環境再生・資源循環
第2回 平成30年度災害廃棄物対策推進検討会 議事録
日時
平成31年3月11日(月) 16:00~18:04
場所
TKP東京八重洲カンファレンスセンター ホール8C会議室
出席委員
- 委員
-
浅利 美鈴 大熊 洋二 大迫 政浩
勝美 武 酒井 伸一 島岡 隆行
中林 一樹 牧 紀男 目黒 公郎
安富 信 吉岡 敏明
(敬称略)
委員以外の出席者
- (事務局)
- 環境省
-
山本環境再生・資源循環局長、松澤環境省大臣官房審議官、名倉廃棄物適正処理推進課長、
西川災害廃棄物対策室補佐、鈴木災害廃棄物対策室主査、福永災害廃棄物対策室主査
議題
1 開会
2 議事
(1)技術・システム検討ワーキンググループにおける検討(南海トラフ地震に係る検討)
(2)地域間協調ワーキンググループにおける検討(平成30年度に発生した災害対応に係
る検討)
(3)近年の自然災害における災害廃棄物対策について
(4)災害廃棄物処理計画の策定状況及び今後の策定率向上に向けた取組
(5)環境本省・地方環境事務所の取組
(6)今後取組むべき事項とその進め方(案)
3 その他
4 閉会
配付資料
- 資料1
- 技術・システム検討ワーキンググループの検討
- 資料2
- 地域間協調ワーキンググループの検討
- 資料3
- 近年の自然災害における災害廃棄物対策について
- 資料4
- 災害廃棄物処理計画の策定状況及び今後の策定率向上に向けた取組
- 資料5
- 環境本省・地方環境事務所の取組
- 資料6
- 災害廃棄物対策に関して今後検討すべき事項とその進め方(案)
- 資料6(参考)
- 災害廃棄物対策に関して今後取り組むべき事項とその進め方(案)
- 参考資料1
- 災害廃棄物対策現地支援チームオペレーションマニュアル
- 参考資料2
- 平成30年7月豪雨に係る初動対応検証レポート
議事
(福永災害廃棄物対策室主査)
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第2回平成30年度災害廃棄物対策推進検討会を開催いたします。
委員の皆様には、年度末のご多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。
初めに、環境省大臣官房審議官の松澤から、ご挨拶をさせていただきます。
(松澤環境省大臣官房審議官)
環境省審議官の松澤でございます。
本日で、東日本大震災から8年を迎えました。初めに、亡くなられた皆様に哀悼の意を表したいと思います。また、被害に遭われた多くの方々に、お見舞いを申し上げたいと思います。
環境省といたしまして、被災地の復興・再生に、引き続き総力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。先生方のご支援も、引き続きよろしくお願いできればと思います。
本日は、巨大な災害、大規模な災害への対応として、南海トラフ巨大地震を取り上げまして、その対応についての検討、それから、昨年の災害対応の検証という、この二つの点を中心に、私ども、それから地方公共団体も含めまして、事前の防災をどのように強化していったらいいのか、具体的なご議論をお願いしたいと思っております。
南海トラフ巨大地震の対応につきましては、ワーキンググループの設置をお願いいたしまして、現状の各都道府県の処理計画について分析をいただきました。
また、廃棄物処理施設、あるいは関連する重要インフラの被害想定についても分析をいただきました。
こういった分析を踏まえて、事前防災の強化に向けた課題と具体的なアクション、今後のアクション、その方向性について、ご議論をいただければと思っております。
昨年の災害対応につきましては、7月の豪雨、それから、さまざまな台風あるいは地震といった形で多発する災害がございました。この対応について検証をいただき、これからも、来年度以降も、自然災害は特に豪雨を中心に頻発すると考えられますので、こういった毎年起こるような災害への事前防災の強化に向けた今後のアクションの方向性について、ご議論をいただきたいと思います。
検討会のご意見に沿いまして、環境省の本省、地方環境事務所の対応能力の強化はもとより、地域ブロック協議会、あるいは自治体の災害廃棄物処理計画策定支援、こういったことなども通じまして、地方の現場の事前防災の強化に取り組んでまいりたいと考えておりますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
(福永災害廃棄物対策室主査)
それでは、まず、資料の確認をお願いいたします。
お手元の次第に配付資料の一覧がございます。配付資料につきましては、お手元のタブレットに保存されていますので、ご確認をお願いいたします。
タブレットには、00として議事次第、そして資料1から6、そして資料6の参考が保存されております。また、参考資料1、2もタブレットに保存されております。
それ以外に、委員限りの机上資料として机上に配付させていただいておりますけれども、机上資料1から4と書かれている1枚の紙が技術・システム検討ワーキング関係の机上資料になっております。
また、ホチキス止めで机上資料5と6と書いてありますものが、地域間協調ワーキング関係の机上資料となっております。
資料の不足やタブレットの使用方法等でご不明点がございましたら、事務局にお申しつけください。
続いて、本日の委員の出欠状況ですが、大塚委員は所用によりご欠席でございます。
ここからは、カメラ撮りはご遠慮いただき、退場をお願いします。一般の傍聴者に方におかれましても、写真撮影、ビデオ撮影はご遠慮いただき、携帯電話の電源もお切り願います。
それでは、以降の進行は酒井座長にお願いしたいと思います。
酒井座長、よろしくお願いいたします。
(酒井座長)
松澤審議官から東日本大震災8年目の哀悼とお見舞いの意の表明がございました。私からも全く同じ心情であることをお伝え申し上げて、深くお見舞い申し上げたいと思います。委員一同、同じ心情でいるかと思いますので、それを踏まえて、本日の審議、進めさせていただければと思います。
まず、初めに、一つ目の議事でございます。ワーキンググループにおける検討につきまして、それぞれのワーキンググループの座長より、まず説明をお願いしております。まずは、技術・システム検討ワーキンググループから、座長を務めていただきました牧先生からお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
(牧委員)
資料1に基づきまして、15分ほどでご説明をさせていただきたいと思います。 1ページ目、お開きいただきまして、まず1ページ目が、今年度3回検討させていただきまして、今年度検討したことは大きく二つでございます。
一つは、各都府県の災害廃棄物処理計画が、そもそもどういう内容を含んでいて、どういった課題があるのかといったことが1点目でございます。
それから、二つ目は、廃棄物量、出てくる量というのはこれまで検討してきたわけですが、それが果たして処理可能なのかということを、揺れですとか、液状化ですとか、津波の浸水、そういった被害を含めて、その処理が可能なのかということを検討いたしました。
2ページ目がそういうことが書いてございます。
3ページ目も今申し上げたようなことでございます。
そうしましたら、具体的に、まず一つ目の処理計画の内容を分析した結果について、ご報告をさせていただきます。
実はまだ作っていないというか作成中ということで、私の大学がある府でございますが、作っておられるというふうには私も相談を受けておりまして、作っておられるのですが、これを検討した時点ではまだできていないということでございまして、頑張らないといけないというふうに思っております。
そういったことで、基本的には計画はお作りをいただいているということですが、じゃあ、内容がどうなっているのかということが問題になるのと、その次の5ページ目は、この部会でどれだけの災害廃棄物が発生するのかといった検討は行っておりますが、各都道府県もそれぞれ、先ほど申し上げました災害廃棄物処理計画を作るに当たりまして推計をされております。
その発生量を単純に足しますと、1列目の32万5,600、これは千ですから、ちょっとすぐに申し上げられませんが、こういった量になると。それに対して、処理可能量がこうなっていると。
重要なのは、要処理検討量ということでございまして、要するに自分のところでは対応ができないと各都道府県でおっしゃっている、そういった廃棄物というものの処理があるということが、こちらでわかるかと思います。
それから、この検討会で行った結果と同じですが、やはり四国ブロックで災害廃棄物量が多いといったことが、この都道府県の処理計画を詳細に見させていただく中からも分かってまいりました。
それから、その要処理処分ということですが、要するに自前の施設だけでは処理・処分できないというときに、どういうふうにお考えになっているのかということで、一つは仮設処理施設の設置ということで、九州ではそういったことがたくさん書かれていると。
それから、民間事業者への活用ということについては、近畿ブロックで多くの自治体で書かれていると。
それから、広域処理、他地域での処理ということで書かれているのは、近畿、それから四国ということでございました。
ということで、自分たちの施設では処理できないものについて、どうするのかといったこともいろいろ検討いただいておりますし、その中で仮設であったり、民間であったり、広域処理といったようなことが書かれているということですけども、一番上のところにも書いてございますように、具体的な方策、処理ができないということは分かっておりますが、それをどうするのかということが書いていないということもございます。
この仮設ということについて、ちゃんと検討しているということが重要だと思いますが、そこの右に仮設焼却炉、どのぐらい要るのかということが書かれていると思います。
それから、その次ですが、これは計画の内容です。要するに、計画有りということでも、内容がしっかりしているのかということをそれぞれ分析させていただいたもので、全都府県でどういう内容があって、どういうことが書かれていないのかということはお配りしている資料にはお示しをしておりませんが、委員の方々には机上資料ということでお配りをしている机上資料2に、各都府県の計画にどういうことが書かれていて、どういうことが書かれていないのかと。こちらの机上資料ですが、そういったことを参考に、各都府県で、うちの計画のどこに問題があるのかということをしっかりとご認識をいただくということが非常に重要だと思いますので、そういったできている、できていないという採点表ではございませんが、ここはいい、ここはちょっと不足しているといったようなことを検討させていただきました。それで、それをまとめたものがお手元の資料だとお考えをいただけたらと思います。
次の8ページ目、協定内容ということで、し尿とか生活ごみですね。災害廃棄物というよりも、そういった初動のところが書いていないという課題がございますし、民間事業者との協定とは書いてあるんですが、具体的な内容ですとか、相手の記載がないといったことが、協定については課題かなと考えております。
それで、その次、これは都府県の名前は挙げておりませんが、どこかあるわけですけども、こういう形でいい、悪いということ一覧にして皆さんに見ていただいて、ぜひ、自分のところの災害廃棄物処理計画を見直すときのご参考にしていただければと。
例えば、上から4番目の仮設焼却炉の必要量を具体的に検討しているということであれば、「グッド」ということで、具体的な必要基数まで計算をしているような、そういった都府県もございますし、例えば一番下の「バッド」ということですと、広域処理、要するに処理ができないというのは分かっているんですが、その広域処理に関する具体的な記載がないという課題というのが出てまいりました。
10ページ目をご覧ください。
これは「グッド」ということですけども、組成別の災害廃棄物処理量が出ておりましたり、既往施設、それから仮設処理炉での処理量が検討されていたり、要処理量、要するに都府県では処理できない量を算定していたりと。ですので、こういったものを見ていただいて、各都府県の計画を再度ご検証いただいて、ここに書いてございます「グッド」、それから「バッド」、バッドは別に参考にしていただく必要はないわけですが、このグッドをもとに再度見直していただいたらよろしいかなということで、ずっと順番にごらんいただいたら12ページ、これは初動体制について「グッド」ということで、例えば、ボランティアとの連携みたいなことで、特に水害の場合はボランティアの方が活動されるわけですけども、そういった方にどういった作業を依頼するとか、安全管理をどうするのかといった、そういったことが書かれているということでございます。
13ページがグッドの事例で、14ページがバッドの事例で、15ページがこれは先ほど申し上げたような協定の内容についてのグッド、バッド、それから、その他ということで書いてございます。
16ページは、これは協定についてのグッドの事例ということで、協力の要請から処理費用の支払いですね。どういう形でお金が支払われるのかというところまで整理をされているということです。
17ページが、具体的にどなたと協定を締結しているのかといったことがない事例でございます。
18ページが課題ということでございますが、要するに数値が算出されていないということが課題。それから、もう一つは、要処理検討量ですが、最終的にどういう形で対応するのかと。広域処理なのか、仮設処理なのかといったことが具体的に書かれていないということ。
それから、処理計画の内容が、この環境省でつくっているもの、もしくは地域防災計画を単にコピーをしたものというふうに、独自にお考えをいただいているところが少ないという計画もございますし、それから、初動のときにどういった情報をとればいいのかといったことが記載されていないとか、ずっと見ていただきましたら結構ですけども、こういったいろんな課題というのが抽出をされたということで、東日本大震災から8年過ぎましたので、その後つくられた各都道府県の災害廃棄物処理計画というのを再度見直していただいて、「グッドプラクティス」というのが出ている事例もございますので、そういったものも反映して、もう一度見直していただくということが必要かと思います。
それでは、二つ目ですが、実際の被害を考慮した上で、どれだけの災害廃棄物量を処理可能なのかということについての検討でございます。
20ページをご覧ください。
これは非常に有用なデータだったとワーキングの方もおっしゃっていたんですが、実際、どのぐらいの被害で、どのぐらい焼却施設が停止したのかということを一元的におまとめをいただきました。
一番長かったのは、6強で、最大最長停止122日、これは確か柏崎ですかね。そういう形で全部止まったものを整理しました。それで、実際にどのぐらい止まるのかといったことを、まず一つ、今までの事例をきっちりと整理をしたということになります。
それから、21ページをご覧ください。
今回、南海トラフの被害を踏まえて、実際どれだけ処理が可能なのかという検討をするに当たりまして、ここに書いてございます震度、それから津波浸水、液状化可能性、緊急輸送道路までの距離、停電可能性というこの5つの項目、他にもまだいろいろあるとは思いますが、日本全国一律に評価をするということになりますので、使える指標というのは実は限られておりまして、この5つについて検討をいたしました。
23ページ、これが例えば震度5強以上で、耐震未対応であれば、この灰色の色になっているというふうにご覧いただいたら、要するに使えないという評価を、それぞれの耐震性ですね。新耐震であれば6強以上、旧耐震であれば5強以上ということで、一つ評価をすると。それで、被災すれば使えないと。
それから二つ目、浸水区域内に廃棄物処理施設があるのかということで、実はもっとあると思っていたんですが、余りなかったというのが実際で、その浸水施設内にあれば使えない。ただし、耐水対策が行われていれば使えるということになります。いろいろご議論あるかと思いますが、今はそういう形でやっております。
それから、その次、液状化です。液状化は建物自体にというよりも、むしろ取付道路ですとか、外側にひっついていて、上がっていく、ああいうところがおそらく被災するでしょうから、液状化の可能性が高いということであれば被災するということにいたします。
それから、緊急輸送道路まで、これも最後までいろいろ議論がございまして、何か他にないのかと。要するに、道路が使えなくて運べないということなんですが、いろいろ最後も議論がありましたが、いまあるデータはこういうことでございますので、道路からの距離5キロというのを一つの目安とさせていただく。
要するに、緊急輸送道路というのは啓開が非常に早うございますので、そこは通れるようになるということで、そこまで出る距離というのは、そこへのアクセスの強化ということで評価をさせていただきました。
それから、その次の27ページが停電ということで、停電が5日以上続くということであれば被災リスク有りということで、今、申し上げました震度から停電まで全部「or」です。一つでもアウトであれば駄目ということで、そういったことに基づいて、処理可能量を集計したのが29ページということで、長々と申し上げたことを考慮した上で、それぞれの施設で被災するか、しないのかということを考慮した上で、どれだけ処理可能量があるのかということで、全施設というところと、全被災リスク考慮後ということで見ていただきますと、当然のことながら大分減るということになります。
それで、特に四国ですが、48%の施設が非常に揺れの強いところにあるといったことですとか、関東においても停電の影響が考えられるとか、こういった形で実際今までは処理最大量、要するに処理という観点から中位、低位、高位、最大という形でやってきましたが、実は被災ということは考慮していなくて、こういった形で被災を考慮した上で、どれだけ使えるのかということを検討いたしました。
それで、31ページが、そういった被災を踏まえた上での処理可能量ということになります。
被害を踏まえた上でやはり四国が辛いというのが365ですか。全被災リスク考慮後になると、これはなかなか深刻な問題なんですね。もともと四国は大変だという話になっていましたが、被災リスクを考慮するとさらに大変になるということでございます。
32ページが、全体の取りまとめでございまして、先ほどから申し上げていることですけども、四国、中部ブロックですね。なかなか大変だということでございます。
それで、最後の33ページ、今後の展望ということでございますが、検討事項1については、先ほど申し上げたとおりです。今回まとめたものをもとに、各都府県の災害廃棄物処理計画をもう一度お考えいただきたい。
それから、二つ目。今回は被災ということも踏まえて、処理可能量を計算しましたので、じゃあ、実際それをどうするのかということを、受援、支援ということについて考えないといけない。
やはり問題は、共通と書いてございますが、四国、中部というところをどうするのかということですとか、あと、もう少し津波浸水区域の内外で発生するごみというか廃棄物というのが大分違うでしょうから、そういったことを考えないといけないということでございます。
以上で報告を終わらせていただきます。
(酒井座長)
牧先生、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見、お受けしたいと思います。委員の方、ご意見のある方、名札を立ててもらえませんか。吉岡先生お願いします。
(吉岡委員)
幾つかの施設がさまざまな状況によって使えなくなるというときに、これは件数で書いているかと思うんですが、量の観点からいったときに、これを処理量で表すとどういうふうになっているのかというのがちょっとよく見えなかったんですけど、どこかにあれば。
(牧委員)
31ページに。
(吉岡委員)
いくつかの施設の中で、例えば1カ所で相当大きいところとか、小さいところがいっぱい集まっているところとか、あるいは大きいところがドンと駄目になっているところとか、こういうところの中には当然入っているんだと思うんですけども、その辺の様子はどうなっているのか、教えていただければと思います。
(西川災害廃棄物対策室補佐)
お答えさせていただきます。
先生方にお配りをしております机上資料4をご覧いただければと思います。
A3の縦の一覧表になっているものですが、こちらのほうでブロック毎に焼却施設と最終処分場につきまして、処理能力の大小でどれぐらいの施設が被災リスクがあるかということを整理しておりますので、こちらをご覧いただきますと、容量の大きい施設なのか、小さい移設なのか、どちらがやられるのかということが見えてまいります。
例えば、四国や九州の焼却施設をご覧いただきますと、100トン/日未満の処理施設が7割近くやられるという想定になっておりますので、比較的規模の小さいところが複数被災リスクがあるということを示しているかと思います。
(吉岡委員)
小さいところは、ある意味耐震性を含めたところについてのリスク管理がちょっと弱い状況になると、大きいところは最初からしっかりやっていて、むしろちっちゃいところは、そういうことを建てるときからあまり検討として入っていないという認識なんですかね。
(西川災害廃棄物対策室補佐)
強靭化ができていない理由はいくつかあると思っておりますが、まず、四国ブロックや九州ブロックは、そもそも震度が大きいものがございますので、耐震化をしていたとしても、それを上回る6強以上の震度の地域に多く分布するというのがまず一つ。
その上で耐震設計をしているか否かにつきましても、小さな施設についてはなかなか更新時期や財政的な影響で、強靭化の対策が大きい施設に比べるとそこまで進んでいないという実態はあろうかと思います。
(大迫委員)
大変示唆に富むいろんな議論をしていただいて、関係者がこれをもとにいろんな議論をしていただくものとして重要な成果かなと思います。
一つ質問と、あとはコメントなんですが、まず質問は、都府県の災害廃棄物処理計画の分析をしていただいた中で、南海トラフとなりますと、市町村だけで対応というのは難しいと思うんですが、都府県が事務委託を受けて処理するという前提で計画がつくられているのかどうかというところの分析・整理はどうなっているのかなと思ったのと、あとは3点コメントですが、これは都道府県の計画なので、都道府県でしっかりつくられたものが、いかに市町村のほうに反映されていくのかということの検討が今後の課題かなと。
それから、もう一つは、県毎に作られていると、どうしても県内で処理ができない、広域性を求めるときの相互調整を、ブロック内で何か議論していくようなことも今後協議会の中でやったらいいんじゃないかという話。
それから、最後は、いろんな施設のダメージについては大変網羅性のある議論をしていただいて、それに対してそれぞれの施設がBCPを計画していく必要があると思うので、そういったことを促すような、環境省としても何かやっていただくというのもいいかなと思いました。以上です。
(酒井座長)
ほかにご質問はございますか。
それでは、今のお話、牧先生にお答えいただける範囲はお答えいただいて、あとは環境省に聞きましょう。
(牧委員)
先ほどの都府県計画の委託がどのぐらいというのは、少しちょっと分からなくて、事務局に答えていただこうと思いますが、コメントをいただいた点、来年度以降、ぜひ検討させていただきたいと思います。
市町村の分がどうなっているのかというのは、数も多いので大変かとは思いますが、やっぱり見ておかないと、そこが主体だと思いますので。ありがとうございます。
(福永災害廃棄物対策室主査)
ご指摘いただきました県の事務委託の関係は、今回まだ整理しきれておりません。協定の関係は整理しているんですけども、事務委託の関係の記載があるかどうかというところは、改めて整理をし直したいなと思っております。
また、処理を実施するのが市町村になりますので、今回南海トラフで非常に範囲が広いので、まずは都府県を整理しておりますけれども、今後、状況に応じて、市町村のほうも整理をしていきたいと思っております。
また、BCPの観点ですけれども、今回廃棄物処理施設がダメージを受けるということで、初動期において非常に影響があり得るという結果が出ており、一般廃棄物処理を継続していくという観点は非常に重要になります。その点も結果をフィードバックする際には明示的にお伝えをして、各都道府県、そして市区町村に検討していただきたいと思っております。
(酒井座長)
ありがとうございます。
今日の議事の4点目で災害廃棄物処理計画の策定状況、今後の策定率向上に向けた取組ということで、環境省のほうからも資料説明が予定されていて、またそこで議論できると思いますので、今の市町村とか、あるいはBCPの関係はまたご議論いただければと思います。
次に進ませていただきたいと思いますが、牧先生、今回南海トラフ前提で、3億2,000万トンの発生量予測があって、要処理検討量が可燃物、不燃物それぞれ1,800万トン、あるいは1,900万トン、いずれにしても4,000万トン弱です。その数字の乖離が相当大きいですが、この間の差はどう考えておけばいいということは、簡単には言えませんか。
(牧委員)
これは都府県の処理計画の数値を単純に足し合わせたもので、この委員会では低位、中位、高位と別途試算をしておりまして、その間に実は若干乖離があったと思いますが、事務局で補足いただきたい。
(福永災害廃棄物対策室主査)
補足として、配付させていただいている机上資料1をご覧いただければと思うんですけれども、こちらが5ページのデータの元になっているものです。先ほどの「グッドプラクティス」、「バッドプラクティス」も関係してくるんですけれども、各府県で要処理検討量までまだ検討ができていなくて、値がないという都府県もあります。このため、その合算量がこの表だけで見ると単純な足し算、引き算ということではないというのは、ご認識いただければと思います。
(酒井座長)
あくまで処理計画の数字をそれぞれ足したということですね。ここの乖離というのは、またこれから一つ一つ詰めていくという、そういう話ですね。分かりました。そういう前提の数字として、このあたりは認識させていただくということにさせていただきたいと思います。
目黒委員、どうぞ。
(目黒委員)
先ほどの説明では、処理期間を考えるときに一般の廃棄物は平時と同様に考えているということでしたが、災害時の生活は平時とかなり状況が変わるので、平時と同じだけの生活ごみは出てこないと思いますが、これは安全側で考えるために、そのようにされているのでしょうか。
(西川災害廃棄物対策室補佐)
災害廃棄物の発生量につきましては、平時のごみは特に発生推計量の値には入っているものではありません。
ただ、平時と同様に生活ごみも出てくるという想定で初動対応は検討しておりまして、それにつきまして来年度以降は、例えば津波浸水域の内外で、浸水しない部分につきましては地震に対する被害が大きくなりますので、そこについては住民が引き続き避難所ごみ、ないしは生活ごみ、片づけごみを出すという想定。
ちなみに、津波浸水域の中ですと、そこは避難をされるということが前提になろうかと思いますので、片づけごみがすぐさま出てくるという状況ではないのかなということで、もう少し被害の対応に応じた検討をしていくということを考えております。
(目黒委員)
被災したことによって生じる廃棄物は当然考慮されていると思いますが、被災状況下での生活から出てくるごみの量は、平常時の生活で出るごみの量とは違うのではないか、というのが私の質問の趣旨です。災害廃棄物を除くと、被災状況下での生活で発生するごみの量は平常時よりも少ないので、処理期間を見積もる上では、もう少し条件が楽になるのではないかと思います。過去の災害時のデータがいろいろあると思いますので、それらを参考に、被災状況下での生活ごみの量の算定精度を高めると、処理期間はもう少し短くなると思います。
(酒井座長)
今の関係で札が上がっておりますので、中林委員、どうぞ。
(中林委員)
先ほどのこの表なんですけど、先ほどの説明だと、県で出していない数字があるからというお話だったんですが、この表を見ると、全部出している県でも大分少ないんですよね。ですから、これは県の計画なので、県の施設なり、県が管轄する事業者の施設を使って処理できる量がこれぐらいで、今回外れている市町村の処理能力が入っていないので、差が出てきていると考えて、私はそういうふうに推測したんですけど、そういうことはあり得るんですかね。県の処理計画の処理量というのは結局何で出しているかによるんだと思うんですけども。
(福永災害廃棄物対策室主査)
お答えさせていただきます。
処理可能量につきましては、基本、県の処理計画上であれば、県にある市町村の廃棄物処理施設について、処理可能量を県でまとめておりますので、市町村の処理施設も含まれております。
県によっては、産廃施設も考慮に入れて処理可能量を試算しているところもありますが、基本的には一般の処理施設というのは含まれている量になっております。
(中林委員)
そうすると、逆に言えば、大きな差というのは、災害廃棄物の中にいわゆる処理計画で考える処理、あるいは計画以外の廃棄物、つまり処理できない廃棄物がこれだけあると、そういうふうに考えろということですか。
(福永災害廃棄物対策室主査)
おっしゃるとおりでございます。
(中林委員)
でもそれを処理する責任は地方自治体にある。
(福永災害廃棄物対策室主査)
市町村にある。
(中林委員)
そうすると、最終的に処理する話がこの量ですけれども、例えば、最終処分場へ運ぶ量というのは、この災害廃棄物発生量全体で考えないといけないと。土砂は仮置きしてリサイクルして、それで焼却して、最後に最終処分ですが、土砂はいきなりある意味では最終処分ですよね。そういうものが、この膨大な量の中に含まれているというふうに理解しろということなんですか。
(福永災害廃棄物対策室主査)
土砂に関しましては、この災害廃棄物の中には入っておりませんで、あるとすれば津波の影響による津波堆積物ですね。そちらについては入っておりますので、そちらは廃棄物と一体となって処理するものとして、量として入っております。
(中林委員)
そうすると、やっぱり最終処分量としては、この処分可能量ではなく、発生量そのものを処理しなきゃいけないという枠組みで考えなきゃいけないという意味ですね。
(西川災害廃棄物対策室補佐)
もちろんそうなんですけれども、津波堆積物も含め、極力再生利用を進めるという意味では、全て最終処分施設で賄わないといけないというものではないと思っております。
ただ、その処理のシステムをどうやって確保するかということを、引き続き検討していく必要があると思っております。
(中林委員)
分かりました。
その差はすごく大きいので、これは大変なことだなというのが1点です。
(牧委員)
先ほど申し上げましたように、この数字はあくまでも、やっているところがあったり、やっていないところがあったりということも踏まえた都府県の分を単純に足し合わせたものですので、今の議論はやはり全体として計算した昨年度の数字をもとに、どのぐらい差があるのかということを議論したほうがいいのかなと。
これは、そこに書いてございますように、本当に算定方法も違いますし、想定も違いますしということですので。
(酒井座長)
勝見先生、どうぞ。
(勝見委員)
細かいことで私が誤解しているのかもしれないんですけれども、机上資料1で、要処理検討量、表のそれぞれ一番下なんですけれども、可燃物がゼロの県があったり、不燃物がゼロの県があったりして、これの意味が分からなくて、ひょっとして、それぞれ違う思想で数字を出してこられているんじゃないかなと思ったりするんですが、そんなことを今お聞きしていいんでしょうか。よろしくお願いします。
(酒井座長)
それじゃあ、再度精査して、それで、また改めて議論いただくようにさせていただきましょうか。議事の一つ目、このあたりにさせていただきたいと思います。
引き続きまして、地域間協調ワーキンググループの検討につきまして、報告をいただきたいと思います。
座長を務めていただきました浅利委員、どうぞよろしくお願いいたします。
(浅利委員)
ありがとうございます。
それでは、資料2、それから適宜机上資料5、6を見ていただきながらということでお願いいたします。
地域間協調ワーキンググループにおける検討状況ということで、1枚目にワーキンググループの目的と開催状況、そして委員構成を入れさせていただいております。
本日も何名かお越しいただいておりますので、また後でコメント等がありましたら、お願いいたします。
早速ですけれども、2ページ目に昨年度からの検討の流れということがございますが、ちょっと時間の関係もありますので、今年度のほうに早速入らせていただきたいと思います。
3ページ目をご覧いただければと思います。
今年度の主な検討事項ということで、不幸にも昨年は大変災害が続きました。それを今後に活かしていこうということで、「同時多発化する自然災害時における効果的な支援のあり方」を検討させていただきました。
具体的なところでいきますと、検討事項2にも関連いたしますが、特に7月豪雨の被災自治体、それから、それ以外にも特に7月、8月、9月とずっと災害が続きましたので、そこの発生状況と対応について検証し、今後につなげるための視点を取り上げていきました。
それから、検討事項2のほうは、今申し上げました7月豪雨の被災自治体の災害廃棄物処理計画の記載内容を検証するということで、これは先ほどの技術ワーキングともかなり関係するなと思ってお聞きしておりましたので、さらにまた深めることができるかと思いますが、特に今年度の被災自治体に関しまして、どういう計画の策定状況で、どういうことが記載されていて、それが本当に発災時に役に立ったのかといいますか、うまく機能したのかと、した部分、しなかった部分についての検証を進めていこうということで、記載内容の検証をいたしました。
それから、検討事項3ということで、特に初動時に市町村の対応が非常に分かれる部分ということで、住民の方とうまく意思疎通をして、初動時からしっかり片づけごみを回収して、スムーズに初動体制を構築できているかという点が、非常に自治体のニーズも高いということもございましたので、この部分に特に注力して検討をさせていただきました。
次にいきまして、4ページ目がまず検討事項1ということで、特に今年度は多くの災害に見舞われました。主なものがこちらの表にございます。
6月の大阪北部地震を皮切りに、7月豪雨、山形豪雨、台風21号、そして北海道、そして最後台風24号ということで、もう6月から9月にかけて休みなく災害に見舞われました。
その中で、特にここでは環境省から職員の派遣をどのように行ってきたか、環境省と連動して動くD.Waste-Net、こちらのほうでどのように派遣を行ってきたかということを書かせていただいております。
特に表を見てお分かりいただけますとおり、8月の上旬は全国各地に同時に人を派遣しなければいけないという状況で、やりくりしながらしたというところがあったというところです。
そんな中からどういう課題や機能した点が出てきたかというのが、次の5ページ目にございます。環境省による支援の、上のほうが主な課題ということで、7月の豪雨、広島県では環境省の支援チームは、県庁に派遣して常駐支援をしていただいたと。県と連携を密にすることで、いろんな市町村の状況をつぶさに観察し、県庁と連携できたんですけれども、ただ、県庁所在地、県庁から遠い市町に十分に支援ができたかというと、そこは若干行き届かなかったところもあったんではないかというのを課題として挙げております。
一方、岡山県に関しましては、県庁ではなく倉敷市のほうに支援チームを派遣して、そこを中心に動いたと。こちらは被害の大きかった倉敷市への支援は厚くできたんですけれども、県との十分な連携というのができたかというところに課題があったということで、災害の規模等にもよるんですが、支援をいかに効率的にするか、どこに拠点を設けて動いていくかというところで、いま一度検討が必要かなという課題が浮き彫りになりました。
一方で、下にもございますとおり、こういう経験を積むことで、だいぶ支援が機能してきたという点も挙げさせていただいております。
特に大阪北部地震では、発災当初から大阪府と連携して、被災市町村に支援を行うことができて、初動対応はかなり混乱を避けることができたと分析しております。
また、7月豪雨でも、D.Waste-Netを含めて、同じ職員が同じ被災地を支援することで継続性があり、効率的な支援ができたのではないかと考えております。
さらに、北海道の地震のほうでは、仮置場の確保、補助金対応について、自治体の職員はほとんど知見を持たれない方が多かったんですけれども、環境省ではかなり先回りで、他の災害もあってなかなか人の派遣が難しい中、現地支援チームを派遣することで、そのあたりのカバーができて、初動対応の混乱を避けることができたのではないかと分析をさせていただいております。
次、6ページにいきまして、環境省以外にもさまざまな支援が継続されています。
最初に、自治体、民間事業者による支援状況ということで、詳細は机上資料等にもございますけれども、多数の方々のご支援をいただくことができました。
ただ、課題もあったということで、真ん中のところにはそういった支援の主な課題ということを挙げさせていただいております。
特に支援の内容に関してのミスマッチ、車種の問題であったり、せっかく行ったんですけれども、なかなか支援が効果的に行われなかった例等もあったということで、支援の効率化にはまだまだ課題がありそうだということを挙げさせていただいております。
それ以外の点ということでは、一番下にございますが、片づけごみを保管するために、住民が待ち切れずに、また、いろんな理由があって、いわゆる勝手仮置場と言われるような収集場所を設置したところもあって、かなりメディア等でも叩かれるような事態もあったかと思います。その支援の効率化というのを真剣に考えなければいけないという課題が浮き彫りになりました。これは後半のほうで少し詳細にお話をしたいと思っております。
次、7枚目にいきます。
先ほどの技術ワーキングのほうでも、南海トラフ巨大地震への詳細な検討がなされておりました。こちらのほうの検討は、どちらかというと支援、受援関係ですとか、初動時の住民に関わる部分の内容になっております。十分に議論が尽くせていない部分もございますが、やはりこういう大規模災害に関しての検討というのも途切れずに続けようということで、今年度も検討課題に入れさせていただいているという次第でございます。
特に、この7ページ目では、地震の被害が大きな地域、そして、その次のページは、津波被害が大きな地域ということで、それぞれ特徴が違うだろうということで、分けて検討させていただいております。
まず、7枚目のスライドは、地震の被害が大きな地域で発生するであろう事態ということで、まずは片づけごみの混合化、それから、次に収集運搬車両の不足、そして、処理施設の被災によるごみ処理の停止。これも先ほどの議論と全く重複する部分でございますが、こういう事態があるであろうと、そこにどういうことが必要かということを検討させていただきました。ちょっと詳細は、この後の対応のところで述べたいと思います。
それから、8スライド目のほうが、同じ南海トラフでも津波の被害が大きな沿岸部等で発生するであろう事態ということで、こちらは特に津波堆積物関係の対応が重要ということで、そのような視点が加わっているかと思います。
それに加えまして、やはり混合ごみが大量に出るということを考えますと、災害廃棄物処理に関しても、二次仮置場の設計といったところが重要なポイントになるということで、挙げさせていただいているところでございます。
次の議題になりますが、9ページ目になります。
今年度、同時多発化する自然災害への対応というのが求められたわけですけれども、それがさらに大きな規模になるかもしれませんし、小さな自治体を襲うかもしれないと。それを、今回特に重点的に議論しようということで、同時多発化する自然災害を想定した場合の支援の考え方ということを、より煮詰めていったというところがこちらのスライドにまとめております。
まず、冒頭に、7月豪雨の中で、先ほど申し上げましたとおり、広島県のように県に常駐する形、それから岡山県のように被災の大きかった市町村に常駐するような形ということで、それぞれメリット、デメリットがあったと。今後、じゃあどういう方針で臨むかというところを議論させていただきました。
その議論の結果をまとめたのが、下の図や文章に書いておりますが、基本的には特に大きな災害、比較的大きな災害もしくは大規模に及ぶ、広範囲に及ぶような場合に関しては、真ん中のオレンジのところの囲いにございますが、原則としては被災都府県に先遣隊を派遣した上で、その後の支援を当然検討するということになるんですけれども、特に環境省と被災都府県がしっかり連携していくというのが重要であろうと。そこと一心同体で動くことで、特に被災自治体への目配りもできるようになるのではないかと。環境省も人が限られておりますので、被災都府県と連携して自治体に支援していくと、ここがポイントであろうと我々の結論としては達しております。
その大まかな流れを示しておりますのが、9の下の図になっておりまして、まず、初動時に、被災状況の調査を行う。その時点で、いわゆる先遣隊を派遣して、今後の支援のあり方を確定させると。その後、スクリーニングといいますか、全体の状況を見て、優先順位を決定した上で本格的な支援に入っていくという、そんな流れをしっかり構築して、体系的に支援をしていくことができるのではないかというふうにまとめております。
次の10ページ目、その考え方、どこに支援チームを置くかという視点から整理したものになっておりまして、先ほどポイントというふうに申し上げました点が1ポツ目にございますが、基本は都府県を介して被災市町村への支援を行うという点がポイントになるかなと思います。
その際に、基本としては下の左の図にございますが、基本は県庁をベースに動くと。ただ、必要に応じて、右の図にございますように、被害の大きかった自治体に入るということもあるだろうという、そんな整理を行わせていただきました。
11ページ目から、それに備えまして、各自どういうことをしていく必要があるかをまとめさせていただいておりまして、ここが全体をまとめたものになっております。
右のほうに取り組み主体がございます。主な取り組み主体ということになりますけれども、最初の体制強化というところでは、特に地方事務所を中心に災害廃棄物の専門官がおられまして、そこを中心にいろんな被災地への派遣等が行われているわけですけれども、大規模、同時多発化するとなりますと、その人ではとても足りないという状況もあり得るだろうということで、そこに少し人を厚くしていく意味も含めて、支援人材バンクを作っていくということが考えられるのではないか。特に支援の経験豊富な自治体OBの方々を登録させていただいて、必要に応じてそういう方々にお願いをして、共に動いていただくという体制が重要ではないかと考えております。
それから、次の表では真ん中になりますけれども、ボランティアですとか、住民の方々との連携というのも、特に初動時に関しましては非常に重要ではないかと考えておりまして、こちらは自治会であったり、住民、ボランティアの方々と、まずは事前からしっかりと情報共有を行い、そして、実際発災した後にも効率的に連携をしていけるような体制構築、これを進めていくということが重要ではないかと考え、実際に行動も始めていただいているところでございます。
そして、最後、計画策定見直しということで、この後、計画が実際に災害時にどうなったかというところの検証もご紹介したいと思いますけれども、やはり定期的にしっかり生きた計画にしていくということが当然重要であり、その点を促すような取り組みを地方環境事務所、それから都道府県としてもやっていくということが非常に重要ではないかということで、まとめさせていただいております。
詳細が次の12ページ目以降にありますが、重複感がございますし、時間の関係がありますので、ここからは飛ばさせていただきたいと思います。11、12、13、14と、今の内容が掘り下げられて、各主体別に整理されています。
18スライド目が、それのより具体的なマニュアルの一つということで、今年度は特に環境省で現地に支援に行くと、先ほど先遣隊を送り込んで、体制を構築してという話がございました。
今まで、かなり俗人的な知見も含めて運用してきたわけですけれども、今後のことを考えますと、これをしっかり文章化して、いつでも対応できるようにしていく、それに合わせて事前の準備等もしていくということが重要であろうということで、現地の支援のオペレーションマニュアルを構築していただいております。それが18、19ページ目に概要ということで示されているところでございます。
また、詳細は時間の許す限り見ていただければと思いますが、次にいかせていただきまして、20ページ目、こちらが先ほど来申し上げております、特に7月豪雨では多くの自治体が被害を受けました。この機会に、多くの自治体で災害廃棄物処理計画の策定も進んでおりますので、この計画がうまく活用されたのか。活用されなかった場合にはどういう課題があったのかというところを振り返ってみようということで、こちらの検証作業を進めさせていただきました。
ただし、これはまだ発災後間もない時期にやっておりますので、具体的に被災自治体へのヒアリング等を経ていない、こちらが入手できる支援に行った関係者ですとか、もしくは入手できるデータを元にしたものであるということをご注意いただければと思います。
今後、被災自治体が落ちつかれたところで、ヒアリング等をすることで見えてくる部分もあるかと思いますので、それを前提に見ていただければと思います。
整理事項ということで、真ん中に書かせていただきまして、先ほどの技術ワーキング、牧先生のお調べになった部分と重複する部分もあろうかと思います。ですので、その記載したものが、実際、発災後にどういうふうに機能したかという点も含めて見ていったというのが、こちらかと思います。
情報の収集方法は先ほど申し上げましたとおり、被災自治体にはまだ十分にアプローチできていないというところを前提にしていただければと思います。
一番下に、調査対象とする被災自治体ということで、特に今回の7月豪雨で災害の大きかった3県を中心に対象としたというところをお示ししております。
次の21ページが、その検証結果ということでございます。
詳細は机上資料5等にもございます。本当に膨大な資料を調査していただいたところでございます。
21ページ、処理計画で機能した点ということで、当然のことながら、自治体によって随分違っていたわけですけれども、ざっとまとめたというのがこちらになっておりまして、例えば廃棄物処理施設の被害状況の把握に関しては、これは全てでできていました。
それから、仮置場の設置。これは、概して処理計画を事前に策定していたところで、仮置場の設置時期が早くスムーズにできたというところを、まとめさせていただいております。
それから、運営に関しましても、事前の計画がうまく活かせているところもありましたというところでございます。
一方で、処理計画で機能しなかった点というのも多々見えてまいりました。特に庁内体制の構築におきましては、計画どおりの体制で対応している自治体はほぼなかったということでございまして、これをどう見るか、実態に合わせてもう一度計画を見直すという考え方もあるでしょうし、より理想的に、もしくはその災害がもっと大きな規模だったときに、本当にどうだったかという検証も個々に必要かなと思っている点ではございますが、体制の構築というのは一つ課題であろうかと思います。
それから、片づけごみの収集運搬ということに関しましても、住民の方がすぐに出される、ボランティアの方と一緒に出されるような片づけごみを意識して記載している自治体があまりなかったというところもございまして、ここには課題があったということで、今年度、この点については特に注力して整理を行っておりますので、後でもご紹介させていただきたいと思います。
それから、仮置場関係でございますが、こちらも十分に記載をして、それを運用できているという状況ではなかったということ。それから、住民、事業者、ボランティアの広報についても、課題があったということを挙げさせていただいております。
また、最後に、処理計画がなかったために、初動対応ができなかったのではないかというような課題も同時に見えてきておりますので、やはり処理計画ありき、それを我が事にして、実際に発災したときに使えるように、いかに見直し・訓練も含めてやっていくところが課題であるということが、全体としては見えてきたのかなと感じております。
次、22ページ目。いま申し上げました片づけごみに関しては、これまで記載もなく、自治体がどうしても後手に回ってしまうということがございましたので、今年度、しっかりと重点的に検討させていただきました。
いろんな事例がございまして、皆様もまだご記憶に新しいかと思いますが、さまざまなところでいわゆる勝手仮置場的なものが発生してしまい、その後の収集運搬・処理にも影響を及ぼしたというところがございまして、それを受けまして、しっかりと考え方を整理しようということで、検討した次第です。
その全体像というのが23スライド目にございます。
まず、一番上の部分、小さな字になっておりますが、ここに前提条件、留意事項をまとめておりまして、基本的には片づけごみのステーション回収は避けるということを、この中では一つの判断としております。
そんな中で留意すべき事項ということで、まず1点目は、意思決定者を含めて回収戦略を検討することができる庁内体制をきっちりと構築しておくと。先ほど庁内体制の構築がなかなか難しかったという話がありましたが、ここをしっかり踏ん張ってやっていただくということが大前提である。
それから、留意事項2ということで、特に週末、祝日等に片づけごみがどっと出ますので、そこは一つの基準として、それまでにしっかり出せるようにするという点。それから、弱者への対応もしっかり考えるという点。こういったあたりを全体の共通事項として留意をしながら判断していきましょうということにしております。
左の上のほうに災害の処理、規模ということがございまして、発災直後に片づけごみの排出量、それから排出時期、先ほどの週末というのもございますけれども、それを想定した上で、右のほうに矢印が伸びておりますが、排出量が多く、排出時期が早い場合は、もう戦略1が必須だろうと、もうすぐに判断するべきだということで、こちらは自治体が設置、管理する仮置場に、住民に基本的に搬入してもらうという戦略1をすぐに準備しようというのがこちらでございます。
一方で、排出量がそこまで非常に多くないと。それから、若干時間に余裕がある場合は、幾つかのオプションを検討するという時間を設けられるであろうということで、下のほうに矢印を伸ばしております。そこでは判断要素を面積であったり、道路の状況とか、そういうものを見ながら適切な判断をすると。その場合は、戦略1というオプションもありますし、もう一つの戦略2というのも加えております。
戦略2は、町内会ですとか自治会が設置した集積所、これは原則として、そのコミュニティーでしっかりと管理していただくという前提でございますが、そういうところも回収の拠点とするということを認めるという、そんな方針を戦略2とさせていただきました。
もちろん、戦略1が優先されるべきだとは思うんですけれども、諸事情を鑑みて戦略2という選択肢もあるだろうと。
それから、戦略3としては、この戦略1と戦略2を併用する。最も現実的な考え方かもしれませんが、そういう考え方も残しているというような状況でございます。
それ以降、24ページに戦略1を図とかも含めまして整理をさせていただいております。実はこれ、前回の委員会の中でも若干ご紹介しておりますので、ちょっと詳細は時間の関係もありますので割愛させていただきまして、25ページは戦略2、そして26ページは戦略3となっております。
戦略3は前回なかったので、つけ加えさせていただきますと、戦略1をベースとしつつ、戦略2も組み合わせる。加えて、ここでは直接搬入可能なものに関しても、一つの方向性として考えようということで、ものにもよるかもしれませんが、例えば畳ですとか、ずっと仮置場に置いておくようなことが適切でないけれども、既存施設で処理できるかもしれないようなもの、そういうものは直接搬入、住民もしくは自治体が個別回収して、搬入するようなこともあり得るんではないかと。
先ほどの目黒先生の生活ごみの量が変わるであろうというようなときにも、もし余力があれば、こういうものも既存施設へ流していくという可能性もあるのではないかというような、そんなオプションも残させていただいております。
27ページ、このあたりは時間の関係で割愛させていただきたいと思いますが、最後に28ページということで、まとめさせていただきました。
今年度、いくつか具体的に自治体に使っていただける片づけごみ等の回収計画であったり、もしくは実際の災害時に処理計画でどういうことがどういう状態であるとうまく活用できたかといったような提言ができるかなと思っておりますので、これを効果的に地域ブロック協議会等を通じてフィードバックしていきたいと考えております。
特に片づけごみに関しましては、技術資料に追加をして、速やかに自治体の計画に活かしていただけるように、知見を共有したいなと考えております。
また、今年度の検討結果、加えまして、さらに自治体へのヒアリング等を進めることで、より効果的な計画、支援等のあり方についての検討を進めたいと感じております。
また、最後に、住民、それからボランティアの方々、多くのステークホルダー等の方々への災害ごみの認知というのは、やはりまだまだ、今年度大分広がったものの、やっぱり誤解等も多いかと思っておりますので、主流化に向けた情報発信等についても、しっかり取り組んでいきたいと考えているところでございます。
私からは以上になります。
(酒井座長)
浅利先生、どうもありがとうございます。
それでは、今回の地域間協調ワーキングは平成30年度の災害対応を中心に検討いただいておりますので、次の議事ですね。3番目、近年の自然災害における災害廃棄物対策についてということで、資料3を環境省で準備をいただいておりますので、その説明をいただいて、その上で議事2、3合わせてご審議いただきたいと思います。お願いいたします。
(福永災害廃棄物対策室主査)
それでは、環境省から、資料3について、ご説明させていただきます。
まず、2ページ目ですね。ご覧ください。
今年度発生した主な自然災害ということで、今年度の災害を整理しておりまして、損壊家屋棟数だったり、被害の特徴をまとめておりますけれども、主に処理の状況をご覧いただければと思います。
大阪北部地震につきましては、片づけごみの撤去は完了、そして、処理施設は概ね復旧済みということになっております。
また、7月豪雨につきましては、身近な仮置場からの片づけごみの撤去は完了ということで、こちらは後ほど詳しく説明をさせていただきますので、一旦ここは割愛させていただきます。
続きまして、平成30年の台風第21号ということで、こちらも片づけごみの撤去は完了、そして処理施設は概ね復旧済みという状況でございます。
続きまして、平成30年北海道胆振東部地震でございますけれども、こちらも片づけごみの処理は概ね完了ということで、損壊家屋の撤去・解体については、今、降雪シーズンということですので、シーズン終了後に本格実施をしていくということで、処理施設については全て復旧済みという状況でございます。
続いて、台風第24号でございますけれども、こちらも片づけごみの撤去は概ね完了ということと、処理施設については全て復旧済みとなっております。
続いて、3ページ目ですけども、こちらは災害廃棄物の発生量、推計量をお示ししておりまして、平成30年7月豪雨につきましては、推計量の見直しが随時されておりまして、被災3県で180万トンというところで推計がされております。
続いて、4ページ目、ここから被災3県それぞれの処理の進捗状況をまとめております。
まず、4ページ目は岡山県における災害廃棄物処理進捗状況ということでまとめております。
処理フローは、県の処理実行計画から引っ張ってきておりますけれども、処理の進捗状況ということで右の表にまとめておりまして、発生推計量と処理量ということをお示ししておりまして、進捗率としては35.3%ということになっております。
また、損壊家屋等の解体状況につきましても、(2)の表でまとめておりまして、進捗率としては37.3%ということになっております。
続きまして、5ページ目ですけども、広島県における災害廃棄物処理進捗状況ということでして、フロー図は県の処理実行計画から引っ張ってきておりますけれども、(1)の表で処理状況は進捗率としては26.8%、そして、損壊家屋等の解体状況は42.5%という状況になっております。
続いて、6ページ目ですけども、愛媛県における災害廃棄物処理進捗状況ということで、愛媛県の公表資料から引っ張ってきておりますけれども、災害廃棄物の処理状況は50.6%、そして損壊家屋等の解体状況は23.0%という状況になっております。
続いて、次のページ、先ほどの地域間協調の資料でもあったんですけれども、台風21号から下に誤りがございまして、台風21号と北海道胆振東部地震と台風24号は、1カ月ずれておりまして、スタートが9月ということで申し訳ございません。1カ月右にずらして見ていただければと思います。
先ほど浅利先生からもご説明がありましたとおり、同時多発的に起きておりましたので、連続的、そして同時に被災地に派遣しなければいけなかったという状況でございました。
実際の7月豪雨の際の派遣体制が8ページ目ですけども、環境本省、そして地方環境事務所も環境省総出を挙げて対応しておりまして、また、災害廃棄物処理支援ネットワークのD.Waste-Netの方々にも協力いただいて、被災地の支援を行ってまいりました。
先ほどの体制にもありましたけれども、県庁にも張りつきつつ、また、被害の大きいところは市町にも常駐をして支援を行ってきたということで、総勢100名超の現地支援チームで対応していたというところでございます。
また、9ページ目ですけども、D.Waste-Netの主な活動実績ということで、今年度の災害における実績についてまとめております。被災地における技術的支援、そして相談窓口の設置、収集運搬に係る支援、広域処理に係る支援、そして廃棄物処理施設の復旧、そして悪臭・害虫対策の実施ということで、所属していただいている各団体にさまざまな面で活動をいただいたという表になっております。
おめくりいただきまして、10ページ目ですけども、その中の収集運搬につきましては、全国都市清掃会議との調整もさせていただいて、各支援自治体から被災地に収集運搬車両だったり、人的な支援をしていただきまして、災害廃棄物の収集運搬体制を確保しております。
また、おめくりいただきまして、11ページ目ですけども、収集運搬に係る支援で、こちらは民間団体の支援ということで、片づけごみの収集だったり、し尿の処理という点で、さまざまご協力をいただいているというところでございます。
説明は以上になります。
(酒井座長)
どうもありがとうございます。
それでは、二つの説明を合わせまして、ご質問、ご意見、承りたいと思います。
また、ご意見のある方は札を立てていただけませんでしょうか。
じゃあ、大熊委員から順に回してまいりますので、一通りご意見いただいて、あと、まとめて審議ということにさせていただきたいと思います。お願いいたします。
(大熊委員)
ありがとうございます。
質問が1点と意見ですけれども、質問が23ページの地域ワーキングについてです。
片づけごみの回収戦略の検討で、戦略1は自治体が主体になって仮置場を設置していこうということで、これは当然一番重要なところだと思うのですが、戦略2ですね。自治会ですとか、要は地域のそれぞれのコミュニティーが作って、それを認めていくという流れだと思うのですが、これはいわゆる勝手仮置場みたいなもので、自然発生的にできちゃうものを含むのか、それとも、町内会の会長などの役員の人が、我々のところはここを仮置場とするんだぞというのを決めてつくるものなのか。
そうした場合に、その管理ですね。実際に役員の人たちがずっと張りついてやるというのは不可能だと思うのですが、その管理についてはどんなイメージなのか。
あとは、市町村との連携です。そういうものを市町村が認めていくという形なのか、単なる情報をできたらもらうという受動的なものなのか。どんなイメージをされているのかということが質問です。
意見としては、全都清も収集車両の支援を全国の市町村に協力をしていただき実施したわけですけれども、こちらの報告書のところにも書いてあるのですけども、実際は直営の車を持っている自治体しか支援が難しかったわけです。政令市の中でも100%委託をしている都市は、「お願いするよ」と言うのですけども、なかなかすぐにというわけにはいかないわけです。そうすると、今後も支援ができるような自治体は限られてきていて、今回もそうだったのですが、真備のあれだけ広いことになりますと、長期間の派遣ということにもなるので、それなりに体力がないと支援ができないというようなこともあって。ですから、そういったものは当然、効率化の中で委託化されていくという流れなのでしょうがないと思うのですが、一つ提案ということではないんですが、自治体では厳しくなっているので、車両機材ですね。環境省は直営部隊を持っていないので非常に厳しいと思うのですが、一番いいのはブロック毎に車を、特にパッカー車の中でもプレスパッカー車がいいんですね。破砕ができるので。それも、各自治体もなくなってきているという状況もあって、何かそういう機材の備蓄の方法を、今後、自分たちが国でやるということもあるかもしれませんけども、例えば、震災のときのコンテナがありましたよね。あれも実は横浜が今、所有権をもらっているのか分からないですけど、自治体が持っていて、メンテもやってもらって、いざというときにはその機材を投入すると。国の指示のもとに投入するとか。自治体でそれを管理するところもあり得ると思うのですね。
自分たちが持つだけじゃなくて、自治体をどういうふうに使うのかということも含めて、今後検討いただけるといいのかなと思っています。以上です。
(酒井座長)
ありがとうございます。
大迫委員、お願いいたします。
(大迫委員)
1点だけですが、本当に網羅的にいろいろと議論いただいて、いろんな教訓、今後に向けての整理も行われていると思います。
地域協調のワーキング、18のスライドで、現地支援チームのオペレーションマニュアルを整理、提案いただいていて、その中のD.Waste-Netですけども、今回の7月豪雨の場合はこういうような形で役割分担があったと思いますので、それをルール化していくことはよろしいかと思うのですが、もう一つご提案のあった自治体の経験者とかOBの方々にどのような役割をやっていただくのか。これは、今後人材バンクの中で、どういった方がどれぐらい集まってくるかにもよると思うのですが、私の意見としては、環境省が及ばないところにリエゾン機能プラス、自治体の方々のマネジメント面への助言、相談役みたいな方が、それぞれの小さな自治体にも配置されて、リエゾン機能も果たす中でやっていくというのが一つの姿かなとも思っております。それをD.Waste-Netの中に位置づけるのか、何かしら環境省からの委嘱の中でやっていくのかは分からないですけど、もう少し人材バンクの方々をどう活かしていくのかということも、今後検討いただけるといいかなと思います。以上です。
(酒井座長)
ありがとうございます。
中林委員、お願いいたします。
(中林委員)
中林です。
先ほどの連携のほうの検討、随分興味深く伺いました。
資料で言うと23ページに検討事項3があって、片づけごみの戦略検討ということで、戦略1、2、3とあるんですけども、この戦略1というところに、ボランティア等を含めて、自治体が指定する仮置場へ住民側に搬出してもらうということと、それから留意事項2というところに、最初の週末とか祝日がどっと増えると。これ、リンクするんですよね。最初の週末にボランティアがわっと行って、被災者はとにかくうちの敷地とか家の中から出してよという話になると、それがどっと道路にあふれてしまったりとか、それを持っていく仮置場を最大5、6日で指定しないと、この戦略1というのはかなり難しいのかなという気がするんですね。
そういう意味で、全体にタイムラインというか、時間軸を入れたときに、数日で何ができるのかということを、特に市町村に対して示していくということが、あるいは、そこに気がついてもらうということが、すごく大事と思うんですね。
先ほどもBCPという話が出てきましたけれども、BCPというのは機能を継続するという、業務を継続と言っていますが、ごみ処理という機能を継続するということが、ここでのBCPということになるんだと思うのですけれども、被災していない方から生活ごみがずっと出続けていて、災害が発生すると、そこに災害ごみが加わってきて、それをどう処理するかということが、もうシームレスにつなげていけるかどうかというところの勝負がBCPなんだろうと考えています。
そういうことで見ると、実態として被災地では戦略2に入ってしまっていた。これをいかに1に戻すか。戻すというよりも、1をいかに実現するか。そういう点で考えると、多くの災害廃棄物処理計画で、2週間目以降というのが充実しているんですけど、発災から2週間目まで何をやるかというところに、一つ焦点を当てた取り組みを示してあげるということが、自治体にとっては大事かなと。
特に処理計画を作っていない自治体が、なぜ処理計画を作らなきゃいけないかということの気づきに対しては、「あなた、明日被災して、明後日からどういうふうに処理するの」ということに気づいてもらうことが大事だろうと思うんです。
そういう意味では、BCPという名前が馴染むのか、あるいは初動対応マニュアルの方が馴染むのか分かりませんが、片づけごみの戦略に対して、重要な意味を持ってくるのかなと思ったんですね。
もう1点だけ、最初に気付かせるためには、地方自治体の立場に立つと、何もやっていない人にグッドプラクティスを見せても意味が分からないんですよね。つまり、何もやっていない人には、「あなた、何もしていないから、こんなになっちゃうよ」というバッドプラクティスを見せることが非常に効果的なので、策定ガイドラインはともかく計画を作ってもらうガイドラインなのだから、バッドプラクティスを反面教師として載せること。
もし今後、改定ガイドラインを作るとすると、改定ガイドラインにグッドプラクティスをたくさん載せて、こういう例があるんだから、こういうふうに改訂しなさいよというガイドに持っていくような、ちょっと浅利先生の検討から外れちゃったかもしれませんけれども、そんなことを思いながら伺いました。
(酒井座長)
ありがとうございます。
牧委員、どうぞ。
(牧委員)
2点ですが、基本的に中林先生がおっしゃっていたことと同じで、どうすれば混合化させないのかということがすごく重要かなと思いまして、環境省の資料を見ると、4ページに岡山で6万1,000トン、広島で1万4,000トンの混合廃棄物が出ていて、愛媛が書いていないのですけども、今後どれだけうまくやったのかという、もしかすると愛媛はそういうことの認識がないのかもしれませんが、今後どれだけうまくやったのかの指標として、混合廃棄物量がいくらだったのかと。それで補助金にたかをつけるというわけにはいきませんけど、資料があるのであれば、この混合廃棄物がどれだけ出ているのかということに注目するといいのかなと。それで、各市町村のデータがあるのであれば、その混合廃棄物が少ないところに着目して、そこがうまいことやったのか、やっていないのかみたいなことがいいのかなと1点思いました。
2点目ですが、連携でボランティアは書いてあるのですけど、真備の最後全部どけたのは自衛隊だと思うんですが、全部まぜてぐしゃっと積んでいるので、自衛隊との連携とか、おそらく今後もお手伝いをいただくのであれば、一番話をしやすいし、指揮命令はしっかりしている組織ですから、どうするのかみたいなことは一つあってもいいのかなと思いました。以上です。
(酒井座長)
ありがとうございます。
安富委員、どうぞ。
(安富委員)
安富です。
2年間、地域間協調ワーキンググループに入っていて思ったことが、21ページの庁内体制の構築というところが、僕が一番感じたところなんですけども、特に初動において、平時における災害廃棄物部局の体制の延長で対応したというところがね。
これが、どういうことかというと、やはり災害対策本部の中で、いわゆる廃棄物部局の役割があまり強く出ていない。去年は熊本県、今年は九州北部の朝倉市の職員が来られていて、災害対策本部の中で、どういうふうに災害廃棄物処理に重きが置かれたかというのをあえて聞いてみたら、朝倉市の場合は首長が結構ごみのことについておっしゃってくれたので、非常にアピールができたという話をされていましてね。例えば災害対策本部の中に国からのリエゾンとして来られる国交省は非常に発言力が強いけど、環境省はまだまだだというような話も出ていたので、やっぱり大きな声で言ってもらうと、言葉は悪いですけど地位が上がるというか、そういうのがある。
この庁内対応の構築のところを見ると、特に防災の関係で昔よく言われているのは、平時の延長で対応しようとするとうまくいかないと。これは同じことになっているので、災害対策本部の中で、例えば災害廃棄物に詳しい方がしっかりと首長にアドバイスをしてもらうと。
朝倉市の方が非常に難しいとおっしゃっていたのは、3日間ぐらいは人命優先だと。でも、その次はインフラになって、ごみのことがほとんど出てこないという状況の中で、私が思ったのは、やっぱり早い段階からごみのことは大切だよとアピールしていったほうがいいかなということを言いました。
もう一つは、先ほど中林先生もおっしゃったのですけど、私もボランティアで真備に行ったときに、最初の片づけボランティアというのは、基本的にはごみを出す仕事がほとんどなんですね。ただ、ワーキングの中でも言ったのですけど、家の前までごみを出していると。勝手置場みたいな形になって、真備がああいう形になったと思うのですね。
そうすると、やっぱり平時からボランティアセンター等でボランティアを派遣するときに、ごみは例えばどこにどういうふうに持って、どういう処理をしたほうがいいということをもっと啓発したほうがいいんじゃないかなと。
今、個別のニーズでボランティアは動いているので、もう少し地域、例えば自治会というのがありましたよね。自治会レベルのニーズでごみの処理をしてもらって、自治会で処理をしていくと、もう少し勝手的なことにはならないんじゃないかなと思いました。以上です。
(酒井座長)
ありがとうございます。
吉岡委員、どうぞ。
(吉岡委員)
特に支援のところで、いろいろな情報等を整理してまとめていただいたと思っておりますが、災害が起こる度に支援側からいろいろお話を聞くと、やっぱり受援側のほうで支援をどういうふうにきちんと酌みとっていただけるのかというような、これからの取り組み事項になるのかもしれませんが、ぜひ、受援側の体制を地域間の中でご検討いただけたらなと。
ひょっとしたら、ここの中で支援するのと相反する部分がありますので、一緒に議論されているのだと思うのですけれども、ともすると、受ける側のほうでは、言葉が悪いですけども、上から目線的に経験されたところから言われるのに対して、ちょっと現場も分からずにという話になってくると、そこはミスマッチにつながってしまうかなという話も聞いておりますので、ぜひ、受援側の視点からもおまとめいただけると、次につながるのではないかなと思いました。
(酒井座長)
どうもありがとうございました。多くのご指摘をいただきました。
それでは、まとめて、まず、浅利委員のほうから、いただいたご意見の中でご回答いただける点、それから、その後は環境省のほうからという形で回したいと思います。
(浅利委員)
では、ご回答といいますか、私の考えを含めてお話ししたいと思います。
まず、大熊委員からございました、片づけごみの戦略2の管理、一体誰がどうするんだという話、中林先生からも関連したご質問があったかと思いますけれども、原則としては、やっぱり自治会であったり、コミュニティー、そこにボランティア等の支援も入って運用するということをベースには考えておりましたが、今後、実際の災害も踏まえて、検討していく部分かなと考えております。いずれにしても、絶対にいわゆる勝手仮置場にならないことを大原則に運用することを明記していきたいと考えております。
それから、直営が減って収集支援に限界があるというお話もそのとおりだと思います。私もアンケート調査をしますと、全市町村の中で2割ぐらいしかこういう支援ができないというご回答をいただいたアンケート結果もございました。
ただ、こういう車両派遣という支援だけでなく、ロジ面であったり、運用を支援するという支援もノウハウを継承していく上でも重要だろうという話もございましたので、それぞれにできる形でしっかり、多くの自治体に支援にも行っていただけるようにするということはポイントかなと考えております。
また、車両以外になってしまうのですけど、熊本の災害で使用した中間処理設備を7月豪雨で活用したという事例も出てきておりますので、そういうハード面での融通というのも今後検討の余地はあるのかなと感じておりますが、まだ十分に議論ができていない点でございますので、今後と考えます。
大迫先生からのD.Waste-Netの中での自治体OB等の活用は、私もそのような形で、リエゾンプラス自治体の相談役といいますか、しっかり寄り添っていくという位置付けができれば非常に心強いのかなと考えておりますので、今後、具体的な検討を進められればなと思います。
中林先生のご指摘の、特に戦略1を実現するために、いかにタイムラインを考えて、自治体の方々、それから自治会、そしてボランティアと連携していくかというところは、そういう方向で検討しようとなっておりますので、また、ぜひ次年度以降、先生のご知見も踏まえて、BCPとも連携した検討ができればと思いますので、どうぞご指導よろしくお願いしたいと思います。
おっしゃるとおりでバッドプラクティス、今回たくさんあった。あれで、だいぶ自治体の方々の意識が変わったなと感じておりますので、この機を捉えてやっていきたいと思いますので、ご指導をお願いいたします。
牧先生からの混合物を指標化できないかというお話も、初動体制をどう評価するかはなかなか難しいのですけども、念頭に見ていかなければいけないなと思いましたし、自衛隊との連携、人命救助優先というところではございますが、実際に議論の中では、キーワードとしては出ておりましたので、ただ、私自身もなかなかこのあたりの力学といいますか、どこまでどういうことをお願いしていけるのかというところの知見がないので、ぜひインプットをお願いしたいと思っています。
そして、安富先生とはかなり議論させていただいていますので、次年度のポイントを言っていただけたかなと思いますが、最後の吉岡先生の受援体制、これは、自治体とか、誰をどういうふうに受援するかというところで、かなり検討にもムラがあると認識しておりますので、ここも次年度以降しっかりと整理をして、取り組められればなと思います。ありがとうございます。
(酒井座長)
ほぼ全発言触れられましたけども、どうぞ、環境省。
(西川災害廃棄物対策室補佐)
数点補足のみで簡潔にと思っております。
浅利座長、ありがとうございました。
いくつか追加で申し上げるとすれば、大熊委員からございましたプレスパッカー車を初めとする車両の備蓄といった観点でございます。
環境省には直営部隊がないところでございますので、すぐさま備蓄ということ、ハードルは高いのですけれども、まずは支援の効率化によるミスマッチの減少であるとか、民間団体の活用というところでの、自治体だけに頼らず全体として支援が賄える体制づくりというのを頑張っていきたいと思っておりますが、その中でも検討の選択肢として、考慮に入れていきたいと思ってございます。
また、大迫委員から人材バンクの活用・検討、安富委員からもマネジメント、災害対策本部での地位の向上、吉岡委員からも、受援側の酌みとりといったところで、まさに人材バンクで育成していきたい、あるいは自治体や循環学会にご協力いただきたい人材として、マネジメントの支援ができる人材ということもございますし、一方で専門分野に特化したサポートというのもかなり評価をいただいているところでございまして、例えば家屋解体の専門的知見であるとか、土砂撤去の専門的知見、そういった形で人材バンクの中でも得意分野を明確にしながら、かゆいところに手が届く体制を考えていきたいと思います。
受援側につきましても、その受けとめについて、来年度ヒアリング調査をかけたいと思っておりまして、そういったところでの受けとめ、それに対しての改善は考えていきたいと。
最後、中林委員からいただきましたご意見は、まさにそのとおりでございまして、BCP、あるいは初動対応の手引といったものにつきましては、中林委員のご指導をいただきながら別途検討を進めているものでもございますので、この地域間協調ワーキングの検討ともうまく連動しながら、形にしてまいりたいと思ってございます。
(酒井座長)
ありがとうございます。
もう1点、自衛隊との連携、ここは環境省しかお話しできませんので、お願いいたします。
(西川災害廃棄物対策室補佐)
すみません。大事な部分が漏れておりました。
自衛隊との連携につきまして、まさに防衛省との間で協議を開始してございます。今回の7月豪雨の経験を踏まえて、より標準化していくということで、その標準化のためにどういった連絡体制ができるのか。あるいは分別につきましても、全部混合化しているというお話もありますが、自衛隊との間での現実的な分別の対応について、どこまで可能かといったところを今後協議を進めていきたいと思ってございます。
(酒井座長)
どうもありがとうございます。
それでは、中林委員、どうぞ。
(中林委員)
資料3の近年の自然災害というほうですけども、5ページに広島県における災害廃棄物処理進捗状況という図があって、この一番下の表を見ると、発生量119万トン、約120万トンに対して、処理量30万トンと。
さきほど牧先生のところでちょっと議論になった、災害廃棄物量と処理量のギャップは何かという話をしたのですけど、この表で見ると、二次仮置場のところに土砂90万トン、がれき17万トンということで、そのほとんどが埋立処分、最終処分へ行ってしまうと、処理なしでですね。その部分というのが、この表で見る限り処理量と排出量のギャップなのですよね。
そういう意味では、災害の形態によってはこういうものが出て、先ほどの3億2,600万トンは、東日本の10倍なんですよね。そこには津波堆積物も含めて、大量の土砂・がれき類というのが発生して、でもこれはどこかに搬出して、最終処分をしなきゃいけない。そういう課題が含まれているという理解でいいのでしょうか。
(西川災害廃棄物対策室補佐)
5ページ目のスライドについて、補足をさせていただきます。
二次仮置場の土砂やがれき量につきましては、県が推計している現時点の推計量でございますけれども、現時点での処理をしているものは、特に腐敗が早いもの、可燃物などを中心に先にやっておりますので、土砂・がれきについてはこれからというところでございます。
ただ、そうは言いながら、そのまま最終処分をするということではありませんで、破砕や選別をした上で、異物を除去したものを埋立材として活用したり、広島県の場合は埋立処分の割合が多くなってございますが、他の2県につきましては再生利用、土木資材としての活用も含めてやっていくということでございます。
現状として、一次仮置場の撤去はほぼ概ね完了しておりますので、二次仮置場における分別と、その後の処分ないし再生利用はこれからということで、先ほどの3億2,000万トンの内の要処理可能量とはまた少し違う現在の進捗ということで見ていただければと思っております。
(中林委員)
そうすると、さっきの計画で言うと120万トンが処理量だということですか。
それ以外に膨大な推計がなされているその中身は、やはり明らかにしていないと非常に大きな課題を残すかなと思いました。
(酒井座長)
南海トラフに関しては、また精査をしていきながらということになると思います。あと、東日本でこの関係を一番ご経験された勝見先生から補足をいただきます。
(勝見委員)
東日本大震災のときは、皆さんご存じのように、災害廃棄物に含まれた堆積物、土砂を分別して、再生して使われたということでございます。
これも、全ての場合使うべきだということではなくて、それぞれ自治体のいろんなご事情とか、それから災害の様態といったもので土砂を再生する、あるいは再生してどんな状態かということもいろいろ状況が違いますので、一律にどうだということは言えないんですが、やり方としてはそういうやり方もあるということかと思います。
そういう土砂を使うということになりますと、腐るものではないので、復興事業に使うということになれば、その部分はゆっくり進めてもいいのかなということで、初動の「最初、どうするんだ」と「早くやらないと」という話もございますけれども、そういう側面と、ある意味別次元のゆっくり、じっくり進めていくといったところともめり張りをつけてということも、ご理解いただければという具合に思います。ありがとうございます。
(酒井座長)
どうもありがとうございます。
それでは、今日用意いただいている議事はあと3点ございます。それで、実は1時間45分もここで経過しておりまして、残りの3件、連続して説明をいただいて、その上で総括的なご意見を頂戴したいと思います。
まず、処理計画の策定状況及び今後の策定率向上に向けた取組というところで、四つの概念の資料を説明ください。
(鈴木災害廃棄物対策室主査)
それでは、資料4、災害廃棄物処理計画の策定状況及び今後の策定率向上に向けた取組ということで、ご説明させていただきます。
資料4、1ページおめくりいただきまして、今年度、自治体における災害廃棄物対策の取組状況調査についてということで、調査の概要をまとめています。
現在、まだ回収を進めている自治体がございまして、回収率が100%になっていませんので、速報値という形でご報告をさせていただきます。
調査の期間につきましては、昨年の10月から12月に実施しておりまして、今現在回答をまとめています。
調査項目は7項目やっておりまして、特に今回2番目の災害廃棄物に関する計画の策定状況、それから3番目の災害廃棄物処理計画の策定における課題というところをまとめていますので、その点を中心にご報告させていただきます。
3ページ目のスライドになりますけれども、全体の計画の策定状況の速報値ということで、一番右端のグラフの棒になりますけれども、平成29年度末の状況につきまして、都道府県が現在87%、市町村が28%という状況になっています。
前年度からの履歴を見ますと、増加傾向になっていますけれども、第四次循環型社会基本計画に基づく2025年度目標ということで、市町村が60%、都道府県が100%という形で設定していますので、それに向けてはまだまだ策定率向上に向けた取り組みが必要という状況です。
下の欄が、南海トラフの地域のところと、それから首都直下の地域のところに限定して策定率の状況をお示ししたものとなっています。
4ページにまいりまして、こちらからは市区町村の計画の策定状況ということで、人口規模別に分析をかけたものです。こちらもまだ速報値という形になっていますので、今後状況が変わりますけれども、特に10万人規模のところ、それから10万人以上50万人未満の自治体は、策定率を今後さらに上げていく必要があるというところが数字からも出ています。
下の欄が課題というところで、棒グラフを載せています。
専門的な情報や知見が不足しているというところでは、小中規模の自治体につきましては、課題として特に強く挙げられています。
それから、下の欄にいきまして、作成に当たる職員や時間を確保できないといったところが、小中規模の自治体では特に強い課題として出ているところです。
5ページにまいりまして、今後の災害廃棄物処理計画策定率向上に向けた取組ということで、目的、目標の欄でございますけれども、7月豪雨を初めとした平成30年の災害におきましては、被災自治体の多くが災害廃棄物処理計画を作成しておらず、初動対応の遅れが指摘をされたというところです。
それから、先ほど申しましたとおり、第四次循環型社会推進基本計画に定める2025年度の目標達成に向けて、さらなる向上が必要であるというところがございます。
課題としては、小中規模の自治体においてはマンパワーが限られるというところ、それから策定に係る知見がないといった課題が挙げられておりまして、中小規模の自治体へのアプローチが特に必要となっています。
今後の取組でございます。
中小規模の自治体における処理計画の策定推進に向けては、都道府県のリーダーシップのもと、都道府県下の処理計画未策定の中小規模自治体を対象とした処理計画策定推進事業を進めていくことを考えています。
こちらは防災、減災、国土強靭化のための3カ年緊急対策の一環という形で、環境省がモデル事業として選定いたしまして、実施を支援してまいります。
具体的には、処理計画策定の標準ワークシートを作成いたしまして、対象自治体が一堂に会する研修形式等を地方環境事務所、都道府県とともに設定いたしまして、処理計画案を策定してもらうといった手法を検討しています。
資料4の説明は以上になります。
(酒井座長
では、引き続いて、資料5をお願いいたします。
(福永災害廃棄物対策室主査)
続いて、資料5について説明をさせていただければと思います。
資料5の3ページ目をお開きください。
こちらは、災害廃棄物対策推進シンポジウムということで、概要をお示ししておりますけれども、今年度は官民一体となった災害廃棄物対策の推進ということで、冒頭には牧先生から基調講演をいただきまして、また、民間団体からは日本災害対応システム、自動車リサイクル促進センターから講演をいただきました。また、自治体ということで、朝倉市から実際の災害の対応経験を踏まえて、ご講演をいただきました。来年度も、また、引き続き開催してまいりたいと思います。
おめくりいただきまして、4ページ目でございますけれども、こちらは環境省の内部ではありますけれども、環境省の災害対応能力の向上ということで、環境省職員、地方環境事務所も含めて災害対応能力向上に向けた机上演習を実施しております。
こちらにつきましては、災害廃棄物に限らず、ペットだったり、有害物質、熱中症対策といったものも含めての対応をしております。
こちらは今年度開催してまいりますけれども、来年度以降も引き続き開催をし、今後は自治体だったり、D.Waste-Netとの連携も含めて、検討していきたいと思っております。
続いて、5ページ目でございますけれども、こちらは環境省本省での主な取組についてお示ししております。
1番上の項目、自治体の支援というところでございますけれども、まず1点目は技術資料の改定ということで、これまでの災害対応の経験を踏まえ、収集運搬だったり、仮置場だったり、そういったところに係る記載事項について更新改定を行っております。
2点目につきましては、東京都特別区と連携しておりますけれども、首都直下地震対応について、検討に必要な基礎情報の調査を実施しました。
3点目でございますけれども、こちらは災害廃棄物処理計画策定支援のための標準ワークシートということで、先ほど説明がありました、来年度に向けて処理計画策定の促進を進めていくためのワークシートを作成しております。
その下、発災後の対応強化というところでは、廃石膏ボードの関係ですね。こちらは災害時の再生利用の促進を目指した課題に係る調査を実施しております。
また、D.Waste-Netの現地支援体制の強化というところでは、課題として役割分担、支援のマッチング、情報共有といったところが意見交換で上がってきておりますので、それぞれの対応に向けて検討を実施しているというところでございます。
また、その下、データ利用の強化というところでは、人工衛星関係でいきますと、今まで人力でやっていたところを、AI技術を活用して推計をしていくというところを検討していたり、その下のITを活用のところでは、現地支援において使えるデバイスアプリの開発を行っております。
また、災害廃棄物発生量の推計というところでは、熊本地震であったり、7月豪雨における発生量、原単位データ蓄積、検証というところで、島岡先生のもとで検討を行わせていただいております。
また、最後、国際支援というところでは、アジア太平洋地域における災害廃棄物管理ガイドラインの周知と、こちらの技術資料について、浅利先生のもとで作成を進めていただいているというところでございます。また、インドネシアの支援であったり、他の太平洋諸国における災害廃棄物処理計画の策定支援というものを行っております。
続きまして、地方環境事務所における取組について、紹介をさせていただきます。
7ページ目ですけども、地域ブロック協議会を設置しておりまして、こちらでは共同訓練の開催ですとか、自治体に対する処理計画の策定支援、訓練の協力を行っております。
具体的に実施した実績が8ページにございまして、それぞれ協議会の開催だったり、ワーキング、演習訓練、意見交換といったことを各ブロックで実施をしていただいております。
おめくりいただきまして、9ページ目ですけれども、地域ブロックにおきましては、各ブロックで災害廃棄物対策行動計画を策定しておりまして、全ブロックで策定をしているところではあるんですけれども、今年度の災害でそれがうまく動いたかどうかというところの検証も含めて、今後見直しを実施していきたいと考えております。
駆け足になりますけども、続いて10ページ目が今年度のモデル事業の実施状況でございまして、処理計画策定は今年度32件実施しておりまして、図上演習は3件を実施しております。
続いての2ページですね。一例として紹介をさせていただくんですけれども、11ページ目が新潟県の柏崎市、新発田市で実施した事例でございます。こちらにつきましては、災害廃棄物処理計画の骨子をお示しして、そちらをもとにモデル事業の対象自治体職員が自ら検討を進めるということで、実際に作業を進める中で実効性の高い処理計画の策定を目指すということで行ってまいりました。こちら、自治体によってはボリュームが多過ぎたり、こういう点をもっと検証する必要があったんじゃないかというところも出てきますので、こちらは来年度モデル事業を実施していく中では、反省点として踏まえながらやっていきたいと思っております。
また、最後のスライド12ページ目ですけども、こちらは静岡県での机上演習です。静岡県は非常に処理計画の策定率が高いということがございますので、そちらで実際自自治体の災害廃棄物処理計画を見ながら想定したシナリオに沿ってやっていったときに、ここの部分はうまくいく、ここの部分は足りないというところを、集まっていただいた市町村に検討していただいて、今後の見直しに結びつけるという机上演習を行っておりましたので、紹介をさせていただきました。
駆け足ですが、以上になります。
(西川災害廃棄物対策室補佐)
続きまして、資料6でございます。
資料6は、昨年度、この検討会でおまとめいただきました今後の検討課題に対して、本年度何を実施して、来年度以降、引き続き何に取り組む必要があるかという対照表の形で整理をさせていただきました。
昨年度の検討一つ目でございますけれども、さまざまに発生しております災害廃棄物対策について、共通の様式を用いて継続的に蓄積、検証をし、課題を整理し、アーカイブ化するということでございまして、これは今年度もやりましたが、引き続き継続的に蓄積していくと。特に同時多発的に発生した災害対応というところが、本年度の検証事項であったところでございます。
次に2ページ目でございます。
ボランティアとの連携につきまして、本年度、社会福祉協議会や内閣府防災、NPO団体など、全国規模での調整を開始したところでございます。こちらにつきまして、その連携を強化していくということを、来年度以降引き続きやっていくと。それをまた、自治体との草の根での関係強化ということにつなげていきたいと思ってございます。
また、それに加えて、関係省庁としまして、国交省や防衛省、自衛隊との連携強化についても本年度着手しておりますので、来年度引き続きやっていくとして挙げさせていただいております。
人材育成につきましては、先ほども話のありました人材バンクの構築であるとか、D.Waste-Netを含めた研修訓練の実施ということで、支援体制の強化を図っていくことを来年度以降のところに記載させていただいております。
その他、技術システム、あるいは制度の検討としまして、事業継続のためのBCPの検討であるとか、再生利用の検討につきまして、本年度に引き続きやるということ。
また、その次のページでも書いておりますけれども、ITを活用した情報共有システムといった最新技術の活用につきましても、来年度以降も引き続きやり、災害廃棄物処理の円滑化に向けた体制を構築していきたいと思ってございます。
技術システムの検討、地域間協調の検討につきましては、先ほど座長からご報告いただいたとおりでございます。
(4)D.Waste-Netの強化、4ページ目でございます。
こちらにつきまして、本年度意見交換会やシンポジウム、またパネルやパンフレットの作成等を行っておりますが、来年度以降、D.Waste-Netのリソースを最大限に発揮するという意味で、支援要請様式の統一、これはミスマッチをなるべく減らしていくということであったり、情報共有システムの整備ということで、中での連動体制を強化するということで、支援体制の構築強化を図っていきたい。また、それを地域毎の顔の見える関係づくりということで、地域ごとの支援ネットワークを強化していきたいと思ってございます。
国際貢献でございます。
本年度実施事項は、先ほど福永からご説明いたしましたので、来年度以降でございますが、引き続き太平洋諸国やアジア太平洋を中心とした災害廃棄物処理計画の策定支援を行うということ。また、政府の防災分野における海外展開戦略の中でも、災害廃棄物対策を位置づけました。それを今年度行いましたので、関係省庁と連携して、災害廃棄物対策も日本のノウハウとしての効果的な売り込みを行っていくことを推進していきたいと思っております。
地域ブロックレベルの検討でございますが、まさに本年度、技術ワーキングや地域間協調ワーキングでいただいたご成果を、協議会を通じて自治体にフィードバックをして、体制強化を図っていくということが大きなミッションであろうと思っておりますし、また、各ブロック協議会の中で、本年度の検証を踏まえ、行動計画の見直しを進めておりますので、そちらを引き続きやっていくということで考えております。
次のページでございますが、昨年ですね、政府全体の適用計画を作成されましたので、それに基づく地域毎の検討が進んでいく中で、関係計画の一体的な運用、また災害廃棄物対策は先行事例としても活用できると思っておりますので、そこの連動をしていきたいと思っております。
自治体レベルにつきましては、まさに処理計画の策定を加速化させるということ、また、その要処理検討量の対応ということで、民間事業者のノウハウの活用を強化していくということを考えてございます。
以上でございます。
(酒井座長)
どうもありがとうございました。
資料3点、連続してご説明をいただきましたので、どうぞご質問、ご意見、それぞれ本日最後のご意見ということになろうかと思いますので、お願いいたします。いかがでしょうか。
中林委員、お願いいたします。
(中林委員)
先ほど来、少しお話ししたことと若干かぶりますけれども、今お話しいただいた一番最後の自治体レベルでの検討というのは、その前の資料にありましたように、処理計画が市町村は非常にまだ策定率が低い。1,700で470ぐらいしか策定していないということですので、特に小さい自治体の取り組みが非常に難しいという状況で、これはいろんな他の計画も同じ傾向にあるんだと思うのですね。
今日いただいた、この今後の取り組むべき事項という中に、国土強靭化という言葉もあって、3カ年の緊急対策というのがあるわけですが、この市町村が策定する国土強靭化地域計画も同じように、いやもっと策定率が低いんですけどね。まだ百数十しか手が付いていないのですが、そういうところに少しリンクさせていただいて、地方自治体の策定を進めていければと思っているのです。先ほど事務局よりお話しいただいたBCPというか、初動期の対応をどうするか。これを「やれ、やれ」というか、「これが大事だよ、大事だよ」という策定ガイドライン的な発想というのは、地方自治体側から見ると、必要性を言われているのですね。だから、その必要条件を言われているのだけど、いまいち「やろう」というスイッチが入らない。どうやってその「やろう」というスイッチを入れるかというところに、私も関わりながら検討しているBCPとか初動のマニュアルで、さっきのバッドプラクティスではないのですが、「このまま何も計画なしでいったら大変なことになるぞ」という、むしろそのきっかけを作るというのが非常に大事で、BCPも全く同じ発想で、「このままいったら会社は潰れるぞ」というところから始まったのですが、そういう意味で十分条件といいましょうかね。自治体にとって、行政側から「やれ、やれ」、「必要だよ」という必要条件に対してスイッチを入れるためには、「あなた、このままだったら大変なことになるよ」ということに気づいてもらうということで、初動期のマニュアルをつくることが目的というよりも、そのマニュアルもないと本当にバッドプラクティスだよということで、いろいろポイントを気づいてもらう。その気付きと最低限の準備が処理計画の中身に反映されていくというか、処理計画の中で本当に重要な部分、処理準備を初動でやっておかなきゃいけないこととして検討していく、初動対応を考えてみることが計画策定につながる、というような連携で、ぜひ、自治体レベルでの計画策定・実践につないでいければなと、そんなことを考えていますので、よろしくお願いします。
(酒井座長)
ありがとうございます。他にございますか。
時間をお気遣いいただいて、皆さん、名札を挙げないという理解は決してしておりませんが、ありがとうございます。
今、中林委員からいただいた意見、もうこれは十分に伝わったかと思いますので、ご意見を踏まえてよろしくお願いいたします。
それに関連いたしまして、処理計画策定率というところが、今のところ一番重要な指標であるということは認識しておいていいのだろうと思いますが、そろそろ次の一手に向けての指標、今、おっしゃられたような観点を含めてどう指標にするかということもございましょうし、既にもう回し始められている自治体におかれては、第二段階、第三段階の計画改定をしっかりと見ていますよというメッセージにつながること、あるいは本当に今のBCP的な重要事項の策定の有無なり、あるいは計画のクオリティですね。あるいは、それの実際の対応能力というような、そういうあたりを評価する指標を、ぜひ次年度あたりには見せていく必要はあろうかと思いますので、ぜひ次年度、そのあたりも含めたことをお考えいただければと思います。
ということで、最後に希望という主旨でのコメントをさせていただきましたけれども、全体についてよろしいでしょうか。
きょう、途中で、山本局長に参上いただきました。ここで何か皆さんにご挨拶的なご発言がもしございましたら、どうぞ。
(山本環境再生・資源循環局長)
本日、遅れて参りましたのは、実は政府の追悼式の式典に出ておりまして。8年、ちょうど8年を迎えたということで、おかげさまで、今日お聞きしていて、随分いろんなことが進化はしてきているなと思いました。
ただ、改めて、本日も先生方からたくさんご意見をいただいたように、まだまだやることがたくさんあって、最初のところの気づき、まず、初動のところをやっていただくところもあるし、もっと深めていかなきゃいけないところもあるということで、むしろ課題についてはバラエティーが広がってきて、業務も広がっていると感じました。
この有識者会議でずっとご指導いただいているおかげで、PDCAで対策もその質を高めてきたと思っておりますので、今日いただいたご意見をしっかり受けとめて、来年度に向けて、また、環境省としても頑張って取り組んでまいりたいと思いますので、引き続きのご指導をよろしくお願いいたします。
本日は本当にどうもありがとうございました。
(酒井座長)
山本局長、突然ですみませんでした。どうもありがとうございました。
それでは、その他ということで、福永さんのほうから、どうぞご案内ください。
(福永災害廃棄物対策室主査)
本日の議事録は、原案を作成しまして、委員の皆様にご確認をいただいた後、環境省ホームページに掲載する予定ですので、よろしくお願いいたします。
(酒井座長)
どうもありがとうございます。
それでは、予定の時間から5分の延長で済みました。どうもご協力ありがとうございました。これで、平成30年度の災害廃棄物対策推進検討会を終了いたしたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。