環境再生・資源循環

第35回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事録

日時

令和6年10月29日(火) 13:00~16:00

場所

公益財団法人産業廃棄物処理振興財団 会議室+WEB方式(YouTube配信)

開会

(前田主査) それでは定刻より少し早いのですが、ただいまから「第35回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」を開会いたします。
 初めに、環境省環境再生・資源循環局 廃棄物規制課長の松田から御挨拶いたします。
(松田課長) 皆さん、こんにちは。環境省の廃棄物規制課長の松田です。本日はこのPCB廃棄物適正処理推進検討委員会にお忙しいところ、皆さん御出席いただきまして誠にありがとうございます。日頃からPCB廃棄物の処理の推進に向けて様々な御助言をいただきまして感謝申し上げます。
 冒頭に1点報告させていただければと思いますけれども、先日8月31日にPCB処理基本計画の一部変更が閣議決定をされまして、JESCO北海道事業所の処理対象物として、北九州・大阪・豊田事業エリアの高濃度PCB廃棄物を追加いたしました。9月2日からJESCOへの登録を行っておりまして、今後集中搬入期間を設定して処理を進めていこうということでございます。北海道及び室蘭市の皆様の御理解・御協力を得まして、JESCO北海道事業所での高濃度PCB廃棄物処理が実施できることにつきまして、この場を借りて改めて感謝を申し上げたいと思います。
 さて本日の委員会では前回の会議に引き続きまして、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCBに係るPCB特措法での今後の対応について御審議いただければと思います。環境省は令和7年度末のJESCOでの高濃度PCB廃棄物処理事業の終了を見据えまして、立地自治体の皆様の御理解・御協力をいただきながら、また関係省庁、JESCO、自治体、産業界の皆様と一丸となって、高濃度PCB廃棄物の適正処理を進めるとともに、また低濃度PCB廃棄物についても令和9年3月までの処理期限がございますので、そこに向けて一丸となって取り組んでいきたいと思います。
 本日は皆様の活発な御議論、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
(前田主査) 続きまして、本日の委員の出席状況を報告します。14名の委員中12名が出席いただいています。伊規須委員、川本委員が御欠席です。また、JESCO・PCB処理事業所立地自治体、PCB処理監視委員会委員長等にも御参加いただいています。よろしくお願いいたします。
 委員の皆様には会議場に資料配付、またはあらかじめ資料をメールにて送付させていただいております。不備等ありましたら事務局にお知らせください。
 また、Web参加いただいている委員におかれましては、発言される際にWebシステム上の「挙手ボタン」を選択してお知らせください。
 これ以降は、座長の永田先生に進行をお願いいたします。

議事

(永田座長) どうも委員並びに関係者の皆様にはお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。それでは早速ですが、議事に入らせていただきます。まず議題の1番目、高濃度PCB廃棄物処理の進捗状況ということで環境省から説明をしてもらいます。どうぞ。
(切川課長補佐) 環境省から資料1について御説明させていただきます。資料ですが東京・北海道事業エリアにおける行政指導の実施状況【概況】と書いています。JESCOで令和6年度末までで確実に処理をしきるということで、処理の手続きが難航している事案が生じた場合に関しては、必要に応じて行政指導や行政処分を実施してございます。
 下の表は上が使用中の高濃度PCBのもの、下が保管中の高濃度PCB廃棄物のものとなっています。それぞれ行政指導もしくは行政処分を実施予定というものを整理してございます。
 まず上段は新潟県の事案で、令和4年から指導を実施している事案になっています。下段に5件ございまして、保管中の廃棄物になります。上の2件が今年度から保管事業者の確認を取っている事案、行政指導、代執行実施予定が1件、最後が指導予定が1件という状況になっていまして、これらが確実に処理ができるよう引き続き行政指導をしてまいる予定です。以上です。
(永田座長) どうもありがとうございます。この件に関して何か御意見、御質問等ありましたらお願いします。
 私のほうから考え方の整理を求めたいのが、一番上の新潟県のコンデンサー1台、これが電気工作物という扱いになっています。既に令和4年の4月からだと2年半指導中という扱いになっています。指導中になっていますが、もう2年半、違反状態のままになっているという状態です。どういうふうに今後対応していくべきなのか、あるいは対応するつもりなのか、説明をお願いします。
(弥益補佐) 経済産業省です。電気事業法上の扱いということですが、御指摘のとおり、告示に示す12種類の電気工作物については、高濃度PCBが含有していれば、現段階においては電気設備に関する技術基準を定める省令第19条第14項に基づき、電路へは施設してはならないということになっています。この場合、電気事業法第40条に基づき電路から外すよう技術基準適合命令を行うことが可能となっています。
 経済産業省ではこういった事案に関しては、まずは設置者に直接お話をさせていただくことや必要に応じて立入検査を行うことなど、設置者に適切な処分について御理解をいただくよう丁寧に対応させていただいている状況です。
 本事案についても、この場で詳細についてはお答えすることは差し控えさせていただきますが、同様に丁寧に対応させていただいているところです。引き続き指導を進めてまいります。
(永田座長) よろしいでしょうか。丁寧にといっても違反状態が2年半です。罰則がありますということを適用せずに、そういうふうに打ち出していくということは逆効果ではないですか。ここまで放っておいても大丈夫だということを逆に示しているようなものとも言えるのではないでしょうか。丁寧にという言い方をしていて済むと思いますか。浅野先生、法律の関係としていかがでしょうか。
(浅野委員)  物事には限度というものがあるので、「丁寧に」が2年も続くというのはいかにも異常な状態としか思えません。
(永田座長) ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。このままにしておくというのもおかしい話です。指導をしているということですけれども、今後の対応状況を次回の委員会で説明してください。 あとは確認中というのがありますけれども、これは令和6年8月ということで、そういう意味では比較的最近です。これについても代執行等で適切な対応をしていっていただきたいと思います。指導中の安定器の話もそうです。
 自治体の代執行自体はかなりバックアップ体制とか資金的な問題、そういうものでサポートされて、比較的代執行も実施しやすくなっている。できることなら早めに片付けていくというのが重要な話かと思います。対応をよろしくお願いします。
 よろしいでしょうか。では議題の1番目はこれで終わりにさせていただきます。
 続きまして議題2番目、高濃度PCBに係るPCB特措法等での対応、ということで、これも環境省から説明をしてもらいます。
(切川課長補佐) 環境省から資料2について御説明させていただきます。JESCO事業後に高濃度PCB廃棄物等が発見された場合等の対応ということで、1枚めくっていただきまして1ページ目を御覧いただければと思います。
 こちらは前回の7月の検討会でいただいた御意見をまとめたものです。上のほうが無害化認定施設を活用した処理がいいのではないかという御意見、下が情報発信に関してしっかりやっていきましょうという御意見になっています。
 まず上の無害化認定施設を活用した処理に関してです。1つ目の御意見としては、切断等の前処理を行って無害化認定施設の処理ができるようにしていくことが重要ではないか。
 2つ目が無害化認定施設をしっかり活用していくということで、民間の処理施設の人材育成の観点も含め重要な観点であり、実証試験を行っていきながら対象濃度を拡大していくのが現実的ではないかという御意見です。さらには金属のものと一緒に使われている場合があるため、金属資源等の資源回収をするという意味では、溶融も意識した検討が重要ではないかという御意見をいただいています。
 では本日の資料の御説明を続けさせていただきます。スライドの2枚目を御覧いただければと思います。
 こういった前回の御意見を踏まえまして、今回処理技術に関する検討事項をまとめさせていただいています、基本的な考えですけれども、資料としては最後のページになります。スライドの8枚目に前回の検討会の中で技術選定の考え方ということで案としてお示し、前回お認めいただきましたので、考え方ということでお示ししています。この考え方をまずは基本的な考え方ということで、整理させていただいています。
 JESCO事業で高濃度PCB処理を確実に処理し切るころを大前提に、JESCO事業後に出てくるものは少量であり、かつ散発的に排出されると考えています。特に大型の絶縁油が多く入っているものに関してはJESCO事業において処理されていますので、今後出てくるのは安定器、溶接機、コンデンサーに内部搭載されている小型のものが中心だろうということを整理しています。長期間にわたっての処理体系を維持できるような技術に対する検討が必要だというのが、基本的な考え方です。
 これに基づきまして、下の枠の中にコンデンサー等ということで、絶縁油がある程度入っているものと安定器と2つに分けて技術的な整理をしています。小さい丸ポツで書いているのは既存の処理の部分です。上のコンデンサーのほうですと、JESCOではコンデンサー等をPCB油、金属くず、その他汚染物に分解して、PCBは回収してそれを化学処理して無害化しています。しっかりと構造的な安全の下で処理をされています。
 無害化施設では、筐体ごと処理をしたり、油とか汚染物という形でそれぞれを処理しています。
 そこで今後JESCO後に高濃度PCBが出た場合の対応ですけれども、高濃度PCB使用の変圧器コンデンサー等を無害化認定施設で処理するためには、JESCOのこれまでの実績や知見等を参考にして、PCBを抜油し、解体する等の前処理技術を開発した上で、それぞれが適正に処理できるところで処理をしていく体制はどうだろうかとまとめています。
 下が安定器になります。安定器はJESCOではドラム缶に入れてドラム缶のまま、プラズマ溶融処理を行っています。無害化認定施設では、塗膜や汚染物に関しては焼却もしくは溶融処理がされています。
 今後、青い枠の中です。高濃度PCB使用の安定器・小型電気機器等を無害化認定施設で処理するためには、安定器・小型電気機器等からPCB使用のコンデンサーを取り外すという技術と、もしPCBが漏れていた場合には、染み込んだPCBを含んだもの、汚染物を適正に処理できる方法が必要ではないか。また、コンデンサーの処理に当たっては金属回収の観点から溶融技術も有効ではないか。さらに制御盤などの複雑な工作物の処理に当たっては、同じように資源回収の観点から溶融施設における処理技術等の検討も有効ではないかと、技術の検討の方向性を整理しています。
 具体的に次のスライドの3枚目、4枚目で処理フローの案を示しています。スライドの3枚目を御覧いただければと思います。コンデンサーの構造を右側中央に入れています。コンデンサーの頭の部分、碍子と下の部分を切断してそこからPCB油を抜き、中のプレスボードと素子を分けることによってPCB油、金属くず、汚染物の3つに大別し、それぞれを無害化認定処理施設で処理するというのが基本的な形で考えています。もし金属くずや汚染物に関してそのままでは処理が可能な施設がないような状況であれば、洗浄やPCBの抽出も検討する等、処理できる方法を考えていく。そのときにはこれまでのJESCOでの実績に加え、今後分解試験等を実施した結果も踏まえて知見を蓄積しながら検討してはどうかと考えています。
 次の4ページ目を御覧いただければと思います。次は安定器や小型電気機器の処理フロー案を示しています。こちらも構造を右側中央のところに入れています。コンデンサー(含PCB油)と書いています。この機械の中に内蔵されているコンデンサーにPCBが入っています。JESCOでの処理技術においては、安定器や小型電気機器等からPCB使用の小型コンデンサーを取り外して、小型コンデンサー・汚染物の処理が可能なものはそこでの処理を基本としてはどうだろうかと考えています。
 不燃性のものに関しては先ほどのコンデンサーのときと同じように、そのまま無害化認定処理施設で処理することが難しい場合に関しては、PCBを抽出するという方法も考えられるのではないか。
 さらに複雑な工作物に関しては、資源回収の観点からの技術検討も重要ではないかということを整理しています。この際もJESCOでのこれまでの実績や知見等が活用できると考えています。
 その次5枚目を御覧いただければと思います。今年度知見を得るため、まずコンデンサー・安定器の手解体試験を実施したいと考えています。JESCO東京事業所内の場所を活用させていただき、下に書いてある作業手順や確認事項を確認したいと考えています。結果を有識者の確認を得て年度内には報告書をまとめようと考えています。そのときにJESCOの技術部会や既存の会議体を活用させていただきながら検討することを考えています。
 具体の作業手順ですけれども、PCBを飛散・漏えいさせないために、負圧管理された状態の中で、グローブボックスの中で実施することが重要であり、かつコンデンサーに関しては先ほど処理フローでお示ししたような手解体での抜油、解体でパーツに分解していく。安定器に関しても分解してコンデンサーを取り出すということを作業手順として考えています。
 確認事項ですけれども、まずは共通のものとしては作業環境中のPCB濃度と作業効率を確認したいと考えています。特にコンデンサーに関しては、機器の重量とかkVAと比較して絶縁油がどれくらい入っているのか、あとは染み込んでいる絶縁油がどれくらいあるのかというところも確認していきたいと考えています。
 安定器に関しては、安全性の観点からむき身は禁止という状況になっていますので作業の安全性や1個当たりの作業時間、今回は手解体で実施しますけれども、機械化の可能性があるのか、手作業のリスクといったものも確認していきたいと考えています。
 次のページがスケジュールになっています。6枚目を御覧いただければと思います。年度で書いています。令和6年度が2024年になります。2025年のところがJESCO処理事業が終了する令和7年度になります。表の真ん中の線のところでJESCOでの高濃度PCB処理事業が終了するということになります。2026年度以降が新しい技術が求められるところとなります。
 その中で今年度一番上のところを御覧いただきますと、技術検討ということで小型コンデンサー・安定器等の処理技術の検討をまずは進めていく。今年度のうちに実証事業の事業者を選定していって、来年度には実証試験に着手したいと考えています。
 その上で、その下の段に行きますが、実証試験の結果が出たところからしっかりと評価を進めていって、できたところから告示改正ということで、必要な制度的な対応を実施していきたいと考えています。
 実証事業の事業者に関しては適宜追加していきます。実証試験に関しても必要な試験は適宜追加していきながら対応していこうと考えています。
 告示が整ったところから都度事業化を進めていって体制を確保していくということを考えています。
 最後7ページ目を御覧いただければと思います。先ほど技術的なところを整理してきましたが、その中で告示の改正と申し上げました。JESCOのPCB処理施設の施設も民間事業における無害化認定処理施設も廃棄物処理法上の設置許可、業の許可をいただいて処理をしています。その中で今後の無害化認定処理施設ですが、これは廃棄物処理法の中では省令に位置づけ、具体の中身を告示で整理していますので、高濃度PCB廃棄物の処理技術が実証試験の結果の評価で確立されると判断できたところから、廃棄物処理法に基づく環境大臣無害化認定制度の対象に追加していくということで対応していったらどうだろうということを書いています。
 かつ、そのときに大事になってきますのが前処理です。本日スライドの3~4枚目でお示ししているものを確実に実施していくということになってきます。これまでも無害化認定に関しては焼却技術も洗浄技術も技術ガイドラインを作成して、認定会議の中で確認いただいて認定してきていますので、前処理に関しても作業方法の手順に関する技術ガイドラインを作成した上で検討していってはどうだろうということで整理しています。
 さらに、これまでの議論は技術ですが、PCB特措法上の位置づけということで、処理期限等の考え方に関しても、併せて制度的な検討を整理しています。これまでのJESCO事業における処理に関しては、日本全国を5つの事業エリアに区分して、そのエリア内で処理していくということを目指した法体系になっていますけれども今後、JESCO事業後に関しては民間施設で処理していくことになりますので、5つの事業エリアという考え方そのものが崩れていく、かつ、量も少量ずつ散発的だということで、これまでは処分期間、計画的処理完了期限、事業終了準備期間としておりましたが、今後処理の考え方で覚知後一定期間内に処理を行っていくというような考え方も必要だろうと考えています。
 最後のマルですけれども、これまでの大量に出てくる高濃度PCB廃棄物をしっかりと処理していくというところから、少量ずつ散発的に覚知される段階にフェーズが変わっていきますので、自治体による計画策定とか数量管理、行政指導、行政処分、行政代執行といった考え方に関しても点検をしていきたいと考えています。説明は以上になります。
(永田座長) どうもありがとうございました。それではいかがでしょうか。今の資料につきまして、何か御意見、御質問等ありましたらお願いします。
(浅野委員) よく考えていただいていると思いました。私は制度改正のところについてしかコメントできませんが、確かにこれまでとは大分変わってきますので、そもそも自治体に全部仕事させるということができるかどうか。特に小さな自治体、ほとんど案件が出てこない自治体が出てくる可能性もありますので、そうした自治体での取り扱いをどうするかということも課題になるような気がします。
 例えば状況によっては、どこか環境事業団のようなところに委託をすることができるようにして、小さな自治体は自分でできなければそこに委託をするというような、行政制度全体を委託できるようにしたほうがいいかもしれない。各自治体ごとにというやり方ではできないでしょう。量が極めて少ない、めったに出てこないということになると、担当者がいなくなったら全然知識がないということにもなってしまって大変なことになります。その辺のところもぜひ全部委託という必要もなくて、大きな自治体はちゃんとできますから、小さな自治体はそれができるような仕掛けがあってもいいと思います。
 実は、公健法の認定制度のように、恐らく遠からず各自治体の仕事はものすごく少なくなる。大きいところと小さいところが出てくると思います。そういうときには小さなところは委託ができるような仕組みを作ったらどうかと考えたりしています。それと似たような考え方を取り入れたほうがいいかもしれないと思います。ぜひ検討いただければと思います。
(永田座長) 分かりました。ありがとうございます。
(酒井委員) 私のほうからは技術的な観点で意見を申し上げたいと思います。主に今回コンデンサーと安定器の処理フロー、これまでのPCB処理の技術を取り込んだ整理を試みていただいているわけですが、もう少し有害性と資源性の両側面を念頭に置いたシステム構想があっていいのではないかということで意見を申し上げたいと思います。
 少量で散発的に覚知されるというケースということでまいりますと、その対象が制御盤、溶接機、レントゲン機器とかある種の相当複雑な工作物を相手にしていくということであれば、相応のシステム技術がそれぞれ要るということを念頭に置いた構想づくりがあっていいのではないかということです。すなわち、個別の部品解体にどうPCBの分解機能を併せ持つのか。併せて金属資源あるいはプリント基板といったような資源性のあるものも含まれているわけですので、そういう対象を有害物分解と資源回収、その両側面を持ったシステム構想につながっていくような手順を考えてはどうかということです。
 日本社会には例えば電気炉の技術があります。あるいは非鉄製錬の技術というところで、ここに相当の経験と知見を持っておられる方々がいるわけです。そこに今回実証される、そのような前処理技術をうまくはめたような形で、少量であってもPCBにちゃんと対応できる、かつ、こういう複雑な工作物のリサイクルというのは今まであまり検討されてきていませんので、そういうところにトライするということでの構想を考えていただいたらどうかということです。今回いただいた方向で計画を進められることは結構だと思いますので、その一歩先ということのシステム構想も取り入れたらどうかということで意見を申し上げます。
(永田座長) ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
(鬼沢委員) スライド3、4の枠の中に、そのままでは処理可能な施設がない場合は、とあるのですが、新たにそういう施設をまた造っていくということなのか、できれば今技術があるところを検討してそれを活用していくということになるのでしょうか。
(永田座長) 前書きがそのままで処理可能な施設がない場合にはということですね。今お三方から御質問、御意見をいただいたので、まとめて環境省からコメントがあったらお願いします。
(切川課長補佐) では回答させていただきます。まず浅野委員からいただきました、これまで自治体に取り組んでいただきました様々な取組に関する今後の方向性です。現在は、JESCOや産廃振興財団の請負業務の中で自治体に対する技術的な支援をさせていただいています。そうした知見を持っている団体も存在していると考えています。今後の対応の中でそういった方々の活用も含めて支援ができると考えています。
(永田座長) もう少し踏み込んだ議論になりますね。委託ができますとかサポートというよりも、あるいは主体的な仕事をやってもらえるような組織を準備しておいたほうがいいのではないかという浅野先生の御意見です。確かに処理の件数がどんどん減っていく中で、そういうものも考えていただきたい。
(松田課長) 1つ目の制度的な部分の検討にも関わってきます。いろいろな法律が自治体の事務について、例えばJESCOは株式会社ではあるのですけれども、国が非常に関わっているような機関に委託できるような仕組みがあるのかどうかというところの前例も見ながら、浅野先生からいただいた提案は非常に建設的な御意見だと思いますのでその点を制度的な対応の部分の中で、我々としてもいただいたアイディアがどのような形でできるかというところを検討していきたいと思います。
(永田座長) 分かりました。
(切川課長補佐) 続きまして酒井委員からいただきました資源回収、資源循環と無害化を両輪で動かしていくようなシステム構想に関しては、非常に大切なお話だと思っています。無害化処理に関して今はPCBですが、今後どんな物質が出てくるかも分かりませんので、そこも含めて資源循環の中で、無害化もできるような考え方が大事だと思っています。しっかりと論点を整理して今後の検討に組み込んでいきたいと考えています。かつ、そのときに電炉、非鉄製錬に関してはこれまで資源回収をかなりやられていますので、それぞれの業界さんの御意見も聞きながら、技術も整理していきたいと考えています。
 鬼沢委員からの御指摘について、新しい施設を造ることは考えておりません。新しい施設を造ると、またゼロから御理解をいただくところになっていきます。基本は前回、川本委員から御指摘のあったような前処理を取り入れて、既存の施設で処理ができるようにしていくことが大事かなと考えています。ありがとうございます。
(永田座長) 高岡先生、どうぞ。
(高岡委員) 私のほうから1点確認です。今回の解体試験は、JESCO東京事業所で実施されるということですが、これはJESCOの東京で今、高濃度処理されている方の一部がこの作業をされるという認識でよろしいのでしょうか、という質問です。
(切川課長補佐) 別の体制で試験をしていくことを考えています。JESCOの本社の事業部とその点は御相談させていただいています。
(高岡委員) 分かりました。
(永田座長) 東京事業所のスペースを使うという理解でよろしいと思います。あとは、焼却について技術部会は酒井先生、環境省の技術評価委員会も酒井先生がやっておられます。ですから、今はそこをどこにするのかというのは決まっておりませんが、JESCOのスペースを使うということで、これまでの経緯もありますので技術部会で評価してもらうのがいいのかなと考えています。まだそこら辺は煮詰まっていません。よろしいでしょうか。
 私のほうからコメントです。先ほどの7ページ目に処理体制・制度に関する検討事項と書いてあります。前処理施設だけではなく、その後使われる、さっき酒井先生から御提案のあったような溶融処理、これは計画の中にも一部盛り込んであるのですけれども、それをもう少し前面に出したほうがいいというのが酒井先生の御提案だろうと思います。できるだけ早めにそうした技術についての開発も進めていくべきだというのも、今の御意見の中にあったと思います。
 それは対応させていただきますが、一方で焼却技術についても、高濃度のものを焼却しますという話になってくるわけです。そういう意味ではどういう方法が適切なのか、特に今まで化学処理という形で対応させていただきましたけれども、これは基本的には、私の頭の中で整理したのはフェールセーフの考え方の中で構造的なフェールセーフ。フェールセーフの中にも構造的なものと機能的なものがあると思います。基本的にはバッチ処理ですから、バッチ処理した後の気体とかそういうものに対してちゃんと検査してそれが安全だということになった後で、その装置、施設から排出するという形態を採っているわけです。ですからこれは一般の人たちに納得されやすい構造的にフェールセーフの状態を作っているのです。
 ところが機能的なフェールセーフというのは、焼却するといろいろな形で機能性を持ち込んで安全ですということをやってまいりました。そこまで拡大はしてきましたが、初期の段階では機能的な方法論は、どこかで人為的なエラーとかそういうものが絡んで、機能が崩れていくと安全ではなくなってしまうという感覚が、一般の人たちの中にもセンスとして持たれている部分があるのではないか。
 ですから構造的な話をしたときにはすっと納得していただけるのですけれども、機能的な安全を強調してもなかなかそれが先に進んでいかない。39戦39敗の責任も私どもは感じています。そういう状況だったと思います。
 そういう意味で焼却ということに関しても、高濃度のものを焼却するという話になったときには、機能的な安全、そういう形での担保の仕方、例えば年2回、ダイオキシン濃度、PCB濃度を測ってそのときの運転体制あるいは方法論とかそういうものが同じ状況をずっと保ってきているのです。ですから基本的には平時PCBやダイオキシンを測らなくても、安全性が担保できているという形で進めてまいりました。
 そういうやり方でがっちりつかまえてきたわけですが、そういう中に今回考えているような焼却を持ち込むのだとしたら、こういう方法論でやっていったほうがいいという提案もあるのではないかと思っています。そういう意味ではガイドラインの中に適正な前処理の話だけでなく、焼却だ、溶融だという方法論に関してもどうするべきかということを盛り込んでいくことになるだろう思っていますので、少しつけ加えさせていただこうと意見を申し上げました。
 あと随時処理するような体制をずっと作っていく。できるだけ期間は長い期間が必要になってきますというのは理解していますが、それをいつまで面倒を見ていくのかというのは、体制はそういう形で継続的にできているのだと思いますけれども、例えばそれをキープするような低濃度の委員会あるいはこの検討会とか、こういうものをいつまでやるのですかと。そういう意味ではそこの段階から手放しするような話を少し整理して考えていく必要があるのではないか。
 もう少し先ですということになるかもしれませんけれども、まだこういう問題に関わっている人間が多数存在している間に、ある程度の方向性は出していっていただきたいと思っている次第です。
 ほかにいかがでしょうか。
(田中委員) そもそもどれくらい高濃度PCB廃棄物が残っていて出てくるかという点で、今まではデッドラインを設けて延長して、それから掘り起こしの努力も随分された。今後はほとんど出てこないということを期待したいところです。結果的にはやってみるしかない。出てきてしまったら量に応じてスペシャルチームを作って、ケース・バイ・ケースで対応を考えていくということかなと思います。
 PCBのそもそも処理しなくてはならないものが、全部で最初は5.4万tくらいでした。5,4万tのPCBを高濃度で処理して、ピュアなPCBとして1t残っているのか、2t残っているのかというレベルだと思います。あれだけの掘り起こしの努力があって、全部きれいに処理されたと私は思っています。JESCOで高濃度PCB廃棄物に関わった人材を活用できるようにしていくことが大事かと思っています。
(永田座長) ありがとうございます。ぜひそういう状態で期待しています。ただ、出てこないと言えないし、終了したエリアから出てくる分も若干あると聞いておりので、そういうのがまた東京・北海道が終わった後にも出てくる可能性がないわけではない。そのための体制づくりはきちんとしておかないといけないなと思います。
(田中委員) 年間当たり数十なのか数百なのか。それによって大分違うと思います。
(永田座長) いかがでしょうか。よろしければ、内容的にはまた少し詰めていく必要があるかと思いますが、ここに書いてあるようにやらせていただいて、高濃度のJESCO事業が終了した後、どう対応していくかということの体制づくりにつなげていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして議題3番目、低濃度PCBに関わる課題等の対応方針について、まず産廃財団のほうでデータを整理していただきましたので、3-1については産廃財団から説明してもらいます。
(財団 長田顧問) 資料3-1、現行のPCB特措法での低濃度PCBに関する届出情報の課題について、産廃振興財団から説明させていただきます。
 1枚めくっていただきまして、これは前回第34回検討会での委員の皆様からいただいた意見です。まず、PCB特措法の届出情報の分析について報告させていただきました。届出された機器の定義はどうなっているか、PCB含有機器の疑い物はどうなっているのか、という永田座長からの御意見です。
 JEMA、日本電機工業会の推奨している使用年数は15~20年なのですが、60年ほど使用されているものがある。この要因は何か、と永田座長から御意見をいただいています。
 地方自治体や国が保管している低濃度PCBについて早期に処理を進めるべきである、という高岡委員からの御発言です。
 政府率先した取組はどうなっているのか、と永田座長からの御意見をいただきました。
 変圧器・コンデンサーからの低濃度PCBの検出事例についても、前回報告させていただきました。これについて2003年~2015年までは検出なしとされているが、分析数はどの程度か、ということで酒井委員から御質問がありました。
 検出率が1%未満にもかかわらず分析を求めると99%が無駄な分析になる。無駄にならない取組が必要だと、永田座長の御発言がありました。
 今後それぞれのメーカー等からより確かなデータ提供がなされることを期待する、と酒井委員からありました。
 高効率化や脱炭素に資する機器への交換を促進できないか、という永田座長からの御意見がありました。
 これらについて資料3のシリーズの中で回答をしていきます。まず次を開いていただきまして、保管中の低濃度PCB含有廃棄物の届出状況になります。環境省が毎年公表しています特措法の保管届出情報、低濃度としての届出が始まったのは2016年、平成28年からです。それからの経緯をプロットしました。
 どのようになっているかというと左上のグラフが変圧器と3kg以上コンデンサーの保管量です。御覧いただきますと、当初は7万台ほどの保管量でしたが、最近は減ってきまして4万程度という状況になっています。その内訳については下に変圧器とコンデンサーをプロットしていまして、同じように最近は減少しています。
 上の四角の中に書いてあります濃度不明物(=疑い機器)は約2,400台と書かれているのですが、これは特措法の届出の中で濃度不明という届出がされて、その集計値が公表され、直近のものですとわずかですが、2,400台が濃度不明ということで届け出られています。
 次は変圧器と3kg以上コンデンサーの出荷台数です。30万台の使用中の低濃度PCB含有機器また疑い機器があると推定されています。これは過去何度もありました出荷台数とPCB検出率と仮定した残存率から推計した台数になりますが、相当の数がまだ残っているはずなので、これらについてはまだ出てくる可能性があるということかと思います。
 次のスライドをお願いします。これについては直近4年分の変圧器と3kg以上コンデンサーの届出情報を解析しまして、まず初めに2019年度の4万1,099台変圧器、これが翌年度の届出情報で新たな届出があったもの、継続して届出があるものを集計しました。その際の前年度の届出量保管量から翌年度の継続保管量を差し引いたものが処分された量とみなしましてやりますと、1万2,204台が処理された。新規の登録で保管量は6,817台となりまして、これを見ていきますと変圧器の処分量は10,000~12,000台が3年分ですが処理されている。新規の保管は5,700~6,800台ということで、この差異分がトータル減ってきているということです。
 3㎏以上コンデンサーで見ますと、処分量は約6,300~8,200台、新規保管量は5,000台程度ということで、これも処分される量が多いものですからトータルとしては減ってきている状況になっていることが分かりました。
 次のスライドをお願いします。変圧器からの低濃度PCB検出事例、直近の特措法の保管届出情報を解析しました。製造年、メーカー名、PCB濃度が分かりましたのでそれを抽出しています。安全宣言、1994年以降に製造された変圧器は低濃度PCB含有の疑いの可能性はないと公表したわけですが、富士電機については後ほど説明しますが、1995年以降は安全、汚染はないとされています。
 それに対して実際はどうかというのをプロットしたものが、下のグラフになります。1994年から見ていきますと、2004年まで11社トータル35台の届出がされています。各年度の届出数量と各メーカーの合計数を表に書いています。下の製造年別の届出数は、94年の6台、95年6台、96年7台、97年7台とありますが、それ以降は減っています。
 次のスライドをお願いします。これは前回の検討委員会でもお示ししました電気保安協会さんから提供いただいた資料です。変圧器の状況について検出状況を拾いました。保安協会さんは17社から39台、安全宣言以降に検出されたデータがあると報告がありました。
 その検出率について下に表があるのですが、94年時点は0.41%で以降を見ると減ってきている。保安協会さんのデータで2002年、平成14年まで検出があったという状況になっています。
 横にメーカー別の内訳を書いていますが、赤字で書いたものは特措法でも届け出られているメーカーで、8社がそれに該当するということになっています。
 次のスライドをお願いします。3㎏以上コンデンサーの低濃度PCB検出事例、これは直近の特措法の保管届出情報からのものになります。
 安全宣言以降の3kg以上コンデンサー、絶縁油封じ切り機器になります。これについては、1991年以降に製造されたものについては、低濃度PCB含有の疑いの可能性はないとしているわけです。この場でも何回か御報告があったように、原因究明WGの際にデータ提供がされなかったニチコンについては、低濃度PCB含有の可能性があると公表しています。東芝はニチコンのOEM製品も含めて低濃度PCB含有疑いがあるということになっています。
 その数量を右で見てみますと、全部で8社ありましてそのうちニチコンが63台で一番多い。トータル76台という状況になっています。
 下に年度別の台数を入れています。これを見ていきますと、2001年が44台となっています。そのうち42台がニチコン製ということになっています。2000年7台と少し多く、一番遅い検出が2003年という状況になっています。
 次のスライドをお願いします。これ以降4枚のものは各メーカー、日本電機工業会、JEMAさんのホームページで微量PCB検出変圧器等対策委員会というのは2002~2003年頃に設けられていた委員会です。そこに加盟していた企業、2003年当時の企業名と現在の名前を並べました。全部で25社あるようです。表は各メーカーが製造販売した機器として変圧器とコンデンサーに分けまして、各社のホームページを我々のほうで確認してその見解を転記したものになります。
 これは安全宣言、変圧器ですと1994年以降が、コンデンサーは1991年以降が汚染がなく安全ということになりますが、各社の見解を並べてみますと、変圧器についていうと1989年とか90年があるのですが、日新電機さんは1993年以前に製造された油交換が可能な変圧器等に微量PCB混入の可能性が否定できない、という見解を載せています。安全宣言が1994年ですので、安全宣言の年度には入っているということになります。各社さん、年と月について詳しく御報告をいただいています。
 次のページも安全宣言以前のものになります。この中で公表されました富士電機については一部該当しないものがありまして、1990年から1994年までに製造した油入り電気機器には一部1989年以前に購入した絶縁油(新油)が封入されている機器があるが、これらは低濃度PCB混入の可能性は極めて少ない、という言い方で公表されています。
 明電舎さんは2002年12月以前に出荷された変圧器は微量PCB混入の可能性あり、という書き方になっており、安全宣言を超えての見解になっています。
 この辺は次のページで報告させていただきますが、微量PCB検出変圧器等対策委員会に加盟していない電機工業会会員の企業さんの見解がありまして調べてみましたら、戸上電機製作所が書いています。1989年以前のものについては可能性を否定できないという見解をしています。他社さんについてはあまり詳しい情報は載っていないという状況でした。
 次のスライドをお願いします。これは安全宣言以降の各メーカーの見解です。ハッチをつけたのはこのページで5社、次のページで3社あるのですが、高丘製作所さんを見ますと、製造番号がここに書いてあるようなものについては、微量PCB混入の可能性が否定できない。年限について見解は出されていないのですが、この製造番号のものは汚染の可能性があるとされています。
 東芝についていいますと、1990年~2003年8月までに生産された特別高圧設備機器(変圧器及びブッシング)は可能性があるということ。OEM供給を受けていた一部の高圧コンデンサーがあるということで、これについては型番が下に書いてあります。BRTR、ERTRというのがあるのですが、両者は1990年製のもの、CRTRという型番がついた1998~2004年製についてはPCB汚染の可能性がある、としています。
 また、ニチコンについては、2004年3月以前に生産された油入機器については混入の有無を判定あるいは証明することはできない。それ以降は証明できるという見解を出しています。
 最後のスライドです。ここでは3社が安全宣言以降の汚染の可能性について見解を示しています。
 富士電機さんは、1990年から1994年までに生産した油入り電気機器は、微量PCB混入の可能性は極めて少ない、という言い方となっており、1995年以降については混入の可能性はない、としています。
 北陸電機製造(株)さんは、1990年から2004年7月までに製造した変圧器は、検出事例はないが出荷時のPCB分析はしていないため、個々の機器について混入の有無を判定あるいは証明することはできない。2004年8月以降に製造した変圧器は、不含証明を発行可能としています。
 明電舎さんは2003年1月以降の変圧器は、出荷時に絶縁油のPCB分析を実施しており証明できるということですが、それ以前のものについては北陸電機製造さんと同様の見解かと思います。自社で点検、分析することを行っていなかったので汚染の可能性はあるということかもしれませんが、そういう見解を出しています。以上となります。
(永田座長) 最後の2枚分の中で環境省のほうの届出データで1994年以降に検出があった会社以外にも載っているのですか。
(財団 長田顧問) 先ほどのグラフの中で出てきた会社です。
(永田座長) それ以外のものがここには入っているのですか。それを後で聞きますから、どの会社がそれなのかということを説明してください。基本的には、ここに変更はない。例えば愛知電機というのは安全宣言以前と以降で変更がないわけですね。ただ、安全宣言以降も検出されているのですね。それがどういう原因なのかということを究明しないと分からないかもしれないけれども、それに対する考え方の整理をしていないということですね。そういうものが検出されているという実績がありながらです。会社自体も知らないのかもしれない。だけどそれを積極的に集めようともしなかったという話になってくるので重要です。検出された会社がどういう対応をしているのかということです。
(前田主査) 続いて資料3-2、処理期限(令和9年3月末)までのPCB特措法での低濃度PCBに関する届出方法案について、御説明させていただきます。現在の低濃度PCBに関する届出の課題についてまとめさせていただいています。
 次のページをお願いします。1ページ目は保管中の低濃度PCB廃棄物及び疑い製品の届出方法ということで、現在の届出の概要について整理しています。1つ目のポツになりますが、新規で低濃度PCB含有疑い製品を覚知した場合、メーカー等に問い合わせた後、濃度分析を行い、低濃度PCB廃棄物であることが確認できたものは、PCB特措法に基づき自治体廃棄物部局に届出いただいております。
 また、濃度分析を行っていないが、同時に見つかった製品が低濃度PCB廃棄物に該当すること等から低濃度PCB廃棄物と判断した場合、保管中の濃度不明物として、自治体廃棄物部局に任意で届出いただいております。
 届出を行った低濃度PCB廃棄物については、保管を継続している場合でも毎年6月末までに自治体廃棄物部局に届出いただいております。
 保管中に濃度分析を行い、低濃度PCB廃棄物に該当することが判明したものは、濃度を追記して毎年6月末までに自治体廃棄物部局に届出いただいております。低濃度PCB廃棄物に該当しないものは届出の抹消手続きをしていただいております。
 処分を行った低濃度PCB廃棄物は処分後速やかに自治体廃棄物部局に届出いただいているというのが現在の状況になります。
 こちらについて簡単に図にまとめたものが下のところにございます。下の赤囲いのところになりますが、現在義務づけされていない手続きのうち、所有中の濃度不明物を疑い製品として届出を義務化することで、取扱いが不明確になっている濃度分析をしていない疑い製品の取扱いが明確になる、ということが考えられます。
 続いてのページに行ってください。こちらでは現在の低濃度PCB廃棄物の届出様式に記載することによって出てきた課題について整理させていただいています。まず①届出様式が高濃度PCBを主体に作成されているため、電気機器の種類には多数存在する遮断機、開閉器が記入要領に記載されていません。現在ではその他のところで、保管事業者様にこういうものがありますということで記載していただいている状況になっています。
 ②についてです。濃度区分が「高濃度」「低濃度」「不明」の3種類であり、PCB濃度の記入欄がありません。「不明」が高濃度疑い製品か低濃度疑い製品か記入する欄がないことによって、どちらか判別することができない状況になっています。また、今後、高濃度PCBの処理がほぼ完了しているため、不明物は低濃度PCB疑い製品になる、ということになりますが、現在のところその辺りが判然としないところです。
 ③についてです。「量」はPCBを使用する電気機器については台数(個数)を、その他のものは保管している容器の数(ドラム缶数等)をそれぞれ単位とともに記入することされ、ただし電気機器であっても小型のものを容器にまとめて保管していて台数を把握することができないときは保管している容器の数(ドラム缶数等)を単位とともに記入することとされていて、容器に入れられた電気機器の大きさや重量の情報がない、という状況があります。
 ④として、「総重量」は、「PCBを使用する電気機器は1台当たりの重量に台数(個数)を掛けた重量を記入、その他のものは容器込みでの重量を記入することとされており、容器に収納したものは台数の情報がない、という状況があります。
 ⑤で現在のところの濃度が分かっていても量が分からない絶縁油量の記入欄がない、という状況があります。
 ⑥電気機器では定格容量(kVA等)、製造者名、型式、製造年月、表示記号等の記入欄がありますが、未記入であったり誤記と思われる不明確な情報が記載されていることがあります。
 ⑦として、高濃度PCB廃棄物には「処分予定時期」や「処分業者との調整状況」の記載を求められておりますが、低濃度PCB廃棄物ではこちらの記載を求められていません。
 これらについて記入要領を改訂するなどの対応が必要ではないかというふうに考えています。
 次のページをお願いします。保管中の低濃度PCB含有製品及び疑い物の届出方法というところにまとめています。新規で古い低濃度PCBを含有する可能性がある製品を覚知した場合、メーカー等に問い合わせた後、非封じ切り機器については、メンテナンス時等に濃度分析を行い、低濃度PCB含有であることが確認できたものは、所有中の低濃度PCBとして自治体廃棄物部局に任意で届出いただいています。
 また、封じ切り機器等のため、濃度分析が実施できないが、低濃度PCBを含有する可能性が高いと判断された場合、所有中の濃度不明物として、自治体廃棄物部局に任意で届出いただいています。
 これらにつきましても、PCB廃棄物のルールに準じて、毎年6月末までに自治体廃棄物部局に状況を任意で届出いただいています。
 所有中の低濃度PCB含有製品及び同疑い製品の届出を制度化することで、使用中の機器についても封じ切り機器の管理が可能になるのでないかと考えています。以上になります。
(永田座長) どうもありがとうございました。それでは関連の資料として経産省からどうぞ。
(濱坂室長) 経産省の濱坂です。私のほうから低濃度に関する経産省の支援策を御紹介させていただきます。資料としては3-3の1枚紙です。こちらは経産省の支援策をパッケージでまとめたものです。今日は皆様には、一番上の省エネ設備の更新支援について主に説明させていただけたらと思います。
 この施策は読んで字のごとく省エネ性能の高い機器への更新を支援する制度です。本来目的としては、昨今のエネルギーコスト高、カーボンニュートラル、さらに生産性の向上、こういった課題に取り組む企業を支援する施策です。この制度を活用して、具体的には変圧器になるのですが、低濃度PCB含有、疑いがあるものはこういった機器への切替えを促進しています。
 御指摘を待つまでもなく、対象機器は変圧器だけでなく当然コンデンサーや他の機器への要望がありまして、この時点でお約束できるものはありませんが、問題意識は皆様と共有しておりまして、引き続き検討してこういった制度を活用して事業者の支援ができないかと考えているところです。私からは以上です。
(永田座長) それでは続いて環境省にお願いします。
(切川課長補佐) 資料3-4、環境省における事業者への支援策をまとめた資料を用意しています。上の四角い枠の中で事業名を書いています。PCB汚染の変圧器を高効率のものに交換する事業に関して、横に分析費用と書いていますが、PCB濃度の分析費用の10分の1補助、高効率の変圧器に交換するときの費用の3分の1補助の2つを中小企業を対象に実施していく事業を実施しています。
 こちらは昨年度から実施していまして、事業者向けの説明会をしながら対応しており、御相談は多くいただいています。
 次のスライド2枚目を御覧いただければと思います。支援事業に加えまして、低濃度PCBの調査・判別、先ほども資料2のところで浅野委員から御指摘がありました際に御紹介しましたが、産廃振興財団の請負業務において自治体や保管事業者に対して低濃度PCB含有の機器、疑い機器の調査・判別の支援を実施しています。自治体が実施する現地調査とか立入検査に現地に同行して支援しています。また、自治体担当者、保管事業者向けの説明会の開催の支援、常時相談窓口を開設しまして電話とかメールでいただいています。実績はそれぞれこちらに記載しているとおりになっています。以上です。
(永田座長) どうもありがとうございました。最初の産廃財団の資料の中で、前回酒井先生から検出率の話と検出があった以降でも分析は続けていて、検出がなかったということになるのですが、そのデータの整理はちゃんとやっていませんか。
 今の話に関連すると電気保安協会の話で5ページ目の一番下に検出率が出てきています。たしか平成15年以降も測定はやっていませんでしたか。
(財団 長田顧問) 測定はやっています。
(永田座長) 前に御質問がありました。そのときにどれくらいの台数をやっているのですかという話があって、だんだん量は少なくなってきたような印象を受けていました。そのデータもきちんと整理してくれませんか。
(財団 長田顧問) はい。
(永田座長)  酒井先生、申し訳ないですけれども今回はデータが整理されていません。
 それは変圧器だけでなくコンデンサーに対してもできるのですね。メーカーは分からなくてもコンデンサーのも整理してくれませんか、それは修正バージョンでは入れさせていただきます。
(財団 長田顧問) はい。分かりました。
(永田座長) 以上が説明いただいた資料です。関連する話として、JEMAのほうで原因究明につながるような話とかいろいろ検討はしていただく。
 もう1つさっき少し話だけあったのだけれども、コンデンサーの代替促進につながるような高効率化の話とかそういう問題についても、メーカー側として検討はされているのではないかと思います。玉谷さん、発言を求めますので、関連する話があったらしていただけますか。
(玉谷委員) 今ここで産廃財団さんから紹介いただいた件については、JEMAのほうに提供いただいて各企業が調査を実施していただいています。
(永田座長)  原因究明につながるように各社に渡してあるということですね。
(玉谷委員) そうです。2つ目のコンデンサー等の件に関しては経産省のほうに検討いただいていますので、経産省のほうからお話しいただいたほうがいいかなと思います。
(濱坂室長) 先ほど申し上げますとおりではあるのですが、現在は変圧器だけになっていますが、コンデンサーについても、当然それだけでなくもっと拡大できないかということで、この時点では検討しているということまでです。
(永田座長) できるだけ早くそれをやらないと、期限内処理に向けて交換の促進の意味がだんだん薄れていきますから、そのつもりでいてください。メーカーも当然関わっている話ですね。
(玉谷委員) JEMAのほうでは機器の情報、省エネ性能とかそちらに関しての情報は提供させていただいています。
(永田座長) 原因究明の話もさっき出てきたような状況を的確には把握できていません。本当はメーカー側がそういうのを積極的に集めて原因究明につなげて、もし検出された事例があるのならやっておかないといけない話です。ユーザーに最終的に接するメーカーの責任です。今のコンデンサーの技術開発もメーカーの責任の1つだと思っています。そういうものを基本的には、こんなこと言っては前に戻ってしまうけれども、買った側にすると、低濃度が入っているつもりで買っているわけではないのです。そういう状態を作ってしまったという状況はかなりの部分はメーカーの責任でもあるわけです。
 それを改善するような方法論とかユーザーに対してできるだけ負担が少なくなるような、あるいはそれが汚染につながるのだとすれば、我々一般的な社会に対する責任としてもメーカーは何らかのことを考えないといけないのです。
 その中にはできるだけ代替促進を図っていくようなコンデンサーの高効率化の話とか、そういう技術開発もやる責任はあるのではないかと思います。
(浅野委員) 前回の議事録を見ていますと、産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会 電力安全小委員会で審議を報告する予定であると書いてありますが、これについて今日は何も報告がないということはまだ何も決まっていないということですか。これについて経産省から、前回そういうことを言っておられるのでどういう検討があったのか、御説明をお願いします。
(永田座長) それは最後に聞こうと思ったのだけれども、浅野先生から要求がありましたので説明してください。
(弥益補佐) 私たち経済産業省側でも検討会を実施しています。低濃度PCB含有電気工作物の適正な処分の推進に向けた検討会ということで、その趣旨について御説明させていただきます。
 関係法令に基づく低濃度PCB含有電気工作物の適切な処分は、環境汚染の拡大を防止する観点で極めて重要だと考えています。その取組の着実な推進に向けては、当該電気工作物を設置する国内の事業者をはじめ多くの関係者の協力を得ることが必要不可欠だと考えています。関係法令の運用等については幅広い関係者の実情を踏まえた上で、実効性と透明性のあるものにしていく必要があると考えています。
 そのために本検討会においては、産業界の皆様方からヒアリングを行うとともに、意見交換を実施させていただいて、低濃度PCB含有電気工作物の適正な処分を実現するために考慮すべき論点を取りまとめて、今後の政策に適切に反映していくことを目的に実施するということで考えています。
 検討メンバーについては学識経験者、中小企業者の代表者、産廃財団、保安協会を取りまとめている電気保安協会全国連絡会、管理技術者協会を取りまとめています全国電気管理技術者協会連合会、電気事業連合会、送配電網協議会、日本電機工業会の皆さんのほか、オブザーバーとして経済産業省環境管理推進室、環境省廃棄物規制課の方々に参加していただいて実施することを考えています。
 1回目は明後日10月31日に実施させていただきます。公開で実施しますので、既にその案内は経済産業省のホームページに載っています。先ほど申し上げましたように、まずは1回目でしっかりと意見を伺った上で、来年度に向けて論点、今後適切な処分を実現していくためにどういうふうにすべきかという論点を整理する予定で検討していきます。以上です。
(永田座長) 浅野先生、いかがですか。
(浅野委員) 随分のろいなと。
(永田座長) もう方向性はある程度決まっているのですね。事業者、民間の意見も取り入れながら、この委員会の中で方向性を出しているのではないですか。 私があなたたちに要求していてこの委員会に出してくださいと言っているのは、あなたたちが作ったルールをどう改正していくつもりなのか、それを聞いているのです。何か少しピントはずれのような、時期的には相当遅れたような、対応をやっているとしか見えないです。
 ほかに何か御意見ありますか。
(鬼沢委員) 確認ですが、スライド4~6にある毎年調査をされてきた結果を毎年メーカーに情報提供をして、指導みたいなことはされてきたのですか。今回初めてですか。
(切川課長補佐) 鬼沢委員からいただいたのは資料3-1のスライド4~6枚目のようなPCB検出事例に関して情報把握した後に、環境省がどんな対応を取っていたかというところだと思いますので、回答させていただきます。
 先ほど財団さんから説明がありましたけれども、財団さんからJEMAさんに情報提供をしていただいて、そこからメーカーさんにこんな検出事例が届け出られているということは御説明させていただいています。スライド5枚目にあるように電気保安協会さんの提供情報に関しては、環境省だけでなく経産省さんにも情報提供されまして、そこから適切に対応を取ってほしいということでいただいて対応を取っています。直接環境省からメーカーさんにこういったことでお願いしたいと動いてはいないのですけれども、JEMAさんを通して情報提供をさせていただいていると考えています。
(鬼沢委員) それは毎年されてきたということですか。今になって情報提供をしたということですよね。それはおかしいのではないか。
(永田座長) 言われるとおりそれも遅いですね。
(鬼沢委員) 私が聞きたかったのは、毎年やっているのなら毎年結果が出た時点でしていたのですかということをお聞きしたかったのです。
(切川課長補佐) おっしゃるとおりで、これはもう反省するところです。データの整理がこの段階になっています。データの整理をした後はなるべく早く対応させていただいたと考えていますが、こういった情報が届け出られたときに速やかに対応していたかというと、それはできていないです。
(永田座長) 申し訳ありません。4ページ目の環境省の届出データの整理も今回初めてさせていただいたのですが、基本的にはもっと前からやっておかないといけなかった話です。直近までこういう安全宣言以降にもPCBが含有されていた低濃度の変圧器・コンデンサーがあるという情報を我々は知らなかったものですから、こういうのも整理が遅れてしまった。
  今回、環境省の届出データですと2004年まで存在しています。こういうのも遅きに失しているという印象は受けます。データの整理が十分にされていなかったというか、せっかく届出情報が存在しながらそれをうまく活用していないという話になってきています。その辺も問題だなという気がします。残念ながら現在に至ってしまったということで、これからはきちんとやっていくことになると思います。いかがでしょうか。
(浅野委員) 資料3-2で書いてあるのは、届出方法がばっと書いてあるから何か狙いがあるのかなと思ったら、情報はあるものの中身は最後の赤枠の2行だけです。要するに何か義務化しないといけませんということしか書いていない。こんなタイトルでいいのですかと思いました。これとPCB特措法の対応の関係がよく分からなかったのでしたがようやく分かりました。要するに今までどういうふうになっていたのかということの報告でしかないわけですね。
(永田座長)  最後のページは今までの話なのですか。今までの話のように説明したけれども赤枠だけなのですか。上の行は。
(浅野委員)  赤枠だけです
(永田座長) 上の部分は。
(浅野委員) 今はどうなっているという説明でしかないですね。
(切川課長補佐) 浅野委員のおっしゃるとおりで、緑の枠のところは現在の状況を整理しています。この中でも任意で届け出いただいている情報を整理してお示しさせていただいたのが現状です。
(永田座長) そうですか。最後のページも青枠は現状を書いているのですね。
(切川課長補佐) そうです。
(永田座長) そういう意味では。
(浅野委員) 見出しをもっとちゃんと書いて、こういう紛らわしい見出しはつけてほしくなかった。
(永田座長) 分かりました。もう少しきちんと届出の方法を整理していただいて、どこをどう改善していくのかはっきりさせていただきたいという気がします。もう少し書けたのではないかと。
 それと同時に、DX化の話があるのではないかと思います。届出も今はほとんど紙ベースでやっていて、集計にもものすごく時間がかかってしまっています。この際DXの流れにきちんと乗せた対応をしていただきたいと思っています。そのほうが届出をするほうもやりやすくなって出てくる。過去の情報を的確に把握したりあるいは流したりということもできるかなと思っています。その辺のところを考えて届出の話を整理していただけますか。
(切川課長補佐) 承知しました。なるべく早く対応していきたいと思います。
(永田座長) よろしくお願いします。よろしいですか。
(酒井委員) 資料3-3と3-4の支援策は、御紹介自体は結構なことで参考にさせていただきたいと思います。ここまでの支援の実績件数を含めて、あるいは今後の見通し、相談を受けておられる状況というところを御紹介いただくことは可能でしょうか。
(濱坂室長) 経産省です。資料3-3ですが、実は数字があるのですがお答えできない。
(酒井委員) なぜですか。
(濱坂室長) 企業秘密ということで、お答えできるのは一番下の説明会の実績、これはこちらのほうでカウントしていますのでお答えできます。どの企業がどれだけ申し出たのかということになってしまいますので。
(永田座長) 別に企業名が必要なわけではないです。トータルでどのくらいの支援をしているかという話でしょう。
(酒井委員) 件数と実績です。
(永田座長) あなたたちは詳しいデータを持ってるから、つい今のような言い方になってしまうかもしれないけれども、我々が要求しているのはそういう資料ではないです。もう少しまとめて個人情報とかが入らない形を考えてください。それで集計を出してください。
(切川課長補佐) 資料3-4の環境省の交換支援事業です。相談案件は約570件いただいています。低濃度に関する御相談のニーズはあるという状況です。交換のほうですが、分析して低濃度と分かったものを交換して機器を設置するまでを対象としていますので、現時点でそこまでたどり着いたのは9件となっています。
(永田座長) ここも少し定量的な整理を次回でいいですから、報告していただけますか。結果を文書で残しておきます。9件というのは少ないなという印象です。それをさらに促進するためのことを考えていかないといけないということになろうかと思います。それも合わせて次回、途中経過になるかもしれませんけれども、報告していただけますか。
 あとはいかがですか。よろしいですか。
 先ほどの資料3-1でかなりニチコン自身が販売しているもの、OEMも含めていろいろな問題があったような印象です。今日はWebでニチコンの原田さんが参加していただいています。コメントがあったらいただけますか。
(ニチコン原田) 大変御迷惑をおかけしています。我々としては、そもそも1990年というか、安全宣言の前後につきましても、我々の製造工程の中では、PCBの含有が懸念されるような工程は実はございませんでした。ただ、実際にPCBの含有されたコンデンサーが発見されているということも事実であり認識しています。
 先ほど先生のほうからも、お客様は低濃度PCB含有品を買ったつもりではないとおっしゃいましたが、メーカーとしましても低濃度PCBを含有するような製品を作ったつもりではありません。ですが我々の工程の中では含有する可能性はないとしても、購入した油の我々の受入れの段階で何らかの…。
(永田座長) 求めているのは過去の話ではありません。これだけのデータがまた出てきたのです。それをきちんと原因究明につなげて分析していって、どういう状況でこういうことが発生する可能性があったかというのをもう一度きちんと検討していくということになると思います。これまでの見解を聞いているのではありません。
 もう1つニチコンのほうは、9ページの下のほうに安全宣言以降の見解というのを出していますね。これを出すに当たってあなたたちがこの事実を把握していたわけですね。把握したからこういう格好になったわけですね。しかしニチコンのホームページを見ると、いつこれを書いて出したのか明確になっていません。
 例えば経産省にどう報告したのか、あるいはJEMAにどういうふうに通知したのか、そういう経過も含めてきちんと整理していただきたいと思っています。
 その上で原因究明もしていただいて、できるだけあなたたちのユーザーが期限の中で製造されたもの全てについて、濃度測定をして対応していかないといけない。それをできるだけ絞っていくような、絞れるような方向で原因究明をきちんとやっていただくことが筋ではないかと思っています。それはあなたたちメーカーの責任です。
 どういうふうに混入したのかということに対して、自分たちには責任はないという、そういう否定的な言い方でできる話ではないと思っています。もう少しきちんと考えて答えを準備しておいてくれますか。原因究明も含めてです。
(ニチコン原田) 分かりました。
(永田座長) よろしいでしょうか。
 それでは、今ので議題3が終わりました。
 次に議題の4番目、低濃度PCBに係る特措法での対応ということで、まず環境省のほうから説明してください。
(前田主査) 資料4、処理期限以降の低濃度PCBに係るPCB特措法の対応について御説明します。先ほど御説明しました資料3-2については、令和9年3月末までのお話になっていますが、こちらでは令和9年4月からの対応についての説明になります。こちらについては意見の集約及び今後の対応方針案について、整理したものになります。
 まず、1枚目です。第34回前回の検討会での御意見をこちらでまとめています。委員から使用中PCB含有製品の管理の強化、廃棄までのトレーサビリティの確保としまして、装置単位、制御盤単位での管理はよく考えていると思う。ただ、今後実態をしっかりと把握した上で届出の内容や仕方を議論していくべきではないか、という御意見をいただいています。
 また、誰がどこでどう管理するかいうところを、網羅的に規定していくところをどうするかというところも考えていく必要があるという御意見をいただいています。
 また、今後は廃棄物だけでなく使用中についても管理していくということにしていく中でで、主たる窓口は廃棄物部局になるかと思いますが、それ以外の窓口をどのように連携していくかということも考えていく必要があるという御意見をいただいています。
 また、下の多量保管者の処理計画策定というところで、今回の議題には入れておりませんが、こちらにつきましても、大量に持つ者の定義については、量の観点だけではなく濃度の観点からも審議していく必要があるという御意見をいただいています。
 次のページをお願いします。先ほどの委員の御指摘を踏まえて、低濃度PCB含有製品等の管理の方向性(案)についてです。
 PCB特措法に基づき、低濃度PCB廃棄物は令和9年3月末までに処理しなければなりません。処理期限以降に低濃度PCB廃棄物を覚知した場合に確実に処理を行うために制度的措置が必要ではないかという大きな方針に基づいて整理しています。
 まず①は使用中の電気機器についてで、1ポツ目、低濃度PCB含有製品及び疑い物については、届出を義務化してはどうか、2つ目、低濃度PCB含有製品及び疑い物の管理基準を策定し、同基準を遵守させてはどうか。義務化してはどうか、3ポツ目、低濃度PCB含有製品及び疑い物を廃止・廃棄しようとする際、廃棄の届出後一定期間内の処理を義務化するとともに、処理後には自治体に報告させることについて義務化させてはどうかと考えています。
 疑い物の届出を義務化することで、あえて届出をしなかった者について行政指導を行うなどを検討してはどうかと考えております。ただ、この場合にどこまでの疑い物を義務化するかということについても整理が必要かと考えております。
 続いて②について説明させていただきます。こちらについては主に塗膜に関することになるかと存じます。1ポツ目、低濃度PCB含有塗膜を大量に保有する者の廃棄後の処理を含めた適正な管理計画の策定、同計画を環境省に届出させてはどうか。こちらについて現在塗膜調査を環境省で調査を行っておりますので、引き続き届出先は環境省と考えています。
 また2つ目、管理計画に基づく管理・廃棄処理の状況に関する行政指導の規定が必要ではないか、と考えています。
 次のページをお願いいたします。こういった義務化をする場合にどういったものがそれに該当するのかという定義が必要になってきますので、3ページ目で使用中のPCB含有製品及び同疑い製品の定義、範囲について検討しています。
 基本的な考え方としまして、保管中の低濃度PCB廃棄物は期限内の早期処理を促進します。保管中の濃度不明物は濃度分析を促進し、低濃度PCB廃棄物と確認された物は廃棄物として期限内の早期処理を促進することといたします。
 これに基づきまして、緑色の四角の中になります。使用中のPCB含有製品の定義については、濃度分析の結果、含有PCB濃度が0.5ppm超の製品であり、処分期間末までに処分できない使用中の製品は製品毎に届け出てはどうか、と考えています。
 また、橋梁やタンクなどの塗膜についても、PCB濃度分析済みで処分期間末までに剥離・処分できない場合は、一部剥離済みであっても橋梁やタンク毎に届け出てはどうか、考えています。
 続いて使用中(所有中)のPCB含有疑い製品についてです。こちらにつきましては、製造年度やメーカー、設置年度などから低濃度PCBを含有する可能性があって、封じ切り機器等のため、濃度測定が実施できないものについては、製品毎に届け出てはどうか、と考えています。
 制御盤として使われているものは一つ一つ取り外して数えられないので制御盤毎に届け出いただいてはどうかと考えています。
 これらの低濃度PCB含有製品及び同疑い製品については、行政による管理の強化、さらに廃止後の廃棄までのトレーサビリティ確保するための仕組みが必要というふうに考えています。
 次のページをお願いいたします。こちらは参考としています。前回の検討会で主な使用中製品の管理方法等の調査をしたほうがよいのではないかと委員から御指摘をいただいたことを受けて調査したものを報告するものになります。
 
 次のページをお願いいたします。以上の御説明から処理期限以降の使用中の製品の届出の考え方ということで、主な低濃度PCB含有製品及び疑い製品の所有者は、自治体、先ほど御説明したとおり使用中のものですので、廃棄物部局及び関係部局等に届け出られることを基本としてはどうか。こちらは情報のワンストップ化の検討も必要かと考えています。
 ストックホルム条約では令和10年12月までに環境上適正な管理を求めていることから、新たに覚知された低濃度PCB含有製品及び疑い物、塗膜の管理計画等は速やかに届け出るよう求めてはどうか、と考えています。
 また、届け出た後については、保管事業者は届け出た低濃度PCB含有製品及び疑い製品からPCBが飛散・流出しないよう、管理基準に従って、廃棄されるまでの間、管理することを求めてはどうか、と考えています。 また届出を求める疑い製品の具体的な例としては、メーカーに低濃度PCB含有疑い製品に関する情報提供を求め、有識者の確認を得た上で周知することとしてはどうか、と考えています。
 また、行政指導については、確実な管理のためには、自治体等が届け出られた使用中の低濃度PCB含有製品及び疑い物情報を元に、必要に応じて立入検査や行政指導を実施できるようにすることが必要ではないか、と考えています。ただ、立入検査等をする場合にどういったものがあるのかということについて、検討していく必要があると考えています。
 また確実な処理のためには低濃度PCB含有製品を廃止・廃棄する際、廃止・廃棄の届出後一定期間内に処理を実施することを求めてはどう、PCB濃度を分析せずPCB廃棄物とみなして廃棄することも可能とするかどうか、等についても、引き続き検討してはどうかと考えています。
 最後ですが、保管事業者は自治体に低濃度PCB廃棄物の処理後に速やかに報告するよう求めてはどうか。また、分析の結果、PCB非含有であったものについても届出を求めてはどうか、と考えています。以上になります。
(永田座長) ありがとうございました。いかがでしょうか。
(浅野委員) 基本的には今日の事務局の考え方に私は賛成です。前回の議事録で田中先生がリスクレベルが多少違うので、それを考慮しないといけないと言っておられました。これは前から私も同じことを考えていました。しかし高濃度と同じようにということにはならないです。リスクレベルに応じて緩やかな扱いにせざるを得ないだろうとは思いますけれども、今、高濃度については使用中のものについても一定期間が過ぎたらもうPCB廃棄物とみなしてしまうという感じで、本当に所有権の侵害になるぐらいの強烈な条項を持っています。しかし低濃度の場合は、同じようには扱えないのでそこで差がありますから、法制局との折衝でもちゃんとこれで差を設けていますと説明できるだろうと思います。
 届出義務についても現在、任意に届けてもらうために義務を課すということになると思います。そのときに例えば罰則をあまり厳しいものにしないということはあり得ると思います。場合によっては罰則をつけないということも考えてもいいかもしれないところです。
 というのは大防法で水銀について、かなり強烈な規定を置きながら罰則なしというのがあります。ですからそういったことも既に先例としては作っておりますので、義務は課すけれども罰則はないとか、罰則を仮に課すとしても過料ぐらいのところにとどめておいて、そういう差を設けておけば、低濃度PCB含有製品であってまだ廃棄物になっていない段階でもきちんと届出の対象とするためにしておかないといけない、と法制化することはできると思います。
 高濃度で既に廃棄物になる前のものについても扱うという例をつくってしまっています。それから言うと先例これありで立法上の制約はないはずです。それを低濃度にも持っていくだけです。高濃度の場合と低濃度の場合の差はリスクレベルが違うので、それは多少ある。どの程度のところで差を設けますといえば、立法的には通るだろうと思いますので、ぜひ事務局の考え方で進めていっていただければと思います。
(永田座長) ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 先ほどの5ページ目のところで2つ目の黒いポツの、低濃度PCB含有疑い製品で届出されていないものを行政指導の対象というのは、届出されていないものが行政指導の対象になるかどうか判断できかねるような状態なのかなと思っています。これはどうやって解釈するのですか。
(浅野委員) そもそも低濃度PCB含有疑い製品というものがまずあって、それはこういうものだという定義が入るのです。法律上はそういうものとしての枠づけが出てきます。枠づけをしてしまえば、届出をそれについてはしてくださいという規定にする。届出をしていない場合もそもそも枠づけをしていますから、それについて行政指導の対象にできることは当然ということになります。
(永田座長) 例えば行政指導の対象にして、それを企業としてそれがあるのではないかと、その点はできるかもしれないけれども、実際にどうなっているかというのは分からないわけですね。
(浅野委員) そこのところはもう少し考えないといけない。
(永田座長) 確かに差別化は必要だろうと思っているのですけれども、方法論としてもう少し何かないかなという気がします。
(浅野委員) 書き方がやや誤解を生むような書き方で、そもそも書かなくてもと私は思います。特に行政指導ができると言って条文化しておけば、企業に対して言うときに言いやすいということになるかもしれない。事務局もそれを考えてこういうこと書いたのだろうと思います。
(永田座長)  実効性のあるような、届出促進につながってくるような方法論を少し考えてみてもいいのかなという気がします。届出のほうは疑い物も義務化するつもりでいるのですか。そうですね。かなり強いですね。
(浅野委員) 義務ということを法律上書いてあるが、しかし義務違反について罰則がないというような義務化条文というのも全く例がないわけではない。法律上しなければならないと書くことは幾らでもできるわけです。義務にすると条文に書いておく、それが義務化ということです。
(永田座長) きちんと従ってくれたような、人たちの努力を無にしてはいけないし、それに今度は全然応えない人に対してそのままほっておくのかという話になってくる。やはりそこのところは少し問題がありそうだなと思っているので、それを考えていただきたいと思います。これで行政指導の話が出てきているのだろうと思います。何となくこれだけでいいのかなという感じがしないでもないです。
 何かありますか。
(田中委員)  今日思ったことがあります。資料3-1で低濃度PCBとして検出されたというのは0.5ppm以上ですね。1973年から経済産業省は、原則使用禁止にしています。それからもう50年たっています。にもかかわらず、中にPCBが検出されるということは、リサイクルとかで有害物PCBで汚染されたものが再生利用がされて、絶縁油そのものがもう汚染されているということですね。1%以下ですけれども、データでは検出されたという証拠が残っている。
 0.5ppm以上のものを、もっと安全宣言のデータを活用して合理的・効率的な処理ができないかなとずっと考えていました。
 メーカーに何年の製造のどんな機器かと言えば、データ的に保証できるというものを持っておれば、もうPCB汚染廃棄物ではないので、産廃として処理していい、あるいは分析もしなくてもいいというような合理的な対応が提案できるかなと思いました。世界的に見て非常に厳しい規制(0.5ppm超えをPCB廃棄物)になっています。そういう意味でもともとの製品からどういう絶縁油をどの程度ピュアなものにしないといけないかということが課題かなと思いました。
 というので少し抜本的な合理的・効率的なPCB処理方法が提案できなかったのですけれども、今の0.5ppmがある限りは、というのが私の感想です。
(永田座長) 原因究明のほうをこれからきちんとやっていってもらって、範囲を絞り込みたいのです。安全宣言のところまではよかったのですけれども、それ以降に検出されたということを事実としてきちんと受け止めた上で、それがメーカーの判断でどうなっているのかということを原因究明につなげていってほしいなと思っていますけれども、まだそこのところが全然手つかずのような状態だと私は認識しています。メーカーのほうに急いでやってもらって、できるだけ早くそういう情報をユーザーに流していく。あるいはここで認知してユーザーにここからここまで、その中の型式では、ここの部分はちゃんと分析してくださいねと、入っている可能性が非常に高いですというような言い方ができるような状態に持っていきたいと思います。
 さっきの検出率だと0.何%なんです。それ以外のもの、99%以上が無駄に分析をしていたということになるわけです。そのデータを活用しながら、現状に合わせた形でできるだけ分析しないで済むような、あるいは濃度が確定的に存在しているようなことをきちんとやっていくような制度にしたいなと思っています。
(田中委員) 検出は1%以下ですが、高濃度でないということは間違いないです。高濃度ではないので、低濃度PCBの無害化処理施設は分析しなくても低濃度PCBとして処理をする。それをみなしでやれるのではないかということです。分析のコストもばかにならないです。
(永田座長) 分かりました。さっき浅野先生の言われたリスクレベルも少し情報として提供できるようにしていきながら、低濃度の分の量というのは、合計してもそんなに大した量ではなくなってくるわけです。そういう点も少し一般市民の方に理解してもらいながら対応していくということになるのかなと思っています。
 いかがでしょうか。
(酒井委員) 今おっしゃった絶縁油自体のPCBフリー化というのは改めてどんな方向に行けるかというのは見極めていかないといけないと思います。
 それとは別の観点で使用中製品の届出の考え方というのを、今日出していただいた事業者への支援策と統合的に考えることができないかというところを少し検討していただけませんかという希望です。というのは、使用中機器の管理の方向としてはこの方向での相当丁寧なシステムを考えていただいている一方、いかにここを合理的に交換いただけるかという交換促進のための取組という意味では、今日提起いただいたような資料3-4のところの支援策は、極めて有効に機能するはずです。そこの目的として脱炭素化によるマルチベネフィットということも宣言されているのであれば、今からまさにやるべき方向としてこういう方向で交換いただくというのはいい方向ではないですか、という提案にしていっていただけるのではないかということです。他方そういう制度もとられるのであれば、そことの接合を考えていただいていいのではないかという意味で御提案申し上げます。
(永田座長) 特にコンデンサーというのは封じ切り機器ですね。ここに対しては積極的に交換促進を図っていかないといけない。そういう方法論を提示していかないといけない。
(高原委員) 自治体のほうの観点からです。資料4のスライド5ページになります。一番上の四角のポツのところで低濃度PCB含有製品及び疑い製品、自治体等に届出がある基本ということで書いていただいているのですけれども、ここで幾つか教えていただきたいのです。現時点で想定されているところで結構です。関係部局というのはどういうケースを想定されているのかということが1つです。
 情報のワンストップ化の検討も必要ということで書いていただいています。低濃度PCB含有あるいは疑いというものについても相当な数があると思われます。使用中であれば自家用電気工作物については、電事法で届け出されているのではないかと思っています。そういうふうに考えますと、事業者の方にPCB特措法の届出を新たに求めることは二度手間になるのではないかということとか、電事法の届出を活用できないかということも検討できたらいいと感じました。
 新たに届出をPCB特措法で求めるにしても、先ほどDXの議論もあったと思います。自治体としても相当数の数ということになると思いますので、事務的な負担軽減あるいはその先には立入検査、行政指導も想定されているという意味では、手続きの簡素化、データの有効活用の観点から例えば紙ベースの届出だけでなく電子的な届出あるいは集計ということでデータを一元化してデータベースを後から活用できる手法も御検討いただければと思います。
 先ほども議論がありましたけれども、電子機器になります。疑いをどう判断するのかということ、立入検査等、行政指導の際には非常に重要になってくるかと思いますので御検討のほうをよろしくお願いいたします。以上です。
(切川課長補佐) まず関係部局のところですけれども、電気機器等に関しては住宅部局とか建物管理しているような部局が関わってくるかと考えています。塗膜は建設部局が関わってくるところかなと考えています。そこに関しては今後整理をしていきたいと思っています。高濃度PCBのときに、電気工作物の届出は電事法に基づき保安監督部に行われましたけれども、それ以外のものは自治体の廃棄物部局のほうに届け出ていただいています。そのときのノウハウを整理して、うまく活用できるようにやっていければと考えています。
 2つ目と3つ目の自治体に届け出ていくときに数が多くて行政指導も含めるとかなりの事務的な負担があるというところに関しては、御指摘はよく分かります。先ほどから議論がありましたDXを活用していきながら、現在でもエクセルで届け出ていただくときのやり方を簡単にしているような自治体さんもありますので、そういうところの事例を調査しながらやり方は考えていきたいと考えています。
 最後の疑い物の判別方法のところは、メーカーさんの情報を提供いただきながらになります。まずは建物や装置全体の設置がいつなのかといったこと、その機器のこれまでのメンテナンスの情報も含めて確認するしかないのかなと思っています。それを疑い物の定義をより明確にしていく中でしっかりと整理していきたいと考えています。
(永田座長) よろしいでしょうか。
(高原委員) ありがとうございます。
(織委員) 私も今の5ページ目に関わるところです。届出の考え方というところは、今兵庫県からも数がかなり多くて実務的にどういう方法でやるかという話がありました。私もその辺を非常に懸念するところです。中小企業も含めどうやって出しやすい形にするかということが、一番争点になると思います。ある程度カテゴライズしたもの、ガイドラインみたいなもので作るとか、本当に中小企業の人たちが出しやすい形にしないと、実効的なものにはなかなかなり得ないのではないかというイメージがあります。
 実効的なものにしていくために、ここでも書いてあるのですけれどもメーカーに低濃度PCB疑いに関する情報提供を求めるという程度ではなく、メーカーや業界団体の方にこの制度づくりについて貢献していただくなり、まとめていただくというアプローチが必要なのではないかと思いました。以上です。
(永田座長) どうもありがとうございました。
 環境省のほうもメーカーに訪問したり現場に行ったりして情報を集めながら、届出の方法論も考えています。もちろんメーカーからも話を聞くことになるかと思います。できるだけ早く原案を示していただいて、それに対していろいろコメントをいただいてまとめていくのが、一番近道かなと思っています。
(浅野委員) 大防法でアスベスト規制をやったときに、相当心配はしたのですけれども安全宣言が出た以降、違反をする人がいないものとみなして、それ以降についてはもういいといって割り切ってやったという前例があります。PCBについてもある年代ぐらいからあとは割り切ってやらざるを得ないかもしれません。
(永田座長) そのつもりで安全宣言を出しているわけです。
(浅野委員) 出てきている。だけどだんだんそれも少なくなっていくだろうからと考えていく。アスベストの場合に、誰もそれで文句を言わなかった。これから後についてはもういいと割り切ってしまっている例があります。PCBの場合もある意味低濃度ですから、参考にできるかもしれません。
(永田座長) 分かりました。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは以上で議論は終わりですが、その他ということでありますか。
 その他の中で1つ関電の柱上トランスに関する問題がありました。先に環境省から説明してもらったほうがいいですか。
(切川課長補佐) それでは御紹介させていただきます。今月、10月1日に関西電力送配電株式会社が、柱上変圧器において不適切な事案があったということを発表されて。その内容は、1990年以降に柱上変圧器の中で除染修理による変圧器の再使用をしたときに除染修理によってPCBがなくなった、卒業したとされている中に一部分のPCBが含有していたものがあって、それを把握していたのですけれども公表しないで非含有のものとして引き続き取り扱い続けていたという事案がありました。
(永田座長) 事故があったのですか。
(切川課長補佐) 本件が発覚したのは、2018年の台風21号のときに電柱が倒れて、電柱についていた除染修理後に再使用をしていた変圧器が倒れたときに、絶縁油がその中から漏えいして、漏えいした絶縁油のPCB濃度を測ったら、そこから0.5ppm以上が検出されたということです。それをもってPCB含有の機器があったということで、その後社内で調査をされて、そういった対応があったということが発覚したということです。
(永田座長) それが発表されたのがこのとき。
(切川課長補佐) それが10月1日に発表されたというものです。
(永田座長) そういうことでこの問題に関しても経産省のほうでどういう認識でどういう対応をしていくつもりなのか、知らせていただけますか。
(弥益補佐) 経済産業省です。先ほど環境省側から説明があったように、関西電力送配電が10月1日に、2019年に前年の台風21号で漏えいした絶縁油を分析して0.5ppmを超えていたにもかかわらず、過去から超過するものであることを把握していたにもかかわらず、このタイミングで発覚したという説明を行っていたことを発表しました。
 御質問の経済産業省における対応方針につきましては、関西電力送配電における今回の柱上変圧器に関する不適切事案を踏まえて10月3日、同社に対して電気事業法第106条第3項の規定に基づき、本事案の概要、発覚に至るまでの経緯、発覚後の調査等により判明した過去からの経緯、発生原因、再発防止策及び電気事業法などの法令遵守状況について報告するように求めています。
(永田座長) その報告はいつ頃出てくることになるのですか。
(弥益補佐) この場での発言は差し控えますが、その報告を踏まえて経済産業省として適切に対処してまいります。
(永田座長) 次回には途中経過になるかもしれないけれども、その報告を聞かせてください。
 環境省のほうではこれはどういう認識でいるのか、ついてはどう対応をしているのか聞かせてください。
(切川課長補佐) 環境省ではこの関西電力送配電さんの事案ですけれども、大きく2点の関係があると考えています。1つはPCB含有なのでPCB廃棄物としてこれを処理するときには、まずは届け出て処分をしなければいけなかったところを、届出がされていないというところ。もう1つは処理をするときにPCB含有ということを産廃業者さんに委託をするときに説明をしないで、通常の産廃で処理した可能性があるというところと考えています。
 現在大阪府さんのほうで、そこの対応に関して先ほど経産省さんから説明があったようにしっかりと対応いただくようなものを準備されていると聞いています。私どもとしましては関西電力送配電さんもそうですけれども、こういったものは他の業者も含めて起きてないのかどうか、まずは電事連さんに御協力いただきながらしっかりと確認をして、何かあれば適切な対応を取っていきたいと考えています。
(永田座長) 電事連のほうからも話を聞かせてください。
(小林委員) 電事連です。関西電力送配電の柱上変圧器に関する不適切事案につきましては、プレスリリースによって承知しており、同社において継続して調査を実施していくものと認識しています。本件については、各社に情報共有しており、その中で現時点においては、同様の事象は承知しているものはございません。
 電事連としても本事案を踏まえて、送配協とも連携しながらPCB含有電気機器等の適切な管理・処理に取り組んでいきたいと考えています。以上です。
(永田座長) ありがとうございました。環境とか安全の問題はこれまでも燃費偽装とか排ガス規制違反、直近では型式認証不正といったものがある。基本的に環境とか安全の問題というのはほっておくとどんどん劣化していくのです。最初、それを決めたときの人たちの取組の姿勢が、それが時間がかかってくるとどうしてもそれぞれの組織の利益が優先されあるいは個人の保身が優先されたりして、環境とか安全、これは広く薄く積として、掛算としては結構大きいものになるのだけれども、それがさっき言ったような組織の利益だとかその中の本当にわずかな個人の地位保全とかそういうことのために壊されていってしまうのです。
 それを我々は常に監視していかないといけないと思っています。これは私が勉強したのは豊島問題ですけれども、基本的にきちんとした対応をやっておけば経済的な損失も少なかったものが、その後それが問題化されたときになってしまうと相当なコストあるいは人的資源の投入が必要になってしまいます。非常にばかげた話になってしまいます。
 こういう問題に関しては、今の話を聞いているともう少し我々としては納得がいかないような、そういう格好でこの問題が起きているという印象を受けました。先ほどのこれまで起こったような環境上の問題、安全上の問題それと類似したような基盤がここには存在しているという印象を受けています。少しこの問題に関して我々は改めて関係者の方々には警鐘を鳴らしておきたいと思っています。この場でも取り上げさせていただいているわけです。
 これからもPCBの処理は低濃度も含めて対応していかなければいけないという中で、こうしたことが起きないようなことをぜひ皆さんで考えていただきたいと思います。
 以上で今回御議論いただきたい内容は終わりです。全体をまとめて何か言っておきたいことがありましたら、皆さんからお話を伺いたいと思っています。
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、あと環境省のほうにお返しいたします。

閉会

(前田主査) 本日は貴重な御意見をいただきありがとうございました。本日の議論を受け、関係者と連携して対応してまいります。本日の議事録は、原案を作成しまして委員の皆様に御確認いただいた後、環境省のホームページに掲載する予定ですのでよろしくお願いいたします。これにて本委員会を閉会いたします。ありがとうございました。
(了)