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磯に見られる生きものたち

1.観察の方法

満潮時干潮時の断面図
満潮時干潮時の断面図

満潮時に水面となる位置と干潮時に水面となる位置の間(潮間帯)が主に観察する位置となりますが、満潮時の水面位置よりも高い所(潮上帯)にも生物はいます。また、大潮の干潮時にも空気中に出ることがなく、1年を通して常に水中にあり、箱めがねを使ってか潜ってしか見ることのできない所を潮下帯といいます。

岩礁や大きな岩でできている磯の潮間帯には、これらの間にできた潮溜り(タイドプール)や、隙間にたまった砂地などのいろいろな場所があります。岩礁や岩でも、くぼみや狭い隙間、傾きが大きく垂直に近い面、水平な面など様々な地形や、石の下、岩の陰、日の当たる所などの位置の違いもあります。

潮上帯から潮下帯まで、高さ方向にすんでいる生物を調べて、すんでいる位置について見てみましょう。

なるべく傾斜が大きな所を選んで順に上から見ていくとわかりやすいでしょう。高さの区分としては、満潮のときでも海水につからないで、しぶきがかかる程度の場所(潮上帯)、満潮のときだけ海水につかる所、満潮と干潮の間に海水のつかる所、干潮でも海水につかったままの所で分けてみましょう。

いろいろな場所や位置にすんでいる生物を調べて、すんでいる方法について見てみましょう。

岩礁や石にくっついている生物(くっつき方の違い)、穴や隙間にいる生物(くっついているか、隠れているか)、岩礁に穴を開けている生物、岩礁の日陰にいる生物、日の当たる所にいる生物、石の下にいる生物、海藻の間にいる生物、砂の中にいる生物などを探してみましょう。

いろいろな位置、場所にすんでいるそれぞれの生物が何を食べているのか干出中の観察中だけではなかなか分かりませんが、少しでもそれを見ることができるように注意してみるようにしましょう。

2.タイドプール

潮溜り(タイドプール)
潮溜り(タイドプール)

岩礁の間には干潮になった時に海水がもれないくぼんだ所があります。これを潮溜り(タイドプール)といいます。この中には海水が引いていく時に取り残された稚魚やもともと付近にすんでいるヘビギンポやハゼ類のドロメ、イソスジエビなどの小型のエビ類など海水がなくては生きていけない生物から、干出している所にもいる生物まで多くの種類の生物がすんでいます。干出した所では活動しない生物でも、この中では活動しているところを見ることができます。小さなプールではそのまま上からそっと見ることができますが、大きなプールでは箱めがねを使うときれいに見えます。自然の水族館そのもので、小型のウミウシ類、甲殻類のワレカラ類などが活動しているのを見ることができるでしょう。

タイドプールもできている位置(潮の高さ)によって、中にいる生物が違います。また、夏には干出している間に太陽の熱により水温が大変高くなります。ですから、プールの深さにより水温の上がり方に違いがあります。それぞれのプールにいる生物を調べてみましょう。

3.瀬戸内海で見られる代表的な磯生物

瀬戸内海の磯で見られる代表的な生物について見てみましょう。

まず、潮の高さの違いによる生物から見てみましょう。

満潮になっても海水がこない潮上帯にはアラレタマキビがいます。殻の高さ(殻高)5~10mmの小さな巻貝で、夏でもカラカラに乾いた岩の表面に着いています。

満潮の時には海水がくる所には傘の形をした貝殻が1枚のコウダカアオガイが着いています。干出しているときにはじっとして動きません。この付近からはフジツボ類のイワフジツボが着いて、しばしば岩礁面全体を覆ってしまうことがあります。波当たりの強い所では大型のフジツボ類のクロフジツボも付着します。これらは幼生が泳いできて一度付着してしまうと、殻が固着して動くことはできません。

満潮と干潮の間の潮間帯の真中(平均的水面)付近には食用となるマガキが最もよく着きます。同じような所にゴカイの仲間で石灰質の殻を作って固着するヤッコカンザシが着きます。この石灰質の殻は細長く不規則に曲がり青色をしているのですぐに分かります。

この平均水面の位置から下には多くの生物が着くようになります。岩の陰には鮮やかな橙色をしたダイダイイソカイメンが付着しています。岩のくぼみには貝殻を8枚持ったヒザラガイがすんでいます。これらの生物はいずれも海中に混じっているプランクトンなどや、岩の表面に着いている藻類を食べていますが、肉食性の巻貝類であるアクキガイ科のイボニシが最もよく見られます。イボニシはイワフジツボなどを襲って食べます。

小さな石の下にはバフンウニが隠れています。カサガイ類のアオガイ、ヒザラガイ類のヤスリヒザラガイ、オウギガニ類のオウギガニなどもいます。

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