環境再生・資源循環

平成25年度巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会第4回議事概要

開催日時及び開催場所

日時:平成26年1月17日(金) 9:30~12:01
場所:東海大学校友会館 阿蘇の間

出席委員(五十音順、敬称略)

浅利 美鈴、伊藤 和己、宇山 竜二、大迫 政浩、勝見 武、貴田 晶子、近藤 守
酒井 伸一、佐々木 五郎、杉本 明、鈴木 武、永田 尚人、濱田 雅巳、平山 修久
福本 富夫、森 浩志、吉井 真、吉岡 敏明

会議の概要

(1)災害廃棄物の発生量の推計について

 資料2に基づき、事務局及び平山委員より説明があり、質疑応答が行われた。質疑応答の主な内容は以下のとおり。

  • 災害廃棄物の発生量の推計の中で、破損した家財等の取扱について質問があり、処理の実績を元に算定しており、災害廃棄物として処理されたものについては、発生原単位の中に含まれている旨の説明があった。
  • 災害廃棄物の発生原単位について、木造・非木造などの住宅構造別に区別すべきではないかと意見があり、被害の全体像を掴む数値としては十分な結果であること、今後、公共住宅の割合等の地域別の特性等を基に検討していく旨の説明があった。
  • 災害廃棄物の種類別割合の見直しにあたっては、首都直下地震と阪神淡路大震災の類似性と相違性についても念頭に置くべきことや、火災によって生じる災害廃棄物の性状や組成についての視点も重要であるとの意見があった。

(2)廃棄物処理施設の処理能力の試算結果について

 資料3に基づき、事務局及び浅利委員より説明があり、質疑応答が行われた。質疑応答の主な内容は以下のとおり。

  • 災害廃棄物の受入れ施設となり得るバイオマス発電施設や火力発電所等の有効利用の考え方について質問があり、ボイラやセメント焼成等の燃料利用されたものも考慮して、東日本大震災の実績として整理している旨の説明があった。
  • 災害廃棄物の性状を考慮すると、廃棄物破砕選別施設についての処理能力も考慮して検討を行うべきとの意見があり、全体の処理を考えると重要な視点であるため、既存施設をどの程度利用できるかについては整理する旨の説明があった。
  • 津波堆積物の要埋立処分割合の設定や関係省庁との連携の方針について意見があり、東日本大震災では土砂としての資材利用やセメントの原料として利用した実績があり、利用側が求める水準を満たすよう関係機関と調整することは重要である旨の説明があった。
  • 産業廃棄物処理施設の分担率について、産業廃棄物処理業者の現実的な受入れの可能性を考慮した上で設定すべきとの意見があり、改めて産業廃棄物処理業者の実態を踏まえたうえで再設定する旨の説明があった。
  • 廃棄物処理施設の被災の考え方について質問があり、東日本大震災での事例を加味しつつ、被災地域ブロック単位で処理可能量が一律で低下する設定である旨の説明があった。
  • 処理可能量の見通しについては、不確実性への配慮が必要で、感度解析的な視点も入れた作業が必要との意見があった。

(3)災害時における廃棄物処理対策に関する調査結果について

 資料4に基づき、事務局より説明があり、質疑応答が行われた。質疑応答の主な内容は以下のとおり。

  • 協定の締結に関して、効果的な広域処理の障害にならないよう、適切で公平な協定となるよう配慮しておくべきとの意見があった。

(4)検討委員会における議論の整理について

 資料5-1~資料5-4に基づき、事務局より説明があり、質疑応答が行われた。質疑応答の主な内容は以下のとおり。

  • 火災により生じた燃えがらや油の汚染など有害物質の危険性という視点での整理が重要であり、それを踏まえた上で処理のあり方を検討すべきとの意見があった。
  • 発災直後の災害情報をどのように発信していくかという視点を追加すべきとの意見があった。
  • 用地の確保という議論のうち、災害廃棄物を迅速に対応するためにも既存施設の有効活用についての視点を追加すべきとの意見があった。
  • 巨大地震特有の視点で、地方公共団体や国が平時からすべき備えについて整理すべきとの意見があった。
  • 災害廃棄物の輸送について、首都直下地震を想定すると幹線道路は平時より混雑するため、別ルートを事前に考慮すべきとの意見があった。
  • 人材の確保・育成について、広域にわたる巨大災害の場合、どのように確保していくかは重要な課題であるとの意見があった。
  • 最終処分場の確保について、事前の確保は現実的には難しい面もあるため、事後の対応で整備することも考えておくべきとの意見があった。
  • 取り組みの基本的方向性の中に、時間軸の視点を盛り込んではどうかとの意見があった。
  • 関係者の協力や連携について、発災後は住民も混乱するため、各主体の果たすべき役割を明確にすべきとの意見があった。
  • 災害廃棄物処理の対応について、発災後はマンパワーが不足する中で災害廃棄物処理以外の復旧・復興に向けた事業もあるため、資機材や人材をやりくりする必要があるとの共通認識を持つべきであり、"迅速"という表現より"円滑"の方が適切であるのではないかとの意見があった。
  • ソフト面の取り組みのうち、実効性の高い処理計画の策定について、実効性が持続可能になるような運用面の仕掛けが重要であるとの意見があった。
  • 指揮命令や組織の体制について、民間等の活用を含めどのようなリソースの活用が有効か災害の被害や状況に応じて、いくつかのシナリオを想定した形で検討すべきとの意見があった。
  • 国民の理解と協力の醸成という視点は重要であるため議論すべきとの意見があった。
  • 広域的な巨大災害を踏まえると、日本全体としての機能不全に陥らないために、優先度を考慮した資機材や人材の配分という考え方は必要であるとの意見があった。
  • 災害対策基本法の特例措置のうち、発災前に必要な検討を実施すべきとの意見があり、環境省所管の法令と他法令での対応の整理、具体的にどの種の手当てが必要となるかの課題出し等、事前に準備できることについては整理していく旨の回答があった。
  • 発災後の施設の再稼働を考慮した際、ライフラインの調達に必要な設備の導入状況を把握しておくべきとの意見があった。
  • 既存の施設での災害廃棄物の受入れを考慮した際、事前に受入れ可否について周辺住民と調整しておくことが重要との意見があった。
  • 民間事業者を含めた広域的な連携体制の構築や協定の締結、また、これらを踏まえた全体フローの作成は大変有効であるとの意見があった。
  • 国民の生命・健康への甚大な影響等と廃棄物分野とのかかわりは相当大きく、疾病・感染症等云々というところと汚水処理、あるいは有機物を扱う施設との関連には注意を要するとの意見があった。

(5)その他について

 事務局より次回検討委員会の日程や議題及びワーキンググループの進捗状況について説明があった。また、本日の会議の議事録について原案を作成し、委員及び発表者への確認後、環境省のホームページに記載する予定であるとの説明があった。

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