水・土壌・地盤・海洋環境の保全

導入事例 新潟駅南口広場

新潟駅前全景

積雪時でもバリアフリーを
地中の熱で道路の雪を融かす

新潟市 都市政策部 新潟駅周辺整備事務所

【導入概要】

場  所:新潟県新潟市
利用用途:歩道の融雪
供用開始:平成21年9月

持続的に発展する都市をめざして

本市では、新潟駅付近連続立体交差事業を契機とする、新潟駅周辺整備事業を進めています。この新潟駅周辺整備事業は、鉄道を横断する幹線道路整備や駅前広場の再構築により、安全で円滑な交通機能の強化や駅利用者の利便性向上、周辺土地利用の高度化など大きな効果が期待されています。しかし、市の人口は減少局面に入っており、少子超高齢化が進行している中、日本海側の都市と都市とをつなぐ「日本海拠点都市」としての拠点性を高め、持続的に発展する都市づくりを進める必要に迫られています。このことから、都市間競争における優位性を獲得するため、都市イメージの発信や交通結節機能の強化などの付加価値を高め、拠点性向上を図ることが重要です。
新潟駅周辺整備事業のうち、駅前広場については、これまで平成11年度に市民有志からなる実行委員会と市との共催で、「わいわいガヤガヤ駅サイト」(市民意見交換会)を開催し、平成13年度に「新潟駅駅舎・駅前広場計画提案競技」の企画会議・審査委員会を設置しました。応募登録受付開始を経て、翌14年度に開催した新潟駅駅舎・駅前広場計画提案競技で最優秀賞を受賞した作品をもとに、市民ワークショップで市民の意見を取り入れながら、将来にわたり市民が誇れる駅前広場となるよう、計画を策定しました。

導入の決め手はランニングコスト0

整備以前、新潟駅南口に融雪システムはなく、冬期のバリアフリー対策が必要で、市民ワークショップにおいても、融雪システムの必要性について議論が交わされました。整備後のランニングコストが懸念であったため、自然エネルギーを利用し、ランニングコストが一切かからない点から、地中熱ヒートパイプ融雪システムの導入を決めました。

融雪範囲の平面図

融雪範囲の平面図(色付部分が融雪範囲)
導入後の写真を比較すると、図面通り融雪されていることが分かる

平成21年9月に供用開始し、東側に路線バス乗降場、西側にタクシー乗り場と自家用車整理場を整備し、整備前と比べて鉄道との乗換え利便性が向上しました。中央部には約1,350㎡のにぎわい空間を設けており、さまざまなイベントの会場として活用されています。中央部の歩行者動線上に導入した地中熱ヒートパイプ融雪システムは、冬の降雪時でも快適な歩行者空間を確保しています。通常の積雪時(30cm程度)には十分な効果を発揮している上、整備後もメンテナンスは不要なため、ランニングコストはかかっていません。
課題は、大雪により積雪深が厚くなると、地中熱ヒートパイプの能力を上回り、雪が融けにくくなることです。令和3年1月の大雪では、雪がなかなか融けず、非常に歩きづらい状態が数日間続きました。現在、設計を進めている駅北側の新潟駅万代広場では、歩行者動線上に上屋の設置を計画し、補完する位置へ同様の融雪システムの導入を検討しており、適切なシステムを導入して広場利用者の利便性向上を進めていきます。

融雪状況

ヒートパイプの仕組み