環境再生・資源循環

第2回高濃度PCB廃棄物の行政代執行に対する支援に係る検討会 議事要旨

日時

平成28年5月26日(木) 17:00~18:29

場所

TKPガーデンシティPREMIUM秋葉原 ホール3B

議題

(1)高濃度PCB廃棄物に係る行政代執行に対する支援のあり方について

(2)その他

出席委員

(委員)(五十音順)

赤渕委員、上野委員、内橋委員、大塚委員、鈴木座長代理、河合代理人(高橋委員代理)、嘉祥寺代理人(田中敦委員代理)、髙橋代理人(田中昌子委員代理)、新美座長、塗委員、小磯代理人(野田委員代理)、福井委員、山田委員

(オブザーバー)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)

産業廃棄物処理事業振興財団

議事概要等

・会議は公開で行われた。

・事務局より、行政代執行見込み事案及び代執行費用の見通しについて説明があり、委員等より意見があった。

・事務局より、高濃度PCB廃棄物を行政代執行により処分する際の支援のあり方に係る今後の主な検討事項について説明があり、委員等より意見があった。

主な意見等

(行政代執行見込み事案及び代執行費用の見通しについて)

○  資料2について、使用中のものが廃棄物になってそれをまた処分していかなければならないが、その分は、新たに発生するという部分において考慮されているのか。

 →(環境省回答) 新たに発生する部分は、現在把握している使用中の機器と保管中の廃棄物の両方を足した数字であり、加味されている。

○ 実際に掘り起こしや督促をやっていると、処理を拒否する事業者が多いが、拒否する事業者についてはどの程度見込んでいるか。処理を拒否する事業者について代執行した場合は、費用補填の対象にならないということか。一旦都道府県市に費用を補てんいただいて、返還する形になるのか。

 →(環境省回答) そのまま自動的に支援することではなく、事案ごとの状況を審査する必要がある。運用については引き続き検討したい。

○  原因者に費用請求を常にしていくというスタイルをとらないと適正処理が期待できない。破産したとしても、あるいは適正処理を拒否しても、調査を拒否したとしても、代執行において発生した費用については基本的には原因者に請求していただくことが必要。

○ 原因者がいながら代執行費用を請求していくと未収金問題ということになって非常に事務量が増える。また、原因者がいる場合には財産調査の事務も出てくるので、どのような仕組みとすれば地方自治体が代執行を進めていきやすいのかも議論いただければありがたい。

○ 資料2の数字は、ある程度多めに見積もった形なのか、それともボトムラインを示した形なのか。

○ 掘り起こし調査で、現状の10%程度の量が出てくるというのは、まずまずの過去のデータから見てそれなりの見込みがあるが、倒産の割合というのはかなり幅があるとの理解でよいか。

 →(環境省回答) そのように考えている。

(高濃度PCB廃棄物を行政代執行により処分する際の支援のあり方について)

○ 自治体は、直接にかかる代執行費用以外のもの、いろんな面で人的問題から相当の負担を強いられる。代執行が終わった後の事務は相当なものがある。未収金については、場合によっては徴収に係る費用のほうが多くなるくらい頑張る。こういったことを勘案いただきたい。また、執行費用についてはあくまでも議会の議決を必要とする。

○ 資料における費用とは、多分、収集運搬と処理の費用だと思うが、行政側から言えば、それ以外に、行政代執行の前の段階の調査、改善命令等を出すときの手間、終わった後の求償に係る調査がある。それが、場合によっては複数件同時に発生する可能性がある。費用負担についてはそういった点もぜひご配慮いただきたい。

○ 安定器については、中小の専業メーカーが多く、数的にも非常に少ない。そこにだけ負担を強いるというのは非現実的な話。製造責任者としての責任がないということであれば、広く浅く寄付的な資金を求めるというのが妥当ではないか。

また、主要メーカーへのヒアリングで3つ課題が挙げられた。まず、顧客からPCB入りの安定器を引き取っているケースが多く、数億から数十億の処理費用を抱えている。まずは保管しているものをどう処理するのかが課題。2つ目は、各メーカーとも株主及び親会社に説明し、承認を得る必要があり、株主に対して製造責任がない中で費用負担というものは説明できないので、拠出をするにしても非常に難しいとのこと。この辺を説得できるような説明が必要。3つ目は、まずは掘り起こし調査を早くやって本当の意味の正確な数字が確定しない限り、負担の議論はできないのではないか。まずは掘り起こしを早急にやって数字を確定するのが先ではないかということ。

○ 都道府県は、住民の安全や健康保持の観点から一般的な責務があるので、この報告書の記述によって新しい負担が発生するものではない。

 特措法の4条と22条で製造者の社会的な責務についての規定が入っているので、国会がこの法律を通したということを考えても、普通の産業界全般ということではなく、やはり製造事業者等には特にご協力いただくことが適当。社会貢献の観点があるとしても、社会的な責任、これはliabilityではなく、responsibilityであるが、その程度のものはある。難分解性の有害なものを作ったということがあるので、その時点で違法ということではないが、社会的責任程度のものは負っていただくことになる。

○ 処理期限が限られた中、何らかの協力ということはさせていただくことになると思う。ただ、廃棄物の処理に関する法的責任はないというスタンスに立った場合、原則は広く薄くということが基本。株式会社である限り、株主に対してどうして法的責任のないものを出すのかという話になるし、社内でも社外取締役、社外監査役がいる、いろんなステークホルダーの方がいるので、そういう方と向き合っていかなければいけない。

○ 産業界については、法的責任はないが、広く薄くと言いながらも、PCB特措法4条、22条の趣旨を踏まえると、そこには一定の線があるのではないか。都道府県は、廃棄物に対して住民の生活環境を保全する責務は一義的にあるので、都道府県を抜くということはあり得ないのではないか。国、産業界、都道府県という枠組みの中で基金を構成していくというあり方は、基本的には正しい方向なのではないか。

○ 自治体の負担については、もし自治体が全く負担しないとすると、費用がべらぼうになってしまうのではないか。費用を一定額負担することによって、できるだけ安くする効果がある。それなりの応分の負担を受けていただかないと、制度設計上破たんしてしまう可能性がある。

 掘り起こし調査については、数字を確定することは難しい。その議論をずっと進めていくといつまでたっても制度設計ができないことになってしまうので、一定の線を区切って合理的な見積もりをしていくスタイルでないと現実的でない。

 産業界の負担については、PCB特措法4条で法的責任はないが円滑に推進されるように協力しなければならないと法律上書いてある。シンプルにこちらの条文に基づいて協力するというロジックはとれないのか。

○ 数字について、掘り起こし調査をやって今よりも精度を高めることが大事。

○ 調査は可能な限り同時並行でやるが、それを見据えながら制度をどう作っていくかということも議論として必要なのではないか。

○ 精度をアップするために掘り起こしのスピードアップに努力する必要があるのではないか。

○ 代執行の方法、すなわち、いかに代執行をスムーズに順次やっていくかという制度設計も、できればご検討いただきたい。代執行の実施を第三者の専門業者等にお願いする形はできるのではないか。

 →(環境省回答) 実際の行政代執行の事務が非常に大変なものであるということは、今までも数多くご指摘いただいているところ。事務執行上どう円滑にできるのかという点については、しっかり考えてまいりたい。

(了)