水・土壌・地盤・海洋環境の保全

導入事例 みんなの森 ぎふメディアコスモス

みんなの森 ぎふメディアコスモス

長良川の恵みをエネルギーに
地下水の熱を活かした空間で、知と文化、絆を育む

岐阜市 市民協働推進部
ぎふメディアコスモス事業課

【導入概要】

場  所:岐阜県岐阜市
主な用途:館内の床輻射冷暖房の熱源
供用開始:平成27年7月

新たな自然環境と良好な景観の創出を

日本の中央に位置する岐阜市は、岐阜県の県庁所在地であり、玄関口であるJR岐阜駅周辺には高層ビルが並ぶ一方、1300年の歴史を持つ鵜飼が有名な清流長良川や、織田信長ゆかりの岐阜城、自然豊かな金華山があり、斎藤道三、明智光秀をはじめとする戦国武将ゆかりのまちでもあります。まちと自然がバランスよく共存する岐阜市に平成27年に完成した「みんなの森 ぎふメディアコスモス」は「知の拠点」の役割を担う市立中央図書館、「絆の拠点」となる市民活動交流センター、多文化交流プラザ及び「文化の拠点」となる展示ギャラリー等からなる複合文化施設です。場所は、街のなかでも市庁舎をはじめ、多くの公共公益施設が集まるシビックゾーンの一角に位置しています。もともと岐阜大学医学部等の跡地で、その利用に関して、平成16年から市民意見の募集をしながら検討を進めてきました。そして、「にぎわい」、「地域の文化・芸術によるまちの魅力」の創出、都市の「地域力」の創出、「新たな自然環境と良好な景観」の創出を開発コンセプトとして、計画が進みました。

地域資源で快適な環境をつくる

「自然エネルギーを最大限に活用し、消費エネルギー1/2の建築を実現する」という環境計画を掲げ、地域特性である長い日照時間や豊富な地下水をはじめとした、さまざまな自然エネルギーを活用した施設となっています。建物直下には長良川の伏流水が流れており、敷地内にある深さ30ⅿある2本の井戸から汲み上げて採熱しています。その熱は地域の豊富な資源であり、有効な未利用エネルギーでした。

熱交換器

導入した空調用熱源機器と採熱用の熱交換器群

熱交換器

敷地内にある深さ30ⅿある2本の井戸から汲み上げて床輻射冷暖房の熱源として使い、その後外の広場にあるせせらぎへ放流され、最終的には樹木の給水として地中に帰っていきます。太陽光は発電と採熱で十分に有効活用しています。
また、「グローブ」と呼ばれる、逆さまの漏斗の形状で床から浮かんだ大きなかさは、風の流れを生み、自然換気効果を増幅させるほか、上部から自然光を取り入れ、かつ直射光をやわらかく拡散して適度に明るい空間をつくります。湿度コントロールができるデシカント空調機など、特徴的な設備に加え、空間の温度や湿度だけでなく、快適性を評価するための指標であるSET*(標準新有効温度:Standard newEffective Temperature)の6要素、気温、湿度、気流(風速)、放射、着衣量と代謝量を個別で制御でき、さまざまな方向から快適かつ省エネルギーな環境づくりを目指しています。屋根には、岐阜の県産材である「東濃ひのき」を使っており、さまざまな地域資源を取り入れた施設となっています。

イベント風景

さまざまなイベントに市民が憩う

イベント風景

これらの自然エネルギーを最大限に活用し、従来の建物が消費する一次エネルギーと比較して、50%以上削減できる環境システムになっています。
令和3年5月には、南側に岐阜市の新しい市庁舎が開庁します。新市庁舎でも地中熱を空調システムに取り入れ、電気とガスを組み合わせたハイブリット熱源による空調システムとするほか、太陽光発電や屋上緑化といった気候や風土を活かした環境利用と、エネルギー管理システムとの併用により、さらなる省エネ化を図ります。

グローブが自然換気と自然採光の効果を高める

グローブが自然換気と自然採光の効果を高める