環境再生・資源循環

平成25年度巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会第1回議事録

日時

平成25年10月4日(金) 10:00~12:02

場所

霞山会館 霞山の間

出席委員

委員
浅利 美鈴  伊藤 和己
宇山 竜二  大迫 政浩
大塚  直  勝見  武
貴田 晶子  近藤  守
酒井 伸一  佐々木五郎
笹出 陽康  杉本  明
鈴木  武  永田 尚人
濱田 雅巳  平山 修久
福本 富夫  森  浩志
吉井  真  吉岡 敏明
(敬称略)

委員以外の出席者

(事務局)
環境省
井上副大臣、谷津事務次官、梶原廃棄物・リサイクル対策部長、廣木企画課長
山本廃棄物対策課長、松田補佐、若林補佐、大庭補佐、切川係長
パシフィックコンサルタンツ株式会社
上田

議題

  1. 開会
  2. 検討委員会の運営について
  3. 議事
    1. (1)災害廃棄物対策に関するこれまでの取り組みについて
    2. (2)今後の検討の進め方について
  4. その他
  5. 閉会

配付資料

資料1
巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会 委員名簿
資料2
巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会開催要綱(案)
資料3
災害廃棄物関連の主な国の動き(阪神淡路大震災発生以降)
資料4
阪神淡路大震災・東日本大震災と南海トラフ巨大地震・首都直下地震の概要
資料5
災害廃棄物対策指針の概要
資料6
災害対策基本法の概要
資料7
国土強靱化における災害廃棄物対策の位置づけ
資料8
廃棄物資源循環学会の災害廃棄物問題への取り組み
資料9
巨大地震発生に伴う災害廃棄物処理にあたっての課題について(たたき台)
資料10
今後の検討の進め方について
参考資料1
巨大地震発生に伴う災害廃棄物処理にあたっての課題
参考資料2
東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)

議事

(松田補佐)
それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会を開催いたします。
委員の皆様には、ご多忙の時期にもかかわらずお集まりいただき、ありがとうございます。
初めに、会議の開催にあたりまして、井上環境副大臣からご挨拶させていただきます。

(井上副大臣)
おはようございます。環境副大臣の井上信治でございます。
まず、委員の先生方には、第1回巨大地震発生時における災害廃棄物対策検討委員会の開催に当たりまして、ご出席を賜りまして感謝を申し上げたいと思います。
東日本大震災から、はや2年6カ月が経過をいたしました。多くの自治体、民間事業者にもご協力をいただきまして、おかげさまで災害廃棄物の処理が着実に進捗するものの、その過程におきましては、さまざまな困難を克服する必要がございました。
私も、就任後、被災地で行われている懸命な処理の状況や広域処理の果たした成果を確認し、災害廃棄物の処理が復興に向けた第一歩、大前提であり、一日も早い処理が求められているということを実感いたしました。
今後、東日本大震災をはるかに上回る規模の巨大地震が発生した場合、災害廃棄物が膨大に発生することが予測をされるため、既存の廃棄物処理システムの延長では災害廃棄物を迅速かつ適正に処理することが困難と考えられております。
政府におきまして、国土強靱化の推進に関するさまざまな施策を進めているところでありますけれども、平時において、巨大地震において発生する災害廃棄物対策につきましても、制度的な対応及び具体的な行動指針、行動計画をあらかじめ策定をして、万一巨大地震が発生した場合においても迅速に対応していく体制を整え、国民に安心していただくことが極めて重要と考えております。
まずは、本委員会におきまして、今年度中に基本的な方針を取りまとめていただくように、委員の先生方に、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
それでは事務局からですが、ここからはカメラ撮りはご遠慮くださいますようお願いいたします。ご退場をお願いいただければと思います。
また、一般の傍聴者の方におかれましても、写真撮影、ビデオ撮影はご遠慮いただき、携帯電話の電源もお切りいただければと思います。
また、事前に傍聴される方への留意事項としてお伝えしておりますけれども、傍聴に当たっては、審議の迷惑とならないように静粛にお願いしたいと思います。また、席をみだりに立たれたり、移動されたりするということもおやめいただければと思います。
それでは次に、本日は第1回目の会議ということですので、委員のご紹介と、環境省側の、事務局側の紹介をさせていただければと思います。
まず、お手元の資料に議事次第がございますけれども、めくっていただくと、今日の委員名簿、資料1の委員名簿と、それと座席表がございます。この座席表を見ていただきまして、事務局側から見て時計回りに50音別に委員の方を紹介させていただければと思います。
まず、一番最初に、京都大学環境安全保健機構附属環境科学センターの助教でおられます浅利先生でございます。

(浅利委員)
よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、愛知県環境部資源循環推進監の伊藤様でございます。

(伊藤委員)
伊藤でございます。よろしくお願いします。

(松田補佐)
次に、東京都環境局廃棄物対策部調整担当課長の宇山様でございます。

(宇山委員)
宇山でございます。よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター、センター長の大迫先生です。

(大迫委員)
大迫でございます。よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、早稲田大学大学院法務研究科教授の大塚先生です。

(大塚委員)
大塚です。よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、京都大学大学院地球環境学堂教授の勝見先生です。

(勝見委員)
勝見です。よろしくお願いします。

(松田補佐)
次に、愛媛大学農学部客員教授の貴田先生です。

(貴田委員)
貴田です。よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、日本環境衛生施設工業会技術委員会副委員長の近藤さんでございます。

(近藤委員)
近藤でございます。よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、京都大学環境安全保健機構附属環境科学センター、センター長の酒井先生でございます。

(酒井委員)
酒井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、全国都市清掃会議の佐々木専務理事でございます。

(佐々木委員)
よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、宮城県生活環境部の笹出次長でございます。

(笹出委員)
笹出と申します。環境省さんを初め、本日ご列席の方々のおかげをもちまして、順調にがれきは進んでおります。この場をおかりしまして改めてお礼申し上げます。ありがとうございます。

(松田補佐)
次に、高知県林業振興・環境部副部長の杉本副部長です。

(杉本委員)
杉本です。よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、国土技術政策総合研究所、沿岸海洋・防災研究部長の鈴木部長でございます。

(鈴木委員)
鈴木です。よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、日本プロジェクト産業協議会防災委員会の委員である永田さんでございます。

(永田委員)
永田でございます。よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、横浜市資源循環局の適正処理計画部長の濱田委員でございます。

(濱田委員)
よろしくお願いします。

(松田補佐)
次に、国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター主任研究員の平山先生です。

(平山委員)
平山でございます。よろしくお願いします。

(松田補佐)
次に、神戸市環境局資源循環部施設担当部長の福本委員でございます。

(福本委員)
福本でございます。よろしくお願いします。

(松田補佐)
次に、東京都環境公社理事長の森委員でございます。

(森委員)
森でございます。よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
次に、神戸市みなと総局技術部長の吉井委員でございます。

(吉井委員)
吉井でございます。よろしくお願いします。

(松田補佐)
次に、東北大学大学院環境科学研究所の吉岡先生でございます。

(吉岡委員)
吉岡でございます。よろしくお願いします。

(松田補佐)
なお、本日、九州大学の工学研究員の島岡教授は欠席ということでございます。
次に、事務局側の出席者を紹介いたします。
まず、井上環境副大臣でございます。

(井上副大臣)
よろしくお願いいたします。

(松田補佐)
また、谷津環境事務次官におきましては、30分到着がおくれて出席をするという連絡を受けております。
次に、梶原廃棄物・リサイクル対策部長でございます。

(梶原廃棄物・リサイクル対策部長)
梶原でございます。よろしくお願い申し上げます。

(松田補佐)
次に、廣木企画課長でございます。

(廣木企画課長)
廣木でございます。よろしくお願いします。

(松田補佐)
次に、山本廃棄物対策課長でございます。

(山本廃棄物対策課長)
山本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

(松田補佐)
また、次に、私、松田でございます。よろしくお願いします。
また、廃棄物対策課の若林補佐でございます。

(若林補佐)
若林です。よろしくお願いします。

(松田補佐)
同じく、大庭補佐でございます。

(大庭補佐)
大庭でございます。よろしくお願いします。

(松田補佐)
同じく、切川係長でございます。

(切川係長)
切川です。よろしくお願いします。

(松田補佐)
また、パシフィックコンサルタンツの上田でございます。

(上田(パシフィックコンサルタンツ株式会社))
上田でございます。よろしくお願いします。

(松田補佐)
その次に行きまして、配付資料の確認をさせていただければと思います。
お手元の資料をごらんいただければと思いますが、この議事次第の下に配付資料がございまして、資料1から10と、参考資料が二つございます。
まず、めくっていただくと座席表がございまして、その後ろに資料1の委員名簿がございます。その後ろに資料2の委員会の開催要綱、また資料3に、災害廃棄物関連の主な国の動きのパワーポイント資料、資料4について、阪神淡路大震災等の概要資料。資料5に、災害廃棄物対策指針の概要。資料6に、災害対策基本法の概要。資料7は、国土強靱化に関する資料。また、資料8には、廃棄物資源循環学会の災害廃棄物問題の取り組みということで、資料をつけております。なお、これに関連して、机上に学会さんのほうから災害廃棄物分別処理実務マニュアルが配付されております。また資料9、巨大地震発生に伴う災害廃棄物処理にあたっての課題についてのたたき台。資料10に今後の検討の進め方についてと。残り二つ、参考資料がついているということでございますが、もし資料のご不足等がございましたら事務局に申しつけいただければと思います。
それでは、引き続きまして、本検討委員会の座長を決めたいと思います。
後ほど紹介いたします開催要綱において、座長を互選で選定をするということでございますけれども、委員の方からご推薦はございますでしょうか。

(大迫委員)
災害廃棄物対策で大変見識の深い、京都大学の酒井先生を推薦いたします。

(松田補佐)
ただいま大迫委員から酒井委員を委員長にご推薦いただきましたが、いかがでしょうか。

(異議なし)

(松田補佐)
ご異議ないようですので、酒井委員を委員長にお願いしたいと思います。
それでは、酒井委員長から、よろしくお願いいたします。
早速ではありますけれども、一言、ご挨拶をお願いしたいと思います。

(酒井委員長)
それでは、ご指名でございますので、この後の進行役、務めさせていただきたいと思います。
一言、進行に当たりましてご挨拶申し上げます。
今回の、この巨大地震発生時における災害廃棄物対策、先ほど井上副大臣のほうからご紹介ございましたとおり、既存のシステムの延長線上では対処不可能という、こういう中での検討ということのご指示をいただいたわけでございます。南海トラフにいたしましても、首都圏直下にいたしましても、相当想像力たくましく頭をひねりながら進めなければ、多分対処できない案件であろうという理解をしております。そういった意味で、ぜひとも、委員の皆様、また関係の皆様におかれましては、ご自身のこれまでのご経験、あるいは世界を見渡してのご知見、さまざまな側面からの知見の提供を、よろしくお願いしたいというふうに思います。
この審議の中では、理想型を意識しつつも、実現可能な方策、これを念頭に置いて審議を進めさせていただきたいというふうに思っております。いい基本方針が立ちますよう、ぜひ皆様方のご協力、よろしくお願い申し上げたいと思います。
ご挨拶にかえさせていただきます。
それでは早速、審議に入らせていただきたいと思います。
今回、主に、この委員会の進め方、それから過去の災害廃棄物に関する取り組みに関する知見、また今後の検討の進め方について、ご議論をいただければというふうに思っております。
まず、本格的な審議に入ります前に、資料1の、この巨大地震発生時における災害廃棄物検討委員会の開催要綱案につきまして、事務局のほうからご説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

(松田補佐)
それでは、事務局から資料2の、この検討委員会の開催要綱案について説明をさせていただきます。
まず、1.の趣旨及び目的ということでございます。環境省では、阪神淡路大震災の教訓から、平成10年に「震災廃棄物対策指針」を策定して、自治体におかれる震災廃棄物の処理計画の策定を支援してきたところです。しかし、東日本大震災が発生をして、非常に膨大な量の廃棄物が生じて、その震災廃棄物の処理計画を策定している市町村におかれましても非常に混乱が生じたところでございます。
一方で、東日本大震災をはるかに上回る規模の巨大地震、南海トラフ巨大地震や首都直下地震ということでございますが、これについては東日本大震災で発生した災害廃棄物の5から13倍が発生すると予測されるだけではなくて、また南海トラフ巨大地震では広範囲にわたって津波被害がもたらされ、首都直下型地震では首都機能が麻痺するということであり、なかなか指針に基づく取り組みや既存の廃棄物処理システムの延長では、災害廃棄物を迅速かつ適正に処理するということは困難であるというふうに考えられます。
また、巨大災害に備えて、国会のほうでは、南海トラフ地震対策特別措置法案などの法案の制定が進められようとしております。また、内閣官房では、国土強靱化推進室が設置をされまして、ことしの8月8日にまとめられた「国土強靱化の推進に向けたプログラムの対応方針と重点化について」の、今後の対応方針において、この東日本大震災を上回る規模の巨大災害に備えて所要の検討を行うということとされております。
このようなことから、本委員会を設置をして、廃棄物処理システムの強靱化に関する総合的な対策の検討を進めていくということが、この会議の趣旨及び目的ということでございます。
次に、この本委員会の設置及び運営ということでございます。この委員会を行うに当たって、今年度の廃棄物分野の巨大地震方策検討業務を実施するに当たって、環境省から業務委託を受けたパシフィックコンサルタンツ株式会社が、廃棄物資源循環学会の協力を得て、具体的な災害廃棄物対策について検討するための委員会を設置して、その運営を行うということでございます。
次に、後ろに行きまして、委員会の構成ということで、ポイントについて説明をいたします。三つ目にございますが、本委員会においては、円滑な議論に資するため、委員長の指示でワーキンググループを開催して、実務的な検討作業を行うということでございます。また、委員会の会期は平成26年3月31日までとして、委員の任期も同じということでございます。また、委員会では、必要に応じて委員外の知見を有する者からも意見を聴取することができるというふうにしております。
4のその他ということでございますが、この委員会、また会議資料、これは原則公開という扱いということでございます。一方で、ワーキンググループについては、実務的な検討作業を進めるため、非公開ということで考えております。
ポイントとしては、以上でございます。
事務局からは、資料の説明、以上でございます。

(酒井委員長)
開催要綱案をご説明いただきました。この要綱案に関しまして、ご質問、ご意見はございますでしょうか。
よろしければ、この開催要綱に基づいて本会議を運営させていただきたいと思います。
先ほど、要綱の中の3の(3)(4)で既にご提案いただいておりますけれども、ワーキンググループをつくりまして、そこで議論いただいたことを、この検討会に諮っていただきたいというふうに思っております。具体的に参加いただく先生方に関しましては、事務局と相談をいたしまして、ご指名をさせていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
それでは早速、議事のほうに入らせていただきます。
最初に、災害廃棄物に関するこれまでの取り組み、国の取り組み、そして学会の取り組み、加えて最近の政府の動向等の事実関係を中心に、事務局の環境省と、それと廃棄物支援循環学会のほうから説明をお願いしたいと思います。
それでは、資料3から順にお願いいたします。

(切川係長)
では、資料3について説明させていただきます。
ここでは、災害廃棄物関連の主な国の動きについてまとめております。
平成7年に発生しました阪神淡路大震災の経験を受けまして、平成8年に、旧厚生省で防災業務計画の策定、平成10年に震災廃棄物対策指針の策定、平成10年に、旧厚生省で、特に大都市圏を対象にしまして震災廃棄物処理に関する重要事項を取りまとめ、平常時から復旧・復興に至るまでの具体的対応について記載し、正確な情報把握と、震災廃棄物処理に対応した組織体制での廃棄物の迅速な処理を図ることを基本に書かれた、大都市圏災害廃棄物処理計画策定の手引きが策定。平成17年には、平成16年度に発生した集中豪雨や台風による水害が頻発したことを受けまして、水害廃棄物対策指針が策定。平成22年には、災害廃棄物処理に係る広域体制整備の手引きとしまして、広域的な巨大地震や大都市直下での地震の発生を想定した手引きが策定されました。平成23年に、東日本大震災を経験したということになります。
めくっていただきまして、次のところの、各指針の目的及び内容のところに、今、ご説明させていただきました内容の概要を記載させていただいております。
ここは省略させていただきまして、次に行きます。
東日本大震災においては、地震による大規模な津波により膨大な量の災害廃棄物が発生したために、災害廃棄物及び津波堆積物の円滑な処理を推進するために、ここに示すように、特例措置としまして、この処理事業に係る費用に関しては、全額国として措置をするという特例措置。そして、2番目に示すように、処理体制の整備を行っております。
めくっていきまして、5ページ目に移ります。
さらに、処理に係る法令上の措置等としまして、産業廃棄物処理施設において一般廃棄物を処理する際における届け出の期間を短縮できるという措置を23年3月31日に出しております。その後、随時、コンクリートくず等の廃棄物を安定型処分場において処理する手続を簡素化するという特例措置を5月に。7月には、再委託における特例措置法。8月には、東日本大震災により生じた災害廃棄物処理に関する特別措置法を公布しております。翌年の24年5月に、可能な限り再生利用を進めるよう通知をするということで、東日本大震災からの復旧復興のための公共工事における災害廃棄物由来の再生資材の活用に関する通知を出しております。その他、被災した自動車、家電リサイクル法対象の品目やパソコン、そしてアスベストやPCB廃棄物等の有害廃棄物の取り扱いについては、必要に応じ、随時各自治体に周知をしてきたところであります。
めくりまして、それ以外にも、処理に関する指針というものを策定させていただいております。
地震が発生した直後には、東北地方太平洋沖地震における損壊家屋等の撤去に関する指針としまして、倒壊した家屋や自動車、船舶等に関して、ある一定の条件を満たしたものに関しては、所有者等に対する連絡・承諾がなくても撤去して差し支えないという指針を取りまとめております。5月には、マスタープランとして、東日本大震災に係る災害廃棄物の処理といたしまして、処理指針の体制や財政の措置、処理方法、そして、スケジュールです。本年度末までに処理を完了させるというものを取りまとめております。7月には、津波堆積物の処理の指針を取りまとめまして、8月に放射能汚染への懸念に対応するために、広域処理を行うに当たっての安全性の考え方や確認方法等をまとめた広域処理の推進に関するガイドラインというのを策定しております。
めくっていただきまして、東日本大震災の今の処理の状況なんですけれども、全体で13道府県で約2,000万トンの災害廃棄物の発生、そして青森県から千葉県までの6県において、約1,000万トンの津波堆積物が発生しております。これは順調に処理が進んでおりまして、福島県の一部を除きまして、今年度内には処理が完了する見込みで進んでおります。
続きまして、その次のところが、岩手県と宮城県の2県をまとめたものの処理の進捗の状況なんですけれども、縦軸に処理の割合を示しておりまして、このように進んできたというものを取りまとめている状況でございます。
めくっていただきまして、ここまでは東日本大震災のことで、巨大地震に関する国の動きとしましては、政府中央防災会議が平成17年から首都直下地震大綱をまとめまして、翌年18年には、地震防災戦略の策定。24年8月には、南海トラフの巨大地震モデル検討会を開催し、その内容として、被害の状況の推計結果を取りまとめられております。翌25年3月には、被害の想定として、施設の被害や経済的な被害を取りまとめられています。25年3月には、環境省から災害廃棄物対策指針の改定の暫定版を出させていただいております。6月に災害対策基本法の一部を改正しまして、この8月には、「内閣官房より、国土強靱化の推進に向けたプログラムの対応方針と重点化について」を決定いたしております。
以上になります。

(若林補佐)
続きまして、資料4です。阪神淡路大震災・東日本大震災、そして南海トラフ・首都直下地震の概要ということで説明させていただきます。
まず阪神淡路大震災ですが、これは局所的かつ大規模な地震でありました。東日本大震災におきましては、広範囲でかつ大規模地震であり、さらに津波の発生がありました。
下の欄です。災害廃棄物量、これは、双方の震災とも約2,000万トンの廃棄物が発生しております。さらに、津波堆積物量でありますけれども、東日本大震災で約1,000万トンの発生がありました。
それぞれの特徴でありますけれども、一番上の欄になります。阪神淡路大震災におきましては、人口が密集した都市地域における局所的な被害がありました。さらに、被害は神戸市を中心に活断層に沿った比較的狭い地域で起こっております。被災自治体は、大中規模の都市が多い状態でありました。コンクリートの建物とか、構造物の損壊による不燃物系の廃棄物が比較的多い状態でありました。一方、東日本大震災でありますけれども、リアス式海岸地域と農業・漁業が多い地域における広範な被害がありました。さらに、津波を伴う広範囲な被害が発生し、様々な物質が混合して廃棄物になっていきました。被災自治体ですけれども、これは仙台市以外は小規模な都市が多い状態でした。木造の損壊家屋の由来の木くずが比較的多い廃棄物でした。さらに、津波堆積物のまざった塩分を含む廃棄物がありました。一部地域では、原発事故による汚染廃棄物が発生しております。
続いて、めくっていただきまして、今後想定されている巨大地震の内容について説明させていただきます。
まず南海トラフ巨大地震ですけれども、これは広範囲かつ大規模地震であり、津波の発生が予測されております。一方、首都直下地震、これは局所的であり、大規模な地震が想定されております。
特徴を拾い出しまして、説明をさせていただきます。いずれも60%から80%と非常に高い確率で30年以内に発生が予測されております。
下から2番目の廃棄物発生量ですけれども、南海トラフの場合は最大2.5億トン、東日本大震災と比べて約13倍。首都直下地震ですが、最大約1億トンで、東日本と比べて約5倍という発生量が予測されております。
さらに、推定津波堆積物量でありますが、南海トラフに関しては約5,900万トンという発生量が予測されております。
次に特徴でありますけれども、南海トラフの場合ですけれども、津波による広範囲な被害が24都府県にわたって発生するということです。さらに、混合の廃棄物で塩分を含む廃棄物の発生。さらに、災害廃棄物の輸送路・仮置場・処分場の確保が非常に困難な状態になるであろうということが予測されています。首都直下地震の特徴です。狭い地域に膨大な量の災害廃棄物が発生し、首都機能が麻痺する。さらに、首都機能回復のために早期の処理が必要になってまいります。また、廃棄物関連においても中枢機能が喪失されるということが予測されます。
以上、巨大地震及びこれまで発生した地震の内容です。
続きまして、資料5に基づいて、昨年度から今年度にかけて改定を進めております災害廃棄物対策指針の概要について説明させていただきます。
背景と目的です。
阪神淡路大震災の被害をもとに、災害廃棄物対策指針、これは平成10年10月に策定をしております。これをもって自治体における震災廃棄物処理計画の策定を支援してきております。続いて、東日本大震災では、津波の発生と、さらに大きな被害が発生し、計画を策定していた地方公共団体においても、災害廃棄物の処理に大変苦慮した状態になっております。さらに、東日本大震災において発生した災害廃棄物を処理するに当たっての課題を整理した上で、地方公共団体の意見を踏まえた検討を行っております。平成25年度に一応改訂を終了する予定であります。災害廃棄物の処理の技術的な情報を盛り込んだ実用的なものを考えておりまして、地方公共団体を支援してまいります。
下に、指針の位置づけの図が書いてありますけれども、本指針は、災害対策基本法に基づいて、環境省防災実務計画、都道府県地域防災計画及び市町村地域防災計画にのっとって、地方公共団体が災害廃棄物処理計画を策定するに当たっての基本的事項を取りまとめているものであります。防災計画のほうの変更でありますけれども、これは、大地震を踏まえた地震、津波対策の抜本的な強化を行っております。それに合わせ、環境省防災業務計画の見直しもされており、主に国が実施する内容を定め、地域的に防災計画の作成基準となるように事項を改めて定めております。その上で、都道府県、それから市町村、それぞれの防災計画を有機的に関連した計画を策定していくと。そういう方向性を持って、災害廃棄物対策指針の取りまとめを進めております。
裏をめくっていただきたいと思います。災害廃棄物対策指針の内容であります。
本指針では、被災市町村及び支援市町村、この両方を想定して策定をしていっていただくということを基本にしております。それから被災都道府県及び支援都道府県、これも想定して、都道府県の災害廃棄物処理計画について、災害発生前、災害応急対応時期、災害復旧・復興時期、この三つの時期に分けた観点から必要となる事項を示しております。
それぞれ、都道府県の計画及び市町村の計画がつくられるわけですけれども、それぞれ、想定被災規模の統一、広域的な視点の検討、連絡体制の調整、それから市町村及び都道府県それぞれの計画との整合性、こういったものを考えて指針の内容をつくっております。
以上、説明を終わります。

(松田補佐)
引き続きまして、事務局からの資料6と7につきまして説明したいと思います。
まず資料6の災害対策基本法の概要ということでございます。
この法律は、伊勢湾台風を契機として昭和36年に制定をされた災害対策関係法律の一般法ということでございまして、災害対策全体を体系化して、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図ることを目的として制定をされているものでございます。
この災害対策基本法について改正がございまして、これについては東日本大震災を踏まえて、いろいろな諸課題があったという点について、中央防災会議の防災対策推進検討会議の最終報告、これが平成24年7月に出たわけですが、これを踏まえて、さらに改正を実施したということでございます。
法律の概要にございますけれども、廃棄物関連という部分につきましては、最初の1の大規模広域な災害に対する即応力の強化という部分の災害応急対策に関する部分ということでございます。災害応急対策の措置ということで、廃棄物処理の特例措置がございまして、著しく異常かつ激甚な非常災害、これは東日本大震災クラス以上ということでございますが、廃棄物処理を迅速に行う観点から、廃棄物処理の特例措置を定めることができるとされていまして、こういった非常災害が発生をしたという場合には、その災害を政令で指定をした上で、環境大臣は、その災害の指定があったときには、期間を限り廃棄物処理を迅速に行わなければならない地域を特例地域として指定をすることができると。その特例地域を指定したときには、特例的な廃棄物の処理基準、委託基準を規定するということとされております。後ろ側には、その特例規定の抜粋を参考までにおつけしております。
次に、資料7に行きまして、国土強靱化における災害廃棄物対策の位置づけということでございます。
これは、昨年の暮れに新政権になって、基本方針が12月26日に閣議決定をされていまして、老朽化インフラ対策、事前防災のための国土強靱化の推進という点が入っているということでございます。ことしの1月25日に、内閣官房に国土強靱化推進室が設置されまして、また、国土強靱化に関する有識者会議、ナショナル・レジリエンス懇談会も開催をされているということでございます。また、あわせて関係府省庁連絡会議も開催をしているところでございますが、そこで国土強靱化を確保する上で事前に備えるべき目標というのを第2回の会議に決定をしております。また、あわせて、回避すべき起こってはいけない事態ということで、45の起こってはいけない事態ということが第3回の連絡会議で決定したわけですが、この中に大量に発生する災害廃棄物の処理の停滞により復旧・復興が大幅におくれる事態というのが折り込まれたということでございます。
その後、こういった起こってはいけない事態に対応するための対応方針ということで、施策分野別の対応方針と、これは、12の施策分野の対応方針があるということでございますが、この中に廃棄物関係ということで、南海トラフ等の巨大災害に備えた広域的な処理体制の整備を行う、またはストックヤードの整備を行う、備蓄倉庫・資機材等の確保などの対策を含めたグランドデザインの検討を行うということが、関係府省庁連絡会議で決定をしております。
そのようなことから、国土強靱化においても災害廃棄物対策が重要な施策に位置づけられているということでございます。
また、今後内閣官房におりますと、国土強靱化に関する施策の策定にかかわる指針となる政策大綱の案をつくっていくということとされております。
資料6と資料7の説明は、以上でございます。

(酒井委員長)
では、資料8、廃棄物資源循環学会のほうからご説明お願いします。

(浅利委員)
京都大学の浅利です。廃棄物資源循環学会からの報告ということで、説明させていただきたいと思います。
資料8と、あと委員の皆様方には、この書籍「災害廃棄物分別処理実務マニュアル」がお手元にあろうかと思いますので、こちらを使いながらご説明したいと思います。
まず、資料8の1ページ目では、主に東日本大震災を受けた廃棄物資源循環学会の取り組みの経緯をお示ししております。表の1を見ていただきますと、時系列で整理されているかと思いますが、こちらの実務マニュアルをお持ちの方は、できましたら、めくっていただいて、カラーで写真とともに簡単にご説明しているページが数枚ございますので、見ていただければと思います。
まず、冒頭のところで、3月11日、これは仙台市の写真でございますけれども、東日本を大地震が襲いまして、その後、大津波が襲った状況の写真を掲載しております。
次のページめくっていただきまして、その後、直後から、学会メンバーを中心とした研究者の中から、何かしなければならないという声が上がったんですけれども、ちょうど震災発生後の1週間後、3月18日に、タスクチームという形でネットワークが立ち上がりました。基本的にはメーリングリスト等に登録をしていっていただくという形で広がっております。最終的には200人近くのメンバーが登録するということになりました。こちら、写真では3月24日から25日にかけた写真を掲載しておりますが、震災発生後2週間後にタスクチームを代表いたしまして、ここにも委員としてご参加の吉岡先生、そして平山先生、そして私の3名が、京都市から仙台市への支援職員を乗せたバスに便乗させていただきまして、現地に入りまして、現地と学会の皆様とのやりとりを始めたというところでございます。
その同じ見開きの右のほうで、現地のミッションはあくまで支援ということで書かせていただきましたが、やはりもう現地は外からの我々に構っているような状況ではないということで、当初、非常に気を使って現地に入りました。あくまで調査研究ではなくて支援をする、マンパワーとして使っていただいて結構だということで、こちら、岩手県庁での写真等載せておりますが、主に仙台市役所と岩手県庁の一角で、机をお借りしまして、そこで我々のメンバーが現地でどういうことが起こっているかということの情報収集をして、全国の専門家に、その情報を発信して、またフィードバックをいただくというやりとりを重ねてきた次第です。このページの下にもございますが、ちょうど4月4日の時点で京都から門川市長が仙台の奥山市長を激励で訪問された際に、我々が集めた知見をまとめて、マニュアルの第1版ということでだしました。まだ当時は非常に簡易なものだったんですけれども、リサイクルを前提とした、またスピーディーに、いかに効率的に分別処理を進めるかというマニュアルをまとめて、それをウエブでも公開しております。
次のページは、2週間後に現地に入りましてから約1カ月の写真です。メンバーの入れかわりも含めまして、宮城を中心に、岩手、そしてメンバーによっては福島ということで、さまざまな自治体を回らせていただきまして、現状を見せていただきました。本当に、場所によって非常に大きな違いがあることに衝撃を受けて、また、このとき、やはり津波堆積物という今までになかった新たな対策が必要とされるものを目の当たりにしまして、このあたりから、少し研究者としてやらねばならない課題の整理が始まったという状況がございます。
次、開けていただきますと、その後、皆様自治体のご努力で分別収集処理を始められる中で、我々としては、全国で講演、シンポジウム等を開催しまして、広域的な協力の呼びかけであったり、さまざまな課題の解決に向けた知見の集約、そういうことを進めてまいった次第です。
こちらのマニュアル自体は、発災からほぼ1年後に当たります2012年5月に出版させていただきました。まだ処理の計画をこれから実行するという段階のところもあり、少しでも現地で役立てていただく知見をご提供したいという思いと、あと、やはり、この震災を受けまして、全国各地での検討が本格化するだろうと。それに間に合わせたいということで、まだまだ最新の情報が盛り込めていない状態ではありますが、とにかくスピーディーにということで出版をしたという次第でございます。
お手元の資料8に戻っていただきまして、めくっていただきまして2ページ目、こちらには、災害廃棄物の種類と量ということで知見をまとめさせていただいております。先ほどの環境省さんの資料では、主に国内の情報ということでしたが、こちらの下の表2には、海外の災害での廃棄物発生量もお示ししております。ここ、先ほどの環境省さんの最新のデータでは、一番上にあります東日本大震災も、一番下にあります阪神淡路のほうも、2,000万トンという数字になっておりますが、こちら、各種論文等に出ておりました数字を拾ったものですので、その点はご了承いただきたいと思います。それに、東日本大震災に関しましては、2,000万トンに加えまして津波堆積物の1,000万トンが加わってくるというような形になります。
こうして並べてみますと、今回の災害でも非常に大きかったところが、南海トラフ、首都直下というところでは、さらに桁違いの廃棄物発生が懸念されると。また、ここ、ずらっと量だけを並べておりますけれども、災害、地域の違いによりまして、量だけではなくて質にも相当の違いがあると。そういうことも非常に加味して考えていかねばならないというふうに思っておりますし、また、海外から非常に東日本大震災の経験、日本の対策に関する知見が求められているというような側面もございます。この実務マニュアル、発行後から、また少し時間がたってしまったんですが、今年度の初めには、これを英訳しましたものをウエブと、あと論文にして掲載もしております。各国から非常に反響を多くいただいているところでございます。
次、3ページ目のところには、特に東日本大震災で新たに対策が求められました津波堆積物の発生と対策について、特出し的にご紹介をしております。お手元に書籍のほうをお配りしている委員の皆様方は、めくっていただきまして102ページからが津波堆積物のページとなっておりまして、こちらのほうでは図も交えながらご紹介をしているところでございます。これは、初期に現地に入った時点から、恐らく大きな問題になるだろうということで進めていった部分であります。サンプリング等もいたしまして、性状の分析、今回、幸い特段の汚染は見られないという結果が得られたわけですけれども、できるだけ復興資材等に活用するということを前提に書かせていただいたものです。ただ、実際、今現場では非常にこの処理、まだまだ苦労されている部分があるかと思います。このあたりは、今後書き込まねばいけない部分、そして復興資材へつなげていくというところは、まだ今後の課題かなというふうに認識をしておりますので、今回の議論の中で、ぜひそのような部分は盛り込んでいきたいなというふうに思っております。
次、4ページ目になりますが、我々も学会体として比較的早くから支援等の活動を始めたのかなと思いますけれども、今回、学術団体としましては、日本学術会議から、かなり早い段階で緊急提言が発出されております。その要点は、文書の中ほどに、1)から4)ということで上げさせていただいておりますけれども、まさに、この議論、これから続ける議論、これまでしてきた議論の要点が、ほぼ反映されている形になっているのではないかなと思っております。
そして最後の5ページ目のほうに入らせていただきます。今、先ほどからご紹介させていただいております書籍の発出ということですが、まず、環境省様のお持ちの各指針のご紹介。それから、今後、こういう災害に備えて、どういうふうに計画立案をしていくか。そして特に市町村様におきましては、ふだん扱われている一般廃棄物とは全く量も質も違うということで、細かな分別、処理の技術も合わせて紹介したマニュアルになっております。
特に意識しましたポイントをお手元の資料8の文章の中で確認しておきたいと思いますが、まず5ページ目の2段落目の部分に、一つ目のポイントということで、やはり量が非常に多いということもございますので、仮置場もしくは集積所、その選定と、そこに、いかに集めて、また今後処理して流していくかという動線、この確保がうまくいけるかということが、事前の備えも含めて非常に大きなポイントになるだろうということを第一のポイントとして上げさせていただいております。
次のポイントとして、私有財産の取り扱い。これは、各種指針等も発出されておりますけれども、特に今回のような津波の被害なんかに関しましては、これが大きなポイントになったということで上げさせていただいております。
そして、その次です。第3のポイントとしましては、組織体制、これは自治体内もありますし、また連携という意味もあると思います。さらには、我々学会のようなメンバー、また過去の被災自治体の経験を生かす、このような視点もあろうかと思います。時間経過によって大きく変わると思いますけれども、これも事前の備えが非常に問われる部分ではないかなというふうに考えております。
また、一番最後のページの冒頭に、少し特出し的に上げさせていただいております危険性のある廃棄物、これは、特に欧米の、こういう災害廃棄物の中で非常にセンシティブに対応している部分でもございます。これは、日ごろの、ふだんからの日本の廃棄物と有害性との向き合い方を改めて検討するという視点も含めて、廃棄物研究という視点からは非常に重要ではないかということで紹介をさせていただいております。
一応、以上が廃棄物資源循環学会の取り組みのこれまでの紹介となります。

(酒井委員長)
どうもありがとうございました。
資料3から8まで、これまでの国の取り組み、環境省の取り組み、そして学会の取り組みということでご紹介をいただきました。それでは、ここまでのご紹介いただいた内容に関しまして、ご質問等ございましたらお受けをしたいと思います。いかがでしょうか。
吉岡委員、どうぞ。

(吉岡委員)
東北大の吉岡でございます。
資料の6になりますけれども、災害対策基本法の中での特例規定というところで、抜粋というのがございます。ここを見ますと、災害が起こったときに、地域が迅速に処理しなければいけない地域から発生する廃棄物処理に関して、特定地域を指定して、そこで特例措置をとっていくと。その際には、廃棄物の収集・運搬、または処分を業として行うというところに、ある種、重きが置かれているように私としては見えるのですけれども、非常に大量に発生した廃棄物を迅速に処理するというところで、今回はリサイクルというのが非常に大きなポイントであったと。そうすると、ただ単に物を移動する場合の特例だけでいいのか。発生する形態、組成だけではなくて、発生する場所によっても、場合によっては廃棄物として非常に大きな規制がかかってくる部分と、あるいは迅速に処理するためのリサイクルをする部分とで、相当な壁があるというものも、ひょっとしてあるのかなと。そこに関しての特例的なものというのは、これは非常に、物によっては非常に危険であるとか、その場合には非常に厳しくしなければいけないというところとの非常にバランスが難しいとは思うんですが、その辺の物に対しての特例規定というのは、こういうところで議論できるのかどうかというところを、ちょっとご検討いただき、あるいは何か、それについてご回答があればお示しいただきたいと思います。

(酒井委員長)
お願いいたします。

(山本廃棄物対策課長)
ご指摘ありがとうございました。
災害対策基本法を受けての、実際に、どういう特例をつくっていくかと。条文上、収集・運搬・処分と書いてありますけれども、もちろん再生・リサイクルも含めて全体をカバーしますし、災害で出てくるさまざまなもの、これは全体をカバーした内容にしていく必要があると思っています。今ご指摘あったように、やっぱり、いかに災害時といってもしっかり守らなければいけない安全面はあると思いますが、ただ、本当に速くやっていかないといけない部分もあるので、そこをどう折り合いをつけていくかというのは難しい課題ではありますが、物に応じて、きちんとそのあたりは、今回の東日本の、いろんな教訓をしっかり生かしながらルール化をしておく。しっかりルール化して、実際に起きたときに、その起きた状況に合わせて、それをある程度アレンジしたもので素早くルールとして定めて動かしていくということを考えております。また、ルール化に当たりましては、先生方の知見をしっかりといただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(酒井委員長)
よろしいでしょうか。

(吉岡委員)
はい。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
では、ほかいかがでしょうか。
それではすみません、ちょっと1点教えてください。
先ほど、資料7で、内閣府のほうのご紹介をいただきましたが、この懇談会とか、あるいは省庁連絡会議、今後の見通しにつきまして、先ほど政策への反映云々という言葉、ちょっと一つございましたけれども、今後の動きにつきましてお話しいただける範囲でご紹介をしておいていただけると。いかがでしょうか。

(山本廃棄物対策課長)
今回の国土強靱化で、今、ご紹介したようなところまでで実際に目標とかが示されているわけですが、今回、こういったことも受けて、臨時国会に、関連の法案を提出するという運びになっております。実際に臨時国会で成立を目指すということになろうかと思いますが、また、それぞれの法律ができたら、それに乗っかって、その下に具体的な法に基づく計画等ができてまいりますので、それに沿って、環境省としては、先ほどご紹介したような、災害時に回避すべき起こってはいけない事態にどう対応していくのかという具体化を、さらに進めていく。まさに、この本日の検討委員会も、まさにその中の中枢となる大事な取り組みだというふうに考えております。また、国土強靱化に関連するような動き、今後の話につきましては、この委員会の中でも継続的に状況をご報告したいと思います。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
では、ほかにはよろしいでしょうか。
勝見委員、どうぞ。

(勝見委員)
勝見です。よろしくお願いいたします。
先ほどの吉岡先生のご質問とも関係するんですけれども、やはり最終的な行き場所と。リサイクルであり、処分でありだと思うんですけれども、そこを考えますと、環境省以外の省庁とのご関係をどういうぐあいに考えておられるのかというところが重要になってくるのかなと。
資料7を拝見いたしますと、国土強靱化の関係省庁連絡会議というものもございますけれども、今後、他省庁との、この問題に関する関係を、どのように進めていかれるのか、もしありましたらお願いしたいと思います。

(山本廃棄物対策課長)
ありがとうございます。
今回の検討をするときに、特に南海トラフだとか首都圏直下で大きな被害が起きたときに、やはり臨海部、津波も含めて臨海部の被害というのがものすごく懸念される。そういった対応をしていくときに、さまざまな関係省庁とも、協力していかなければいけないわけですが、特に今回、臨海部ということですから、港湾エリアでのさまざまな対応というのが重要ということで、特に国土交通省の港湾担当部局とは事前にいろいろとご相談もさせていただいておりまして、今回、委員のご参画という意味でも、自治体の部局も含めてご協力をいただいているところであります。
今年度、方向を取りまとめて、さらに来年度、それを具体的に、それぞれの地域で具体的な指針とか計画にしていこうと考えておりますが、特にそういった計画をつくっていくところになりましたら、それこそ、それに関連するような廃棄物部局だけじゃなくて、さまざまな部局にもご参画をいただいてやっていこうと思いますが、今後、テーマに応じて、それはしっかりと協力、連携をしながらやっていきたいと思っております。

(酒井委員長)
勝見先生、よろしいでしょうか。
ほかにご質問はございますでしょうか。
それでは、これまでの取り組みを頭に置きながら、次の資料で、災害廃棄物処理に関する課題についてご審議をいただきたいと思います。その中で、今の資料3から8に関しまして、また、さかのぼってご質問等ございましたら、その中で述べていただければというふうに思います。
この課題でございますけれども、先ほど環境省からご紹介のございました災害廃棄物対策指針の見直しの作業の中で出てきたものを参考に事務局がたたき台として作成しているものでございますので、そういう趣旨でご議論をいただければというふうに思います。
それでは、資料9の説明を、よろしくお願いいたします。

(上田(パシフィックコンサルタンツ株式会社))
それでは、資料9、巨大地震発生に伴う災害廃棄物処理に当たっての課題について、事務局よりご説明させていただきます。
まず、本資料の位置づけですが、本検討委員会におきまして、巨大地震発生に伴う災害廃棄物処理に関する取り組みを皆様にご議論いただくために取りまとめたものです。この課題とは、災害廃棄物対策指針の検討に際して抽出された災害廃棄物処理の課題、災害廃棄物対策指針とは、これまでもご説明して頂いているとおり、このたびの東日本大震災を受けまして、現在改定作業を行っているものです。この検討に際して抽出されました課題、これに加えまして、南海トラフ巨大地震ですとか首都直下地震等の巨大地震発生時において想定される主な課題、これらを加えて整理したものになっております。
続きまして、本資料の構成についてご説明させていただきます。
本資料は、見ていただくとおり2列の表形式で整理させていただいておりまして、左の列が発生する事象ごとの課題、右の列が業務実施に当たっての課題を整理しております。
また、これらの課題を大きく三つの区分で時系列的に並べて整理しております。まず1番、初動期。発災後数日間を目安としております。2.で応急対応期の前半。発災から3週間程度を目安としております。裏面に行っていただきまして、3番、応急対応期後半から復旧・復興期としまして、発災から3年間程度を目安としております。これらの三つの区分で整理しております。
続きまして、業務実施に当たっての課題の列を見ていただきたいと思います。ここでは、大きな黒丸と小さな黒ポツに表記して分けて整理しているのがわかるかと思います。表の一番下のところに凡例をつけさせていただいていますが、大きな黒丸につきましては、特に事前対応を考慮すべき事項として区分して整理しております。
それでは、これから具体的な課題についてご説明させていただきます。ただ、複数課題がありますので、時間の関係もあることですから、時系列区分ごとに二つ程度課題を抽出しましてご説明させていただきたいと思います。
まず1番、初動期、発災後数日間ですが、1行目、発生する事象ごとの課題としまして、情報伝達系統の麻痺、指揮命令系統の混乱、また、各主体の役割分担等が明確でないということによる初動対応のおくれといった課題が発生することが想定されます。これに対応するため、業務実施に当たっての課題としまして、組織内の体制を早期に構築していくといったことが、特に事前対応を考慮すべき事項として考えられます。組織体制の構築の具体的な内容につきましては、例えば専門チームの立ち上げですとか、責任者の決定といった形で、こちらに括弧書きで書かせていただいていますので、ご確認いただきたいと思います。
続きまして、1.初動期の4行目、発生する事象ごとの課題としまして、廃棄物処理施設が被害を受けることによって稼働が停止するといったことが想定されます。そうならないよう、業務実施に当たっての課題としまして、廃棄物処理施設を災害へ対応できるよう強靱化していく。また、停電時にも施設稼働が可能な電力、水、資材等を確保していくといったことが、特に事前対応を考慮すべき事項として考えられます。
続きまして、2.応急対応期、前半につきまして、3行目、発生する事象ごとの課題としまして、災害廃棄物の処理ルートの確立が遅れるといったことが課題として想定されます。業務実施に当たっての課題としまして、まずどれぐらいの災害廃棄物が発生するのかといったことを都市構造に見合ったものとして推計していくということが重要になります。また、既存の廃棄物処理施設において、災害廃棄物をどれくらい処理可能であるかといった処理可能量を事前に把握しておく、推計していくといったことが、特に事前対応を考慮すべき事項として考えられます。
続きまして4行目になります。発生する事象ごとの課題としまして、仮置場、集積所、仮設中間処理施設整備に関する合意形成といったものが難航することも想定されます。これに対応するため、これらの事前の設置場所等を検討、また調整していくといったことが、特に事前対応を考慮すべき事項として考えられます。
続きまして、裏面に行っていただきたいと思います。
3番、応急対応期の後半から復旧復興期、発災から3年間程度において発生する事象ごとの課題としまして、上から5行目、下から2行目になります。災害廃棄物の広域処理が遅れるといった課題が発生することが想定されます。それに対しまして、災害廃棄物の発生状況ですとか処理状況から見ました国による広域的な災害廃棄物の処理、マスタープランといったものを策定しておくといったことが、特に事前対応を考慮すべき事項として考えられます。
最後になりますが、6行目、一番下になります。発生する事象ごとの課題としまして、広域処理する際の輸送体制の確保が難航すると。これは、大規模な被害を受けることによりまして、鉄道輸送網ですとか幹線道路網、港湾等も被害を受けることが想定されることから、そういった輸送体制を確保することが難航することも想定されます。これに対応するため、業務実施に当たっての課題としまして、広域輸送業者の活用等による輸送体制の確保といったことが、特に事前対応を考慮すべき事項として考えられます。
以上、1番・初動期、2番・応急対応期、3番・応急対応期から復旧・復興期と三つの時系列区分に沿って二つ程度課題を抽出しましてご説明させていただきました。
こちらについてご議論いただければと思います。
説明は、以上です。

(酒井委員長)
それでは、この災害廃棄物処理に当たっての課題、きょうの審議の一つのポイントでございます。委員の方からご意見、ご知恵をいただきたいと思いますが、その前に、その関連で参考資料の1というのもあわせてご準備をいただいていると思います。A3の横長の、課題ということでまとめていただいていますので、これと、先ほど資料9との関係を、簡単に説明しておいてください。

(上田(パシフィックコンサルタンツ株式会社))
それでは、参考資料の1をごらんいただければと思います。
こちらについても、災害が発生した後にどういったことをやっていかなければいけないのかといった業務について取りまとめた資料になっております。
上の列を見ていただきますと、こちらも初動期、応急対応(前半)、応急対応(後半)、復旧・復興といった形で、先ほどの資料9では三つの区分にしていましたが、こちらでは初動期、前半、後半、復旧・復興と四つに区分しまして整理したものになっております。
表面、裏面合わせまして三つの色分けがされていると思うんですけれども、表面の緑色のものについては、各主体、例えば被災市町村ですとか被災都道府県、国、また支援する側の地方公共団体、また支援する民間事業者といった方々が、初動期において体制を構築したりですとか、支援を実施するために、どういったことをやっていかなければならないのかといったことを整理しております。
続きまして、青色で色分けしているものですが、こちらについては、一般廃棄物処理施設に関することですとか、仮設便所等のし尿処理、また、避難所ごみについて、初動期から継続してやらなければいけないことですとか、応急対応期から始まることであろうといったようなことなど、どこで何をしなければいけないのかといったことを時系列に整理しております。
裏面についても同様に、災害廃棄物処理作業別の対応ということで、例えば、収集運搬ですとか、仮置場に関すること、撤去、解体に関することといったことなど、どういったことをやらなければいけないのかといったことを時系列に整理しておりまして、先ほどの資料9では、どれぐらい継続してやらなければいけないのかといったことは表記することが難しかったので、こちらの参考資料1のほうを見ていただきまして、いつからいつまでやらなければいけないのかということをご確認いただければというふうに考えております。

(酒井委員長)
どうもありがとうございます。
それでは、処理に当たっての課題につきまして、ご意見をいただきたいと思います。
まず、ご意見のある方、恐縮でございますが、名札を立てていただきまして、大体何名程度ご意見あるかを、把握をさせていただきたいんですが、いかがでしょうか。あまりおられないですか。ご意見のある方、ぜひ、名札を立てていただければと思います。お願いいたします。どうぞ、森さんもお立てください。
では、こちら、大迫委員のほうからまずご意見をお聞きしたいと思います。お願いいたします。

(大迫委員)
東日本大震災に関しては、被災自治体等の方も委員としてお見えですので、いろいろと、多分ご経験の中からご指摘いただけることもあろうかと思います。
この資料の9に関して、まだたたき台ということで、今後、これをいろいろと深めていけばよろしいかと思うんですが、今の資料の9に関して、これが、やはり自治体をある程度想定した書き方なのか、あるいはかかわる各主体全てに係っているような中で比較的最大公約数的にまとめた資料なのかと。そこのところを確認させていただいて、その上で、私のほうからは、やはり初動期の、国が、やはりいろいろな大方針、方向性あるいは基準等に関して、また予算の確保も含めて最初の出発点になりますので、国がいかに早く全体的な情報を把握するかと。そして、さまざまな知見を収集していくかということが最も重要な部分であるかと思いますので、ここの初動期の組織内の体制構築というところにもかかわるとは思いますけれども、国に関しては、さまざまなセクターから、いろんな人を、関係者を集めて早急に情報収集を図るということの重要性を改めて指摘したいというふうに思います。
以上です。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
では、引き続いて森委員、どうぞ。

(森委員)
私、参考資料1で、ちょっと気になったところが1点ございまして、もちろん、この左の表の中で災害廃棄物対策の対応、廃棄物の対応の中で、一般廃棄物、自治体が所有している施設での受入れ、これは大変今回のところでも貢献されたわけですが、一方、やっぱり民間での処理施設での受入れも、これは一方で大変貢献されたわけでございますが、今回、いろいろな調査の対象の中では、ここでは一般廃棄物だけしか書いてありませんが、民のところの範囲も、一つ対象なのかなと、ちょっとそこだけ疑問に思ったものですから言うわけであります。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
では、引き続いて貴田委員お願いします。

(貴田委員)
初動期から始まっているわけなんですけれども、今後起こり得るということで、まだ起こってはいない段階で、今考えねばならないことといいますか、それは、一つあってもいいんじゃないかなという気がしたのですけれど。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
では、引き続いて大塚委員お願いします。

(大塚委員)
この広域処理のところに関して、こういうことが起きないほうが、もちろんいいに決まっているんですけれども、今回の東日本大震災のときのように、低線量の放射性物質が絡む場合もなくはないと思うんですけれど、それについては、ここでは扱わなくてよろしいのでしょうか。お伺いします。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
あと、勝見委員、どうでしょう。11時半で退席されるとのことですので、この段階でご意見あれば言っておいていただいたほうがと思いますが。

(勝見委員)
特に先ほど一つ前の議題でも申し上げたのですけれども、これは、基本的に環境省さんのほうでのお立場ということで今のところまとめておられると思うんですけれども、これはたたき台ということでもございますので、今後、黒い大きい丸なんかは事前対応を考慮すべき事項ということで上げておられますけれども、これはぜひ早い段階で他省庁とも必要なものは調整をいただいて、対応準備いただくというようなことになるのかなというぐあいに思っております。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
それでは、とりあえず一回りご意見頂戴いたしましたので、今までの範囲の中で、事務局のほうからお答えいただけるところお願いいたします。

(山本廃棄物対策課長)
ありがとうございます。
まず、今回の資料9なんですが、柱書きのところに書いてありますように、災害廃棄物対策の指針の検討の中で出てきたというものですので、もともと指針が自治体向けに計画をつくっていただこうということでつくっているものですから、そういう意味では、ちょっと、本日のテーマからすると、やや狭い範囲の課題ということになろうかと思います。巨大地震を想定した場合、もっともっと広くいろんな課題があるということでありますが、議論のご参考ということでお出ししたものということで、まず理解をいただければと思います。
そういう意味で、大迫先生からありましたのは、まさにその点なんですけれども、自治体の計画づくりという視点で整理していますから、主体として考えた場合には、ある程度自治体を頭に置きながら、あまり主体ごとに分けずに整理をしていますので、国として何をやるべきなのかみたいなところは、こういう中ではクリアに出てきていないということはあります。そのあたりは、ご指摘も踏まえて、今後どういうふうに整理していくか工夫をさせていただきたいと思います。
もちろん、今回、こういうこともやらせていただいておりますように、国が全体をどういうふうにして、あらかじめの備えあるいは情報収集、あるいはそういったものを提供して支援をしていくというのは大変重要な役割だと認識をしております。
それから、森委員からご指摘あった点、これもまさにごもっともなことなんですが、先ほど申し上げましたように、指針の検討の中でということで、ちょっとそこのところがよく見えていないところがあります。特に、広域処理もそうですけれども、ある程度きちんと分別した状態でないと、なかなか自治体の焼却施設での受入れというのは困難で、むしろ初期の段階の混合した状態でありますと、民間の産廃業者の力を借りないととてもできない。実際の広域処理でも、そういったものの処理、難しいものの処理と合わせて、どうしてもリサイクルできないような残渣物の処分のところは、随分民間の産廃業者にお世話になっているということもありますので、具体的にどんなふうに、そういったものが円滑に使えるようになるかというのは、本当に大きな課題だと思いますので、そこは十分頭に置いてやらせていただきたいと思っております。
それから、貴田委員のご指摘の点なんですけれども、今回の整理が、先ほど黒の大きな丸と小さな丸で整理していて、事前にいろいろ考えて、しっかり、今、考えておかなければいけないことというのは黒丸の中の課題に内包されていることだということであります。どちらかというと、事前にやっておくべき話と、実際に起きてから、それに応じて、それをもとに柔軟に対応していかなければならないものというのは、それぞれ別にあるというのはそのとおりだと思いますので、これもまた整理の仕方だと思いますので、今後のいろんなご議論に使いやすいように、少しそこのあたりは工夫をさせていただければと思っております。
それから大塚委員からありました放射能の問題なんですが、中でも議論しましたが、とりあえず、今回の検討では、そこは少し脇に置いておこうと考えています。もちろん、こういった汚染は二度と起こしてはいけないものですが、絶対に起きないというようなことは言えないと思うんですけれども、その要素を入れてどういう対応をするのかというのは、折り込みづらいところもありますし、まずは政府としては全力で、そのようなことが起きないように取り組みを進めていくということでありますので、この巨大地震の検討の中では、とりあえずそれは脇に置かせていただければというふうに思っております。
勝見委員からは繰り返しのご指摘でありまして、本当に、そこは重要だと思っております。少し狭い範囲での課題抽出なので、余計にその点が見えないというところがありますので、むしろ、よその役所の目から見て、こういうことが必要ではないかというような課題の抽出だとか、そういった点も必要かと思いますので、関係省庁にも、いろいろとご相談をしながら、そのあたり、しっかりと整理をして、またご相談をしていきたいというふうに思います。

(酒井委員長)
ありがとうございます。的確にお答えいただきましたが、重ねて、この課題についてご意見、委員のほうからございませんでしょうか。

(杉本委員)
高知県の杉本と申します。
初めて見る資料なものですから、ちょっと唐突かもしれませんけれども、ちょっと教えていただきたいんですけれども、初動期のときに、災害廃棄物の発生量をどういうふうに把握していくかというのは、どういうような整理になるのかなということが、ちょっと気になります。我々のほうも、今、災害廃棄物の処理計画をつくる作業をしているんですけれども、やはり、かなりアバウトな数字でしかつかめていないものですから、実際に起こったときに、かなり幅があるということが起こると思いますので、その辺は、この中ではどういうふうに整理をされるのか、ちょっと教えていただければと思います。

(山本廃棄物対策課長)
技術的な面、委員からも補足をいただけるとありがたいと思っているんですが、もともと今回の東日本大震災では、当時、どれだけ出たかというのが、やはり航空写真で見て、実際に被災して、もうがれき化している、廃棄物になっているであろうというものを、写真と、建物の容積から原単位を掛けて、1戸当たり、木造家屋であればどのくらい出るだろうというような、そういうような計算でやっています。そこのところは、もともとあるものを写真なりで把握していたもので、このエリアでこれだけの被害が起きたら、どれくらいのがれきが生じているかというのは、そういう想定がベースにはなると思っています。ただ、今回、実際に東日本でやってみて、結構想定と違っていたのは、津波被害だったものですから、大分海中あるいは外洋に流れ出たものがあるということと、全面的に浸水はしたんですが、土台とか柱とかがしっかりと、残っているような場合、結構それをまた修理してお住まいになるというようなこともあって、実際にがれきにならなかったものも相当量あったりしまして、やはり、初期の見込みと実際に処理しなければいけなくなった量とか内容は、随分開きがありました。ただ、津波被害という意味では、今回のデータが非常に参考になると思っていますので、そういった、今回の経験、データ、実績をもとに、どういうふうに初期の段階で発生量を予測するのがいいか、それを、処理が進むに当たって、そんなふうに正値化していくのがいいかというのは、ぜひ今年度の業務の中で整理をしていこうと思っております。またその作業は、この検討会の委員の方にもご協力をいただいて進めていって、その成果については、こちらにもどんどんフィードバックをしていきたいというふうに思っております。

(酒井委員長)
ありがとうございます。高知県の杉本委員からのご指摘、極めて重要なポイントかと思います。発生量の推定の時系列的な対応をどうするんだという、こういうご指摘でございますけれども、このあたりに関して、特に実際、東日本で携わられた平山委員、何か追加のコメントあれば、どうぞご発言ください。

(平山委員)
平山でございます。
発生量の推定に関しましては、実際、東日本大震災で、あれほどの津波の被害といったものが、ある意味我が国では初めての経験でしたので、今回も、ある意味手探り状態、つまり、過去の経験からどこまでできるのかということでしたので、やはり、この検討会の中で、その東日本大震災の知見でありますとか、過去の我々日本の災害の経験を、どういう形で、そういう発生量の推計あるいは、それをどう災害対応業務に生かしていくのか、そういった部分に関しては、検討は進めていければなというふうに感じていますし、次の資料10の中にも、そういったことも入っていますので、その中で、いろいろ鋭意検討はできればというふうに考えていますが。

(酒井委員長)
恐らく、発災直後、ぱっと見てどの程度わかるんだと。その精度はどんなものかということをおっしゃってられるわけです。それを、どう上手に、次、リバイスしていくかという、そういうご指摘かと思いますので、その点は、また過去とはちょっと違う、また切り口で、ぜひ検討を進めていただければと思います。ありがとうございます。
ほかにございますか。
大迫委員、お願いします。

(大迫委員)
2点ほど発言させていただきたいんですが、1点は、先ほど貴田委員のほうからあった点に関して、要は、事前に備えておくべきことというのは、ここでは発生する事象に対応した形での課題、それへの対応として黒丸で書いていくと、そういう整理をしていただきましたけども、その中で、特に人材が不足するというような記載がいろいろなところであるかと思うんですが、人材というのは、人の数だけじゃなくて、やはり能力です。そういったものが大変重要かと思っていますので、いかに人材を、今回の東日本大震災で経験された方々のいろんなノウハウ等の継承も含めて、将来に向けてきちっと維持、あるいはそれを育成していくかというような点、その人材ということに関しても、もう少し踏み込んだ、今後検討が必要なのではないかということが1点であります。
それから、もう一つは、先ほど特例措置の話が災害対策基本法の関連でありましたけれども、特例措置に関して、その処理基準を、環境大臣がある程度被害の状況に応じて定めるということもあろうかと思うんですが、ただ、やはり、現場にはかなり多様性があるという可能性があるわけですね。そういう中で、一律に何か処理基準をがちがちに特例措置といえども出してしまうと、なかなか現場の状況に合致しないようなことが起こった場合に動かなくなるということもあるかと思いますので、そこは、より権限を県や市町村自治体に移行して、現場に応じて判断できるようにしていただくようなことも、今回やはり考えていくべきじゃないかというふうに思っています。そういった意味でも、逆に、市町村や、あるいは都道府県の人材が、それを的確に判断する能力ということも求められるわけでありますので、そういったことを全体感を持って、議論していく必要があるかなというふうに思っております。
以上です。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
それでは、引き続いて浅利委員、どうぞ。

(浅利委員)
ありがとうございます。
少し読み込み不足とか、要素的な指摘になるかもしれないんですけれども、今の課題の資料9の中の裏面の中で、いろいろな混合廃棄物が処分で先非常に苦労するという旨が記載していてだいておりまして、実際に、最近現場に行きますと、最後に残ってきているのが初期のほうの、やはり非常に混合状態がひどいようなものが相当苦労されているなという印象を持っております。そういう意味では、初動期のところにも、できるだけ混合を避けるような行を加えてはどうかなと、もしくは文言を加えてはどうかなと思っております。初期は人命救助が最優先になりますし、自衛隊、消防初め、重機が入って混合状態になっていくところはあるんですけれども、そこがいかにスムーズに災害廃棄物に移行していけるかというところも若干検討の余地があるのかなというふうに感じましたので、ご検討いただけるとありがたいです。
それと、裏面の復旧・復興期のところが3年程度というふうになっているんですけれども、今回、桁外れの災害も加味するというところで、この時間のタームをどう考えていくか。また、次の復興資材につなぐというような部分も考えますと、この時間の考え方をどういうふうにしていったらいいかというあたりも、お考えがあればお聞きしたいと思います。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
それでは、ちょっと私からも1点発言をさせていただきます。
資料9の初動の二つ目でございます。行政機能の一部喪失ということで比較的さらっと書き込まれているんですが、この一部のレベルによって、初動対応というのは決定的に変わってくる可能性があるのではないかという点です。特に首都圏機能の喪失ということがあれば、その機能喪失のレベルに応じてどういう準備をしておくかというところ、少なくても数段階程度は想定をしておいたほうが、後のスキームが全部変わってくる可能性があるように思っております。ですから、その点は、簡単に、一部喪失ということでの対応ということで簡単に、後、整理できるものではないように思っております。その点、どこまでできるかは、また一緒に頭をひねらせていただかなければならないと思いますけれども、指摘させていただきます。
平山委員、何かほかにありますか。

(平山委員)
今の酒井委員長と少し関連したことになりますが、次の東南海、あるいは南海トラフを考えますと、内閣府の資料等では24府県が被災するということですので、日本の半分の府県が被災する。そういった中で、本当に、例えば支援体制を組めるのかといったようなことも非常に重要ですし、あるいは時間を考えたときに、災害廃棄物は迅速かつ適正な処理ということなんですが、次の南海トラフを考えると、かなり地域的な復興における差というのが出てくると思うんです。そういった地域の差をどういうふうに考えていくのか。裏面の3の広域処理の遅れの中に「発生状況あるいは処理状況から見た」ということが書いていますので、そういったところに含まれると思いますが、一律、こういう形でというわけにはいかない。いろんな被災状況であるとか、それも、初動から復興から、さまざまな違いが出てくると思いますので、その違いをどういうふうに考えていくのか、そういったことも検討課題としてはあるのではないかというふうに考えますが。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
それでは、第二ラウンドのご意見、この辺でよろしいでしょうか。
大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
先ほど大迫委員からご指摘のあったところ、大変重要な点だと思うんですけれども、今回の東日本大震災で災害対策基本法の86条の5の3項ということだと思いますが、ここでは、お困りになったようなことは関連自治体でおありだったのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
あと、環境省の方でもどう対応されたかということも、お伺いしたいと思います。やはり、環境大臣が処理基準を決めるのは、一方で非常に大事だと思っていますが、自治体との関係で結構時間的に困ることが出てくるかもしれないので、どういう状況だったかということを教えていただけるとありがたいと思います。
(酒井委員長)
それでは、ご質問を含めてお願いできますでしょうか。

(山本廃棄物対策課長)
それでは、コメントさせていただきます。
まず、大迫委員からいただきました人材の話なんですけれど、本当に、これはご指摘のとおりで、どう対応できるかというのは、基本は人の対応というのがものすごく重要だというところは認識しています。今回、いろんな形で、環境省も有識者の方々にも、いろんな支援もしていただきましたし、いろんな支援体制、取り組みをしました。恐らく、被災された宮城県におかれても、さまざまな工夫をされたと思っておりますので、それをどういうふうに生かしていけるのかというのは、具体的に、ここはしっかりと突っ込んだ検討をしていきたいと思っております。
それから災害対策基本法に関する特例の話がありましたが、大迫委員からご指摘のあった点は、そのとおりだとは思うのですけれども、どちらかというと、実際、廃棄物処理法って規制法ですから、割ときちんと基準、厳しい決め事を決めています。それを、そのまま適用すると、災害時にはなかなかうまく回せないという部分があって、むしろ、処理を円滑にいくようにするために、どの部分をどう規制を少し外すとか、弾力的に運用するといったようなところを考えていく特例だと考えておりますので、むしろ、それをあらかじめきちんとルールとして整理して、どんなふうに運用していけば現場が円滑に回るかというのを整理した上で、自治体にもあらかじめご意見を聞きながらやっていくことで、何か起きたときに慌てて法令をいじらなくて済むというようなことにしたいと思っておりますので、ご指摘の点は十分踏まえて、これからの作業は進めていきたいと思っております。
それから、浅利委員からありました混合廃棄物の問題、本当にそこは重要な問題で、やはり人命救助だとか初動でどうしてもやむを得ないところを除けば、できるだけ速やかに、その後の処理が、結果的には、それをやっておくことで後々の処理が円滑に迅速にできるというところですので、そこは、初動のところから念頭に置かなければいけない課題だということでありますので、そのあたり、また整理の仕方を少し工夫したいと思っています。
あと、3年程度というのは、たまたま阪神淡路大震災、あるいは東日本震災での年限の設定を3年ということにしているので、そういう意味では、それほど深い意味をここに込めているわけではないのですが、3年というのは、被災地の感覚からすると3回季節がめぐっていくというのは、ものすごく長い。がれきの処理というのは、復興のための、ゼロに戻すための作業ですから、それで3年より長期の期間というのは、なかなか設定するのが厳しいんじゃないか。阪神淡路大震災のときも、何とか3年、おおむね3年ぐらいで対応できたということもありまして、今回の東日本震災では3年というのを設定させていただいています。ただ、平山委員からもご指摘ありましたように、本当に日本の半分の県が被害に遭うような激甚な経験を越えるような被害があったときにどうかというのは、また別の問題があろうかと思いますが、一つの目安として、やはり、ゼロに戻すということを考えたときには、3年というのは、今回の震災では一つの目安として、それほど外れているものではないのかなと思っております。
それから、平山委員からご指摘のあった点は、本当に今回の検討の割と肝の部分かと思っています。東日本クラスの災害であれば、東日本の教訓をしっかり生かせば、ある程度対応ができるということかもしれませんが、それを越える対応ということになりますと、今回、南海トラフもそうですけども、本当に我が国の中枢都市がたくさんあるわけですから、それこそ、後で酒井座長からもご指摘ありましたように、そういう中枢機能が失われるようなことだってあるということになりますと、本当に自治体機能が一部だけではなくて、自治体によっては全く機能を喪失するというようなことも想定しなきゃいけない。だから、どういうことが起きるかというのは、酒井先生からもありましたように想像力を働かせて、そのときに我々は、この分野ではどういうことを備えておかなければいけないのかというのは、これからの検討、委員の皆様方からのご意見を聞きながら、こちらとしても頑張って整理をしていきたいと思っております。そういう大きな被害になりますと、当然、被害も本当に激甚なものから随分程度があって、本当に3年で見通しがつくところも、3年でもとても見通しがつかないところというのが出てくるかもしれませんので、そのあたりも、今の被害想定をもとに、もう少し精緻に、どういった被害が生じるかというのを見ていく中で考えていきたいと思います。
あと、大塚委員からご指摘あった基準のお話ですけれども、実は、こういったルールというのは、全く発想としなかったわけじゃないのですが、今回、これを決めるに当たりましては、先ほど申し上げたように、どちらかというと、がちっとした規制の中で、そうでない弾力的な現実を優先した処理をしていくためにはどういうルールをつくるかという観点でありますので、むしろ、これからの、どんな基準を用意していくのかというところで、いろいろ関係者の意見を聞きながら、これから、中身については、どちらかというとこれから議論をしていくということでありますので、その枠組みを今回こしらえたというように理解をしていただければと思います。

(酒井委員長)
今の整理でよろしいでしょうか。
ぜひ、最後、大塚委員からの特例処理基準ですね。東日本で、具体的にどういう事例があったのかというあたりは、また整理をいただきまして、次回にでもご紹介をいただければというふうに思います。よろしくお願いします。
それでは、次に進ませていただいてよろしいでしょうか。今の課題を受けてということになろうかと思いますが、全て、また検討会にはね返ってくる話でございます。今後の進め方ということで、資料10の説明をお願いいたします。

(松田補佐)
それでは、事務局から資料10の今後の検討の進め方について説明をいたします。
まず、1の関係情報の整理ということでございます。これは、先ほど議論がございました、災害廃棄物の発生量を推計するといったような点とか、あとは災害廃棄物の処理能力の推計が、処理能力がどれぐらいあるのかといったようなもの。あとは、今までの仕組みとか、既存の知見や情報、あとは本委員会の委員の皆様方、また、外部の知見を有する方からのヒアリングなどを踏まえて整理をしていきたいというふうに思っております。
災害廃棄物の関連情報整理という部分については、まさにこちらに示される点について整理をしていくということで考えておるということでございます。ここは、酒井委員長からもお話があったとおり、皆様方のご知見というのをぜひいただいて、整理をさせていただければと思っております。
次に2番目に、災害廃棄物の発生量の推計ということでございますが、まず①ということで、既存の推計手法を整理していこうと。その上で、推計値と実績値が、どういった差異があるのかというような分析をしていこうと。また、都市構造に応じて発生廃棄物の種類ごとに推計方法をどうすべきかということを検討していく必要があるだろうと。あとは、発災後の、先ほども話がございましたが、災害廃棄物量の推計方法、あとは処分、リサイクル量の進捗管理もあわせて検討していく必要があるだろうと考えております。
次に、二つ目に、巨大地震の災害廃棄物の発生量の推計ということで、地震規模ごとの種類別や地域別の発生量の推計。あとは、その発生量に応じた処分量や再生量の推計というのも、あわせて行う必要があるというふうに考えております。
次に、災害廃棄物の処理能力の推計ということで、この災害対応の賦存能力を検討すると。余力という部分も含めて、また、防災用設備の導入の可能性も含めてということで、市町村・県、また、さらに広いレベルの範囲、全国レベルという部分で検討していくということでございます。既存施設の余力はどれぐらいあるのかと、この点については、既存施設という部分の中でも、収集運搬、施設だけじゃなくて、収集運搬、また集積場とか、あとは選別やマテリアルリサイクル、あとは焼却最終処分といったものも含めた余力はどうなのかという点ですね。あわせて、災害廃棄物の発生量に比べて、既存施設だけでは足りない部分という部分が、どの程度必要になるのかという処理能力を見ていくということでございます。あわせて、緊急時の老朽施設を再稼働する方策、施設の耐震性・津波対策、また防災用設備としての追加的対策はどうなのかという点も考える必要があるだろうと思っています。
また2番目に、災害時インフラとしての機能評価として、電熱供給、またヤード、跡地利用、避難所利用の可能性はどうか。また、防災用インフラとしての電熱供給方法の検討や、災害時の廃棄物処理施設の継続機能というのをどう見ていくのかという点も、見ていく必要があるだろうと思っています。
次のページに行きまして、また、災害時の廃棄物処理施設を維持するための資機材、部品や薬剤、こういったものの確保状況や、それらの災害時に当たっての資機材の供給をする能力はあるかどうかと。この点、足りなくなったときに速やかに供給ができるのかという点も考える必要があるだろうと思っております。また、防災のために必要な機材の備蓄ということで、ごみ収集車やバキューム車、あとは自家発電機や仮設便所、こういったものの需要、あとは現在の備蓄状況、こういった点についても整理をしていく必要があるだろうと思っております。
2番目に、取り組みの基本的方向性ということで、1の関係情報の整理を踏まえて、二つの事項の取り組みの基本的方向性を検討してはどうかということでございます。
1番目に巨大地震への対応策の検討ということで、既存施設における廃棄物処理の促進方策。二つ目に、既存施設では不足する処理能力の対応方策。三つ目に、災害廃棄物処理に必要な資材の調達方策。四つ目に、広域処理体制の確保方策。五つ目に、先ほども議論がありましたが、法令面の課題と、その対応策。六つ目に、土地の確保に関する課題と、その対応策と。七つ目に、これらのものを統合したグランドデザインを作成をしていくということでございます。
二つ目に、防災用設備の導入と備蓄及び体制の強化ということでございますが、一つ目に、廃棄物処理施設の地震や津波への強靱化方策。二つ目に、災害時に有効な防災用設備の導入促進方策。三つ目に、必要な機材の備蓄確保方策。四つ目は、先ほども議論がございましたが、廃棄物関連の中枢機能の維持や、また処理体制に必要なマンパワーの確保方策をどうすべきか。また五つ目に、地方環境事務所の体制、及び、またその備蓄機能強化をどうしていくかと。この点について検討していただくということでいかがかと考えております。
三つ目に巨大地震に備えた制度的な対応と具体的な行動指針・行動計画の検討ということで、この2の取り組みの基本的方向性を踏まえまして、巨大地震に備えた災害廃棄物の処理に関する制度的な対応を検討するとともに、管内の自治体の災害廃棄物処理計画を把握した上で、広域的な廃棄物処理体制を図れるように、地域ごとに、国・自治体・事業者などが連携して巨大地震への対策や防災用設備の導入・備蓄及び体制の強化に関する地域ごとの具体的な方策を検討してはどうかと思っております。
これらの検討状況を踏まえまして、必要な広域処理体制構築のための具体的な方策を検討して、巨大地震に備えた国・自治体・事業者などが共有できる行動指針・行動計画の策定を目指してはどうかと思っております。
4に今後のスケジュールということで、今後、委員の皆様や外部の知見を有する皆様からのヒアリングや関係情報の整理を行った後に取り組みの基本的方向性の論点整理を進めて、年度内に中間的な報告を取りまとめるということでどうかということでございます。今年度の検討委員会の開催予定というのは、この表にあるとおり、本日第1回ということですが、今後、この会議も含めて6回の会議を年度内までに開催をして、中間的な報告を取りまとめていくということでどうかということでございます。ここでは、次回、次々回では、ヒアリングなどを行ってはどうかということでございます。また、その間にはワーキンググループを適宜開催をしていくということでどうかと思っております。
あわせて、この取りまとめの後、次年度以降、こういった巨大地震に備えた災害廃棄物の処理に関する制度的な検討を加えて、地域ごとに、国・自治体・事業者などが連携して具体的な方策を検討してはどうかと。これらの協議状況を踏まえて、検討委員会においては改めて広域処理体制構築のための方策を検討して、行動指針の策定を目指してはどうかと。その後、さらに地域の関係者による十分な協議を経て、地域ごとの行動計画の策定を目指してはどうかということで、こちらのほうに示しております。
資料10については、以上でございます。

(酒井委員長)
どうもありがとうございます。
本年度の具体的な検討の進め方、ご説明をいただきました。それでは、これに対してのご意見、ございましたら承りたいと思います。

(吉井委員)
神戸市で、みなと総局の技術部長をしております吉井と申します。
私、唯一港湾管理者の立場として入っておりますので少しご意見を言わせていただきたいのですが、実は、神戸市は震災から18年たちまして、やっと今年度から余裕資金が生まれて、新たな投資をやり始めたということがあるんですが、実はまだ18年経過して、私どもの埠頭株式会社などは、震災時の借金を返済している状況でございます。
実は、このたび検討していただく巨大地震につきましては、多分、自治体という形では、まず動けないと考えられますので、副大臣がおられますので、ここでは国・自治体との連携と書かれておるんですが、できましたら国策として入っていく部分をきちっと決めていただいて、その上で、各自治体内の連携が入っていくという形の整理をしていただけたらありがたいなと思っております。
それが一つ目でして、あと、私ども、多分、最終処分場は、海洋埋め立てに頼らざるを得ないと考えておりまして、それは、あくまで、やはり、どうしても東京湾なり大阪湾なり、伊勢湾もそうですが、港湾区域内での埋め立てになってくるということで、余裕を持って最終処分場を確保すること、これは重要だと思っております。ただ、将来的な港湾の機能は、なかなか維持できなければ難しいので、そのあたりは、私どもの意見を、ちょっとまた聞いていただきたいなと思っております。
あとは、例えば、重要なこと、私どもは震災をこうむりましたけれども、例えば、コンクリートなんかのがれきでしたら、実は私どもは、大規模埋め立ては昭和39年から延々とやっておりますけれども、例えば全ての埋立地は、安定型の処分場で同時に機能させております。これはなぜかと言いますと、神戸は六甲山を抱えておりまして、大水害があって、津波ではございませんけれども、六甲山からの土砂流出、これで家屋が全部やられるということがありまして、そういうことがあって、神戸市が埋め立てする場合、そういう災害時の処理も入るということで、実は安定型の処分場を同時に埋め立て地でかけておると。例えば、さきの私どもの震災でも、たまたまポートアイランドの第二期という埋立地がありましたので、港湾の埠頭用地の下に、不要になったコンクリートがれきを処分するということで、かなりの震災の対応ができたと。こういう埋め立て地にも簡単な手続が一つあれば対応できるものがたくさんあるとなりますので、そういうことを、まずお知らせさせていただきたいと思います。
もう一つは、私ども神戸港、大阪湾にございますけれども、大阪湾では、広域処理のいい事例として、フェニックス事業を現在稼働しております。これは、約170ちょっとの市町村が共同で参加して廃棄物の広域処理をやっていると。現在でも、大阪と神戸、合わせて大体1,000万立米以上の余裕ポケットは持っております。ただ、できたのが昭和56年の制度でして、少し時間がたちまして、制度はいいんですけれども、実は事業スキームが、少し問題が出始めております。こういうこともありまして、たまたま大阪湾にはいい広域処理の事例がございますので、例えばこれを一つのモデルとして見ていただいて、現在、どこに問題があって、余裕ポケットをどうやったら確保できるのかというのを見ていただいたら、かなりお役に立てるのかと思っておりますので、その辺もよろしくお願いしたいと思っております。
以上です。

(酒井委員長)
どうもありがとうございます。
引き続いて、ご意見いただきます。佐々木委員、どうぞ。

(佐々木委員)
ありがとうございます。
資料10の今後のスケジュールの中で、広域処理体制の構築というのが議論をしていこうということになっています。今回の東日本大震災のときには、県への事務委任というような方法をやられたり、あるいは一部の地区では直轄でやったりということになっておりますが、広域処理については、その地域内で、まずどういう備えをするかということ。さらに全国的な展開を想定していくということを基本的に議論されていくんだろうと思います。ここに書いてありますように、地域の関係者による十分な協議が大事だと思います。要するに、何でも動かせばいいんだということではなくて、効率的な広域処理が可能になるように、ぜひ、そういった観点で取りまとめていただければと思います。これは要望でございます。

(酒井委員長)
ありがとうございます。
では、引き続いて吉岡委員、どうぞ。

(吉岡委員)
非常に細かい話になるんですが、この資料10の(3)の①のところから、既存施設における余力のところで、矢印が引っ張ってございますけれども、その中で、マテリアルリサイクルによる賦存能力ということがあるんですが、その前のところではリサイクルという言葉になっておりますけれども、ここではマテリアルというのがあえてついているというところについて、何か意味があるのか。あるいは、現実的には多分マテリアルというので非常に圧倒的な量は処理されていると思うんですけれども、そのほかのリサイクルという、いわゆるこのマテリアルというものの定義というのを、どういうふうにお考えであるのか、ちょっとお聞きしたいんですが。

(酒井委員長)
では、鈴木委員、どうぞ。

(鈴木委員)
私は少し違うことを言います。多分、大変大きな地震が起こって、非常に多くの廃棄物が出ると、東日本大震災の場合は、とにかく早くやるということでやってやれたと思いますけれども、例えば、南海トラフの巨大地震津波になると、とにかく早く処理するというだけではできなくなるんじゃないかと思います。さっきは処分だけでも3年は苦しいんじゃないかという話がありましたが、それだけではなくて、日本の経済体力とか、政府の財政体力とか、そういったことまで、かなり厳しくなってくるんじゃないかという気がします。そういうことを考えると、基本は廃棄物の処分を考えるわけですが、経済にも影響を持ちますので、例えば工場は燃料を供給してくれれば結構助かりますし、あるいは廃棄物処分で雇用を、たくさんか、どのぐらいかわかりませんけれど、つくることができます。そういうのを考えると、できるだけ早くがいいかということがわからないと思うんです。だから最初に考えるときに、日本の経済、産業をどう考えるかとか、雇用をどう考えるかとか、費用をどう考えるかということを入れた上で最初の検討の方向を少し決めてやらないと、現実的な答えになかなかならないんじゃないかと思います。
それからもう一つ、我々は津波の防御もやっているんですけれど、そういうときに、南海トラフの大きな地震津波ぐらいになってくると、千年とか、それを越えるスケールになるわけです。それに対して、それのために例えば堤防をつくるかというと、多分、耐えられないわけです。同じように、この廃棄物処分でも、そういう非常に巨大な地震津波を考えるんだと思いますけれども、そのためだけに全部を抱えてやるみたいなのではなくて、いろんな施設だとか産業だとか、そういったふだん生きているものをうまく多目的に使って、要するにふだんはできるだけ持たずに、そういうものを使って処分していく。そういうような方向性を初めからもう少し意識してやっていくようなことが必要なのではないかと思います。
(酒井委員長)
ありがとうございます。
平山委員、どうぞ。

(平山委員)
1点です。
実際、この2ページ目のグランドデザインの中に入るかもしれませんけれども、こういったような巨大地震発生時に、どう国として克服していくのか、対応していくのかというふうに当たっては、やはりどこを目指すべきなのかという、そこが一番重要ではないかというふうに思っています。その目指すべきところ、一番最初に酒井委員長からありましたが、理想像と現実の中で、どこを目指していくのか。そのために、例えば2ページ目の対応策の、いろんな方策を、どういう形で、どこまでやっていくのかという検討になっていくと思いますので、どこを目指すのか、グランドデザインの中に入っているかもしれませんが、そこをしっかりと出していかないといけないのではないかというふうには考えますが。

(酒井委員長)
どうもありがとうございます。
議論の最後のほうに来て、極めて本質的といいますか、非常に難しいご意見も頂戴しつつ、かつ、神戸市の吉井委員からは港湾サイドからの、極めて現実的なところのご指摘も頂戴しております。ちょっとコメントが難しいかもわかりませんけれども、山本課長、可能な範囲でお願いいたします。

(山本廃棄物対策課長)
ありがとうございます。
最初、吉井委員からいただきました港湾のご指摘というのは、今回の検討の中で、非常に重要な部分が港湾との連携、港湾とどう協調してやっていくかというところであります。まさに未曽有の東日本を越えるような大きな災害があったときに、国策としてしっかりやるべき部分があるというのは、そのとおりだと思いますので、そのあたり、政府の中でもしっかり議論しながら検討していきたいと思います。
特にご紹介ありましたように、阪神淡路大震災での神戸のご経験というのは非常に参考になると思いますし、ご指摘ありましたフェニックスの位置づけ、フェニックスでどういうことができ得るかということも大きなポイントだと思いますので、ぜひそれは、次回以降の委員会の中でご紹介いただくことも考えさせていただければと思います。
それから、佐々木委員からありました処理体制の構築に当たって、地域での十分な協議、連携をして効率的にできるようにというのは、そういうことでないと、やはりうまく動かないと思っておりますので、よくよくご相談しながら、整理をさせていただきたいと思います。
それから、吉岡委員からご指摘があったマテリアルリサイクルのところは、特に深い意味を込めたということではないので、マテリアルリサイクルにとどまらず、再生利用、いかにリサイクルをうまく図っていくかというのは、圧倒的に処分先が足りないという状況になりますので、そこは重要な視点だと思っております。
それから、鈴木委員からは、本質的な難しいご指摘をいただいたと思います。まだ、我々も十分読み込んでおりませんが、これからこういった大きな災害を想定して、各分野で、さまざまな検討が深まっていくと思っておりますので、そういう中で、非常に厳しい想定をしたときに、我が国の経済産業がどういう影響を受けるのか、そういう中で、我々の、この分野でどういうことをやっていくことが必要なのかというのは、しっかり見きわめた上でやっていくということであります。今、方向として出ているのは、先ほど資料7でご紹介したように、こういった大きな災害が起きても、これが復旧・復興を大幅におくらせるような、足を引っ張るようなことをしてはいけないと、それは絶対避けるべき事態だというのが政府としての共通認識でありますので、その上に立って、具体の被害想定だとか、それによって経済産業がどういうダメージを受けるのかと、そういうあたりを具体的に見ながら、それを復興していくときに、我々としてどういうところに優先順位を置いて、どういうアプローチをしていくのかを整理をしていかないといけないと改めて思いました。
平山委員からありましたのも、これも非常に重要な指摘であります。今申し上げたような、大きく、こういうことを避けなければいけないというのはわかっていますが、じゃあ、どういうところを目指していくのかというのは、まだ、必ずしも具体的には提示できていないところですので、これも、各分野での検討を横目で見ながら、しっかりとこれから整理をさせていただきたいと思っております。
不十分かもしれませんが、以上です。

(酒井委員長)
どうもありがとうございます。
さまざまな質問、ご意見を頂戴いたしました。今後の検討を進めるに当たりましては、ワーキンググループにおいて、課題ごとに整理をして作業を進めていただければというふうに思っております。
では、時間が押しておりますので、全体を通じて、何かご注意、ご意見はございますか。
それでは、あと、その他ということでございますけれども、事務局から説明をお願いいたします。

(松田補佐)
皆様、ありがとうございました。
本日の会議の議事録につきましては、原案を作成しまして、また委員の皆様方にご確認をいただいた後、環境省のホームページに掲載する予定ですので、よろしくお願いいたします。
また、次回の検討委員会の日程につきましては、事前に調整の上、後日改めて、日時、場所等のご連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(酒井委員長)
それでは、本日、さまざまなご意見を頂戴し、どうもありがとうございました。
事務局におかれましては、今日頂戴いたしました意見を踏まえまして、次回の準備を進めていただきますようにお願いいたします。
それでは、これで第1回の巨大地震発生時における災害廃棄物対策の検討委員会、終了させていただきたいと思います。
本日は、どうも長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。

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