環境再生・資源循環

第1回PCB廃棄物早期処理推進ワーキンググループ議事録

日時

平成27年9月10日(木) 15:30~17:50

場所

JA共済ビル カンファレンスホール

開会

(角倉課長) 皆様お疲れ様でございます。定刻より若干早い時間ではございますが、皆様お揃いですので、ただいまから「第1回 PCB廃棄物早期処理推進ワーキンググループ」を開催いたします。
 まず、議事に先立ちまして、廃棄物リサイクル対策部長の鎌形から御挨拶を申し上げます。

(鎌形部長) 環境省の廃棄物対策部長の鎌形でございます。どうぞよろしくお願いいたします。第1回PCB廃棄物早期処理推進ワーキンググループの開催に当たりまして一言御挨拶申し上げます。委員の皆様、オブザーバーの皆様、本日大変お忙しいところを御出席賜りまして、どうもありがとうございます。
 PCB廃棄物については期限を切っての処理を進めていくということでございますが、昨年6月PCB廃棄物処理基本計画を変更したということで、その期限につきましては当初平成28年3月末ということでございましたが、JESCOの計画的処理完了期限が最長で平成36年3月末ということに延長されました。この際、施設設置の地元の皆様方から大変なお叱りをいただいたわけでございますけれども、期限の再延長は絶対にしないというお約束をしたところで、新しい計画の下にスタートしたところでございます。この処理期限内に1日も早い処理完了ということで、関係者一丸となってそれぞれ役割を果たすということが必要だというふうに考えております。
 基本計画に既に位置づけられた取組がございますが、1日も早い処理完了のためには現時点で挙げられている課題に対して追加的な方策も講じていくことが必要であるという問題意識です。そういう意味でこのワーキンググループにおいて御議論を賜っているというところでございます。
 JESCO北九州処理事業所のトランス・コンデンサの計画的処理期限は、実はあと3年半でございます。残された期間は非常に短いという状況です。その他の事業所につきましても、順次期限が来ます。こうした中で、期限内の1日も早い処理を進めていくということで、追加的方策の検討をお願いしたいと思っております。
 委員の皆様方におかれましても、活発な御議論をよろしくお願いしたいと思います。そういう意味でタイトなスケジュールで皆様に御検討をお願いしなければなりません。大変申しわけありませんが、是非とも御理解、御協力のほどよろしくお願いしたいと思います。
 私からの挨拶は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

(角倉課長) まずはこのワーキンググループですが、今回が第1回目ですので、議事に先立ちまして委員の皆様方、オブザーバーの皆様方、事務局につきまして私から簡単にご紹介させていただきます。御所属等につきましては、委員名簿が配付されておりますので参考にしていただければと存じます。まず、私の向かって右手側から着席順に御紹介させていただきます。
 電気事業連合会環境専門委員会委員長代理の中井委員でございます。
 日本鉄鋼連盟環境保全委員会化学物質分科会主査の高橋委員でございます。
 NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット事務局長の鬼沢委員でございます。
 上智大学大学院地球環境学研究課教授の織委員でございます。
 日本電気工業会PCB処理検討委員会委員長の親里委員でございます。
 早稲田大学大学院法務研究科教授の大塚委員でございます。
 京都大学環境科学センター長・教授の酒井委員でございます。
 北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議委員長の眞柄委員でございます。
 東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会委員長の中杉委員でございます。
 豊田市PCB処理安全監視委員会委員長の松田委員でございます。
 大阪PCB廃棄物処理事業監視部会の上野委員でございます。
 北九州市PCB処理監視会議座長の浅岡委員でございます。
 北海道環境生活部環境局循環型社会推進課廃棄物担当課長の田端委員の代理として、梶川代理人でございます。
 東京都環境局調整担当部長の野崎委員の代理として前川代理人でございます。
 豊田市環境部環境保全課長の近藤委員でございます。
 大阪市環境局環境管理部産業廃棄物規制担当課長の有門委員でございます。
 北九州市環境局環境監視部PCB処理対策担当課長の宮金委員でございます。
 以上の委員のほか、本日は御都合がつかずに御欠席ということでございますが、石油連盟技術環境安全部参与の田和委員、そして愛媛大学農学部客員教授の森田委員にも御就任いただいております。
 また、本日、中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業所が立地している5地域の地元関係自治体といたしまして、室蘭市、江東区、愛知県、大阪府、福岡県の御担当にもオブザーバーとして御出席いただいております。
 そのほかにもオブザーバーといたしまして、経済産業省産業技術環境局環境指導室から権藤越境移動管理官、同じく商務流通法案グループ電力安全課から磯部電気保安室長に御出席いただいております。
 また中間貯蔵・環境安全事業株式会社から東部長、緑部長にも御出席いただいております。
 さらにPCB廃棄物処理の技術的観点からの調査研究を長年行っていただいております産業廃棄物処理事業振興財団から長田次長にも御出席いただいております。
 続きまして私ども事務局についても御紹介させていただきます。
 冒頭、御挨拶をさせていただきました、廃棄物リサイクル対策部長の鎌形でございます。
 廃棄物リサイクル対策部企画課長の山本でございます。
 総合環境政策局総務課課長補佐の杉山でございます。
 産業廃棄物課課長補佐の中野でございます。
 最後に、申し遅れましたが、私は産業廃棄物課長を務めております角倉と申します。どうかよろしくお願いいたします。
 続きまして本日の配付資料の確認をさせていただきます。本日は議事次第、委員等名簿のほかに資料1、資料2と参考として関係資料集を御用意しております。関係資料集は、参考資料1から5が1つに綴じられたものでございます。
 また本日御欠席の田和委員から御意見を頂戴しておりますので、いただいた御意見についても席上に配付しております。御確認いただければと存じます。不足等がございましたらお知らせいただけますでしょうか。
 続きまして、本ワーキンググループの開催要領につきまして、私から簡単に御説明させていただきます。資料1を御覧ください。
 「PCB廃棄物早期処理推進ワーキンググループ」開催要領(案)です。
 目的です。平成26年6月に改定されたPCB廃棄物処理基本計画に定められた処理完了期限は必ず達成すべき期限であり、国、都道府県市、保管事業者、JESCO等の関係者が、その達成に向けてあらゆる努力を払うことが必要である。このため、これまでの取組の進捗状況を踏まえ、処理完了期限内に1日でも早く安全かつ確実にPCB廃棄物の処理を完了するために必要な追加的方策について検討を行うため、「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」の下に「PCB廃棄物早期処理推進ワーキンググループ」を設置する。
 2.構成(1)ワーキンググループは、学識経験者、事業者等の関係者及び自治体職員等で、別紙の委員をもって構成する。委員がワーキンググループヘ出席できないときは、あらかじめ主査の承認を得て、代理人を出席させることができる。(2)ワーキンググループには、主査の了解を得た者がオブザーバーとして出席することができる。(3)主査は、必要があると認めるときは委員以外の者に出席を要請し、説明又は意見を求めることができる。
 3.主査(1)ワーキンググループには、ワーキンググループを統括する主査を置く。(2)主査は、ワーキンググループの委員から検討委員会の座長が選任する。
 4.運営(1)ワーキンググループは、原則として公開するものとする。ただし公開することが適当でない場合には、主査の判断により非公開とすることができる。会議資料についても同様に、原則として公開とするが、公開することが適当でない場合には主査の判断により非公開とすることができる。(2)公開したワーキンググループの会議録及び議事要旨は、会議終了後に作成し、委員の確認を得た後、公開するものとする。  (3)上記のほか、ワーキンググループ、会議録及び議事要旨の公開に関し必要な事項は、主査が定めることができるものとする。
 5.庶務 ワーキンググループの庶務は、環境右大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課が担当する。
 以上、簡単に開催要領について御説明申し上げました。もし御質問等がございましたらお願いしたいのですが、特段ございますでしょうか。
 御質問等がないということであれば、この案をもちましてワーキンググループの開催要領とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 ただいま御説明させていただきました開催要領にあります、本ワーキンググループの主査でございますが、本ワーキンググループの親検討会である「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」の座長であります永田先生とも御相談させていただいた結果、京都大学の酒井委員に御就任をお願いしたいと考えておりますが、皆様よろしいでしょうか。

(うなずきあり)

(角倉課長) ありがとうございます。特に御異議がなければ、これ以降は主査の酒井先生に進行をお願いできればと存じます。
 報道関係の方のカメラ撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 それでは酒井先生、よろしくお願いいたします。

議事

(酒井主査) 御指名でございますので、この主査進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 先ほど鎌形部長のほうからタイトなスケジュールである旨の御紹介がございました。政策的に重要な課題の検討を短期間でということになりますが、どうぞよろしく御審議をお願いしたいと思います。重ねてお願い申し上げます。
 それでは、7月31日に開催された本ワーキンググループの親検討委員会におきまして、事務局からPCB廃棄物の処理基本計画に基づく取組の進捗状況と今後の課題について説明がございました。そして検討委員の皆様からさまざまな御指摘をいただいたところであります。本日はワーキンググループの第1回目ということでございますので、先日の親検討委員会の議論を改めて事務局から説明をしていただき、今後の課題を踏まえた追加的方策に係る御意見を頂戴したいというふうに思っております。
 ということで第1回の1つ目の議事に移らせていただきます。事務局のほうから親検討会で説明されたPCB廃棄物処理基本計画に基づく取組の進捗状況と今後の課題につきまして、またその際に出ました検討委員からの御意見について、御紹介と御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(中野課長補佐) 環境省産業廃棄物課の中野と申します。私のほうから資料2、それから参考でつけさせていただいております関係資料集を用いて御説明いたします。座って御説明いたします。
 まずは資料2を御覧ください。資料2につきましては、7月31日の本ワーキンググループの親検討委員会におきまして、私ども事務局から御説明いたしました資料に当日の検討委員の皆様の御指摘を原則御発言そのままの形で加筆したものです。これにつきましてお時間もございますので、私のほうからポイントを中心に御説明いたします。
 まず1ページ目でございます。基本的にこちらの構成は1番、2番、3番という3つの構成からなっております。1番は「PCB廃棄物処理基本計画上の処理期限」、2番は「高濃度PCB廃棄物」、3番は「低濃度PCB廃棄物」という構成になっておりまして、1番につきましては処理期限について四角囲みの中で記載させていただいております。
 冒頭で鎌形からも御説明申し上げましたが、高濃度PCB廃棄物のトランス・コンデンサにつきましては、ページの真ん中の表にありますとおり、最も早い計画的処理完了期限が北九州事業所における平成31年3月31日となっているところです。また安定器・汚染物についての期限、低濃度PCB廃棄物に係る期限について1ページ目で記載しております。
 続きまして2ページをお開きください。2ページからは高濃度PCB廃棄物に係る記載をしております。まず、(1)基本計画達成に向けたフォローアップ項目でございます。こちらは基本計画を達成するということを幾つかの段階に分解して、それぞれの段階を達成したときに基本計画が達成されるという御説明をしておりまして、高濃度PCB廃棄物に関しましては、この段階というものをアからエの4つの段階に分けてフローチャートでお示ししております。
 簡単に申しますと、アは掘り起こし調査の段階、イは使用中のPCB使用製品が使用を終了するという段階です。この2つが同時並行で進む中、次のウの段階としてPCB廃棄物がPCB特措法に基づく届出がなされるという段階、最後エは届出がなされた全てのPCB廃棄物についてJESCOへの処分委託が行われ、その後、速やかに廃棄物がJESCOに搬入される。このような4段階に分かれるということを7月31日にも御説明したところです。
 次の3ページを御覧ください。二重の四角囲みで7月31日の検討委員会において各委員から御指摘いただいた点について対応する項目の箇所に記載しております。まずこちらでは全体を通じて御指摘いただいたものを、5点整理しております。順に御説明いたします。
 1点目は、幾つかの課題については、基本計画を改定する段階から指摘していたことでありまして、課題について今回表に出たのが遅過ぎではないかという御指摘でした。
 2点目は、現在の処理の進捗状況を踏まえれば、相当アクセルを踏んでいかないと処理期限内に処理を終えることは困難ではないか。あるいは、各地元自治体の皆様におかれましては、基本計画の改定における期限延長に際しては、再延長はしないということを条件に延長を受け入れたということです。JESCOが仮に処理期限内に事業を終了して膨大なPCB廃棄物が残ったとして、それを事業者が自己責任で処理するというのは、新たな問題を引き起こすことになるのではないかという御指摘でございました。
 3点目は、2点目に近しいお話ですが、計画的処理完了期限までに一連の過程を終わらすには、相当前倒しでやらないとその達成は困難ではないか。例えば、使用中のPCB使用製品については、ストックホルム条約の期限が平成37年となっているが、その条約上の期限までに使用を廃止すればよいというミスリードをしてはならない。更には、地域によって異なるものの計画的処理完了期限の2、3年前に使用を廃止するというような計画的使用完了期限を設けるなどの取組をしなければ、その後に控えている廃止・登録・処理の時間が確保できないのではないかといった御指摘でございます。
 4点目でございますが、ストックホルム条約における国際的な動きを注視し、国際的に協調できるところは協調し、トップランナーとして日本がやらなければならないことは、そのように取り組んでいくべきではないかという御指摘もございました。
 最後5点目、関係機関の連携策として、各地域で開催される「PCB廃棄物早期処理関係者連絡会」において情報共有することは重要だが、それだけではなく、関係機関が一緒に事業者に対して現地で説明するといったアプローチも進めるべきではないかという御指摘をいただいたところです。
 4ページを御覧ください。4ページは基本計画達成に向けたフォローアップということで、この資料上は先ほど申し上げましたア~エの4段階、それぞれの段階ごとに、まずは課題も含めた主なポイント、概要を四角囲みで書かせていただいた後、①、②、③ということで、①番はこの項目に係る基本計画の記載事項、②はこれまでの進捗状況、③は今後の検討課題と対応の方向と書いております。更にその後に二重の四角囲みで7月31日にいただいた御指摘を記載しております。
 アは掘り起こし調査が完了することという段階でございまして、4ページ【主なポイント】を改めて申し上げますと、掘り起こし調査についてはほとんどの自治体では今年度以降、調査が本格化するところでございますが、調査に5年程度を要するということも考えられることから、計画的処理完了期限までに掘り起こし調査を確実に完了するための追加的な方策について検討することが必要と整理しております。
 6ページを御覧ください。この項目の主な指摘事項といたしまして8項目を整理しております。順に御説明いたします。
 1点目は、この掘り起こし調査を今年度から実施予定というところが、昨年12月の環境省の調査時点では、自治体全体の7割というところでございましたが、特に北九州事業エリアにおいて、計画的処理完了期限が迫っている中で、今から掘り起こし調査を開始するというのは、地元自治体や往民からするとあり得ないぐらいの状況ではないかという御指摘でございました。
 2点目は、掘り起こし調査については自治体への財政支援が必要ではないかという御指摘でございます。
 3点目、4点目の御指摘はいずれも自家用電気工作物に係るデータの整備に関する御指摘でございます。3点目は経済産業省から地方自治体に提供されている自家用電気工作のデータについて、データが古い、あるいは電話番号が一部の電気工作物しか掲載されていないなどの問題があり、掘り起こし調査の調査票を送っても2割が未達で返送されたり、電話による調査のフオローアップも困難な状況であるという御指摘でございます。
 4点目はこのような自家用電気工作物のデータについて、例えば工作物の製造年月日等のデータも掲載して、効率的な掘り起こしを行うために必要な情報提供を地方自治体に対して行うべきではないかという御指摘をいただきました。
 5点目、6点目の御指摘はこの掘り起こし調査の実施方法の工夫に関する御指摘だったかと思います。5点目は、自家用電気工作物の製造年月日、設置年月日から、新しい時期のものは調査から除外できるのではないかという御指摘でした。
 6点目は掘り起こし調査の調査票の記入について、電気保安関係の方の協力も必要ではないかという御指摘です。
 7点目は、経済産業省における電気工作物等の実数把握について、「PCB廃棄物早期処理関係者連絡会」を通じて丁寧に対応すべきではないかという御指摘でした。
 最後に8点目の御指摘でございます。掘り起こし調査を実施しますと、そもそも電気工作物の製造者が性状をわかっているはずであって、そうした製造者から電気工作物の設置者、つまりエンドユーザに対して説明がないといった苦情を相当数申し立てられるという実情を御指摘いただいたところです。
 続きまして7ページです。「イ 使用中のPCB使用製品が全て使用を終了すること」でございます。ポイントといたしましては、【主なポイント】にございます「PCB廃棄物の処理期限を過ぎても、PCB使用製品の使用を継続する事業者が相当数残るおそれがあるため、使用中のPCB含有機器に対し使用停止を求めるための追加的な方策について検討することが必要」ということです。
 こちらについては9ページ「③ 今後の検討課題と対応の方向」がございます。ここでは2点目、3点目の箇条書きのところで現状の事実、ファクトとして電気事業法に係る届出等の制度について新たに記載しております。詳細は参考資料でもご確認いただける内容となっております。
 10ページからは前回7月31日の親検討会での御指摘事項でございます。こちらには全部で10項目で整理しています。
 1点目は先ほど申し上げたところと同じ文章を再掲しております。ストックホルム条約の期限37年をミスリードしない、ここまで使っていいという話ではないというところ、計画的処理完了期限の2、3年前に使用を廃止させるような期限を設けるなどの取組が必要ではないかということです。
 2点目は、まだ廃棄物になっていないPCB使用製品については、PCB特措法上全く手の打ちようがないという問題がある一方、使用中のPCB使用製品も含め全部を処理する必要がある。こういったギャップをどう埋めるかが課題ではないか。廃棄物処理法上の廃棄物に該当しないものであっても廃棄すべきものは廃棄するという形で対応を検討すべきではないかという御指摘でございます。
 3点目は、使用中のPCB使用製品については経済産業省や電気保安関係の方々のように、重点的に権限を持つ方が把握すべきではないかという御指摘もございました。
 4点目は、自主的な廃止では期限内に確実に処理をすることはできないのではないかという御指摘をいただいております。
 5点目です。使用中のPCB使用製品を含め、ストックホルム条約締結国としての責務を絶対に守らないといけないといった御指摘もいただきました。
 6点目は、PCB使用製品の使用をいつ停止していつ廃棄物で廃棄するかは使用者の任意に委ねられているのが現状であり、財産権との関係で法的な使用停止の規制はできないということは十分承知しているけれども、環境省と経済産業省の強い指導力を発揮して、処理期限内にぜひ処理を終えていただきたいといった御指摘がございました。
 7点目、8点目はどちらも現行のPCB特措法上の規制に関する御指摘だったと思います。7点目は使用中のPCB使用製品の使用中止について、今のところは法的根拠は何もなく、地方自治体が行政指導で使用停止を求めておりますが、強制力のある具体策あるいは究極的には法整備も含めて早急に検討すべき。
 8点目は、使用中PCB使用製品については、やがて廃棄物となって処理を指導するのは地方公共団体の廃棄物部局であるが、廃棄物となる前の段階では規制・指導権限がない。何かしらの指導権限のある電気保安関係の行政が主体的に対応しないと大変なことになるといった御指摘でした。
 9点目は使用中のPCB使用製品数とかPCB廃棄物保管量、あるいはJESCOにおける処理量実績の収支をしっかり考慮して数値を整理すべきではないかという御指摘でした。
 最後10点目は、イの項目については、経済産業省の主体的な役割が重要で、経済産業省においてPCBを使用する電気工作物の実数把握を「PCB廃棄物早期処理関係者連絡会」の場を通じて丁寧にやっていただきたいという御指摘でございました。
 続きまして、11ページは「ウ PCB廃棄物全てについてPCB特措法に基づく届出がなされること」という段階です。【主なポイント】としては3点ございます。1点目はPCB特措法に基づく届出の数字ですが、平成26年3月現在で未処理のPCB廃棄物、使用中のPCB使用製品の総量がトランスで約6000台、コンデンサで約12万台、安定器で約470万個というところでございます。
 2点目は、ただし前述の掘り起こし調査の進捗状況を踏まえれば、いまだ未届けのものが一定数存在するものと見込まれるところです。
 3点目は、高濃度PCB廃棄物であるにもかかわらず、低濃度PCB廃棄物として届出がなされているものがあるなど届出の正確性には課題が存在するため、正確な届出がなされるため追加的な方策について検討することが必要といった御指摘でした。
 13ページでは(主な指摘事項)として二重囲みを書いてございます。その上に「③今後の検討課題と対応の方向」ということで、前回の御指摘でございました届出データと処理実績データの収支の管理という項目を御指摘のとおり書き加えた上で、(主な指摘事項)でも1つは高濃度、低濃度PCB廃棄物を判別する人材とか組織の派遣といった支援策を検討すべきではないかという御指摘でした。
 2点目ではさまざまな数量について収支をしっかり考慮して整理すべきではないかという御指摘、先ほども申し上げましたが、こちらをいただいているところです。
 続きまして14ページ、「エ 届出がなされた全てのPCB廃棄物について、JESCOへの処分委託が行われること、その後速やかに当該PCB廃棄物がJESCOに搬入されること」という段階です。
 【主なポイント】としては2点ございます。1点目は、PCB廃棄物については、都道府県市、JESCOの指摘によりますと、PCB特措法に基づく届出がなされているPCB廃棄物であっても、JESCOへの登録がいまだなされていないものが相当数あるということです。計画的処理完了期限内に1日でも早くJESCOへの処分委託が確実に行われるよう、追加的な方策について検討することが必要ということでございます。
 2点目はJESCOに処理委託されたPCB廃棄物の処理はおおむね順調に進んでいるが、今後は経年劣化に伴うトラブルが増加するおそれがあることから、施設の健全性を継続的に確保することが必要ということです。
 続きまして19ページを御覧ください。19ページにはこの項目に関する7月31日における主な指摘事項を整理しております。ここでは9項目整理しておりまして1点目は、PCB特措法に基づく届出をすることイコールJESCOへの登録をすることとなるような指導が必要ではないかという御指摘でした。
 2点目は、計画的処理完了期限内の処理が極めて難しいと見込まれる場合には、強い指導ができるような措置が必要ではないか。自主的な廃止では期限内に確実に処理することはできないのではないかという御指摘。
 3点目はほぼ同様の内容かもしれませんが、PCB特措法上は平成38年度までに処理しない場合だけしか改善命令ができない。処理の完了期限までの処理の指導に係る法的根拠が必要ではないかという御指摘でございました。
 4点目は地方自治体の安定器の処理費用が膨大になる。そのため、処理費用の低減を考えるべきではないか。あるいは処理費用と機器の買いかえ費用の支援策を図るべきではないかという、費用に関する御指摘がありました。
 その一方で費用につきましては早い段階できちんと処理をされた方はまともに費用を負担しなければならなかったのに、遅れて処理をした方が大幅に料金をまけてもらうのは公平性を欠き、余りに安易に議論すべきではなく、むしろ強制手段をかけて罰則等を適用するほうが公平ではないかといった御指摘をいただいたところです。
 6点目は国際的な動きもきちんと注視すべきといった御意見でした。
 7点目の御指摘は、排出先となる地域の地方自治体、これはJESCOの施設がある地元地方自治体以外の地方自治体ということですが、こちらが当事者意識を今まで以上に持って事業者に強く指導していくべきといった御指摘でした。
 8点目は破産、死去、相続などに起因して処理が滞っている事案の解決に当たっての支援策が必要ではないかという御指摘、さらにはその費用については国や地方自治体が全額負担するのは妥当ではなく、拡大生産者責任の考え方や既存事例を踏まえてファンドをつくるなどすべきではないかといった御指摘でございます。
 ページをめくっていただきまして、20ページです。9点目、最後の項目として、JESCOのこれまでの事業地域を越えたPCB廃棄物の搬出が可能となり、安定器の処理が進むようになったのではないかという御指摘もいただいたところです。
 以上が高濃度PCB廃棄物に係る基本計画の達成の見通し、あるいは課題、指摘事項でございます。
 21ページからはこの資料の3番目の項目といたしまして、低濃度PCB廃棄物に係る基本計画達成の見通しといったところです。こちらもこれまでの高濃度PCB廃棄物と同じ構成で記載しているところです。まずはこの基本計画達成に向けた各段階については、高濃度PCBとはかなり状況が異なる部分があるということです。そちらはフローチャートでもお示ししておりまして、高濃度PCBとは異なってアの段階があるということです。「PCB使用製品及びPCB廃棄物のうちPCB汚染の有無の確認が必要なもの全てについて、確認作業を終了すること」が段階として新たに追加されているところです。
 22ページには指摘事項が書いてございます。全体を通じて低濃度PCB廃棄物についてはこの後、(2)で先ほど申し上げたア~オ、フローチャートにある5段階についてそれぞれ主なポイントをまとめておりますが、7月31日の検討会の中では、各々の段階についての課題を掘り下げるという御意見よりは、むしろ全体として高濃度PCB廃棄物と低濃度の場合は状況、事情が異なるという点の御指摘が多かったと理解しておりす。指摘事項といたしましては全体としてこの22ページに掲げました6項目に整理しております。
 この6項目を順に御説明いたしますと、まず1点目が、課電自然循環洗浄法の対象機器が限定されている状況にあり、その拡大を進めていくべきではないかという御指摘です。
 2点目は、低濃度PCB廃棄物について、課題が後段23ページ以降で適切に整理されているのではないかという御指摘でした。特に微量PCB汚染廃電気機器の特殊性を踏まえ、課題解決策を検討すべきといった御指摘でした。
 3点目も、低濃度PCB廃棄物については処理体制の整備自体がまだ途上であるということが高濃度PCB廃棄物とは大きく違うところであるという御指摘です。
 4点目は、処理体制の充実、多様化を図ることがより重要な課題であり、そこを早期に検討を進めるべきではないかという御指摘でした。
 5点目は、関係者が共通の理解を得て、納得感をもって問題解決ができるような検討をしていくべきではないかという御指摘でした。
 6点目は処理対象廃棄物の種類に応じた処理先の確保、処理先の周知が課題ではないかという御指摘もございました。
 以上簡単ですが、資料2について御説明をいたしました。さらにこの資料2の中で御指摘いただいた部分について、背景についての理解を深めるために、参考として関係資料集を御用意しております。こちらを御覧いただければと思いますが、関係資料集については、構成としては、参考資料1~5まで御用意しています。私のほうからはこの中で、参考資料1、2、4、5について簡単に御説明いたします。
 1枚おめくりいただいて1ページ、参考資料1ということで、「PCB廃棄物処理対策の経緯」について記載しております。
 こちらは改めて細かく申し上げる必要はないと思っておりますが、カネミ油症を初めとした昭和の時代のPCB問題からJESCOによる処理体制が整備されるまで。さらには、その後その体制の中で定めた処理期間が改定していった現在までの経緯をごく簡単ではございますが1ページ目では文章で、2ページ目、3ページ目には年表のような形で整理させていただいておりますので、後ほどお読みいただければと思います。
 5ページをお開きください。参考資料2としてPCB特措法の関係規定について特に資料2で御指摘なり言及している関係条文について、こちらでピックアップして整理しております。この資料の中では大きく4項目について御説明しております。
 1点目が期限内処理とその担保措置でございます。期限内処理とその担保については、PCB特措法では、第3条にありますとおり事業者の責務として事業者、すなわちPCB廃棄物を保管する事業者については、廃棄物を自らの責任において確実かつ適正に処理しなければならないということです。その処分については第10条、事業者は政令で定める期間内にPCB廃棄物を自ら処分あるいは処分を他人に委託しなければならないといった義務付けがなされているところです。この政令で定める期間というのは四角の箱の一番下にPCB特措法施行令で書いています。第3条、法第10条の政令で定める期間は、法の施行の日から平成39年3月31日までとさせていただいております。
 1つお戻りいただいて、改善命令です。第16条の規定、環境大臣または都道府県知事は事業者が期間内の処分義務である第10条の規定に違反した場合において、当該事業者に対して期限を定めて、PCB廃棄物の処分その他必要な措置を講ずべきことを命ずることができるといった規定となっております。なお、こちらに記載してございませんが、この改善命令に従わない場合の罰則については、この法律で3年以下の懲役または1000万円以下の罰金ということが規定されております。
 2番目、PCB使用製品に係る措置について、PCB特措法では第13条に環境大臣はPCBが使用されている製品を使用する事業を所管する大臣に対し、都道府県などが当該製品を使用する事業者の協力を得ることができるよう、必要な措置を講ずることを要請することができると規定されております。
 6ページには3番の報告徴収、立入検査という規定がPCB特措法では、第17条、第18条で用意されております。環境大臣、都道府県知事に用意された規定ですが、この法の施行に必要な限度において、PCB廃棄物の保管や処分に関し報告の徴収、立入検査ができるといった規定になっております。
 最後4番目、保管等の状況の届出について、PCB特措法第8条の規定では、事業者、PCB廃棄物を処分する方については毎年度PCB廃棄物の保管、処分の状況を環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならないと規定がございまして、具体的な届出の詳細につきましては、PCB特措法施行規則第5条で規定しております。毎年度の届出時期は前年度におけるPCB廃棄物の保管処分の状況について、当該年度、次の年度の6月30日までに都道府県知事に提出するとしております。ここで届け出る項目は第1号から第5号の大きな分類で5項目ございます。例えば第3号ではPCB廃棄物の種類及び量並びに保管又は処分の状況を届け出るということになっております。
 届出については施行規則で様式を定めておりますが、その中では、7ページ第5条の項目です。施行規則で届出の項目として、第5条は第四号までに掲げるもののほか、PCB廃棄物の保管及び処分の状況について参考となるべき事項も届出をしていただくこととなっております。これに相当するものとして、使用中のPCB使用機器の使用の状況を様式の中で届けていただくこととなっております。
 またこちらには割愛してございますが、この届出については、都道府県知事は届出書の副本と添付書類をPCB特措法第9条の規定で公衆の縦覧に供することにより公表するとされているところです。
 以上が関係するPCB特措法に基づく規定でございます。
 飛ばしまして、13ページは参考資料4ということでPCB使用の安定器について平成12年八王子市の小学校の蛍光灯破裂事故に端を発した政府横断的な対策について、閣議了解されているときの資料を添付しております。
 最後、参考資料5については低濃度PCB廃棄物に関する処理の推進状況ということで、私ども近年まで、特に直近の対策、取組の状況を15ページに簡単に御説明しております。
 私からの説明は以上でございます。

(酒井主査) どうもありがとうございました。続きまして、経済産業省のほうからただいまの関係資料集のうち、電気事業法に係る部分に当たる参考資料3について説明をお願いします。よろしくお願いいたします。

(電力安全課) 経済産業省の電力安全課でございます。資料の9ページを御覧いただきたいと思います。PCBを含有した電気工作物に関しての電気事業法での規制について御説明させていただきます。
 1.経緯は省略させていただきまして、2ポツ以降について説明させていただきます。
 2.(1)の電事法の届出制度と11ページにございます(2)技術基準適合命令という2つがPCBを含有する電気工作物に関する規制内容となっております。
 (1)届出制度については、大きく2つがございます。第42条の保安規程の関係、次のページの第106条の報告徴収の関係がございます。PCBを含有する電気工作物に関しては第40条の保安規程の経産大臣への届出の中で、工作物の工事・維持または運用に関することについて定めた上で経産大臣に届け出されるということになっております。
 第106条の報告徴収でございますが、第4項にございますとおり、経産大臣は政令で定めるところにより自家用電気工作物を設置する者、または登録機関に対し報告または資料の提出をさせることができることとなっています。具体的には、自家用電気工作物を設置する者、登録調査機関の電気保安協会などに対して資料の提出などをさせることができるようになっております。
 第3項に戻って、電気事業者に対しても、報告または資料の提出をさせることができるということが、法令の中で定められております。下の※印にありますとおり、電気関係保安報告規則                                                                                                       の中でPCBを使用するトランス・コンデンサについて使用の判明、廃止、届出内容の変更があったときに経産大臣に届出が行われるということが定められています。
 こうして届け出られたPCB含有電気工作物については、地方の産業保安監督部に届出がされることになりまして、必要に応じて地元の自治体と情報共有を図っているところでございます。
 次に11ページの技術基準適合命令についてです。上の箱には、(事業用電気工作物の維持)という第39条がございますが、PCBを含有する電気工作物も含めての電気工作物の維持の規程がございます。箱の下のほうに※がついているところがございます。電気設備に関する技術基準を定める省令の中において、PCBを使用した電気工作物は電路に施設してはならないとされています。ただしこの省令の附則におきまして、「現に施設し、又は施設に着手した工作物については、なお従前の例による」とされ、既に設置されているものについては引き続きの使用が可能である制度になっております。
 その下のボックスでございますが、上段の工作物の維持の基準を受けまして、それに違反した場合につきましては、適合命令をかけることができるという構造になっています。第40条において主務大臣は、先ほど御説明しました技術基準に適合していないと認めるときには、その一時停止などを命じることができるとなっております。
 第56条においても、事業用電気工作物と同様に一般用電気工作物についても技術基準に違反している場合については、一時停止などを命ずることができるとなっています。第40条、第56条に違反した場合には電事法上での罰則がかけられることになっております。以上でございます。

(酒井主査) どうもありがとうございました。ただいま環境省そして経済産業省から、基本計画変更後のPCB廃棄物処理の全体の現状、そしてこれまでに頂戴いたしました御意見につきまして整理をして御説明をいただきました。これから委員の皆様から御意見、御質問をいただきたいと思っておりますが、この後の審議の進め方といたしまして、まず事実関係の確認、あるいは質問を最初に出していただきまして、その後追加的な方策についての御意見をいただくという二段構えで進めさせていただきたいと思っております。
 それではまず、事実関係の確認あるいは質問という点での御発言がございましたらお願いしたいと思います。いつもどおり御質問、あるいは事実関係の確認がある方は、まずお手元の名札を立てていただけますでしょうか。
 まず中杉先生からお願いします。

(中杉委員) 電気事業法について確認、教えていただきたいのですが、使用しているときには届出をしなくてはいけない、廃止したときも届け出なければいけない。その廃止したときに届出がなされないままで廃止してしまうというようなときに、どういうふうに追っていくのか。具体的にいうと、地方に行くともう廃工場になってきて、その工場に行ってみるとトランスが残っているというようなケースがあるわけです。そうなると多分洗い出しの作業をするとしても、量は多くないかもしれませんけれどもどうしても残ってしまうものが出てくる。最初に使用しているというものがリストとして作られていて、使用している場所と事業所が実際に残っているのか、残っていないのかというところの紐付けをしてチェックするような体制が作れているのかどうか、教えていただけますでしょうか。電気事業法ではそういうところはどういうふうにしておられるのかというのが質問です。

(電力安全課) 具体的にそういった事例においてどのように対応しているのか、ちょっと手元ではわからないのですが、必要に応じて、地方の監督部の職員が確認に行くというようなことはできるのではないかと思います。

(酒井主査) 現状の実態がどのようなものかというところまでの御質問でございますが、そのあたりはわからないということですか。

(電力安全課) その点は確認の上、次回以降に御報告をさせていただきたいと思います。

(眞柄委員) 同じく電気事業法の関係でありますが、10ページには※の電気事業法施行規則というところに、電気工作物という用語があります。また、前のほうにも書いてありますが、事業用電気工作物、技術適合命令の第56条には一般用電気工作物という用語があります。この3つの用語の違いを御説明いただけますでしょうか。

(電力安全課) 電気事業法の中では電気工作物について大きく2つに区分しております。1つは事業用電気工作物、もう一つが一般用電気工作物です。一般用電気工作物の主なものは一般家庭や小さな商店などに設置されている場合の電気工作物が該当して、事業用電気工作物については発電所、電気を使用する事業者サイドに設置されている電気工作物などがこの事業用電気工作物に該当することになります。

(眞柄委員) 10ページの電気事業法施行規則で工作物の運用業務を管理する者とか従事する者とか保安、巡視、点検とかずっと書いてありますね。これは一般用の電気工作物に対してもこういうことをする方が、現に業に当たっておられるのかどうかということです。それはなぜかというと、ずっといろいろお話を聞いていますと、事業用の電気工作物についてはかなり綿密なというか、目の細かい施策をとられようとしていることはよくわかるんですが、要するに蛍光灯の電気安定器のようなものは、一般用の工作物が圧倒的に多いわけで、そういうものに対して第40条の電気事業法施行規則の管理する者とか巡視する者というのが一般用まで対応できているのかどうかという、そういう意味からお伺いしました。

(電力安全課) 第42条の保安規程は、対象が事業用電気工作物ですから、一般用電気工作物については該当しないという整理になっております。

(酒井主査) よろしいですか。引き続いて高橋委員、お願いします。

(高橋委員) 資料2の7ページに関するところです。主なポイントとして四角囲みに入っていますけれども、この中にPCB廃棄物の処理期限を過ぎても、PCB使用製品の使用を継続する事業者が相当数残るおそれがあるというような表現があります。また8ページの表2や図1にはPCB使用製品の使用数が記載されています。使用数に関しては今後掘り起こされるものもあることを踏まえまして、使用し続ける事業者数であったり、使用中機器として残るおそれのある機器数としてどんなイメージを持たれているのかということを教えていただきたいと思います。
 また、事業者が使用し続ける理由として、9ページの③の3つ目の項目に、処理費用等の負担と記載されていますけれども、これは費用を負担する能力があるのに意図的に処理費用等の負担を忌避しているということなのかなど、もう少し詳しい事情を教えていただけないでしょうか。
 それと資料2の19ページの③1つ目の項目の中に、JESCOへの処理委託を忌避している理由が記載されていますけれども、これについても費用負担能力があるにもかかわらず意図的に処理委託を行わないということなのかなど、もう少し詳しい事情があれば教えていただけないでしょうか。以上です。

(酒井主査) 引き続いて質問、事実確認事項を出していただきたいと思います。鬼沢委員、お願いします。

(鬼沢委員) 関係資料の10ページの御説明で、一番下の部分で地元の自治体と情報共有を図っているという御説明がありましたが、具体的にどういう情報共有をされているのか教えていただきたいと思います。

(酒井主査) ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、私のほうから1つだけ。参考資料2の7ページで御説明のあったところです。最後のところで施行規則での届出で参考となるべき事項のところで、使用中の状況を書いていただく様式が用意されているという御説明でしたけれども、ここの実際の報告の現状といいますか、どの程度この制度の中で使用中のものが報告されているのかという点について、現時点で説明いただけるところがあれば、説明をしておいていただければいいのではないかと思っております。
 ほかには質問、事実確認事項ございませんでしょうか。
 それでは今、高橋委員以下3委員から出たかと思いますので、事務局のほうからこの質問にお答えいただけますでしょうか。

(中野課長補佐) 私のほうから高橋委員からの御質問、酒井主査からの御質問についてお答えいたします。
 高橋委員からいただいたのは、使用中の機器数の増える分というところについての規模感の見積りといったところと、それから処理が滞っている理由として、費用の問題が記載されている部分について、それが費用面としてそもそも余裕のある人か、そうでないかといったあたりのより詳細な状況というところでございます。
 まず、資料2の8ページを御覧ください。8ページに表2という形で、「PCB主要製品の使用数」を記載してございます。こちらが先ほど酒井主査からの御質問とも関係しますが、PCB特措法に基づく届出が出てきた中で、使用中の欄に記載されているものを全て高濃度のトランス・コンデンサ、安定器に該当すると思われるものを整理した数字がこの数字となっております。すなわち、PCB特措法の届出の中で使用中の欄に書かれたもの、高濃度のトランスが全国で550台、全国でコンデンサ類が約6,400台、安定器が約10万個あるといった報告がなされております。
 これに廃棄物としての保管量も含めて、届出で把握されていないものを掘り起こすということが掘り起こし調査の取り組みになっているわけでございますが、これまで行われた取組の状況、例えば資料の中では先進的な例として、5ページを御覧ください。資料2の5ページの上のほうに参考として、北九州市の掘り起こし調査は5年をかけて実施したということで結果を書いてございます。ここで新たに見つかっている、使用中も含めたPCB高濃度の機器については、○が3つあるうち2つ目に書いてございますけれども、その時点で北九州市で届出がなされて把握されていた高濃度のトランス・コンデンサの約1割が見つかったというところを実績としていただいております。
 これをベンチマークに、ほかにも我々が自治体と協力して幾つかの自治体と掘り起こし調査を行っていますが、そこの状況を踏まえても発見される量は、現在把握している量の多くても1割程度ではないかと見込んでございます。規模感としてはそう考えております。
 また、届出のうち使用中の機器が書いてあるところについては、今申し上げましたとおり、それを取りまとめたものが8ページの表2ということでございます。
 もう一つ高橋委員からの御質問にございました、費用負担を理由に処理が進んでいない場合の状況ということですが、これは私どもの把握している、あるいは現場から聞いている範囲でいけば、本当に費用負担が難しいような方とそうではない方も両方あり得ると伺っております。もしこの点について、JESCOあるいは今回オブザーバーあるいは委員として御参画いただいている都道府県の皆様からもし補足があれば、後ほどぜひお話しいただければと思いますが、私の段階で把握しているところはそのようなところです。
 先ほど眞柄委員から御質問のありました電気工作物の種類の関係でございますが、私どもが条文を読む限りにおいて申しますと、事業用電気工作物と一般用電気工作物に分かれていて、いわゆる一般用電気工作物は先ほど経済産業省さんからも御説明がありましたように、家庭で使われるものが中心となっています。普通にコンセントで電源がとれるような、100ボルトとか200ボルトに該当するような電圧を扱っているものですから、中心が家庭用となりますとそもそもPCB廃棄物は基本的には対象は事業に伴って出てくるものですので、一般用電気工作物にはそういった高濃度PCB廃棄物はほとんどないのではないかということだと思います。もしそれで間違いがあれば、電力、メーカーさんからおっしゃっていただければと思います。以上です。

(酒井主査) 今の質問に対しての回答でした。どうぞ高橋さん。

(高橋委員) こちらの質問が要領を得ていなかったのかもしれないですけれども、処理期限を過ぎてもPCB使用製品の使用を継続する事業者数が相当数残るおそれがあるとありますけれども、その相当数というのはどのくらいの規模感だというふうにイメージされているのでしょうか。

(中野課長補佐) この資料の中でも記載させていただいておりますが、我々が把握しているところは8ページに使用中の機器がありますが、1つの問題として使用中の機器が使用をやめることを誰が決めるのかというと、今は持ち主が決めるしかできない形になっていますので、その先が読めないといったところを課題として、整理をしております。場合によっては、これは全部かもしれないですし、この一部がどれくらいまでかというのは、今の段階では予測がつきづらいというところがありますが、1つトレンドとしてありますのは、8ページ下の折れ線グラフがございます。これも同じくPCB特措法に基づく届出で使用中と書いていただいた機器の合計数の経年変化をとっているグラフでございますが、これを御覧いただきますと、少なくとも年々減少傾向にあるということです。これをこのまま近似曲線を描いて右側に引っ張ってきたときに、どうなるか今は予測はつかないという現状でございます。以上です。

(酒井主査) 鬼沢委員から地元への云々というところがございましたが、どなたか。

(電力安全課) 参考資料10ページで説明させていただきました、経済産業省の監督部と、地方とのデータの共有についての御質問だったかと思います。自治体に対しては監督部が保有しているPCBデータベース、それから自家用電気工作物のデータベースというものがございます。これらにつきまして都道府県や市のほうに情報を提供させていただいている状況でございます。

(中野課長補佐) 補足させていただきますと、大きく2種類の情報を経済産業省さんから環境省あるいは都道府県市に共有いただいているところでございます。1つは自家用電気工作物として、PCBが入っている、入っていないを問わず電気工作物として経済産業省さんが把握しているデータ。これは関係資料集でまいりますと、参考資料3の9ページを御覧ください。9ページ一番下に第42条保安規程という規程がございます。こちらが事業用電気工作物について設置する方からの情報になります。この保安規程に基づいて幾つかの情報を経済産業省さんに届け出ることになっています。この届出データに基づいて整理されているものが、恐らく自家用電気工作物のデータとなっております。こういった項目から明らかとなる機器の状況、あるいは設置場所の情報ですとかこういったものを、特に近年掘り起こし調査を実施してアンケートを送る母集団としてこちらが適切ではないかという考えのもとに、こちらのデータを近年提供いただいているというのが1種類目のデータでございます。
 もう一種類のデータが、10ページ第106条のところです。※の中で出てまいります。電気関係報告規則に基づいてPCBを使用しているトランス・コンデンサにつきましては、また別の届出をしていただいています。この届出によって得られる情報は製造番号とかもう少し機器について細かい情報が入っているんですけれども、こちらについても都道府県市からの求めに応じて現場、現場の産業保安監督部さんからこちらの届出情報も自治体さんに御提供いただくというような、2つの情報をいただいている状況でございます。

(酒井主査) よろしいでしょうか。それではほかに質問事項、どうぞ。

(大塚委員) 確認で細かいことになるかもしれなくて恐縮ですけれども、さっき8ページの表2の数に掘り起こし調査をしたら、5ページのところで1割増えたという御説明をいただいたんですけれども、確認で恐縮ですが、参考資料の条文のほう、6ページになります。PCB特措法第8条で届出をしていただいていて、この数字が8ページの数字だと先ほど御説明いただいたと思いますが、第8条は「事業者及び廃棄物を処分する者は」、となっていてこれは廃棄物との関係で届け出るというようにも読めるんですけれども、これは本当に使用しているだけでも届け出ることになっていると考えてよろしいのでしょうか。
 もちろんさっき、規則のほうでは使用中の機器の数と使用状況でおっしゃっていただいたのですが、これも廃棄物のということになっていますが、本人が廃棄する意思がなければここで届出は出てこないんじゃないかという気もするのですが、そういうことは余り考えなくてもよろしいんでしょうか。

(中野課長補佐) まさに今大塚委員から御指摘いただいた点は、この全体の制度の中での課題の1つとして資料でも整理させていただいていますが、基本的にPCB特措法に基づく届出については、PCB廃棄物を保管している事業者とそれを処分している方からの届出になりますので、まず、廃棄物を持っている方というのが前提になります。結論から申しますと、使用中の機器しか持っていない方はPCB特措法に基づいての届出の義務は発生しておりません。
 先ほど私の説明で少しわかりづらかったかもしれませんが、掘り起こし調査で把握している量が1割ぐらい、経験則的にいうとそれぐらいが増えるのではないかというところは、8ページにございます使用中の数、よりわかりやすいのは12ページです。資料2の12ページに表3をつけております。こちらはPCB特措法に基づく届出によって出てきた数字の保管量と先ほど表2で出てきた使用量、両方を足した数字になっています。この合計数、つまりPCB特措法で把握している廃棄物の保管量プラス使用量、こちらの合計数の大体1割ぐらいが掘り起こし調査で新たに見つかる量ではないか。その使用中と廃棄物の割合自体はデータが少な過ぎるのでこれでいいかというところは、ちょっとまだ確たることは言えないというふうに考えております。以上です。

(酒井主査) 1割というのは、表3の保管量と使用量の合計を母数としたときの1割なんですか。

(中野課長補佐) はい。大体その程度ではないかと。

(酒井主査) 何を母数にするかよく考えていかないといけないですね。浅岡委員、どうぞ。

(浅岡委員) 法令の関係で事実関係だけ教えてほしいのですが、PCB特措法を制定したときに、先行する電気事業法に対してどのような位置づけにするかという検討はなされたのか。それからPCB特措法を施行していくに当たって、電気事業法との矛盾というんですか。そういう関係について検討がなされたのかどうかという点に関して質問したいんですけれども。

(中野課長補佐) 資料としてわかりやすいところでいきますと、関係資料集の9ページ、参考資料3でございます。特にこの参考資料3の1番の経緯の(3)にございますけれども、PCB特措法は平成13年に成立、施行した法律です。これに合わせて電気事業法の中では電気関係報告規則が改正されたということになっています。つまり時系列的に申し上げますと、経緯の(1)にありますとおり、先行する電気事業法では、昭和51年からPCBが入った電気工作物を新規に設置することはそこで禁止された。そのときに先ほどの説明のとおり、附則でこのとき既に設置されていたものは、(2)番で引き続き使用が認められているということになりましたが、平成13年にPCB特措法ができるときに、特措法が基本的に廃棄物に対する法律ということもありますので、使用中の機器の状況を捕捉する手段として電気事業法側では使用中の機器に対する届出制度というものを作り、先ほど申しましたとおりPCB特措法については、廃棄物の保管業者に届出をしていただくという住み分けで制度ができたということだと思います。

(浅岡委員) もう一つ2番目の後半の質問ですけれども、施行されて14年ぐらいたっています。ですから施行して5年ぐらいで見直しとかそういうことはされたのですかという話です。

(中野課長補佐) PCB特措法については、制定時に附則でPCB特措法は施行10年を経過してから見直しをするという規定になっていましたので、まさにこのワーキンググループの親検討会が平成22年に立ち上がって、施行後10年に基づいた見直しの検討を開始したという経緯となっております。
 その結論として1つは処理期限の延長、あるいは特にJESCOについての処理体制の再構築といったところが結論として出てきたものと考えております。もちろんそれに加えて、掘り起こし調査などの経済産業省との連携のもとでの取組とかこういったところを位置づけていったところでございます。

(酒井主査) 質問という意味ではよろしいでしょうか。御意見のほうはまた後でお願いします。それでは、事実確認あるいは御質問はよろしいでしょうか。
 それでは、今後、期限内処理完了のために必要な追加的方策について御意見をいただきたいと思います。今回いただいた御意見を踏まえまして事務局において必要な追加的方策を案として取りまとめてもらい、次回のワーキンググループに提示してもらいたいと思っています。積極的な御意見をいただきたいと思います。それでは御意見いかがでしょうか。
 御意見のある方は例によって名札を立てていただけますでしょうか。それでは中井委員から順番に回してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

(中井委員) 御指名ありがとうございます。私ども電力業界として高濃度PCBにつきましては、処理期限に向けて計画的な処理を継続していく所存です。そのように取り組んでおりますけれども、今後さまざまな対策等を御検討いただく際に、計画的に処理を進めようとしている事業者に対する措置と、そうではない事業者との間では少し配慮があるようなことも考えていただければありがたいというのが1点目です。
 今後掘り起こし調査等が行われたときに、結果としては処理対象量も増えていくといったところかと思います。そういったものがどういった形で搬入されてどのように処理されていくのかという処理側の計画と、我々事業者のほうで運び出しをしていく計画がうまく整合していく必要があろうかと思います。搬出側、受入側、これが処理に向けた車の両輪かと思いますので、そういったものが整合していくような形で計画等が立っていくといいのではないかと思っています。
 それに関連して、現在JESCO様への搬入については年度ごとの調整ということになっていますが、事業者のほうが長期的、長期といってもこれから数年ということになりますが、数年でどのような形で処理に搬出していくのかというところについて、複数年の搬入計画を立てられるような形になるとありがたいと思っています。
 それから今も随分届出に関するところでPCB特措法の届出と電気事業法上の届出の関係性、リンケージについての課題の認識も共有されたところですが、届出を行う際に両方の内容などが整合すると、届出を出す側としてもミスの低減などの意味で負担の軽減にもなろうかと思いますので、その辺も御検討いただければと思っています。
 もう一つ最後になりますが、微量PCBの問題については、冒頭の環境省様の説明でも全体に対する意見として幾つか課題が整理されたところです。こちらにつきまして細かく申し上げることは控えたいと思いますが、微量PCBについては高濃度とは違う特殊性がございますので、その辺の配慮については引き続きいただければと思っているところです。以上です。

(酒井主査) 引き続いて高橋委員お願いします。

(高橋委員) ありがとうございます。やや重複する部分もありますけれども、鉄鋼業でも、高濃度のPCBについては処理期限に向けて計画的に使用中機器の廃止や、JESCOへの処理委託を進めていると認識しております。先ほどの中井委員の発言と重なりますけれども、計画的に対応を行っている事業者への配慮をお願いしたいと思います。
 それと低濃度関連については、課題をきちんと整理していただいておりますけれども、1つだけ追加でお願いしたいことがあります。すなわち、絶縁油の封じ切り機器であるコンデンサ類のPCB汚染の有無の確認については、今のうちから方策を進めていっていただきたいと思います。確認方法がないまま使用停止期限が設定されてしまうと、PCBに汚染されている恐れがある全ての封じ切りコンデンサ類を停止せざるを得なくなり、PCB廃棄物でないものも廃棄物となってしまい、更新費用もかさむことに繋がりますので、ぜひこれについては進めていただきたいと思います。以上です。

(酒井主査) 鬼沢委員、お願いいたします。

(鬼沢委員) 先ほど自治体への情報共有のところでどういったものとお聞きしたときの、2番目のこういう情報といったのが製造ナンバーやその他の情報を届けているというお答えがあったんですけれども、それを見ればどこで使われているのかがわかるのではないかと思うので、そこをもっと掘り起こしに活用できるのではないかと思います。その情報とあるいはわからないところに対しては、機器の製造事業者さんだったらどの機種で高濃度PCBを使っているのかとか、あるいはいつからのものについては使っていないとかがはっきりわかっているのではないかと思うので、もっと製造事業者さんからの情報も得て掘り起こしを早く進めていく必要があるのではないかと思います。
 それとPCBの処理を早く進めていかなくてはいけないという危機感が社会全体へ伝わっていない気がしますので、関係者だけでなく社会全体がこれを本当に早く処理をしないと大変なことになる、という情報を発信していかないといけないのではないかと思います。そうすることによって、例えば使わなくなった倉庫にあるんじゃないかと地域の住民の人が気にかけるとかそういったことも注目していく大事なことになるのではないかと思いますので、掘り起こしのためにはそういうことも必要なのではないかと思います。

(織委員) PCB処理に関して非常に気になる点は、高濃度PCBと低濃度PCBについての違いが、一般市民の方というか地域住民の方もなかなかわかっていただけないというところが、10年たってもまだあるということです。高濃度PCBと低濃度PCBをしっかり分けて考えて、高濃度PCBについては地域住民の信頼を確保するために、確実・迅速に何よりも安全に処理をしていかなければならないという大命題があると思います。ここでスピードと公平性の問題というのがかなり矛盾するというか、難しいところがあると思います。今の資料を見ても、事業者の方は費用の負担等についても公平性ということをすごく気にして意見としても多いんですけれども、一方でスピーディーな処理という観点でみると、ある部分公平性を犠牲にしてでもスピーディーに処理をしていくという地元ニーズがあるのではないか、この辺は少し事業者の方にもある種覚悟を決めて取り組んでいただかなければいけないのかなという気がしています。
 もう一方、掘り起こしですけれども、北九州の事例を見てもそうなんですが、かなり自治体の頑張りによっているところが正直あるのかなというふうに思います。北九州は5年をかけて本当に担当者の方がつぶさに拾われていったという大変な御苦労をなさって掘り起こしで10%を拾ってきたということです。では他の自治体もこれをやるということになりますと、なるべくそれを国がバックアップするようなシステム、何らかの形で自治体の職員の方の労働を軽減するようなやり方、あるいはベストプラクティス、こういうやり方をすればいいというようなものがないとなかなか難しいのではないかという気がしています。
 もう一点、高濃度PCBに関しては今話が出ていましたが、電事法とPCB特措法の使用中と廃棄物の隙間の問題がすごく出てくるのかなと思います。基本はなるべく特措法の世界に行くように、いつまで使用している状態であるか、どこから廃棄物になってどこまでが使用中だということが不明確なままではなく、これは早く処理をしていかなければならないので、早目に廃棄物の世界に入っていけるよう、何かそういった基準、動かしていくようなものの検討が必要なのではないかというふうにと思います。
 低濃度については、効率的に処理をしていく。高濃度とは異なり効率的に処理をしていくために、もう少し規制緩和の部分で筐体の処理とか切断についてより事業者の方が柔軟に対応できるように、廃掃法、特措法の例外的な処理をしながら緩和策というものをぜひ検討していただきたいと思います。いずれにしても、低濃度PCBについては、もっと地域住民の方に理解していただいて、違いというものをわかっていただくために、もう少しきめ細やかなリスクコミュニケーションが必要だなと正直、現場で感じているところです。以上です。

(酒井主査) 親里委員お願いします。

(親里委員) 昨年度基本計画が大きく変更になりましたけれども、この変更に関してご了承いただきました処理設備設置地元自治体の皆さん、お知恵をいただいた有識者の先生方、また御尽力いただいた環境省を初め各団体の皆様に深く感謝したいと思っております。本ワーキングにつきましては、様々な立場の方に御参加いただいているわけですけれども、処理完了期限内に1日でも早く確実にPCB廃棄物を処理完了するという共通の目的に向かって建設的な議論を重ねたいと考えています。
 7月末の委員会で自治体の皆様から多くの御意見をいただきましたとおり、処理対象物の把握から完了まで非常に時間的に厳しいという状況がございます。そこで今回のワーキングの中では追加的法策を極力早く仕上げていくということが求められていると考えております。このために優先度が高いところはどこか、また我々のワーキングの中で合意が得られる部分はどこかというのをよく見極めた上で方策をまとめていくほうがよいのではないかと考えております。具体的には、JESCO様の処理完了期限の近さの観点から、まずは高濃度PCBを対象とする方策を優先してまとめたほうが速やかな意見集約につながるのではないかと考えています。
 低濃度PCBにつきましても議論を加速していかなければならない状況は重々承知しておりますが、処理対象機器の把握、あるいは使用中機器の考え方等については、高濃度以上に熟慮が必要だと考えています。高濃度PCBとは分けて検討したほうがよいのではないかと考えております。

(酒井主査) 大塚委員、お願いします。

(大塚委員) 法的な観点から幾つか申し上げたいと思います。1つは使用中のPCB使用製品に関しての規制についてです。関連資料の11ページにございましたが、先ほど経済産業省から御説明いただきましたが、第39条の省令で昭和51年の施行の際に、現に敷設されているものについては従前の例によるという附則が何とかならないかということが多分問題になると思います。使用中のPCBについて使用停止を命ずるようなことを考えるべきではないかという議論は、さっきの資料2のほうにもございました。危険物だということもございますし、既に40年ぐらい利用していただいているわけですから、減価償却というか既にある程度利益を得ておられるということがあると思います。製造してはいけないことになっているので、既に危険性については行政的に指導されたりしてきているということもあると思います。そういう観点から考えると、使用の停止を考えてもいいのではないかということがあると思います。ペットフード法とか飼料の安全性に関する法律でも使用の禁止に関する法律がありますが、これは人間の健康にかかわる話ですから、ますます使用停止ということを考えてもいいのではないかと思います。電気事業法だと第51条にも使用停止に関する規定がございます。その点も含めてぜひ御検討いただきたいところです。
 2つ目ですけれども、関連資料の5ページになるとと思います。PCB特措法の第16条の改善命令ですが、先ほど御説明がございましたように、法第10条の政令で定める期間が施行令第3条で平成39年3月31日になっており、それに違反しないと改善命令が出せないというのは余り役に立たない規定になってしまっているということだと思いますので、これはぜひ改正していただいてもっと早い時期に改善命令が出せるようにしていただかないと、何のためにある規定かわからないということになってしまっていると思います。これも先ほど資料2のほうでご議論がございましたように、ある程度あらかじめ対処できるようなことが必要だと思いますので、期間を前に倒して違反について改善命令を出せるようにするというのは必須ではないかと思います。
 電気事業法の対象でない安定器について、PCB特措法で電気事業法と同じような使用に関しての規制ができるようにするということも、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 先ほど出てきた掘り起こし調査に関してですが、アンケート調査を送っても回答しない事業者にどう対応するかということが大きな問題になってくると思います。これに関しては事業者に対して、調査命令を出すということもぜひ御検討いただきたいと思います。一般用の電気工作物に関しては、調査命令の規定が電気事業法にございますので、それは一般用電気工作物に関しての規定ですので直接これには関係しませんが、調査命令の規定、これは法律が必要ですけれどもぜひ作っていただくといいのではないかと思います。
 9ページのところにある電気事業法第42条の届出に関しては、データが古いとかという話も資料2で出てきましたが、これはもうちょっと新しくしてもらうことをぜひ御検討していただきたいと思いますし、これは質問するべきだったのかもしれませんけれども、経済産業省のほうでぜひ御検討いただけるとありがたいということでございます。
 先ほど資料2であちこち支援が必要だという問題が出てきていますが、支援の問題もあると思いますし、さらに電気保安関係の方の協力が必要だということも出てきています。これもまたお金が要ることだと思いますけれども、その意味では6ページとか13ページに支援の話がいっぱい出ていましたが、基金を充実させる必要があると思いますけれども、そもそもPCBに関しては処理の拠点をつくるときに製造者にやっていただこうと思って、かつて住民の反対でうまくいかなかったということがあったかと思います。資料2にもございましたけれども、拡大生産者責任的な発想をとって、是非製造者の方にも、今まで以上に基金にお金を入れていただくようなことをぜひ御検討いただきたいと思います。
 これも資料2の中にございましたが、PCB特措法に基づく届出とJESCOへの登録を一体化させる必要があるということは、私もそのとおりだと思いますのでぜひこれも御検討いただければと思います。

(酒井主査) どうもありがとうございました。眞柄先生、お願いします。

(眞柄委員) 前回の検討委員会の後、JESCO北海道事業所の監視円卓会議が開催されました。その際、室蘭市あるいは北海道の円卓会議の方々から大きく3つの問題点が指摘されましたので、それを御紹介したいと思います。
 1つは円卓会議の関係者が経営しておられる事業所の中で、安定器が使われていた。室蘭のPCBの円卓会議は始まって10年ですが、その関係者ですら自分の中にどういう蛍光灯の安定器が使われているか知らないということが明らかになりました。
 もう一つは、その廃安定器を交換した事業者に持っていってくれと言ったらこれはPCBだから駄目ということになった。じゃあどうしようかと、そのまま持ってきてもらったら困ると、特別な容器じゃないと輸送ができないようになっているので、善意で発見されて善意で処理事業所まで持っていこうと思っても、色々なルールがあってよくわからないということが出てきました。
 もう一つ、これは違う方ですが先ほどから紹介があったように破産・廃業した際に、その事業所に存在しているPCBをどうするかについて、ルールがないということが指摘されました。

 先ほども御意見がありましたが、改めてPCBについて国民の関心を増すような広報活動をこの際に積極的する必要があると思います。例えば室蘭の場合、東京から今度から安定器が来ることになっていますが、今東京にこれだけのものがありますよということを前提に、室蘭の事業所は大雑把ですけれども処理のロードマップを書いているわけです。本当にそれで大丈夫なのか、東京はこの数を約束してくれるんですかという意見がありました。そういう意味で掘り起こし調査をできるだけ早くして、例えば室蘭の事業所で本当に36年までに計画的に処理できる量であるかどうかということは、それぞれの都道府県から正確な数値、特に北海道は東京都だけではなくこれまで15県のものを扱うことになっていますが、それぞれ排出される都道府県で室蘭市、北海道の事業所、あるいは関係者の方々が納得できるような負荷を早く出していただきたいというのが、大きく言って前回の円卓会議の要約ということで御紹介させていただきました。

(酒井主査) ありがとうございました。中杉委員、お願いします。

(中杉委員) 過去どういうふうになってきたか、どういう経緯でこうなったかという話は今さら議論してもしょうがないと思いますので、現状からどういくかという話です。先ほどから話がありますように、北九州はあと4年のうちで終わらないといけないということを考えると、いろんな方策を考えてやらないといけないのですが、あれをやってこれをやって、じゃこれは駄目だったから次どうやろうかという時間的余裕があるとはとても思えない。ものすごく抜本的な方策を考えないと絶対間に合わない、そういうことを考えざるを得ないだろうと思います。
 その基礎になるのは、大塚先生が言われているような、使用を限定するような制度みたいなものを考えていかざるを得ないだろうと思います。使用を限定するような制度というのは、POPsというのは必ずしもPCBだけではなくほかのものもあります。化学物質の製造を禁止している化審法という法律があります。ただ、この法律の中では使用者に対する規制はない制度なので、そのまま使えません。その法律を改正して使用を禁止するというようなことは、それも時間が間に合いません。
 そういう意味でいくと、今ある法律の中で動かしていかなければならないということになると、電気事業法でもPCB特措法でもない、別の新しい法律をつくってその法律を待ってという余裕はないのではないか。今ある2つの法律の中でどこまでカバーできるか、どういうふうにするかというそこをベースに据えた上で、計画的に使用されているものをどうするか、それにどう対応していくか。そのほかにいろんなものを組み合わせてやっていかないと、法律を作っただけで全てが解決するわけではない。ただ、時間が迫っているということを考えると、抜本的なものを今の時点で早急につくらないと多分間に合わないと思います。
 私も東京の処理施設の安全委員会を預かっている立場から言いますと、そういうことをしてもらわないととても不安です。そのような考えなので、法律を作るのが一番よいとも言えず、ほかの案があればそれで結構だろうと思います。本当に確実に効果のある策を早急に考えないといけないというふうに思います。考え方として基本になるのは、私は、期限を切って使用を制限していくということではないだろうかと思っています。

(酒井主査) どうもありがとうございます。続いて松田委員、お願いします。

(松田委員) 法律が改正されて平成39年までということの根拠は、POPs条約に合わせるということ、かつ、各事業所間の均一化を図るということで苦肉の策で出された案だと理解しています。

 それを実行するに当たっては、先ほどから各委員のおっしゃっていることと同じことの繰り返しになると思います。実際に今JESCOで処理するスピード、例えば待ち時間をも考えて、最終的に処理しなければいけない量に対して処理のスピードを考えると、どのくらいの期間が必要なのか。かつ最悪のケースを考えたときに、処理施設の稼働率を考えるとどうなるかが明らかにされていません。
 それから、掘り起こし、および現在使用中のものを止めるなどにおいてどの段階が全体の処理の速度を律速しているのか。そういうオーバーオールの観点からの議論が欠けているのではないかと思います。そのところをきちんと把握した上でいろんな方法論があると思います。技術的なこともありますし、法律の観点からもあると思いますが、まず現状の把握と認識、その公表、さらには一般市民の方々への重要性、緊急性のPRをもう少し積極的にやっていただくのが良いと思います。

(酒井主査) 続いて上野委員、お願いします。

(上野委員) 先ほどから委員の先生方が仰っておられるように、使用中のPCB使用製品が一刻も早く全て使用を終了するということが、期限を考えると非常に重要なことだと思っています。そういうことで先ほど電気事業法の改正がPCB特措法と同時にありましたけれども、その後見直しがなされていないということで特に第39条のところの最後の事項に書いてございます。昭和51年時点から使用がずっと続けられている、ここの法律を改正していただきたいというふうに思います。
 安定器につきましては、先ほども眞柄委員が言われましたけれども、特に安定器は室内で使用されているものがかなりございます。特に、PCBが漏れ出して室内環境を汚染するということがかなり懸念されます。そういうところを踏まえて啓蒙活動が非常に大事ではないかと思っています。その辺のところも特に重要だと思います。以上です。

(酒井主査) 続いて、浅岡委員お願いします。

(浅岡委員) 北九州の例が頻繁に出てくるんですけれども、北九州はPCB特措法が制定されてから以降の動きを見て、何故こういう形で掘り起こしとかそういうことがある程度順調にいったかということを考えますと、ピンポイントに相手を選んで自治体が積極的に動いたという結果ではないかと思います。それは単に使用量の掘り起こし、保管量の掘り起こしだけでなくて、これは確実に処理をしないといけないという処理プログラムを同時に組み合わせて相手に要求していった。

 実際にさっきも法律関係を確認したのはなぜかというと、今の電気事業法とPCB特措法で十分使用禁止の法令になっているのではないか。結局、期限が設定されればそこで使用禁止が自動的に設定されている。そうするとその期限が来た瞬間に使用している使用者は違法行為になる、前倒しに処理をしなければ物理的に違法で罰則の対象になるというシステムが確立しているので、それを使用者に説明すればいいだけだという論理があります。
 今後何を本当にやるべきかというと、やはり各自治体にこのPCB処理に関して温度差があると思います。それをどうやって処理をしないといけないというところへ集中させるかということの方策を考えることと、自治体の責任を明確化して動いてもらうというシナリオをつくるのが、このワーキンググループの方向性ではないかと思います。以上です。

(酒井主査) ありがとうございました。あと自治体のほうからの委員で近藤委員から名札が上がっています。ほかに自治体のほうからの委員で御意見がある方おられたら今挙げてください。全員ですね。では順番に梶川さんのほうからお願いします。

(梶川代理人) 先ほど経済産業省さんのほうから、使用中の機器に関して電気事業法について説明をいただきました。その説明を聞いていて思ったこととしては、使用中の機器から廃止に至るというところがどうもこの電気事業法は現行のままではスムーズにいかないのではないか、やはり漏れがあるのではないかという感じがいたします。現行のままですと、PCB使用機器の処理は事業者の自由な意思に委ねられているというふうに言わざるを得ません。期限があるPCBの処理でございますので、ぜひともそれは計画的な処理に仕向けるような方策、先ほどから先生方から御意見がありますとおり、法整備も含めて、場合によっては法整備によらない対応ということもできるのかもしれませんが、そういった検討をできる限りスピーディーにやっていただきたいということがまず1点でございます。
 もう一点としてこういった使用中の機器に関して、都道府県市のほうで立入検査とか掘り起こし調査とかいろいろ苦労をしてございます。是非ともこういったところに明確な権限を持って我々が調査ができる、我々が立入検査ができるということを明確に検討していただいて、できるならば法整備という形で実現していただきたいというふうに強く思います。以上です。

(酒井主査) ありがとうございます。次に前川さん、お願いいたします。

(前川代理人) 大分意見として出ているところがありまして、そのほかというところ、ちょっと重複するところもあります。まず、経済産業省さんの電気関係報告規則で使用中のものに対して届出の義務が課されているのですが、実際、現場にうちの職員とかが立入検査をしますと、電気主任技術者の方への浸透度が非常に低いところがあります。まず今できるところとして、そういった方にきちんとこういう届出の制度があるので届け出てくださいということを徹底することをやっていただきたいと思います。
 届出の制度に関して、PCB含有の安定器、個人のお医者さんが持っているレントゲンの小さなコンデンサ、その他小型機器のようなものは電気工作物には該当しないので届出の義務はないということです。これが今のところ把握のしようがないというところがあります。ですので、このワーキングでそういったものの把握の仕方を検討していただきたいと思います。
 このワーキングはどちらかというと高濃度のほうにプライオリティを置くということも、先ほど委員の先生からあったような気がしますが、低濃度もできるところから、例えば抜油ができるコンデンサ以外のトランスとかは、電気事業法で1年に1回点検をしなければならないということになっていますので、そういった機会を利用して抜油していただいて、全体的に低濃度PCBのトランスだけでもどのくらいの量があるか把握しないと、平成39年の処理期限までに処理は完了しないのではないかという感じがいたします。
 先ほど届出の様式の話がありました。経済産業省さんのほうの、電気事業法に基づく届出に関しては詳細な記載があるんですが、電気事業法の電気工作物の届出に関してはそこまでの詳細なものはないということです。先ほどもありましたが、PCB特措法の届出と電気事業法そのものの工作物の届出の様式を一致させることによって製造年月日等がわかってくるというところもありますので、そういったことも御検討いただければと思います。

(酒井主査) ありがとうございます。
 本日のワーキングのお約束の時間は5時30分でございます。あと5分ほどに迫っていますが、全員の御意見はきちんと聞きたいので若干の延長をお許しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 引き続いて近藤委員、お願いします。

(近藤委員) ほとんど私も重複するものが多いのですけれども、自治体の立入検査権限についてもお願いをしたいということと、PCB特措法と電気事業法の届出情報がせっかくありますので、こういったものを突合して漏れがないかという確認もしてほしいということが1つです。
 言いたかったのは大塚委員にかなり言っていただけたので、そこについて少し追加ということです。実際制度がこのままでいくと、処理をしない方に平成39年の状態で命令をかけても、PCB処理施設がないという状況でございますので、これはもう本当に前倒しをして計画的に処理ができる範囲の中で、命令がかけられるようにしていただきたい。またこれらの命令に対して従わない者が出てくる可能性があるので、行政代執行とかそういった権限についてもひとつ検討していただきたいと考えております。以上です。

(酒井主査) 有門さんお願いします。

(有門委員) 大阪市の有門です。いろいろ重複しますので実際に処理施設が立地している自治体、それと掘り起こしなどを的確にやっていかないといけないという立場で、経済産業省さんを名指しにするわけではございませんけれども、電気事業法の関係で、経済産業省さんには本気になっていただきたいと考えているところでございます。委員の立場でこんなことを申し上げてはあれですけれども、使用中のPCB使用機器についてストックホルム条約を守れるように本気になって考えていただきたいと考えております。以上でございます。

(宮金委員) 北九州市の宮金でございます。よろしくお願いいたします。
 私もかなり重複する部分がございますが北九州市は冒頭からいろいろと例にも出していただきましたし、計画的処理期限が一番早くまいります。トランス・コンデンサ、安定器につきましても一番早く来ますので、受入自治体としては非常に危機感を覚えています。その中で何点か要望という形で申し上げたいと思います。
 まずは、いろいろな委員のほうからもありましたけれども、広く国民にPCBの処理が重要であるということがまだ伝わっていない。事業者の中にも意識が欠落している事業者が一定数いるだろうということもあります。ですので、政府公報でテレビCM等を活用しながら広く周知・広報活動をしていただきたいと思います。
 その中で製造者の責任もあります。PCB特措法の第4条とか国の基本計画の中にも、製造者は普及啓発とか国、自治体が実施する施策に協力しなければならないと明記されていますので、環境省、経済産業省等から製造者のほうにも協力を要請して一緒になってやっていただくことが必要と思います。
 掘り起こしの件ですけれども、北九州の例をとっていただいて、約1割が掘り起こしで見つかったという例を言っていただきましたけれども、昨年環境省さんのほうが掘り起こしマニュアルということで自治体向けに作りまして説明会等をして、今年から本格的に大半の自治体が掘り起こしをやっていくことになっています。その掘り起こしの対象を電気事業法に基づく届出事業者を対象にしたらいいと書いてあります。ただ北九州がやってきた掘り起こしというのは、その範囲に限定しておりませんで、もっと幅広く例えば総務省さんの経済センサスの統計データを使ったり、5人未満の事業所というところまで踏み込んでやった結果、1割見つかった。そもそも電気事業法の届出事業者を対象にすると、さっきからよく出ていますように安定器は漏れております。低圧のトランス・コンデンサも漏れています。なので全部見つかるわけがないと我々は思っています。もっと幅広くしていく必要があるのではないかと思います。
 だとすると、やはり北九州は5年かかっています。市町村都道府県レベルで規模に差があるでしょうから、一概に5年かかるとは申し上げませんが、トランス・コンデンサについては3年半の期限の中で処理を完了するとすれば、少なくとも今年度、来年度中にはもう掘り起こしは終わっておかなければいけないんです。そのあたりでもっと、今日御参加ではないけれども搬出事業者、搬出元の自治体にもアクセルを踏んでいただかなければいけない、当事者意識を持っていただかなければいけない。国からももっと強い指導をしていただく必要があると思っています。
 使用中の機器の問題については各委員からもいろいろ意見が出ておりますように、受入自治体としても、使用中止期限を定めていただきたいというふうに思っています。計画的な処理に向けてやっていただいている事業者もいるということでございましたけれども、それが全てであるわけではないんです。しかも計画的にやっていただいている事業者についても、それは受入自治体としては計画的処理期限内ということがもう当たり前の話だと認識しております。それに向かった形の計画であれば、それ以外のところに対して使用期限はいつまでと、特措法の届出をしていてJESCO登録をしていない事業者も一定数いるというので、JESCO登録の期限もこれまでだという形で、合わせた形で強制力を持てるような取組をぜひ考えていただきたいと思います。
 それから、使用中の機器の話で、やはり北九州としても、もっと経済産業省さんに本気度を見せていただきたいと思っています。誠に辛辣な言い方で申しわけないのですが、この会議とは別に「早期処理に向けた関係者の連絡会」を今年の2月に国レベルでつくって、地域ごとにそれも今順次開催されているところです。その中で使用中の問題について具体的な取組策を検討していきましょうという会議ですが、それが北九州地域は、先月8月21日に5地域の中で一番最初にありました。その中で経済産業省さんのほうからも具体的な取組例ということで御説明があったのですが、私はそれを聞いて非常にがっかりした内容でした。名簿の精度が低いだとかいうことで自治体のほうからいろいろな御意見を出させていただいておりますが、その名簿の精度を上げるというふうに書いてはいらっしゃるんですが、一例をとりますと届出があった段階で速やかにデータを入力する。そのような内容を公然とおっしゃる感覚が地元の自治体としては理解に苦しむ。もっと自治体が最終的には権限を持って、使用中の機器について事業者に対して指導ができるような対策を出していただきたい。北九州はそう言いながらも地道にお願いに行って市内の分の高濃度については完了したのです。だから自治体さんが強制力を持った取扱いができるような形で制度を改正してくれというのもわからなくはないんですが、その前にもっとやれよと、北九州としては言いたいです。北九州は実際にやってきたのです。そういう経験とかノウハウとかを含めて、以前からも環境省さんを通じて各自治体にも水平展開をするお手伝いをさせていただくということを申し上げているんですから、もっと国がリーダーシップを発揮していただきたい。
 それからこれは環境省さんにも一言申し上げたいのですが、地元で開催される監視会議とか広域の会議などにも環境省さんに御出席いただいて、その都度処理期限内に処理を完了するというのは当たり前のことで、その達成のためにはあらゆる手を尽くしていくということで出席の都度発言していただいています。なので、その発言を実際の行動で示していただきたいということを申し上げて終わらせていただきます。

(酒井主査) どうもありがとうございます。本日、委員の方々から追加的方策に対しましてさまざまな御意見を頂戴いたしました。前回の7月31日の検討委員会の場でもいただいております。それを踏まえますと環境省のみならず、経済産業省が所管している事項に関しての御意見も多々あったかと思います。この時点で経済産業省と環境省のほうからコメントをいただける点があればコメントしていただければと思います。
 まず経済産業省のほうから参りたいと思いますが、電力安全課から、環境指導室から、それぞれから御意見をいただければと思います。

(電力安全課) 電力安全課でございます。いろいろ厳しい御指摘もいただいております。貴重な御意見をありがとうございました。PCBを含有した機器については、期限内に処理するということは、我々としてもそういう認識でおります。そのために、PCB電気工作物の具体的な諸手続きを行っているのは、地方の産業保安監督部でございますので、そこを通じて事業者に対して期限内の処理などについて周知徹底を図ることは既にやっているところではございますが、実際に御苦労されている自治体さんなどから見ますとまだまだ足りないという御意見をいただきましたので、それについてはより充実させていく方向でぜひ取り組んでいきたいと思っております。
 事業者への周知とともに、期限内の処理に向けた御意見をいただきました。この場で引き続き御議論を継続させていただくことになっておりますので、御意見を伺いながら期限内の処理に向けて、環境省とともに今後とも取り組んでいきたいと思っておりますので引き続きよろしくお願いいたします。

(環境指導室) 経済産業省の環境指導室の権藤と申します。経済産業省としてJESCOの処理期限内に適正に処理することが重要と考えているのは、今、電力安全課の磯部から申し上げたとおりです。
 制度的にしっかりと処理期限内に実施していくために、1つ意見があります。この場で申し上げさせていただきたいと思います。この検討会のメンバーには中小企業の関係者の方が入っていません。中小企業関係団体からは、特に安定器についてJESCOの処理費用や運搬費、保管費の負担が大きく困っているとの声を聞いています。環境省、JESCO、自治体の御尽力により既に中小企業者の軽減制度や分割制度などがあることは認識しておりますが、多数の安定器を保有する場合や、JESCO処分施設から遠方にある場合など当該施設を活用しても、処理費用などが払えないとの声があるのも事実です。JESCOの処理期限までの処理を円滑に進めるためには、そのような中小企業の方々の声にも一定の配慮が必要と考えております。委員の先生方からも意見をいただいたところでございます。今後検討事項の1つとしていただければ幸いと思っております。今後とも中小企業への影響にも十分留意しながら、環境省と連携して取り組んでまいりたいと思っております。

(酒井主査) どうもありがとうございます。それでは最後に、環境省からコメントをお願いいたします。

(角倉課長) 環境省でございます。本日は委員の皆様方から大変貴重な御意見を賜りましてありがとうございました。本日いただいた意見を大きく分けますと、5点いただいたかと理解しています。
 まず第1点目ですが、PCB処理については、期限、特に高濃度については必ず守らなければいけない期限であり、しかも1日も早くこれは達成すべき期限であってこれについては危機意識を持って取り組むべきであって、社会全体の危機意識を高めるような取組をしっかりと国としてやっていくべきではないかという御指摘を賜ったところだと思います。そこにつきましては、私どもとしてもしっかり重く受け止めたいと考えています。
 2点目として、制度的な対応に関する部分のところです。現在、PCB特措法、電気事業法という関係法令があるわけですが、例えば使用中のものから廃棄物への橋渡しをスムーズにするとか、立入調査権限、さらには届出関係の整理、行政代執行等、制度的な課題が数多くあるという御指摘を賜ったところでございます。ここについての制度的課題、対応についても検討すべきではないかという御指摘につきましては、私どもとしても本日いただいた御意見を踏まえてどういった対応があり得るのかということをしっかり検討してまいりたいと考えております。
 3点目として、制度面のみならず現行の運用の改善点や関係機関の連携強化、ここでまだまだやるべきところ、足りないところがあるのではないかという御指摘だったと思います。こうした中でも、国の中でも環境省と経済産業省の連携強化、さらには国と地方自治体の皆様方との連携強化、さらには事業者の皆様方、特に製造事業者の皆様方との情報共有、連携強化にしっかり取り組むべきではないかという御指摘だったかと思います。それについて私どもとしてまだまだ至らない部分についてはどういった形で連携の強化をさらに図っていけるのか、こうしたことをしっかりと検討してまいりたいと考えております。
 4点目でございますが、特に多くいただきましたのが、処理期限を確実に達成するという観点から、本当に処理しなければいけない量がどのくらいあるのか。それは使用中のもの、廃棄物となったもの、これも含めて把握することが第一の前提ではないか、ここについては把握するための掘り起こし調査等をあらゆる手だてを尽くしてやっていくべきではないかという御指摘を賜ったところです。私どもとしてもそこは大変重要なポイントだと理解しておりますので、ここについてもどういった対応を取り得るのか検討してまいりたいと考えています。
 最後5点目ですが、特に最初のほうでいただいた御意見の部分でございます。今回の検討会の視点は、高濃度のPCBと低濃度のPCB両方を視野に入れた検討会です。こうした中で、まずは処理期限が間近に迫っている高濃度を重点的に検討すべきではないかという御意見と同時に、低濃度についても期限は先ではあるのだけれども、今からできるところについては、必要な部分はやっていくべきではないかという御指摘を賜った部分でございます。私どもとしても、そうした御指摘を踏まえて対応を考えてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、本日いただいた御意見を踏まえまして、経済産業省と関係の皆様方とも検討を進めていった上で、どういった対策があり得るのかということについて、私ども行政内部でも検討を進めてまいりたいと考えております。特に最後のほうで北九州市の宮金課長から、言葉だけではなくて実行に移すべきという御指摘を賜ったところでございます。そうした声にしっかりとお応えできるように、経済産業省とともに検討を今後も深めてまいりたいと考えていますので、引き続きまた貴重な御意見を賜りますよう、どうかよろしくお願いいたします。

(酒井主査) どうもありがとうございます。それでは、事務局におかれましては、次回のワーキンググループにおいて、本日の御意見を踏まえ両省しっかり調整をした上で可能な限り追加的方策の素案として提示いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
 本日の議題は以上でございます。事務局から何か連絡がございますでしょうか。

閉会

(角倉課長) 本日は貴重な御意見をいただきまして本当にありがとうございました。本日御議論いただきました内容を踏まえ次回のワーキンググループの開催に向けた準備を進めていきたいと考えております。次回の日程ですが、10月16日金曜日午前10時から開催したいと考えております。開催場所等の詳細につきましては、改めて関係の皆様に御連絡差し上げたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

(酒井主査) 委員の皆様、今のような予定でよろしいでしょうか。それでは、本日のワーキンググループは終了させていただきたいと思います。長時間どうもありがとうございました。