水・土壌・地盤・海洋環境の保全

有機フッ素化合物の評価等に関する検討会(第1回) 議事録

日時

令和元年12月27日(金) 13:00~14:00

議事録

令和元年12月27日(金) 13:00 開会

【事務局】

 それでは、定刻となりましたので、令和元年度第1回有機フッ素化合物の評価等に関する検討会を始めさせていただきます。

 本日はお忙しいところ、委員の皆さまの出席を賜りましてありがとうございます。まずは、検討会の開催に当たり、環境省水・大気環境局、筒井水環境課課長からごあいさつをお願いいたします。

【筒井水環境課長】

 ただ今ご紹介にあずかりました環境省水・大気環境局で水環境課長をしております筒井と申します。本日は年末も押し迫った中、ご多忙のところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。委員の先生がたにおかれましては、日ごろより水環境行政の推進につきまして格別のご指導をいただいておりますこと、あらためて深く御礼を申し上げます。

 現在、環境省では、有機フッ素化合物について、PFOSおよびPFOAを公共用水域の要調査項目として指定しているところでございます。これまで知見の集積に努めてまいりましたが、本年5月に開催されました残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約第9回締約国会議において、PFOAが製造および使用等を原則禁止にする物質として同条約の附属書Aに追加されるということが決定された他、国内では厚生労働省において水道水中のPFOSおよびPFOAに係る目標値に関する検討を開始するなど、国内外でPFOSおよびPFOAに対する関心が高まっているところでございます。

 環境省としましても、このような動きを踏まえまして、水環境を保全するという立場から適切な対応について検討するため、本日、有機フッ素化合物の評価等に関する検討会を開催することといたしました。本日は委員の先生がたに忌憚なきご意見をいただければ幸いです。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

【事務局】

 ありがとうございました。初回でございますので、ご参加いただいている検討委員の皆さまをご紹介いたします。お手元にお配りしている検討委員名簿をご覧ください。席順にご紹介をいたします。国立医薬品食品衛生研究所、広瀬委員です。北海道大学大学院、松井委員です。国立環境研究所、鈴木委員です。国立保健医療科学院、島﨑委員です。なお、帝京平成大学、西村委員は、本日所用のためご欠席となります。

 続きまして、環境省側のご紹介をいたします。水・大気環境局水環境課、筒井課長です。同じく伊藤課長補佐です。同じく新保課長補佐です。同じく小林係長です。環境省水・大気環境局地下水・地盤環境室、堀上室長です。同じく中堀主査です。

 本日の議事を始める前に、本検討会の座長の選任をいたします。事務局からは松井委員に座長をお願いすることをご提案させていただきます。特に異議がないようでしたら松井委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、松井委員に座長をお願いいたします。

 続きまして、配布資料の確認に移ります。配布資料は、お手元の議事次第に記載のとおり資料1、こちらは『ペルフルオロオクタンスルホン酸及びペルフルオロオクタン酸について』を資料1とさせていただきます。また、別紙1から別紙4を配布いたしております。過不足があるようでしたら、事務局までお申し付けください。

 なお、報道関係の方におかれましては、カメラ撮りは会議の冒頭のみとさせていただいておりますので、ご協力をお願いいたします。

 それでは、以降の進行は松井座長にお願いいたします。

【松井座長】

 改めまして、北海道大学の松井でございます。ただ今、座長にご指名いただきました。皆さまがたのご意見のまとめ役として、しっかり内容のある審議になるように努めていきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いします。

 それでは、最初の議事でございます有機フッ素化合物の評価等についての本年度の検討状況について、まず初めに事務局からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【事務局】

 お手元の資料、先ほど資料1とさせていただきました『ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)について』といった資料を基にご説明させていただきます。

 まず、本検討会の設置に当たっての背景・経緯等についてご説明させていただきます。本検討会の表題にございます有機フッ素化合物ですけれども、有機フッ素化合物は、撥水・撥油性、熱・化学的安定性等の物性を示すことから、非常に幅広い用途で使用されているというのは皆さまご存じのところだと思います。また、この有機フッ素化合物ですけれども、炭素鎖の長さが異なる複数の同族体が存在しておりまして、その物性は炭素鎖の長さで大きく異なるということが知られてございます。その有機フッ素化合物の中で炭素数が8のペルフルオロオクタンスルホン酸、以下『PFOS』とさせていただきますが、こちらPFOSは、その有害性、蓄積性等から残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、以下『POPs条約』とさせていただきます。POPs条約の第4回締約国会議におきまして附属書Bへの追加掲載が決定されています。また、このPOPs条約を受けまして国内におきましては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令、平成22年の改正におきまして第一種特定化学物質に指定されているところでございます。同様に、ペルフルオロオクタン酸、以下『PFOA』とさせていただきますが、PFOAに関しましては、本年4月から5月にかけて開催されましたPOPs条約第9回締約国会議におきまして附属書Aに追加されることが決定したというところでございます。

 また、国内の水道水質基準制度におきまして、PFOSおよびPFOAは共に要検討項目として位置付けられております。PFOSおよびPFOAの目標値は定められておりませんが、近年、PFOSおよびPFOAについての諸外国・機関においての飲料水目標値の設定に関する動き等がございまして知見が蓄積されつつあること、それから水道水からの検出状況等を踏まえまして浄水場における水質管理を適切に行うという観点から、厚生労働省の令和元年、本年第1回水質基準逐次改正検討会において、PFOSおよびPFOAが暫定目標値を設定することという方向性が示されたところでございます。環境省におかれましても、平成26年3月にPFOSおよびPFOAを要調査項目として位置付けまして、知見の集積を図ってきたところでございます。このような国内外の動向を踏まえまして、PFOSおよびPFOAの取り扱いについてあらためて整理を行うことということで本検討会ということになってございます。1ページめくりまして、この要調査項目に位置付けるための審議の経緯を、その後ろに記載してございます。

 続きまして、2番目ですけれども、この要調査項目への位置付けの理由ということで、平成26年当時の位置付けの理由について下に記載させてございます。まず、かっこ1番目としまして指針値等について。こちらPFOSおよびPFOAの耐容1日摂取量、以下『TDI』とさせていただきますが、こちらTDIについては諸外国においても評価値が確定していないという状況がございました。また、無毒性量の値に基づくTDIの設定というものが世界保健機構『WHO』では評価がなされていないという状況、それからイギリス、ヨーロッパ、アメリカ等々の諸外国の機関におきましても、TDIについて検討した結果、科学的知見が十分に得られていないということから、この段階で暫定的な値として設定されているのが現状でございます。また、国内の水道水の管理体系におきましても、要検討項目として位置付けて目標値が定められていないというのが現状でございました。

 それから、2番目といたしましては水環境中の検出状況等についてということで、化学物質審査規正法の第一種特定化学物質として指定されたことによりまして、PFOSについては不可欠用途を除く製造・輸入というのが原則禁止されております。また、化学物質排出移動量届出制度、以下『PRTR制度』と申しますけれども、こちらPRTR制度に基づく届け出事業者数というのが、平成22年度は1件のみ、23年度以降は届け出がございません。また、PFOSの公共用水域での検出状況というのは、近年減少傾向にあるという現状でございます。こちらが平成26年当時の位置付けの理由ということでまとめさせていただいております。

 続きまして、3番目でございますけれども、こちらPFOSおよびPFOAに係る最新の知見についてということで、こちらは先生がたのご議論の土台とさせていただけるように近年の情報についてまとめてございます。

 まず、かっこ1番目ですけれども、国際的な動向についてということでまとめております。こちら別紙1のほうに詳細な情報はまとめさせていただいておりますので、適宜そちらを参照しながらご確認いただければと思います。こちら繰り返しになりますけれども、POPs条約がこの国際的な動向のベースとなりますので、POPs条約についての記載をさせていただいております。繰り返しになりますが、POPs条約においては、第4回の会議におきましてPFOSが附属書Bへの追加掲載、それから直近での第9回の会議におきましてはPFOAおよびその関連物質が附属書Aに追加されることが決定してございます。

 また、PFOSに関してましてですけれども、欧米諸国を中心に条約に先行した形で2000年ごろから相次いで製造・使用等が禁止されるようになっております。アメリカ、ドイツ、イギリス等々におきましては、飲料水等の目標値等が設定されているという状況でございます。また、生物蓄積性を考慮してPFOSの水環境中に係る目標値等を設定した海外の事例といたしましては、一例ですけれどもオランダ等の事例がございます。こちらオランダのほうでは推奨値という形で提案がされております。また、WHOにおきましても、PFOSおよびPFOAにおいてTDIを設定しようという動きがございますけれども、毒性評価値については現在も議論が継続しているという状況でございます。こちらまでが国際的な動向でございます。

 続きまして、かっこ2番目、国内の動向についてということで、こちら別紙2のほうに情報をまとめさせていただきました。国内の動向につきましては、法規制等を中心にまとめさせていただいてございます。

 まず1番目に化学物質審査規制法、いわゆる化審法といわれるものですけれども、こちらについての現状でございます。PFOSに関しましては、POPs条約履行のための手段といたしまして、以下のような内容で平成21年の改正が行われております。こちらPFOSに関しましては、POPs条約の附属書Bということでございますので、原則禁止ではございますけれども、例外用途に関しましては許容されるといった状況での規制となっております。その下、アからウまででございますけれども、こちら化審法の規定でございますので、ご確認ください。また、国内の動きとしまして、PFOAのほうがPOPs条約に追加掲載が決定しておりますので、そちらを受けての国内の法整備が進むものと考えられております。

 続きまして、製造・輸入量についてのまとめでございます。PFOSに関しましては、今お話ししました化審法の第一種特定化学物質に指定されているということで、例外用途以外での製造・使用が原則禁止となっております。また、平成29年の改正におきましては、この例外用途の規定も廃止されているために、PFOS自体は事実上、全ての用途で製造禁止という形になっております。そのため、平成22年以降、PFOSの製造・輸入量というのは統計上、全てゼロという形で届け出が出ております。

 続きまして、PFOAでございますけれども、PFOAに関しましても、本年、令和元年に開催されましたPOPs条約第9回会議におきまして附属書Aへの追加が決定されたということから、今後、わが国におきましても、条約で定められている規制内容に基づき、国内での担保のために所要の措置等が講じられるという予定になってございます。化審法におけますPFOAの製造数量等の届け出情報によりますと、こちらも平成22年度から平成29年度の実績としまして8年間の製造・輸入量、届け出上は全てゼロトンということになってございます。

 続きまして、PFOS・PFOAの主な用途でございます。PFOSの主な用途は、そちらに記載のとおり、半導体工業、金属メッキ、フォトマスク、写真工業、泡消火剤等、非常に幅広く用いられている状況でございました。また、代替が困難な用途としまして、そこにあります半導体、フォトマスク等々におきましては代替困難な用途ということで製造・使用がございました。PFOSの類縁化合物が、微生物分解や、より大型の生物による代謝を受け、PFOSが生成する可能性があるという指摘も一部でございます。

 続きまして、PFOAですけれども、PFOAの主な用途は、そこの記載のとおりでございまして、繊維、医療、電子基板等々、こちらも幅広く用いられている状況がございます。ただし、平成29年度におきまして全ての事業者が製造を中止していることが確認されているという状況でございます。

 PFOS・PFOA、共にでございますけれども、世界的な動向といたしまして、アメリカ、米国EPAのこういった取り組みによりまして、段階的な廃止というのに合意がなされているという状況でございます。また、同様のプログラムは、米国だけではなくてカナダ等にも存在するという状況でございます。また、国際的に見ますと、こういった段階的な廃止に加わっていない、製造業者が参加していない国等もございますので、そちら製造能力を増大させたというような一部情報もございますので、こちらのほうでは完全な廃止というところにまでは至っていない状況でございます。

 また、PFOAの用途といたしまして、フルオロケミカルとテロマーの製品中の不純物ということもありまして、さまざまな用途としてフルオロポリマーが使用されている現状がございます。一部の含有が、こういった製品の中には確認されているというところでございます。

 続きまして、化学物質排出把握管理促進法、いわゆる化管法といわれているものの現状についてご説明させていただきます。PFOSですけれども、化管法施行令の改正によりまして第一種指定化学物質に指定されているところでございますが、こちら環境中の排出量および移動量が平成22年度分より届け出が出されることになって、実際の届け出は23年4月から開始されております。PRTR制度に基づく報告事業者数でございますけれども、平成25年から28年度までは排出で1件のみでございました。いずれもこちらは産業廃棄物処分業からの届け出がございました。平成29年度におきましては、排出で1件、全体で2件ということで届け出がなされております。

 続きまして、水道水質基準の現状でございます。PFOSおよびPFOAに関しまして、平成21年4月1日に毒性評価が定まらない物質や水道水中での存在量が明らかでない物質を対象とした、いわゆる要検討項目に新たに追加されてございます。こちら要検討項目として定められまして、必要な情報・知見の収集に努めていくべきものと位置付けられておりましたが、この段階で目標値等の設定は見送られてございます。その後に平成22年の改正検討会におきまして、PFOSおよびPFOAの毒性評価の検討というのが加えられておりますが、引き続きこの段階でも知見の集積に努めるべきものということで目標値の設定には至ってございません。その後の水道水の検出状況等につきまして、各国のPFOS・PFOAの現時点での目標値を下回るレベルではあるけれども、依然として検出されている状況が続いているという状況で、浄水場における水質管理を適切に行うという観点から、本年7月に行われました逐次改正検討会におきまして、PFOSおよびPFOAの暫定目標値を設定することという方向性が決まったところでございます。

 続きまして、かっこ3番といたしまして、有害性および暴露性の情報に関してまとめてございます。こちら別紙3のほうにまとめさせていただきました。PFOSに関しましてですけれども、これもご存じのとおりでございますが、自然環境中では分解されにくく高い蓄積性を有する等の特徴がございます。ヒトにおける生殖発生影響に関するデータ等はございませんが、動物での実験データ等に関しては報告があるという現状でございます。発がん性に関しましては、国際的な評価機関、主要な評価機関での評価はなされていないという現状でございまして、ヒトの疫学データからの発がん性があるというデータは現状、得られていないのが現状でございます。

 また、PFOSのTDIにつきまして、国内では設定はされていないものの、海外では慢性毒性のデータ等に基づいて、一部、海外の機関において設定されたものがございます。ただし、これらの値というのが暫定的なTDIとして提案されているものがほとんどであるため、さらなる知見の蓄積によって見直されるべきものというふうにされているのが現状でございます。

 PFOAに関しましても、次にまとめてあるとおりでございまして、自然環境中では非生物的または生物的分解を受けにくく、難分解性が特徴ということになってございます。体内動態等に関しましても、動物種によって大きく異なるというデータが得られておりますが、疫学調査で特に職業性の暴露は認められない一般集団の妊婦において、PFOAの暴露の増加が新生児体重に相関する可能性というのが強く示唆されているといった一部データもございます。

 イギリスの機関におきましての報告では、PFOSおよびPFOAの経口摂取の吸収率が高く、その後、非常にゆっくりと排出されるというデータがございます。ヒトにおける半減期、一般的にはPFOSで約9年、PFOAでは約4年とされているデータがございます。また、急性毒性につきましては、ヒトの高暴露データというものはございませんけれども、動物実験データ等に関しましては中程度の急性経口毒性が示されるというデータもございます。また、ヒトの疫学データから発がん性があるといったデータは現状のところ得られていないのが現状でございます。

 また、欧州の機関の報告におきましては、ヒトの半減期がPFOSで約5年、PFOAで約2年から4年といった報告がございます。ラットの実験データ等に関しましては、そこの記載のとおりでございます。また、こちらにおきましても、発がん性については、動物実験の結果をヒトに外挿することはできないということで、実験データはここまでとなってございます。

 続きまして、かっこ4番でございますけれども、こちらはPFOSおよびPFOAの存在状況についてということでデータを別紙4のほうにまとめさせていただいております。これまでの環境省で実施していました水環境中の調査結果を別紙4の表4の1から表4の6に示してございます。これらの調査結果におきまして、公共用水域中のPFOSおよびPFOAの検出濃度の平均値は各国の目標値を下回るレベルにあるものの依然として検出されている状況が続いていると。また、一部の地域では、公共用水域等において各国の目標値等を超える値の検出が確認されています。地下水中のPFOSおよびPFOAを測定した地点は限定的でありまして、経年変化に係る評価を行うことはできないが、公共用水域と比較して、特段、高い傾向にはないというのが現状でございます。

 最後に、今後の整理案についてということでまとめさせていただきました。PFOSおよびPFOAは、WHOではいまだTDIが設定されていないという現状、一方で各国・各機関においては目標値の設定に関する動きというものがございます。また、国内におきましては、先ほどご説明させていただきましたが、厚生労働省が水質管理を適切に行うという観点から暫定目標値を設定することとしております。これまで環境省で実施していました水環境中の調査においては、PFOSおよびPFOAの検出濃度の平均値が各国のPFOSおよびPFOAの目標値等を下回るレベルにあるものの、以前として検出されている状況が続いているのが現状でございます。また、一部の地域では、公共用水域等において各国の目標値等を超える値の検出が確認されています。このような状況を踏まえて、リスクの未然防止のため、PFOSおよびPFOAについて目標値等を設定すべきかどうか、こちらのご意見をご議論いただきたいと思っております。以上でございます。

【松井座長】

 ありがとうございました。それでは、ただ今の説明に対して、ご質問やご意見のある方はお願いしたいと思います。

【鈴木委員】

 どうもありがとうございます。まず、PFOSとPFOAについては、少なくともPOPs条約では関連物質およびその塩という区域で基本的に議論がされているところが、当然、ご承知のとおりありまして、関連物質は非常に多数に上っていると。環境中で今、検出されているものは、PFOS・PFOA自体の排出量については、PRTR制度で把握されているとおり、早い段階からかなり少なくなっているんですけれども、環境中の濃度はそれほど劇的には下がっていないような気がしておりまして、発生源が完全にトレースできるわけじゃないので、関連物質が原因かどうかということは完全に証明されているわけではないような気がいたしますが、何か全体としては、そのような動向を背景としては認識しておいたほうがいいかなという気が私はいたしました。

 一方で、当面この水質の目標値をどうするかという議論については、関連物質がものすごく多数でありますし、ほとんどのものはどれがどう関連するかということ自体が、多分、整理できていないようなものですので、当面の議論はPFOS・PFOAでとにかく行うということは全く妥当なことかと思いますけれども、かつ恐らくは水質ですので、ここに上げられているとおり、実際の水環境、あるいは水道等での監視データを基に議論されるのかなと想像しますので、それによって関連物質から生成するPFOS・PFOA等は多分、結果的にはカバーされることになるでしょうから、特段、議論の構造はおかしくないとは思いますけれども、ただ関連物質の動向自体については、多少、把握しておいたほうがいいかなと思いますので、一応、意見を申し上げます。

【島﨑委員】

 先ほどのご説明の中で、国際的な動向のところですけれども、聞き間違えでなければ、オランダで環境基準を作っているという話であったかと思うのですが、今回の配付資料のうち別紙1の中には特に入っていないでしょうか。

【事務局】

 別紙1のほうに、先ほど説明させていただきましたオランダの情報というのは、まだ間に合っていないところがございまして載せていません。申し訳ございません。

【松井座長】

 すみません、確認ですけれども、最後のまとめでご提案いただいた目標値を設定すべきかどうか。これは設定すべきだと思いますけれども、その前の理由にあります各国の目標値を超える値の検出が確認されているということなんですけど、各国の目標値というのは別紙1の丸1、丸2、丸3・・・、別紙1でしょうか。別紙1のナンバーが3番でしょうか。3番の英国、欧州、オーストラリアの中に書かれている数値のことを指しているということでよろしいですか。

【小林係長】

 こちらは私のほうから説明させていただきますが、そのとおりでございます。丸1、丸2、丸3の値を超える値が確認されているということで、記載を入れさせていただいております。

【鈴木委員】

 あと、この測定値、別紙3、4でしたか。まず一つ、一応、確認的質問は、PFOS・PFOAの関連物質については、学術論文というのも非常に多数、恐らく発見できるかと思うんですが、環境省の施策の決定において、必ずしもそういうものを参照する必要はないとも言えると思いますけれども、そういう調査を念のためでもされるのかどうかというようなことを一応、質問と、それからPFOS・PFOAについては、調べ始めようとしたときに思い付くことは、PFOS・PFOAは異性体があるといわれていまして、測定法上もある種の統一が必要な可能性がありまして、環境省の調査は一貫して行われているかと思いますが、その辺りの観点を今後どのように考えていくかということも、あるいは説明のために必要かなと思いまして、どうでしょうかというご質問です。

【中堀主査】

 環境省からご回答いたします。まず、1点目の学術論文につきましては、環境省の請負事業により今後、文献収集することとしておりますので、今後、さまざまな情報を集めてまいりたいと思っております。

 また、2点目にご指摘の異性体の件なんですけれども、ご指摘のとおり、PFOSおよびPFOAは直鎖体以外で構造異性体が存在することを認識しておりまして、分析等を含めて取り扱いについて現在ヒアリングを行っており、目標値の設定については今後ご議論いただくんですけれども、それも含めて対象にするのかどうかというのは検討していきたいと思っております。

【広瀬委員】

 検出について、別紙4とか、いろいろ経年的に変化が出ているんですけれども、例えば公共用水中の測定地点は年によってばらばらだったりするので、22年ぐらいに大体、製造とかはなくなっているはずだから、それから下がっていくんだとは思うんですけれども、それが同じ地点で測っているかどうかによって、下がったかどうかとかそういうことが分かったりするんでしょうかね。この地点自体がそもそも、後ろの水質中のほうは一定なので、きっとこれは同じ地点で測っているのかなという感じはちょっとするんですけど。その辺について何か情報があるんですかね、減っているかどうかというのは。

【小林係長】

 環境省側からお答えさせていただきます。こちらの地点についてなんですけれども、確かに年によって、多少、変動する地点もあるんですけれども、基本的には同じ地点で計測はしております。

【広瀬委員】

 そうすると、公共用については23~24年を境に下がっているようにも見えるという感じでありますけれども、水質のほうはほぼずっと横ばいという感じで、これを見る限り10年もたつのにまだ残っているというところが、そういう意味では目標値を設定して監視を続けるかという意味では、設定したほうがいいんではないかというふうに思いますけど。

【松井座長】

 このPFOS・PFOAの有害性のデータに関する資料を見ても、分解性は非常に低いということは確認されているという認識でよろしいんですよね。

 一方で、目標値を設定するということになりますと、毒性評価がきちっとできている必要があると思うんですけれども、それについては、もし毒性評価が確定していない状況であれば暫定値とした扱いとか、特に先ほどお話があった直鎖と側鎖とかを合わせて特性評価をすることができるのか、それとも別々の毒性が、毒性がそれぞれ異なっているかとか、そういった情報がきちっと集まっていないようであれば、暫定になることもあり得るのかなとか。そういったことを含めて、設定値というのは暫定もあり得るという立場で設定するという考えと理解しましたが、そういう理解でよろしいでしょうか。

【伊藤課長補佐】

 ありがとうございます。まさに今、座長からいただいたとおり、本日、ご審議いただきたいと思いましたのは、まずはPFOSとPFOAという形で、何らかの目標値、先生がおっしゃったような暫定というような考え方もあると思いますけど、何らかの値を設定すべきかどうかというところをご審議いただきまして、具体的には次回、検討会で、まさに言っていただいたような情報も可能な限り整理をして、どういった形でというのも含めてご審議いただければと思います。

【松井座長】

 ありがとうございます。他にございますでしょうか。

【鈴木委員】

 暫定値を設定されるかどうかということについて、毒性の評価は、毒性の先生もいらっしゃるのであれですが、私はそこは専門ではありませんが、勉強している限りでは、何となく定まっていないので難しいところではあるだろうと思ってはいるんですけれども。一方でこの物質、レビューにあるとおり、環境の残留性および体内の残留性は両方とも結構、蓄積があるようでありまして、コンスタントに排出量と関連しているのかどうかは分からない。持続的に検出されることが広く知られていると。多分、POPs条約が、この二つの物質を附属書に入れてきたという判断は、それらの状況を総合したのかと思いますので、環境管理が必要な物質であるという点は、毒性の点と残留性と両方、総合して判断するんでないかなと僕は思っております。私の感覚としては、これについては、その両方を合わせれば、何らかの目標値等を設定してしっかり監視をしていくということが必要な物質なんじゃないかなと思います。

【松井座長】

 ありがとうございました。他にございませんでしょうか。島﨑委員。

【島﨑委員】

 ご紹介いただいた情報を拝見すると、環境省として何らかの目標値を設定することで他の委員の先生がたも異論はないかと思います。水道の立場から少し申しますと、一部の環境基準項目については、まず水道の側で先行して水道水中の基準値等が定められて、その後、環境基準もおおよそ同じ値で設定されてきた経緯があります。本件も水道の側で先行して暫定的な目標値を設定する見込みですが、今年度中に果たして決まるかどうか少し流動的であると聞き及んでおりますけれども、その目標値を踏まえて、例えば地下水を直接、飲用するような形での健康リスクを想定し、水環境中の目標値を設定される方向になるのかと理解しております。

 もう一つは、目標値を設定した後、場合によっては環境管理の面から何らかの規制をかけることになるのかどうか。この検討会で取り扱う範囲を超えてしまうかもしれませんが、その場合、製造はほとんど中止されて流通していないPFOAに関して、不純物や分解産物が水環境中での濃度の上昇に寄与しているとするならば、管理や規制は非常に難しいのではとの印象を持っております。

【広瀬委員】

 これは、もし目標値とかが決まると、例えば測定地点がもっと増えたりとか、そういうことはするんですかね。それによって何か政策が変わるとか、そういうことについて。

【伊藤課長補佐】

 後ほど環境省のほうから簡単にご紹介、報告させていただこうと思っておるんですけれども、今、PFOS、それからPFOAの全国規模の一定程度の把握調査を環境省としてもかけるということで、今、自治体さんと調整を進めているところでございますので、そういった結果と、それからご審議いただく何らかの目標値というところに向かえば、その結果も含めて、踏まえて必要に応じて何かしら対策も含めて考えていきたいと思っております。

【松井座長】 

 他にございませんでしょうか。よろしいですか。それでは、皆さんの意見は目標値を設定すべきではないかということだったので、そういうことで、この会としては次に進めていただくということにしたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、その他のところでございますけれども、何か皆さまがたからご意見はございますか。なければ、先ほどお話にありました環境省よりPFOS・PFOAの全国存在状況調査の概要についてご報告いただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

【小林係長】

 それでは、先ほどもご説明させていただいておりますが、PFOSおよびPFOA全国存在状況把握調査について、非常に簡単で申し訳ございませんが、現在の状況、今後の予定についてご報告させていただければと思います。

 こちらの調査についてなんですけれども、先ほどの資料の中でもご説明させていただいたとおり、今、PFOSおよびPFOAが国内外で関心が高まっていることを受けまして、全国規模でPFOSおよびPFOAの検出の有無を一定程度、確認することを目的といたしまして、河川や地下水等において今年度、調査を実施することにいたしました。調査地点の選定に当たっては、今現在、各都道府県と調整しているところでございまして、調整の上、決定することとしております。

 今後ですけれども、各都道府県と調査地点の選定を行いまして、調査は来年1月から3月ころに実施いたしまして、調査結果につきましては、取りまとまり次第、お知らせさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。簡単ではございますが、以上で説明を終わらせていただきます。

【松井座長】

 ありがとうございます。それでは、ただ今の説明に何かご質問等ございましたら、お願いしたいと思います。

【鈴木委員】

 多分、言う必要ないことかとは思いますが、調査されることは大変、重要だと思いますので、されるに当たりましては、分析的な点、感度、あるいは地点選定等、注意深く進めていただくことが必要かなと。それから、先ほど島﨑先生がおっしゃいましたが、対策というのは、ちょっと私も分からないんですけれども、私は監視と思いますが、少なくとも化審法ではPOPs条約とほとんど同じ物質で、非常に広い範囲で指定をされましたので、PFOAも同様にいくのかなと勝手に想像はしておりますが、それが多分、対策として上流側の対策になっていくと。上流側の対策ですので、直ちに効果が上がるかどうかは分からないところがございますが、長い目で見れば当然、対策になっていくのかなと思っていますので、それを監視できるような監視の仕組みと評価できる仕組みというものが両輪でつくられることが望ましいのかなと思っております。一応、コメントのみです。

【松井座長】

 他にございませんか。

【伊藤課長補佐】

 鈴木先生のご指摘、ありがとうございます。私、先ほど申し上げた、まさに対策の中には、監視や管理も含めて必要に応じて検討してまいりたいと思っております。

【松井座長】

 他にございませんか。よろしいですか。それでは、本日の議事はこれで全てですので、この後は進行を事務局にお返ししたいと思います。よろしくお願いします。

【事務局】

 ありがとうございます。事務局から1点だけ報告させていただきます。本日ご欠席の西村先生でございますけれども、事務局のほうで事前にヒアリング等をさせていただきまして、いくつかご意見をいただいておりますので、そちらだけ報告させていただきます。

 西村先生のほうからですけれども、環境中では有害物質等の生体濃縮は起こり得るので、目標を定めて管理することは重要であると。それから、分析対象として、先ほどご議論がありましたけれども、直鎖体および側鎖体等がありますけれども、こちらの合算値だけじゃなくて、それぞれの値も非常に有用な情報である。分析上の問題等はクリアにしていく必要があるのではないかと。また、目標を定めるのはよろしいんだけれども、どういった方法でどういった値を決めていくかというのは非常に難しいので、こちらも議論が必要であると、そういった意見をおあずかりしております。以上、ご報告させていただきます。

【事務局】

 本日は熱心にご議論いただき、ありがとうございました。本日の議事録につきましては、まず事務局で案を作成いたします。その後、先生がたにご確認をお願いし、追って環境省のホームページで公表いたしますので、よろしくお願いいたします。次回、第2回検討会の開催日は、日程調整をさせていただき、あらためてご連絡をさせていただきます。本日は長時間にわたりご討議いただきまして、誠にありがとうございました。これにて本日の検討会を閉会といたします。どうもありがとうございました。

14:00 閉会