと実行できないという御指摘もいただいております。
    ほう素について、非常に処理が難しいが、将来的には技術が出てくると思う。ただ、市場が大きくないので、処理水質とコストの目標というのをはっきりさせるということで、方法が出てくるのではないか。
    また、同じくですが、市場性がないととらえられることが問題という御指摘をいただいております。
    処理方法については、高濃度のところに沿った処理法というのを考えた方がいいのではないかという御指摘をいただいております。
    排水処理施設が必要なところと、そこに排水処理施設を設置するスペースの余裕があるかどうかというところも、調査をする必要があるという御指摘をいただいております。
    これに対してですが、これまで環境省で実施しております温泉排水処理の実証試験の結果や、委員の御意見を踏まえまして、温泉排水に含まれる高濃度のほう素、ふっ素を一律排水基準まで低減させる現実的に利用可能な処理技術というのは、当面できないという前提で検討を進めてはどうかと考えております。
    ただ、今後の処理技術の進展にも期待することから、高濃度のほう素、ふっ素の処理技術について、開発を促進するために実証試験の場を提供する、そういった取組は継続していくべきではないかと考えております。実証試験を行うに当たっては、求める処理水質の目標というのを明確にして、実証試験技術の選定に当たっては、処理コストというところも高く評価した上でやっていくべきではないかと考えております。
    3ページ目が「3-2.温泉利用方法の見直し等による対応」ということです。
    まず、温泉に含まれる溶存物の影響によってコストがかかってしまう。処理技術の適用だけで一律排水基準を達成することは難しいので、温泉の利用方法も含めて検討することが必要ではないか。
    あるいは、温泉の施設を考えるときに、排水の方から考えていって、施設の計画をするという考え方も必要ではないかという御意見をいただいております。
    また、循環ろ過というものをもっとやっていただいて、掛け流しを少なくするということも、有害性のものがあるのであれば、考えていかなければいけないのではないかという御指摘もいただいております。
    こういった温泉の利用許可をする、あるいは、掘削許可をする際に、こういったほう素、ふっ素とかいった成分が含まれているんだということを、しっかり啓蒙することも必要だという御指摘をいただいております。
    続きまして、御指摘の「3-3.共同処理等による地域での対応」ということになります。
    一律基準を超える排出をしているところというのは、共同処理施設になじむような場所でオーバーしているのか、あるいは、1つの温泉宿しかないようなところでオーバーしているのかという実態について、把握する必要があるのではないか。
    温泉の供給というのは集中管理方式で、水道と同じような形で配っているケースもありますので、排水の方でも、そういった一括してやるということはできないのか。あるいは、上流域で河川に温泉を排水して、下流の方で処理施設を設置して、一括で処理をするということが許されるのかどうかというのも議論していただきたいという御意見をいただいております。
    また、こういった、濃度の高い源泉の使用を控えることや、下水処理施設や地域処理など、対策としていろいろ選択肢がありますので、そういったことを自治体が総合的に検討する仕組みも要るのではないか。
    温泉由来の有害物の処理というのは、自治体とか国とかが対応すべきではないのかという御指摘をいただいております。
    これに対してなんですが、右の方にまとめさせていただいております。排水処理以外の方策による濃度低減の可能性を検討するために、温泉の取水・利用・排水実態(源泉濃度、日温泉取水量、加水の有無、加水の種類、循環の有無、排水濃度、排水先、排水量等)といった詳細について、多くのところでそういった調査をするというのは、時間的にも大変かと思いますので、ほう素、ふっ素の濃度が極めて高いところ、極めて高濃度の源泉を有する施設について実施していってはどうかと考えております。
    その結果を踏まえて、どのような方策がとり得るのかというのを御議論いただければと思っております。
    ほう素、ふっ素が極めて高い源泉を利用する施設に対して調査を実施する際に、そういった源泉を利用する施設数についても、併せて調査をしてはどうかと考えております。
    4ページ目「4-1.調査対象」ということで、特に高濃度の部分について集中的に、詳細に調べていくというのが1つの方向ではないかという御指摘もいただいておりまして、先ほど申し上げましたとおり、詳細については、ほう素、ふっ素の濃度が極めて高い源泉を利用している施設について実施したいと考えております。
    「4-2.取水・排水の実態(温泉利用、希釈効果)」として、希釈により排水段階で案外低い値になることもあるのではないか。
    源泉、排水の濃度について、いつ測ったものなのか、季節的な変動、時間的な変動、先ほどもありました日変動、週の間での変動とか、そういったものもあるのではないか。
    加水の種類です。水道水で希釈しているのか、ほかの源泉で希釈しているのか、そういったものについても、何で希釈しているのかということも重要である。
    排水については、実際に温泉を使っている時間帯と、使っていない時間帯でかなり違うということで、それぞれの時間帯で濃度を押さえた方がいいのではないか。
    そういった時間的な変動は2~3例をとればいいのではないか。
    高い濃度の温泉を対象にした場合に、湯船を洗うなどで大量のお湯が出てしまうという部分をどう考えるかという御指摘についてです。
    それに対して右側にまとめていることですが、ほう素、ふっ素濃度が比較的高い源泉を利用する施設について、これまでの調査で把握できていない施設を中心に、可能な限り源泉と排水の水質調査を実施して、基礎データを収集したいと考えております。
    調査に当たりましては、排水の種別(入浴施設利用のみの排水、その他施設利用の排水と混ざった後の排水)といったもので、そういった種別も明らかにしていく必要があるかと考えております。
    御指摘のとおり、時間帯別の源泉・排水濃度の変動については、数施設を対象に調査できればいいのかと考えております。
    「4-3.自然湧出の量について」ということで、自然湧出の量はどれぐらいあるのか。また、自然湧出している温泉を一部利用している施設で、一部というのはどれぐらいの量なのかというところについて御質問をいただいておりましたので、これに対して、自然湧出の源泉本数、湧出量は、更に自治体へのアンケート調査をとりまとめて、お示ししていきたいと考えております。
    施設での利用状況については、ほう素、ふっ素濃度が高い源泉を利用する施設を対象とした詳細調査を実施していきたいと考えています。
    「5.その他」としまして、1つ目で、第3回でありました、温泉の価値が認められているということにかんがみまして、1つの評価軸に入れることができるのではないかという御意見をいただいておりまして、これについても、この御意見を踏まえて検討していきたいと考えております。
    2つ目になりますが、地熱発電、温泉発電といったものが進展しているということで、将来的に排水処理の問題が出てくるのではないかという御指摘をいただいております。本検討会では、温泉旅館からの温泉排水の扱いを中心に御議論いただきたいと考えております。ただ、地熱発電等での温泉利用に伴う排水については、今後、注視していくべきものではないかと考えております。
    3つ目になりますが、上流域で川の水量が少ない場所で温泉が出てくると、酸性泉などいろいろなものが含まれているというのが、比較的上流側にあるということで、そういった問題も考えなければいけないのではないかという御指摘があります。
    これについても重要な御指摘だと思いますが、有害物質の排水基準というのは、これまで環境基準の10倍値を基本としまして、全国一律の基準を設定しておりますので、場所ごとに違いを設けるということは、まだまだ今後の課題なのかと思っております。
    希釈のないところでは、温泉利用方法の見直しといったものが重要な方策になるのではないかと考えております。
    資料6については以上ですが、今後の調査ということで、資料7としまして「次年度調査計画(案)」として、今までの右側の「対応方針(案)」に書いたものをまとめたようなものを、資料7として付けさせていただいております。
    「(1)基礎情報の収集」というところになります。まず、対象として、ほう素、ふっ素が一律排水基準の3倍を超過する濃度の源泉を利用する施設で調査をしたいと思っております。
    先ほどの資料5でも御説明しましたが、あくまで平均的な数字ではありますが、おおよそ源泉から排水に至るまで、大体おおまかに3倍ぐらい希釈されているということを踏まえまして、一律排水基準の3倍を超過する濃度の源泉を利用する施設について、調査をするという趣旨でございます。
    内容としましては、原水・排水の水質(ほう素、ふっ素)について調べるということと、排水の種別。入浴施設利用のみの排水、その他厨房とか、そういったものも含めて、そういった排水との混合水について調べていく。
    利用施設の種別として、宿泊施設・公衆浴場がどのような種別になっているのか、あるいは、特定施設に該当しているのかどうか。そういったものについても調べていきたいと思っております。
    時間帯別の源泉・排水濃度の変動というのは、数施設について収集していきたいと考えております。
    「方法」で、既存排水データのない施設に対して、地方自治体と協力して実施できればと考えております。
    「(2)温泉利用方法等の見直しによる対応可能範囲検討のための情報の収集」で、どの程度まで可能なのかということを検討するために、情報収集したい項目が2つ目になります。これがほう素、ふっ素の濃度が極めて高い源泉を利用する施設について調べたいと考えております。
    中身としては、温泉の取水・利用・排水実態、具体的に言うと源泉の濃度とか、温泉の取水量、加水があるかどうか、どういったもので加水しているのか、循環しているのか、排出濃度、排水先、排水量等について調べたいと思っております。
    これも方法としましては、自治体と協力しまして、事業者に対してヒアリング等を行うことによって調査をしていきたいと考えております。
    「(3)源泉の湧出形態に応じた規制のあり方を検討のための情報の収集」としまして、ほう素、ふっ素の濃度が一律排水基準を超過する源泉を利用する施設に対して、利用源泉の掘削・動力装置の許可の有無ということを再度調べていきたいと思います。
    方法としては、地方自治体の方に協力をいただきまして、事業者へのヒアリング等による把握を依頼できればと考えております。
    資料6、資料7については以上です。
  • 須藤委員長 どうも、御説明ありがとうございました。
    資料6につきましては、左側がこれまでいろいろ御意見があったことについて。右側の方で今後の対応をどういうふうにやっていったらいいかということについての案を書いていただきました。
    資料7の方はそれを踏まえて、以上の3点ぐらいが今後調査するべきことで、次年度に向けて調査をしましょうということでございました。
    1個1個議論しようかとも思いましたが、それぞれ単独に議論してしまうと、相互に関係がありますので、どうでしょう。一通り1回伺いましょう。
    森田先生の方から、今の意見でよろしければよろしいし、自然由来なのにこんなのではおかしいということがあれば、またそれはそれで議論しますので、お願いいたします。
  • 森田委員 実は、自然由来のものと産業由来のものをどう考えるかという、もうちょっとフィロソフィーな議論が本当は要るだろうと思うのですが、多分、私の感想で、この種のものが問題になってくるのは、実は自然の循環量が比較的大きいような、つまり、人為的な循環というか、そういうものに比べて自然循環の大きい元素が結構ありまして、それがたちまちどう扱うのかという問題に関わってくる。通常の工場排水の議論だけで済まない部分が、議論として積み残しになっていたところがあるのだと思います。
    それが、ここの温泉排水のところは少し凝集しているところがあって、温泉に比較的分布しやすいような元素は、たちまち排水の問題としてぶつかってくるのですけれども、ここのところをもうちょっと、情報をしっかりしておいた方がいいような感じがします。
    例えば、どういうことかといいますと、排水というところに焦点が絞られているのですが、そもそも、自然循環量がどのくらいで、温泉というのは一部になるのですが、結構大きい場合があります。例えば、今日の調査で源泉の調査結果なんかを見ていますと、濃度みたいな議論が随分されているのですが、そもそも、ここから出てくるほう素のフラックスが全体としてどのぐらいあって、そこを理解した上でコントロールしなければいけないかという感じはします。
    例えば、フラックス量を仮定して、そのフラックスが投入される。例えば河川水の水量と比較しながら、取水源のところで予測される濃度とか、そういったものをシミュレーションである程度理解して、ここはどうしても抑えなければいけないし、そうでないような局面もあるかもしれませんが、そこのところについて、少しデータを整理していただきたいという感じがします。
    ほう素というのは御存知のように、植物にとっては必須元素です。したがって、肥料として使わなければいけないという側面もあります。
    これは多分、対策の技術の方にもあるのですが、そういった植物を使った新しい技術とか、少なくとも高濃度のほう素に対しては、まだ開発される余地があるような気がしますので、ほう素も非常に薄いほう素ではなくて、非常に濃い方です。それに適応した新しい技術開発も、少し刺激した方がいいかというのが、もう一つの意見です。
    いずれにしましても、もうちょっと自然循環量と環境負荷量、工場からの産業負荷もあると思います。その辺りを説明できるようにしておくことによって、初めて自然由来のものの位置づけがもうちょっとクリアーになるかという感想です。
  • 須藤委員長 これは前々から、ほかの分野でも揉めているわけですね。自然なのか人為なのかというものがある。
    この温泉排水のところだけで、詳細な議論をして結論を出すというわけにもいかないのですが、ここは非常に自然循環量の多い元素だと思いますので、今の先生の御指摘は可能な限りお勉強していただいて、何かまた新たな知見が出ればと思います。先生方からもその辺の知見をお願いしたいと思います。
    森川委員、どうぞお願いします。そちらではいろいろ、ここにあるようなことで御苦労されているのはよくわかっていますので、経験も踏まえて、対応できるかどうか、この辺をお聞かせください。
  • 森川委員 次年度の調査で「自治体と」ということがたくさん出てきますので、こういうのは積極的に努力して、できるだけ役に立つような調査をしていきたいと思います。
    先ほど自然由来のお話がちょっと出ていまして、非常に難しいお話だったのですけれども、実感から言うと、多分そこにいる人からすると、普通に当たり間なのに、急に何でそれが悪いものになってしまうのか。そうは言っていないのですけれども、土対法なんかでも、移動することによるリスク、掘削してどこかに持っていく。そうでなければ、指定されてもそこにあればいいんですというのが、そう簡単に浸透しないというか、土対法に基づく地域指定をするというだけで右往左往というのが現実かと思います。
    自然かどうかというのも、自噴湧出、掘削湧出、動力揚湧とあるのですけれども、これもどういう仕分けで温泉の方でやられているのかということもよく見ないといけない。
    例ですけれども、県の環境審議会の温泉部会というのがあるのですけれども、そこで温泉を掘るときに新しく審議されるのですが、もともと湧出していて、ダムの底になって、ある渇水のときに出てきて、そこに囲いをつくって、水位が増えてもとれるようにしたのですけれども、そこに汲み上げる動力を入れたら、動力設置の許可を取らせたりもしているんです。その辺の実態をよく踏まえつつ、こういう調査をしていただいたら、議論は深まるのかと思います。今のは単なる例です。
  • 須藤委員長 この3つについては、よろしいですか。来年度の調査の方については対応してくださることになるわけですね。ここは大丈夫ですね。
  • 森川委員 言われましたら、私の方で積極的にやらせていただきますが、お金だけはよろしくお願いします。
  • 須藤委員長 それは課長の方によく頼んでおきます。勿論、費用がかかることは承知しています。
    眞柄先生、どうぞ。
  • 眞柄委員 ほかの業務と重なって2~3回休んでしまいましたので、ちょっと議論がかみ合わないかもしれませんが御容赦ください。
    ふっ素に関しましては、要するに、かつて関西地方だけではなくて、全国的にふっ素が高いということで、斑状歯の障害が出ていました。これは日本の歯科の関係から言えば、斑状歯をどうするかというのは国策でございましたので、ふっ素が高いところ、実質的には山間部ですので、簡易水道を普及するということで、ふっ素対策は、国として成功した一つの事例だと思います。
    ほう素に関しましては、1984年にWHOがガイドラインをつくって、その段階から世界的にほう素の問題が環境対策の政策の課題になったわけでありまして、具体的にほう素による健康障害が、ふっ素のように出ているわけではございません。
    しかし、日本は温泉が多いということで、言わば化石海水を地上にくみ上げて、あるいは、地表に出ているわけですので、ほう素の影響を受けている地域はたくさんあります。
    日本の先ほどの環境基準、水道の水質基準は、WHOのガイドラインよりも高い数字を設定しております。それはなぜかというと、ふっ素は水道では除去できないということはわかっておりましたので、食品も含めて日本人のふっ素の暴露量調査をやりました。その暴露量調査をやって、耐容一日摂取量から、食品から摂取している量を除去して、残りの分を水道に割り当てるということをして、環境基準、水道の水質基準をつくったわけです。
    結論的に言うと、環境基準の値は水道が現在水源として利用している河川では、環境基準を超えることがないと認識をして、今の環境基準、水道の水質基準をつくっております。ただし、海水を淡水化しているところでは、その当時の海水淡水化の技術では、環境基準、水道の水質基準の問題ですが、淡水化の施設を建設した当初は水質基準を満足することができますが、しばらく使っていると、ほう素の除去率が低下をしてくるということが明らかになりましたので、今、水道の水質基準では、海水淡水化の施設に関して、ほう素の水質基準を適用しております。
    いわゆる陸水、表流水については、今もそうだと思いますが、多分環境省の調査でも、ほう素の環境基準を超えているところはないだろうと思います。
    そういう背景がありますので、次の調査の折には、この温泉水、あるいは、温泉排水が排出されている下流の環境基準点で、ほう素とふっ素が幾らであるかということも調査をしていただきたい。そして、その下流の水道用の利水、あるいは、生物生態系を考慮して、環境の生物に影響があるかないかということも調査をしていただいた方がよろしいのではないだろうかと思います。
    ほかの項目について、この調査では水銀とかヒ素とか、ほかのものも入っておりますが、現に温泉排水を処理しているところを何か所か承知をしておりますが、ヒ素に、ほう素、水銀にしろ、除去しても、除去された排出物、残渣としてそういう金属が残っておりますので、そういうものを最終的にどういうふうに処分をしているかということも調査をしておく必要があるだろう。
    もし、温泉、旅館等で、ほう素なりふっ素なりの処理施設をつくったときに、その残渣はどこへいくのか。これはハイレベルな問題かもしれませんけれども、規制をやる以上、そこまで見ておかなければいけないとは思いますので、そういうことも同時に調べていただきたいと思います。
    国交省の方で河川水の酸性対策として、実質的に温泉排水を国が処理をしている事例が幾つかあります。そういう事例も、やはり調査の対象としておくべきだろう。
    札幌の定山渓温泉の場合は公共下水道ですが、温泉地区の排水を下水処理場で処理をしております。ということで、地区単位、あるいは温泉地で、公共下水道なり特定環境下水道とかんで、温泉排水を処理しているところがございますので、そういうところで処理の水準がどの程度であるかということも、調査をしておいた方がいい。
    今、ほう素やヒ素の処理技術を単独でいろいろ議論しておりますけれども、そういう施設でどういう処理をしているかということも、やはり調べておく必要があるだろうと思います。
    これはどういうことかといいますと、札幌市の水道局は、先ほどもお話ししました上流の定山渓温泉の地区から排出される温泉排水と、河床から湧出している温泉水の影響が長期にわたる。これから永遠にわたるわけですが、その温泉水の影響を受けた河川水を取水して処理をするコストよりも、小さなダムをつくって、温泉水の影響を受けた水だけを分水をして、トンネルを掘って、札幌市の下流まで分水して下流で放流する。その建設費の方が、トンネルの土木構造物ですから、1立米1円ぐらいです。実際に処理すると10円近くかかるということで、長期的に見たら、その方法の方が経済的に有利だということで、今お話ししたような遮水分水路の整備事業を始めております。
    これは最初に申し上げましたように、定山渓温泉の水といっても、ほう素は海水と同じぐらいですから、海に温泉水を返せばまた海に返るわけで特に問題はない。現に海水の環境基準は、陸水の環境基準と濃度レベルが違いますので、そういう対策を札幌市はやっているわけですが、それはすべてのところで成立する方法ではないと思いますけれども、いろいろなメニューが温泉水、温泉排水については考えられるということを、1つの例として申し上げたいと思います。
    また、大島では、大島の火山の影響で地下水の水銀濃度が高いということがあります。水道用では電気透析の設備を持っておりまして、これを更新しておりますが、プールもヒ素の濃度が高いということで苦労しておりますが、幸い海が近いということで、海との調和を図っていくというふうに関わっておりますので、ケース・バイ・ケースのやり方があるだろうということですが、調査のときには、地域的にいろいろな工夫をされているところがございますので、そういうことも調査の中で調べていただくと、次年度以降の参考になるのではないかと思います。
    以上です。ちょっと長くなりまして、済みません。
  • 須藤委員長 貴重な御意見をたくさんいただきましたが、先行して、水道は特に問題なので、そこで成功しているというか、そういうものは具体的にヒアリングでもよろしいし、調査に行っていただくのもよろしいし、成功例、解決例ですから、できればそれは是非入れていただきたいと思います。
    平沢先生、どうぞ。
  • 平沢委員 資料6の対策方針(案)というものの中です。これでいいと思うし、実態も今、先生の言われたような調査をやっていただければいいと思います。
    それを踏まえた上で、削減しなければいけないという技術の中で、処理技術はなかなか苦しくて、やるのだったら高濃度のものを対象にするしかない。高濃度、小水量のものを対象にするのが経済的にはいいかと。当たり前の話で申し訳ないです。
    もう一つ、今日もお話が出ていたのですが、キーワードになるのは、旅館に入る人と源泉の使用量のバランスです。人が増えれば水を使用するので、要するに、泊まる人数は大体決まるので、それによって源泉の使用量を制御する。いっぱい来たときは多めに出して、少ないときは少し出す。そういう流量のコントロール。それから、時間的にもいつ入るかわかりますから、それによって絞ったり増やしたりという仕組みをすれば、結構希釈されて、人がいっぱい使うときは希釈水も増える。その辺のバランスで結構対応できる部分があるので、勿論、対応の中でそれは含まれていますけれども、もうちょっと制御というか、バルブでコントロールする、人数を入力すれば適当にコントロールされるとかというのは、いい手かと思いました。
  • 須藤委員長 除去技術ではなくて、希釈率で制御しようということですね。
  • 平沢委員 そうです。できるところはできるのではないかと思います。
    今後の調査計画なのですが、私も以前言って、もうやったのかもしれないんですけれども、海外の実態を知りたい。
  • 須藤委員長 ほう素でいいのでしょう。
  • 平沢委員 勿論、ほう素もふっ素もそうかもしれませんが、処理はどうなっているのかとか、現実どういうことをしているのかです。その辺がもしわかれば、調べられる範囲であればいいと思いました。
  • 須藤委員長 ありがとうございます。
    布山先生、どうぞ。
  • 布山委員 全般的には、この方向で考えていただければよろしいと思うのですが、細かい点ですが、まず資料6の「1.自然由来について」の対応方針(案)のところで、下から2行目のところに、源泉の湧出形態の区分なのですが「自噴湧出」「掘削湧出」「動力揚湧」とありますが、温泉部局の温泉利用状況調査の用語と異なっています。ここでいう掘削湧出というのは、「掘削自噴」を指すのですか。自噴湧出というのは「自然湧出」と言われるものを指すのですか。
  • 須藤委員長 それは水原補佐、どうぞ。
  • 水原課長補佐 基本的に掘削の許可なく利用できているものということは、自然に湧出しているものというところが1つ。更に掘削の許可はあるけれども、要はポンプアップしたりとか、そういった装置の許可の有無で、掘削した後にそのまま出ているもの、あるいは、掘削したけれども、更にポンプアップしているもの。そういったもので分けるというのが考え方かと思っております。
  • 布山委員 前もこれは議論というか話題になったことはあると思うのですけれども、都道府県、あるいは環境省さんの方の温泉の担当課の方の分け方でいくと、基本的にデータとしてあるのは自噴と動力という分け方ですね。
  • 須藤委員長 森川委員、そうですか。
  • 森川委員 部署が別なので。
  • 須藤委員長 これは部署が別ですね。環境ではないのですね。
  • 浅野委員 温泉法の取扱いから出てくる3区分なのだから、温泉法上はそうなるのです。
  • 須藤委員長 甘露寺先生、どうぞ。
  • 甘露寺委員 実は「自然湧出」というのは環境省の温泉利用状況調査の中に入っていないですね。自噴と動力という形で分けているのです。自噴の中で、全く手がつかないであいているのが自然湧出となっているのだけれども、実態はそうではなくて、掘削の許可をとっていないものを自然湧出と言っているんです。
    例えば、いろいろな温泉地に行くと、川のそばに出ていて、ある程度1mぐらい掘り下げて出しているというものもあるわけですけれども、そういうのは掘削自噴ではなくて自然湧出の中に入っているんですね。
    ですから、これは県によって、それぞれみんな対応が違います。私たちの理解は、掘削の許可をとらないで温泉に使っているのは自然湧出というか、いわゆる掘削の許可をとっていないんだから、それは自然湧出だろうと考えているだけで、その辺のところの問題というのも、はっきり言って、先ほど各先生方がおっしゃいましたけれども、温泉が出ている現象というのは、地下から温泉が出て自然に生まれているわけですけれども、実態は地表に出ているだけではなくて、地下を通って、普通は下流の方へ温泉が流れていくわけですね。
    最初の段階、江戸時代とか明治の初めぐらいのときは、人間がそういう状態で使っていたのだけれども、だんだんポンプとか掘削技術というのが出てきて、掘削して、上から取るような形になっていって、下へ流れていく分まで人間が侵略して取っているというのが現状なんです。
    これは川だけではないんです。海でも、海に流れていた。熱海なんていうのは、熱海と書くぐらいですから、海にうんと流れて熱くなっていた。今は海は熱くないです。全部人間が取ってしまうわけですから。そういう格好なんです。
    ですから、自然湧出というのも、うんと出ているのは、そういうふうに伏流水とかというものと混ざって、結構自然に出ているのもあるわけなんです。ですから、その辺のところはいろいろ難しい問題があって、余り言ってはいけないことなんだけれども、許可をとらないで川の中に出ている温泉を使っている、海の中に出ている温泉を使っているなんていうところは、うんとあるわけです。そいうのは、この中に入ってこないわけです。自然にわいているなら、それはそういう格好でいい。
    問題は、人間がある程度手を加えて、そういう形で使っているものをどこまで、今、言った自然湧出にするのか掘削にするのか、その辺のところが非常に難しい。
    私たちも最初、今から何十年か前から、環境省で自噴と掘削と分けて、自噴と動力と分けたときもいろいろ問題があったみたいなのだけれども、現状で各都道府県でも余り厳密にその辺をやらない。要するに掘削の許可をとる、とらないというのが基準なっているのです。そういうふうに、私たちはいろいろなところで実態として聞いております。
  • 須藤委員長 どうも、解説をいただきましてありがとうございました。
  • 浅野委員 要するに、何を問題にしておられるのですか。それを言えば済むことでしょう。
  • 布山委員 ですから、自噴か動力かということが問題になるのではないのでしょうか。
  • 浅野委員 そうではないんです。要するに、人為的にやったかどうかが問題で、それについて区別があるわけですから、温泉法上の許可というのは2つあるわけでしょう。まず、掘削したければ許可をとらなければいけない。だけれども、掘削して温泉はわきましたけれども、使うのはやめましょう。動力を使いません。そのままという場合もあるだろうし、どうしても使いたいなら動力でくみ上げる場合があるでしょう。だから、動力でくみ上げる方が、より人為的な行為が余計に入っているということになるわけでしょう。ですから、その区別があってもいいではないかということになるのです。
  • 布山委員 掘削をしても、自噴をしているという源泉は。
  • 浅野委員 ですから、それをどうするかはこの先の話なのです。今、最初から答えられるわけではないのだけれども、きちんと事実は事実として区別しておかなければ議論ができないと思います。ただ、実際には甘露寺さんが言われるように、かなり境界線が怪しげなものがあるけれども、それはもうしようがないです。
  • 須藤委員長 その辺のところを一つひとつやり出すときりがない。そこを分けてくださいということで考えましょうということですね。
  • 浅野委員 それはそのために分けているわけですから、何の問題もないわけでしょう。
  • 須藤委員長 よろしいですね。分けていくということですから、よろしいですね。
    (「はい」と声あり)
  • 須藤委員長 ありがとうございます。
    辰巳委員、どうぞ。
  • 辰巳委員 そでは、私も濃度の低減技術についてですけれども、高濃度のものをやるというのは絶対必要なことなんですけれども、そのときに実証試験も含めて考えられると思うんですけれども、高濃度のものをどこまでやるのかということを明確にされたらいいと思うのです。
    なぜかというと、高濃度の排水を、要するに排水基準をクリアーするまでなんていうことはとてもナンセンスな話です。高濃度のものを50mg/lぐらいまでにするとか、そこら辺を明確にして、高濃度の処理の対策を求めていくというのは必要だと思うんです。
    もう一つは、暫定基準を下げようとするだけなのか、あるいはこの一律排水基準を超えているところの温泉の数を少なくしようとするのかということが、どちらにするのか。両方するのか、その視点がひとつ必要なのかということが、ここに入っていませんけれども感じたことで、もし一律排水基準を超えているところを少なくしようとするのであれば、高濃度と同時に低濃度の方の、例えば一番多いのは、せいぜい2倍ぐらいのところで、そこを下げるということが考えられます。これは両方とも全く違う技術になるはずです。
    ですから、その2つを、これから開発を求めていくという姿勢が必要なのではないかと感じました。
  • 須藤委員長 ありがとうございました。
    要するに、対象の濃度に応じた対応技術というのを分けて考えてくださいということですね。わかりました。
    甘露寺先生にいろいろ感想をいただいているんですが、先ほどのところで何か。
  • 甘露寺委員 各先生方の御意見は全くそのとおりでございまして、私としてはこの対応で構わないと思います。
    これは個人的なというか、端的に言えば、今、言われたように、上の方は、例えば100 mg/lとか200 mg/lとか50 mg/lとかというのを考えないといけないという感じは持っています。
    下の方は、先ほど言われたように、ある程度易しい技術で、単価も安く済む方から取り掛かるということも非常に重要なので、そういう対応というのも非常に重要だと思います。
    現実には、1~2年でそんな技術がすぐ開発されるかというのは、私も全くわかりませんので、具体的には、先ほど言われた数や何かは、ある程度出ていますので、ある程度以上の源泉がこのくらいあるという推定ができていますので、そういうことを含めて、私なんかはある基準みたいなものを、ある時点でつくるというか、一応やった方がいいのではないかという感じは持っています。今の500 mg/lというのは、ちょっとまずいという感じは持っています。
    500 mg/lというのが出た理由ですが、高いものは大体、温泉のメタホウ酸として4~5gぐらいだろうということなのです。その半分ぐらいはどうにかなるということになって2g。実態を申し上げますと、それで、大体500mg/lぐらいが暫定基準ではないかという話になるんです。ですから、その500mg/lというのはそういう基準でございます。したがって、500 mg/lというのに余りこだわるのも実は問題があります。ある程度、現実問題として低い方へ持っていく。
    もう一つ、先ほどいろいろ先生方が言われたように、ある特殊な状態については、例えば排水基準の考え方を、業種によって排水基準値を変えるという考え方が最初に出てきて、同じ元素であっても、それがだんだん動いていったわけですね。
    そういうことを考えると、業種によって違うというのを温泉に当てはめると、現実に温泉の濃度が高いものについて排水基準を変えるという対応だってないわけではないと思うのです。
    これは最初にこの案があったとき、環境省へ私が行ってその話をしたことがあるんです。そうしたら、それは一律規制という判断からは、業種を変えてやるというのは無理だということはおっしゃっていました。
    だけれども、先ほどお話がありました、海水淡水化を行っている場合の基準はという話もございましたので、そのような考え方もないわけではないと思います。
    大体こういう形で、ある程度、もうちょっと細かく知りたいというところ、これも今の諸先生方のお話だと、かなりいろいろな分野であるんです。ですから、これは大変だという感じは持っているのですけれども、とにかく前進していかないといけない。前進していくということは、当然現状よりももっと厳しい方向へ持っていかなければいけない。それだけは間違いないと考えています。
  • 須藤委員長 ありがとうございます。
    先生、ついでであれですが、先ほど50円程度というのはすごく安く感じたのですけれども、最近勉強されたというのは、どんな方法なのですか。
  • 甘露寺委員 その50円を勉強したのではなくて、大量の温泉を町が使っている場合で、何とでもそういう場合はなるわけです。
    ところが、実際施設建設すれば、どのようなことをやっても、私たちが研究所で人件費を入れなくても、温泉の集中管理でやれば、立米単価は400円~800円ぐらいになってしまいます。それに人件費を上乗せしたら高くなってしまう。
    今の旅館の現状で、これはいろいろなところで聞いていると、自動車2~3台だという話は、よく旅館のだんながおっしゃるんです。それで私が自動車2~3台分、1,000万とか1,500万くらいやるのはけしからんと言われたって、それはある程度やらざるを得ないだろうという話なんです。
    だけれども、今までのデータからだと程遠いというか、ある程度、無理な場合は無理であるということはわかっていますので、そんなところでございます。
  • 須藤委員長 どうもありがとうございます。
    大久保先生、お願いします。
  • 大久保委員 やはりいろいろ調べなくてはいけないこととか、不確実性の問題はたくさんあるということなのですけれども、とりあえず高濃度の部分を何とかしなければならなくて、それに対して対策を打たなければならないということを前提にするのであれば、全部わかってからというよりも、とりあえず全体の時間的なスケジュールといいますか、段階的にどれからやっていくのか。
    これはやらないということではなくて、全体として将来的にはどう公平性を確保していくのかという問題なのだということを、はっきりさせておく必要があるのかというのが1点。
    自然由来かどうかというのがトップにきているのですけれども、とりあえず対策が必要だということになった場合に、自然由来かどうかで分けるということにどれほどの意味があるのかというのが、逆にあると思いまして、基本的には規制のレベルを変えること、考慮することの妥当性となっているんですけれども、規制のレベルだけではなくて対策です。規制は一律なのだけれども、その代わり、その場合の対策のところでどれくらい支援をできるのかという問題も入ってくると思います。
    そういう意味では、対策も含めて、ものによって何か段階分けできることがあるかということになるかと思います。
    ただ、先ほど甘露寺先生がおっしゃっていたことにも関係するのですけれども、結局のところ、お聞きしていると全く人の手が入っていないというのは、むしろ余りないということになって、しかも自噴と言われている場合でも、それによって何らかの利益を得ているということになりますと、そこら辺で一生懸命線引きをするということにどれくらいの意味があるのかということを含めまして、むしろこれは規制するかしないかという一律の議論ではなくて、対策の面でのメニュー出しをいろいろやっていくということの方が重要ではないか。
    それに当たりまして、みんな喜んで温泉に入りに行っているものを、流して何が悪いのかという意識というのはあると思いますので、そういう意味での啓蒙も含めまして、メニューをつくっておく必要があるのかという気がいたします。
  • 須藤委員長 どうもありがとうございます。
    秋葉先生、どうぞ。
  • 秋葉委員 先ほどから委員の方の御意見が出ていますけれども、平沢先生がおっしゃった希釈ということが、処理技術がまだ進んでいないということで重要になってくるのではないかという気がします。
    2~3倍希釈するということですけれども、ここの対応技術でいろいろな実態調査をするということで、いろいろわかると思いますけれども、1つ加水ということで考えますと、前にも出てきたかもしれませんけれども、42℃以上ということで高水温というのを分けていた。これは一般的なのですか。
    つまり、42℃ぐらいですと、まだそのまま使えますけれども、42℃以上というのは高温域で結構高いのです。ということは、もう少し細かな高温水を、もう少しこの辺を細かく見てまとめるということも1つあるのではないか。つまり、希釈という観点からです。そういうことを思いました。
    あと、排水の実態は詳しくやるということで、例えば2~3倍希釈されるということで、生活排水系で希釈されるのか。例えば、前回お話に出たと思いますけれども、生活排水はまた別に下水処理していて、温泉排水は温泉排水で別に放流させるという話も出てきましたので、その辺は何か詳しく調査していただければという感じがしました。
  • 須藤委員長 旅館なら旅館から見て、排水系統がどうなっているかということですね。
  • 秋葉委員 この辺をきちんと詳しくやっていただきたいと思います。
    私の方からは以上です。
  • 須藤委員長 わかりました。ありがとうございます。
    では、浅野先生、最後によろしくお願いいたします。
  • 浅野委員 要するに、何をやろうとしているかということをもう一回はっきりさせなければいけないと思います。余計な議論が余りにも多過ぎる気がします。
    中環審の平成12年に出した答申に何と書いてあるか。何で暫定基準かと言ったら、1つはコストが高いから大変でしょうと。ちょっと我慢してあげましょうと。
    もう一つは、技術を何とかしなければいけませんと言っているわけです。これは前に、もう既に審議会で言っていることですから、これはこうなりましたからこうなりますという議論しか実はないわけです。
    何となく暫定基準というのは気持ち悪いからなくしましょうというだけでは、説得力がないわけです。
    その意味では、まず、今度の調査ではっきりしてきたことは、実態がかなり明らかになってきて、暫定基準というのは余りにも緩いということは、現実の実態から見てもはっきりしてきた。
    更に特段の技術開発がなくても、現実には希釈ということでかなり効果が上がっているということもわかってきた。暫定基準を決めたときと大きな状況の変化があったということを、まず第一に押さえておかなければいけないと思います。そのことによって、従来の500mg/lという、どなたが見ても、これは幾ら何でもひどいという暫定基準をどこまで下げるかという話を、そんなにうるさい議論をしなくたってできるだろうと思います。
    その上で、全部一律基準に持っていけということを、いきなりこの領域だけで言うのはフェアではないですね。そんなことを言ったら、他の業種で暫定基準を認められているところはどうなんだということになります。
    願うことならば一律基準に持っていくことが望ましいかもしれませんけれども、もともとこんなものはケース・バイ・ケースで考えざるを得ないし、それぞれの状況これありということを認めて基準を決めている以上、一挙に一律基準に持っていきないさいと話をする必要はないような気がするんです。ですから、どこでどう折合いをつけるかという話だろうと思います。
    それから、甘露寺さんが言われるように、対策技術といってもそんなに高度なハイテクではない技術というのがあるのだったら、それでできるのではないですかという話でいいのではないでしょうか。
    そういう目で見ていけば、事務局の整理で大体いいんだろうと思いますし、それを基に答えが出せるのではないか。私は今までの議論でもかなり答えが出せそうな気がしていますので、これを補強するために調査をして、いろいろ言われたときにきちんと説明できるようにすればいいんだろうと思います。
    人為が入っている場合と、全くの自然湧出を区別するというのは、何も前提として議論しているわけではないので、あくまでも頭の中の体操として、仮説的にそういうことを考えてみたらどうかということをやっただけですから、やった上で意味があるかないかという議論を、また改めてやればいいわけです。
    つまり、自然由来については、そういうものは何の規制も加えるべきではないという意見が確かにあり得るわけで、そのことに対する答えを用意しておかなければいけませんから、幾つか段階的な取扱いもあるかもしれない。しかし、それは合理的であるかどうかということをもう一回改めて考えてみて、大久保さんが言うように、規制というのはそんな形で区別するのは適当ではないという意見もあり得るわけです。議論としてはいろいろな可能性がありますから、議論をすればいい。
    多分、ほとんどこれで実態的なデータは把握できたような気もしますので、更に幾つかケーススタディー的に細かく見ていっていただければ、掘削の場合、機械で上げる場合との違いというのを入れるべきかどうかというのは、答えが出てくると思います。
    ただ、制度的に言えば、機械でくみ上げているものについてはこうである、そうでないものは別であるということはあり得ると思います。今の温泉の実態というのは、昔の温泉と違って1,000mも掘るわけです。お金さえかければ日本中どこだって温泉を掘り出そうと思えばできるわけで、今、福岡市内に温泉が信じられないぐらい、山のようにあるわけです。昔は福岡に温泉があるなんてだれも思っていなかったけれども、幾らでも温泉が出てくる時代ですから、そういう意味で言えば、温泉と名が付くことによって客が集まる、利益があるから、少々お金をかけてでもボーリングをしましょうという業者さんがいるわけです。
    中には逆に、やってみて温泉が出てしまったけれども、入湯税がかかると宿泊料が上がるからいやだから温泉はやめましたという業者さんもいるわけです。
    いろいろあるわけですけれども、現実に機械というのは、今までの話とは違っていて、相当乱暴な機械、動力揚水というのがあるということを知っていますので、それは全く同じように考えていいかどうかという議論の余地はあるだろうと思います。
    いずれにせよ、事務局が今、考えておられる線で整理をしていって、今日出された追加的な調査をしたらどうかという項目についても、全部採用することは予算的に見ても無理だろうと思いますけれども、ある程度今までの調査の中で答えが出ているものもあれば、確かに言われたときに、一番答えに窮してまずいなと思うのは、こんな排水が流れていても、公共用水域の測定点でどうなっているのかと言われたときに、何の問題もないですかというときに、では、何で規制なのですかとか言われたときに答えの出しようがないわけですから、そこは気持ちが悪いからやってもらわなければいけないでは説明になりませんので、もうちょっと資料をそろえていく必要があるかもしれないということは事実でしょう。
  • 須藤委員長 どうもありがとうございました。
    一通り御意見を伺いまして、大ざっぱに言えば事務局の対応方針と、今後の調査については、予算の許す限り進めていただきたいということにさせていただきますが、この中で、今日議論がなかったのは対象施設のところ。これはこのとおりでいいと思うのですが、日帰り温泉等についての問題も入れていただいて、一緒に扱った方がいいはずですので、そういう方向でまとめていただければと思いますので、中身についてはこの方向でということで、原則的には次回以降まとめる方向で、データを各地方自治体にいただくなり、そちらが調査に出向くなり、そういうことは必要だろうと思いますけれども、そうしていただけますでしょうか。
  • 眞柄委員 ちょっと一言だけ。
  • 須藤委員長 眞柄委員、どうぞ。
  • 眞柄委員 今、浅野先生が言われたのは非常に重要な点だと思うのです。温泉排水ということにこだわるのが1つ。もう一つは、その温泉水を利用しているところが、公共下水道の整備区域内にあるのか、全く何もないのかというのが一番重要なポイントで、下水の処理区域にあったって、それはみんな下水処理場に入ってしまうわけです。
    強制的に対応するときに、今、環境省で排水基準を立てて、それがどういうところに行っているかということをきちんと明確にしておかないと、温泉排水は処理区域の中にあったら自分で処理しないで、下水処理場で除害施設の受入基準にあればいいわけですから、その辺のところはきちんと整理しておかないと、混乱してしまうと思います。
  • 須藤委員長 除害施設の基準は当然あるんですね。
  • 関審議官 ありますけれども、排水基準と一緒です。ですから、暫定を仮に下げますと、これまでの例で言えば、受入基準も下げることになります。
  • 眞柄委員 ただ、下水処理場は水濁法の処理施設で、処理場の排水基準は一律排水基準がかかっているのではないですか。
  • 関審議官 ふっ素についてはそうですけれど、個別の事業者さん、温泉旅館さんが下水道に放流するときに暫定基準がかかっています。
  • 眞柄委員 ですから、そのときに、下水処理場が暫定でかかっていても、今、下水処理場から出る水は一律排水基準を達成しているわけですから、それをどう見るかということを。
  • 須藤委員長 先生はそれを言っているわけですね。それこそ全体で希釈されますし。
  • 眞柄委員 環境基準を達成するために水濁法の規制があるわけですから、環境基準が達成するような状況にあるところに、なぜもう一回やらなければならないかという議論になってしまうから、きちんとしておいてくださいということです。
  • 須藤委員長 ですから、この問題は、下水処理場を通して出すところと、単独で出すところの意味が違いますね。そういうことでよろしいんですね。
  • 浅野委員 どちらにしろ、主に問題なのは公共用水域に直接出た場合を考えて、それの応用問題みたいなものです。
  • 須藤委員長 下水処理場を通して出れば、みんな排水基準以下だから全然問題ないということで、温泉排水の問題は全部下水道を通してくれれば問題ないという結論にもなるかもしれない。
  • 関審議官 それはなかなか難しくて、下水道の方の対応でありますけれども、ほかのいろいろな有害物質を受け入れるときに、どういうものを受け入れるかという議論になりますので、負担の公平性の問題があります。
  • 須藤委員長 それは当然。
  • 浅野委員 それも含めて考える。それはそれでいい。
  • 眞柄委員 データをとるときにという話です。
  • 須藤委員長 要するに、放流形態によって意味も違ってくるということを、とりあえず今日のディスカッションでは、先ほどの眞柄先生の提案はそういうことでありますということだけ、御記憶にとどめていただければよろしいかと思います。
    大体予定した時間で、全体を通して、これでよろしいでしょうか。方向性は今の原案に沿ってやっていただくということです。
    それでは、次回以降のことについて、その他として、何か事務局からございますか。
  • 吉田課長 いろいろと御議論ありがとうございます。
    今、座長の方からのお話で、基本的にこの方向で調査を進めていけばよいというお話をいただきました。
    今年度は今回が最後ということになりますけれども、次年度につきましても、この議論を当然続けてまいりますし、この委員会についても引き続きよろしくお願いしたいと思います。
    冒頭の部分で、座長の方から少しお話がございました。この委員会がスタートしたときに、おおむね1年程度で結論をお願いしたいというお話をさせていただいておりましたが、先ほど来の追加調査の部分で、もう少し時間がかかるかと思っております。
    追加調査で、全部がきちんと整理できなくても、ある程度見えてきた段階で状況をお話ししながら、御議論を続けていただければと思っております。
    ですので、次は少し間があくかと思いますけれども、是非よろしくお願いをいたしたいと思っております。
  • 須藤委員長 ただいまの御説明でよろしいですか。
    (「はい」と声あり)
  • 浅野委員 予算がどうなるかわからない。来年4月から仕事ができるかどうかわからない。何とも言いようがない。しようがないですね。
  • 須藤委員長 それでは、ほかにございませんので、本日の議事のすべてを終了させていただきます。どうもお疲れ様でございました。ありがとうございました。

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