水・土壌・地盤・海洋環境の保全

有害水バラストの排出規制

船舶バラスト水規制管理条約の概要について

 船舶バラスト水規制管理条約(正式名称:International Convention for the Control and Management of
Ship's Ballast Water and Sediments, 2004(2004年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約))は、船舶バラスト水を適切に管理し、バラスト水を介した有害水生生物及び病原体の移動を防止、最小化、最終的には除去することにより、海洋環境保護、生物多様性の保持等を図ることを目的とし、2004年2月に採択され、2017年9月に発効しました。

「船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約」の採択について(平成16年2月16日報道発表)

【環境省の役割】

  • バラスト水処理装置について、水域環境の保全の見地から、有害でないか審査(国土交通大臣からの照会に対する環境大臣意見)
  • 排出禁止(処理装置設置)の適用除外の相談を他国から受けた際に、国交省及び自然局と連携して可否の検討

国内法

有害水バラスト処理設備承認の流れ(薬剤等を使用する場合)

 バラスト水管理条約では、海洋生態系保全のため、国際航海をする船舶に積み込まれるバラスト水により有害水生生物が越境移動しないよう、バラスト水中の水生生物をこの条約において規定される基準に従い排水することを求めています。

 有害水バラスト処理設備は、IMO(国際海事機関)により作成された「バラスト水処理装置の承認に関するガイドライン(G8) 」を踏まえて主管庁 が承認することとなっています。このうち、活性物質等の薬剤等を使用する場合については、有害水バラスト処理設備の排水による人健康及び水生生物への影響に関する妥当性を確認するためにIMOにより作成された「活性物質を使用するバラスト水管理システム承認の手順(G9)」に従う環境リスク評価を行い、IMOのMEPC(海洋環境保全委員会)による承認を受ける必要があります。

 国内においては、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律、第十七条の二第1項において、「船舶には有害水バラスト処理設備を設置しなければならないとされており、第十七条の七第1項において、国土交通省大臣が有害水バラスト処理設備の型式を指定する」ことが定められています。また、同第3項において、有害水バラスト処理設備のうち、薬剤等を使用するもの については、「当該有害水バラスト処理設備が使用されることにより排出される物質が水域環境の保全の見地から有害であるかどうかについて、あらかじめ、環境大臣の意見を聴かなければならない。」とされています(第十七条の二第4項の規定を準用)。

【環境省の役割】

 活性物質等薬剤等を使用する有害水バラスト処理設備は、IMOのMEPC(海洋環境保全委員会)による「基本承認(Basic Approval)」(手順G9, 8.1)と「最終承認(Final Approval)」(手順G9, 8.2)の2段階の承認を受ける必要があり、環境大臣の意見聴取という形で、主に環境リスク評価に関する審査を実施しています(国土交通大臣からの照会に対する環境大臣意見)。

  • 「基本承認」の段階では、活性物質及び副生成物等(関連化学物質:Relevant Chemicals )による海洋環境や人の健康等に対する環境リスクに関して、既存の文献に基づくデータや実験室スケールの装置を用いた試験結果に基づく審査。

  • 「最終承認」の段階では、実際の有害水バラスト処理設備からの排水による環境リスクに関して、船舶に実際に搭載される(フルスケールの)装置からの排水を用いた毒性試験 の結果に基づく審査。

ガイドライン等

 バラスト水管理条約は、本文と附属書のほか、具体的事項はIMOで採択されるガイドラインに従って実施するものとしており、バラスト水管理条約に関連するガイドラインは、これまでに14種類(G1~G14)が採択されています。

 環境省では、「G9:活性物質を使用するバラスト水管理システム承認の手順」に従って、有害水バラスト処理設備承認(薬剤等を使用する場合)を実施しています。