環境再生・資源循環

平成25年度巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会第3回議事録

日時

平成25年11月29日(金) 9:30~12:41

場所

TKP赤坂ツインタワーカンファレンスセンター ホール7A

出席委員

委員
浅利 美鈴       伊藤 和己
宇山 竜二       大塚  直
勝見  武       近藤  守
酒井 伸一       佐々木五郎
笹出 陽康       杉本  明
鈴木  武       田中 誠夫
永田 尚人       濱田 雅巳
平山 修久       福本 富夫
森  浩志       吉岡 敏明
(敬称略)

委員以外の出席者

(事務局)
環境省
梶原廃棄物・リサイクル対策部長、廣木企画課長
山本廃棄物対策課長、松田補佐、若林補佐、大庭補佐、切川係長
パシフィックコンサルタンツ株式会社
鶴長室長

議題

  1. 開会
  2. 議事
    1. (1)災害廃棄物処理に係る各種関係機関からの事例紹介について
    2. (2)その他
  3. 閉会

配付資料

資料1
巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会 委員名簿
資料2
第3回検討委員会におけるヒアリング内容
資料3
震災廃棄物の処理と今後の課題について
(仙台建設業協会・仙台市資料)
資料4
日本環境保全協会の災害復旧支援活動を踏まえた課題と対策
(日本環境保全協会資料)
資料5
東日本大震災における廃棄物処理の支援内容
(全国都市清掃会議資料)
資料6
大阪湾フェニックス計画における災害廃棄物処理について
(大阪湾広域臨海環境整備センター資料)
資料7
中部地方環境事務所における大規模災害時の災害廃棄物対策
(中部地方環境事務所資料)
資料8
今後のスケジュールについて
参考資料
巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会開催要項

議事

(松田補佐)
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3回巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会を開催いたします。
 委員の皆様には、ご多忙の時期にもかかわらずお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 それではまず、資料の確認をお願いいたします。お手元の資料、座席表が表紙にございますが、1枚表紙を取っていただいて、その後、議事次第がございます。配付資料の一覧がございますので、ご確認をお願いしたいと思います。まず資料1が委員名簿でございます。めくっていただいた資料2に今回のヒアリング内容。その後、資料3が仙台建設業協会様と仙台市様の発表資料。資料4が日本環境保全協会様の発表資料。資料5が全都清さんの発表資料。資料6はフェニックスセンターさんの発表資料。資料7が中部地方環境事務所の発表資料です。また1枚、資料8ということで今後のスケジュールということでございます。また、続いて参考資料として本検討委員会の開催要綱をつけております。また、委員の方々には追加で第1回と第2回の検討委員会の議事概要を机上に配付しております。資料の過不足がございましたら事務局にお申しつけいただければと思います。
 それでは、ここからはカメラ撮りはご遠慮いただけるようお願いいたします。
 また、一般の傍聴者の方におかれましても、写真撮影、ビデオ撮影などはご遠慮いただき、携帯電話の電源もお切りをお願いいたします。
 それでは、以降の進行については酒井委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(酒井委員長)
皆さん、おはようございます。早速会議に入らせていただきたいと思います。
今回も前回に引き続きまして、この災害廃棄物処理に係るそれぞれ関係の機関の方々から過去の震災におきますこの災害廃棄物処理のご経験から得られた知見、あるいは課題、また今後の巨大地震発生に対して懸念している事項等についてご発表をいただき、本検討委員会委員の情報共有を図っていただきたいと思っております。ご報告いただいた内容をもとに審議をさせていただきたいと思います。
手順でございますが、発表終了時間の5分前にベルを1度鳴らせていただきます。終了時間になりましたらベルを2度鳴らしますので、速やかに発表を終わっていただければと思います。時間の制約もございますので、ぜひ速やかな進行にご協力いただきますようにお願いいたします。
それでは、一つ目の仙台建設業協会様の深松様、また仙台市の遠藤様よりご発表をお願いいたします。ではお進めください。よろしくお願いします。

(深松(仙台建設業協会))
皆さん、おはようございます。ただいまご紹介いただきました仙台建設業協会の副会長をやっています、深松と申します。
私は、土木建築担当の副会長でございます。仙台市は5区に分かれており、私は青葉区の隊長を務めています。青葉区に市役所と県庁がございますので、仙台市の隊長が私ということで、災害があったときにはいち早く市役所に駆けつける立場でした。きょうの発表も震災以降、ずっと仙台市さんとの窓口になってやりとりをやってきたものですから、その辺の話を時系列にしゃべっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょうの発表内容ですが、仙台市の被災状況と我々協会がやった対応を時系列に話したいと思います。また、現場での課題が、多々ありましたので、その辺を最後にまとめて話したいと思います。また最後は遠藤さんから発表していただきたいと思っています。
仙台市の津波の被災状況なんですが、これは皆さんご存じのとおり、Aの部分にあった家は全部流失しまして、B、C、Dは1階部分が全部水に浸かっています。それで、この東部道路があったおかげでこのDの地区で済んだのです。ここにある霞目駐屯地のこの部分に浪分神社があったのですけれど、昔ここまで津波が来たから浪分神社ということで、もし東部道路がなければ仙台市の津波の範囲はもっと広がっていて、今回は市内でも1,000人弱の犠牲者がでましたけれども、万人単位が被災を受けたんじゃないかなというふうに思っております。
それで、発災当日の11日から道路作業をやりました。11から19日まで、津波の地域は主要道路が4本ございまして、その4本の道路の啓開作業を約9日間かけてやりました。その作業ではどんどんご遺体が出てくるような状況で、ご遺体が出れば警察のほうにお渡ししてまた前に進むという作業で、1車線分を開ける作業をずっと行っておりました。ただ、3日ともたないです、重機のオペレータさんが。ふだん我々そういう状況におかれることがないので、交代させながら啓開作業をやっていたということでございます。それと、至るところで道路が寸断されておりましたので、写真のように簡単なトンパックに仮の石材などを入れながら、道路を開いていったという作業をやっておりました。
がれきの撤去なんですが、九つの部隊に分けてやりました。発災当初から順に水に浸かったごみを撤去する濡れごみ隊、人命捜索はずっと警察・消防・自衛隊さんと一緒に7月30日までやっておりました。それと道路啓開後の道路脇のごみを撤去する道路隊。14万5,000台の車両が宮城県では津波で被災したのですけれども、その車両を片づける車両隊。それと宅地内など、民地のがれきを撤去するがれき隊。全市的にかなりの家屋数が被災しましたけれども、1万1,000戸を解体撤去しました解体隊。それと農地にも当然、がれきが散乱しましたので、その農地のがれきを片づける農地隊。ブロック塀などもかなり広範囲でやられていましたので、山ごみ隊という名前にして、その編成をつくって撤去しました。これはそれぞれの作業隊のやったことを書いてあります。後でごらんになってください。
それで、人命隊ですけれども、自衛隊さんと警察・消防さんと一緒になってずっとやっておりまして、ご遺体がどこにあるかわからないので、非常な微妙な作業でございました。やはり,うちらのほうが非常に重機操作が得意なので、うちらのオペレーターさんと自衛隊さんが5人ぐらいついて作業をするというような形でずっと行っておりました。また、仙台地区は田園地帯でございまして、農業用水路や沼がありまして、沼も全部水を抜いて底さらいをしまして、川もごらんのとおりせきとめて、全部水を抜いてから捜索いたしました。
当時、海側に防災林の松がたくさんありまして、それが全部根こそぎ抜けて、津波に乗ってその折れた松が家をなぎ倒し、突き刺して東部道路まで来たのです。大体高さ10メートル以上の松でございますので、普通のバックホーのバケットではつかめません。解体業者が使うアイアンフォーク、グラップルなどをかき集めてその松の撤去に当たりました。高速道路の入り口が,まるでビーバーのダムのように積み重なっていました。そんな中での作業でした。
それと、地盤沈下は仙台もあり、農業用水の排水路が全部壊れ,勾配も崩れましたので、水が抜けません。水田が湖状態でした。その水を抜くために24時間、排水ポンプを回さなければいけないのですけれども、燃料がすごく入手困難でございました。ガソリン、軽油、灯油などの燃料確保にとても大変苦労いたしました。市中のガソリンスタンドは一般の市民の方が1キロ、2キロ列をなしてずっと待っています。そこに我々、緊急のステッカーを警察からいただいており,最優先にもらえるはずなんですが、市民の方ともめるのです。ですから、朝4時、5時に仙台市から指定されたガソリンスタンドに、警察も配置してもらって行ったり、自衛隊さんから分けてもらったりしました。1日バックホーがフル活動で動くと、ドラム缶1本を使うんです、二百何十台が市内で動いておりまして、また,排水ポンプのゼネレーターも燃料を、バカ食いをするのです。また,その燃料を狙って泥棒が来るのです。このため,24時間で警備をしないとだめだったということで、非常に危険な状態でした。それと、1週間、10日、助けに誰も行けなかった地区もたくさんありまして、そのところはもう本当に悲惨な状況でございました。
3月の終わりから道路啓開後の道路のわきに積み上がったがれきをいよいよ撤去しようということになりました。これはどこの自治体でも絶対にある話ですけれども、縦割り行政の壁にぶつかりました。津波被害を受けた宮城野区と若林区に道路課と公園課がございます。農地は経済局農林土木課でございます。また,3月の終わりになったら,がれきの撤去に環境局が出てきました。同じがれきに対して全部で六つの部局が向かい合う形になりまして、同じ机に集まってやればいいんですけれど、みんなてんでばらばらの指示が来ました。
最初にがれきを撤去するときに宮城野区の道路課から17日の月曜から撤去してくれという依頼があって、公園課がこの搬入場を整備していましたが、その後搬入場の仕切りは環境局になりましたので、がれきを積み下ろす重機を用意してくださいというお願いをしたのです。そうしたら最初「できない」と言われたのです。それで環境局長のところに行きまして、「局長、お願いだから庁内の窓口のワンストップになってください」ということでお願いをしたところ、局長が各区長と局長に連絡をつけてがれきに関することは全て窓口を環境局に一本化するということなりました。それからは,すごくスムーズにいったのです。もともと協会は私がワンストップですから、打ち合わせは1日に何回もしましたけれども、一か所でやるということで、非常に顔も見えるし、いい形の啓開作業になったというふうに思っています。
それで、この搬入場には、いろんなものが搬入されますので、シートを張って、上にがんずりを敷いて造成いたしました。それで、4月4日からは道路脇に積み上がっているがれきを撤去し始めたのですが、2枚目の写真の白いビニルテープは、ここの中はご遺体捜索が終わっているからがれきを撤去していいという印なんです。そういう連携を組みながらがれきの撤去を行いました。仙台市の場合は最初から分別をやりました。不燃物、可燃物、それとリサイクル可能なものの3区分,具体には,鉄とか家電とかそういうものを大まかに分けまして搬出をいたしました。仙台には約100ヘクタールの仮置き場ができたので,それができたのですが、三陸地方は当然そんな広い土地もありませんので、分別せずにそのまま一緒に搬入しました。そういうことで、仙台以外の仮置き場は全て火災が起きています。ですから、仙台と同じような地形、例えば静岡とか宮崎とかいうところで津波がくれば、同じような形でやれば後で大変な作業はなくなるなと思っています。
それと、各公園には市民が塩水に浸かった家具や家電(濡れごみ)を出してもらいました。その後に公園は仮設住宅になりましたけれども、最初はそういう急なごみ置き場として使ったほうが有効だと思っております。
次に、がれき撤去なんですけれども、4地区に分けてやりました。全ての町内会長が自分のところからやってくれということですから、全部で159班をつくって全地域一斉に手をかけました。しかし,我々から見たらがれきなんですけれども、住民の方から見たらこれは財産の固まりでございまして、位牌も出てくる、金庫も出てくる、思い出になるような品も出てくる。そういうものが出れば、すぐ仙台市職員の方にお渡しして1カ所にそれをまとめて撤去作業をやりました。被災者も必ず立ち合います。自分のところですから。いろんな依頼がありましたが、住民の意向を尊重してやりましたので、ほとんどトラブルはなかったのですけれども、だんだん時間がたってくると、例えば門柱があって、門柱を倒して重機が入ってやっていたら、門柱は後で使おうと思ったのだから弁償しろという人や,庭の花をわざと折ったわけじゃないのですけれども、花をどうしてくれるんだとか、そういう方もたくさんいらっしゃいました。それは全部市役所に行くのですが、そのような苦情は弁償金を出すなんということをやっていたら仕事がストップしてしまいますので、全部私どもで必要なものは弁償しながら前に進めていきました。
住民の方にはこのような大まかな色分けした地図をホームページ上と各避難所に公表いたしまして、グリーンは今週ですよ、赤は来週ですよ、ブルーは再来週ですよということで作業スケジュールを周知しながら作業しました。民地のがれき撤去が大体お盆で終わるというめどがついたので、7月1日からは農地のがれき撤去に入りました。農地面積は約1,800ヘクタールということで、広大だったので5地区でやりました。大まかながれきを撤去すると、細かいやつもいっぱい出てくるのです。農家の方もずっとついています。細かいガラも撤去してくれと言われたので、それを手でやっていると大変なことになりますので、全部5センチの表土を削って集めました。それが今、搬入場に約135万立米ぐらいあるのですけれども、分別して今度のかさ上げの盛土作業に使うということになっています。
農地には海水が入ったので草は生えないと思ったのですが雑草は強くて、ばんばん生えてきまして、7月、8月になるとがれきが見えないくらい生い茂ったのです。ですから、先に農地をやっておけばもっと楽だったなというのが後の反省です。
それと家屋等の解体撤去です。仙台市内の全壊、大規模半壊を受けた家屋で、市民から申し込みがあったものは全部解体いたしました。2年間で1万1,000戸を宮城県解体工事業協同組合と我々仙建協の2団体でやりました。仙台市さんのやり方は非常にスマートで、登記簿謄本の木造、軽量鉄骨、RCなどの構造ごとに平米幾らの単価を決めまして行いました。解体に当たっては,登記簿の平米数が合っているかどうか、申し込んだ市民と我々と仙台市のコンサルの方と一緒に現地に行って確認してから壊すということで、これは非常にうまくいきまして、スムーズに進みました。ほかの自治体では,それをそれぞれごとに見積もり合わせでやったところがあるのです。その時期にあい見積もり出す業者はおりませんので、全然進みませんでした。そういうことでやり方によって相当、進行度が変わってくると思っております。
それと山ごみ隊ですけれども、こういうブロック塀はガタガタになっていますので全部きれいに撤去してやりました。これは非常に細かい作業なので、仙台市は5区それぞれ、1社を決めまして、全部頼むということでやらせていただきました。ここから現場での課題ですけれども、先ほど言いましたが特に規模が大きい自治体では完全に縦割りになり、横の連携はなりませんので、今のうちから,なったときにどこの部局が窓口になってがれきはやるんだ、道路はやるんだということで窓口を一本に決めておいたほうがいいと思っております。
発災後、実際、国が関与するのは1カ月ぐらい後だったのです。それで自治体の判断で指示を出さないと我々は動けませんので、その辺の指揮面も今のうちに決めていただくとありがたいなと思っています。
それと、燃料と食料の調達でございます。私は、こういう話を津波の来るようなところで七十何回発表をしていますが、どこに行っても燃料に関してはみんなほとんど真剣に考えていません。この間静岡県庁でしゃべったときに、東南海がくれば燃料をどう考えていますかと言ったら、日本海から持ってくると言いました。じゃあ日本海のどこですかと言ったら、具体的に挙がってきません。とにかくすごく苦労するんですよ、ガソリンも、軽油も、当然、冬でしたから灯油もです。その辺のルートをいろいろ検討されていると思いますけれども、もっと自治体は考えておくのがいいなと思っております。
それと食料です。我々東北地方で食料はあったのですけれども、それをデリバリーできなくてああいうことになっちゃったのです。仙台は今106万都市で、5時間並んで1人5点までの制限がかけられました。今度の東南海、関東の場合は、人口がこの比じゃありませんので、とても大変だと思います、その辺は自助でカバーするしかないので、家には1週間分の水。お茶、清涼飲料水じゃあ米も炊けませんし、カップラーメンも食べられませんので、やっぱり水なんです。その辺を貯めておくと。あと会社では社員の分を備蓄しろと言うのですけれど、やっぱり100人以上のところは無理なんです。それでどうしているかというと、食料品屋と地震時の協定を結び、食料を優先的に売ってくれということをやっております。
それと通信網、これは全く通じません。携帯も通じなかったし、メールも飛ばなかったし、ファクスも何も全然通じないです。ですから、通じないという前提条件で何をするかというのを決めておいたほうがいいと思います。それと宮城県、仙台の場合は消防組織がしっかりしているので大丈夫なんですけれども、ほかの市町村の消防には土木屋さんとかがいないのです。そういうところでがれき撤去をやるといっても、結局みんなばらばらの対応になって、例えばA市ではダンプ5万円あげますよと。片やC市ではダンプ6万あげますよと。6万に集まっちゃうのです。ですから、こういう広域災害の場合の委託は県内で統一単価でやるべきだというふうに思っています。
それと避難所です。ものすごく大体一つの体育館に1,000人から1,500人が入っていました。避難所が無事かどうか、まずそれを最優先でやるべきです。もし体育館が危ないときに、余震が頻繁に来ますので、その余震で崩れちゃったら2次被災で亡くなっちゃうということになりますので、確認をまず最優先でやるというのが必要だと思います。それと、照明です。ろうそく1本、2本のあかりで仙台市の県庁の裏の体育館も2日過ごしたのです。余震はとにかくすごく来ますから、そのたびに悲鳴が上がります。今、体育館に発電機を確保しているところもありますし、そのための燃料も備えていくとか、そういう形で被災地のほうは対応しているのですが、これから来るところは,まさしくそこの部分をぜひやったほうがいいと思います。
先ほど言いましたけれども、がれきの撤去はご遺体に向き合う作業になりますので、非常にきついのです。2年8カ月たって今宮城県で一番はやっている病院は心療内科です。1日百何十人の患者がきます。我々の作業に携わった作業員、公務員、学校の先生なんです。皆さんここにいると被災地のことはほとんどわからないと思いますけれども、みんな復旧のためにずっと走り続けているのです、被災地はいまだに。メンタルのケアが非常に大変です。
搬入場・仮置き場なんですけれども、構内の道路を12メートルの幅にしました。理由はどこでダンプアップしてもその脇をダンプが通れるのです。搬入場の中で渋滞させたら何の意味もありませんので、広いところがあるのであれば、この幅でやったほうが、後々非常に楽になります。それと太平洋ベルト地帯にはコンビナートたくさんあり、当然、危険物が入った倉庫がたくさんあると思います。津波で流されるとそれが一緒になってしまってわからなくなるのです。硫酸が入っている黒いプラスチックのケースが点在していました。それをわからないでバケットで穴を開けちゃって、その硫酸が顔にかかりました。そういうこともあるので、今であれば危険物がどこにあるかわかりますので、その地域の啓開作業に行く場合は防護メガネなどの装備をさせたほうがいいです。事前にわかるはずなので、やったほうがいいと思います。
仮設住宅で今一番問題になっているのが、行き場所がない人がたくさんいることです。最終的にそういう人はなくなりませんので仮設住宅で恒久的に残すようなところも決めておいたほうが後々楽だと思います。今70、80のおばあちゃんたちが、仮設住宅に入ったことで家族が分断されちゃって、もう一緒には住めなく戻るところないんだと言っているのです。そういうおばあちゃんたちがたくさんいらっしゃるのです。
次に業務の発注形態なんですけれども、最初の3カ月は全部特命随意契約でした。仙台市さんの場合は1年間それでやっていただきました。県とかいろいろなところは3カ月たったらもうだめよと、指名競争とかなんとかになりましたけれども、現場は3カ月たっても何も変わっていないわけです。せめてがれきが片づいて、復興作業ができるようになる状態までは、特命随契の形でやっていかないと見積もりを出す業者もいないのです。特に今度の関東、東南海がくれば、220兆とか300兆と言っていますから、全国の自治体に職員がいないわけですので入札などをやっている時間,手間もないので、そういう形でやったほうがスムーズにいくと思いますし、日本経済が持つか持たないかの話になりますので、そういう形でやっていただきたいというふうに思います。
それと仙台市さんから一番最初に言われたのは、暴力団を入れるなという話です。全国からいっぱい応援が来るのです。そういう人がどういう人かわかりませんので、名簿を仙台市さんに提出して、宮城県警でチェックした業者しか使いませんでした。ですから、仙台の場合はほぼこういう方が仕事はしませんでした。
それと、仙台市では解体撤去は、解体業組合と我々協会にそれぞれ一括で発注してもらいまして、週に200件ぐらい指示が来るのです。それを協会で割り振ってやっていまして、スムーズにいったと思います。また、がれき撤去の歩掛りを出すという形になったのですけれど、先ほど言いましたけれども、がれき撤去など単純な作業ではございませんので、そんな歩がかりが出せるような状態ではありません。そういうことで、仙台は当初は常雇単価でやっていただきまして、しかもがれき処理委託業務は固定経費でしかないと言われましたので、経費がないのはおかしいので,それもつけてくださいということで、つけていただきました。また,災害時の燃料代も重気のリース代も被災地は上がっちゃうのです。それを全部見直していただかないと、大変だということになります。
あと財産権の問題。非常に今、損害賠償で自治体さん、大変な目に遭っています。発災後2週間以内であれば人命捜査のためであれば何をやってもいいという形にしておかないと、後々大変になると思います。それと先ほど言いましたけれども、がれき処理の方法は,ぜひこれは県で統一していただきたいというふうに思います。
それと自動車ですね。今ハイブリッド車が主流ですけれども、ハイブリッドが塩水に浸かるとどうなるかというと、どこかが断線していると一発で心臓がとまっちゃうのです。直流が強烈なので。今後ハイブリッドが主流になるので、ちゃんと対策を立てて、周知してから啓開作業に当たる必要があります。
防風林の松が何万本と流れてきたのですけれども、その処理は林業の方が非常にうまいです。最初造園屋さんに仙台市は頼んだのですけれども、剪定は得意ですけれど、林業をやっている方を呼んできてやったほうが非常に早かったです。
農地のがれき撤去ではくぎで踏み抜いた人が多いのでがれき撤去の場合は鉄板が底にある靴を履いたほうがいいと思います。
そろそろ時間でございますので、仙台市さんの遠藤さんのほうにバトンタッチしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(遠藤(仙台市環境局))
仙台市環境局の遠藤と申します。今、仙建協の深松社長からご説明いただきましたけれども、私のほうからは今回の震災を踏まえて浮き上がってきた課題についてご説明したいと思います。座ったままで失礼します。
資料はちょっと飛びますけれども、こちらは仙台市のがれき処理の概要を示したものでございますので、後ほどご覧ください。こちらはその処理フローを示したものでございます。先ほどお話ありました搬入場の位置ですとか、市民が自己搬入した公園の仮置き場の配置図はこちらに示してございます。こちらが搬入場の具体的な施設の概要を示したものでございます。この辺は後ほどごらんいただきまして、こちらが作業部隊がどういうスケジュールで、どういうふうに進んでいったかを示したものでございます。
現在の進捗状況は、10月末でがれき処理については97%、がれきと同じぐらい出ました津波堆積物についても85%の処理率となっておりまして、年内中にはこれら全てが完了する見込みでございます。その後、今も一部搬入場の原状回復をやっておりますけれども、年度内には全てが完了する予定でございます。
今後の課題といたしまして、4点ほどテーマを設けました。まず初めは、国との関係でございます。市町村の取り組みでは、その規模に応じましてかなり進捗の差が出てきたところがございます。今回、がれきは一般廃棄物ということで、市町村に処理責務がございます。被災範囲が大きいということで、発災当初,国に直轄で処理できないかというお願いを私どもはしたのですけれども、財政支援までというところでできなかったということです。結果的に国が直轄で処理する法律ができたのは5カ月後の8月末ということです。その際、地区内では処理できないということで、広域処理、こういったのも課題となりました。広域処理が可能となったのも、宮古市の可燃物を東京都の民間企業が受け入れた、これも9カ月後の23年12月ということで、こういったふうな時間がかかるというところがあります。ですから、もし今回の巨大地震を国のほうが中心になることがあるのであれば、ここは地方環境事務所がかなりのバックアップ体制をとるような形になると思いますので、その辺の組織体制のあり方、こういったのも検討されたほうがいいと思います。
次が財政支援でございますけれども、市町村はやはり発災後次の日からがれきの撤去に取り組まなければなりません。今回の処理量が非常に膨大でしたので、市町村の持っている一般財源を超えるぐらいの処理費用がかかる自治体もございました。そういった中で何とか一財を切り開いて予算化したわけでございますけれども、やはりこういった事業は継続的に行うというのが見えてきます。予算がなければ市町村も契約もできませんし、建設業の方々にお支払いもできない、そういったふうになりますので、補助金の前払いや一時金みたいなものを速やかに市町村に示して、少なくとも1カ月ぐらいにはその一部を支出できるような制度というのもちょっと考えていただきたいと思います。
それから、処理をやっていく中で、我々も未経験なことが非常に多くございましたので、がれきなり津波堆積物、それから仮置き場の原状回復、こういったものの処理基準やそのやり方、こういったものは速やかに市町村に示していただきたいと思います。現在、いろいろな策定方針、災害対応の方針をつくっていらっしゃいますけれども、そういったのは基本としつつ、その被害の状況に応じた基準というのも速やかに出していただきたいと思います。
県との関係でございますけれども、国が処理できないということで、市町村は非常に困りまして、宮城県にお願いしてやっていただきましたが、やはり自治法上の制約がございまして、手続に1カ月以上かかってしまい、宮城県さんもなかなか動けない。予算措置も当然できませんでしたので、そういった苦労がございました。その辺の手続の簡素化ですとか、処理をあらかじめ都道府県も担えるような法制度みたいなものも考えていただければ、被災した市町村にとっては非常に動きやすいのかなと思います。
それから、現行法の関係でございまして、がれきの性状は全て産廃でございます。我々も民間の資源化施設を使って処理を進める方向を立てておりましたが、一廃の設置許可はありませんので、一部は届出でよかったわけですけれども、その以外のものについて,非常に苦労したところでございます。また、家屋の解体にしても撤去にしても、分業化が進んでおりますので、そういった方々はやはり再委託という枠でお願いせざるを得ないと。こちらのほうも7月ぐらいに通知は出ましたけれど、実行部隊はもう動いていますので、その辺はきちんと整理されておいたほうがいいのかなと思います。
それから、個別リサイクル法についても、平時と同じような対応となっておりまして、一部業界には協力していただきましたが、排出方法や対象となるものが限定されたりして非常に困ったところもございました。その他、アスベストや土壌汚染、今回の大きな課題となった放射能、こういったのも課題として挙げられると思います。
最後に、実施主体たる市町村でございますけれども、やはり市民との直接の窓口は市町村になりますので、今後考えられる被害を想定して、実施要領等を策定しておく必要があると思います。どのようなタイムスケジュールでどういうふうに動いていくのかは、今回の我々の災害対応状況や,国の処理方針,廃棄物資源循環学会のマニュアル、さらには被災市町村の事例をその都度見直しながら庁内の体制を固め,実施対応計画をつくっていく必要があると思います。また,発災後、迅速な対応が必要となりますので、事前につくっている実施要領をもとに、この要領が使えるかどうか、現状把握をした上で、どういう順序で誰にどういったことをさせるのかということを見直した上でやっていく必要があるというふうになります。
それから、処理の予算確保になりますけれども、先ほども言いましたとおり、やはりトップの専決でとりあえずの予算というのは確保しますけれども、長期的な予算については議会の承認も必要でございますので、国の支援は非常に重要だと思っております。
それから、人員機材の確保でございますけれども、がれきの撤去や損壊家屋の解体・撤去については,土木・建築職というのはごみ関係部署におりませんので、都道府県、国のほうがそういった積算の標準化というものを策定した上で市町村に示していただいてもらえば、速やかに撤去ができるということになると思います。
それから、実施主体としては今回、仙建協を初め、産廃業者と連携しながらやりましたので、こういったところも常日ごろ協定なり、防災訓練なり、そういった場を通じながら市町村の連携というのが必要だと思います。
最後のまとめでございますけれども、結局、国や県、市町村、特に国が災害廃棄物の処理を行うにしても、結果的に1カ月ぐらい市町村は頑張らないとだめなんです。そういった砦は市町村でございますので、事前の準備というのが非常に重要です。発災後は、やはり人と金と物、これを確保しなければなりません。今後、国と県と市町村が共通のこういった場を通じて意識を共有しながら対応していくというのが重要だと思います。
以上でございます。ありがとうございました。

(酒井委員長)
それでは、仙台のほうから深松さん、遠藤さん、どうもありがとうございました。しばらく質疑、おつき合いをよろしくお願いいたします。
それでは、委員のほうから質問、確認等ございましたらよろしくお願いをいたします。前回同様、ご質問ある方は名札を前のほうで立てていただけないでしょうか。お三方ぐらいですか。
それでは、そちらのほうからまいりましょうか。お願いいたします。

(福本委員)
神戸市の福本でございます。解体現場での分別のことについてお伺いをしたいと思います。
阪神・淡路大震災の大きな教訓の一つといたしまして、分別の問題がございます。当然のことなんですけれども、解体現場に近いところで分別すればするほど、ごみ処理といいますか、廃棄物の処理効率は当然、上がってまいります。リサイクルも大きく進んでいきます。どうしても時間とかいろんな制約の中で、分別せずミンチ解体、混合した状態で仮置き場のほうにごみが来るということになってまいります。そうしますと、先ほどお話にございましたように、100ヘクタールのような大きな仮置き場が必要になってくるというお話を伺いました。実は、神戸市も100ヘクタールの場所を確保していたのですが、あっという間にいっぱいになってしまいまして、その後の破砕作業とか、分別作業が本当に大変なことになってしまったというようなことでございます。仙台の方も本当に大変ご苦労されたと思いますが、現場での分別について、もう少し詳しくお話をいただけたらと思います。よろしくお願いします。

(酒井委員長)
済みません、ちょっと一通りまず質問を聞いていただけませんでしょうか。
次、杉本委員、どうぞ。

(杉本委員)
高知県の杉本と申します。大変参考になりました。ありがとうございました。
私どもは自治体なものですから、災害廃棄物が発生した後の処理といいますか、その手順みたいなところに大変関心があるのですが、ちょっと22番のスライドを中心に何点かお聞きしたいのですけれども、最初の3カ月は特命や指名競争入札ということで書かれているんですけれども、ちょっと随契という言葉も聞こえたのですが、その辺は実際に随契ということもあったのかということと、それから廃棄物の業界との連携というのはどういうふうにとられていたかという点。それから、歩がかりの話も出ているのですけれども、振り返ってみて、災害廃棄物の処理の歩がかりというのはなかなか難しいと思うのですけれども、経験則としてそういうものができるのかどうか、何かそういうことが考えられないのかなということをちょっとご意見としてお伺いしたいと思います。
それから、最後に、市役所のほうにお聞きしたほうがいいのかもしれませんけれども、実際にことが起こったときの予算措置といいますか、スタートを切る時点で予算がなかなか手当ができていないと思うのですけれども、それはどういうふうにされたのか。専決といっても予算があってこその専決だと思いますので、その辺はどういうふうに実際には進められたのかということをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

(酒井委員長)
それでは、引き続いて勝見委員、お願いします。

(勝見委員)
大変な環境状況の中で、ご苦労ご尽力をされたということ、改めてお聞きしました。どうもありがとうございました。
スライドの32枚目に処理の進捗状況が記載されていまして、そこに津波堆積物だけ分けて書かれています。公共工事が公共事業が始まったところで処理が始まっているように書かれているのですけれども、この公共事業といいますか、具体的な利用の用途とそれからそれについてどのような形で技術的な観点で考え方を整理されたのかというところをもしお話しいただけましたらありがたいと思っています。
よろしくお願いします。

(酒井委員長)
それでは引き続いて、浅利委員どうぞ。

(浅利委員)
2点あります。まず1点目なんですけれども、先ほど一番最初の質問とも少し関連するかと思うんですが、私も家屋の解体時点からの分別については開始当初から見せていただいて、非常に感銘を受けていました。今回、建設協会さんのほうでは人命捜査、人命隊の時点から入っておられるというふうに今日今日お聞きしました。当初は自衛隊とかとの連携になってくるかと思いますし、また津波被害でもともとぐちゃぐちゃになっていたというような場面もあるかと思うのですけれども、人命捜査の時点から何か工夫することで、その後、もう少し分別が楽になるのではないかというような視点がもし見出されそうであれば、コメントいただきたいなと思います。
2点目は最後、遠藤さんのほうで国の直轄処理ということも念頭に置いてスムーズに進むようにしてほしいという話であったのですが、仙台をずっと拝見していた印象では、非常に絶妙のバランスで、非常に苦労もされていましたけれども、本当に底力が出ているなということで、非常に感銘を受けておりました。そういう意味では、ケース・バイ・ケースであるとは言えますが、国と道府県と市町村が連携する中で、それぞれでないとできないこと、すみ分けといいますか、それぞれの役割分担としてご提案いただける部分、思っておられる部分があればお聞きしたいと思います。
その2点をお願いいたします。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
それでは一通りお聞きしましたので、お答えいただける部分、それぞれからお願いできればと思います。

(深松(仙台建設業協会))
家屋解体の分別についてですが,仙台は図面で見たとおり、田園地帯だったんですよ。ですから、結構,分別のスペースがあったのです。それが助かったという大きな理由なんですけれど、要は分別する場所があったということです。都市部では、確かにおっしゃるとおり、4メートル道路のところで津波が来ると、もうよけようもないし、がれきを広げる場所もないですよね。ですから、今回仙台はたまたまラッキーだったのです。道路も広かったので、最初から効率的な分別ができたと。我々が粗分別で持っていくと、今度は仮置き場のところで産廃業者の人たちがもっと細かい分別をやっていただきましたので、かなりのリサイクル率が上がったというふうに思っております。
それと人命の捜索の場合は、はっきり言って捜索が最優先でございますので、ほかの余計なことはできません。警察は最後の最後まで、全員探すということでやっておりまして、例えば墓石も全部倒れているので、それを全部まとめてやったのですけれど、もうほかのことを考えながらやる余裕はなかったです、人命については。

(遠藤(仙台市環境局))
それでは、杉本委員の質問にまず答えますけれども、業務委託をする場合は、やはり業界との委託契約ということで、契約権能がある業界でございましたらそちらと特命随意契約で。権能がないところについては業界からの推薦を受け,特命随契ということで対応したところでございます。
それから、廃棄物業界との契約については県内に廃棄物協会がございましたので、そちらの業界のほうでJVのようなものを組んでいただいて、そこと契約を結んだということです。産廃処理につきましては、やはりプロでございますので、試行錯誤しながら処理の方法ですとか、選別の方法を決めていきました歩がかりは当然ございませんので、やっていく中でその作業量などを出しながら契約の設計変更をしながら対応していったというところでございます。
それから、予算の措置につきましては、やはり一般財源の部分でしか最初は担保できませんので、仙台市が3月18日にとりあえず既存工場が被災していましたので、5億円を一財の予算を集めまして確保しました。年度が変わりますと新たな予算が決定しましたので、環境局が持っている年間予算、100億円でございましたけれども、それを全部がれきに充てるということで、100億円を専決処分でとったということです。がれき撤去から処理まで当初必要な予算は全体で1,000億円かかり,23年度においては約600億円ぐらいかかるということでございまして、とりあえずは100億円だけを用意して、6月議会で補正を組むということで対応してきたところでございます。
最後の都道府県や国との役割分担でございますけれども、やはり災害前でございましたら意見をお互いに整理しながら大まかな方向をとるという、方向性の共有というのは必要だと思います。市町村はやはり職員自体が被災しておりますので、発災後はその被災状況、発生量、そういったものを踏まえながら新たな体制づくりというのが必要になるんだろうと思います。そういったときにやはり国、県がアドバイスなり、方向性というのを速やかに市町村に示していただければ,何とか次の直接的な支援が来るまでは耐えられるのではないかと思います。そのための1カ月間を集中的にどういう方法で支援していくのか、バックアップするのかというのを考えるべきだと思います。スライドにありますとおり、通常ごみを含めて、こういったスケジュールで動かないと市民生活は大変問題になります。こういったスケジュールで動けるようなバックアップを国なり、県なり、当然市町村も考え,検討していくべきだろうと思います。
あと津波堆積物の利用につきましては、こちらは国のほうが24年5月に利用方針が出まして、それで活用が実際できたということです。私どもは23年度から土木学会学さんと調査した上で、こういう方法なら使えるということで、選別なり、そういった作業をしていて、実際に始まったのが7月ということでございます。そういった学会との協調というのも今回非常に重要でございました。
以上です。

(酒井委員長)
ありがとうございます。的確にご質問にお答えいただけたかと思います。ありがとうございます。
ほかにはございますでしょうか。
ちょっと私のほうから二、三お願いいたします。危険物の点についてのご指摘がございましたが、硫酸のタンクということで、これも非常に大事な問題かと思うんですが、常時から危険物調査エリアの特定等々をしておいて、その情報をどう活かすかという話になろうかと思うんですが、こういった情報活用のあり方について、どちらかと言えば遠藤さんのほうにお尋ねしたほうがいいのかと思いますけれども、どのような考え方で今後やればいいか。経験的に感じておられることをお願いしたいと思います。それとあと財産権の取り扱いについても、今回、中央政府も相当苦労されて今回、一定の指針の通知を出されたわけですけれども、その内容的な見直しの必要はあるかという点をちょっとお願いできませんでしょうか。

(遠藤(仙台市環境局))
まず危険物の撤去の留意点でございますけれども、工業地帯においてはさまざまな化学物質があると思います。一方で、街中ではアスベストというのがあると思いますけれども、市の都市整備担当がアスベストに関するアンケート調査をやっていまして、所有者に現在どういうふうな封じ込めをやっているのか、あるのかないのか、こういった情報を平成16年の規制が厳しくなったころからやっていました。そういった情報が各市町村にあれば楽かなと思います。今回の解体に当たっては、そういった情報収集はなかなか難しいところがございましたので、先ほど仙建協がおっしゃったように、三者立ち会いの際に、現場のほうで中を見させてもらい,アスベストがありそうな場合業者にサンプリングさせてチェックします。それでアスベストが出たということになりますと、専門業者で除去し、直接民間の埋立処分場に埋めて、搬入場には持って来ない。その後に解体を始めるという流れをつくったところでございます。
それから、財産権につきましては、平成23年3月末に法務省のほうから環境省を通じまして、基礎から離れたものについては撤去していいということで、不明者捜索において、がれきをよけながらご遺体を回収するということになりますので、この通知をもとにがれきを撤去しました。ただ、市民の方々には、避難所などにがれき撤去のスケジュールをお示ししていますけれども、実際は避難所にいるとは限りませんので、1回見に行ったときにはあったけど、次のときに行ったときにはなかった,中の物を取ろうと思ったのになくなっていたとか問題になっています。亘理町では、撤去していい場合は青とか、旗で示すというのはありました。不明者のためのがれき撤去というところで、今回のような一つの方針というのも早目に出していただければ、何を優先すべきか,住民の方々も納得していただけると思います。今回はそういったところは非常によかったかなと思っています。
以上です。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
それでは、最後に吉岡委員、どうぞ。

(吉岡委員)
初期の段階でこれだけの人員を、処理するあるいは人命救助等で人が割けるかというのが非常に重要だと思うのですが、仙台市では多分浸水をした4,523ヘクタールのところが対象として初期の段階で動かないといけないと。これは深松さんにお聞きしたいんですが、具体的に初期の段階、例えば最初の1カ月ぐらいのところで実際に現場で1日当たりどれぐらいの人数が動いたのかというところをちょっとお聞きしたいのですけれども。

(深松(仙台建設業協会))
ちょっと初期のことは、データを持ってきていないので具体的に言えないですけれど、多分3,000人ぐらい動いているはずで、延べでがれきに携わった人間が43万人。そのぐらいの人間で仙台のがれきは全部撤去したということです。
ちょっと初期段階、帰ればわかるのですけれども、この場ではちょっとはっきりしたこと言えませんけれども、そのぐらいの人間は動いています。

(酒井委員長)
それでは、多くの質疑にお答えいただきまして、どうもありがとうございました。これで次に移らせていただければと思います。ありがとうございます。
次は、日本環境保全協会の佐藤様、阿久津様からご発表をお願いしたいと思います。では、ご準備のほうをよろしくお願いいたします。
それでは、先ほどと同じ手順で、5分前にベルを鳴らせていただきますので、失礼ですが、よろしくお願いしたいと思います。どうぞ、お始めください。

(佐藤(日本環境保全協会))
本日は、日本環境保全協会に対しまして、巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会で、日本環境保全協会の東日本大震災の災害復旧活動を踏まえてということで説明をさせていただくことに対しまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
私は、公益社団法人宮城県生活環境事業協会の会長、そして上部団体であります日本環境保全協会の副会長をしております佐藤でございます。このたびの震災に当たりまして、多方面からご支援をいただき、さらに国、県、地方自治体よりご支援、ご指導をいただきました。これに対しまして、この場をかりまして、厚く御礼を申し上げたいと思っております。この写真でございますけれども、正面が私のほうの事務所でございまして、その上に数名の人間が乗っておりますけれども、これはこの災害によりまして、私の事務所は沿岸より1.5キロぐらい離れているところにございまして、これが地震災害から約35分ぐらいに4メートルぐらいの津波がここに入ってまいりました。この津波によりまして、私どもの組合員、あるいは家族、近隣の方々とともに、人命救助、人命尊重という形から、安全確認をいたしまして、それを踏まえまして混乱した中で、このうちの組合員、あるいは組織されたものから仕事をやったということでございまして、復旧作業に取り組みましたものですが、この次第に従いまして、あとうちのほうの日本環境保全協会の専務理事の阿久津のほうから順次説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

(阿久津(日本環境保全協会))
では、続きましてご説明させていただきます。目次に沿ってご説明させていただきます。
初めに、日本環境保全協会の概要でございます。私どもは市町村から委託許可を受けまして、事業を営む一般廃棄物処理業者の団体でございます。
昭和36年に設立いたしまして、半世紀を超えて一般廃棄物の適正処理、清潔、安心・安全の確保を社会使命に事業を行っております。住民の皆様が日々の生活、営みから廃棄排出するし尿、ごみを地域の最前線で地域に密着し、日々適正処理に邁進いたしております。本会の災害復旧支援活動といたしまして、震災直後、直ちに会長を本部長とする災害復旧支援体制を始動いたしました。そして、環境省からの協力要請を受けまして、全国の支援体制を確立して、バキュームカー、パッカー車、簡易トイレなどによる初動体制を整えました。
この図が日本環境保全協会の災害支援体制でございます。
最大級の地震・津波で甚大な被害を受けました宮城県で沿岸部を中心に会員事業所も壊滅的な状態になり、し尿処理が不能に陥ったため、本会は環境省と協議を行い、宮城県内の被災地のし尿の処理の支援を重点的に行うことといたしました。急がれるし尿の処理に隣県の支援が有効かつ合理的であるため、環境省、宮城県、山形県、そして私ども地元団体が連携一体となった支援体制が整ったところでございます。このような大規模な災害におきましては、広域的な災害支援体制の構築が必要となります。
これがし尿ごみの災害復旧支援状況でございます。し尿処理支援車両延べ1,023台、人員1,268名で行いました。また、ごみ処理につきまして、災害ごみを対象とするプレス車63台が支援しております。山形県から宮城県への災害復旧支援でございます。山元町、多賀城市では、山形県から会員のバキュームカーが向かい、現地で収集作業を展開いたしました。下の図は亘理名取地区においてでございます。地元業者が収集したし尿を中継タンクを設け、大型吸引車で山形へ搬送し、効率化を図りました。
さらに、本会は義援金といたしまして、約4,000万円を支援し、さらに91台の車両の無償提供も実施いたしました。また、青年部による復旧支援ボランティア活動も継続実施中でございます。
宮城県石巻地区を中心とした災害復旧活動の事例のご紹介でございます。初めにこれが被災状況であります。女川町では沿岸部の町全体がそっくり消失していることがわかります。下の図は石巻でございます。ここの1と2についての拡大は、次のスライドでご説明申し上げます。
1の部分はがれきの仮置き場と被災車両の集積場でございます。震災から40日目で災害廃棄物が山のように積まれている状態でございます。2は中洲の写真です。建物が焼失し、悲惨な状況にございます。
宮城県石巻地区でのし尿処理に関する被害では、1社が廃業いたしました。約3分の1の車両が喪失しましたが、支援車両の提供を行ったことで地元業者が83%まで復旧いたしました。このことで被災した従業員を含め、継続雇用が確保され、復旧支援活動に専念することができました。
これが被災地と被災家庭からのし尿くみ取りの状況でございます。避難所と被災家庭からのものでございます。災害直後から延べ424万リットル、約353万人相当分のし尿をくみ取りました。
し尿に関する対応状況を時系列に示したものでございます。被災当日から6日までの状況の課題でございます。被災当初は通信規制により通話不能に陥り、通信手段の確保が大きな課題でした。また、バキュームカーの燃料の確保、仮設トイレ設置までの対応が課題でした。特に行政の窓口の一本化を図ること、情報の集約が必要でした。12日までには避難所から下水管の詰まり、仮設トイレのあふれなどの苦情が多く寄せられました。仮設トイレからは使用方法がわからないために便槽内はまだまだ余力があるのに満杯になったとの苦情が寄せられました。バキュームカーによる作業を考慮した仮設トイレの設置が必要でございます。根本的課題といたしまして、くみ取ったし尿の処理先の確保が必要でございます。石巻市の処理場が被災したために、広域的な処理体制を構築対応することが困難を極めました。4月になりましてようやく通常のくみ取りが可能となりました。
避難所ではトイレの利用がスムーズにできることが必要でございます。そして、写真は応急仮設住宅に設置された浄化槽でございます。足場、昇降設備等がないので、危険な環境で作業をしております。やはり安全対策が必要と考えます。
和式の工事用仮設トイレは、ご高齢の方には大変使いにくいものでございます。また、安全上の問題で夜間の使用を停止した避難所もございました。照明またしっかりとした施錠等、安全面の確保が必要でございます。さらに仮設トイレ使用マニュアルの整備やバキューム車の通路確保及び作業環境の確保が必要でございます。
次に、ごみ処理に関する活動について報告いたします。災害によるがれきの発生量は、石巻地区では620万トンと膨大で、立地条件を考慮した仮置き場の選定や災害廃棄物を処理する異種業種と連携した組織体制の確立が必要でございます。これが石巻廃棄物処理センターの被災状況です。おかげさまで職員88名は全員無事でございました。目の前を車、倉庫が流れていきます。下の写真は災害後2週間の写真です。被災車両が重なり合っております。被災車両は26%に及びましたが、支援提供車両によりまして100%の稼働が可能となり、従業員の継続雇用ができました。これが石巻処理センターのがれき処理状況でございます。1年間で延べ3万台以上が活動いたしました。
次に、ごみ処理の対応状況でございます。こちらはし尿とは異なり、業務用無線が使用できましたので、連絡は業務用無線によって対応いたしました。大きな災害の場合には、多方面からの情報が交錯するので、行政との連絡窓口を一本化する必要がございます。最優先に避難所への道路の確保が必要でございます。6日目から避難所からの生ごみの収集を開始いたしました。また、廃棄物処理とは関係ございませんが、ご遺体の収容にも当たってまいりました。もちろん、きれいな車で丁寧に接してまいりましたが、ごく一部の方からでございましたが、廃棄物処理センターの車ということで、非難の声が聞かれたことは少々残念な思いでございます。そして関係者が一堂に会し、情報を共有化しておくことが必要です。4月1日から定例会議を開催しております。一般生活ごみと災害廃棄物、両面の収集管理体制の確立が必要となります。仮置き場が2カ所と少なかったために、仮置き場への道路が混雑し、移動に時間を要しました。合理的な仮置き場の設置が必要と考えます。約1カ月経過の4月11日から可燃ごみと避難所の生活ごみ、週2回収集が開始されることになりました。大きながれきの撤去作業に異種組合組織体制の確立が必要でございます。
これが石巻市のがれき撤去作業の組織図でございます。担当窓口の一本化が必要でございます。
これが震災から42日後の石巻市内のごみの状況です。まだまだ災害廃棄物が道路わきに集められた状態でございます。作業員の労働安全の確保対策も確立しなければならない案件でございます。大きながれき処理などは重機による処理体制の確立も必要でございます。このような初期の混乱を乗り越えまして、がれきの処理もおかげさまでようやく終結を迎えようとしてございます。
今までご説明をいたしましたように、私どもは懸命の努力をしながら復旧支援活動に努めてまいりました。その際に先ほど来お話ししてまいりましたように、さまざまな課題が出てまいりました。その課題と対策を取りまとめてみました。
まず、対策といたしましては、事前に行うべき対策と今後の対応の二つがございます。事前対策といたしましては、一番最初に掲げさせていただきましたのは、国・全国業界団体、そして地方公共団体などが一体となった災害支援体制をつくっておく必要があると思います。さらに体制をつくるだけではなく、実際に広域的な合同防災訓練を実施する必要もございます。また、地元市町村と地元業者の間で災害協定を結んで、さらにその災害復旧支援の体制をつくっていくことも必要となりますし、災害が起きたときには、災害廃棄物処理施設を実際に稼働させながら処理することが必要でありますので、十分な施設の確保をしておかなければなりません。さらに、指定避難所が停電になるということも想定いたしますと、自家発電というものを取り入れておく必要もございます。また、全体的なことだけではなく、それぞれの地域地域で実際、適切な処理を行う必要がございますから、それぞれの地域ごとで処理のできるような小さなエリア、身近なエリアでの処理計画を合わせて整える必要がございます。それから先ほど申し上げましたように、通信の手段というものが使えなくなるようなことも想定されますので、業務用の無線、あるいは衛星電話を含めての通信手段の整備が必要でございます。さらに地元一般廃棄物処理業者は、従来からどこにどのような廃棄物が出るか、あるいはし尿のくみ取りをどこで行ったらよいか、非常によく知っております。そのような業者を引き続き活用する形で事業の継続を図る、そのような計画を設定しておく必要があると考えます。
次のスライドをごらんいただきたいと思いますが、これが災害直後の対応でございます。指示系統が一本化された形での災害対策本部の設置がぜひとも必要でございます。災害ということになりますと、いろいろな方がいろいろなルートで指示をするということになりますので、命令系統、指示系統を一元化することが必ず必要だと強く感じました。さらにいろいろな復旧支援の方々がきていただけることは非常にありがたいことでありますが、受入体制というものがしっかり整っていないと、例えば先ほど申し上げましたように、し尿のくみ取りでバキュームカーを持ってきていただいても、どこにくみ取りに行っていいかわからないもので、結局は地元の担当者が案内するということになります。受入体制が重要なこととなります。3番目でございますけれども、燃料がなくて、たまたま今回は自衛隊のおかげで燃料確保できましたが、燃料の確保は大変重要でございます。また合わせまして、道路網の整備確保は重要でございます。4番目でございます。先ほど申し上げましたことと重なりますが、地元の一般廃棄物処理業者が一番地元をよく知っておりますので、その活用を優先的に考えるということが有効な手段と考えます。避難所の仮設トイレの適切な配置ということですが、実際に仮設トイレが満杯になったときには、バキュームカーがくみ取りに行かなければなりません。適正な設置が重要でございます。次もやはり仮設トイレのことでありますが、今回の事例でいいますと、工事用の仮設トイレは健康な大人の成人男性が使用することを前提になってございます。ご婦人方、ご高齢の方々に使いやすいような仮設トイレもぜひ設置していただきたいと思います。また、一般の方々はふだん使いなれてございませんので、本来ならばもっともっと使えるところ、すぐに便槽が満杯になったというふうな苦情にもつながります。やはり使用の仕方の周知徹底が必要だと考えます。それから、処理のことを申し上げますと、一次処理のための集積所から二次処理への効率化が必要となります。さらにその地域にある休止中の施設を利用することで処理のスピードアップを図ることが重要と考えます。
最後になりましたが、私どもが今まで説明いたしました幾つかの課題と対応が今後の検討に当たってのご参考になれば幸いでございます。ご清聴ありがとうございました。

(酒井委員長)
どうもありがとうございました。日本環境保全協会の佐藤様、阿久津様からご説明をいただきました。もうしばらく質疑のほうにおつき合いいただければ幸いでございます。よろしくお願いします。
では、委員のほうから質問のある方、また上げていただけませんでしょうか。
では、お二方ですね。福本さんのほうからどうぞ。

(福本委員)
先ほどのお話で仮置き場、大変ご苦労されたということでお話を伺いましたけれども、もう少し詳しく、どのような場所であったのか教えていただければと思います。
以上です。

(酒井委員長)
続いてどうぞ、平山委員。

(平山委員)
28ページの組織図で少しお聞きしたいのですけれども、また課題のところでも指揮命令系統の一本化ということをおっしゃっていたと思いますけれども、例えばこの組織図のような形で動けたのが、当初から動けたのか。あるいは震災後のいつぐらいからこういう形で動けるようになったのかといったことをお教えいただきたいのが1点と、もう1点は、石巻は人口大体15、6万程度だと思いますけれども、こういった組織図を例えばひな形として他の市であるとか、他のところでどこまで活用できるのかということに関して、実際の経験からお聞かせいただければと思いますが。

(酒井委員長)
それでは、2件の質問のご回答をお願いできますでしょうか。

(阿久津(日本環境保全協会))
それでは、現地での責任者が同行していますので回答させていただきます。

(小野寺(日本環境保全協会))
石巻廃棄物処理センターの小野寺と申します。ちょっと着座にて。
まず、仮置き場の状況でございますけれども、発災後、石巻の場合は市の空き地をとにかく仮置き場にするということで、石巻の南北に離れた場所に当初2カ所仮置き場がございました。当然、分別収集はするのですけれども、その仮置き場にそれぞれ同じ敷地内に場所を区切って、例えば燃やせるごみ、粗大ごみ、金属類、そういったものを仮置きしたということです。その後、1カ月後、徐々に仮置き場もふえていきまして、最終的には5カ所ぐらいまでにはふえたのですけれども、それが仮1次置き場ですので、今度JVのほうで処理施設、第2仮置き場ですね。そこで焼却炉等を建設して、そういったものを焼却するまで1年ほど時間を要しました。その仮1次置き場から2次置き場まで、またダンプ等で運搬するという、二重の手間がかかりまして、その辺が非常に非効率的だったということで、先ほど小さなエリアでの仮置き場、そういったものが必要だという話が出たのはそういうところからでございます。
それから28ページの組織図ですけれども、当初私たちは石巻市から依頼を受けたのは、一般廃棄物処理業者の組織体ということで最初組織を組んだのですが、基本的に一般廃棄物処理業者というのは、一般家庭から出るごみ、それから事業系一般廃棄物、そういったものを扱うものですから、基本的に手作業ということになります。それで非常にがれき、大きいものもございますし、我々手作業でやるものとそれから重機等を入れてやるものといったものが必要ということで、市のほうに働きかけまして、建設業協会、それからダンプ連絡協議会、こういった組織化をお願いしたということで、この組織は発災から1カ月ほどででき上がっております。当初、私たちが窓口でやりましたけれども、これができ上がってからは建設業協会を中心として、1カ月後から動き始まったと。ブロックとしてはごらんのとおりですけれども、大体1,000パーティぐらいに分けてこの石巻エリアを処理したということでございます。

(酒井委員長)
よろしいでしょうか。
それでは、引き続いて大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
どうもありがとうございます。課題のところで、市町村と地元の一般の処理業者さんとの災害協定を締結する必要があるということでございますけれども、これは震災の後、既に新しく締結されているかということとか、どれぐらいの程度の震災が来るかというのももちろんいろんな可能性があるわけですけれども、どの程度のことをお決めになることを考えていらっしゃるかということを教えていただければと思います。

(阿久津(日本環境保全協会))
全体的な災害協定はそれぞれの市町村と我々協会、特に進んでおりますのは、何といってもし尿の処理。この問題ではしっかりと協定は進んでございます。これはこの度の震災が発生したからということではなくて、それ以前から積極的に進めてございます。

(佐藤(日本環境保全協会))
つけ加えますけれど、災害協定は私ども、宮城県とも協会としてやっております。それと各地町村、自治体と各地方の業者の協定もございます。ただ、ここで今考えておりますのは、宮城県と協定を結んではおるのですけれど、宮城県全体が被災されたということもございますものですから、なかなかそれが作動しなかったということは事実なことでございますので、今、地域によっては広域圏、四国でも四国4県が災害協定を業者同士にやっております。ですから、のほうも北海道・東北ブロックという形で、そちらのほうと災害協定を結んでおいたほうが災害対応はすぐできるのではなかろうかということで今考えております。

(酒井委員長)
今の大塚先生の質問に関連してなんですが、今回も石巻市からは協定に基づいて4日後に要請があって動かれ始めたということでございますね。そういう意味では協定は非常にうまく機能しておられたのだと思うのですけれども、その一方、今回、先ほど仙台市さんもそうでしたが、例えば発災時に非常に燃料の確保に苦労されたと。そういった燃料の確保といったような視点が協定の中に含まれているというような例は今締結された中でおありでございましょうか。

(佐藤(日本環境保全協会))
燃料の確保についてはございませんでした。

(酒井委員長)
そのあたりは今後、必要性といいますか、あるいはできるのかできないのかというようなことを含めてご見解はございますか。

(柴田(日本環境保全協会))
もし必要であれば、今回は本当に燃料の確保で各地で奔走したわけですけれども、事前にこの災害拠点の中に緊急車両を登録しておけば、消防車、救急車等々と同様に今回も優先的に燃料は確保できたと聞いておりますので、その辺がちょっと有効かなと思います。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
では、ほかにご質問はございますでしょうか。

(濱田委員)
横浜市の濱田です。よろしくお願いします。
先ほど、最初の通信手段が非常に大切だが、実際には携帯電話等の通常の通信手段は使用できなかったとのことでした。その場合に、例えば役所と組合さんが実際にどういう形で連絡をとられたのか。また、業務無線が役に立ったとのことですが、どのように活用されたのか、教えていただければと思います。

(柴田(日本環境保全協会))
業務用無線は、私たちのごみ収集車全車両に積んでおりまして、その無線を使いまして、当然、職員の安否確認、それから、それぞれ仕事中に被災したわけですから、石巻の各エリアに車両が散らばっていたわけです。その地域地域の被災状況、そういったものもうちのほうで連絡をとり合いまして、あと行政のほうでは一応、衛星電話というのを置いているのですけれども、これはものすごく数が少ないので、実際そういったもので通信というのはできませんでしたので、実際に徒歩で行政担当課がうちのほうで立ち上げました災害対策本部のほうに来て、徒歩で来てそこで打ち合わせをすると。そこに我々の業務無線を使って情報を提供すると、当初はそういう形でやっておりました。

(酒井委員長)
ありがとうございます。それでは最後の質疑で、吉岡委員、どうぞ。

(吉岡委員)
先ほどの平山委員とも重なりますけれども、28枚目の組織のところで、担当地区、それぞれにブロック長がおられて、その下に担当業者の方々がおられるというような構成になっております。その上のところにブロック長会議というのがありまして、例えばどこのどの事業者がどの地区を担当するのかというようなある種の優先度というのがこれを見ると、違っているのかなというふうにも感じるのですけれども、その辺はブロック長会議のほうで意思統一をされて行っていたのか。あるいはその辺の権限はブロック長のほうにお任せして進められたのか。その辺についての連絡網も含めまして、ちょっとお聞きしたいと思います。

(小野寺(日本環境保全協会))
ブロック長会議、これはもちろん建設業界がブロック長となったわけですけれども、建設業さんもいろいろ大きいところから小さいところもありますので、その規模によって地域割りをしたということです。当然、重機等を多く持っているとか、従業員が多いとか、そういったところは当然、広い地区に入る。それからあと小さいところはエリアをすぼめてこのような地域割りにしたということになります。ただ、やっぱり一番は行政のほうです。当初、廃棄物関係の担当課が中心でしたが、その後、建設関係の行政担当課がこの上のほうの長として会議に参加していたということでございます。

(酒井委員長)
多くのご質問、ご意見いただきまして、どうもありがとうございました。それでは次に移らせていただきたいと思います。日本環境保全協会、どうもありがとうございました。
次は、全国都市清掃会議の佐々木様より発表をお願いしたいと思います。では、ご準備をよろしくお願いいたします。

(佐々木(全国都市清掃会議))
公益社団法人全国都市清掃会議、佐々木と申します。我々は市町村でつくっている会議でございまして、発足は22年と古いわけでございますが、市区町村の廃棄物の問題解決のために組織されている組織でございます。
東日本大震災が発災した以降の私どもの取り組みを中心にご説明をさせていただきたいと思います。
3・11発災後の翌日に環境省の廃棄物対策課から応急活動の協力依頼がございました。スライドの7ページにそれがついておりますが、いわゆる当面の、これが廃棄物対策課から来たものでございますが、人員機材について、可能な範囲で把握して情報提供をしてほしいということできました。その上で私ども翌日に、日曜日だったのですが、全会員都市に被災地の支援要請に文書を送りまして、さらに14日には環境省のほうに災害廃棄物対策本部というのがつくられて、本部長さんからも協力要請がございましたので、災害対策本部を立ち上げて、特に時間外、夜間の連絡も可能になるような体制をつくりました。それともう一つは、被災地といろいろ連絡をとったのですが、ほとんど連絡がとれませんでした。それで、私どもの組織の理事都市であります盛岡市さん、仙台市さん、あるいは評議員都市の福島市さんにそれぞれ県内の状況や支援のニーズ、そういったものの情報収集、あるいは被災地との連絡調整をお願いをいたしました。特に被害が甚大だということで、ほかの団体からの発表にもございましたが、災害対策本部すら機能していない自治体もまだ多く、個々の連絡は困難だということで、3市にご迷惑ですがお願いをいたしたところでございます。
それで、支援活動と内容でございますが、我々市町村にいろいろお願いをする場合、当面はボランティアでとにかくやってくださいよということでお願いをいたしました、支援に要する人員、資機材、あるいは経費は自治体で負担してくださいよと。それから支援に行く場合も、宿泊あるいは食料の確保等、必要な事項はちゃんと準備して行ってくださいよ。行ったら泊まるところはない、あるいは食料が調達できないということにならないように、きちんとその辺の事前の調査、準備もして行ってくださいということで自治体にお願いしたところでございます。
それで、私どもまず環境省から言われて支援の要請をいたしまして、各自治体から出ました支援リストを作成をいたしました。こういうことならできますよ、そういったもののリストをつくりまして、それを支援要請のあった自治体に情報提供し、連絡調整をして、我々のほうはマッチングというふうに呼んでおりましたが、それとそれをうまく組み合わせて支援につなげていくというようなことを行いました。それから被災地の情報収集あるいは支援ニーズの把握ということで、これは仙台市さん、盛岡市さんを中心にやっていただいたところでございます。それから、環境省への情報提供あるいは情報交換などやらせていただきまして、特に被災地に関する国への要望行動も行ったところでございます。それから、発災後、後でご説明しますが、2週間ぐらいで被害状況の調査も行いました。
発災から1週間目でございますが、支援リストの作成、公表をいたしました。3月17日に私どものホームページ、環境省のホームページでこういったことが可能ですよ。この自治体はこういったことが可能ですよというようなことを公表いたしまして、翌18日に被災地に情報提供したところでございます。その一方で、被災された自治体からは、今廃棄物処理というよりもむしろ人命救助をする段階だと。あるいはガソリン、重油、軽油が今確保されていない状況で、来てもらってもなかなかというような声もありました。これは先ほど環境省からいただいた文書で、私どもが会員自治体に送ったものでございます。それから、これが環境省の災害対策本部長からいただいた文書でございます。それで、先ほど言いました薬剤、燃料が不足しているということを受けまして、いわゆる資機材を動かす燃料や、し尿や廃棄物処理を行う薬品が不足しているという要請がありまして、官邸当てに3月16日に要望書を提出いたしまして、具体的には環境省及び経済産業省のほうに要請をいたしまして、それぞれ関係の業界団体へ協力依頼をお願いしたところでございます。
それから、被災地からは避難所用の仮設トイレというのは我々も想定しておったのですが、例えば町全体が流されたようなところは、いろいろな方々、自衛隊、警察、消防、あるいは被災された家族の方々が実際にそういったところに入っておられるわけです。そうすると、トイレというのは全くないわけです、その地域は。そういうことで、そういったところにも仮設トイレを置いてほしいというような要請がありまして、順次追加の支援を実施いたしました。それから、臨海部では魚の加工工場がかなり多くて、それの防臭、あるいは防虫対策、あるいは消毒をやってくれというような要請をいただきまして、私ども専門の業者さんにご依頼したり、あるいはどこどこからこういう要請があるので行ってほしいというようなことをやらせていただきました。これが3月16日に出した緊急の要望書でございます。
それから、これが会員向けの支援活動ということでやったものでございますが、ガソリン、軽油、重油が不足しているということ。それで直接入った場合にということで、支援に当たってということで、まず物資の輸送路も確保されていないところがあるので、きちんと道路は確認して行ってください。それから燃料が確保されていませんよ。それからライフラインが復旧がおくれていて、電話やインターネットが使えない。行っても災害対策本部がなかなか機能していないところもありますよということで、ボランティアで行ってくださいとか、あるいは予備の燃料を持参してくださいとか。それから緊急通行車両の手続しなければ被災地までたどり着けないということで、別紙2というのは各地区の公安委員会が出している手続の文書でございますので、添付は省略させていただきました。
それから次の2週間目でございますが、順次支援の申し出は受けておりまして、28日は203団体になりまして、順次被災地のほうに連絡をしておりましたが、まだパッカー車は入れませんよとか、もう少し条件が整ってからにしてほしい。今来てもなかなか廃棄物の処理はできませんよということで、要望としてはトラックで生活物資を運んでほしいというようなことで、環境省のほうにはそういった生活物資の不足、そういったものがきていますよということで、官邸で一元管理をしておったやに聞いておりますが、官邸のほうにも伝えていただいたところでございます。それで我々としても可能な限りの支援をさせていただきました。
4月に入りまして、被災地で可燃ごみの収集運搬が徐々に始まった状況になってきておりまして、被災家屋から出された家具や商品等の可燃ごみの収集運搬について、支援要請に基づいて支援を行ったということで、パッカー車やダンプカー、平ボディ車で対応できる廃棄物、先ほど環境協会さんのご説明、手積みのするようなものを中心にということで、それから家屋の解体やがれき撤去というのは、ユニックとか建設用の機材があれなので、我々が持っている機材では業務対応が難しいのではないかということで、上にありますような機材で可燃ごみの収集運搬をしたということでございます。
それから、発災して5週間でございますが、支援の自治体はまだまだふえてまいりまして、人的支援ということで、4月上旬から中旬にかけて岩手県の1市、宮城県の2市2町に対して順次支援を続けました。その他として、市長会やあるいは災害の支援協定、あるいは町と町の交流の関係の交流都市等のルートで支援が行われた例をある程度把握しております。6カ月たった状況でございますが、支援団体は41団体、人員として約1,700人。パッカー車160台、ダンプカー30台、このような機材を被災地の方へ提供をいたしまして、ユニークなのはボランティアがいっぱい来るんだけども、何も機材を持って来ないので、例えば先ほど目を保護しなきゃいけないというようなことでゴーグル、あるいはごみをとる火ばさみ、それから防じん防臭のマスク、あるいはレトルト食品だとか、調理家庭用用品だとか、そういったものも支援をいたしました。
6カ月以降になりますと、被災地も実際の復旧復興計画のほうへ入ってまいりまして、人的な支援をしてほしいということになりまして、特に(2)の廃棄物処理施設の整備・解体、あるいは除染、それから補助金の申請をするとか、処理計画の策定とか、廃棄物行政事務をやれる人を欲しいというようなことで、岩手県の2町、宮城県の2市1町、福島県の2市2町から支援要請がきまして、3自治体に派遣をしまして、3自治体は一応別ルートにも頼んでおいて確保されたかなということで。3自治体は、いろいろ紹介をして調整をしたんですが、条件が合わず不成立になったということでございます。それから、24年、5年、6年度に環境省の任期付職員の募集、これは復旧、復興のスタッフの募集でございますが、一応、可能な限りご協力をしているところでございます。
関連の取り組みといたしまして、5月26日に通常総会を行って緊急決議をしたりとか、あるいは被災地からの現地報告、あるいは研究事例発表会で災害廃棄物とか、放射能物質に汚染された廃棄物のセッションを新たに設けたところでございます。それから、私どもの機関誌での特集号で災害廃棄物特集を2度にわたってやっております。
それから、施設のアンケート調査でございますが、発災後2週間ということで回答率は50%でありましたけれども、比較的軽微な事故ということで、(6)でございますが、4月以降に復旧されるというのは5施設にとどまっております。停電によるものが39というのが特色かと思っております。課題でございますが、こういったところで、特に人手の確保とか資機材の調達の見通しが立たないというようなことが課題だと思っております。
それで問題点としては幾つか気がつくところを挙げましたけれども、私どもはやっぱり災害廃棄物の処理をやるために、発生量の把握とか、あるいは分別リサイクルをどうしていくのかというようなこと。仮設焼却場の整備、そういったものも含めて課題ではないかなと思っております。さらに、通信連絡手段が非常に大変だということが改めてわかったということでございます。それで課題としては、処理体制の整備ということで、指揮命令系統それから処理計画の策定、その中に当然、発生量の話云々ですが、それと今回問題になりました広域処理、そういったものの想定した施設整備計画というのもあろうかなというふうに思っているところでございます。その関係で、あと4番ですが、防災拠点としての廃棄物処理施設の強靭化、それからそういった災害対策を含めた拠点となるためには、こういったことが必要ではないかということを、ここに書いてあるとおりやっておりますが、こういった内容を踏まえて、後ほどちょっとご説明しますが、要望書を提出しているところでございます。
それから今回、自治体間の相互支援協定というのが非常に役に立ったというふうに聞いております。日ごろから連絡、連携協力関係をつくっていただいて、例えば政令指定都市の防災派遣協定、あるいは姉妹都市交流による支援体制の整備と、そういったようなことが平時から準備されておけばということでございます。それから業界団体との災害時の協力協定というのは、業界団体からも出ておりますが、その辺はきちっと役割の確認、それから内容と資機材の確認をしておく必要があるのだろうと思っております。(7)でございますが、国の迅速な対応というのは、今回は随分いろんな形で努力をされて効果もあった部分もありますが、一番はやはりお金の決定が、補助の決定がいつめどが立つかというのが、やはり相当大きなウエートを占めております。ある首長さんのお話によりますと、ちょうど3月年度末だったせいもあるのですが、役所の金庫はもうそろそろ空になって、何かやりたいといっても国のほうで補助の対象になるとは言っているのですが、いつどれぐらいくるのかがめどが立たないというようなお話がありました。ですから、できるだけ早く相談をされたらいかがですかということは言いましたが、今回、やはり災害廃棄物の処理の大きな課題ではないかなと思っておるところでございます。
これが最後の要望書でございまして、こちらに強靭化の内容が書いてありますので、参考まで掲載をさせていただきます。
雑駁でありますが、以上でございます。

(酒井委員長)
佐々木さん、どうもありがとうございました。
それでは、質疑に移らせていただきたいと思います。委員のほうからご質問のある方、お願いいたします。いかがでしょうか。
今度はそちらからいきましょうか。浅利委員からどうぞお願いいたします。

(浅利委員)
ありがとうございました。1点、私も仙台に行きましたら、全都清さんルートの前からもう既に結構入っておられるようなところも見受けられました。特に初期の段階では、これまでの過去の経験を乗り越えられたような、東日本の場合でしたら、阪神・淡路で経験されているようなところの方々が非常に活躍されていました。そういう具体的な要望とかがあったのかとかいう部分と、あと今後そういうことに対応するために、そういうノウハウのある人の人材バンク的なものを考えていくようなことであったり、ノウハウを共有するような訓練とかはあり得るのか、お考えをお聞きできたらうれしいです。

(酒井委員長)
では、引き続いて伊藤委員、どうぞ。

(伊藤委員)
それでは、私からは17ページにありましたマッチングの関係でお聞きしたいのですが、支援の申し出が発災の5週間時点で211自治体からございまして、8自治体でマッチングがうまくいったということでございますが、うまくいった主な要因につきまして、具体的に何かあればお教えいただきたいというのが1点と、もう1点、マッチングとか支援とか、逆に支援要望に関しまして、都道府県がかかわった事例がございましたらその辺のところも少しお教えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

(酒井委員長)
ありがとうございます。もうよろしいですか。
それでは、今お二方のご質問、どうぞ。

(佐々木(全国都市清掃会議))
まず、私どもは機能する以前に、仙台市に確かにもう翌日には一部の災害の支援の車両が入ったというのは聞いております。それは政令指定都市の首長さんの防災協定というのがございまして、何かあったときはすぐ駆けつけるということで、仙台市さんの要請で入ったというふうに聞いております。確かに、幾つかのパッカー車がもう行ったとか、あるいはバキュームがついていったとか、そういうのは把握しております。仙台市さんからもそういった防災協定による人的、あるいは機材の提供というのは非常に大きかったというふうに聞いておりまして、私どもも今後、防災協定、自治体間のそういった規模に合わせたとか、あるいは今度は例えば南海トラフのような、太平洋岸がほとんど支援なんか行けないような状況になることを想定すると、やはりある程度の地域を超えた協定というのが必要なのかなというふうに思っております。それから、人材バンクにつきましてですが、廃棄物処理をやっている、特に技術職につきまして、どこの自治体もかなり不足をしております。それは空白の10年とよく言われているのですが、やはり自治体が減量経営をするとか、いろいろな意味で苦しい時代に、そういった技術職を余り抱えて要請をしなかったという、私は個人的な反省としてあるのですが、今後はやはりそういったことを私どももいろいろな形で発信をして、私ども特に技術支援業務をやっておりまして、全国の自治体からいろんなことで技術支援をしてほしいということでやっております。そのスタッフもなかなか回らないような状況もございますので、少し人材バンク的な意味で、いろんな形で補助をしていただけるような方々を今、集めるような努力をしております。
それから、マッチングについてなんですが、8団体とマッチングできたのは人的な派遣でございまして、それ以前のいわゆるバキュームカーとか、延べで出したものはその中には含まれておりませんので、8団体はそのとき以降にやった8団体ということでご理解を。18ページのスライドに支援団体は41団体になってございます。マッチングがなぜというのは、やはり被災地から言われているご要望と、これならできるよというのが完全に一致しているものというのはほとんどございません。例えば人を派遣してほしい。できれば3年間と言われるのですが、じゃあ派遣先の自治体が同じ職員3年間派遣できるかというと、これはなかなか難しゅうございまして、そのときに我々駅伝方式とかいろいろ言ったのですが、例えばAさん、Bさん、Cさんで1年ごとに回していくみたいなことでもよろしいですかというようなことを被災地に言いながら、それでもいいですよと言えばそういったこともやりながら。あるいは混成チームによる派遣。例えば、今年度はA市、来年度はB市。例えば岡山市さんと倉敷市さんはそういうことで連携しながら、今年は岡山市が行ってくれ、来年は倉敷市が行くよみたいな、お互いに近くなので情報交換しながらやっていただいたような例もございます。それで、なかなかその辺の要望の調整をするのが結構大変で、その辺がご理解いただいたところが、結果として成果としてあらわれたというふうに認識しております。

(酒井委員長)
では、よろしいでしょうか。ほかにございましたらどうぞ。

(宇山委員)
東京都の宇山でございます。最後に、今後の一番大きな課題として、補助決定のめどがいつ立つか、補助の内容とかも含めてだと思うのですけれども、そういったお話があったと思うのですけれども、実際に先ほど仙台市も100億円を当初予算でかき集めてという話があったと思うんですけれども、ある程度大きな団体であればキャッシュがある程度、余裕があるとは言いませんけれどもあって、何とかお金を当初めどをつけることも可能かと思うのですけれども、やっぱり大きくない団体というか、小さい団体になればなるほどなかなか実際に業者さんに支払うお金を含めて、難しいと思うのですけれども、多分そういったご相談、たくさんあると思うんですけれども、実際にどのようにそういった小さい団体含めて対応してきたのかというのがあればというのと、それを踏まえて、やはり趣旨としては国のほうに補助金を年度の最後のほうにもらうのではなくて、やはり前金的な、概算的な形でやっていったほうがいいということでの趣旨なのかどうかというのを、その2点、ちょっとお伺いしたいと思います。

(佐々木(全国都市清掃会議))
全くそうでして、小さい団体からいろいろ実際に相談というか、現場へ訪問したときに首長さんなどから言われるのは、年度末という一番悪い時期だったせいもあるのですが、市の金庫が空になりそうだみたいな話は聞きました。ただ、じゃあ国に対して手続をしたのですかというと、やり方も含めてなかなかわからないので、その辺はこういうことでわかる職員をつけますので、すぐそれで地方事務所なりに相談をして、本省にご連絡したらどうですかというようなことというような形での取り組みというのはされました。
とにかく、やはり小さいところはなかなかめどがないと金庫が空になるというのは本当かどうかわかりませんけれど、非常に国における迅速な対応、決定というのは支援のスキーム、補助金の決定も含めて迅速にという趣旨でございます。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
それでは、森さん、どうぞ。

(森委員)
今、宇山委員からと佐々木さんからお話があって、参考になるのかなということで、質問ではなくて、実は東京都の取り組みの中で一つ特徴的なのが1点あります。いわゆる国の補助、あるいは補助の対象が何かと決まる前に、一括して都が基金を設けて、それで処理をした民間業者、あるいは23区や多摩地域の区市町村を含めて、とりあえず先行して都の財源から支払いしょうというふうにした仕掛けをつくったことです。これによって、それぞれの業界の方々は、結果的に県からやった仕事に対してお金が来る前に、月ごとに実績において、先行して支払いを受けることができ、支援し易いバックアップ体制をつくったのが今回のいわゆる都の支援スキームでありました。
これはもうあくまでも参考でございますので、
以上です。

(酒井委員長)
どうもありがとうございました。
最後にちょっと1点だけ、私のほうから聞かせてください。29ページの強靭化関係のところですが、この7月に緊急要望書を出された、これは非常に結構なことだと思うんですが、その内容で施設整備に対してこの20%の余裕を設けるという、この20%の意味というか、根拠というか、その辺があれば教えていただきたいということと、それから2点目が、その下の休廃止ごみ焼却施設300、この300のリストというのは全都清として用意をされているのか否か。恐らくそれぞれの休廃止の施設、いろんな事情を抱えておられると思います。特に地域の協定等々で、すぐ使えるか否かといったようなことも重要なポイントになろうかと思いますので、そのあたりの情報をどの程度把握されているか。
それから、強靭化以前に施設自身が相当防災対策が必要なレベルの施設もあるんじゃないかと思うんです。そういったところが一体どの程度、どういった対策が必要かといったところの状況把握は全都清としてどの程度できているか。この3点をご紹介ください。

(佐々木(全国都市清掃会議))
まず、1点の20%という意味なんですが、施設整備をやるときに当然廃棄物の計画の中で、余力がある形でのあれではなくて、排出量に合わせた規模という形になってございます。最近多少ごみが減っている自治体もあるのですが、ここのところへきてやはり少し上向きになっている自治体も結構出てきております。そういった意味で、現況の施設の中ではほぼもう余力はないというふうに考えておりまして、そういった意味で広域処理をして、通常の自区域内のごみ処理のほかに広域処理で上乗せをするのであれば、やはり20%程度のものは検討していいのではないかということで20というのを考えております。特に、計算をして20と出したものではございません。
それから、300を超えると、休廃施設というのがあれなんですが、最新のものはちょっと今手元にございません。過去に調べたものはありますが、最新のものはありませんが、これは調べればすぐ、全体のリストは持っておりますので、すぐ可能ではないかなというふうに思っております。
それから、強靭化の前にそもそも古いところでということで、この要望書の前のほうにやはりダイオキシン対策で緊急に整備した施設、平成7年から13年にかけて整備した施設が、そろそろ手をかけなければいけない時期に入ってきております。そういった意味で、交付金が今足りないということで環境省にもいろいろお願いをしておりますが、やはりかなりの、もう20年を超える、あるいは20年になんなんとするような施設というのは、やはり先生ご指摘のように、強靭化以前の、そもそもの整備の話というのがあるのかなと思っております。

(酒井委員長)
休廃止のリストのところで、個々の抱える事情を、そのあたりはどの程度まで把握されて、さっきの地域協定云々というふうにあえてお聞きしたのですけれども。

(佐々木(全国都市清掃会議))
その個別の理由までは、一部はわかりますが、全部は詳細に把握しておりません。

(酒井委員長)
また最新の調査のとき、ぜひそのあたりもお願いできれば幸いです。
それではどうもありがとうございました。次に移らせていただきたいと思います。引き続きまして、大阪湾広域臨海環境整備センター、大阪湾フェニックスの辰谷さんから発表をお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(辰谷(大阪湾広域臨海環境整備センター))
大阪湾広域臨海環境整備センターの辰谷です。本委員会で発表する機会をいただきまして、ありがとうございます。本委員会のテーマの一つであります廃棄物の最終処分の広域処理、これを大阪圏域で行っているということ。その背景、計画について、また、阪神・淡路大震災のときの状況等について紹介しろということでございますので、「大阪湾フェニックス計画における災害廃棄物処理について」と題しましてご説明させてもらいます。座らせてもらいます。
まず、大阪湾広域臨海環境整備センター、我々は通称大阪湾フェニックスセンターと言っておるのですけれども、その設立や計画の背景について説明させてもらいます。
1970年代、高度成長期におきましては、国内総生産が10年間で6倍になるというような時代でございまして、このときに工場用地を臨海部に埋め立てによって確保することが急務となっておりました。また一方、経済成長に伴いまして、大量生産、大量消費型の社会となり、これにより廃棄物の大量排出をもたらした。このような中で廃棄物の最終処分の責務が基本的に市町村にあるということ。市町村単独でまた2、3の市町村でその最終処分場を設置するというのは非常に非効率的であり、広域的かつ安定的な処分場の確保が急務だと。この二つの要請に応じまして、港湾整備と廃棄物処理を同時に行う仕組み、組織があれば、この要請に応えられるのではないかということで、このように広域臨海環境整備センター法についての取り組みが始まったということであります。
皆様ご承知のように、港湾の整備は港湾法に基づいてこのように運輸省の所管でございます。また、廃棄物の処理は環境省の所管ということで、この二つのそれぞれの了承のもとで、この時代の要請に応えて、1970年代半ばに、当時は運輸省、厚生省でございましたが、廃棄物を広域的に埋め立て処理する方針というのが建てられてこのように昭和56年6月広域臨海環境整備センター法が制定され、我々、大阪湾広域臨海環境整備センターが設立したところとなってございます。当時は東京湾と大阪湾をまずこのように進め、それを全国各地といいますか、このような考えであったようにはお聞きしておるのですけれども、やはり府県の単位を越えて、広域に連携するという難しさもあったのか、現在も我々だけが同法に基づき設立された団体となっております。
フェニックスセンターはまさに港湾整備と廃棄物処理のコラボ事業ということになってございます。そのため、フェニックスセンターでは港湾整備を行う港湾管理者と廃棄物処理を行う、また責務を持っています市町村との両方の委託を受けて、廃棄物埋立護岸の建設や処分場の施設を建設し、廃棄物の埋立処分、土地造成を行っております。でき上がった土地は港湾管理者に最終引き渡し、港湾管理者のほうで港湾利用するという仕組みになってございます。
現在、我々センターのほうでは受けているエリアが、このように大阪湾の圏域ということで、国が大阪湾の広域処理対象区域として定めていただいているわけですけれども、2府4県168市町村、この区域の人口は全国で約6分の1、2,000万人及ぶというスケールメリットの大きな処理をしてございます。幾分、やはり安価な費用で何とか事業が成立しているのかなと思っております。
ちょっと組織に触れますけれども、私ども、まさに関西の広域連合でございます。最高決定機関の管理委員会というのは、大阪府知事を委員長に残りの5府県知事と港湾管理者でございます大阪市長、神戸市長の8名で構成してございます。実務を取り仕切る理事会のほうは、兵庫県の副知事が理事長、また大阪府の者が副理事長をして、あと常務理事として関係機関全部入っているというような形で、まさに関西の広域連合組織的な形で運営しているところでございます。職員は100名ほどですけれども、特に港湾管理者になっています兵庫県、大阪市、神戸市、大阪府の4団体が中心になって実際には取り仕切っているというような状況でございます。
次に、事業の大まかな流れをもう一度申し上げますと、廃棄物埋立護岸は港湾管理者から。また廃棄物の揚陸施設や排水処理施設などは廃棄物処理関連施設といいますが、これは市町村とまた民間の排出者からということで行ってございます。こうして完成した処分場において、市町村や民間事業者から廃棄物処理の代金をいただいて埋立処分を行い、土地造成をする。できたものを最後は港湾管理者に引き渡す、こういうふうな事業の流れになってございます。
もう少し費用負担の仕組みを申しますと、廃棄物の埋立護岸、これは港湾の費用ですけれども、これが大体今までかかっているのが2,000億ぐらいかかってございます。次に、廃棄物処理関連施設は地方公共団体と我々センターの費用ということで、1,000億ぐらいになってございます。このように港湾管理者の負担が非常に大きいというのが見てとれるところでございます。現在、このような仕組みのもと、四つの海面処分場を有してございます。
ちょっと今の状況でございます。受入基地が今九つございます。これは各地に分散してございまして、この九つの受入基地から処分場に搬出しているところでございます。九つの受入基地から先ほどの処分場のほうには、海上輸送しているところでございます。
時間の関係上、ちょっとその後は飛ばしますけれども、このような埋立状況でございます。
次に、二つ目の阪神・淡路大震災時の受入状況について説明させてもらいます。これは兵庫県のほうで震災後の平成9年にまとめられた資料でございまして、それを拝借しているわけでございますが、兵庫県下では発生した災害廃棄物は大体2,000万トンございます。そのうち、住宅建築系が1,450万トンで、前回の委員会で神戸市様から説明がありましたように、リサイクルという表現で神戸港の埋立地で大体500万トンほど処理されて、最終処分のうちのフェニックスセンターには双方合わせて約250万トンの最終処分を行った。大体、災害廃棄物の最終処分をする災害廃棄物のうちの36%をフェニックスで受け持ったのかなと思っております。またほかにも、ちょっとデータはございませんが、大阪府域でも約20万トンほどの処分をしたと考えてございます。
震災当時の残容量というのは、最初1期でつくっていた処分場の尼崎沖と泉大津沖の処分場で、合わせて3,240万m3。また、その時期にはもう既に次の、今はもうでき上がっているわけですが、神戸沖、大阪沖の候補地、またそれの建設も決まっておって、これが合計2,900万m3でございました。このように受入要請に対しても十分な余力があったということ。また、受入施設につきましても、この時に神戸基地が1年間、被災により使用不可でしたが、何とかほかの8基地は健全だったと。こういうことで大都市圏での大災害に対して我々センターがお役に立つことができ、広域処分場の有効性が明確になったというふうに考えてございます。
阪神・淡路、このときの廃棄物処理で得た教訓ということで、これもかなり古うございますし、私ども当時、兵庫県さんのほうがまとめられたものをここでご紹介できたらと思っているわけですが、広域的な連携強化ということで、やはり自治体間がしっかりと事前に応援協定とかをすることは大事だと。また、余裕を持った広域処理体制の構築。一定、フェニックスが役に立ったわけですけれども、当初こういう形での処理体制というのは明確になっていたわけではなしに、震災が起こってからほとんど動いているような実態がございます。ですからやはり一定、広域的な連携というのが非常に重要ではないかというふうにまとめられております。
次に、やはり仮置き場の必要性というのが問われておりまして、当時、海岸部の未利用地がかなり多くあったということで、それが何とか生かせたと。先ほどからちょっと仮置き場の話がございましたが、現状で今起こればどうかなとなると、非常に厳しい状態で、大阪湾の圏域でも厳しい状態だと思います。また、現場における公平な分別作業の重要性ということで、やはりそこらも先ほどからちょっと東北のほうでもございましたが、仮置き場での分別は非常に大変であるというふうにこのときに得た教訓。やはり現場における一定の分別作業が重要であるというふうに聞いてございます。
三つ目に、廃棄物処理施設の余裕度ということでございますが、補修時を考慮したと書いていますのは、やはり一定、施設というのは補修の時期もあるので、そういうことを考えながらゆとりが要ると、先ほど20%という話もございましたが、やはりゆとりがあるということは大事ではないかと。また余力を持った最終処分場というのは、当時はあったということですけれども、今後に向けてそういうことが必要ではないかというのも得た教訓だと思います。
また、実際に災害時に稼働できるかどうかという意味での耐震強化、今、南海トラフ巨大地震に対してどうかということについてはいろいろ検証してございますが、これは先ほど申しましたように、阪神・淡路のときに神戸基地がこのように被災を受けて、全くこれで1年間利用できなかった状態になっている。進入路がやられている、基地に運べなくなったという状況でございます。このように、我々が先ほどお示ししましたように、恥ずかしながら南海トラフ巨大地震を受けたときに、じゃあ今の9基地がどうかと言いますと、これは全く処理場として機能できないのではないかと。ですから、今現在、この大震災時に広域処理場としての役割を果たすために、耐震補強の必要性を強く感じております。国にも耐震補強対策費の補助要求を今後してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
やはり、災害時に役に立つものとして我々のほうも運営していければと思っております。
最後に、災害廃棄物処理に当たっての課題といいますか、これは私どもセンターのほうで一考察をしたいと思います。先ほども説明いたしましたように、今、四つの処分場を有しております。この処分場、今現在では一番下の数字ですけれども、残容量が、これは単位が立米ですけれども、2,000万立米です。阪神・淡路の先ほどのときにはこれが合わせて6,100万立米ございましたので、本当に3分の1しかないというような状況でございます。これらの中、震災時というのではなく、本当に現実の我々として最終処理を行うという、大阪圏域168市町村の最終処分を行うとして、今、神戸沖が34年、大阪沖も39年にはもう満杯になるというような状況でございますので、新しく次期フェニックス計画が必要になるわけですけれども、計画策定からアセス、調査設計、それで建設工事に15年ぐらいかかっているのが現状でございまして、今まさに新たな次期フェニックスの計画立案に向けて、現在関係機関と協議をしているところでございます。環境省、国交省の皆さんにも大変お世話になっていますので、今後ともよろしくお願いいたします。
今、我々が事業をやっている中での課題。当初30年前に設立したときには、もう少し今の事業スキームどおりにいくというふうに考えていたわけでございます。これについて、前回の委員会でも神戸市みなと総局の吉井委員のほうからご説明もあったと思いますが、もう少し掘り下げて説明させてもらいますと、30年前にスタートしたときには、先ほどから説明しましたように、港湾管理者は引き渡した土地を売却でき、建設費用を一定回収できるというもので、この取り組み、制度ができておったわけですけれども、ちょっと字が小さくて申しわけないですが、廃棄物処理及び清掃に関する法律の改正、廃掃法の改正によって、まず何が起こったかというと、廃止制度ができて、受入終了後も廃止基準を満たすまでは非常に長期間を要すると。ですから、これによって処分場の廃止にずっと時間がかかってきている。
その下に一例で黄色のところに書いているのですけれども、例えば排出基準の1項目でございますペーハーが基準内に、廃止基準になるようにするには、例えば土地を減らしてポンドという池をつくって処理しない限り、普通に土地としてしまうと、100年以上そのペーハーを落とすまでにかかるというようなシミュレーションになっているような状況でございます。また、土壌汚染対策法によって、土壌汚染が土地鑑定の要因の一つになった。ですから、廃棄物処理場はもう土壌汚染がある土地として、そのように類似された土地とみなされる。これはまさにその土地自体の評価が下がり、土地利用に対して大きな足かせになっていると、このような状況で、現制度のもとでは港湾管理者が費用回収ということでとらまえていた土地が売却も非常に難しくて、長期にわたり、逆に維持管理が必要なものになっていくということで、まさにその土地自体がお荷物になるような格好で、大きな設立当初の事業スキームに矛盾を来たしているというような状況でございます。
これは海面の埋め立て最終処分を確保する上で非常に大事なことかなと思っております。そこで、私ども大阪湾フェニックス組織内で、港湾管理者や府県、市町村、また環境部局と構成する大阪湾広域処理場整備促進協議会等で、いろいろその課題に向けて取り組んでいるところでございまして、例えば資金面、財源面ももう一度一定の公平化を踏まえた事業スキームの検討が要るのではないかとか、また制度面としましても、やはり港湾としての利活用が進むには、どう今の廃止基準なり法制度の規制緩和ができないのか。また瀬戸内法についても、これはどういう意味かと申しますと、そもそも大阪湾では瀬戸内法によって海面埋め立てというのは厳しく抑制すべきとなっておりまして、やむを得ず海面埋め立てをする場合にも、必要な土地に限られている。こういう意味で言いますと、現在のフェニックス事業はそういう形で取り組んでいるわけですけれども、廃棄物の埋め立て処分のみの目的というのは、今のこの瀬戸内法では認められないというような実態でございます。ですから、この災害廃棄物に対して埋立てを考える場合に、やはりこの辺についても一定の考えが必要かなと思ってございます。
最後に、技術面でもやはりその埋め立て処分した土地がいかにして土地利用、活用できるようにというふうな取り組みも国交省様やさまざまな機関において、例えば処分場跡地における杭打設の技術開発など取り組んでございます。また最後にありますように、発災時の対応ができるためには、この廃棄物処理施設の耐震補強、強靭化が必要であるというふうに考えています。これら我々フェニックス事業の課題というのは、災害廃棄物全体の課題であろうかなと思っております。
最後になりましたが、災害廃棄物の処理に当たって提案をさせてもらいます。これも前回、神戸市さんのほうからございましたのとほぼ同様でございますけれども、我々は新規のフェニックス処分場を建設しておるわけですけれども、それにあわせて災害廃棄物処分場というものをつくることによって、それは一定のスケールメリットもありますし、そういうことが重要ではないかと思っております。ただ、ちょっとここで間違わないようにしてもらいたいのですが、南海トラフの巨大地震が発生する災害廃棄物の物量、これはこの委員会でもいろいろ議論されると思うんですけれども、非常に阪神・淡路とは比べ物にならないような物量でございます。我々が新規に計画する物量とほぼ匹敵するのではないかと。ですから、フェニックス処分場があれば、それが一つ南海トラフの災害に備えられるということではなく、やはり別途この災害廃棄物の処分場が必要になるのではないかなと思ってございます。
排出者はフェニックス処分場の資金、これは当然負担すると、計画に参画するわけですけれども、災害廃棄物処分場を同時にこれを地方といいますか、我々の組織の中で用意するのは非常に困難であると考えております。したがって、国の関与といいますか、国策として災害廃棄物の処理場を建設することが重要であると考えております。本委員会で国の方針が示されて、地域ブロック単位での具体的に本施策の推進が図れることを期待しております。
以上で発表を終わらせてもらいます。ご清聴ありがとうございました。

(酒井委員長)
ご報告どうもありがとうございました。
それでは、質疑に移らせていただきます。ご質問のある委員の方はどうぞ。

(鈴木委員)
国土技術政策総合研究所の鈴木です。一つ質問をさせていただきたいと思います。
処分場やその関連の施設を耐震化して大きな地震がきても壊れないようにするというのは、望むべき方向だとは思います.しかし、それをやった場合に、コストが大きくなっていって、料金も上がっていくということになると思うのですけれども、そういった面について問題はないというぐらいの検討はなされているのでしょうか。

(酒井委員長)
難しい質問ですが、どうぞ。

(辰谷(大阪湾広域臨海環境整備センター))
前回、私来ておりまして、鈴木委員のほうから実際にどこまで南海トラフに対して備えるのかというご質問がありましたが、まず我々の処分場ですけれども。処分場自身は高さは今あるんですけれども、実際に南海トラフ地震が起きたときに、そのまま高さ確保できずに一定下がると。その下がる部分で、その状態で津波を受けたときに、処分場の廃棄物が流出するというのは非常に大きな問題ですから、これは絶対にないように、対策、これは事実、どれだけ予算がかかるかというのは、実際のところ今、港湾管理者のほうで今後の検討によって出てくるという、前回の回答と同じですけれども、これについてはそうでなければ社会的影響が大きいのかなと思っております。
それと、基地のほうですけれども、基地のほうはちょっと表現的に大げさになりましたけれども、正直一番基地で弱いところは何かといいますと、大体海面で船に放り込むのに、大体その搬入路で上がっていっている部分が多くて、その橋梁がちょっとこういう海のところでの土地ですから、液状化等で搬入路がやられるというのが一番大きい問題です。ですから、その費用というのは物それほど膨大なことではなく、それと施設自身の一定の電気とか、機械の施設自身が津波時に影響がないようにということを今検討しているのですけれども、これもそれほど大きな費用ではないというふうに考えてございます。ちょっと今データはお持ちしておりませんけれども、そういうことでございます。

(酒井委員長)
ほかにご質問はございますでしょうか。
それでは1点私のほうから聞かせてください。一番最後のスライドでフェニックス処分場と災害廃棄物の処分場、何かちょっと別立てのようなスライドをご用意されておられましたけれども、途中では阪神・淡路のご経験でこのフェニックス処分場が非常にリダンダンシーのある冗長性というんですか、余裕をもたらしたということでの評価をされておられるということでいくと、今後もフェニックスさんが一つの災害廃棄物の処分という意味での役割も社会からはやはり期待される側面も出てこようかなと思っております。そういった意味で、この災害廃棄物の処分に関連して、後押しのできる施策、政策というのはどういう方向で、どういう内容があり得るか、そのあたり今考えておられるところがあればちょっとご紹介いただければと思います。

(辰谷(大阪湾広域臨海環境整備センター))
当センターは先ほどの組織でございましたように、センターとして全部仕切っているわけではございませんで、基本的に各排出者の団体のそれを取りまとめているという形の事業をしてございますので、この次期の処分場として、災害が起こったときに各市町村さん、南海トラフの地震のときにその起こった災害量を用意するような余裕がありますかとか、そんな議論はしっかりしたのですけれども、現実に今回次期処分場をつくるに当たって、当然自治体はその費用が必要でございますし、なおかつ先ほど港湾整備、港湾との関連の課題で申しましたように、このままいけば、やはり港湾管理者がつくる護岸費を、まともに今のスキームの方法で継続できないとなれば、逆に排出者のほうの負担がもっとふえていくことを考えると、自治体のほうで、あえて災害枠といいますけれども、災害枠をそれぞれで確保するという、そんなような実情にないなというのが現状でございます。
本委員会でそのご議論をされている中でいえば、それであればそういう意味の資金的な国の関与があれば、一定、それによって排出者も元気になりますし、そういう形で双方合わせた二つの新たにできる処分場で、災害が起こったときのリダンダンシーができたらいいなと。これも前回、神戸市さんのほうでありましたように、じゃあ緑の部分が全部埋まって、災害処分場だけ残すのかといったときには、それはその時期にもう一度その処分場をフェニックス処分場と切りかえることに応じて、新たな災害廃棄物の処分場を代替でつくるとか、そういうふうに処分場を転がしていくのも一つの方策ではあるのかなと思いながら今、我々の内部では検討しているところでございます。

(酒井委員長)
どうもありがとうございます。
それでは、次の発表に移っていただきたいと思います。どうもフェニックスのほうからご報告ありがとうございました。
次は、中部地方環境事務所の小岩さんから発表をお願いをしております。ご準備できましたらよろしくお願いいたします。

(小岩(中部地方環境事務所))
中部地方環境事務所の廃棄物・リサイクル対策課長をしております小岩と申します。よろしくお願いいたします。
中部地方環境事務所における大規模災害時の災害廃棄物対策ということで発表をさせていただきます。座らせていただきます。
本日の内容なんですけれども、まず事務所の紹介と、その後、東日本で広域処理にどう対応したかということ。それから事務所で立ち上げた連絡会、あと連絡会で取りまとめた取りまとめ。それから、中部地方における広域的な防災組織がありますので、その紹介。あと今後に向けてということで説明をさせていただきます。
まず事務所の紹介ですけれども、中部事務所は富山、石川、福井、長野、岐阜、愛知、三重の7県を管轄しておりまして、ここに書かれているような業務を通常やっております。
続いて東日本大震災のときの広域処理の対応でございますが、中部地方環境事務所で連絡調整を行って実際に協力いただいた自治体というのは、ここに書かれているとおり、富山、石川、福井、静岡になっておりまして、静岡については中部の管内ではないのですけれども、東日本大震災のときは中部事務所のほうで対応させていただきました。
ここでご協力いただいた自治体様からいろいろな声を聞いておりますので、簡単に紹介させていただきます。まず、東日本のときは放射能の問題がございましたので、自治体の首長が受け入れを表明すると反対運動が起きるというような状況でして、そういう中で政治生命をかけてボランタリーに協力するということではなくて、平常時からやはり国が主導して調整をしておくべきだったというようなご意見がありました。あとは、個別の自治体ごとに調整するのではなくて、市町村会等を活用して調整したらよかったのではないかというようなご意見。それから、住民の安心確保や風評被害の防止のために、処理中はもちろんなんですけれども、終了後も一定期間、環境モニタリングですとか、わかりやすい情報提供というのは継続してほしいというようなご要望がありました。それからこれも放射能の問題なのでちょっと特別なことなのかもしれませんけれども、なかなか科学的、合理的な説明だけでは進まないということがございまして、住民の理解や安心を得るための説明方法、合意形成手法についても検討が必要ではなかろうかという話がありました。自治体さんの中では、朝から夜中まで説明会を開いて住民の意見に応え続けるというような説明会を開いたりとか、自治会ごとに何度も何度も説明会を開くというようなことで、非常にご苦労をされたというような状況がございます。それから、今回の広域処理の事例について検証整理をして今後に生かしていくべきだということのご意見もいただいております。
中部事務所としては、今回多大な困難の中で実際にご協力をいただいたところ、それから自治体の協力までは至らなかったのですけれども、真摯にご検討いただいた自治体、民間団体、市民の皆様に対して、正当な評価や感謝を示して継続的に支援していくことが今後の広域処理の協力をお願いする上でも必要不可欠、大前提だろうというふうに考えております。
続いて連絡会なんですけれども、連絡会の背景なんですが、平成7年に阪神・淡路、平成16年に集中豪雨・台風というのがありまして、平成23年に東日本大震災ということが起きているのですけれども、環境省のほうでそういうものに応じて指針ですとかを策定したり、東日本のときには広域処理の調整といったところもしておりまして、平成24年から災害廃棄物対策指針の策定と検討というのを始めております。これが背景の一つでございます。それから、もう一つの背景としましては、中部地方整備局さんが事務局になりまして、中部圏戦略会議というものを設立しました、平成23年ですけれども。そこの中間取りまとめの中で、大量の災害廃棄物の発生を想定した広域的な連携体制を整備すべきだというような話がございまして、これがもう一つの背景になってこの連絡会というものをうちの事務所が幹事となってつくっております。この事務所のほうで平成25年にその考えを取りまとめたというところまではきておりまして、こういったことで関係機関を連携して南海トラフに備えていこうというような体制を今つくっているところでございます。
連絡会なんですけれども、目的はここに掲げておりますとおり、情報共有や必要な対応の検討をするということになっておりまして、参加者は愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県で、あとはそれらの県の中核的な8市、八つの市に入っていただいています。それから、民間団体としては、愛知県の産廃協会、それから中部経済連合会に参画していただいております。有識者として国環研の高田先生にお願いしております。あと国の地方機関としては、うちの事務所が幹事となって、あとは中部地方整備局、それから第3回目だけだったのですけれども、東海財務局のほうから国有財産の利用についてご紹介をいただいております。
主な内容はここに掲げているとおりでして、開催経緯としてはこれまで3回開いて取りまとめをしているということでございます。
取りまとめの中身の説明に移らせていただきますけれども、まず全体像としては現状把握ということで、現状について整理をし、それから広域的な大規模災害の備えとして検討しておくべき事項、それから各自治体において準備しておくべき事項という課題をまとめております。それを踏まえて今後の方向性というものをまとめているというような感じで全体を取りまとめておりまして、現状把握から順番に説明させていただきますと、まず協力協定等の締結状況について共有をしておりまして、取りまとめでは数の記載だけなんですけれども、連絡会では協定書の写しとか、そういう中身のところも共有しております。
それから、仮置き場の候補地、各自治体さんのほうで選定して検討している状況について共有しておりまして、連絡会では面積とか場所を記したリストといったものも共有しております。こういった詳細な情報を連絡会で共有することで、具体的な協力協定をどういうふうに結んだらいいかとか、仮置きはどうやって進めたらいいかというようなことが進んでいくことを期待しております。
あと中間処理、最終処分場の能力・容量につきましては、環境省の調査結果を共有したにまだとどまっておりまして、実際に南海トラフの巨大地震が起きたときの量との比較検証とか、そういったところは今後の課題になっております。
次に、処理計画の策定状況についても共有しておりまして、計画の策定状況とか改定の予定、それからどういうことを書いているか。あとは発生量をどういうふうに推計しているかといったところを共有しております。ここにグラフを載せておりますけれども、このうちの下のグラフが南海トラフ巨大地震に備えた計画の策定状況なんですけれども、各県数%ということで、ここの部分が非常にまだ少ない状況になるので、課題だというふうに認識しております。
続いて、広域的大規模災害の備えとして検討しておくべき事項ということで、各参加者から出た意見を取りまとめております。まず、広域的連携体制については、平常時、都道府県を超えてつくるような協議の開催というのは、国が担うべきではなかろうかということ。それから災害時に協議会を設置する際は、効果的に調整事務の中心を担う組織が必要になってくるのではないかという話。それから連絡体制を明らかにしておくべきというような意見。総合的な調整役というのは国とか県でないと担えないのではないかというような話がありました。
あとは包括的な漠然とした協定では具体的な応援要請とか、調整をどういうふうにやるかというのが不明確なので、なるべく具体的にしておく必要があるだろうという話。あとは民間団体との連携も考えていくべきだろうということ。平常時においては情報伝達訓練といった訓練をすることが必要ではないというような意見がありました。仮置き場については、国有地の利用に関して考え方を整備すべきですとか、あとは過去の事例調査をすべきだとか、迅速な対応ができるような法整備が必要だというようなことを取りまとめております。
それから、各自治体において準備しておくべき事項ということで、仮置き場の確保なんですけれども、こちらについてもなかなか国有地とか、そういうところがありますので、国の積極的な関与とかリーダーシップが必要ではないかというような意見がありました。
処理計画については、先ほども示したとおり、なかなか進んでいないところがありますので、最大規模の災害を想定した計画の策定が必要だろうということ。それから中身としては処理体制だけではなくて、組織の役割の詳細とか、担当者、それから具体的な応援要請とか調整をどうやるのかという具体的なところまで、アクションプランとして動けるようなところまでつくるべきだというような話が出ておりました。
それらを踏まえた今後の方向性なんですけれども、今後協定内容の見直しとか、新たな締結も含めてさらに進めていくべきだということ。それから、この下線部のところは実際にもう既にやっているところを下線を引いているのですけれども、連絡先名簿をつくって共有ということを既にやっております。それから市町村までの情報共有については各県のほうでお願いをしているという状況でございます。あと情報共有の中身としては、名簿、それから国有地リスト、各地での取り組みというのが今共有をしてきておりまして、情報伝達訓練というのはまだできていないのですけれども、この辺についても可能性について今後検討したいというふうに考えております。
それから仮置き場の候補地の確保なんですけれども、とりあえず今、東海財務局さんのほうから毎月1回、国有地のリストをいただいて、事務所から連絡会の参加者にメールで送るということをやっております。それから、計画の策定、発生量推計に係る取り組みの支援ということで、引き続き各自治体の検討状況を情報共有するとともに、本省のほうで指針の策定とか、今回の検討会もそうなんですけれども、こういった情報を共有していきたいというふうに考えて取りまとめております。
取りまとめ方法は連絡会の中で連絡調整できる事項ということで取りまとめておるのですけれども、それ以外のことでいろんなご意見が参加者から出ておりますので、簡単に紹介させていただきます。
まず法整備について、これまでも話が出てきたかもしれませんけれども、産廃処理施設について、一般廃棄物も災害時に限定して受け入れられないかという話がありました。既に廃掃法のほうで届出を行うことで一廃処理施設として設置できるというような規定もありますし、東日本のときには特例も設けてよりスムーズに動けるようにはしておるのですけれども、さらにそれを広げてほしい、あるいは円滑に進むようにしてほしいというようなご意見がありました。あとは災害時、いろいろと東日本のときに特例措置とかをつくっていただいたかと思うのですけれども、平常時から準備してほしいというようなご意見がありました。あと国が策定する指針等についても指針案を示して、ご意見をその場で頂戴しておりまして、いろんなご意見が出ております。これについては国、関係者のほうに伝えておりますので、割愛します。
あとは広域的連携で、大規模災害では被害が広域になるので、遠隔地の自治体との協力関係の構築も必要だろうということで、実際に岐阜県の市のほうで北海道と結んだりとか、鹿児島と結んだりとか、そういう例もありますが、そういったところを進める必要があるだろうという話があります。
仮置き場・処理処分場なんですけれども、企業の所有地とかも含めた検討が必要だとか、河川敷を使えないかとか、あとはそういうものを設けるときの法的規制の問題、そういった意見が出ております。オープンスペースがあったとしても災害時はやはりレスキューのための拠点のほうとか、いろいろなところで使われることがあるので、そういったところをどう調整をしておくかというようなご意見が上がりました。仮置き場だけではなくて、先ほどフェニックスの話もありましたけれども、最終処分場とか中間処理の施設をどうするかとか、あとは輸送は実際にできるのかと、そういう物流の強化といったことのご意見もいただいております。
やはり災害が起きると通常の廃棄物の知識というより、土木建築の知識が必要になってくると、そういう業務の人材が不足しているのではないかというような、そういう人材をどう育成するか。あるいはどうやってほかの自治体から人的支援を受けるかというような意見。あとはごみとかし尿処理についてもほとんど委託をしていて、市役所の中になかなか実態を把握している人材がいないというような自治体さんもいるようでして、そういった人材育成も必要ではなかろうかというようなご意見がありました。
補助金・交付金につきましては、通常の災害であればあれなんですけれども、大規模な災害のときにはなかなか記録を残すということも難しい部分があるので、なるべく簡易なやり方ができないかとか、そもそも廃棄物処理施設を余裕を持ってつくれないかというようなご意見が出てきております。
役割分担の部分なんですけれども、被災で事務処理不能になるような市町村というのも出てくるでしょうから、国・県で計画立案すべきというようなご意見。それから一方で、県に丸投げという状態にならないようにしなければいけないのではないかというような意見もございました。
あとは有害廃棄物、東日本のときには放射能とかというのもあったのですけれども、それに限らずアスベストとか、PCBとか、先ほど硫酸という話もありましたけれども、そういったものをどう災害時に保管していくか。あとは事前にどこにそういうものが使われているかという事前調査が必要だろうということ。それから安全かつ経済的な処理方法の検討が必要だろうというような話がありました。し尿処理に関しても非常に皆さん危機感を持っておりまして、仮設便所が足りないとか、あとそういった処理をどうするかというのは非常に困難だというようなご意見がありました。
続いて、広域防災組織について説明させていただきます。中部地方では平成14年から岐阜、静岡、愛知、三重、それから名古屋市さんのほうで東海4県1市の連絡会議というものをもう既に設置して、大学とも連携をしてシンポジウムを開いたりというようなことが行われてきております。それから先ほど申し上げました平成23年10月に中部圏戦略会議というものが整備局の音頭で設立されまして、こちらのほうは国の地方支分部局、自治体、経済団体、ライフライン、高速道路とか、そういうライフラインの機関、それから学識者も入ったかなり大規模な会議をつくっております。こちらの戦略会議のほうではいろいろ中間取りまとめをつくるということのほかに、防災訓練というものも各機関が連携して訓練をするということもやっております。それから平成24年3月に先ほど来説明しました廃棄物の連絡会というものをつくっております。また、平成24年7月に、これは内閣府さんのほうの音頭で南海トラフ巨大地震対策協議会の中部ブロック協議会というものをつくって開催をし、先ほど中部圏戦略会議のほうで防災訓練をやっていると申し上げましたけれども、今はこの中部ブロック協議会のほうで広域連携訓練というものを2回ほど既にやっているというような状況です。
これらの組織の関係なんですけれども、既存の組織を有効に使おうということで、東海4県3市、今は静岡と浜松も入って3市になっているのですけれども、東海4県3市の連絡会議、自治体を中心とした連絡会議と、それから中部圏戦略会議、この二つが車の両輪になるような形で中部ブロック協議会を運営しているというような形になっております。内閣府さんのほうのこの中部ブロック協議会の仕切りとしては、長野県、滋賀県さんも入るということになっておりますので、現在は東海4県3市の連絡会議にオブザーバー参加をしていただいております。
中部地方、あるいは東海地方というと、いろいろな政策とか、あるいは人によってもどこまでが中部地方なのかというのは非常に違う部分がありまして、今うちの事務所は先ほど申し上げたとおり、三重、岐阜、愛知、長野、福井、石川、富山で管轄しておるのですけれども、廃棄物の連絡会についてはそれに、北陸はまだ入っていなくて静岡が入っているというような状況でつくっております。中部ブロック協議会とか、中部圏戦略会議、あるいは連絡会議というのは、三重、岐阜、愛知、静岡、長野、滋賀もちょっと入ってくるというような形でつくられております。それ以外の関係する地方整備局とか財務局とか、あるいはこちらには運輸局とかいろいろ並べていますけれども、各機関によっていろいろ管轄範囲が違っておりまして、特に静岡、長野を含めるか含めないか。あとは北陸まで含んだ中部として捉えるのか、それとも東海地域で一つとするのかというところで、かなり違う形になっております。
このような状況にありますので、中部事務所管内のほかの防災関連組織との連絡体制を常日ごろから構築していくことが必要ですし、あとは地方事務所間の連絡体制というのも重要になるのではないかというふうに考えております。災害時にはそういうのを円滑に進めるために、想定される被害の範囲によっては中部事務所の管轄範囲にとらわれずに柔軟に対応するということが必要で、東日本のときには静岡をうちで見ているとか、そういう形でやる必要が出てくるのではなかろうかということ。それから南海トラフが注目されておりますけれども、実際には確率が高いのはもう少し小規模の地震のほうが確率は高いと思いますので、実際の被害に応じてこういう協議会とか事務所の管轄範囲というのは臨機応変に考えていく必要がありますし、事務所自体が被災するということもありますので、人員の融通というのが必要になってくるというふうに考えております。
最後は今後に向けてですけれども、今後もこの連絡会を開催したりメールとかで対策をさらに具体化するとともに、情報の共有を図っていきたいと思っています。連絡会で出た意見、きょうもその場だと思っておりますけれども、環境省本省とも共有をして参考にしていただくとともに、本省の成果を連絡会で共有していきたいと思っています。また、旅費等が確保できれば、過去の大規模災害の最前線で活躍した専門家実務者をお呼びして、連絡会で研修会を開くとか、そういうこともしたいというふうに考えておりますし、この検討会の成果も踏まえて、必要があれば連絡会のあり方、メンバー構成についても見直していきたいというふうに考えております。
それから、その他ですけれども、先ほど申し上げたとおり、ほかの事務所との連携、ほかの防災関連機関との連携というものを進めていく必要があるというふうに考えておりますし、そもそも論として中部事務所自体が被災したときに備えてBCPを今取りまとめ中です。ちなみに、事務所の入っている建物が大地震が起きると継続使用が困難になるということも想定されておりまして、今EPO中部というのがあるのですけれども、そこに一時移転して執務を継続するというようなことも検討をしているところでございます。
駆け足の説明になりましたが、以上でございます。ありがとうございました。

(酒井委員長)
どうもありがとうございました。それでは質疑に入らせてください。
では、どうぞ。ご質問のある方、お願いいたします。宇山さん、どうぞ。

(宇山委員)
18ページ目ですか。仮置き場候補の確保ということで、平常時から利用可能な国有地リストを定期的に情報共有、自治体のほうに情報共有しているということだと思うのですけれども、実際に国有地、たくさんあると思いますけれども、どれぐらい、何ヘクタールぐらいこのリストというのは合計であるのかということが1点と。国有地も実際には本当に使えるスペースについては、がれき置き場もそうですけれども、仮設住宅とか、いろいろ応急部隊ですね、人命救助とか、いろいろあると思うのですけれども、どこまで用地については、これはがれきに使えますよとか、仮設住宅に使えますよとか、そういったのを決めて提供しているのか。それともこういうオープンスペースがありますよということだけで提供しているのか。その2点をちょっとお伺いしたいと思います。

(小岩(中部地方環境事務所))
どれぐらいの平米数があるかのデータは持ち合わせていないので、済みません。どれぐらいでそれが足りるのかという検証までが実はまだ全然できておりませんという状況です。それから、そのほかの機関とバッティングするのではないかということなんですけれども、そちらについても、実は、東海財務局さんのほうは、うちの事務所を通じて送る以前から、自治体さんの防災部局に対してもその国有地のリストを出しております。同じものをこちらにもいただいているということでして、それを具体的に、がれきに使うのか、それともレスキューに使うのかという調整まではできておりません。自治体さんによっては、仮置き場を確保するときに、そういうところの調整とか、あるいは、そこの所有者との調整とか、そういうところまで含めてやられている自治体さんもあれば、まだそこまではいかなくて、候補地を挙げて、今後調整です。その部分が課題だと認識していますという自治体さんもいらっしゃるというような状況になっております。

(酒井委員長)
宇山委員、よろしいでしょうか。
具体的にどのような用途の国有地のリストが上がってきているのですか。

(小岩(中部地方環境事務所))
いろんなものが上がってきておりまして、ちょっとそこも基本的にはオープン情報ではないという前提でいただいてはおるのですけれども。

(酒井委員長)
済みません、立ち入ってお聞きしまして。
ほか、どうぞ。

(濱田委員)
横浜市の濱田です。今、ご紹介いただいた中部圏地震防災基本戦略は、今後もずっと検討されると思います。一方で、各市町村は南海トラフ地震における災害廃棄物処理計画を、今後策定していくことになるとのことです。こうした状況に中で、基本戦略の協議の中で、各市町村の計画のバランスをとるというところまで考えられているのか。また、連絡体制の確立など、共通のイメージを持たれているのか、教えていただけますでしょうか。

(小岩(中部地方環境事務所))
連絡会の開催の目的、あるいは、内容としましては、今現在の連絡会の開催要領というか、そういうものに照らせば、連絡会という名称からしても、情報共有というところに重きを置いておりまして、そこから先まではまだできていないような組織になっております。そのあたりを今後どうしていくかというところにつきましては、この検討会のご議論とかいうものも踏まえながら、今後考えていきたいというふうに考えております。

(酒井委員長)
今の濱田委員の関連ですけども、25ページで、防災のほうの組織の関係図をお示しいただいていますね。防災関係だけでも相当いろんな組織があるわけですけども、そこに大規模の災害廃棄物の連絡会ができて、この連絡会としては、例えば、中部の地方整備局のほうとどのような連携をしていくのかといったような、そういう情報共有が主たる現在の目的だとおっしゃられましたけれども、そのような議論はされておるのでしょうか。

(小岩(中部地方環境事務所))
中部ブロック協議会というものができておりまして、都道府県、市町村の意見とか、そういう情報の集約のほうは、東海4県3市の連絡会議のほうですると。国の地方整備局とか、あるいは、ライフライン機関、経済団体とかのご意見というのは中部圏戦略会議のほうで集約をして、このブロック協議会の場でいろいろ議論していこうという形になっておりまして、今、監事は愛知県さんということで、愛知県さんを中心にやっていただいていると。我々の連絡会のほうは、中部圏戦略会議の議論も背景にして生まれておりますので、中部地方整備局さんに事務局としてしっかり入っていただいておりまして、この戦略会議のほうにも廃棄物の連絡会の取りまとめの結果とかというものをきちっと報告しているところでございます。

(酒井委員長)
ありがとうございました。よくわかりました。
森委員、どうぞ。

(森委員)
ちょっと1点だけです。協力協定ということについてです。自治体間で行う協力協定というものがあり、地元で広域処理を受け入れるとなると、今回は放射能の問題がありましたけれど、地元での施設の運営協定、あるいは、創業協定という協定を締結しているわけですが、これを、あらかじめきっちりと事が起こったときには受け入れるという条文が書いてあれば、非常に支援が円滑に進みやすいですが、恐らくそんなことはまだまだ少ないのではないかと思います。もしそういう自治体があれば、教えていただきたい。ちょっと質問で申しわけないですが、できればそういう議論をしていくのが今後重要かなという意見でございます。
以上です。

(小岩(中部地方環境事務所))
今のご指摘のとおりでございまして、私も、今回、協力をいただいた自治体さんを回っているのですけれども、そういったご意見というか、そこがやはりネックになっちゃっているところがございます。通常、廃棄物の処分場は、住民の方と地域協定を結んでおりまして、地域のごみ以外は受け入れないというのが大体条件になっているところが多いようでございます。今回、災害ということ、東日本のあの状況があるので、そこを、最初はそういう約束があったのだけれども、それでも何とかということで自治体さんに頑張っていただいたというところがございまして、今後はそこの部分も考えていく必要があろうかというふうに考えております。

(酒井委員長)
非常に重要なご指摘と、そのご回答をいただいたと思います。参考にさせていただければと思います。ありがとうございます。
じゃあ、大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
アスベストに関して、どこに使っているかということの使用部位に関して、事前調査ということが出ていますが、先ほど、化学物質とか有害物質の流出みたいな話もほかの報告書から出ていましたけれども、これに関しては具体的にどういうことをあらかじめやっていくかというご検討をなさっているのでしょうか。

(小岩(中部地方環境事務所))
ここも、取りまとめ以外のところの連絡会の参加者からご意見をいただいておるのですけれども、特に、中部地方では、中部経済連合会にも入っていただいているのですけれども、経済界のほうからもこういう要望が非常にありました。彼らとしては、中部地方というのは日本の物づくりを支えているという自負がございますので、そこで被災が起きた場合には、なるべく早くごみを片づけてほしいという強い要望がございまして、具体的な提言もいただいております。その中でこういう話も出てきておりまして、正直なところ、中部事務所としてはその情報をいただいたのですけれども、まだそこにお返しできるという状況にはなっておりませんで、このあたりをどういうふうにしていくかというのは今後の大きな課題だというふうに認識しております。

(酒井委員長)
ありがとうございます。それでは、このあたりで質疑を打ち切らせていただいてよろしいでしょうか。小岩さん、どうもありがとうございました。
お約束の時間は12時半でございましたが、10分ほど今超過しておりますが、もうしばらくおつき合いいただければ幸いでございます。本日、5件の報告をいただきました。全体を通して何かご質問、ご意見というのはございますでしょうか。
それでは、委員の方々におかれましては、本日発表いただいた内容で、追加でごらんになりたいというような資料のご要望がございましたら、事務局のほうにお伝えいただきますようお願いいたします。可能な範囲で調整をしていただけるというふうに聞いております。
それでは、あとは、その他ということでの議題でございますが、事務局のほうから、今後のスケジュールを含めて説明をお願いいたします。

(松田補佐)
事務局のほうから、資料8に基づきまして、今後のスケジュールについてご説明いたします。
次回の検討委員会の日程につきましては、1月17日の9時半からを予定しております。場所については、決まり次第改めてご連絡させていただきたいと思っております。第4回では、災害廃棄物の発生量の推計や保存能力の試算などの状況の報告、また、最終報告に向けた論点整理、あわせて、本日までの討議を踏まえた取り組みの基本的な方向性の骨子の提示ということについて、主に議論していただきたいと思っております。それを受けて、第5回、第6回と1回ずつ会議を開催して、中間的な報告を取りまとめていただきたいと思っております。現在、ワーキンググループを開催して、実務的な検討を行っておりまして、巨大地震の発生時の災害廃棄物の発生量の推計を保存能力試算の検討、こういった今の情報の整理の作業も行っておりますし、あとは、これまでの議論を踏まえた基本的方向性の骨子についても検討しつつあるということでございますので、次回以降の委員会に、できたものから資料を提示していきたいというふうに考えております。
それで、また、あわせて、本日の会議の議事録につきましては、原案を作成して、また、発表者と委員の皆様方にご確認をいただいた上で、環境省ホームページに掲載する予定ですので、よろしくお願いいたします。

(酒井委員長)
どうもありがとうございます。ただいまのご説明に何かご質問はございますでしょうか。
なければ、それでは、本日は、さまざまな情報提供をいただいた皆様方に深く御礼を申し上げたいと思います。また、委員の方々からは多くのご意見を頂戴しております。事務局におかれましては、この頂戴したご意見を踏まえまして、今後の作業、検討を進めていただければと思います。
それでは、これで第3回の巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会を終了したいと思います。本日は長時間にわたっての熱心な審議をどうもありがとうございました。

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