環境再生・資源循環

第1回大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会 議事録

1.日  時: 平成27年5月27日(水)

2.場  所: TKP東京駅日本橋カンファレンスセンター ホール7

3.出席委員: 浅利美鈴、石川龍一、生亀孝志、碓永信幸、

        遠藤守也、大迫政浩、大塚直、大村啓、

        貴田晶子、小林幹明、近藤守、酒井伸一、

        坂本知也、佐々木五郎、鈴木武、田中誠夫、

        永田尚人、中林一樹、平山修久、牧紀男、

        森谷賢、吉岡敏明、渡邊泰至   

                             (計23名)

4.委員以外の出席者

(事務局)

 環境省 

山本企画課長、和田廃棄物対策課長、久保課長補佐、山田課長補佐、大嶋係長、切川係長

5.議  題

(1)大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(仮称)(骨子)について

(2)地域間協調等、行動指針の実現に向けた対策のあり方について(WGの設置について)

6.配布資料

資料1 大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会 委員名簿

資料2 大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会開催要綱(案)

資料3 大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(仮称)の位置づけ

資料4 大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(仮称)(骨子)

資料5 大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(仮)に盛り込むべき事項(案)に対する意見等について

資料6 災害廃棄物対策の検討体制及び主な検討事項

資料7 WGの設置について

7.議  事

(久保補佐)

 それでは定刻となりましたので、ただいまから「第1回大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会」を開催したいと思います。

 委員の皆様におかれましては、ご多忙のところお集まりいただきましてまことにありがとうございます。初めに、廃棄物対策課長の和田よりご挨拶を申し上げます。

(和田廃棄物対策課長)

 本日はご多忙のところお集まりいただきまして、改めて御礼申し上げたいと思います。本来でありましたら部長の鎌形からご挨拶を申し上げる次第でございますが、本日はまさにご議論いただきます、災害廃棄物関連の改正法案の国会での手続きがようやくスタートすることとなり、そちらに出向いているところでございますので、ご容赦いただければと思います。

 かわりまして私から、今年度、第1回目の本検討会の開催に当たりまして一言ご挨拶申し上げます。

 政府全体にとって重要な課題である大規模災害への対策は、引き続き国土強靱化の議論等々、さまざまな形で議論が進められている状況でございます。環境省におきましても、本検討会にて取りまとめいただきました「巨大災害発生時における災害廃棄物に係る対策のスキームについて」を踏まえまして、災害時における災害廃棄物の円滑、かつ迅速な処理に向けて、通常国会にて廃棄物処理法及び災害対策基本法の一部を改正する法律案を提出しているところでございます。

 平成25年度から開催しております本検討会も、本年度で3年目になりました。今年度はいよいよ地域ブロックにおける具体的な災害廃棄物対策の実施に向けまして、行動計画の策定など具体的な取り組みを加速化させていただく段階というように考えております。そのためにも本検討会の位置づけを、廃棄物リサイクル対策部長の諮問会議に改めさせていただきたいと思っております。名称も後ほど資料で何度か出てきますが、本検討会でのご意見など、法案の政府部内での議論等を踏まえて、「巨大災害」という名称から「大規模災害」という名称に変更させていただいた次第でございます。

 本日も議題にございますとおり、大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針ということで、この策定や実現に向けた対策のあり方などにつきまして、専門的かつ広範な視点から忌憚のないご議論をお願いしたいと思います。何とぞよろしくお願いします。

 

(久保補佐)

 それでは議事に入ります前に、資料のご確認をお願いします。

 お手元にクリップ留めで資料の束がございますが、一番上が議事次第となっております。クリップを外していただきますと、最初が資料1で、委員の名簿。

 次が資料2、本検討会の開催要綱(案)です。

 続きまして資料3、大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(仮称)の位置づけです。

 その次が資料4、同じく行動指針(仮称)(骨子)です。

 続きまして資料5、全国産業廃棄物連合会様からの資料ということで、「大規模災害発生時における行動指針に盛り込むべき事項に対する意見等について」です。

 そのあとカラー横のもので、資料6、災害廃棄物対策の検討体制及び主な検討事項です。

 最後が資料7、技術・システム検討ワーキンググループ、要処理量ワーキンググループ等のワーキンググループの設置に関する資料です。

 これらクリップ留めの資料のほかに、机上資料として参考資料を4種類お配りしております。1つ目が、冒頭のご挨拶にもございました、「巨大災害発生時の災害廃棄物処理に係る対策スキームについて」です。

 次が黄緑色の表紙の冊子で、「災害廃棄物対策指針」。

 その次が白の表紙の冊子「巨大災害発生時における災害廃棄物対策のグランドデザインについて」。

 最後がこれも白い表紙の冊子、法律案の参考資料です。

 これら4種の参考資料は委員の皆様のみに配布しております。本日お持ち帰りになられない場合には、そのまま机上に置いておいていただければ事務局で回収し、次回も御用意致します。

 資料の過不足等はございませんでしょうか。過不足等がございましたら事務局までお申しつけください。

 それでは、ここでカメラ撮りは終了いただければと思います。また、一般の傍聴者の方も含めまして写真撮影、ビデオ撮影はご遠慮いただきます。それから携帯電話の電源も切っていただけるようにお願いします。

 本日は第1回目の会議となりますので、会議の名称が変わっておりますが、昨年度から新しく委員となられた方をご紹介したいと思います。資料1の名簿をご覧ください。上から3人目の日本建設業連合会様から新しく生亀様にご参画いただいております。

(生亀委員)

生亀でございます。よろしくお願いします。

 

(久保補佐)

続きまして、次に神戸市環境局から碓永委員にご参画いただいております。

 

(碓永委員)

碓永でございます。よろしくお願いします。

 

(久保補佐)

それから、愛知県環境部から大村委員にご参画いただいております。

 

(大村委員)

大村です。よろしくお願いします。

 

(久保補佐)

続きまして、名簿の真ん中辺になりますが、東京都環境局から小林委員にご参画いただいております。

(小林委員)

小林でございます。よろしくお願いします。

(久保補佐)

最後になります。宮城県環境生活部から渡邊委員にご参画いただいております。

(渡邊委員)

渡邊でございます。よろしくお願いします。

(久保補佐)

よろしくお願いします。続きまして事務局側の出席者をご紹介します。

 まず、冒頭にご挨拶しました廃棄物対策課長の和田でございます。

 それから、総括補佐の久保と申します。よろしくお願いします。

 担当補佐の山田でございます。

 担当係長の切川でございます。

 なお、企画課長の山本、廃棄物対策課の大嶋は、遅れて参加します。

 また、本日は勝見委員と島岡委員からご欠席という連絡をいただいております。

続きまして、議事に入ります前に資料2をご覧いただければと思いますが、本検討会の開催要綱(案)についてご説明します。

 冒頭、和田からご挨拶がありましたとおりで、昨年度までは本検討会は「巨大地震」という形で検討会の名称がついておりました。ただ、昨年までの議論を踏まえまして、まず地震に限った議論ではないということ、「通常規模から大規模まで切れ目のない対応」というキーワードを繰り返しいただいたことを踏まえまして、名称を「大規模災害発生時における」という形に改めさせていただきました。

 また、クレジットが「環境省廃棄物・リサイクル対策部」となっておりますとおり、今年度からは「廃棄物・リサイクル対策部長の諮問機関」という位置づけに改めさせていただきました。

 続いて検討会の目的です。大規模な災害は、通常災害と次元が異なる対応が必要となるということで、各主体が平時から備えておくべき事項を整理する必要があります。そのため被災しなかった地域や、普段は廃棄物処理に従事しないような事業者も含めて、一丸となって対策を行うということが重要です。去年、一昨年も繰り返し議論いただいてきたことかと思います。こういった目的意識を踏まえて、平成25年度以降この検討会において、一昨年は「グランドデザイン」、昨年度は「巨大災害発生時の災害廃棄物処理に係る対策スキームについて」というペーパーをおまとめいただいたところです。

 その成果を踏まえ、今年度は法律の改正案を提出致しましたが、法律を改正するだけではなく、今後はこれらの成果に基づいて、大規模災害発生時における災害廃棄物対策の行動指針を定めていかなければなりません。さらに、その実現に向けた対策のあり方についてもさまざまな検討が必要であるということで、引き続きこの検討会において御議論をお願いできればと考えている次第です。

 2ポツの検討事項になりますが、ここに5点書いてあるとおりでございまして、行動指針案の検討、それから廃棄物処理法で廃棄物処理の基本方針を国で定めることになっておりますが、そこに新たに災害廃棄物の関係を書き込んでいく必要があろうということについて。3つ目が、災害廃棄物処理支援ネットワーク、これは昨年までは「巨大災害廃棄物対策チーム」という言い方をしていたのですが、これを発展的に「ネットワーク」というものにしまして、そのあり方や実現についてご議論いただきたいと思います。その他、④、⑤となりますが、地域間協調、災害廃棄物処理システム・技術についてご議論いただければというように考えております。

 裏面にまいりまして、3.検討会の構成になります。(3)のところで座長は委員の互選によって定めたいということ。それから座長が検討会に出席できない場合に備え、座長代行者を座長があらかじめ指名しておくということ。それから(4)になりますが、必要に応じて委員以外の方からも意見を聴取したいということ。(5)になりますが、必要に応じてワーキンググループを置くことを定めております。

 大事な点としては、6.になりますが、本検討会は原則として公開とすること。他方、ワーキンググループについては非公開にするということ。その他、この要綱に定めるもののほかについては、座長が定めるということを記載しております。

 最後に別紙で本検討会の開催スケジュールについてご説明します。本日、5月27日が第1回、第2回を7月に予定しております。この2回で行動指針について主に御議論いただきたいと思っております。それから第3回、こちらは今後調整ということになりますが、秋ごろに廃棄物処理法の基本方針に盛り込むべき事項について御議論いただいて、年度末ごろに第4回、今後の災害廃棄物対策のあり方について御議論いただきたいと考えております。

 少々ご説明が長くなりましたが、開催要綱(案)に示しました検討委員会の運営について、ご質問、ご意見はございますでしょうか。

 特にないようであれば、この開催要綱に基づいて本検討会を運営することとしたいと思います。本検討会は原則、公開となりますので、議事録は我々事務局で原案を作成し、委員の皆様にご確認をいただいた後、環境省のホームページに掲載する運びにしたいと思いますのでよろしくお願いします。

 では、早速でございますが、本検討会の座長を決めたいと思います。委員の方から誰かご推薦はございますでしょうか。お願いします。

(大迫委員)

昨年度からの継続性もございますので、引き続き京都大学の酒井先生にお願いしてはどうかと思います。

 

(久保補佐)

ただいま大迫先生から、酒井先生を委員長というご推薦をいただきましたが、いかがでしょうか。

 

(全員 異議なし。)

(久保補佐)

ありがとうございます。ご異議がないようでございますので、酒井先生に委員長をお願いしたいと思います。では以降の進行を酒井先生にお願いします。

(酒井委員長)

それでは進行に入ります前に一言ご挨拶を申し上げます。

 先ほど和田課長からご説明がございましたとおり、昨年度の検討会の検討を踏まえて、現在の通常国会に災害対策基本法の改正、そして廃棄物処理法の改正案を提出されているということの報告がございました。

 そういうことで、この検討会は政策展開と極めて密接に関連している検討会で、そのための審議させていただいているという認識を、ここで再度強く持たなければならないと思っております。

 本日の行動指針のご検討、そして廃掃法の基本方針の検討と、多くを今後は実務的な面で関連の深い政策への審議をしていただかなければなりません。そういう面でぜひ皆さんのご知見を活かしていただきますように、よろしくお願いします。

 一方で新たな枠組みを考える作業でもございますので、当面さまざまな側面の試行錯誤が続くことになろうかと思います。この検討会の名称を「巨大地震発生時」から「大規模災害発生時」というように柔軟に見直していくというあたりも、そういう捉え方をもつべきであろうと思っております。基本的には物事を恐れず、かつきめ細かい審議を心がけたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

 それでは開催要綱の中で、委員長代理の指名が必要になってございます。国立環境研究所の大迫委員を指名させていただきたいと思いますが、ご意見はございますでしょうか。

 

(全員 異議なし。)

(酒井委員長)

では大迫委員、どうぞよろしくお願いします。

 それでは早速、議事に入らせていただきます。最初に(1)大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(仮称)につきまして、事務局から骨子案についての説明をよろしくお願いします。

 

(和田廃棄物対策課長)

それではお手元の資料3、資料4についてご説明させていただきたいと思います。

 まず資料3ですが、表紙に入る前に昨年度までの議論のポイントを説明させていただきます。カラーの2枚目をごらんください。一番上に「災害対策基本法」と「廃棄物処理法」と書いてございますが、今般、国会に上程させていただいております法律案の中では、右側の赤いイガイガで囲まれた文字があり、その下に「○○災害における災害廃棄物処理指針」というのがございます。こちらが今般、上程した法律の改正案の中に位置づけさせていただいた処理指針になります。東日本大震災で言えば、約2カ月後に策定したマスタープランに相当するものでございます。

 その横、災害廃棄物対策指針の下に赤文字で「大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針」がございまして、①~③の内容について、これは前回の検討委員会でご説明させていただきましたように、本日以降、この中身についてさらに深掘りをさせていただきたいと思っております。なお、「災害廃棄物対策指針」とそこに少し大きい文字でありますのは、お手元に参考資料として配布させていただいております黄緑色の冊子の指針に当たります。

 1ページお戻りいただきまして、「大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針の位置づけ」についてポイントを説明させていただきたいと思います。

 まず、災害廃棄物対策について平時の備えから非常に大きい大規模な災害の発生に至るまで、切れ目なくしっかりと対応を行うという意味で、平成26年3月に「災害廃棄物対策指針」を策定したわけですが、大規模な災害に向けての備えとして、よりしっかりとした内容にすべきであるということで、今般新たに仮称ということですが行動指針を新たに策定し、基本的な考え方、方針を示すという内容にいたしました。

 1ポツの部分が既にあります対策指針、平時の備えから大規模に至るまで、切れ目なく全体的に、共通的にカバーするような対応の方針に当たる部分を策定したものが、お手元の黄緑色の冊子である災害対策指針で、こちらにつきましては、切れ目のない災害対策という位置づけから、必要な一連の事項を盛り込んでいるわけですが、正確に申し上げますと、より具体的な内容を記載するとか、さらには、不断に情報収集などを行い、必要に応じて適時改定を行っていくという位置づけのものでございます。そういう意味では、市町村、都道府県において発災前にそれぞれが策定することになります処理計画の策定や、発災後の実行計画のよすがになる指針としてご活用いただくという位置づけのものでございます。

 本日、ご議論いただきたいのは2ポツ目のところでございまして、特に大規模な災害にハイライトした指針に当たるもので、いわゆる「行動指針」です。大規模災害発生時においても適正かつ、円滑、迅速に災害廃棄物を処理するための基本的な考え方と対応方針について盛り込んでおります。

 具体的には「内容」のところにございますが、大きく2つの柱があり、地域ブロック単位で策定すること、これから計画していく行動計画に盛り込むべき内容としてのグッドプラクティスのようなものに当たるもの。それからもう1つは、環境大臣が発災後に策定する処理指針。これは今般、法律として位置づけられるわけですが、いわゆる処理指針策定のひな形に当たるものとして盛り込むべきものとしての機能を持っているといった点でございます。

 この2ポツの内容につきましては、前回の検討委員会において、盛り込むべきポイントの中でも、特に重要な事柄についてひと通り先生方からご意見をいただいたところでございますが、それらの意見を踏まえ、資料4で、行動指針の骨子という形でご用意させていただきました。

 資料4、最初が「目次」になってございまして、大きく1章から4章まで、4本柱というスキームで中身をご説明させていただければと思っております。柱としては、まず第一には「総則」と書いてありますように、この指針の役割、位置づけから始まって、2ポツでは関係者の役割、責務ということで、ここでさまざまな関係者全てを網羅するような形で、それぞれの主体がどのような役割、責務を担うのかということについて書いております。3ポツ目が、地域ブロック単位での策定をこれから考えていきます行動計画に盛り込むべき事項ということで、これが第3章になっています。第4章が環境大臣が発災後に策定する処理指針、東日本大震災のマスタープランに当たるわけですが、それの中に盛り込むべき事項。事前の段階でもこれぐらいのことは盛り込むということは整理できるだろうということで、これが第4章に書かれている内容でございます。

 早速1ページ目からポイントをご紹介してまいりたいと思いますが、まず「総則」です。(1)が行動指針策定の経緯ですが、本検討会でも経緯などもかなり説明しておりますので、少し簡単に説明させていただきます。大規模災害時における災害廃棄物対策というものについて、特化してハイライトした内容について教訓・知見、これまでの取り組みの成果をまとめるといった役割を持っています。

 さらに、東日本大震災以降、これも政府全体でも大きな流れになっているのはお感じになっていただいていると思いますが、国土強靭化基本法の関連でのスキームでの基本計画、首都直下地震対策特別措置法を受けての基本計画、南海トラフ巨大地震も同様に基本計画というものが策定されてきておりまして、その中でも「災害廃棄物」というキーワードの分野が非常にこの中でも位置づけられるようになってきております。これが大きな背景としてございます。それらの中で環境省においてもこの検討会でグランドデザインを取りまとめいただきましたとともに、本年2月3日になりますが、法律案の中に盛り込む柱となる重要な事項について、災害廃棄物に係る対策スキームについてということでおまとめいただいたところでございます。

 さらには、お陰さまで地域ブロック単位での協議会についても順次スタートしておりまして、もれなく全てのブロックが今は何らかの形で場をセットし終わったというところでございます。これらの背景を踏まえて、改正法案について2か月前の3月24日に法律案を上程させていただきました。

 これ以降、少し中身に入りますが、1ページの下、「行動指針策定の目的」を御説明致します。災害廃棄物対策指針に続いてということで、平時とは異なる次元での対応の一環として、この指針の役割、位置づけを記載しています。

 おめくりいただきまして、大規模な災害時にあっては適正、円滑、迅速処理というものは決して怠ってはいけないという趣旨の下で、さらには分別、再生利用などによる減量化ということも極めて重要ということで、これらをしっかりと担保するとともに、関係各省としっかりと連携していくということが重要であるということを前提にしております。

 さらには③のところで、この場でもかなり議論になりましたが、大規模災害時においては特に関係者が担うべき役割や責務を明確にして、いわゆる連携協力体制の強化ということで、オールジャパンでの対応ということをしっかりとこの行動指針の中に盛り込んでいきたいと思っております。

 (3)が「対象となる大規模な災害の考え方と基本的な対応方針」ということで、「大規模な」と言っておりますが、どの辺から大規模なのかというところをある程度は、何がしか客観的に、例えば数字のようなもので紋切り型に決めるというのは必ずしも適当ではないのかもしれませんが、ある程度の大規模災害というイメージを持たなければということで、ここにありますように①の真ん中辺ですが、発災前と発災後の観点からこのようなものが大規模に位置づけられているということで、発災前の観点で言えば、被災の地域が一都道府県内で留まっていないということでありますとか、隣接する都道府県間のみでは対応が十分に行えないというようなことで、いわゆる平時の廃棄物処理システムではとても対応できない、市町村、都道府県、地域ブロック、国もですが、重層的な対応が求められるような災害の規模。発災後の観点から見れば、国すなわち環境省のリーダーシップの下で一丸となって対応する必要がある。ある程度は国がしっかりとリーダーシップを発揮しなければならないような規模だということについてここで書いている内容になっております。

 なお、「すなわち」というところがございますが、災害対策基本法では少なくとも非常災害対策本部が設置された災害であること、これは当然求められるかなと思っているのですが、特に「大規模な」という観点で言えば、政令指定、これは災害対策基本法での政令指定に基づいて環境大臣が発災後に策定する処理指針、先ほど申し上げましたが、この指針が策定されて、これを基軸にして対応していく、こういう災害のものとして考えられるというところでございます。

 さらには、ちょっと用語めいた話で恐縮なのですが、②については「通常災害」というキーワードと、それから「大規模災害」というキーワードについて少しここでハイライトさせていただいた次第です。大規模な災害は先ほど申し上げましたように、対策スキームとして2月におまとめいただきましたレポートの中では、「巨大災害」ということで位置づけられた内容。それから私が今、(3)の①でご紹介させていただいたものは、「大規模災害」として位置づけられるということで考えてございます。

 そのほかにこのレポートでは「通常災害」という言葉を用いておりますが、これは法律用語と言うよりは、どちらかと言うと「大規模には至らないまでも」という意味で設けておりまして、廃棄物処理法などでは「非常災害」という言葉とかいろいろな言葉が混ざっているのですが、いずれにしても大規模なスケールには至っていないものについては「通常災害」というキーワードでこのレポートの中では引用させていただければと思っております。

 3ページの③ですが、こちらについては繰り返しになりますが、大規模な災害については平時の市町村の対応では当然無理になってくる。そういう意味では、環境大臣の指針の策定ということで、加えてオールジャパンでの対応というところについて具体的な内容を盛り込んでいくべきというような内容について定めているところでございます。

 (4)行動指針の位置づけに移らせていただきます。①「政府における災害対策関係の指針、計画等との関係は次のとおり」となっておりまして、これはもう既に廃棄物処理法の中でも国の基本方針、都道府県であれば処理計画というのがございますが、さらには災害対策基本法での防災基本計画。それで防災基本計画を受けて環境省では防災基本計画を、都道府県でも同様に防災基本計画というものが位置づけられておりますが、このような中で引用される場合に、特に大規模な災害において必要となるような事項について、この中で引用されるべき基本的な考え方を具体的に示していきたいというのがこの指針の内容であると考えております。

 それで②、③のところ、こちらは冒頭に申し上げましたように、②はブロック協議会単位での行動計画をつくっていただく際に、指針をよすがにしていただくというもの。③が、国がマスタープラン、指針を策定する際のひな形にしていくというところについての役割を書いてあるところでございます。

 次が第2章、「関係者の役割・責務について」です。ここは「基本的な考え方」ということで、まず当然のことながら①で、各主体は自主的に、積極的に役割を果たしていくというようなことを記載しています。②で、国のリーダーシップの下、地域ブロック単位での行政のみならず、民間事業者も含むような多種、広域、多面的にわたるさまざまな主体を取り込んだような協力体制を構築し、ブロック内で対策を推進することが重要であるということを盛り込んでいます。

 それから「地方自治体が行う事項」ということで、まずは「市町村が行う備え」ということで、市町村が行う備えとしては当然ですが、市町村は一般廃棄物の統括責任を有しておりますので、生活環境保全と公衆衛生の確保、それから域内のごみやし尿といった一般廃棄物の処理ということについて、これは統括責任ということで、これが①。

 さらには実際の災害の際には、被災しなかった、または被災の程度が軽かったような市町村においても、いわゆる支援、バックアップに回ることが求められるという点。当然のことながら、被災市町村においては被害状況の把握であったりとか、都道府県での連携等々についてもしっかりと書かれているところでございます。それで、さらには被災しなかった、または被災が軽かった市町村については、東日本でもございましたが、広域的な処理の受入れということについても住民等との調整という観点で役割を担っていただきたいという内容を盛り込んでございます。

 5ページにまいりまして、ここも同様に、特に政令指定都市のような大きな、またはノウハウや組織の基盤がしっかりしているところについては、中核的な役割を担っていただくという点。これが③。

 ④では、平時から都道府県、他の市町村でありますとか、さまざまな地元事業者との十分な連携という意味で、対応力の向上をしっかりと図る必要があるという点についてハイライトしております。

 ⑤では、全体的には市町村については、いわゆる行動計画との整合性を図りながら、仮置場の選定とか、民間事業者、これはそういう意味では地元の民間事業者になると思いますが、協定などを進めながら巨大災害発生時にいわゆる実効性のある対応ができるように準備をしておく必要があると。

⑥では、健康の維持と生活環境の保全ということで、市町村の一時的な重要な責任についてしっかりと念頭に置きながら、必要な連携を行いながら対応ということになるだろうと。これが市町村の役割になっております。

 次が「都道府県が行う備え」ということで、①から始まっていますが、都道府県につきましてはこれまでもご紹介しておりますが、災害廃棄物処理について事務の一部を地方自治法に基づいて受託するというスキームもございますので、それを十分に念頭に置いた上で被災市町村から求められた場合には、技術的支援もあわせてしっかりと対応していくという点。

 ②の部分で、都道府県においては市町村と連携・協力や役割分担をしっかりと明確化しておきながら、県下の市町村間との相互連携、民間事業者との連携・協力ということにしっかり力点を置いていただくということになろうかと思います。例えば、かっこ書きにありますが、仮置場や仮設処理施設用地の確保等といった点。処理フロー全般、適切な管理等についてもしっかりと技術的に、これまでの専門性等を生かして役割分担を明確にしていくといったことが求められていると考えてございます。

 ③ですが、こちらはブロック内で都道府県、市町村それぞれがしっかり連携していくという点。都道府県にまたがってブロック内でしっかりと連携していくという点については、都道府県は非常に重要な役割があるという点をハイライトしております。

 おめくりいただきまして、④については特に都道府県にはこれまでもノウハウを有しております技術的な援助、廃棄物処理施設の計画的な広域化、それから産廃処理業の許認可を通じて得たさまざまなノウハウなどを生かしまして、これまで以上に市町村をしっかりとバックアップしていくということが求められているという点でございます。

 ⑤のところについては、ここについては若干重複しますが、後半で既にスキームとしてある知事会が、既に都道府県間の災害時の相互支援体制みたいなものを準備しておりますので、これらと重複にならずに、よい意味でのシナジー効果が生まれるように調整していくということも重要ではないかということを盛り込んでございます。

 ⑥では、国に対していわゆる今般、法律改正の中でも国代行というところが位置づけられたわけでございますが、それを念頭に置きながら地域内での処理の進捗状況管理に当たることが重要であるという点でございます。

 「地域ブロック単位で行う事項」、これは(3)になりますが、こちらは①では、地域ブロック単位でしっかりと協議会の場で連携することによってオールジャパンの対応をしっかり行っていくという点。

 ②は、廃棄物処理業界、それから廃棄物処理業界のみならず、その他のさまざまな多様な民間事業者との連携の重要性、地元の建設業者、製造事業者との連携に向けての必要な協定を締結していくというような場としても、ブロック単位での協議会も重要だと考えております。

 ③では、ブロック単位で災害廃棄物の処理の拠点、最終処分場の確保等といった処理の一連のフローの中核の部分を担うことを検討いただく必要があると考えております。

 ④では、地域ブロック単位で広域的なネットワークの活用で、輸送面では特にこのようなネットワークは非常に効果的ではないかということを盛り込んでございます。

 同様に⑤では、内閣府の防災セクションで整理しております地域レベルの協議会などとの連携も重要といったところです。

 (4)「国が中心となって行う事項」につきましては、国が技術的なさまざまな知見などをしっかりと蓄積していくといった点について、①、②、それから③では特に技術的な事項をさらに書いてございます。発災前の廃棄物の推計手法、発災後にしっかり推計を行って逐次見直しをしていくというような一連の、特に技術的な内容についての重要性についてもハイライトしているところでございます。

 ④では、災害廃棄物処理に係る技術・システムの開発や既存の技術についてしっかりと情報を蓄積していって、助言を行えるような形にしておくというところです。

 ⑤では、次のページにわたっておりますが、「災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net)」と仮称をつけてございますが、これまではチームという名前でご紹介をしておりましたが、「ネットワーク」というほうが広がりもあって、名前も取り上げられやすいと考え、仮称で「災害廃棄物処理支援ネットワーク」と変更しました。

 これについてそこのページにもありますように、ネットワークの機能として(ⅰ)で、「平時の機能」。これはこれまでも支援者グループという専門家によるグループ、民間団体からの支援を求める民間事業者団体グループについてご紹介をしてきたところでございますが、この内容について(ⅰ)のところで書いてございます。同様に、発災時の機能についても、具体的な機能について書かせていただいたところであります。

 ⑥が「人材育成による災害廃棄物対応強化の推進、ネットワーク化」ということで、いわゆる専門家、ジェネラリストの相互についてしっかりと人材育成、人材のストックも準備しておくための一連の、例えば人材育成プログラム等といった取り組みをご紹介してございます。

 ⑦が「特例的措置の検討」で、これが災対法に基づいて特例的な一連の基準等々を適用する際に、内容をあらかじめ準備して詰めておき、できれば周知もしておいて、このような特例が出た場合にはこういう内容なのだというところについても、事前に情報を共有できるようにしておくという内容がこの⑦のところに書かれているところでございます。

 ⑧、⑨につきましては、⑧が情報公開、効果的な情報発信ということについての方法論。⑨が、財政面での、特に財政措置での事務手続きの簡素化といったところについてのポイントをご紹介させていただいたところでございます。以上が2章です。

 次の第3章が、「地域ブロックの行動計画に盛り込むべき事項」ということでございます。(1)が「行動計画の策定の必要性」ということで、こちらについては必要性をもう先ほど来からハイライトしてございますので割愛させていただきまして、10ページにまいります。「行動計画に盛り込むべき事項」ということで、①からございますが、まずは当然のことながら地域ブロックの協議会の構成メンバー、関係者の基本的な役割、計画の位置づけ、地域の特性を踏まえた被害の想定ということで、これは例えば被害シナリオというものを想定するところから始まって、災害廃棄物の発生量等、さらには対応できるのかというシナリオ・シミュレーションをどう読むのかなど。

 ④が処理方針ということで、実際にどのように処理し得るのか。これは実は処理できないということになって、それではどうするのかというフィードバック的な議論も込みでございますが、処理方針、この中には目標期間の設定ということも含まれておりますが、そこにあります○印のものが一連の処理方針に当たるものを盛り込んでいただければというように思っております。

 それから地域ブロック内におけるネットワークの構築ということで、これもこれまで繰り返してきましたが、特にブロック内での密接な連携を実現するためのネットワークをしっかりと構築して、さらには環境省で指導したいと思っております。先ほどの通常D.Waste-Netとの連携もしっかりとやるということがあると思います。

 ⑥については、地域ブロック内での合同訓練でありますとか、セミナーの実施というものの重要性についてもハイライトさせていただいております。

 11ページにまいりまして、同じように⑦が、地域ブロック内の関係者の対応状況の共有、ブロック内でできればオンタイムとまではいきませんが、さまざまな情報を幅広く共有しておくことの重要性。技術的な情報もさることながら、さまざまな必要な情報を共有していただくことの重要性についてハイライトさせていただいております。

 それから行動計画、いわゆるブロックで策定する行動計画の点検・見直しという点も重要だと思います。

 「地域の災害廃棄物関連計画等との連携について」、(3)で柱立てを起こしてございます。

 最後になりますが、「4.大規模な災害時の国のリーダーシップと発災後処理指針の策定」、これは環境省みずからで平時からひな形を策定しておき、みずからこれに基づいて発災後はしっかりと指針を確定するということを考えてございます。基本的な考え方はこれも先ほど来から重複しますが、大規模な災害発災後に処理指針を策定することになるわけですが、②にありますように、発災後に遅滞なく実行ある処理指針を示すことが重要だと考えております。東日本大震災では2カ月とちょっとかかりましたが、意気込みとしては1カ月ぐらいでつくるぞというぐらいのつもりで、ひな形を準備したいと思っております。

 次に12ページにまいりまして、「発災後の処理指針に盛り込むべき事項」、柱をご紹介させていただきますと、まずは「処理の推進体制」ということで、国の役割から始まって、国の役割はもちろん財政的とか、専門家の派遣とか、広域処理の関係とかございますが、さらに国による代行処理の関係では特に2番目の○にもありますように、仮設処理施設の有効活用の観点から、国設置の仮設焼却炉を、代行処理でつくる場合には、他の地方自治体からも受入れることも可能とすることを要件化するということも非常に効果的ではないかと。この御議論も昨年からいただいたところでございます。

 次に「都道府県の役割」、これは先ほどの地方自治法に基づく事務委託を請けた場合等々を盛り込んでございます。市町村の役割は既に当然のことながら、災害廃棄物は一般廃棄物に当たるものですから、それを統括責任としての役割を担いながら、国、県と連携する。さらには被災しなかった、または少なかったところについても役割をしっかり担っていただく。次の13ページにわたっておりますが、民間事業者についてもさまざまな観点から役割を担っていただく必要があるといったところでございます。

 役割の次が②、災害廃棄物の「発生量推計」という柱、本日の議論で肉づけを是非していただけるようなご意見をいただけると思っております。柱立てでご紹介します。

 ③が目標期間、それから特例地域の設定に当たるもの。④が災害対策基本法に基づく特例措置、特例措置にはさまざまありまして、災対法、廃掃法、それ以外の法律の特例措置についてあらかじめ整理しておく。⑤では、災害時におけるし尿、生活ごみの収集、処理体制について、これもやはり指針には当然盛り込むということになると思います。

 14ページにまいりまして、⑥ですが、「適正処理の確保」ということで、処理の方針に当たるもの。それから処理フローの作成が⑦に当たるものとなってございます。特に処理フローのところでは、収集・運搬のフレームワーク、それから仮置場、これは非常に重要でありますので、あらかじめかなり手厚く書く必要があるかなと思っております。

 分別、中間処理の観点。一番下にありますのが鉄道・船舶による広域輸送の観点。次のページにまいりまして、再生利用の観点。最終処分につきましては、被災地域内での処分場や公共関与による処分場を最大限活用するといったような観点が重要。これも最終処分に限らずに、ここにも上げましたようないくつかの柱については、既に2月3日のスキームレポートのところで盛り込んでいただいたところでございます。それから処理全体の工程表の作成と進捗管理。最後になりますが、住民、被災者への対応といった内容について盛り込む必要であると思ってございます。

 以上、忌憚のないご意見をいただければありがたいと思っております。以上でございます。

○質疑応答

(酒井委員長)

はい、行動指針(案)のご説明をどうもありがとうございました。

 それでは審議に入っていただきたいと思います。

  それでは、今の資料4に対しましてご意見のある方、順番にご意見をいただきたいと思いますので、どうぞご意見のある方は名札を立てていただけませんでしょうか。

 それでは、中林先生からお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

(中林委員)

今、ご説明を伺いながら若干気がついたところ、気になったところをお話させていただきたいと思います。

 まず昨年来の検討を踏まえてまとめていただいているということはよくわかりました。その中で、大きな目次で言うと、「3.地域ブロックでの行動計画」と、「4.発災時処理指針」というのが連動した対応になっていくことが非常に重要なのかなと思って伺っておりました。

 それで基本的に災害時の廃棄物処理対策の中心主体は、被災した自治体が基本的に中心になって行うわけですが、今回、こういう検討を始める前提というのが、名前は「巨大」から「大規模」になったわけですが、被災自治体としての対応能力を超える事態が発生した時ということで、外部からの支援ということを前提にしている。東日本大震災の後に、さまざまな局面で「支援」と「受援」ということがよく語られているわけですが、この災害対策としては、いわば受援側がと言うか、被災側が中心になって行動指針、あるいは行動計画等をつくるわけで、そこで足らない部分をいわば外部から「支援」を受けて、「受援」してもらうことになる。外部側は「支援」、被災地側は「受援」ということになりますが、この「支援」と「受援」の関係ということがもう少し明快に議論として噛み合う形があってもいいのかなと思います。

 つまり、特に4の最後にご説明いただいたわけですが、発災時処理指針というのを被災側が中心になって、どういう指針に従って、どういう対応を、処理をしていくのかということと同時に、どういう場所に、どういう受援が必要になるのかというようなことが恐らく被災側の次のステップの課題になっていくのだろうと思いますので、そうした観点をもう少し色濃く出すということがあり得るのではないかと思いました。

 特に「3.地域ブロックの行動計画」という中に、どこで、どういう災害が起こるかわからないわけですが、最初のご説明で、今回は首都直下地震を何となくイメージして、来年度は南海トラフ地震でということではありますが、それ以外にも大きな災害等が起こり得るというように考えると、地域ブロックが事前に備えておくべき行動計画の中に、「支援」という計画と「受援」という計画を。つまり、みずからが被災したときにどう対応するのかという行動計画と、支援に回った場合にどういうように支援をするのかという観点からの行動計画というのと、2種類あり得るのではないかと思います。それが「支援」のための行動計画であり、「受援」のための行動計画ということにもなるのではないかと思います。

 そうした観点を踏まえると、4でも「支援」と「受援」ということが事前の準備の観点としては重要ではないかなというのが1点です。

 それからもう一つ、地域ブロックで「支援」、「受援」というように考えた場合に、今、全国の知事会で東日本大震災の教訓をもとに、次の大震災に向けて「支援」、「受援」の関係で都道府県のブロッキングをしているわけですが、環境省が設定されてきた8つのブロックでの対応との関係を少しはっきりさせておくということも必要と思います。同時に、地域ブロックの中の体制というのをどうするかという点です。個別にはわかるのですが、県が中心になって市町村を取りまとめていくような形での地域ブロックの動きというのが基本になるのか、県と市町村はそれぞれなのか、その辺がもうひとつ明確ではありません。私としては地域ブロックでの行動計画における県と市町村等のかかわり方ということが、今回はより具体化するのだと思いますが、もう少し見えるように具体化できるといいと思いました。それで、そこにも「支援」と「受援」という両方の立場からの検討というのが必要ではないかなと思いました。以上です。

 

(酒井委員長)

 どうもありがとうございました。それでは今の中林先生のご意見に対しまして、今後の作業の場で生かしていただけると思いますが、何か課長、ございますか。

(和田廃棄物対策課長)

 非常に重要な御指摘ありがとうございます。まさに「支援」と「受援」という観点ですが、特に先ほど被災市町村と、被災が軽かったところと、被災を受けなかったところという話が資料に突然出てきておりますが、「支援」と「受援」の観点で分けて見られるよう、もう少し工夫をしてみたいと思います。

(酒井委員長)

どうもありがとうございました。それでは引き続いてご意見をいただきたいと思いますので、順番に回してまいりたいと思います。では、浅利委員からお願いします。

(浅利委員)

今の中林先生のお話にすごく関連する部分なのですが、資料3の2枚目の図を含めて確認なのですが、まず国と地域ブロック、都道府県と市町村というプレイヤーがあるのですが、発災後の地域ブロックの役割を今一度明らかにしておければな、という部分が気になっております。

 入れ子構造になっているので、読み込んでいくと、資料4の例えば11ページ目の中ほどで、「地域の災害廃棄物関連計画等との連携」というところでは、地域ブロックの行動計画に基づいて動くというような書きぶりになっているのですが、これはちょっと発災後にはどういう関係性になるのかとか、あとは今後その計画を立てていく中でも、図では国から来たものが地域ブロックに行って、それが都道府県に行って、それから市町村に行くというような図になっているのですが、実際の策定プロセスはこれが前後したりとか、逆の矢印になったりするような場面もあり得るのかなと思っておりまして、今一つそこのプレイヤー間の関係、特に今後計画を立てていく中での整理をもう少しできたらなと思っております。それで、もしお考えがある範囲で教えていただければなと思います。

 それともう一つ、後半の国のところで、13ページ目の⑤のところで、基本的には「災害時におけるし尿等も含めて」というような書きぶりになっているのですが、前半部分では全くし尿関連のところは触れられていないと思いますが、全体においてし尿も対象とするのかどうか、書きぶりも含めてご検討いただければなと思います。以上です。

(酒井委員長)

はい、どうもありがとうございました。では生亀委員お願いします。

 

(生亀委員)

本日から委員をさせていただいております生亀です。事業者のうちの建設業という立場から意見を申し上げたいと思います。

 資料4の7ページから8ページ目に記述があります「D.Waste-Net」の記載があります。大きく言って2つありまして、1点目は平時の機能の中で(ⅰ)の1ポツの中の、第2パラグラフ目の2行目~4行目にかけてですが、「民間事業者団体グループ」は各業種の役割分担等についていろいろ検討して、連携・協力体制を整備するという、こういうことになっておりますが、これは多分、業界だけに任せたらできないと思います。やったとしても極めて不十分なものになる。理由はいろいろあるのですが、自分たちは自分たちの業界のことしか知りませんし、不利なことは多分、積極的には言わないだろうし。ですから、民間事業者の連携・協力については、行政のリーダーシップの元で整理すべきと思います。 

 それから2点目なのですが、ここずっと来て一番下の⑥の下から2行目なのですが、「支援要望を受け付ける窓口機能を担うことが考えられる」とありますが、これはちょっと慎重に検討していただけないかなと思っております。実は、日建連はことしの4月から災害対策基本法に基づく指定公共機関になりまして、指定公共機関として何をやるかということで、いろいろなことが要請されるだろうから、そこのところは内閣府と相談しまして、余りいろいろなところからいろいろなことが出てきてしまうと現場が混乱するので、情報の伝達とか、あるいは要請とか、もっと言えば指揮命令、そういうところは一元化してほしいということでお願いしております。

 ですから、その一元化されたルートとはまた別な系統ができてしまうと非常に混乱しますので、我々はこういうことをやるのはやぶさかではないのですが、やるにしてもそういうことを位置づけるにしても、やはり内閣府なり、あるいは国交省で。国交省とは地元で災害協定を締結しておりますので、国レベルで整理をお願いした上でこういう内容が書けるかどうかというのは検討していただきたいと思います。以上であります。

(酒井委員長)

はい、ありがとうございます。非常に重要なポイントをご指摘いただきました。大迫委員、どうぞ。

(大迫委員)

はい、細かいところはいろいろあるのですが、また後ほど事務局にその点をお伝えするとして、大きな点が2点なのですが。

 1点目は、先ほどから出ているところの各関係主体の役割、責務ということで、例えば4ページ以降に書かれているところであります。それで、やはりちょっとそれぞれの地方自治体、これは市町村と都道府県があって、地域ブロックが。地域ブロックというのはちょっとここで明確になっていませんが、これは国の役割なのか、あるいは地方ブロック単位での、国やそこを構成する都道府県も含めた協議体としての役割なのか、ちょっとそこら辺が明確でないので、これを誰が、どういう責任の元で、どういう機能を果たして展開していくのかというところが曖昧になりはしないかというところを心配しております。そういう点をぜひこの4ページの「基本的な考え方」のところで、今はあっさり書いてございますが、また書き足すのかもしれませんが、こういう大規模災害が起こった際のそれぞれの関係者の責任と機能というところの大きな意味合いでの整理を、ここで明確に書いておかないと後の部分がそれぞれ細切れには書いてあるので、わかりにくくなるのではないかというように感じました。

 特に地域ブロックの点では先ほどからご意見がありますが、この地域ブロックのところで誰が責任を持って、どういうことをやっていくのか。どういうことという中に、例えばここではいろいろな人材育成の観点とかそういうところまでは書き込まれてはおりませんが、地域ブロックの中で、対応力の向上を誰が責任持ってやっていくのかというようなところも含めて整理いただくことが重要かなと思っております。これが1点目です。

 それから8ページに参りまして、その前頁の当たりからこの新しい名称が提案されましたが、「D.Waste-Net」の支援ネットワークの件が書かれてあります。それで、この点はさまざまな点と関連するのですが、特に次の8ページの⑥の人材育成との関連でいきますと、人材育成においてやるべき研修等のことがここで書かれてあるのですが、それをどのような人材育成の仕組みというか、体系的な仕組みで実行していくのかというところを、まずは国として検討していく必要があろうかと思います。

 そういう意味ではこの「D.Waste-Net」というところの支援者グループというのは、常に最新の科学的・技術的な知見を持って、それを集積して、分析して、将来の災害に対して機能を果たせるようにきちんとしたポテンシャルを維持し、あるいは発展させていかなければいけないわけでありますから、こういうところと前置きで書かれてあります人材育成というところの関係性というのは大変重要でございますので、そういうところも今後の議論の中で整理していただくと、今後やるべきことが明確になっていくのではないかというように思います。以上です。

(酒井委員長)

はい、ありがとうございます。では、大塚委員、お願いします。

(大塚委員)

 1点質問ですが、法律をやっているものですから、言葉の問題でお伺いします。

 3ページの一番上の○のところ、先ほどご説明いただいたのですが、4行目のところで、「改正法案においても、通常災害のうち、廃掃法に規定する応急措置又は特例措置を適用する必要のある災害を非常災害と規定」とありますが、まず何条かを教えていただきたいというのが一つ。

 それから、「非常災害」という言葉は廃掃法にも災害対策基本法にもあって、恐らく同じ意味で使っているのだと思いますが、条文上はどうも定義がされていないようです。そして今回は「通常災害」というのは、「大規模災害以外のもの」というように定義されるおつもりだと思いますが、普通の言葉からすると「非常災害」が通常災害のうちの一部だということは、普通の日本語からすると多分、国民にはわかりにくいと思いますので、どこかでちゃんと定義していただかないといろいろな混乱を生むのかなという感じがします。

 法案をこれから変えるのは無理だと思いますので、そんなことを言うつもりはないのですが、どこかできちんと整理していただくとありがたいということと、さっきの何条かというのを教えてください。

(酒井委員長)

今でなくても、後でご回答をお願いします。では引き続いてご意見をいただきたいと思います。貴田委員、どうぞ。

(貴田委員)

既に浅利委員、それから大迫委員から言われたところもあるのですが、地域ブロック協議会と、それから自治体との関係がちょっと一つ気になるところです。

 具体的に言えば、10ページの中で、地域ブロック協議会で「行動計画に盛り込む事項」という中で、③ですが、「地域の特性を踏まえた被害の想定」というところで、災害シナリオの設定であるとか、発生量の推計、それから処理可能量の試算ということがあるのですが、これは既にもう都道府県なり、市なりで推計されているところもありますが、今後は地域ブロック協議会でこれをまとまってやるということなのか、そういうところが一つ気になりました。実際には自治体が都道府県、市町村も含めてやることではないのかなと。

 それで「地域ブロック協議会」というのは、特に5番目にあるように、ネットワークの構築という意味で、いわゆる場を設けて調整するというところが一番重要なのではないかなという気がしておりましたので、具体的に10ページの③のところは、これはどう考えたらいいのかなと思いましたので、ちょっとお聞きしたいと思います。

 それから細かいところなのですが、10ページの③の中の最後のところで、「民間事業者等から入手した情報の整理」というところで、(有害物質を含んだ廃棄物の発生可能性等)ということが書かれているのですが、この意味合いが若干わからないので、民間事業者からどのように。例えばPRTRの事業者ということであればわかるのですが、これによっては有害な廃棄物の発生量は推計できないのではないかという意味で、具体的な内容をもう少し、内容が違っているのであればその内容がわかるような言葉にすべきではないかと思っております。

 それから、どこに書かれているのかちょっとよくわからないのですが、目標期間について、これは一定程度、今回の3年、補助金の関係で、そういうことが想定されるわけですが、その柔軟性を担保してほしいなということがあります。

 それでもう一つ、再生資材をどう使っていくかということで、特に東日本の中では土木資材としての利用に関して、もう少し考え方を修正すべきというのがありましたが、これは全国一律になるものなのか、あるいはちょっと地域特性というのがあるのだろうかというところに若干、何と言うか、明確でないところがあるので、ご議論いただきたいと思っております。以上です。

(酒井委員長)

はい、ありがとうございました。では小林委員、どうぞ。

(小林委員)

東京都の小林でございます。よろしくお願いします。私は行政の立場から2点ほどお願いと言いましょうか、述べさせていただきます。項目的には6ページになりましょうか、地域ブロック単位で災害廃棄物の処理に係る等々の記述の部分でございます。

 ③に「最終処分場の確保」という文言が出てございます。また同時に、10ページに「行動計画に盛り込む事項」の中の、④の処理方針の中の2つ目の○、「地域ブロック内の最終処分場の活用方針」を定めるというような文言が出てございますが、この点に関して地域ブロック内の最終処分場の現場に頼るのではなく、まず災害廃棄物を徹底して分別、そして再利用等についてまずは検討していくという、そういう視点が必要なのではないかというように感じているところであります。仮設焼却場等で、まず現場で減量して、場合によっては大震災の際の実例として、現場で造粒固化して粘土製品にするなど、そういう視点に立ってまずは検討をお願いしたいなというように思っております。この記述の中にも確かに「分別・再利用」ということも書いてございますが、それでもなお埋め立て処分が必要なものは、今度は全国的な視点に立って、さらにセメント化ですとか、溶融処理などを進めるというような視点も入れていただければ非常にありがたいなというように思ってございます。

 繰り返しになりますが、埋め立て処分量を極力削減する方策、それから地域ブロックでブロック内の最終処分場を活用する方針ということではなく、全国的な視点で災害廃棄物であっても埋め立て処分量を削減するという、そういう方針にしていただけるとありがたいかなと思います。

 それから2点目でございますが、これは9ページでございますが、「地域ブロックでの行動計画の策定とそのための連携のあり方」の①でございます。「地域ブロック協議会等において災害廃棄物対策の行動計画を策定する」という記述がございます。それで、この記述の対象の主体については都道府県になるのか、それともまずは被災に対応する区市町村になるのかということをはっきりしていただければと思ってございます。

 私ども東京都は関東地方環境事務所に所属しているということで、昨年度から地方環境事務所、それから県、政令市さん等々で検討会や分科会、ワークショップ等に参加して議論してまいりました。参加しているのは都、県、政令市さん、通常の役割を含めて異なる自治体が議論しているということで、また対象全員が参加していないということがございましたので、今一つ十分でない点があろうかと思われます。それで今年度は関東ブロックの地域連絡マニュアルの策定を行うこととなっておりますが、他のブロックとの連携を考えますと、本省さんがある程度関与し、対象者を明確にして全員が参加するようなものにしていただければというように考えてございます。

 また、11ページですが、⑧の行動計画に盛り込む事項の⑧、「行動計画の点検・見直し」と書かれているわけですが、今後も引き続き環境省さんで各ブロックのリーダーとしてこの会をぜひ主体的に運営していただくという形になればありがたいなと考えております。私からは以上です。

(酒井委員長)

はい、ありがとうございます。では佐々木委員、お願いします。

(佐々木委員)

ちょっと重なる発言になろうかと思いますが、「地域ブロック」というのが地域という空間の意味で使われているところと、「地域ブロック協議会」と言って具体的に何かをやるというのと、ちょっと混同しているのではないかなというように思っております。

 それで資料3の地域ブロックで、将来的な方向としては災害廃棄物対策行動計画をつくると。その計画をこの絵で言うと、都道府県の防災計画に反映し、あるいは矛盾しないように、それから市町村にもそこは反映していくということになっているのですが、文面を見ていくと、それぞれ協議会でやるのは情報交換とか、今、東京都の方が言われたように、ワークショップとかいろいろな意味でもそういうことが主なのか、国の機関として国が決めますよということなのか、その辺がちょっとはっきりしないかなというように思っております。

 それで、例えば資料の中にも「国の地域ブロック行動計画を踏まえて」というような表現もありますので、その点の整合性はほかの委員からも出ておりますが、役割分担とか、内容とか、そういうものはきちんと整理されたほうがよろしいのじゃないかなと思います。特に地域ブロックというのが何かをやるということであれば、そのエンジンというか、そういうものは環境省がやるのか、地方環境事務所がやるのか、その辺のことがあれしないと。環境省の方が全国8カ所に行って何かやるというのもあれですから、地方事務所が多分、担うのかなと思いますが、その方向にエンジン的な部分が機能としてきちんとやっていただかないとならないと思いますし。いや、参加された皆さんが議論してまとめてくれればいいのですよという意味なのか、その辺はきちんとしていただければと思います。

 それからもう一つ、地域ブロックなり何なりで、他の機関、ここには内閣府の防災の連絡会議というのがあるのですが、そういうものとの連携というようになっているのですが、例えば建設業の方が今日はいらっしゃっておりますが、建設業の方なんかはそっちの、いわゆる土木系のところにも入っていい、あるいは廃棄物系のところにもというと、そんなにいろいろな機関に参加してどうこうということができるのかどうかということも含めて一回整理されたほうがよろしいのじゃないかと思います。以上です。

 

(酒井委員長)

はい、では坂本委員、お願いします。

(坂本委員)

 はい、貴田先生のご意見と関連しますが、都道府県とこれを更に広げたい点で「地域ブロック」も大事だと思いますが、一番わかりにくいのが責任者というかリーダーが不明確である点だろうと思います。ほかの市町村と都道府県ならもっとはっきりしているのだと思います。

 それから目標期間、条件がどういうことで決まるのかはっきりしてれば、おのずと決まる話で、今から議論すればいい話かなと思います。

 今回で私がすごくいいなと思っているのは6ページ⑤で、都道府県とか関連事業者行動指針ですから、お互いにいろいろな関係者が協定を結んでいくということをやっておくのがが、行動指針の形としても方向性が明確になるので、これはぜひやっていただきたいなと思います。

 具体的に協定書というのはどのように記載して締結していくのかなというところになると、これは先ほども出ましたが、個々のいろいろな意識も関与するでしょうが、何かある程度のガイドラインというか、そういうものが必要という気がします。ただ、こういう協定書を結んでおいて、いざという時にこう機能できる形にしておくということが大事だと思いますが。

 別の観点から言うと、この一連の中で行動指針ということで東北の震災の時もあったのですが、日ごろの訓練というか、日常の行動の中で行動指針に則った避難訓練をしていた学校は全員が助かったけど、不明確なところは残念に終わった事例が多々ありました。

 この災害の廃棄物においても、平時の時に何をやっておくかということもすごく重要かなと思っておりまして、発災したときのルールを決めている行動指針とは別に、例えば仮想の災害廃棄物とか類似的な災害廃棄物処理を平時から推進しましょうと、考えます。そういう類の処理認定をしたものには何らかの認定をしたりとか、そういう事業体とか、そういう活動体については災害廃棄物処理が可能な設備を有する所ですよと言った災害廃棄物処理可の認定制度をあたえるとか。いざ災害となれば直ぐに許認可が可能というものにつながっていきますよというところを、平時から都道府県というか、行政が中心になってやって行動指針の一部のガイドラインの中に盛り込んでおけば100年か、何年に起きるかわからない災害のために一生懸命につくっても、いざという時にはその指針が有効かという話になりますが、平時からそういう活動が並行して行われていれば、あそこの設備や会社は使えるなとか、ここでやれるなということが即座に判断できると思います。ですから、平時の活動という意味でのガイドラインみたいなものも少し盛り込んでいただければなという感じがしますので、意見としてつけ加えさせていただきます。

(酒井委員長)

 はい、どうもありがとうございました。では、鈴木委員、お願いします。

(鈴木委員)

はい、これをまとめる時にどこまで完璧にやると考えるのでしょうか。例えば首都直下地震を考えたときに、非常に大きなスケールでいろいろなことが起こって、非常に多くのことをやっていかなければいけない状況になります。それらについて全てのことについて想定して全部やるということで、指針なり計画を考えるのか。そのようなことで指針や計画を作れば今度は実行不可能になる可能性があり、計画をつくっておいて実行できないとなると責められることになりますから、そこをどう考えるのか。よく考えて頂きたいと思います。

 今回の案は基本的には環境省関係のもので書かれているわけですが、例えば、国交省関係も対応することが出てきます。例えば私の所では海面処分場の技術の研修をやっておりますが、そうしたことまで全て書き切れるのかという問題もあると思います。そういう状況では、書き切れないけどやると考えるのではないかと思っています。

 そういう意味では、協議会というところが一つの重要なポイントかと思っています。我々は協議会に積極的に参加してその中で一緒にいい方向でやっていこうと考えたいと思っているところです。それらの内容をあらかじめどこまで書けるかというとまた難しいことだと思います。

 対応としてできること、できないことがあると思います。できないことというとちょっと語弊があるかもしれませんが、完全に予見して具体的にやり切るということが難しい部分があると思います。そこでは、起こったときにそれぞれの人たちが状況にあわせて適宜対処するという対応が最後には残るわけですが、それもあり、ということで考えていただくことが必要ではないかと思います。

(酒井委員長)

はい、ありがとうございます。永田委員、お願いします。

(永田委員)

私は13ページのところの③のところでございますが、「地域及び災害廃棄物の特性に応じた柔軟な目標」と、こういうことが記載されておりまして、非常にこれは重要な視点ではないかと思っております。

 そこで一点、先ほどの貴田委員や小林委員からもございましたが、分別の徹底とか、再生材の利用の話がございます。ここでは詳しい委員がおられるので恐縮なのですが、余りにも分別の目標を高く掲げることが本当にいいのかという視点というのも必要なのかなと思っております。これについては、東北の震災においても技術的な提案を求める余り、非常にコストがかかってしまうとか、処理期間が長くなってしまうというようなこともあったやに聞いております。逆に、そういうものは地域の特性として、先ほど委員の方からもございましたが、首都直下の場合に全てそういうものを網羅してやるのかという話になってしまうと、早期の復興とトレードオフになってしまうのではないか。例えば、首都直下の場合には経済的なダメージを早期回復するために、何らかの目標を若干下げることも必要になってくるのかなと思いますので、そのあたりのご検討もお願いできればなと思います。以上です。

(酒井委員長)

ありがとうございました。では、平山委員、どうぞ。

(平山委員)

大きく2点ございます。鈴木委員のご指摘と少しダブるところがあるかもしれませんが、資料3の2ページ目の図がわかりやすいと思いますが、ご説明いただいたのは行動指針の骨子のことだと思いますが、行動指針に基づいて実際に有事の際には処理指針を策定していくということを考えれば、防災の分野でいきますとアクションプランとインシデント・アクション・プランに近いのかなと。つまり、アクションプランというものは平時でしっかりと備えておいて、有事の際にそのアクションプランの中に書き込んであるいろいろな手順であるとか、チェックリストであるとか、それに従ってインシデント・アクション・プランをつくるという形になります。

 そうしますと、この行動指針に基づいて処理指針をつくるということなのですが、先ほどの鈴木委員とも被るのですが、一体この行動指針の中でどこまでつくり込んでいくのかというところを、いま現段階でどのように考えられておられるのか。本当に細かなそういう処理指針をつくるための手順であるとか、あるいはチェックリストであるとか、そういうところをどこまで今回、検討されようとしているのかというところを少し確認できればというのが1点。

 それから2点目は、そういう関係で考えますとこの資料3の下のほうにありますが、市町村だと非常にわかりやすい。つまり、処理計画に基づいて処理実行計画をつくる。その処理実行計画は市町村が策定するべきことだと思いますが、今回のご提案にあります処理指針の、特に13ページ以降に書かれている事項に関しまして、盛り込む事項ですが、ここは主語が国だけでなく、都道府県も、市町村も全部入ってきているのですが、この処理指針の主体は国以外の都道府県、あるいは市町村、そういうもの全て含んだものとして考えようとしているのか、あるいは国がどうするのだというものを処理指針として書き込もうとしているのか、そのところをしっかりと整理していかないといけないのではないか、というのが2点目でございます。

(酒井委員長)

 はい、では牧委員、お願いします。

(牧委員)

市町村が災害対応するという観点から2点です。

 1点目ですが、先ほど2ページで、「対象となる大規模災害の考え方と基本的な対応方針」というところの、この規模の規定なのですが、やはり規模の規定を明確にしたということが重要なのかなと。要するに、ある規模の災害、ある一定規模を超えると特例という形で、要するに市町村が本来は廃棄物処理の主体なのですが、都道府県であったり、ブロックで対応するということになりますので、例えばなのですが、例えば首都直下型地震で区部の地域防災計画をつくるときに入れた仮置場なんて本当にないのです。でも、ないのですが、あることにして計画を立てているので、実はおかしいことになっているのですが。

 そういうある程度のレベルを超えたらこういうことになるのだということを、やはり明確にしておくということが、実効性がある計画をつくる上で重要なのかなと。通常は行政が災害対応をするときに気にしているのはお金ですから、通常は災害対策本部で何をやっているのかというと、まずは災害救助法の指定をするのかどうかと。それに続いて支援法の適用になるのかどうか。そこら辺の感じで、今回はやはり特例をつくるのかどうかということを、これは大体、通常の小さい災害ですと初日に来ますので、そういう実際に市町村が今回これは特例なのかなということがわかるような指針にしてあげるのがすごく重要かなと思います。そのときに多分、今、非常災害対策本部ということですが、もしかすると非常災害対策本部レベルでの特例と緊急災害対策本部レベルでの特例というのは違うのかなと。

 例えば非常災害対策本部ですと、2004年の新潟県の中越地震でも適用されていますが、あのときには工事解体というレベルとか、地域ブロックでのということには恐らくならなかったので、レベル1、レベル2で、レベル3の緊急災害対策本部だと今回の地域ブロックを発動させるとか、何かそのレベル規定をしっかりとしておくほうが、実際に現場で対応する自治体にとってはありがたいのかなと。

 早く決めて欲しいもう1つの原因は、先ほどの建物の撤去なのですが、道を通すために当日から自衛隊が空けていきますが、そのときにややこしいのが要するに敷地内の建物をどうするのかということで、先に壊してしまったりすると、あっ、やっぱり国はお金をくれませんでした、ということになると困るので、やはりレベル規定をしっかりしてあげて、そのレベルになりましたというのを市町村から環境省に、レベルはこうだから今回はこれで行けますよね、という問い合わせが3日ぐらいの間に、できれば初日なのですが、できるようなことが重要かなと思います。

 それから2点目ですが、先ほどの解体、大規模災害になると建物の解体というのを公費でやるという流れになっていくのだと思いますが、実は防災対策を考える上で一つ非常にそれには問題がありまして、今も議論になっている空き家の取り壊しですが、あれは有料なのです。ところが地震で壊れたらタダで壊してくれるなら、放っておいたほうが得という、非常に大きな問題が実はありまして、そういうところをぜひご配慮いただく必要があるのかなと思います。以上です。

(酒井委員長)

はい、どうもありがとうございます。実務面で極めて重要なところのご指摘をいただきました。では森谷委員、どうぞ。

(森谷委員)

資料3の「計画・指針等関係図」について、この内容というのはここにいる人たちではなく、ここにいない人でも正確にわかってもらわないといけない図なので、私の希望としては計画や指針等の相互の関係というか、時には上下になっているのでしょうが、それをぜひ文章化していただきたいなと思います。そして計画・指針の目的とか、想定する内容というのは一枚の紙、ないしは2ページになるかもしれませんが、示していただくことがまず必要ではないかなと思います。

 その際にはぜひ先ほどもありましたが、行動計画の作成主体が誰であるか、それから都道府県や市町村の計画のところに、横に貫くように「災害廃棄物処理計画」とありますが、これが廃棄物処理計画の中でも地域防災計画の中でも同じことを書くのか、それともそれぞれ別に書くのかというようなこともぜひ明らかにしていただきたいと思います。

 災害廃棄物対策指針というのが今、配布されておりますが、もうできたということです。そこで大規模発生時における災害廃棄物対策行動指針というのをさらにつけ加えるということになっているのですが、実はこの絵で見ますと、災害廃棄物対策指針の中に書かれているわけです。それで私が一瞬思ったのは、災害廃棄物対策指針を今後改定して、この大規模な行動指針を取り込む形にするのかと見えるものですから、ぜひ冒頭の話に戻りますが、ここに書かれていることの相互の関係、上下関係、目的、内容等をぜひ文章化していただきたいと思います。

 それから、私が資料5として出した意見がございまして、これは現在、今皆さんとご議論している資料ではなくて、先立つ3月に示された盛り込む事項(案)ということに対する意見になっておりますが、その中からちょっと申し上げたいと思います。

 まず一つは、「非常災害」の文言が提出された法案にあるのですが、国として一定の定義を示す必要があると私は思います。と言いますのは、非常災害というものについて、これは結局、市町村が判断するということになりかねないので、そういう必要性を感じているわけです。資料5の2つ目の○に書きました。

 次の点は、今の整理では非常災害は通常災害の中である要件を満たすとなるということは理解しました。

 それから、この1ページのところにありますように、全てがお互い連絡を取り合うことができるという想定でつくられている気がしますので、通信手段の確保が重要であるということをぜひ踏まえる必要があると思っております。

 2ページ目になりますが、有害物質の話がございましたが、まずは事前にできることはPRTR法に基づいて可能な限りの調査をすることと思っております。

 3ページ目になりますが、地域ブロックの議論の中で、協議会自身が「地方環境事務所を中心として」ということで書かれておりますが、もし地方環境事務所に期待するものがあるのであれば、地方環境事務所の権限と責任を明確にしてもらう必要があると思います。そして地方環境事務所そのものの体制整備が今以上に必要ではないかと思います。

 最後になりましたが、県、市町村の処理計画づくりですが、計画づくりに参加するものとして、参加というか、協議というか、いろいろな言い方があると思いますが、民間事業者が、具体的には私の場合ですと産業廃棄物処理業者ですが、それを代表する都道府県協会が計画づくりにぜひ参画させていただけないかと思います。その際には災害の規模は、通常災害、非常災害、大規模災害、巨大災害と大きく4つに分かれていると思いますが、計画づくりはそれに応じた内容にする必要があると思います。

 済みません、最後にちょっとつまらないことなのですが、先ほどの絵のところに戻っていただいて、資料3の2枚目ですが、一番右側に赤い線で大規模災害発災後ということで、指針の横に書かれている吹き出しがあるのですが、その下に吹き出しがさらに2つありますが、「災害発災後」となっているのですが、これは大規模災害と理解してよろしいのでしょうか。それであれば書き込みをしていただきたいと思います。以上です。

(酒井委員長)

吉岡委員、どうぞ。

(吉岡委員)

一番皆さんの意見の中でも出てきておりましたが、一番感じるのが地域ブロック単位というところの位置づけでございます。全体的に市町村、県、国、これが何をするのかという役割の中身についてはある程度書き込んでいただいておりますが、地域ブロック単位で行う事項というところについてはまだちょっと薄いかなという気がしてなりません。

 その一つの理由としては、役割分担として見た時には各自治体、あるいは国、いわゆる行政組織が何をやるのかということは非常にわかりやすいのですが、地域ブロックというのは、これは行政組織ではなくて、ある種のネットワーク機関ということになっているのかなと。そこが少しわかりにくくしているのかなと思っています。地方環境事務所が中心になってということになってくると、そこはやはり国の位置づけになるのかなと思いますので、その中でこの地方環境事務所がどういう役割を果たすのかなというようにされたほうが、もうちょっと整理がつきやすいのではないかという印象を持っています。

 さらには、その中で特にこの地域ブロック単位で行う事項の中に、ほかのところと同じように「平時に何をやるのか」というところをもうちょっと明確に書き込んでいただいたほうが、ネットワーク形成に向けても重要なポイントではないかなと思っております。以上です。

(酒井委員長)

はい、渡邊委員、どうぞ。

(渡邊委員)

私からは実際に災害廃棄物を処理したという経験上からということでお話をさせていただきたいと思います。

 まず、7ページですが、7ページの「国が中心となって行う事項」というのがあって、その中で「要処理量」の推計というのがございます。宮城県の事例を申し上げますと、発生量の推計自体は実際の量に近かったのではないかというような見方をしているのですが、難しかったのは要処理量というものでした。随時、災害廃棄物の山になっているわけですが、それを測量して推計したというのがあるのですが、想定していた組成とかと違って、結局、開けて見なければわからないということがございました。ぜひ、このマニュアル的なものとして使えるものをご検討いただきたいと思っております。 

 それでちょっと細かい話なのですが、同じく7ページの④ですが、○の3つ目に、「再生利用を促進するための受入れ基準や品質等の検討」とあります。それで次の○には「焼却における残渣率を適正に管理するための分別・選別技術の検討」というのがあります。それで、この焼却残渣率の低減というのは重要だと思いますが、それ以前として再生利用の受入れ基準、それに沿った分別なり、選別技術の選択といったような視点があってもいいのではないかなということでございます。

 次に8ページですが、8ページの下の「特例的措置の検討」です。この一つ目の○で、実際には9ページになるのですが、特例的な基準を検討・準備するといったようなことがあります。これについては今回の法案で上げられているもの以外にも、これは質問ということになりますが、法律に加えるものがあれば加えるという意味合いなのかどうかということです。それと、法の運用で対応するということもあるかもしれませんが。

 というのも、宮城県におきましては県が仮設処理施設を設置するという場合に、非常にアセスメントの手続きで手間取ったということがございました。それと実際に災害廃棄物というのは産業廃棄物に性状が近いので、実際には民間の産廃業者さんに委託するということがあります。その場合に受け入れ市町村との手続き、これに結構時間がかかったりするというようなことがあったので、そういうものは改善の余地があるのかなと思います。

 最後に、目標期間を、13ページのところで、腐敗性の廃棄物について触れられております。この腐敗性廃棄物というのはかなり優先度が高いと思っております。それで、宮城県の事例を申し上げますと、これについては迅速に海洋投入処分ということが行われたということが非常に有効だったと思っております。これについては「国が中心となって行う事項」というのがあって、7ページですが、そこに「検討する」という部分があるので、その一環でぜひ検討をお願いしたいと思っております。

 あとは先ほどの東京都さんが話された件について、若干コメントさせていただきたいと思います。宮城県の受託処理ということについては、最終処分場の確保が非常に苦労しました。なかなか処分場の確保が進まないといった中で、極力、再生利用を進めるというようなことで、最終処分率については2.8%に抑えることができたということがありました。その中で先ほどもお話があったのですが、一番有効だったのは、石巻港というのがあるのですが、そこの港湾に焼却灰を造粒固化したものであるとか、再生土砂を埋め立て資材として入れたということがあります。これは90万㎥あります。これは大変有効でした。

 そもそも最終処理場の確保が難航したというのは、放射性セシウムというのもあるのですが、まず発災直後から市とか、一部事務組合とか、あるいは県外にはあまり最終処分場は民間のものはないのですが、例えば県の公共関与の処分場がありまして、それとの調整、それをもっと早くからやっておけばよかったかなということが反省点としてあります。

 それで実は昨年度、宮城県においては災害廃棄物処理の検証をして報告書をつくらせていただいております。それで、その中で災害廃棄物の優先処理と優先順位ということで、まず発生量推計があるだろうと。それで、どんどん再生利用を進めるとしても、必ず最終処分というのが出て来ますので、それを確保する検討をして、その最終処分容量を全て使い切らないように、極力、減量化、再生利用に取り組むということを上げております。

 その場合の最終処分場確保については、まずは県内、自県域内で確保するということを想定しておりまして、地域ブロックでの確保というのがありがたいのはありがたいのですが、それでも不足する場合であろうと思っております。極力、再生利用に取り組むということについては東京都さんにも賛同しております。もちろん、地域ブロックということであれば、私どもは大変ありがたかった港湾埋め立ての活用、そういうもののご検討をぜひいただければと思っております。以上です。

(酒井委員長)

はい、どうもありがとうございました。今回この行動指針、初めての議論ですのでご発言がある方からは時間制約なく一通りご意見をいただきました。論点が浮き彫りになってきているかと思いますので、次回に向けての作業のポイントという受け止め方でいいように思います。そういうことで、主に質問的なところをお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

(和田廃棄物対策課長)

 広範、多岐にわたりまして非常に貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。いずれもここで我々が、これは違うからやりませんとか、そういうようなことはありません。御質問のところを中心に考えを御回答させていただきたいと思っております。

 まず、全体を通じてのところでは、そもそもこれってどこまで細かく書くのですかというのを先ほどご質問いただいたというのもあるのですが、もうちょっとブラッシュアップしつつ、今回の大規模災害の関係のところは、とにかく完成版で全部ばっちりコンプリートさせるというところよりは、まず重要な点を見落とさないように大所高所に立ったような内容にしたいと思っております。

 一方では、森谷委員からいただきましたように、確かこちらの一連の資料3について細かく見ていくと、定義がわかりにくいとか、定義だけでなく役割もわかりにくいということがあったりしますので、文章で定義、役割などについて表現できるよう、トライをしてみたいと思います。その中で細かな定義もさることながら、災害廃棄物対策指針と大規模指針の大きな役割のところに少しハイライトしてみたいと思っております。

 平山先生からいただいたアクションプラン、それを受けてのインシデントプラン、アクションプランという話について、確かに国の指針のところは都道府県と市町村とは違って、みずからの部分だけでなく、指針をさらに都道府県とか市町村が策定する計画に影響するという部分もありますので、念頭に置きながら内容の整理をしていきたいと思っております。

 大塚先生の条文上の定義につきましては、後ほど担当補佐から説明させていただきたいと思います。

 それから、全部に共通していることだと思いますが、地域ブロック協議会の、少し厳密に言えばファンクションのようなものというか、そもそも誰が権限を持っているのかとか、責任主体は誰になるのかというところについても、地域協議会または連絡会の場において、地域ブロックのファシリテーター役の環境省の地方事務所の担当官も非常に苦慮しているところであります。基本的には地域ブロックの責任者主体、組織がガチッとしていて、この人が責任主体ということで組織体として見るのではなく、先ほど貴田先生からいただきましたように、どちらかと言うと情報、意見交換を円滑にやっていける場として活用していきたいとまず思っているところでございます。

 したがって、環境本省も、地方環境事務所の廃棄物担当官ももちろんしっかりと運営していきたいと思っておりますので、責任主体ということよりはファシリテーター役みたいなイメージを現時点では考えております。それから、あと細かなところでいくと、最終処分場の話もそうです。

(酒井委員長)

あとは「D.Waste-Net」の件で、民間事業者グループの調整とか、具体的なところを。

(和田廃棄物対策課長)

そうですね。より具体的にイメージで言えばどういうように形成していくのかということについて、実は名前だけ先走ってという感じになっているところもあるので、よく相談させていただきながら、特に民間事業者団体の皆様方とのフレームワークについて、環境省は余りこういうノウハウは必ずしもないということもありながら、結構ユニークな重要なフレームワークだなと思っておりますので、御相談させていただければと思っております。

 貴田先生から御質問いただいた有害物質についても、先生には釈迦に説法になってしまうと思いますが、確かに先生のおっしゃるようにPRTRでは限界がありますが、ではPRTR以上のものがあるかというと、それはさらに限界があるため、森谷委員からもありましたように、PRTRの情報も活用するのですが、できれば例えば地域ブロック協議会とかで御参画いただけるような民間事業者等から、自主的な情報でありますとかをつけ加えながら対応していきたいと考えております。

 事前に、この有害物質がここにこういうようにあるのだというところは、なかなか法律フレームワークとしては担保できていないので、まずはPRTRを使いながら自主的なフレームワークを加味しながら、と考えているところでございます。

(酒井委員長)

あとは牧委員からの規模、レベルのところのご指摘があったのですが。

(和田廃棄物対策課長)

はい、牧先生から特例措置についてなるべく早くわかりたいということもあるのですが、イメージからすると非常災害対策本部は意外と大きくない規模の災害から設定されています。昨年も私はいくつか出席させていただいたのですが、まずは廃棄物処理法の関係での特例というのと、災害対策基本法での特例が適用になるのかという、こういう2段組みになっているので、前者については先ほど森谷委員からもあったのですが、自治体判断となっているので、ブレが非常に大きくなるのではないかというところがあります。そこについては問題意識を持っておりますので、自治体判断でやるよりも非常災害対策本部に近いようなところについては、余り変な大きなブレにならないようにと考えているところです。

 一方、災害対策基本法のほうは、こちらは政令マターですから、どちらかと言うと緊急災害対策本部に近いので、そちらについてはその前提でどういう特例措置なのかということについて、これから中身を詰めていきたいと思っております。

(山田補佐)

先ほど大塚先生からご質問いただいた「非常災害」の定義のところなのですが、用語についてはよくご質問いただくので、少し丁寧にご説明させていただけたらと思います。

 まず、「非常災害」と「災害」の違いについてですが、現行の廃棄物処理法のどこで「非常災害」という言葉を使用しているか、ということにつきまして、例えば第12条第3項、これは産廃の事業場外保管に係る事前届出について書かれている条文ですが、「非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他の環境省令で定める場合」と規定されています。また、第15条の19第1項第4号、これは土地の形質の変更に係る事前届出についてですが、同じように規定され、「非常災害」という言葉を使用しています。

 他方、「災害」という言葉も単独で使用されている条文がありまして、例えば第8条第2項第8号、これは一廃の施設設置の許可に必要な申請書に書く記載内容ということになりますが、「最終処分場である場合にあっては、災害防止のための計画」についても書くことと規定されています。また、災害時の国庫補助についての第22条においても、「災害その他の事由」により特に必要となった費用の一部を補助する、というような形で、「災害」という言葉が単独で使用されています。

 このように、これまで廃棄物処理法の中で「災害」という言葉が出てくる場合には、「防止」とセットで規定されております。これは、「災害」という言葉自体は、災害対策基本法の定義と近いと思いますが、災害対策基本法の災害の定義は、「自然現象又は大規模な火事若しくは爆発」等による「被害」となっており、廃棄物処理法でも、自然災害自体は防止、ないしは予防はできないものの、それによる被害は防止、予防はできるという立場で、それについての予防等の計画を作るように、という整理になっているということかと思います。

 他方、「非常災害」という言葉を使う場合には、「応急措置」とセットで規定されています。予防はしていたけれど、それでは対応が間に合わない規模の災害が生じてしまった、又は、講じていた予防措置では被害が防げなかったような被害が緊急的に発生したような場合について規定しているということです。今回の法案においてもこのことを踏まえ、通常の規模の、予防できるような災害ではなかったような大きな規模の災害が生じた場合についての特例的な措置として必要な制度を整備する、ということから、「非常災害」という言葉を規定することとした、ということになっております。

 ここで、「非常災害」の定義について、災害対策基本法と廃棄物処理法とで定義は同じなのではないか、というコメントをいただいたと思いますが、これについては、両者は異なるのではないかというように考えております。災害対策基本法上も、今回の法案同様、非常災害の定義はございませんが、第24条で非常災害対策本部を設置しなければならない災害、政府全体で総合的な対策を行うことが必要であるような災害というものを定義するために「非常災害」という言葉を置いているだけでございます。先ほど御紹介した廃棄物処理法の例を考えていただきますと、例えば産廃の事業場外での保管が必要な規模の災害がすなわち政府全体での対策本部が必要な規模の災害なのか、というと、今までの実例からはそうではなかったということになるのではないかと。恐らくもう少し小さい規模での非常災害というものを想定した規定だっただろうというように実態的にも思われますし、共通していることは「応急措置」という言葉が両方に出てくるのですが、災害対策基本法で必要な応急措置というのは、より私権の制限に踏み込んだような局所的な対策について使われている言葉で、廃棄物処理法で用いられているような、事業場外の保管のような、人命はかかわらないようなものについての応急措置という言葉は災対法では使っていないというようなことからも、「非常災害」という言葉としては同じでわかりにくいのですが、両法で使っている非常災害の規模感は異なる、というように考えております。

 以上長くなりましたが、もともとのお尋ねは、3ページの「通常災害」という言葉がわかりにくいのではないか、というご指摘であったと思いますが、実は今回、検討会の名前を「巨大災害」から「大規模な災害」に変えさせていただく際に、既存の災害法制を踏まえて言葉の定義をどうするのか、ということを検討いたしました。いかんせん政府全体の災害法制が東日本大震災の後に急激に拡充、ないしは充実してきたので、言葉の整理が政府全体のほうでも追いついていないということがございました。一例としてしましては、例えば、激甚災害、非常災害、大規模な災害、それから著しく異常かつ激甚の非常災害という、このように4つ異なる用語がありまして、いろいろ異なる法律で使用されております。これらの災害は、実は今申し上げました順番でどんどん大きくなってくるのですが、日本語的に言ったときに、激甚災害と大規模な災害とはどう違うのかというとかなり難しい問題であろうかと思います。

 このような中で今回、「巨大災害」ではなく、「大規模な災害」とさせていただいたのは、「大規模な災害からの復興に関する法律」が、政府全体で緊急対策本部を設置する、ないしはそれに匹敵するような、大規模な災害があったときのことについて規定しているということで、本検討会でも、非常災害対策本部が設置されるものよりは大きい規模の災害を意識しつつ、必ずしも緊急災害対策本部が設置されていなくても、国がリーダシップを取って指針を作るなり、特例的な措置を講じる必要がある災害については対象としていくべきではないか、ということで、今回この3ページの部分を書かせていただきました。

 「通常災害」という言葉は既存の法律には出てこないのですが、なかなかほかに代替する言葉を探すことが難しかったので、政策スキームで使用した言葉を用いたものです。「通常災害」の用語はこのままとさせていただきつつ、もう少し各災害の単語の関係性をわかりやすく説明させていただくというようにさせていただければと思っております。

(酒井委員長)

大塚先生、よろしいでしょうか。

(大塚委員)

非常に丁寧に説明していただいてありがとうございます。改正法案において非常災害のことを定めたのは何条かを教えてください。

(山田補佐)

「非常災害」を定義しているところはなく、今申し上げたような考え方、すなわち、ある一定の規模の災害については特例的な措置を講じる必要が生じる、という意味合いで、そのような災害を表すときに「非常災害」という言葉を用いることとしております。たとえば、今回お配りしている参考資料の中で、廃掃法に新たに規定する第9条の3の3において「非常災害」という言葉を使っているのは、そのような特例的な措置が必要になる規模の災害だということを前提に、そのような災害で必要となる措置について規定したもの、ということになります。

(大塚委員)

そうしますと、この文章は誤解を招くので、少し表現を変えていただけるとありがたいと思います。

(山田補佐)

そうさせていただきたいと思います。御指摘ありがとうございました。

(切川係長)

浅利先生からいただきました資料に関してですが、し尿に関しては広域処理をする対象として、なかなか考えにくいと考えておりまして、昨年度の検討会でおまとめいただいた中でも、処理に関しては市町村に頑張っていただいて、平時から備えていただくという視点からも、災害廃棄物対策指針を改定する中で、対応していければというように考えております。

(和田廃棄物対策課長)

 その他のところについては、かなり地域ブロックの役割について、先ほど申し上げましたところで判断を、責任主体のところについては先ほど申し上げましたとおりです。

 そのほか、非常に重要だなと思っておりますのは、坂本先生からいただきました協定締結の際に、いきなり協定と言われても何がしかひな形というか、ガイドライン的なものを示していないという観点。再生利用の観点で、受入基準のところをもう少し充実すべきではないかということを渡邊先生から。

 民間事業者団体グループについて、生亀先生から業界的にいきなり任せられてもさすがにうまくいかないのじゃないかということがあって、嫌なことはやらないというか、そういうことだけになってしまうのじゃないか。ここは留意したいと思っております。

 同じ8ページのところで、支援を受けつける窓口機能というところも留意すべきという、生亀先生からいただきまして、慎重に考える必要があるということで、いきなり支援要望を受けつける窓口機能と言われてもということがございましたのと、それから内閣府でありますとか、国交省とかいろいろあるので、できれば一元化してほしいというようなところもありまして、その辺につきましては我々もゆとりを持ちながらブラッシュアップしていきたいと思っております。

(酒井委員長)

うまく整理いただいているのではないかと思います。全体を通じては地域ブロックの役割・機能、そしてその権限、責任というところのご指摘も重要だということもございましたが、ほぼファシリテーター的な情報の場としての機能だというところのご認識ということで、その方向でほぼご回答いただけているのではないかと思っております。

 いずれにしましても、どこまでつくるべきか、どこまで書くのかということに関しては、多くの委員の方からご指摘がございましたが、今、前向きな兆しとしてあらわれているところはぜひ大事にしていきながらということで、見ていただければ幸いでございます。

 例えば「D.Waste-Net」という方向での兆し、締結というところでのグッドプラクティスに向けての兆し、あるいは平時、特に平時での活動、あるいは類似の取り組みをもっと考えてはどうか。恐らくはこういう大規模に至らない通常災害に対しての今後の蓄積といったところがそういうものにつながっていくのだろうと思います。こういうことをうまくご理解いただきながら、次回この行動指針の取りまとめということで進めさせていただければというように思っております。

 きょうは3時半までのお約束だったのですが、若干時間が超過しております。あと10分強ぐらいでまとめていきたいと思いますので、次の議事に進ませていただきます。

 次は資料6、7ということで、地域間協調、あるいは行動指針の実現に向けた対策のあり方につきまして、作業グループに関する設置の提案が環境省からございますので、よろしくお願いします。

(和田廃棄物対策課長)

それでは資料6、7の順番でご説明させていただきます。

 資料6ですが、現在、検討しておりますフレームワークとなります。左側の赤文字で「災害廃棄物検討会」となっておりますが、そこの元に今年度から改めて一部リバイスして、「技術・システムWG」、それから「要処理量WG」、それから「人材育成WG」、「地域間協調WG」という4つのワーキンググループを設置して取り組みたいと考えております。

 それぞれの役割はそこに書かれているとおりでございますが、さらにこのワーキンググループのアウトプットを活用しながら、現場でどのように動いていくのかということで、右側のオレンジ色が中心になっているのですが、先ほどの「D.Waste-Net」、大きなフレームワークの元で、もちろん専門家のグループ、それから民間事業者団体からのサポートを受けるグループというようなことで考えておりまして、全てではないのですが、あわせて国立環境研究所が中心となって、情報のプラットフォーム的、いわゆるさまざまな観点での情報の提供がかなり中核的に行うことができるようなファンクションを期待したいと思っているところです。

 あわせてさまざまなボランティアとか、さらにウイングを広げて環境部局以外のさまざまな自治体、団体と連携していくということ。さらには、資料3、4で話題になりました「地域ブロック協議会」でワーキンググループのアウトプットを活用していきながら、連携協力のフレームワークをつくっていって、まずはどういう形でスタートするかは検討中ですが、いずれにしてもこのネットワークが中核的な役割を果たせるような形で発展していくということを狙いながら、まずは種を育てていきたいと思っているところでございます。次に資料7について切川より説明させていただきます。

(切川係長)

それでは資料7について述べさせていただきます。お手元「技術・システム検討WG、要処理量WGの設置について」をご覧下さい。昨年度の技術・システムWGの検討結果を踏まえ、27年度には処理技術関連と、先ほど渡邊委員からもありましたが、要処理に関する2つのワーキングを設置したいというように考えております。

 それで技術に関してのワーキングは、首都直下地震を想定して各種検討をしたいと考えており、大きく4つの検討項目を考えています。1つは、混合廃棄物の標準処理フローを考えていこうというものです。2つ目が、廃棄物の被災地から仮置場、そして域内の処理施設に持って行くという意味での輸送。さらに広域輸送というものを考えていきたいと思います。さらに4つ目としまして、昨年度は仮置場の環境対策ということで、東日本大震災のいろいろな情報整理いただきましたが、二次仮置場に限定しまして、最適な運営方法等を検討していきたいと考えております。南海トラフ巨大地震については来年度の検討テーマとしたいと考えております。こちらが技術・システム検討WGです。

 要処理量WGに関しては大きく3つの視点があります。1つは国よる大規模災害発生時の速やかな災害廃棄物の要処理量を推計する手法としまして、航空写真や衛星画像等を用いながら早く推計するというもの。もう1つは、自治体による災害発生時における速やかな災害廃棄物の要処理量を推計する方法、先ほど渡邊委員がモニタリングが必要と御指摘頂きましたが、こちらも含めて検討したいというように考えております。

 3つ目が、平時からの災害時のリスクを低減するような対策のあり方ということで、ここでは災害廃棄物の普通の視点での対策として、平時からの災害時のリスクを低減するにはどういうやり方があるかを検討いただきたい。

 それで最終的なアウトプットとしましては、自治体の職員向けの簡便な推計ツールを試作して配布できるところまでいければというように考えております。こちらが技術系のWGです。

 裏面をめくっていただきまして、今度は人材育成WGと地域間協調WGの設置についてのご説明をさせていただきます。

 左側のところに昨年度の巨大災害発生時の災害廃棄物処理に係る対策スキームということで、ここにあります「災害対応において各主体のあるべき姿」ということでまとめていただきました。こちらを踏まえまして、あるべき姿の実現に向けて地域間連携とか人材育成を実際に強化していくという意味で、地域間協調WGに関してはネットワークの強化ということで、行動計画とか災害協定による関係者間の連携強化を進めていくという視点での検討を、特に今年度に関しては組織の役割に応じた連携のあり方とか、内容等の検討。さらにネットワークへの参画、インセンティブ、維持方策に関して検討していきたいと考えております。

 人材育成に関しては、各行政機関とか民間事業者等も含めて、機関及び個人のスキルを強化していくという視点で、研修とか演習による災害廃棄物対応力強化を検討したいと考えています。本年度は各行政機関の役割を踏まえまして、災害廃棄物対応力強化のためのカリキュラム、こちらの検討と実施をしていきたいというように考えてございます。以上です。

○質疑応答

(酒井委員長)

どうもありがとうございます。それではただいまのワーキンググループの設置等に関してご質問がございましたらお願いします。いかがでしょうか。

(森谷委員)

簡単な質問ですが、「D.Waste-Net」は大規模災害だけでなく、広く災害から発生する廃棄物処理のネットワークであるのかという点です。

 もう1つは、資料7に小さい字で書いてあるのですが、地域版のネットワークもいずれ構築したいということなのでしょうか。

(切川係長)

はい、ご指摘のとおりで、規模を問わずにいろいろな災害時に対応できるような形で作っていきたいと考えております。

 さらに、平時のいろいろな計画策定などへの支援ができるような形でネットワークを構築することや、地域間に関しても、ネットワークの一つとしてこういうものがあってもいいのではないかと、考えているところです。

 

(生亀委員)

資料6の「D.Waste-Net」の矢印の真ん中より少し上の「被災地域と民間事業者の連携をサポート」について。我々の団体の名前も書いてあるのですが、連携の中身をしっかり具体化し、実行内容を担保する仕組みを用意しておかないと、機能しないと思います。

 先ほども申し上げましたように、情報の流れ、指揮命令の流れの一元化は是非ともお願いしたいと思います。

(酒井委員長)

はい、ほかにございますでしょうか。

(平山委員)

 簡単にですが、1点だけです。人材育成なのですが、記載は資料7の裏側にございますが、有識者集団で「災害対応に関するアドバイザー」とありますが、これは人材育成の対象が行政や民間だけでなく、「専門家を育成する」という視点も重要だと思いますので、研究者、特に若手の研究者をどうやって災害廃棄物の専門家として育てていくのか、そういう視点も盛り込んでいただければ大変ありがたいと思います。

(酒井委員長)

ほかにございますか。よろしいですか。

 基本的にはWGの設置につきましてはご承認いただけたものと理解しております。今のご質問、ご意見を踏まえて今後、課題ごとに検討を進めていただければと思います。

 それでは全体を通じて追加でお伺いするような要件はあるでしょうか。

 無いようでしたら、その他の検討について、事務局から説明をお願いします。

(切川係長)

今後のスケジュールですが、次回の検討会は7月3日(金)を予定しております。後日、改めて場所等の連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

(酒井委員長)

本日は多くのご意見をいただき、ありがとうございました。

 以上をもちまして、第1回大規模災害発生時における災害廃棄物対策検討会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。

(了)