環境再生・資源循環
第6回大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会 議事録
1.日時:平成28年3月18日(金)
2.場所:TKP大手町カンファレンスセンター ホール22G
3.出席委員:酒井伸一委員長
浅利美鈴、生亀孝志、石川龍一、碓永信幸、遠藤守也、大村啓、勝見武、荒井和誠(小林委員代理)、
近藤守、坂本知也、佐々木五郎、島岡隆行、鈴木武、田中誠夫、永田尚人、平山修久、森谷賢、
吉岡敏明、渡邊泰至(計20名)
4.委員以外の出席者
(事務局)
環境省
鎌形部長、山本企画課長、和田廃棄物対策課長、松崎課長補佐、大塚課長補佐、切川係長
5.議題
(1)大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について
(2)各WGの検討成果について
(3)災害廃棄物分野におけるBCP的な考え方について
6.報告
(1)地域ブロック協議会における検討状況について
(2)自治体における災害廃棄物対策の取組状況について
(3)資源効率に係る国際協力をテーマにしたG7アライアンスワークシヨップについて
7.配付資料
資料1 大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会 委員名簿
資料2 大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について(案)
資料3 技術・システム検討WGの検討成果と今後の課題
資料4 要処理量WGの検討成果と今後の課題
資料5 人材育成WGの検討成果と今後の課題
資料6 地域間協調WGの検討成果と今後の課題
資料7 災害廃棄物分野におけるBCP的な考え方について
資料8 地域ブロック協議会における検討状況
資料9 自治体における災害廃棄物対策の取組状況(アンケート調査結果)
資料10 資源効率に係る国際協力をテーマにしたG7アライアンスワークショップの開催報告
参考資料1 第5回大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会 議事録
参考資料2 大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(平成27年11月環境省廃棄物・リサイクル対策部)
参考資料3 災害廃棄物対策指針(平成26年3月環境省廃棄物・リサイクル対策部)
参考資料4 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(平成28年1月改訂)(環境省告示第七号)
8.議事
開会
(切川係長)
ただいまから第6回大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会を開催いたします。委員の皆様には御多忙のところお集まりいただきましてありがとうございます。
それでは、議事に入る前に資料の確認をいたします。お手元の次第に配付資料一覧がございますので、御確認をお願いいたします。
資料1は、委員名簿です。
資料2は、大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について(案)です。
資料3は、技術・システム検討WGの検討成果と今後の課題です。
資料4は、要処理量WGの検討成果と今後の課題です。
資料5は、人材育成WGの検討成果と今後の課題です。
資料6は、地域間協調WGの検討成果と今後の課題です。
資料7は、災害廃棄物分野におけるBCP的な考え方についてです。
資料8は、地域ブロック協議会における検討状況です。
資料9は、自治体における災害廃棄物対策の取組状況(アンケート調査結果)です。
資料10は、資源効率に係る国際協力をテーマにしたG7アライアンスワークショップの開催報告についてです。
続いて机上資料です。
参考資料1は、第5回大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会議事録です。
参考資料2は、大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針です。
参考資料3は、災害廃棄物対策指針です。
参考資料4は、廃棄物処理法の基本方針です。
資料ナンバーはつけておりませんが、その後ろに報告書等を付しております。それらは参考として委員の皆様のみにお配りしております。
参考資料に関しては、会議終了後に回収させていただきますので机上にお残しください。
資料の過不足等はございませんでしょうか。ございましたら、事務局にお申しつけください。
ここからはカメラ撮りは御遠慮いただきます。一般の傍聴者におかれましても、写真撮影、ビデオ撮影は御遠慮いただき、携帯電話の電源もお切り願います。
本日の委員の出席状況です。本日は、大迫委員、大塚委員、貴田委員、中林委員、牧委員は御欠席です。また、小林委員の代理としまして、荒井様にお越しいただいております。
それでは、これ以降の進行を酒井委員長にお願いしたいと思います。酒井委員長、よろしくお願いいたします。
(1)大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について
(酒井委員長)
それでは始めさせていただきたいと思います。
この検討会は、平成25年度から約3カ年にわたりまして災害廃棄物対策に関する検討を進めてまいりましたが、本日が最終回となります。
この間を振り返りますと、廃棄物処理法と災害対策基本法の一部改正という制度的な対応、東日本大震災における災害廃棄物処理のアーカイブスの蓄積、処理システムあるいは技術に関する知見の充実、また災害廃棄物処理支援ネットワークの設立、さらには地域ブロック協議会の活動の本格化など、環境省では多くの成果を上げてこられました。これはひとえにこの検討会での皆様からの有益な御意見、御提案、そして会議前後での精力的な活動の賜物と考えております。この場を借りて改めて御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、早速、議事に入らせていただきたいと思います。
1つ目の議題は、「大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について」です。事務局から説明をお願いいたします。
(松崎課長補佐)
それでは、お手元の資料2、「今後の大規模災害発生時を見据えた災害廃棄物対策の今後のあり方について(案)」を御覧ください。
まず、この資料2の位置づけを改めて御説明いたします。この資料は本検討会の最終取りまとめに当たるものです。資料は2部構成になっておりまして、前半の1ページ目から5ページ目までで、これまでの取組、成果の概要を改めて総括するとともに、後半の6ページ目以降で、今後の災害廃棄物対策のさらなる強化のために取り込むべき事項を整理したものです。
前回の検討会では、この最終取りまとめ案についてさまざまな観点から御意見をいただきました。それらを踏まえまして、加筆・修正させていただくとともに、表現の適正化や形式的な修正を行いました。お手元の資料2では、前回からの修正箇所を見え消しの形で色づけしております。加筆した部分を赤字、削除した部分を青字で表示しております。ここでは主な修正点を中心に説明いたします。
前半のⅠは、災害廃棄物対策に係るこれまでの取組についてです。こちらのパートでは、前回は御意見がございませんでしたが、事務局で何点か事務的な修正をしております。
1ページ目の修正は形式的なものですので、説明は割愛させていただきます。
2ページ目では、2.平成26年度以降の取組及び成果の冒頭で、この2の位置づけを簡潔に記載しております。
3ページ目では、(2)②の1つ目、この2行目で、県域を越えた広域での協調、地域ブロック単位での協調に言及しておりますが、冒頭の「地域ブロック内における」というフレーズは特段不要と考えて削除しております。
4ページ目では、③のところで廃棄物処理法に基づく基本方針への正式名称を記載しております。あわせて、文末表現を過去形に修正しております。
5ページ目は、修正点はございません。
6ページ目のⅡをご覧ください。前回の検討会では今後取り組むべき事項の位置づけなど、全般的な点について委員から御意見、御助言をいただきました。それらを踏まえまして、Ⅱの全体の位置づけをより明確にする観点から、冒頭の部分で丁寧に趣旨を追記させていただきました。順次御説明いたします。
まず、1段落目におきましては、前半のⅠで紹介しましたように、グランドデザイン策定以降、平時の備えとしてさまざまな取組を行い、多くの成果が得られた旨を記載いたしました。
次に2段落目です。前回の検討会では、「ここに列挙されているそれぞれの事項の実施主体がわかりにくいのではないか。」、また、「各主体がやるべきことを整理する必要がある。」などの御意見をいただきました。
そこで、IIではすべて国、すなわち環境省が取り組むべき事項のみを列挙してございます。それが明確になるように、この冒頭の2段落目の4行目に「環境省が災害廃棄物対策の更なる強化のために引き続き取り組むべき事項」であることを明記いたしました。
なお、環境省以外の各主体、市町村、都道府県、事業者、専門家等の役割につきましては、昨年11月に策定しました「行動指針」や今年1月に変更しました「廃棄物処理法に基づく基本方針」で整理されておりますので、その点を冒頭の最後の段落で案内する形で記載させていただきました。
また、前回の検討会では、「網羅的に書かれているのは良い一方で、優先順位を示す必要があるのではないか。」、また、「必ず実施する事項や可能な範囲で実施する事項についてメリハリをつけるべきではないか。」という御意見をいただきました。ここで記載されている事項については、これまでの行動指針、基本指針、また、ワーキングでの成果や課題などを踏まえて列挙したものでございまして、いずれも平時の備えとして重要な事項です。
一方で、御意見も踏まえまして、3段落目の通り整理を行いました。「これらの取組事項の実施に際しては、それぞれの事項の特性や実施体制上の制約を勘案しつつ、メリハリのある取組を行う必要があるが、災害への十分な備えのためにはいずれの分野・事項も重要であり、かつ、その多くが相互に関連しあっていることから、一部の分野・事項に偏ることなく全体的にバランスよく進捗させていくことが重要である。また、関係者との連携・協力が必要となる事項が多くあるが、環境省がリーダーシップを発揮して、関係者との調整を継続的かつ積極的に進めていく必要がある。」と、まとめさせていただきました。
また、メリハリをつけるという観点から、6ページ目以降に列挙した各事項を再度確認いたしまして、いくつかの事項につきましては、段階的、継続的などの修飾語を追記しております。
続きまして、個別の事項に入ります。7ページ目を御覧ください。③の4つ目の○に関して、前回の検討会で、「都道府県では市町村から事務委託を受けることを想定して災害廃棄物処理計画を策定しているのと同じように、国としても代行処理を受けることを想定した計画が必要ではないか。」という御意見をいただきました。この点については、昨年の11月に策定いたしました「大規模災害時における災害廃棄物対策行動指針」におきまして、国の代行処理に関する基本的事項や盛り込むべき事項を既に整理させていただいております。ただ、その手続や実施方法を具体的に整理したマニュアルはまだ作成しておりませんので、それを今後策定する必要があるという趣旨から、その旨を追記しております。
続きまして、8ページ目の(3)②の下、災害廃棄物対策指針等の記述に関して御意見をいただきました。この箇所に、「都道府県が市区町村を支援するという形で災害廃棄物処理計画の支援を行っている趣旨の記載を入れたほうが良いのではないか。」というコメントをいただきました。その御意見を踏まえまして、一番下の○ですが、「市町村の災害廃棄物対策への都道府県による支援について、地域ブロック協議会等を通じて、都道府県の取組への技術的な支援・助言等を適宜行う」という形で、この都道府県の取組に対して国が支援、サポートしていくという旨を記載したところです。
9ページ、最初の③の事項について、「BCPのみでなくBCM(業務継続マネジメント)の観点についても触れるべきではないか。」という御意見をいただいております。それを踏まえまして、1つ目の○に、BCMについて記述するとともに、2つ目の○の後半ですが、計画をつくるだけではなくて、「組織の事業継続能力を継続的に維持・改善できるよう」というBCMの基本的考え方のポイントを入れさせていただきました。
続きまして(4)人材育成についてです。こちらにつきましては、①について、「人材育成のコンテンツ、カリキュラム・プログラムの研究開発といった観点をつけ加える必要があるのではないか。」という御指摘を踏まえて、「開発」というキーワードを入れております。②ですが、前回の検討会では、国が行うべき事項という趣旨で記載できておりませんでしたので、国が行う内容ということが明確になるように修正を行いました。
続きまして③ですが、こちらについては「発災前にやらなければいけないことが非常に多く、発災前の業務をしっかり実施できる人材育成に自治体で取り組んでいく必要がある。」という御意見がございました。それを踏まえて、2行目から3行目に「地方自治体が災害廃棄物処理計画の策定や訓練等の事前の備えを実施できる体制の確保を目指し」と記載し、国が行う支援の目的を明確にしました。
次は10ページです。下の3.(1)の○の3つ目ですが、輸送手法のところで、「河川を活用した輸送手段についても検討が必要ではないか。」という御意見をいただきました。これを踏まえ、輸送手法の後ろに括弧書きでそれぞれの輸送手段を具体的に列挙しました。
最後が11ページです。4.フォローアップの実施のところで、「PDCAが重要。」であるという御意見をいただきました。これを踏まえて、(1)の1つ目の○ですが、フォローアップ、確認を行うとともに、その課題に対しての対応の方向性について御助言をいただくということで、この御助言をいただいた上でさらにより良いものにしていくという観点から追記しました。
以上、前回検討会でいただいたた御意見、御助言を踏まえた修正内容を御説明いたしました。いろいろな御意見をいただきましてありがとうございました。事務局からの説明は以上です。
○質疑応答
(酒井委員長)
ありがとうございます。前回の検討会における御意見、御指摘等を踏まえて、さらには事務局において今後の災害廃棄物対策に取り組む方向性につきまして精査、修正をいただいたものと理解をしております。本日の議論を受けて、本検討会としての今後を見据えた長期的な災害廃棄物対策に関する展望を提言として取りまとめたいと思っております。
それではただいまのご説明に関して、ご質問、ご意見等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。ご意見のある方は名札を立てていただきますようにお願いいたします。
森谷委員、どうぞ。
(森谷委員)
1点質問と、1点考え方の披露があります。
1点目は質問です。8ページに災害廃棄物対策指針の改訂について記載がありますが、私の机の上にある災害廃棄物対策指針を改訂するということを意味しているのでしょうか。
また2つ目は、かねてから何度も申し上げていることです。現在は、県がいて、その下に市町村があるという構造で考えられていると思いますが、市の中にも県に近い経験や体制をとられているところもあるので、県内で計画作成や人材育成を行うときには、ぜひ先導的な市の方の御協力が得られるように気を配ることが肝心ではないかと思います。
以上です。
(酒井委員長)
坂本委員、どうぞ。
(坂本委員)
民間の立場から、ひとつ御意見させていただきたいと思います。
今後のあり方というのは非常に大事なことで、資料として良くまとめられており、さまざまな意見を反映していただいて、総じて良い案になっていると思います。ただ、災害廃棄物の処理に当たっては、環境省が今回ガイドラインで推進されている非常時と平時における平時が大事だという意味合いが、各行政機関に同じように伝わっているのか、気になるところです。
行政の意見も、災害時だけに対応しましょうという意見と、こういう話を契機に平時と災害時について並行して考えましょうという意見、両極端に分かれている感じがします。
民間の立場としては、当然後者のほうが取り組みやすい訳ですし本論だと思います。例えば、平時に付き合いのない人から、急に困っているからお金を貸してと言われても誰も貸さないのではないでしょうか。平時から大規模災害に備えて、お互いどのような助け合いをしていくのか、これが今後のあり方の大きなポイントだと思います。
今後の議論であるのでしょうが、例えば南海トラフ巨大地震を考えた場合、その関連地区を環境省のモデル地区の形で検討対象とし、それを一つの題材にして、他の自治体が国や民間をどのように助け合いをすれば良いのか、よりわかりやすい仕組みを作っていただけると、委員会の趣旨が本当に日本の中で機能するのではないかと思います。今後とも期待しておりますので、御検討いただきたいと思います。
(酒井委員長)
それでは荒井委員代理、どうぞ。
(荒井様(小林委員代理))
東日本大震災を教訓にした対策の強化という意味合いで大変すばらしい成果が出てきたと思います。今後は、いかにこの成果を全国の都道府県、市町村に浸透させていくかということが課題になるのではないかと思います。それで3点ほど、これは意見というよりお願いですが、述べさせていただきます。
1点目は、先ほど森谷委員からも御指摘があった災害廃棄物対策指針についてです。市町村、都道府県においても、災害廃棄物処理計画を災害廃棄物対策指針に基づいて作るということで進めているところです。そういった点で、災害廃棄物対策指針は平成26年3月の策定から大分時間が経過しているので、いま一度改訂が必要なのではないかと思っております。東京都も、今年度は廃棄物処理計画、来年度は災害廃棄物処理計画を策定いたしますので、その中でより充実した災害廃棄物対策を進めてまいります。
2点目は、実際に災害が起きたときの、特に市町村、一部事務組合の施設の強靱化という点で、これからはダイオキシン対策特別措置法の関係で建て替えた全国の施設が今後更新を迎える時期に当たると思いますので、そういったタイミングを見極めて、より一層廃棄物処理施設の強靱化を誘導していくためにも、メリハリのある財政支援を御検討していただければと思っています。
3点目は、本検討会の成果について、今後のあり方にもしっかりと書かれていると思いますが、しっかりとフォローアップをしていただきたいと思っております。災害はいつ起きるかわからないという点で、坂本委員の御意見にもありましたが、いざというときの対応能力を向上するためには、日頃から、さまざまな民間業者、都道府県、市町村などと、地域ブロックの中で風通しの良い関係を構築し、技術的な側面を踏まえつつ、人材育成、教育訓練、広域ネットワークの構築が必要です。そこはやはり環境省がしっかりとフォローアップし、災害廃棄物対策のさらなる強化というものを進めていっていただきたいと思っております。
以上3点、今後のあり方にもしっかりと記述されていると思いますが、そういった点をお願いしたいと思っています。
(酒井委員長)
どうもありがとうございます。御意見は以上ですか。事務局に回答をお願いしたいと思いますが、その前に私から1点だけお願いがございます。
今、坂本委員、荒井委員代理からも、「成果の浸透」あるいは「行動」というキーワードが出てきたと思います。そういった意味で、冒頭、松崎補佐から、今回の取りまとめで主語は環境省、国と相当強く意識して明確にしていただきました。非常に結構なことだと思います。
その一方、この関係の課題は、市町村、都道府県、事業者、そして多くの国民が十分に考えていかなければならない話であることも事実であります。そういう意味でいけば、「協調的観点」を踏まえて一文程度書き込んだほうが良いと思うところがあります。それは、特に今回加筆された6ページのⅡの部分です。最後の3行で、「国以外の各主体に関しては、基本方針そして大規模災害の行動指針に書いてあるので参照されたい」と若干突き放した書きぶりになっているところが、主語は国と伺っていて少し気にかかり始めました。ここで、「協調的観点」から「ともに歩む」という視点が出てくる方向にまとめたほうが良いのではないかと思いました。最後のチャンスですので一言申し上げておきます。それを踏まえてよろしくお願いします。
(松崎課長補佐)
多くの貴重な御意見を本当にありがとうございました。御意見いただきました順番に、回答・コメントをさせていただきます。
まず森谷委員からの御質問について、荒井委員代理からもございました災害廃棄物対策指針の充実ですが、環境省も指針の改訂は重要と考えております。充実イコール改訂であると御理解いただいて大丈夫です。その内容をどういう形で改訂するかについては内部でも検討は進めておりまして、来年度できるだけ早く改訂版を皆様にお示しできればと考えております。その際には、本検討会で御議論いただきました内容も十分踏まえたいと考えております。
また森谷委員からいただきました御意見です。特に規模の大きな市の協力ということですが、我々としても国がリーダーシップをとると考える一方で、都道府県・市町村の御協力、連携は大変重要だと思っております。後で御紹介しますが、現在地方環境事務所が中心となって8ブロックで地域ブロック協議会を開いております。この中で、いろいろと顔を合わせて情報交換、意見交換をする場がございます。そういう場を通じて、中核的な市の方にもぜひ御協力いただきながら進めていきたいと考えております。
続きまして、坂本委員から、南海トラフ巨大大地震を例としたモデル地区の御提案をいただきました。現在、地域ブロック協議会でもいろいろな取組を進めております。モデル事業を行う際にはいただきました御指摘を十分踏まえるとともに、一地域だけで閉じるのではなく、その成果を周辺の地域ブロックにもきちんと周知していくこととしたいと考えております。
続きまして、荒井委員からの御指摘です。指針については先ほど申し上げたとおり、しっかりやっていきたいと思います。2つ目の点について、我々も施設の強靱化は大変重要だと思っており、今まさに更新需要のピークが来ているところです。資料10ページ目の2ポツで施設の整備を書かせていただいております。(1)の最後の○、自治体においてこれらの取組が促進されるよう、技術的及び財政的な支援を効果的に実施すると考えております。現在、災害対策と地球温暖化対策、この2つの柱で重点的に財政的支援をさせていただいておりますが、よりよい支援とは何かということを市町村や都道府県からの御意見を十分踏まえて、これからも継続的によりよい支援ができるように当たっていきたいと考えております。3番目のしっかりとしたフォローアップが必要であるということと、風通しのよい関係、人材育成についてですが、この後、人材育成ワーキングの成果を御報告いたしますが、実際に動くのは人ですので、これこそ平時の備え、下支えとして、人材育成を粘り強く進めていきたいと考えており、さまざまなコンテンツ、カリキュラム、モデル事業も行っていきたいと考えております。
酒井委員長から御指摘いただきました点については、最後のなお書きのところは御指摘を踏まえまして、リーダーシップを国が発揮しつつも、協調的に進めていくということをしっかりと書かせていただきたいと思います。
事務局からの回答は以上です。ありがとうございました。
(酒井委員長)
それではいただいた御意見につきましては、松崎補佐からほぼご回答がいただけたかと思っております。
ほかにご意見はございませんでしょうか。本日いただいたご意見を含め、意見はほぼ出尽くし、大きな異論はなかったという認識をしております。この後、取りまとめは事務局と相談させていただきますが、その最終的な内容に関しては御一任いただけますでしょうか。
(異議無し)
どうもありがとうございます。それではこの議題(1)はこれで終わらせていただきたいと思います。
(2)各WGの検討課題について
(酒井委員長)
引き続いて、この検討会のもとに設置されました4つのワーキンググループの検討状況について、各ワーキンググループの座長から御報告をいただきたいと思います。
まず初めに、技術・システム検討ワーキンググループの勝見委員から御報告お願いしたいと思います。よろしくお願いします。
(勝見委員)
よろしくお願いいたします。資料3をご覧ください。資料3は一枚物のペーパーと、委員用の参考資料として18ページの資料がございます。こちらに基づいて説明をさせていただきます。
冒頭、酒井委員長からもございましたように、この検討会は平成25年度から活動しており、その中で技術・システムに関するワーキングを3年間担当させていただきました。その間、メンバー、オブザーバー、また事務局の方々に大変な作業と重要な意見交換をしていただきました。大変ありがとうございました。私自身もとても勉強になりました。
資料3では、前回も説明しておりますように、大きく4つの項目について検討しております。本日は、前回、十分な説明ができていなかったところ等を重点的にお話しさせていただきます。
冒頭の目的、検討内容は省略いたします。
資料の右上の成果2、検討項目の2番目に当たる部分ですが、大きく3つの項目を書いております。そのうちの3つ目、集計すべき廃棄物区分の整理について説明いたします。前回、災害廃棄物処理の実務に当たっては進捗管理が重要で、どこに関所を設けて計量して管理するかが重要だということを申し上げました。物を量るには、やはり物を定義するということがとても重要ですが、東日本大震災では、地区により同じ物でも違う呼び方をしていた、逆に、違う物を同じ呼び方をしていたなどのズレがあり、現場で苦労があったということを聞いております。そういうことも踏まえて、この成果2では、実態調査を行い、どこに計量ポイントを設けるかという議論や、計量に必須となる廃棄物の区分の定義を行いました。参考資料10ページ、搬入時と搬出時ということで、実態に基づき、かつあまり細かくなり過ぎずに、最低限これだけは各自治体が押さえておいていただきたいという観点で区分の定義をさせていただいきました。いろいろと御意見はあろうかと思いますが、東日本大震災の現場を担当された事業者、コンサルタント、さらに自治体の方々の御意見もいただいて、一定のレベルの整理をさせていただけたのではないかと思います。これをより一層精緻化して、さらにオーソライズするということも含めて、御検討いただければというのがまず1点、技術・システム検討ワーキングからの御報告です。
成果4では、前回も首都直下地震を想定した例題を解いていることを申し上げました。今回、詳しくは説明いたしませんが、参考資料の14ページから18ページに、問題設定の条件、廃棄物量や処理施設の能力、処理施設や二次仮置場を置くのに必要な仮置場の面積、そして東京都内に仮置場の候補地が物理的にあるのかどうかの検討内容を記載しております。さらに、前回は十分に説明できなかったのですが、広域処理が必要となることもあり得るということで、鉄道あるいは船舶で運ぶ場合に、実際にどういうファシリティーが使えて、どれぐらいの規模感覚で運べるのかも検討させていただきました。
この成果4のもとになっているのは、成果1で、東日本大震災で実際に災害廃棄物処理がどのように行われたかということを取りまとめて、その逆算から、それぞれのパーツについて基本ユニットがどのぐらい必要で、どれぐらいの面積が必要なのかということを実際の数値に落とし込みました。この成果1の基本ユニットを作成したことがありましたので、成果4の首都直下地震を想定した処理施設能力、仮置場配置の検討につなげることができたということです。
成果3について、委員の皆様のお手元には平成26年度の報告書をお配りしております。昨年度は東日本大震災の災害廃棄物処理の技術的事項に関するレビューということで検討を行いましたが、津波堆積物、土砂系混合物については十分な検討を行っていなかったため、それを今年度の成果として検討し、取りまとめました。東日本大震災では「津波堆積物」という用語で私どもは扱っていたわけですが、大規模災害という枠組みの中で、津波堆積物以外の土砂を主体とした混合物もあり得るということで、ここでは土砂系混合物とし、その中に津波堆積物があるという位置づけで整理をさせていただきました。主には東日本大震災の津波堆積物の処理についての検討を行っており、資料3には記載しておりませんが、最終の報告書の中には、その総括も入れていただくということで議論を進めております。
最後ですが、このペーパーの一番下にまとめと今後の展望を書いております。まとめは重なりますので申し上げませんが、展望としましては大きく2つ挙げております。一つ目は、この成果1、あるいは成果2で挙げました基本的な処理のフロー、あるいは管理の流れというものを提示させていただきましたので、それを具体化し、処理計画を作成するための手順、検討の流れ等を整理していく必要があるということです。
二つ目は、成果4で申し上げました首都直下地震を想定した例題についてで、こちらはあくまでもある一つの条件での解ですので、記載のとおり検討条件を精緻化するとか、あるいは南海トラフ地震といった別の検討課題への展開を進めていく必要があるということで今年度のまとめにさせていただきたいと考えております。
以上で技術・システム検討ワーキングからの説明は終わらせていただきますが、もし事務局から補足があればお願いいたします。
○質疑応答
(酒井委員長)
勝見委員、どうもありがとうございました。この技術・システム検討ワーキングは、東日本大震災の経験の整理とともに、首都圏直下地震の具体的な検討もしていただいております。非常に精力的な作業をどうもありがとうございました。
また御協力をいただきました日本建設業連合会の皆様、本当にありがとうございました。この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。
それではただいまの説明に関してご質問、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
(意見なし。)
では一点だけ聞かせてください。今回の首都直下地震を想定した検討ですが、例えば、仮置場面積754ヘクタールという推定結果を示していただいております。この大きさに少し驚いておりますが、こういう例題を考えていく中で、推定結果に対する感度的な要因、何がこの数字に対して影響があるのか、一番影響する要因は何なのか、あるいはそれに基づいて一体どの程度推定の幅が振れるのかというあたりがポイントになってくると思います。その当たりの検討というのはどのような状況でしょうか。
(切川係長)
事務局から回答させていただきます。
今、委員長からいただきました感度解析に関してはまだ着手できていないというのが実情です。ただ、量として5,700万トンという数字を対象に検討をしておりますので、まずは、この量がどれぐらいぶれるかによって大きく変わってきます。もう一つが、本検討では処理の目標期間を3年としております。この目標期間の長短、あるいは「コンクリートがら」だけ処理期間を長くするなどの対応によってまた変わってくると思います。現在は、混合状態で出てくる廃棄物を3年以内に処理するために、なるべく早く分別するためには、仮設の破砕選別施設を設置するためにどれぐらいの面積が要るのかという視点で750ヘクタールが出てきております。いろいろな処理期間や、受入先がどれぐらい確保できるのかなど、それらの調整によっても、さまざまな感度解析ができると考えております。
(酒井委員長)
ありがとうございます。おっしゃった災害廃棄物量と目標年数、そのあたりがキーファクターということは良く理解できるのですが、それ以外の廃棄物の性状、地域の事情等を、どのようにビルトインしていくかという検討が相当重要になってくるかと思いますので、ぜひ今後の展開の中で頭に置いていただければと思います。
それではこのワーキングの最終取りまとめに向けて、作業を進めていただければと思います。
引き続きまして、要処理量ワーキングの検討事項について、吉岡委員から御報告をお願いいたします。
(吉岡委員)
資料4に基づいて、要処理量ワーキングの検討事項のまとめを紹介させていただきます。
目的は左上の4つです。発災前の「災害廃棄物処理計画」の策定に向けた災害廃棄物の発生量、いわゆる「ストック量」の算定部分、次に、発災直後の発生量、これもストック量になると思いますが、それを早急に見積もる手段という点、さらには3年間の処理の間、時間の経過に伴って、災害廃棄物の性状や社会情勢も変わることを踏まえ、その時点での要処理量をどのように見積もっていくのかという手順を提示することを一番のミッションとして進めさせていただきました。
検討内容としては、右上の4つにございますように、まず量そのものの推計手順及び推計フローというものを検討し、提示いたしました。この結果は成果1になります。
2番目の検討内容は、発災直後の早い時期に、ある程度の量を見積もる手法についての検討で、衛星画像及び空中写真を使用して推計を行う手法についてまとめております。これが成果2となります。
成果3は仮置場における災害廃棄物の計測手法の整理で、技術・システム検討ワーキングでも課題とされていましたが、災害の種類、あるいは地域特性に伴って、どのようなファクターが必要になってくるかについて検証いたしました。それが十分なものかどうかは今後の議題になろうかと思いますが、そういう視点でこの点をまとめております。
成果4は、フロー・ストックの推計手法とトリアージ的対応手法の検討ということで、いわゆる「質の情報」を推計量に反映させていくことについての提案をさせていただきました。
成果1について説明させていただきます。まず、災害廃棄物や土砂混合物について、発生量の推計手順を示しました。次に、災害後、例えば水害、土砂災害、地震、津波災害というものをベースにした「種類別の割合」について整理し、さらには災害廃棄物19品目の推定手法の整理も行いました。これらの整理については、前回の「検討委員会」から引き続き行っておりました、アーカイブのデータ等をもとにしながら検証しております。右の推計フロー例とありますように、最初に被害要因別の建物の全壊・半壊棟数などを設定し、これに発生原単位を掛け合わせて発生量を算出する。さらに、火災焼失による減量率や、種類別の割合もファクターとして加えていくことによって大方の発生量は推算できるだろうと思います。また、市区町村が災害廃棄物の処理戦略を設計する際に活用できるように、「処理戦略設計支援ツール」も簡易版の試作を行っております。精度や使いやすさも含めて、引き続き向上していかなければならない点はありますが、まずはベースとなる部分を試作させていただいたのが一つの成果です。
成果2は、衛星画像及び空中写真を活用した推計手法の検討についてです。事前に、災害が起こった場合に、どれぐらいの量の災害廃棄物が発生するであろうかということを、まずストック的な観点から見積もっておき、それを計画に資するものに高めていく必要があります。また、衛星画像による推計は、発災前後の画像を比較して行いますので、事前の準備も含めて考える必要があります。発災後24時間から72時間、3日ぐらいの間でデータを収集し、そこから1週間ぐらいの間で迅速に量を推計できる手段であろうということでまとめさせていただいております。このようにして、推算した値が妥当なものであるのかということにつきましては、関東・東北豪雨、特に常総市の事例を参考に、本当にその中で使える部分、あるいは中心に考えていかなければならない要因、いわゆるファクターになるかと思いますが、その考え方あるいは見積もりの仕方についても検証させていただきました。
成果3の内容ですが、これは自治体が災害廃棄物の発生量を推計する手法ということで提案させていただいているものです。これは進捗管理とのかかわりもございますので、そういう点を踏まえながらここのところをまとめさせていただきました。容積、みかけ比重、組成といったものが重要なファクターで、これらを決めることによって進捗管理を伴う要処理量をその時点で見積もっていくことがおおむね可能ではないか、さらにはそれに向けてどのぐらいの仮置場が必要であるのか、あるいは決められた仮置場の中で処理を行うにはどこまで分別をする必要があるのかに繋がってくる内容となっています。
成果4、ここでは質情報を推計量に反映する手法を提案しております。それを把握するために必要な調査項目、あるいは調査方法を整理するということで、そこにありますように有害物質の所在品目等をきちんとリスト化するという点を中心に据えながら、その有害物質等の保有事業所、あるいは事業所の保管品目というものをきちんとリスト化していく、リスト化するに当たっての調査シートも事前に準備していく、さらにはその量の把握ということになろうかと思います。発災後、その所在リスト、調査シートをベースにして、どこから早急に対応しなければいけないのかという時間的な優先度も含めてこのリストに反映されていくということで整理しております。これがトリアージ的な対応手法検討にもつながるわけですが、それぞれフェーズごとに被災地仮置場での撤去あるいは搬出の優先順位というものを整理して、実際の進捗管理に役立てていただくツールになるということでここをまとめさせていただいた次第です。
これで万全かというとまだまだ足りない部分もあるということが、この整理の中で浮き彫りになってきております。そこにつきましては今後の展望ということでまとめさせていただいておりますが、展望というよりもむしろ課題ということで完成度を高めていく対策が今後必要であろうということでまとめさせていただきました。
以上、4つの観点からの報告です。
(酒井委員長)
どうもありがとうございました。それではご質問、ご意見をお願いいたします。いかがでしょうか。
(意見なし。)
最後の成果の4番目の質情報の反映、そしてトリアージ的対応という言葉ですが、このネーミングに関しては、作業が進んだ段階でその適切性について良く議論して合意をしていただきますようにお願いいたします。良い名前のように思えるのですが、本当にこれで良いかということはよく考えてください。おそらく標準化できる対処方法、あるいは標準化できないものというのが相当切り分けられてくるように思いますので、標準化できない要因は何か、特に対象によって相当慎重にやらなければならない可能性、発生の仕方が違う可能性があります。地震と津波では決定的に違う要素がありますので、そういった趣旨でこのあたりのところをまた考えていただければと思っております。
それでは今まとめていただいている方向で、今後ワーキングの取りまとめをどうぞよろしくお願いいたします。
引き続きまして人材育成ワーキングの報告としたいと思います。平山委員、お願いいたします。
(平山委員)
資料5に基づきまして人材育成ワーキングについて御報告をいたします。なお、委員限りの資料ではございますが、別添1と別添2、2つの資料がございます。
資料5の上にありますが、目的に関しては前回御報告させていただいたとおりです。それに基づいて災害廃棄物処理に必要とされる人材育成の課題の整理、あるいは災害廃棄物処理の担当部署に必要とされる人材能力の整理をさせていただいています。
検討内容の2つ目のポツですが、災害廃棄物対策の促進に向けた研修カリキュラムの設計・試行について取り組ませていただいております。3つ目が廃棄物分野や防災分野における既存の研修ネットワーク等の活用を踏まえて人材育成システムを支える仕組みに関して検討を進めてまいりました。
それぞれ成果が4つございます。報告させていただきます。
まず成果1ですが、こちらに関しては前回御報告させていただいたとおりです。廃棄物分野における人材育成の課題と整理ということで、特に災害廃棄物処理を適切かつ迅速に進めるためにこの6つの課題があるということを整理させていただきました。
もう一点が成果2、その右にありますが、災害廃棄物処理の担当部署に必要とされる人材・能力についての整理となっています。こちらに関しても前回報告させていただいたとおり3つの視点が必要だとしています。
1つ目はリーダーということで、現場を取り仕切り、災害廃棄物処理について首長に、意志決定者に対する適切な助言を行う能力を有した人物、いわゆる参謀として対応できる人物です。2つ目のサブリーダーは、リーダーと現場をつなぐとともに膨大な事務を取り仕切る能力ということで、リーダーを支えるとともに、処理の現場あるいは災害対応の業務の現場の管理、マネジメント能力を持った人材です。3つ目の実務担当者は、仮置場の運営や業務発注、広報、情報収集、分析、あるいは現場での実務等を実際に遂行していく能力を持った人材です。こういった3つの区分で能力が必要であろうという形で整理させていただきました。また、それだけでなく、土木や財務部局等の支援を要請するための仕組みでありますとか、そういったところとの連携も含めた人材、あるいは能力を、組織として確保していくことが必要だろうという形で整理をさせていただきました。
そういった成果1あるいは成果2に基づきまして、災害廃棄物分野における人材育成研修の基本的な考え方について検討をしてまいりました。この基本的な考え方ですが、別添1の資料8ページにございますが、全体的なフレーム、既存の研修との関連性、成果2で挙げられました人材、必要とされる能力をどういったコンテンツで対応できるのかといったものの整理をさせていただいています。
そちらをかいつまんで言いますと、まず4つ、大きく研修として基本的な考え方が必要であろうという形で検討を進めてまいりました。
1点目が、トップ、首長に向けた研修で、自治体における防災体制における災害廃棄物対策の重要性を認識していただくといった研修が必要であろうということ。
2つ目、ブルーの文字の箇所、定期的に実施する研修で、その中には2つございます。1つ目が基礎コース、災害時に必要となる法制度、処理技術、事務処理等の知識を学ぶ研修。2つ目が、その基礎コースを習得した、あるいは履修した方が対象になると思いますが、マネジメントコース、災害時における組織体制、調整・交渉力、あるいは情報整理力、広報などの知識を学ぶ研修。これらを定期的に実施する研修として整理いたしました。
なお、別添1の9ページと10ページに、成果1の課題と成果2の能力の整理を踏まえ、基礎コースあるいはマネジメントコースの各カリキュラムの案を整理しております。
3つ目、業務演習等を通じて、処理困難物対策や事務系業務等について学ぶ研修に関しても適宜必要に応じて実施すべき研修として整理をいたしました。
4つ目、災害廃棄物対策の基礎知識あるいは処理計画の策定の重要性について学ぶための基礎的な情報提供の研修が必要であろうということで整理をいたしました。なお、この4つ目にあります基礎的な情報提供となる研修に対する教材として、別添2の資料をこの人材育成ワーキングで作成させていただきました。この別添2の資料に基づきまして、基礎的な情報提供の基礎研修の試行についても検討を進めていきました。その右の成果4にございますが、地方自治体を対象に地域ブロック協議会等において基礎研修を試行するという形で、今年度に関しては奈良県に御協力をいただきまして、県の担当部局の職員及び県下の市町村の職員を対象とした基礎研修において、別添2の資料を用いて研修を試行させていただきました。その詳細に関しては、別添1ですが、13ページから15ページに概要及びアンケートの結果の報告等を取りまとめさせていただいております。資料5に基づいて御報告させていただきます。事後のアンケート結果からは、「こういった基礎的な情報提供等の研修において、別添2のテキストを用いることで災害前に何を実施しておくべきかわかった」でありますとか、あるいは「災害廃棄物に対する具体的なイメージ、想像力を持つことができた」でありますとか、「処理計画の重要性を改めて認識した」という意見をいただきました。特に印象に残った意見として、「平時からの計画策定や継続的な災害廃棄物対策の取組の重要性を認識した」や、「組織体制でありますとか、他部局、他組織との連携の重要性について学んだ」などがありました。
こういった今年度の検討を踏まえて、まとめと今後の展望について整理をさせていただきました。4点ございます。
1点目が、特に成果3で報告させていただいていますが、今年度、体系的な技能あるいは知識に基づく効果的なカリキュラムの作成と試行を行ってきましたが、今後引き続き国立環境研究所等々と連携した教材の開発や、研修の評価手法の確立に取り組む必要があるだろうという形で整理をさせていただいております。
2点目が、人材育成カリキュラムを具体的に実施するための仕組みを確立していかなければならないということです。そちらに関しては、日本環境衛生センター等、既存の研修実施機関と連携していくことが重要でありますし、そういった連携を踏まえた仕組みを今後はしっかりと検討を進めていかなければならないという形で整理をさせていただいております。
3点目が、現場教育を通じた人材育成の充実ということで、災害時の現地支援活動を通じて、災害時に支援に行った職員が経験を蓄積する、あるいは災害廃棄物処理対応に必要な能力を、支援活動を通じて習得する仕組みを、全国都市清掃会議等との連携を踏まえて考えていく、あるいは充実させていくことが必要であろうということで整理させていただいています。
最後の4点目ですが、こういった研修の受講生を今後いかに社会的に強靱な廃棄物処理システムの実現に向けて活用していくのかというところの検討です。研修認定制度とか、あるいはそういったものを踏まえた人材育成のカリキュラムでありますとか、研修を踏まえた人的ネットワークを、D.Waste-Netを支えるための人材確保という形で、ネットワークの構築についてもしっかりと進めていかないといけないという形で整理をさせていただきました。
以上、人材育成ワーキングからの報告となります。
○質疑応答
(酒井委員長)
どうもありがとうございました。それではご質問、ご意見をお願いいたします。
では、森谷委員、お願いいたします。
(森谷委員)
民間事業者の立場からの意見ですが、平山委員からお話があったのは、とりわけ市町村の職員に対するに人材育成だろうと思います。市町村の職員の方は、いざ事が起きた場合には業務を発注しないといけません。災害時にはさまざまな廃棄物処理が行われるので、ぜひ平時から現場感覚を養うということで、どういった事業者に潜在的に協力してもらえるのか、施設はどこにあるのか、また仮置場に使用できる遊休地等はどこにあるのかなど、日頃の情報基盤の整備、そういったものを養っていただくことが大事であると思います。以上です。
(酒井委員長)
石川委員、どうぞ。
(石川委員)
我々は施設の運転管理を受託している業者の集まりですが、やはりどれだけの要員がどの程度必要となってくるのかというのは、把握したいところです。例えば技術・システム検討ワーキングの報告から設備的な面については必要性が理解できるわけですが、例えば首都直下地震を例にとって、こういった種類の人材がこれだけ要るという目安があるという試算があれば、研修をどの程度広めて、どういう要員をオールジャパンでどう確保していくかが見えてくるのではないかという気がしました。
(酒井委員長)
平山委員、どうぞ。
(平山委員)
まず、森谷委員の御指摘ですが、この人材育成ワーキングの中でも、実際には自治体の職員だけではなく、民間も含めた人材の育成の仕組みが我が国として必要だろうという議論がございました。本年度は、まずは自治体職員のところから検討を進めるということで、具体的なカリキュラムまで落としたものを検討させていただきました。引き続き、民間との連携を踏まえた、特に現場感覚や、それを支える情報基盤、もちろん教材も含めてですが、そういった検討に関しては今後の展望という形でしっかりと整理をさせていただければと思っています。
(切川係長)
石川委員の御質問の、どれだけどんな人が必要なのかという点に関してですが、事業継続という意味で非常に大事なキーワードとなってくるかと思っております。そこは資料7でも説明させていただければと考えておりますが、今後の課題として整理させていただきたいと思っております。
もう一点、森谷委員からいただいた質問の情報基盤の整備に関しては、地域ブロック協議会の一つのテーマとして、どこに何があるのかというリストをつくるということをまさに行っておりますので、そこでうまく情報共有を図っていければと考えております。
(酒井委員長)
切川係長が答えられたとおりだと思います。情報基盤、施設の存在だとか事業者の動きについては、この人材育成で担える部分と、もっと協議会等で整備していく部分と、ここはうまく協調していただく話になると思います。
よろしいでしょうか。では次に行かせていただきます。次は地域間協調ワーキングです。ワーキングの報告としては最後となります。浅利委員から御説明よろしくお願いいたします。
(浅利委員)
ありがとうございます。地域間協調ワーキンググループの報告ということで、座長を務めさせていただきました京都大学の浅利から御報告、御説明をさせていただきたいと思います。委員の方には資料6の別添資料がありますが、基本的には一枚ものの資料6を使って説明をしたいと思います。
まず、説明に入ります前に、このワーキンググループの名前についてです。地域間協調ということですが、県域を超えた広域での国、自治体、民間事業者、専門家等の協調、地域ブロック単位での協調を指して使っているということを前提として念頭に置いていただきたいと思います。大規模災害を念頭に置いて、都道府県、地域ブロックを超えた協調が必要となる状況を想定した議論を基本とさせていただいております。
それでは資料に入りまして、まずは目的ですが、先ほどの定義を前提といたしまして、2つの考え方があると思います。まずは地域ブロック単位、特に地域ブロック内での行政、民間事業者、専門家等関係者との連携・協力体制の構築、そのために明確にすべき役割や連携・協力体制の強化について議論をするということを1点目の目的といたしました。もう一つは、その地域ブロック内で収まらない地域ブロック間の連携も必要となる、もしくは促進していくための方法論を確立していくということを2つ目の目的として議論をいたしました。具体的な検討内容は、その右に書いてあります、1点目は地域ブロック協議会の役割の整理、続きましてその地域ブロック協議会が中心となっていくわけですが、地域ブロック間の連携の具体化、そして重層的な協力関係の検討、次に災害協定ですとか行動計画等を念頭に置いて、各主体がどういう役割で連携をしていくかということを明確にするということ、そして最後にD.Waste-Net、ここの皆様もメンバーになっておられるかと思いますが、そのD.Waste-Netの運営方針の検討という、この4点を主に検討させていただきました。それぞれにつきまして、その下に、ブロックごとに成果をまとめておりますので確認していきたいと思います。
まず、成果1ということで、地域ブロック協議会の役割の整理ですが、防災に関する多分野での広域連携の事例も参考に、また他分野とは異なる災害に特化した状況もありますので、そういうものを参考に議論いたしました。特に他分野での連携については、全国連携、地域ブロック内連携が進んでいる下水道分野を調査いたしました。地域ブロック会議を定期的に開催して、顔の見える関係を構築し、派遣可能な人材・資機材の情報も平時から共有している事例が確認されました。また災害対策基本法に基づく全国応援のルール、それに基づく地域ブロックルールが災害時の広域支援の根拠となっているということもわかりました。また上水道分野でも同じ状況があるということも確認をした上で、それが災害廃棄物でもどこまで適用できるかということを議論してまいりまして、ここの成果1のところでは、①~③のように議論の整理を進めております。
まず①としては、連携・協力体制の構築ということで、関係者間の連携を促進して顔の見える関係を構築する、また災害時の初動対応の役割等を明記した災害協定の締結を推進するということです。この災害協定に関してはまた後でも触れたいと思っています。また地域特性、各主体の役割を踏まえて連携・協力体制をどう考えていくかということを踏まえた行動計画を策定する必要があるということを確認いたしました。
②が、重層的な補完体制を構築する、想定外をつくらないように、切れ目のない対応ができるさまざまな可能性を模索しようということで、この体制の構築について議論をいたしました。1ポツ目としては、まず自治体が単独で実施可能なことを見極めて、受援できる体制を構築するため、災害時の業務を整理した上で相互に助け合いとともに、都道府県あるいは国に対する支援内容と支援要請に関するルールの確立、その要件を整理いたしました。また先ほどの御指摘でもございましたが、具体的な量まではまだ十分に行き着いておりませんが、災害時の資機材相互融通等の対策要件の整理をいたしました。そして③、こちらも人材育成とも密に関連する部分ではありますが、人材育成・交流のネットワーク化、自治体に限らず民間事業者も含めて協議会を活用して情報共有を図っていくという場として地域ブロック協議会を活用していくということが重要ではないかということです。地域ブロック協議会の役割を今後いかに高めていくか、内実ともに高めていくかということが大きな課題であり、また大きな方向性として確認されたかと思っております。
次に成果2、地域ブロック間連携の具体化、重層的な協力関係の検討ということで、ここは相当に全体として議論をさせていただいた点かと思っております。地域ブロックを超えた支援が必要になる状況、そんな状況におきまして、ブロック内もしくはブロック間で事前に関係者で共有しておくべき論点の整理を進めました。
ここでは3点に整理をさせていただいております。検討に当たりましては、東日本大震災での事例ということで、このワーキングの委員の方からも率直な御意見をいただきました。また以前、酒井委員長から御意見をいただきました既存施設の最大限の活用、さまざまな要件、コスト、スピード、リサイクル率、そういったことのバランス、安全性といった大原則も整理した上で議論を進めるということでまとめてまいりました。
まず①が、広域処理必要量の積算方法の整理ということで、吉岡委員からも要処理量の計算ということがございましたが、ここでは特に広域処理の必要量を積算するに当たりまして、要処理量と処理可能量、これは仮設も含めてということですが、これを把握して、どのように計算していくかという整理を行いました。それとともに広域処理実施における留意事項、例えば平時の廃棄物処理施設や最終処分場の活用方針や、仮設焼却炉の活用の考え方等を含めまして整理いたしました。また、ブロックを超えた調整方法、特には広域処理を行うかどうかの判断条件についても検討いたしました。
次に②広域輸送体制の構築ですが、災害廃棄物の広域輸送の主体のあり方及び手続について、これまでの経験を踏まえたことを中心に整理をいたしました。例えば東日本大震災では、支援側が被災地内まで輸送するケース、また被災側が支援していただく自治体の処理施設まで輸送するケースという2パターンが確実に存在いたしましたので、それらの事例、長短を含めて検討いたしました。また被災側の搬出計画、輸送計画、受入側の受入計画、この3つが非常に重要であるということの確認と、どういうものがどういうことをカバーすべきかという議論もいたしました。
③では、人材・資機材等の広域支援のあり方、特にし尿、生活ごみ、産業廃棄物、災害廃棄物に分けまして、収集・運搬に必要な支援のあり方について検討いたしました。まだ数値までには至っておりませんのでこれは今後の課題かと考えております。
④が、支援活動を円滑にするための受入態勢の構築については、受入側も支援を受けるに当たってはその体制を整えておくことが非常に重要であろうということで、環境省と都道府県が連携してニーズを共有して、スムーズに受け入れをしていくための方策、しかも重要な要点についての検討をさせていただきました。
また左下に行きまして成果3、特に何をよりどころに広域連携を進めていくかということで、例えば災害協定、行動計画等がそれに当たるかと思いますが、他の分野、特に下水道分野等の取組も参考にしながら、各主体の役割に応じた連携のあり方をいかに明確化していくかという検討に着手したという状況です。①が、災害協定の活用についての検討ということで、大規模災害の場合は、場合によっては個々の災害協定が混乱や不公平の要因となる可能性もあるということで、そういう場合には災害協定を踏まえつつも、初動段階から県、ブロック単位で支援調整をしていく必要性、その際の調整スキームの作成の必要性等についての要件を検討しました。また、大規模災害時に災害廃棄物に関しての円滑な処理を実施するためには、例えば、下水道の場合でしたら下水道に特化した協定を結んでおられると、防災また災害時の協定全般に関するものではなくて、この分野に特化したものが存在しておりますので、災害廃棄物についてもそういう協定の可能性もあるのではないか、その場合のガイドラインのあり方についての検討も始めた状況です。②では、災害廃棄物対策行動計画をいかに自治体にとって有用なものにしていくか、位置づけを高められるかということについての議論も始めた状況です。
最後に、成果4は、平成27年9月16日に発足いたしましたD.Waste-Netの運用方針の検討です。こちらは詳細を割愛させていただきたいと思います。また適宜資料で御確認いただければと思います。
一番下には、今後の展望をまとめております。メンバーの皆様は多様な経験や知見が豊富で、本当に私自身も学ぶところが多く、助けていただいたと思っております。まずメンバーの皆様、委員の皆様に感謝をさせていただきたいと思っております。一方で、議論が非常に多岐にわたりまして、まだまだ検討に着手したばかりという点も多いと思っております。詳細は別添の資料の最後にも整理させていただいておりますが、この資料6の中では4点に集約しております。
地域ブロックごとの特性を整理して、連携・協力体制を強化していく、実際に実効性のある重層的な対応、体制というものを検討するということが必要かと思っております。地域ブロック協議会と地方自治体が発災時に備えた支援・受援体制を構築するための支援策をガイドライン等の形で整理して、地域ブロックのより実効性ある行動計画に結びつけていきたいと思っております。また、複数の地域ブロックにまたがる広域的な輸送ネットワークの構築等、地域ブロックを超える地域ブロック間の広域連携を促進して、D.Waste-Netも連携活用して、地域ブロックごとに円滑な広域輸送等を実現するためのルールの整備、拠点の選定を進めるということが具体的な地域ブロック間の連携において非常に有効ではないかと考えています。最後に、地域ブロック協議会における防災訓練等の実施事例を分析して、より効果的な防災訓練や、実際の発災後の初動に結びつくスキームを整理していきたいということ、そこが大きなポイントかと考えております。
ここには書いておりませんが、議論の終盤では、災害廃棄物のBCPの必要性についても御指摘をいただきました。この後、環境省からBCPの説明があるかと思いますが、その点も踏まえて、今後の展望としてまとめさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。
○質疑応答
(酒井委員長)
地域間協調ワーキングのご説明どうもありがとうございました。それではただいまの説明に対して何かご意見はありますでしょうか。
では佐々木委員、お願いいたします。
(佐々木委員)
成果3の各主体の役割に応じた連携のあり方ということで、災害協定のことが書かれてあり、混乱や不公平の要因となる恐れがあるということでした。かつて環境省も地域間の連携でこういった協定は有効であるという意見も持っておられたと思うのですが、これでは混乱があるからやめろというニュアンスにとられかねません。現実には、災害が起きたから協定を結ぶのではなく、常に交流があった上で、かつ災害時にはお互い応援しましょうというのが協定のあり方でした。例えば釜石市と北九州市との関係は鉄つながりということでずっと続いていて、市民の交流もあります。そうした場合、応援にいくときには市民の理解も得られやすい。あるいは東日本大震災のときの仙台市と政令指定都市の災害派遣協定、そういったものもありますから、この辺は慎重に検討していただかないと、県が決めるからあっちへ行け、こっちへ行けということでは絶対に支援は動かないと思います。以上です。
(酒井委員長)
ほかにありますでしょうか。坂本委員、どうぞ。
(坂本委員)
佐々木委員と同じことを考えておりました。
浅利委員が出されているいろいろなブロックを動かす事は効果的と思いますが、例えば、東日本大震災の折も若干の放射性物質があったために市町村が廃棄物を受け入れることがすべてできなくなりました。そういう支援体制を絵に描いただけでうまく機能するのか。またさまざまな廃棄物、特に災害廃棄物は分別処理を通して最後は土砂と木くずや有機物の混合物になり、腐敗もしますし、処理もかなり難しくなります。そういう廃棄物を何でおらが町で処理しなければいけないのかとか、そういう状況をどのように進めていくのか。また、廃棄物処理の許認可の課題もあります。これは先ほど佐々木委員がおっしゃったのと同じ意味合いで、日頃から廃棄物を受け入れるための許認可がちゃんと理解されている、受入れができるための仕組みが整っているかなどについては、まだ充分機能する段階にないのではという気がいたしました。
(酒井委員長)
2点、御意見をいただきました。それではまず浅利委員からお答えいただけますか。
(浅利委員)
まず、佐々木委員のポイントですが、以前も御指摘いただいておりまして、表現の仕方を含めて検討したいと思います。ただ、各地域ブロックで、どの協定がどういう主体間で結ばれているかという整理が始まっている段階ですので、そこの分析も踏まえて、有効な関係性は崩さない形でどう調整していけるかということはぜひ検討したいと思っております。重要な課題だと認識しておりますので今後とも御意見お願いしたと思っております。
また2点目の御指摘、今はどちらかといいますと要素で検討しているという状況で、これを全体図として実際に発災したときにきちんと動くのかというところの検証もしっかりしていかなければいけないと自分自身は感じております。ここは環境省からもポイントを御指摘いただければと思います。
(切川係長)
事務局から補足させていただきたいと思います。
1つ目の佐々木委員からいただきました、混乱があるから協定をやめろということは全くございません。ただ、協定ありきで各自治体が動いてしまうと、協定がどうなっているかが把握できていない状態では混乱するのではないかと思いましたので、どことどこが、どのような協定を結んでいるかという情報を共有しながら、いつどういう発動をするかということを地域ブロック単位で、地域ブロック協議会の中で共有することによってうまく協定を活かしながら活動していくことを考えています。また協定を結んでいないところが支援されない体制は良くないので、そこもうまくバランスをとりながら支援体制が組めればと考えております。ただ、表現に関しては御指摘のとおりですので、修正したいと考えております。
もう一点、坂本委員からいただきました受入体制の現実性がどうかというところに関してですが、東日本大震災のときの反省をきちんと踏まえなければいけないと考えておりまして、今はそこから着手している状況です。
(酒井委員長)
ただいまのやり取りでほぼ結構だろうと思うのですが、今の災害協定の締結の現状というのは、全国ほぼ網羅して把握できているのですか。
(切川係長)
まだ100%はできていない状況です。
(酒井委員長)
まずそこをしっかりやっていただくということでしょうね。基本的には災害協定は有効、これは佐々木委員のおっしゃるとおりで、一部例外というのはどういうものかをもう少し具体的にしていく必要があると思います。地元の受入れ可能性云々というところ、これは先ほどの支援と受援の考え方が今回出されていますね。これがこのグループのとても大事なところで、やはり受援のガイドライン的なことを用意していく必要があるのだろうと思います。そのときに坂本委員の観点が上手に入ってくるというのが重要と思いますので、これは今後に向けて貴重な御意見をいただいたと思いますので、今後の作業の中でお考えください。
それでは4ワーキングからの報告をいただきました。次の議題に入らせていただいてよろしいでしょうか。
(3)災害廃棄物分野におけるBCP的な考え方について
(酒井委員長)
先ほど、資料2の今後のあり方の中で、今後取り組むべき事項の一つに、自治体による災害廃棄物対策にBCPの導入ということが挙げられておりました。この災害廃棄物分野におけるBCP的な考え方について、事務局でまず基礎的な整理をしていただいております。その説明をいただきましてご意見をいただきたいと思います。お願いいたします。
(切川係長)
それでは資料7の説明をさせていただきます。資料7はクリップどめで、後ろに、内閣府が策定されております地震発生時の地方公共団体の事業継続の手引きとその解説、BCPの策定状況という資料、また下水道のBCP策定マニュアルの概要版を添付させていただいております。特に内閣府がつくられた地震発生時の業務継続の手引きと解説は構造がわかりやすいので、これを見ながら説明を聞いていただければと思います。
先ほど石川委員からいただいた御意見はまさにそのとおりで、これまでの災害廃棄物処理計画というと、何が必要で、どれぐらいの量がいるのか、何をしなければいけないのかといったことを整理してきたのですが、それは、誰が、いつ、どうやって、いつまでに、というところに関してまでは整理ができていないところがあります。そこをきちんと盛り込んでいこうというのが、このBCP的な考え方を入れていこうという最初の発想です。
2ページ目、用語の整理をさせていただきました。BCPとは、被災して業務遂行能力が低下した状況下で、まさに災害が起きた状況で、非常時に優先業務を継続・再開するための計画のことです。非常時優先業務を平時の段階でリスト化しておき、優先順位をつけておくことが重要な業務となります。この非常時優先業務を誰がどうやって遂行するのか、どれぐらい人数が必要なのか、資源をどのくらい自治体で持っているのかをきちんと把握していきながら、災害が起きたときに確実に機能するように回していくことが、その下にあるBCM、事業継続マネジメントです。いわゆるPDCAを回しながらうまく事業継続ができる形を組んでいくというのが全体的な構造となってきます。BCMの前段階としてのBCPとして、災害が起きた場合には業務が大量に発生しますので、その業務のリスト化をまず整理して組み込んでいければと考えております。
3つ目の○のところに、国のガイドラインの例をお示ししておりますが、防災の分野では以前からこの事業継続に関して議論がされており、その一つに内閣府が平成19年6月につくられた中央省庁の業務継続ガイドラインがあります。もう一つが、資料としてつけさせていただいておりますが、地震時の地方公共団体の事業継続の手引きで、こちらに関しては地方公共団体があらかじめ体制を整えておくために必要な事項を整理したものです。最後の下水道のBCPは、これは国土交通省が平成24年4月に改訂されたもので、大規模地震とか津波により下水道施設が被災した場合でも、速やかに高いレベルで機能を回復・維持するためのマニュアルということで、施設の復旧の点から参考になると考え、お示しさせていただいております。
3ページ目です。BCPの考え方について、内閣府の事業継続のガイドライン等で示されているものを参考に、災害廃棄物の観点で模式図を作成するとこうなるのではないかという整理をしたものです。災害時に、人や物、情報等の業務資源に制約がある状況下においても、非常時優先業務というものをきちんと実施していこうということで、平時のところというのはこの青い部分に示されておりまして、2種類に分けております。一つがAというので、非常時優先業務に該当する通常業務、もう一つが該当しない業務というので、この2つが平時に行われる作業です。特に例示として該当しない業務と書かせていただいておりますが、粗大ごみの処理、これは災害廃棄物に該当しない粗大ごみの処理といったものとか、ごみの減量化に関する広報活動などもふだんから行われておりますので、そういったものは災害が起きたときは少し待っていただいて、ある程度落ち着いてから業務として再開するものと整理しております。大事なのが、もう一つの非常時に行わなければならない業務です。生活ごみやし尿の収集業務に関しては、今回の豪雨災害でもございましたが、災害が起きた後でもすぐにでも再開しなければいけない重要な業務です。この2つが平時からやっているものとして一つ青いところで整理をします。
もう一つ、Bになるのですが、災害廃棄物、すなわち平時は発生していないものが災害時には出てきますので、ここの業務をいかに考えていくのかということが非常に重要です。100%というのが平時それぞれの市町村もしくは都道府県で対応されている業務量で、災害発生数日後から100%を超えていって膨大な量になってきますので、それをうまく受援をしながら対応していく。受援に関しても2パターンありまして、まずはそれぞれの市町村・都道府県の中で他部局から応援をいただくというものと、さらに周辺の市町村とか、自治体から支援をいただくということと、民間から支援をいただくというものもありますが、そういった部分に関して受援により対応するという形を模式図で書かせていただいています。
次のページでは、非常時優先業務の例というものを幾つか挙げさせていただいております。通常時でも行われている業務と、下にBで示させていただきました災害時特有の業務、災害廃棄物処理が該当しますが、それを整理させていただいています。分類としまして、業務内容の例で、生活ごみ・し尿の処理に関してはし尿の収集とか、消臭剤等の配布、通常時の処理施設の復旧等を整理させていただいております。それをいつまでに再開すべきなのかということと、再開した後どのように維持していくのかというのをまず模式図的に書く。
災害廃棄物の処理に関しては、まず仮置場の確保が非常に大事になってきます。そういったものから、災害廃棄物の腐敗性のあるもの、緊急に処理をしなければいけないものを下から4番目に挙げていますが、それは大体1週間ぐらいで着手したほうがいいのではないかというものです。こういったものを、いろいろな形で整理をしながら考えていきたいと思います。
5ページ目がBCMの説明になってくるのですが、平時にこのように非常時に発生する優先業務に関してリストアップしていただいた上で、今ある業務資源としては、人・物・資金・情報の4つの要素を書かせていただいております。本当に対応できるのかどうかきちんとチェックした上で、その状況をできるだけ業務が継続できるように改善していこうというのが、まさにBCMです。
模式図的に下に書かせていただいておりますが、まず、全く何も対策をしていなかったら一番下の赤いラインのところになるだろうというところから始め、予防対策として施設の耐震性を図ると早急に施設が復旧できて動き始めるので緑の線に近づくのではないかとか、あと早期回復でいきますと、外部の応援などがあるとその立ち上げができるとか、さまざまな要素を組み込んでいきながら、できるだけ目標とするレベルに近づいていく作業というのがまさにBCMというものです。
ここまで、BCPとBCMの作業の考え方というのを整理させていただきましたが、まだまだ始めたばかりですので、最後の6ページ目に書かせていただきましたが、まず基本的な考え方とか、参考事例を整理していきながら、災害廃棄物分野にどのように活用していくかということを丁寧に整理させていただきたいと考えているところです。
もう一点、こういったBCPの考え方に対して、新しく計画をつくるのもなかなか難しいかと思いますので、一般廃棄物処理計画や災害廃棄物処理計画の中にどういうふうに反映させるのかということに関してもこれから検討していきたいと考えています。
以上です。
○質疑応答
(酒井委員長)
ありがとうございました。それではただいまの説明にご質問あるいはご意見等がございましたらお願いいたします。いかがでございましょうか。
遠藤委員からお願いいたします。
(遠藤委員)
ありがとうございます。今回BCP・BCMの方向性を出していただいて大変ありがたいと思いますが、2点ほど少し考えていることがあります。
我々の市でもBCPはもう作っていて、対応を現在行っているのですが、資料の4ページの非常時優先業務で、今回は災害廃棄物をいかに迅速にスムーズに処理していくのかということを中心的な論点として取り上げておりました。市町村は、発災すると3つの場面に対応しなければなりません。4ページにあります通常のごみやし尿の処理、災害廃棄物の処理、その中でも一次仮置場の設置と処理まで考えた二次仮置場の設置、この3つを同時並行でやることとなります。ここにリストアップされている生活ごみとし尿の処理について、通常の市民生活によるもののほかに、特に我々が今回感じたのは、避難所のごみとし尿を最優先で考える必要があるということです。断水時、停電時は食べ物は当然乾燥したものが多いのですが、徐々に支援、炊き出しなどを行っていただくようになると今度は腐敗物も出てきますので、生活ごみ・し尿の中でも避難所のものを特に優先するといったところを検討いただけるとありがたいと思いました。
2点目は、大規模災害では人的被害が大きく、現実的に我々が災害廃棄物を撤去するといった行動に入れるのは2~3週間ぐらい後となります。最優先は人命救助や不明者捜索というふうに、1週間ぐらいずつでステップが変わってくるのですが、大規模でない、今回の関東・東北豪雨のような場合は、意外と災害廃棄物の撤去をすぐにやらないといけない状況でした。仮置場の確保は翌日からというラインがありますが、処理方針作成や、腐敗物処理というのは意外と早く、むしろ通常災害のほうが迅速に動かなければならない場合もあると先の豪雨で私も経験しました。その辺も念頭に置いていただければありがたいと思いました。
以上です。
(酒井委員長)
ありがとうございます。では佐々木委員、どうぞ。
(佐々木委員)
遠藤委員が言われたことには私も同感で、避難所、仮設トイレは優先的に行うべき場合が多いです。東日本大震災の際に、仮設トイレは我々の実績では避難所に置くというのが一般的だったのですが、津波のように広域に被害がある場合は、警察の方あるいはボランティアの方が不明者の捜索等をしているときに、その人たち向けの仮設トイレ設置の要望もありました。何十カ所と置いて、衛生的に処理できるように、そうした計画的な取組もこの中に入れておかないといけないだろうと思います。
また通常災害のときに現地に入るタイミングについても、仮置場そのものというよりも、むしろボランティアの方が常総市の場合は大勢に入って、仮置場との段取りがズレて、仮置場が大混乱になったことがあります。ボランティアの取組も、いつでも好きなときに行って好きなことをやれば良いというわけではないので、その辺のきちんとした計画的な取組も盛り込んでいただく必要があるのではないかと思います。
以上です。
(酒井委員長)
平山委員、お願いします。
(平山委員)
2点あります。
まず1点目は、先ほど最後の6ページ目にある今後の取組の方向ということでご説明をいただきましたが、このBCPの考え方のコンセプトといいますか、制約条件がある中でいかに回復力を高めていくのかという考え方をしっかり導入していかないといけないと思うのです。一方で、BCPという計画と、例えば処理計画、処理実行計画、あるいは廃棄物処理施設整備計画など、そういったところとの関連性をしっかりと整理しておかないといけないと思います。アメリカなどの例では、そういった考え方を整理した上でBCPあるいはBCMのガイドラインを策定されていることもありますので、それも参考にまずしっかりと整理をお願いしたいということがあります。
2点目、3ページの考え方のコンセプト図ですが、業務レベルに関しては、実際にBCPで100%、通常の生活環境の安全をきちんと確保するといったものが災害時にどこまで下がり、それをいかに早く100%まで戻すのかというレベルと、もう一つは、ここの特に赤色のラインにありますが、業務量が通常と災害時で増えるという、要は災害対応する組織としての考え方と、その被災地域の状況がどうなのかというのはしっかり分けて考えておかないと混乱のもとになるのではないかと思います。今回示された3ページ目は主に業務量でどうなのかという観点ですので、廃棄物部局のミッションであるその地域の環境衛生とか環境の安全をどのように守るのか、そういう観点の考え方もぜひ加えていただければと思います。
(酒井委員長)
以上ですね。それではどうぞ。
(切川係長)
それでは回答させていただきます。
遠藤委員、佐々木委員から御指摘いただいたことはまさにそのとおりですので、整理をさせていただく例の中にうまく追加しながら、またさらに必要な業務も出てくると思いますので、そこも今後の課題として整理していきたいと考えています。
平山委員からいただきました点に関してですが、特に回復力との関連性の整理が必要ということに関しては、ぜひ来年度の大事な課題として、どの計画にどのように入れていくのか、どの計画にはどういったものがふさわしいのかも含めて整理をしていきたいと考えております。また、図でお示ししました業務量に関してはまさに御認識のとおりでございまして、廃棄物部局で実施すべき業務ということで、関東・東北豪雨災害の際にも、市の廃棄物担当者が3人しかおらず、さらにその3人も最初から廃棄物のことができるわけではない中で、災害対応を実施せざるを得ないという事例がありました。それを3人から10人、15人と増やしていく過程を事前に計画として盛り込んでいただきたいという考えをこのような形で整理をさせていただきました。
(酒井委員長)
いいやり取りをいただけたと思っております。ほかはよろしいでしょうか。
今のご意見をお聞きすると、やはり廃棄物対策のBCPについてまず観点と特徴を整理してから進める必要があると思います。通常の処理能力減少をどう速やかにカバーするかということでし尿・ごみの話があるでしょうし、災害における廃棄物分野の特徴というのは、そこに上乗せされる災害廃棄物があることです。それを頭に置いてどう進めるか。もう一つが、遠藤委員あるいは佐々木委員から御指摘のあった地域の環境衛生の観点です。これでまた付加的な業務というのが出てきて、それにどう対応するか。今、お聞きした中ではその3つが頭に浮かびましたが、それを全体の視野に入れたBCPのあり方ということです。他分野とは様相が異なる分野かと思いますので、まずそこを整理してから、では何が必要かを検討すると良いのではないかと思います。またこれは今後考えていきましょう。ありがとうございます。
では、BCP関係はよろしいでしょうか。
9.報告
(酒井委員長)
それでは引き続きまして報告関係をお願いしたいと思います。3点の報告を事務局で用意をいただいております。まず3点御報告いただきまして、まとめて質疑の時間をとりたいと思います。よろしくお願いします。
(切川係長)
それでは資料8の地域ブロック協議会における検討状況から御説明させていただきます。
1ページ目が地域ブロック協議会の設置状況で、右側の図に北海道から九州まで全8ブロックの協議会、東北は連絡会、それぞれの設置時期と名称を整理させていただいております。地域ブロック協議会の活動内容に関しては、左側に整理させていただいておりまして、大きく7点あります。1点目が地域ブロック協議会の運営の関係上、2点目が行動計画の策定の関係、3点目がセミナーとか見学会の実施の関係、4番目は自治体がつくる災害廃棄物処理計画策定支援の関係、5番目がブロック単位での共同訓練の関係、6番目が地域ブロックの実態の調査、先ほど森谷委員からいただきましたものがここに入っています。7番目が、記録集の作成、今回中国ブロック協議会において、広島土砂災害の記録を作成しております。これらが主な活動として行っていただいているものです。
構成としては、環境省の地方環境事務所が中心となりまして、関係省庁の地方支分部局、都道府県、主要な市町村、あとは地域の専門家の方、民間業者の方々に入っていただいています。
次は3ページです。こちらから2ページにわたって、各地域ブロックにおける平成27年度の活動実績と平成28年度の活動予定に関して一覧で整理をさせていただいております。特徴的なところだけを説明させていただきます。
北海道のブロックに関しては、行動計画の素案がほぼ固まっている状況です。自治体と関連事業者向けのセミナーを適宜開催しています。
東北ブロックに関しては、3市町を対象としまして災害廃棄物処理計画作成モデル事業を実施しております。特に処理計画が進んでいないところを対象として、どういったところがノウハウとして不足しているのかをこの事業の中で抽出してきながら、それをうまく支援できる仕組みをつくっていこうというのが東北の特徴です。また管内の一般廃棄物、産業廃棄物に関する調査も実施されています。東北に関しては28年度に県を対象とした災害廃棄物作成のモデル的支援事業を計画している点が特徴的な部分です。
関東ブロックに関しては、協議会の下に分科会を2つ、広域分科会とネットワーク分科会を設置して、連絡マニュアルを検討しようということと、緊急時と平常時の協議会の体制について協議を行っているのが特徴的な活動です。関東でも3市町を対象とした計画作成モデル事業のを実施、それに加えてワークショップや、現地見学会、災害報告書の作成セミナーなど、さまざまなことを実施されております。来年度に関しては、常総市の今回の豪雨災害の検証を行うということが大きなテーマとして整理をされております。
次のページに中部をお示ししております。中部ブロックでは、行動計画を広域連携計画(仮称)という名称で策定に向けた協議が進められています。さらに、処理計画そのものの中で、特に処理困難物、こちらをどのように適正処理するかといったところにターゲットを絞りましてモデル事業を実施されているのが中部の特徴です。
近畿ブロックに関しては、協議会を運営しながらさらに協議会に参加していない自治体との意見交換を開催しているというのが1つ目の特徴になります。近畿に関しては兵庫県が図上演習等さまざまな先進的な取組をされておりますので、そことうまく連携していきながら図上演習等に来年から取り組んでいこうと計画されております。
中国と四国に関しては、それぞれ分かれて協議会をつくっておりますが、うまく連携しながら取組をされております。大きな特徴は、図上演習に先進的に取り組まれているところです。
最後、九州ブロックに関しては、協議会を運営しながらセミナー等を開催し、来年度から行動計画策定に向けた議論を開始しようと予定をされております。
それぞれブロックが特色をもって、検討を進めていただいている状況です。
資料8に関しては以上です。
続きまして資料9の説明をさせていただきます。資料9は、自治体における災害廃棄物対策の取組状況についてということで、毎年実施をしておりますアンケート調査の結果を説明させていただきます。
2ページ目で、自治体における災害廃棄物対策の調査の概要としで、47都道府県と全ての市町村、また組合に対して、27年3月末時点での状況について調査を実施させていただきました。調査項目は大きく8項目あり、処理計画の策定状況、有害物質対策状況、仮置場の確保状況、教育訓練の実施状況などです。特徴的なところのみ資料としてまとめております。
3ページ目では、処理計画の策定状況を整理させていただいております。都道府県に関しては、策定済みが26%で、そのうち17%は毎年見直しを実施しているという結果でした。策定済みは昨年が21%でしたので、昨年より5%ほど策定率が伸びている状況です。さらに現在策定中と、今後策定する予定まで考慮しますとほぼ都道府県に関しては100%までいく結果となっております。また、下の右側のグラフを見ていただきたいのですが、特に今後策定する予定の中で、1年以内が37%、3年以内が49%で、合わせますと9割弱の都道府県が3年以内には計画を策定するという状況です。つまりこれから3年後には都道府県の災害廃棄物処理計画はほぼ作成が終わるという状況です。市町村に関しては現在40%の市町村が計画を策定している状況で、昨年よりも8%伸びている状況です。もう一つ、下の円グラフの左側を見ていただきたいのですが、都道府県で単独で計画を策定している割合は、半分ぐらいという状況で回答をいただいております。
4ページ目です。今度は、計画の策定状況をブロック単位という視点と、太平洋沿岸地域がどうかという視点で整理をさせていただいたものです。
地域ブロック単位で説明させていただきますと、一番計画策定が進んでいるのが中部ブロックで、続いて東北、近畿という結果になっています。今後策定する予定まで踏まえますと、中部や中国・四国に関しては8割ぐらいまで進んでいくという状況です。この緑のところをこれからどのように対策していくかということを考えていきたいと考えています。
5ページ目に移らせていただきます。5ページは仮置場の確保や候補地の選定に関する検討状況ということで、左側の円グラフが候補地を考えられていますかということで、「あり」というのが検討しているということです。その仮置場の確保ができていない自治体に対しまして、どういうところに課題があるのでしょうかということで、複数回答いただいたものを取りまとめたものが右側の棒グラフです。まず左側の円グラフから説明させていただきます。都道府県では、仮置場の確保を考えているのは約26%という回答になりまして、この26%のうち58%の都道府県が、計画の中に書いて公開しているという回答をいただきました。さらにこの26%のうち半分が、今回の検討会でも議論になりました一次仮置場と二次仮置場を分けて整理をしているという回答をいただいております。市町村では、33%が仮置場の検討を行っており、66%が処理計画の中に記載する等で公開されているという結果です。右側の棒グラフに移ります。都道府県ではかなり具体的に検討されているようで、他の利用用途との調整が難しいといったものが一番大きな理由で、次は空き地の把握が困難であるという結果でした。市町村で一番多かったのが都道府県の2番目と同じ空き地の把握が難しいということ、2つ目は専門的な情報や知見が不足していることが課題として挙げられています。
6ページ目、こちらでは自治体の職員に対する教育訓練の実施状況という結果を整理させていただいております。これも仮置場と同様に、上が実施状況で、下がそれの課題を複数回答いただいたものを整理させていただきました。都道府県におかれては、過去も含めると、3割ぐらいのところで訓練が実施されたという形になっております。市町村はなかなか実施が進んでいないという状況です。下の右側の参加者の範囲を見ていただきますと、都道府県に関しては、都道府県職員と、県下の市町村の環境部局の方も教育訓練を実施している例が多いという結果が得られました。右側を見ていただきますと、教育・訓練で共通しているのですが、研修や訓練を実施するためのノウハウがないということで、人材育成ワーキングでやられている課題などが非常に重要なものになってくるのではないかという結果となっております。
最後7ページ目のところはそのまとめとして整理させていただいたものです。
以上で説明を終わります。
(大塚課長補佐)
引き続き、資料10の資源効率に係る国際協力をテーマとしたG7アライアンスワークショップについて説明いたします。
まず2ページ目を御覧ください。御承知のとおり、今年5月に我が国主催によるG7サミットが開催されますが、サミット開催に先駆けて、2月22日に資源効率に係る国際協力をテーマとしたG7アライアンスワークショップがパシフィコ横浜にて開催され、G7各国を含め137名の方が参加しました。
次のページを御覧ください。昨年のドイツエルマウ・サミットでは、首脳宣言の中で資源効率が取り上げられ、各ステークホルダーがベストプラクティスを共有するフォーラムとして、資源効率のためのG7アライアンスが設立されました。世界レベルで天然資源の消費と廃棄物の排出がかつてないほどの規模に増えており、資源効率や3Rsに関するG7とG7以外の国々との協力は重要です。昨年に開催されたワークショップ等においても、双方の協力の重要性についても指摘がされています。以上を踏まえ、本年、我が国がG7の議長国を務めることから、資源効率に係る国際協力をテーマに本ワークショップを開催いたしました。
また今回のワークショップを活用して我が国が知見・経験を有している災害廃棄物対策やその重要性について積極的に国際社会に発信すべき機会ととらえ、各国の廃棄物に係る行政責任者や一般参加者に対して、ワークショップのスペシャルセッションとして、災害廃棄物対策セミナーをあわせて実施いたしました。
ページをめくっていただきまして、ワークショップの各プログラムですが、セッションを4つに設定し、G7とG7以外の国や国際機関等から発表や議論がなされました。詳細は時間の関係で割愛いたしますので御覧いただければと思います。全体を通して活発な議論がなされまして、資源効率と3Rとの調和や、世界全体での資源効率性の向上に向けた国際協力の重要性が認識されました。なお、今回ワークショップでは酒井委員長にも共同議長を務めていただきました。委員長、ありがとうございました。
次のページで災害廃棄物対策セミナーについて御説明いたします。最初に、環境省による冒頭挨拶にて、近年アジア・太平洋諸国を中心とした自然災害が頻発化・激甚化してきていることに伴い、資源効率・3Rsの関係からも災害廃棄物対策を行っていくことの重要性を説明し、東日本大震災での環境省の取組や、取組を通じて得られた経験・知見を国内のみならず、国際的な支援にも生かしていく旨、説明いたしました。次に、仙台市から、本日御出席の遠藤委員から、東日本大震災による災害廃棄物処理の取組の具体的事例を照会いただきました。遠藤委員、ありがとうございます。最後に国際支援の連携先として重要なJICAからアジア太平洋地域に対する技術支援の展開等について御紹介いただきました。セミナーの成果として、災害廃棄物対策への取組の重要性について関係者の間で認識が共有されたと考えております。なお、セミナー終了後に東日本大震災における災害廃棄物処理の取組のビデオを放映いたしました。本映像は参加者からの評価も非常に高かったこともあり、環境省のWebサイトのYouTube動画チャンネルにもアップしましたので、ぜひ、皆様に御覧いただきたいと思います。
最後のページになりますが、セミナーでも紹介した資源効率・3Rs政策における災害廃棄物対策の重要性について御説明いたします。近年、アジア・太平洋地域を中心とした災害の頻発化・激甚化に伴い、被害が大きくなってきておりますが、各国における自然災害の被害額もあわせて増加している傾向にあります。これは途上国における都市化の増加も一因となっております。これに対する必要な政策や対策を講じることは、生活環境や公衆衛生などの悪化のリスクの軽減にもつながります。災害廃棄物対策は、災害によって発生した廃棄物を減容化するという観点で、資源効率・3Rs政策とも密接に関係していることから、災害廃棄物対策を主流化する取組を国際的に定着させていく必要があります。気候変動の影響により、災害がますます頻発化・激甚化していくことから、資源効率・3Rs政策と平時も含めた災害廃棄物対策の統合的取組を実行することにより、自国の資源効率性が災害に対して強靱で持続的なものにすることができると考えております。
報告は以上です。
○質疑応答
(酒井委員長)
どうもありがとうございました。3点、報告をいただきました。これに対する御質問等はありますでしょうか。
森谷委員、どうぞ。
(森谷委員)
要望ですが、資料9で自治体における取組の結果を出されていて、この意図は計画策定の現状がどうであって、今後促進するために情報を出しているということだと思いますが、そこでは、市町村数、または都道府県数で整理されています。次の機会には異なる観点、例えば、人口で見るとどうであるかということもぜひ出していただければ、また別の見方ができるのではないかと思います。
以上です。
(切川係長)
森谷委員、ありがとうございます。そういう視点でも整理してみたいと思います。
(酒井委員長)
ほかにはよろしいでしょうか。
最後に御紹介された東日本大震災のビデオについてですが、私も何度か拝見しておりますが、とても良くできたビデオだと思います。ぜひ皆さんご覧ください。先週、ベトナムのハノイで3R国際学会を主催いたしましたが、そこでも流させていただきましたところ自然と拍手が起こったということを報告しておきます。
それでは御用意いただいた議題は以上ですが、全体を通じて何かご意見、ご質問はありますでしょうか。
本日はさまざまなご意見をいただき、ありがとうございました。それでは第6回検討会の終了に向けて、まとめてまいりたいと思います。
まず、冒頭でも申しましたが、平成25年からの3カ年の検討委員会及び検討会の過程、最初は平成26年3月にグランドデザインの報告を出させていただきました。その後、環境省にて多くの政策的な成果を挙げてきておられます。廃棄物処理法と災害対策基本法の改正、そして廃棄物処理法における基本方針の変更、また、大規模災害発生時における災害廃棄物対策の行動指針の策定、D.Waste-Netの発足、さらには地域ブロック協議会の発足、昨年起こりました関東・東北豪雨災害の支援、そして災害廃棄物対策室の発足など、短期間にこれほど多くの政策的成果を挙げたことにおつき合いできたことをうれしく思います。またこの成果に向けては、検討会の委員皆様方の貴重な御意見等があったことをあわせて申し上げねばなりません。何より環境省の担当者の方々、本当に良くやってこられたことと思います。この場を借りてまず敬意を表したいと思っております。
さりとて、先ほど自治体の取組状況をお聞きしましたが、数年前に比べたら格段に進んでいるところが見えるものの、まだまだ市町村の25%は策定予定がないと堂々と宣言されておられることを考えますと、やはりまだこういう策定予定のない自治体のフォローアップ等の必要性は強く感じます。そういった意味では、環境省におかれては、今回の検討会の提言を踏まえまして、引き続き災害廃棄物対策の強化充実に向けて検討を行っていただきたいと思います。まずこの検討会のまとめ役からお礼とまた今後のお願いということを含めて発言させていただきます。
10.閉会
(山本企画課長)
酒井委員長、どうもありがとうございました。鎌形部長は国会対応により中座しておりますので私から一言御礼を申し上げたいと思います。
約3年間にわたる、酒井委員長を初めとする委員の皆様方、またワーキングに御参加、御協力いただきました多くの皆様方の御指導、御協力によって、環境省としてもこの分野で大きく政策を動かすことができたことについて、心から御礼申し上げたいと思います。
本日は、今後の災害廃棄物対策のあり方ということで、次を見据えて多くの提言をいただきました。これまでも随分のことをこの委員会またワーキングを通じて集積・集約していただいたと思いますが、改めてまだまだ行うべきことがたくさんあるということで身が引き締まる思いがしております。特に、まとめていただいた考え方、あるいは知見等を、これから地域ブロックあるいは自治体での検討、研修や訓練、また最近は毎年のように局所的に大きな災害が起きますので、そういう実践の場でも積極的に検討成果を活用し、そこでまた新たな教訓、反省をしながら内容のブラッシュアップを進めていきたいと思っております。いただいた提言を踏まえてこれからも頑張っていきますし、D.Waste-Net、委員の皆様方にも御参加いただいておりますので、引き続き御指導を得ながら対応して、着実に災害の対応力を全国的に高めていく取組を環境省としても継続していきたいと思います。
改めまして、皆様方のこれまでの御協力に感謝申し上げるとともに、これからも御指導よろしくお願い申し上げて、お礼の言葉とさせていただきたいと思います。本当にどうもありがとうございました。
(酒井委員長)
それでは本日の検討会はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
(了)