環境再生・資源循環

第34回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事録

日時

令和6年7月22日(月) 13:00~15:22

場所

AP新橋 ルームK会議室+WEB方式(YouTube配信)

開会

(前田主査) それでは定刻となりましたので、ただいまから「第34回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」を開会します。
 初めに、環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課長の松田から御挨拶いたします。
(松田課長) ただいま紹介いただきました環境省の廃棄物規制課長の松田です。
 本日はこの委員会に皆様御出席いただきまして誠にありがとうございます。また日頃からPCB廃棄物の処理の推進に御理解と御協力を賜りまして、とりわけJESCOの各事業所の立地自治体の皆様には格別の御高配を賜りまして厚く御礼申し上げます。
 初めにですが、昨年の12月21日に環境大臣名で令和5年度末で終了する北九州事業所、大阪事業所、豊田事業所、いわゆる西日本エリアで処理事業終了後に新たに発生する高濃度PCB廃棄物の処理について、JESCOの北海道事業所、室蘭で処理させていただけないかと、北海道知事、室蘭市長に要請させていただいたところですが、先だって7月9日に室蘭市の青山市長と北海道の加納部長に環境省にお越しいただきまして、それぞれの受入条件の承諾を前提に、要請に同意をいただきました。受入条件をしっかりと履行していく考えでありますけれども、我々の要請に対して受入れを表明いただいたことについて御礼を申し上げたいと思います。
 本日の委員会では、まず、高濃度PCB廃棄物の処理の進捗状況、また低濃度PCB廃棄物の処理促進に向けた検討状況について御説明した後、議題の3番目で、低濃度PCBに関するPCB特措法の対応などについて御審議いただきたいと考えております。
 環境省は本日も出席されております経済産業省をはじめとした関係省庁とも引き続き連携を図って、令和7年度末のJESCOでの高濃度PCB廃棄物処理事業の終了を見据えて、立地自治体の皆様の御理解、御協力をいただきながら、JESCO、自治体、産業界の皆さんと一丸となって、PCB廃棄物の適正処理が一日も早く進むように取り組んでいきたいと思います。
 本日は皆様の活発な御議論をどうぞよろしくお願いいたします。
(前田主査) 続いて、本日の委員の出席状況を報告します。14名の委員中12名が出席いただいています。浅野委員、伊規須委員が御欠席です。また、JESCO-PCB処理事業所立地自治体、PCB処理監視委員会委員長等にも御参加いただいています。よろしくお願いいたします。
 委員の皆様には会議場に資料配付、またはあらかじめ資料をメールにて送付しております。不備等がございましたら事務局にお知らせください。
 また、Web参加いただいている委員におかれては、発言される際にWebシステム上の「挙手ボタン」にてお知らせください。
 これ以降は、座長の永田先生に進行をお願いいたします。

議事

(永田座長) 永田です。御出席いただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは議題の1番目からスタートさせます。高濃度PCB廃棄物の処理の進捗状況についてということで、環境省、経産省、JESCOから話をしていただきます。どうぞ。
(切川課長補佐) 初めに環境省廃棄物規制課から資料1-1について御説明いたします。「高濃度PCBの令和7年度末までの確実な処理の実施に向けた取組」という資料でございます。
 1ポツです。東京・北海道事業エリアに関しましては、令和7年度末までの事業終了準備期間の中で確実に処理を実施するため、JESCOや自治体と連携しまして高濃度PCBの取りこぼしがないように保管事業者等に入念な確認を促すとともに、自治体とともに立入検査等の行政指導を行ってまいります。
 また、北九州・大阪・豊田事業エリアで事業終了に際して実施しました搬入期限等の処理スケジュールの提示を、東京・北海道でも実施いたしまして、事業終了間際の駆け込み処理が発生しないように、自治体・JESCO・保管事業者等に対して協力を促していきたいと考えてございます。
 2ポツです。先ほど松田課長からありましたように、北海道及び室蘭市から要請に関する受入れの回答をいただきましたので、まずは現在発見されているものに関して引き続き保管基準に基づく適正な保管を実施するよう、自治体と連携して指導するとともに、今後、受入状況にあります安全かつ令和7年度末までの処理計画に影響を与えない範囲での処理を実施するという条件を確実に履行できるように、JESCO・自治体と連携して集中搬入期間を設定し、その期間内に確実に搬入できるように必要な行政指導を行ってまいります。
 3ポツです。全ての事業エリアに共通ですが、現在、発見されているものの中には、低濃度PCB含有機器として保管されている中に高濃度PCB使用機器が混入されていた事案や、また掘り起こし長鎖を実施した事業所からまた安定器が見つかった事案といったものが発生してございますので、今後、周知に向けて対応を取っていきたいと考えております。
 最後に行政代執行関係ですが、新たに所有者不明物などが発見された場合に、それを適切に分別して行政代執行を確実に実施できるように技術的な助言を行っていくとしてございます。以上となります。
(永田座長) ありがとうございました。それでは引き続いて経産省のほうからどうぞ。
(弥益課長補佐) はい。経済産業省電力安全課です。資料1-2を御覧いただけたらと思います。経済産業省からは、高濃度PCB含有電気工作物の処理完了に向けた経済産業省の取組状況について御説明いたします。
 1番目のポツにございますように、まず、電路に接続されている高濃度PCB含有電気工作物の台数の推移については、下の表のとおりでございます。産業保安監督部からは設置者に対し、電路から切り離す指導や、JESCOとの処理委託契約を促す等により、前回報告時(令和5年10月)からさらに減少しているということで、残り北海道事業所で1台ということになってございます。
 経済産業省からは以上でございます。
(永田座長) ありがとうございました。続けて、まず環境省から、それからJESCOからという順序で、どうぞ。
(切川課長補佐) 続きまして資料1-3を廃棄物規制課から説明いたします。
 スライド2枚目ですが、高濃度PCB廃棄物処理の進捗状況ということで、上が令和6年3月末の変圧器・コンデンサー等の速報値、下が安定器・汚染物等の同速報値となってございます。
 北九州、大阪、豊田事業エリアに関しましては、表にあります台数の処理を行って、処理事業を完了してございます。東京・北海道事業エリアに関しましては、現在ここまでの台数を処理いただいておりまして、処理の進捗率が99%となってございます。下が安定器・汚染物等です。こちら北九州事業エリアと書いてございますが、北九州事業所で処理いただいた北九州・大阪・豊田事業エリアのものに関しては1万トンの処理を実施いただき、処理完了しており、北海道、東京事業エリアに関しましては現在1万トン処理をいただいておりまして、進捗率89%となってございます。
 次が解体・撤去の進捗状況です。下の表を御覧いただければと思います。青く塗っているのが完了、赤が実施中、黄色が計画となってござまして、北九州1期施設に関してはプラント設備までの解体撤去が完了している状況です。また3月末までに処理を完了しました北九州・大阪・豊田事業所に関しては現在先行工事を実施中でございまして、北海道はこれから計画策定という状況になってございます。以上になります。
(JESCO足立部長) JESCO PCB事業部長の足立でございます。先ほど環境省から説明があった2ページ目につきまして補足いたします。参考資料1でございますが、これはJESCOのほうでまとめたものでございまして、先ほどの説明どおり、処理は、99%~100%というような状況です。
 北九州・大阪・豊田につきましては、今までずっと何%ということで御説明しておりましたが、終了のため処理数と重量を書いております。これは、JESCOのほうで算出したところ、この台数等で終了したということでございます。
 また北海道と東京でございますが、トランスコンデンサーも99%ということで、実際にはもうほとんど処理を終了しているということで、残り2年間というところで適切に処理を進めて終了できる状況になっているところでございます。
 また、安定器等につきましても、北海道につきましては89%ですが、残り2年間で処理できる状況というところでございまして、参考資料を見ますと、ほとんど今までの処理量に比べて少ないという状況でございます。
 参考資料の21ページを開けていただきますと、残りで東京と北海道の計画を立てておりますが、今年度と来年度は、今までの件数に比べますと非常に少ない台数の計画でございます。見つかったもの、登録されたものについて処理していくというようなものでございまして、これにつきまして適切に対応していくという状況でございます。
(JESCO相澤部長) 続きまして参考2に基づきまして、解体撤去の状況を御報告いたします。2ページ目のほうに全体の概況をつけております。3月に報告したところからの進展としましては、北九州1期、一番左端の列の一番進んでいるところですが、プラント設備の本解体が終わりました。今、建築物の除去分別(PCB濃度を下げる)という作業に入ったところでございます。
 続きまして3ページ目、プラント設備解体の結果を簡単な形でまとめました。建物にあるプラント設備のほとんどのものを対象としまして、1,080トン解体撤去しました。先月まで解体工事を行っていたところでございます。工事自体は低濃度付着レベルの中での作業をいたしまして、それらで解体撤去したものについては、環境大臣が認定する低濃度PCB廃棄物の無害化処理認定施設に払出しをしたところでございます。排気、作業環境、PCBの付着量などを測定しておりますけれども、これらも市の協定値やあるいは操業時のPCB濃度に比べてとりわけ高いということもなく、作業は終了できたところでございます。
 現在のところは、次のページにございますように、北九州1期の建屋の解体撤去についてようやく実施に入ったところでございまして、今年度は除去分別(濃度を下げること)を行いまして、来年度からいわゆる建物の解体としてイメージされる実際に取り壊していくという作業に入っていく予定でございます。
 今後につきましては5ページ目に書いてございますが、引き続き各JESCOの事業部会や、今日の先生方は御同席いただいておりますけれども、監視委員会、監視円卓会議等に報告して、御意見をいただきながら進めてまいりたいと思っております。北九州1期施設は、建屋の除去分別、解体撤去というところにJESCOとして初めて取り組むものでございますので知見を集めてまいりたいと思っております。このほかの事業所におきましては、引き続きしっかりと先行解体等の作業を進めていきたいと思っております。また、工事が本格化してきますので、これからは本社が各事業所がきちんと管理しているかどうかを確認していく解体撤去工事監査というものを開始していきたいと思っております。
 最後に、解体撤去マニュアルをつくって、これに基づいて各解体を進めているのですが、こちらのほうについても今日の午前中委員会を開きまして、プラズマ溶融分解設備の解体について御議論をいただいて、内容の追加についてお認めいただきましたので改訂してまいりたいと思っております。引き続きいろいろな知見を踏まえまして、マニュアルについて改訂をしてまいりたいと思っております。以上でございます。
(永田座長) ありがとうございました。それでは資料1の関係につきまして、御意見、御質問等をお受けしたいと思います。Webで参加の方は挙手ボタンを押していただければと思いますが、いかがでございますか。
 私のほうから確認いたしますが、資料1-2、経産省のほうからお示しいただいた資料の中で、北海道事業エリアで令和5年3月末から続いている1件について、1年経つわけですが、これは同じ事業所、同じ施設ですか。
(弥益課長補佐) おっしゃるとおりです。
(永田座長) そうですか。そうすると、こういうものに対してはそちらでいろいろと立入検査や命令などが行えるような制度になっていると思いますが、どういう扱いになっていますか。廃止の計画、廃棄の計画が出ているのかどうか、説明いただけますか。
(弥益課長補佐) 今、監督部と地元の自治体のほうでいろいろと相談中でございまして、電路から外すほうに向けて進めているところでございます。
(永田座長) そうですか。すでに期限は過ぎているわけで、いつ頃処分できそうなのか、分かりますか。
(弥益課長補佐) この場ではなかなか申し上げられないのですが、監督部と自治体のほうで相談しながら進めておるところです。
(永田座長) 廃止命令を出せる規定が存在するのですから、その規程を厳格に履行しなければいけないという事態も出てくるのかと思います。よく考えて対応していただけますか。
 ほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。最後にまとめて皆さんから御意見を頂戴することにいたしますので、議題の1番目はこれで終わりといたします。
 それでは続きまして議題の2です。「低濃度PCB廃棄物等の処理促進に向けた検討状況について」ということで、環境省、産廃財団から説明していただきます。どうぞ。
(産廃振興財団長田顧問) 資料2-1「PCB特措法の所有・保管に係る届出情報の分析」について、産廃振興財団から報告いたします。
 低濃度PCB含有機器、電気機器だけですが、これの最新の4年度分の届出状況を業種別に分類しまして、届出年度別・業種別・機器別の届出数等を整理しました。また変圧器及びコンデンサー、特に3kg以上のものですが、これの保管届出情報から使用年数を算出しました。
 方法としましては令和元年度(2019年度)から令和4年度(2022年度)、4年度分の届出情報から、電気機器の保管及び所有、これは特措法上は届出義務はないのですが、使用中また使用する予定で所有している機器ということになりますが、所有として届けた事業所を日本標準産業分類の中分類、99分類に分けまして、届出事業所数と機器別の届出数量を集計しました。ただし、柱上変圧器や別系統部位の分割機器を除いて、変圧器、3kg以上コンデンサー、3kg未満コンデンサー、その他の機器ということで整理しました。
 届出事業者数と届出数量の推移を業種別に集計し、最後、保管届出情報に機器の製造年と保管開始年が記載されていますとその間が恐らく使用された年数であろうということで、それを算出しました。令和3年度のデータに対してそれを整理しました。
 続いて、これはまず低濃度PCB含有機器の届出状況ということで、保管台数となります。変圧器、3kg以上コンデンサー、3kg未満コンデンサー、その他機器。それから届出事業所数について4年度分の推移を集計したものです。御覧いただきますと、変圧器について見ますと、届出台数は年度が進むにつれて漸減しております。ほかの機器についてはほぼ横ばいの状況になっています。届出事業所数も減少傾向にあって、最新で計1万3,311事業所から届出があったということでございます。
 続いて、所有という区分で届けられた台数を整理したものです。同様に表で集計しましたが、変圧器の届出というのが2021年度までは増加して、直近2022年度で減少しているということになっています。ほかは横ばいかやや減少傾向ということになっています。届出事業所数も2020年度以降減少傾向が見られます。このようなことになっております。
 続いて、これは主な業種の変圧器の保管及び所有届出台数の年度別推移をまとめたものとなります。業種としましては鉄鋼業、電気業、鉄道業、不動産賃貸・管理業、娯楽業、学校教育、医療業、宿泊業と並べまして、年度別に色分けしてどうなっているかを見たものになります。上が保管台数で、下が所有台数となります。これを見ますと、鉄鋼業と電気業は所有台数が多いときで4,000~5,000台あるのですが、保管の台数は2,000台前後と少なく、所有のほうの届出が多くなっています。ほかの業種につきましては、保管の届出台数のほうが所有よりも多くなっているという傾向になっております。
 続いて、これは3kg未満コンデンサーで、非自家用電気工作物に相当すると思われる3kg未満コンデンサーを所有する可能性が高い6業種、鉄鋼業、金属製品製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業等の業種に対して、年度別の保管台数の推移を見たものでございます。届出台数でいいますと、鉄鋼業がほかの業種よりも1桁多い。多いときで2万台というような多くの数量が届け出られています。ほかの業種について見ますと、2019年度に届出台数が少し多いところもありますが、全体に届出台数が最近増えつつあるという傾向が見てとれるかと思います。
 続いて、これは台数ではなく、保管・所有の届出事業所数の年度別推移を示したものになります。主な業種について見ていきますと、保管についての事業所数で最も多いのは学校教育となっています。不動産賃貸業、金属製品製造業、電気業、このような順に保管届出事業所数が多いのですが、これを見ていきますと、年度とともに少しずつ減少傾向にあるという傾向が見てとれるかと思います。所有につきましては、下の段ですが、先ほどの台数のときもそうですが、電気業のほうでは所有の届出事業所数が保管よりも多い傾向になっております。このような傾向が見てとれました。
 最後、このグラフですが、これは製造年と保管開始年の差を取って使用年がどうなったかということを、上は変圧器、下は3kg以上コンデンサーですが、n数でいいますと、変圧器は一番台数があるのですが、これを取ってみますと平均で約40年使用されています。98%確率を見ますと、2%ほど残るというようなところでいきますと55年使用されています。このような状況になっています。3kg以上コンデンサーについても平均使用年は42年となって、98%確率が57年という傾向になっております。
 以上、まとめますと、低濃度PCB含有機器の届出台数、届出事業数というのは最近減少傾向にあります。鉄鋼業というのは3kg未満コンデンサーの届出数がほかのよりも圧倒的に多く、さらに増加傾向にあります。届出事業所数が多いどの事業種でも年度ごとの届出事業所数は減少傾向にあり、また横ばい状態にありまして、電気業のみが保管より所有のほうが届出事業所数が多いという状況になっています。変圧器及び3kg以上コンデンサーの使用年数は、平均で40年、42年ぐらいになっています。そして低濃度機器の2%が残存する機器の使用年数は、変圧器で55年、3kg以上コンデンサーで57年という結果になりました。
 このような解析を行っていますが、今後もさらにこの解析を進めていきたいと思っております。以上となります。
(切川課長補佐) 続きまして資料2-2を環境省から説明いたします。
 まず1ページ目を御覧いただければと思います。低濃度PCB含有製品等と書いてございますが、使用中の低濃度PCB含有製品と低濃度PCB廃棄物の届出の規定を整理をしてございます。PCB特措法では、先ほどの資料2-1でありましたように、保管中の低濃度PCB廃棄物は届出義務がありますが、所有中イコール使用中の低濃度PCB含有製品に関しては、任意で届け出いただいているような状況になってございます。表の右側に電気事業法のPCB含有電気工作物の届出の規定に関して整理してございまして、PCBの含有が確認できているものに関しては自治体等によって管理できている状態になっていると整理しています。
 届け出られている情報に関して表の下のほうに整理してございますが、PCB特措法に関しては、届出先が自治体の廃棄物部局になってございまして、届出時期が翌年の6月30日までに提出するということで、1年ごとに情報を更新をしていくことになってございます。届出対象は全ての低濃度PCB廃棄物、届出項目に関しては、製造者名などに加えまして、廃棄予定や濃度に関しても届け出ることになっています。これらはPCB特措法の施行規則で規定されています。右側の電気事業法ですけれども、こちらはPCB含有電気工作物を産業保安監督部等に届け出ていただく。時期としましては、判明や廃止した後遅滞なくとなってございまして、届出項目は下のようになってございます。
 今後ですが、高濃度PCBでは、PCB特措法に基づきまして、高濃度PCBの使用製品に対して処分期間を超えた後は廃棄物とみなす規定がございますので、廃棄物みなしの使用中製品及び高濃度PCB廃棄物に関しましては、自治体と情報共有しまして、そして自治体がPCB特措法の11条、12条に基づく行政指導を行いながら、関係者が一丸となって処理に向けて取り組んできました。
 低濃度PCBに関しましても、同じように情報共有していこうということで、現在環境省と経産省において情報共有提供項目を検討しているところでございまして、整理でき次第、自治体に情報提供する予定としてございます。
 続きまして資料2-3になります。
(産廃振興財団長田顧問) 資料2-3については産廃振興財団から説明いたします。変圧器等からの低濃度PCB検出事例ということでございます。
 まず前書きとしまして、PCB汚染の可能性がある再生絶縁油の使用中止が平成3年(1991年)1月頃だったと思うのですが、それ以降につきまして製造・出荷されたコンデンサー、及び平成6年、1994年以降の変圧器等のPCB汚染確認については、一般社団法人日本電機工業会(JEMA)の調査報告及び低濃度PCB汚染物対策検討委員会が開かれたときの原因究明ワーキンググループの報告(平成17年)を基に以下のとおりとされております。
 黄色い枠ですが、JEMA加盟メーカー生産の機器では、変圧器に係るメンテナンス等が行われていないこと、または汚染のない油への入替え等が行われていればPCBの汚染がないとされています。ただし、特定メーカーの一部機器では、1994年までに出荷したものに1989年以前製造の新油絶縁油、これは再生絶縁油も含まれているかと思いますが、それを使用したものがあり、PCBの混入の可能性があるとされました。
 これらの情報、いわゆる安全宣言から、環境省及び経産省作成のパンフレット等では、平成6年(1994年)以降製造の変圧器等では絶縁油の入替えや絶縁油に係るメンテナンスが行われていないことが確認できない場合は、絶縁油を採集してPCB濃度を測定することとされています。
 そのため、メンテナンスの実施有無が不明な場合は、比較的新しい変圧器等であっても、PCB汚染の可能性を確認するための測定を行わなければならないとされてきて、若干の混乱が起きていたということでございます。
 次のスライドは、下に表がありますが、電気保安協会から、昨年4月時点の細かい情報をいただきました。それを並べたものです。真ん中が原因究明ワーキング報告、右が大手電機法人から提供された情報を整理しています。
 1991年以降製造の変圧器からのPCB検出件数、例えば電気保安協会提供の資料を御覧いただきますと、分析済みの機器台数は年度ごとに5,000台から、多い年で1万台を分析されたのですが、これを見ていただきますと、1989年頃までは検出があるのですが、90年からぐっと減りまして、91年以降は検出率0.5%以下という状況が続いています。ただし、1994年以降のものでもわずかながら検出がありまして、最も新しいもので2002年のところまで、1件ですが、検出事例があるということでございます。
 原因究明ワーキング時は、当時はまだ分析台数が少なかったのですが、1985年から2004年までのもので合計2,821台の分析が行われました。年度別はせいぜい数百件だったのですが、それに対して見ていきますと、保安協会のものと同じように1989年までは検出率が高いですが、それ以降はぐっと減ってきます。ただし94年以降も1台とか4台検出されたという状況です。
 大手電気保安法人の提供のデータは、NDデータの情報はないのですが、これを見ていただくと、やはり1994年以降検出事例がぱらぱらと多少ありまして、2000年まで検出事例がありました。ただし2001年以降の製造のものからは検出がないということでございました。PCBの検出率というのは1991年以降で見ますと0.5%以下であって、濃度としましても50ppm以下のものという状況になっております。
 次のスライドは1994年以降製造の変圧器等の汚染に関する関連情報ということで、電気保安協会や電気保安法人にヒアリングをいたしました。それによりますと、絶縁油の入替えや継ぎ足しに使用する絶縁油は新規に購入した新油だけを使っており、PCB汚染の可能性があるユーザー等で保管されたものをメンテナンスのときに使用することはないということです。継ぎ足しで汚染の可能性があるとしているのですが、継ぎ足しに使用する絶縁油量はせいぜいコップ1~2杯の100~200mlと少なく、仮にそれがPCBに汚染されていても変圧器の油量に対する比率は低く、基準を超えて汚染させることはないということになりました。
 それと平成17年5月の原因究明WG調査報告書の関連情報を調べましたところ、電気絶縁油の納入時に発行する試験成績書にPCB分析結果に基づきPCB不含であることを記載するようになったのは2002年11月以降であると回答しているメーカーがございました。また、1989年以前購入の工場貯蔵油が完全に入れ替わり、PCB検出下限値(0.2ppm)以下になるには約5年を要するので、1990年から1995年までに製造した変圧器等からは微量PCBが検出される可能性があると回答したメーカーがございました。
 このようなデータを整理しまして、当面は、汚染の拡大を防ぐためも2002年製造のものまでは測定を求める必要があるが、それ以降は不要としていいのではないかということが一つの案でございます。
 最後、このようにいろいろとデータを保安協会等で取っていただいたのですが、今度はメーカー側の対応について案を整理しております。
 1点目は、安全宣言以降に製造された低濃度PCB含有機器へのメーカーの対応ということで、いわゆる安全宣言以降に生産された機器でも、最近の事例ですが、ニチコンや、ニチコンからOEMを受けた東芝のコンデンサー、安全宣言以降のものにも低濃度PCB含有の報告がされています。処分期限が令和9年3月末と迫っていますので、改めて変圧器・コンデンサー等に対して、メーカーにおいて平成24年に原因究明されたように、PCB検出事例を集約して、ユーザーに対してPCB含有疑い機器の情報の積極的な周知に取り組むことが重要であるとしております。
 2点目に、直近までの分析データを活用した各メーカーによる原因究明と、それに基づく汚染機器範囲の絞り込みを今後行っていく必要があるということで、この点を4点書いております。1つ目ですが、変圧器のPCBの検出事例で見ますと、先ほど見ていただいたように、1988年までは検出率が10~30%、1990年以降では1%未満となっています。そういったことから、現在、変圧器・コンデンサー等に対して、製造年月を基にしたPCB濃度の測定を求めているところです。これに応えてユーザーが分析を行っていますが、各所で集約・蓄積した機器の機種別、製造年月ごとの情報を活用しますと、さらに濃度測定が必要な対象製品を絞り込める可能性があるということで、平成17年頃まで実施されていた対応のように、メーカーごとにこれらの対応をしっかりと行い、再度原因究明を行っていただくことで、PCB測定の必要範囲をより限定できる可能性があると考えています。これらの対応は機器ユーザーの負担軽減において極めて重要ですので、メーカーの主体的な対処が求められるところとしております。
 最後は封じ切り機器であるコンデンサーの高効率化機器の開発です。変圧器については、省エネ法に基づいて、グリーン購入法の特定調達品目によって支援制度が設けられているのですが、今のところコンデンサーにはそのような制度がありません。今後、高効率化機器の開発をコンデンサーについても行っていただいて、新たな支援制度を構築していくことが必要だろうということでまとめております。以上となります。
(切川課長補佐) ありがとうございます。資料2-3のスライド2で1点、訂正させていただければと思います。電気保安協会提供と原因究明WG報告の表ですが、一番下の合計値が1991年よりも新しいものの合計となってございまして、1985~1990年に数字が合計に入っておりませんでしたので、ご注意ください。資料は後で修正します。
 それでは資料2-4の説明をいたします。低濃度PCBの実態調査に関してです。前回3月29日の検討会の際に1月26日までの回答結果を集計したものを御説明いたしました。今回、その後調査を続けまして、3月末までを整理したもので説明いたします。
 今回の調査ですが、低濃度PCBの保管状況についてWebアンケートにより調査を実施してございます。そのとき、業界団体に加盟する事業者、560団体に対して調査をお願いしまして、そこからさらに都道府県もしくはブロック毎の協会に下ろしていただいて、加盟している事業者に回答いただいたというものになってございます。
 その結果、平成6年よりも前までに事業所を開設し、現在も存続をしているという事業者が合計3万360事業所ございました。その内訳がその下に書いてございます。現在の経済センサスで収録されている事業所の中で平成6年よりも前までに事業所を開設しているということで、低濃度PCB機器がまだ流通していた時期に開設した事業所が212万事業所あるという状況になっていまして、この212万を分母にしますと、この3万というのは1.4%に該当するという状況になってございます。
 回答事業所の規模と事業所の規模を整理してございます。規模別では、従業員が100名以上の大規模が1割、一番多かったのが従業員100名以下の中小規模で63%といった順序となってございます。処分期限の認識率は、一番下に書いてございますが、今回回答いただいた方々はかなり認識率が高かったという結果になってございます。
 次は調査結果になってございます。上の表は調査結果をまとめたものになってございまして、まず調査を実施したかどうかというところですが、3万の事業所の9割、ほとんど方々が調査を完了もしくは一部完了しているということで実施されていました。そのうち、PCBが入っているに関わらず、まず古い機械をお持ちだったかどうかという調査に関しては、5割の方々がお持ちだったという結果になってございまして、3万のうちの1万5,000の事業者が古い機械をお持ちだった。そのうちさらにPCB含有が判明したということで、PCB含有疑いはここに入っておりませんので、PCBの分析を行って含有が判明した方というのが33%という回答になってございます。その下に処分の割合を入れてございます。
 次の■ですが、PCB含有機器の発見台数を整理してございます。電気事業法に基づく自家用電気工作物とそれ以外ということで分けてございまして、1事業者辺り何台お持ちだったか。下のほうには、これを業種別に分けた数字も載せてございます。
 今後の調査方針を御説明いたします。ここまでで調査の結果をお示ししたのは、業界に加盟している事業者の回答になってございます。今後、業界団体非加盟の中小・零細時事業者の取組状況を把握したいと考えてございまして、現在、4か所程度の政令市の御協力をいただいて、モデル調査としてこういった中小・零細事業者の方々への調査ができないかということで、取り組んでいるところでございます。最終的には低濃度PCBに関して自治体が指導する方針案を整理できないかと考えてございます。以上となります。
(永田座長) ありがとうございました。それでは、資料が幾つかに分かれていて、4つありますので、それぞれごとに御質問はおありかと思いますが、もうまとめて聞かせていただきたいと思っております。どうぞ、どこからでも結構ですので御質問、御意見等を頂戴したいと思います。川本委員、どうぞ。
(川本委員) 資料2-1の中でお尋ねしたいと思います。まとめのところで台数及び事業所数は減少の傾向にあるが、ただ鉄鋼業は3kg未満コンデンサーの届出数が他業種より多く、増加傾向にあるとあり、この結果を示しているのが5枚目のスライドだと思うのですが、傾向というか、2019と2020及び2021と2022の比較で随分多くなっているということで、傾向があるのかどうか分かりませんが、とにかく増えているということのようです。これについての要因としては何か掘り下げられる点はありましたでしょうか。
(永田座長) 回答の前に、鉄連の木村委員にお伺いしたいのですが、保管や所有で届けが出されている台数の定義について、保管で届け出られているものは、廃棄段階にあり、もう使用していないので、封じきり機器のコンデンサー等も含め、濃度分析が実施されているのでしょうか。疑い物という、年度を区切ってPCB含有の可能性があるものもあるわけで、使用中のものはどうしているのか、お伺いしたいと思います。
(木村委員) 鉄鋼連盟の木村です。まず前提として、このPCB特措法の届出データの詳細までは把握していませんが、座長がおっしゃったように、汚染の可能性がある機器として届け出ているか、或いは、汚染がはっきりした機器として届け出ているかは、会社・事業所ごとに違うのではないかと思います。
 精緻な答えはできませんが、単純に、3kg未満のコンデンサーが多いということ自体に対しては、前回も御報告申し上げたとおりで、当業界の特色として、非常に複雑かつ多くの製造プロセスがあり、しかも制御する機器をたくさん持っていますので、数が多いということに対しては、当業界としてそれはそうだと思いました。
 加えて、数が増えていることに対しては、正確な解説まではできかねますが、おそらく、これも前回御説明しましたとおりで、やはり汚染の可能性がある機器を業界としてもしっかりと管理しなければいけないという中で、汚染の可能性がある機器を特定し、管理をし、届出をしている可能性がありますので、そういったものが現れているのではないかと思います。以上です。
(永田座長) 含有機器として確定できたものと疑い物というものが、会社によってあるいは事業所によって届けられている定義が異なる可能性があるということで、届出台数が増えているのは、疑い物も積極的に出してきている可能性もあるということですね。ありがとうございます。
 一方で、変圧器は分析して含有されているものが届けられていると考えると、2022年ですから一昨年の時点で保管台数が約2万8,000台あります。環境省が前回出された低濃度機器の処理方針の中で、保管のものは期限内に処分していきましょうという話になっているのですが、この2万8,000台が処理できるのか、厳しいという印象です。この辺の考え方を環境省から聞かせていただけますか。
(切川課長補佐) 現在、無害化処理認定施設の中でこういった変圧器を筐体ごと処理できる事業所が10数か所ございます。変圧器は年間11万台ほどの処理実績がございますので、この台数であればあと2年半あれば処理が可能と考えております。ただ、まだ増えてくる可能性がありますので、それを考慮すると、処理体制が不足する可能性はあります。
(永田座長) なるほど。次のページに所有台数があります。所有台数というのは使用中という意味があるわけで、それがまた2万5,000台の変圧器が存在しています。これをできるだけ廃棄のほうに持っていきたいという思想で取り組んでいるわけで、今、使用中となっているものを廃止する動きに持っていかなければいけない。その点について経産省から発言はありますか、いかがでしょうか。
(弥益課長補佐) 私たちのほうも、電気工作物には当然電気が流れていますので、停電の点検時にできるだけ調査を促しています。よって届出はどんどんこれからも出てくるのではないかと思っています。
(永田座長) それは電気事業法の届出ですね。届出はいつから行っておられるのですか。自主的な取組だというけれども、環境省のほうはいつから低濃度のほうは取っていらっしゃるのですか。
(切川課長補佐) 環境省のPCB特措法は2001年の成立段階から届出の義務がございますのでそこから情報があります。
(永田座長) 低濃度もですか。
(切川課長補佐) 当時は低濃度と概念がありませんでしたが、PCB廃棄物の届出は2001年から義務づけておりますので、2002年から微量汚染が判明した後からは、判明したものは届け出ていただいているという認識です。
(永田座長) 低濃度と高濃度の区分をしながら届け出てもらうようにはなっていないのですか。
(産廃振興財団長田顧問) よろしいですか。平成24年頃だったかと思います。
(弥益課長補佐) 私たちも一緒で、PCB特措法の施行に合わせて電気関係報告規則を改正しまして、そこで報告するようにしています。だから時期的には恐らく一緒と思いますし、こちらのほうは高濃度と低濃度が一応分かる形で届出をしていただくようにしております。
(永田座長) そうですか。では随分以前から届出が行われているということで、データとして相当程度まとまっているはずです。経産省から届出情報の報告がないことが少し気になっています。報告いただくことはできますか。
(弥益課長補佐) おっしゃるとおり、資料としてはあるのですが、数字の精査が終わっていませんので、精査してしかるべきタイミングでは御報告したいと思っています。
(永田座長) 随分前から情報を取っていたのだから、情報の精査の方法はできているのだろうと我々は思っています。これから分析しますというのはちょっと納得がいかないのです。特に変圧器の場合は。次回、情報を出していただくように、準備をお願いします。
 一方で、JEMAにお伺いしたいのですが、寿命のデータがありますね。私が調べた範囲では、JEMAが2023年3月に更新時期の推奨の調査を行われて、その報告書を出しているのです。それだとたしか変圧器が20年、コンデンサーが15年という値が出てきていて、それと比べると産廃財団からの説明は大幅に違います。これは実態としてこうなっているといえばそれまでなのですが、JEMAからコメントがあったら、お聞かせ願いたいと思います。
(玉谷委員) JEMAの玉谷です。我々のほうでは、先ほどおっしゃったように、15年、20年というのを基本としてお伝えしているのですが、ユーザーのほうでメンテナンスを適切に行われて長く使っていただいているというのが現状だと思います。
(永田座長) こういう調査もベースにした上で更新の推奨時期というのを示しているのではないですか。
(玉谷委員) 基本的には、設計する段階でこの程度の寿命だろうというところで指針を示しております。
(永田座長) よろしいでしょうか。次に資料2-3の2ページ目で、先ほど訂正があった資料、電気保安協会の主任技術者の方にいろいろと御努力して集めていただいた資料ですが、変圧器とコンデンサーでは違うのですが、年度で区切って検出率を見ていただくと、私が計算した限りでは、電気保安協会の1989年までの検出率の平均値は20%です。1990年以降は大幅に低下してきて、特に先ほど2002年までという延長を考えているような文章が入っていましたから、1990年から2002年まででどのぐらいの率になるかというと、これはもうかなり下がり、1%以下ぐらいの値になってしまうのです。
 それに対して、期限を切って測定を求めるということは、現実には99%の人たちが無駄な測定を行うということになってしまうのです。そのようなことが許されていいのかということがまず頭の中ではひらめくわけです。安全を考えると確かにそこが期限になってくるということは言えるのですが、どうもそれを安直に許していいのか。なぜそうなってしまっているかというと、メーカーの責任だと思うのです。メーカーが原因分析を、あるいは今ここに書かれているような絞り込みをする努力を怠ってきた結果、こういう事態が生まれてしまっているのだと思います。これから先まだ使用中のものの処理については期限以降にも行っていくことになってくることを議論しているのですから、今からでも遅くないので、メーカーで情報を集約して、原因分析。絞り込みを行ってほしいと思います。
 ここには載っていないのですが、3kg以上のコンデンサーについて調べてみますと、検出率が6%ぐらいに落ちるのです。さらに先ほどの2002年まで見ていくと、さらに下がってくるという状況ですので、本当はできるだけ早いほうがいいのですが、原因究明をメーカーごとに行っていただく必要があると思っています。
 JEMAに言うのは気の毒かもしれませんが、基本的に資料に挙げられている3つをお願いしたい。安全宣言以降に検出されましたということを報告している企業が、ユーザーがこういうことを行ってください、ユーザーが情報を取得してくださいといった書き方で済ませているのですが、もう期限が迫っているのですから、もうちょっと積極的な働きかけが必要でしょう。今後もそうしたメーカーが現れてくるかもしれません。そうしたメーカーが現れてきたときにはどういう対応をしなければいけないかということをJEMAでルール化してきちんと示しておく必要があるのではないかと思っております。
 それから封じ切り機器の代替を促進して、できるだけ早く処理に移行させていこうということで、特にコンデンサーについてはその必要性が高いわけですけれども、コンデンサーの高効率化も進めていただければそうした支援措置がありますから、代替促進を図っていくことで、できるだけPCBのものは早く廃止・処分していくというようなことが行われるだろうと思っています。この3つはメーカーサイドでいろいろと対応していただきたい事項として書いてありますので、JEMAの玉谷委員にはコメントをいただきたいと思います。
(玉谷委員) コメントいたします。最初は製造時期の絞り込みの件ですが、こちらでも保安協会からデータをいただけるということなので、こちらでも調査して、絞り込みのほうを検討していきたいと思います。あとは何でしたか。
(永田座長) あとは高効率化の話と、これから見つかるものも含めて、安全宣言以降に見つかったメーカーがどう対応すべきかということをルール化してほしいと思います。
(玉谷委員) まず、高効率化のほうですが、これに関してはJEMAのほうとしてはコンデンサー技術委員会のほうにかけて検討案をつくっていますので、今の段階ではまだ検討中ですが、次回ぐらいにはお話しできるかと思います。
 3つ目のほうは、今後似たような案件が新たに出た場合に関してですが、こちらについても、そういった場合にどのような対処をするか、基本的には原因調査をして、対処期間の絞り込みというところまでJEMAとして検討していきたいとは考えております。
(永田座長) JEMAとして行うより、JEMAからメーカーに対してきちんと対応していくルールづくりをしてほしいと思っているのです。どうぞ。鬼沢委員。
(鬼沢委員) 先ほど環境省がお答えになったところと重なるかもしれないのですが、資料2-1のスライド4で、保管の台数が教育機関のところで非常に多いと思うのですが、これは処理がまだ間に合っていないからこういう状態なのでしょうか。各地で、今、処理が行われていると思いますが、どうしてここだけはこのように保管が多いのかと思いまして、お願いいたします。
(切川課長補佐) 処理が進んでいないのか、もしくは一生懸命調査をいただいて届け出ていただいた結果なのか、分析が必要だと考えてございます。
 大学や工専、また理科室の実験器具などから届け出られており、恐らく高濃度と一緒に調査され、見つかったものを積極的に届け出ていただいているのではないか思います。産廃振興財団から補足ありますか?
(産廃振興財団) 長くずっと保管を続けている事業者も確かにいますけれども、結構事業所の入れ替わりがありますので、新たに見つかり、複数年続いて保管を続けている人は予算の工面をされているのではないかと思っております。
(永田座長) よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。高岡委員、どうぞ。
(高岡委員) 私のほうから2点ありまして、一つはまず資料2-1の3枚目のスライドのところで、少し気になるのは、その他の機器というのが2020年度から2021年度に一旦減って、これは喜ばしいことだったのですが、2022年にまた結構倍ぐらい増えています。これが何なのかということを知りたいと思いました。
 もう一点は、先ほども出ましたが、学校等が保有しているものが多いということですが、ここではあまり出てきませんでしたが、地方自治体なんかも持っているものがあると認識しています。国も持っているものがあると認識しています。そういったところを、早めに保管しているものを処分していただくようなことを進めてもいいのではないかと思いました。これはコメントです。以上です。
(産廃振興財団) いろいろと調べたのですが、その他の機器というのは、届出をしている人が詳しく名称を書いてくれる場合と書いていなくてまとめているケースがありまして、可能な限りそのコメントを頼りに分類しました。その中で意外に多かったのはバランサーという電力会社が持っているものでした。これが非常に多く届け出られていたり、急にぴたっとなくなっているときがあったりしまして、多分それが届出の段階ではっきりしないということがあるかと思います。ほかにも似たような機器がございますので、これはもう少しお時間をいただいて精査したいと思っています。
(永田座長) 分かりました。今のバランサーの話というのは、電事連の小林委員、どういう機器ですか。
(小林委員) 電気事業連合会の小林です。今回から前回の岸川に代わりまして参加することになりました。よろしくお願いいたします。
 大変恐縮ですが、バランサーという機器が電力会社からよく出ているということだったのですが、申し訳ございません、今の手持ちの中では具体的にどういうものでどのぐらい出ているものかというのは私も承知していないところでございます。確認をさせていただければと思います。恐れ入ります。よろしくお願いします。
(永田座長) 分かりました。では産廃財団と一緒になって調べてみてください。
(切川課長補佐) 高岡委員からありました行政が持っている低濃度PCBの処理の促進に関してですが、今日の資料では入れてございませんが、かなりございますので、処理促進していくように環境省からもお願いしていきたいと考えてございます。
(永田座長) 今の話はあれですが、政府率先取組の話がありました。それはほとんど処理は済んでいるのですか。それの報告が最近はあまり入っていないような気がするのですが。
(切川課長補佐) 政府率先の取組は高濃度PCBに対して実施しているのですが、低濃度のほうはまだ整理ができていませんので、次回整理して御報告いたします。
(永田座長) はい。分かりました。高岡委員、よろしいでしょうか。
(高岡委員) はい。ありがとうございます。
(永田座長) 酒井委員、どうぞ。
(酒井委員) 先ほど永田座長が御指摘されているこの検出事例、資料2-3ですが、今回提供いただいたこの2ページの電気保安協会の分析に基づく検出率というのは非常に貴重な資料、情報かと思います。というのは、この原因究明ワーキングの段階で取り決めた分析の母数からして、一桁完全に多い母数に基づくデータということで、信頼性が格段に高いという側面でこれは大事にしなければならないと思います。
 それで一つお聞きしたいのは、2003年以降2015年まで検出なしとなっているのですが、ここの分析済み機器台数の母数はどの程度の分析に基づいた検出なしということの宣言なのかということです。
 それから、あとはもう、永田座長が言われたとおり、むやみに分析してもらっていいのかという観点とともに、ただ出ている限りは進めねばならない。そうするともう少し絞り込めないのか。では絞り込みにいくためのもう少し背景情報を得るのではなく、それは原因究明であろうという文脈でお話しされたと思うのです。そこに関しては全く同感でございます。そういう意味で定性的な情報でも今後それぞれのメーカー等からより確かなデータ提供がなされることを期待します。これは意見です。
 それから、どこで申し上げるのがいいのか分からないのですが、特に3 kg未満のコンデンサーとか、小さい機器ですが、これをどこでどう管理するのか、変に放置しないことの工夫を今後どうしていくかということです。後の資料3の関係に盛り込まれているのか分からないのですが、言い忘れたらいけませんので、少しそういう点を、届出から廃棄に至る過程の保管の仕方をどこで誰がどう管理するか、この観点は非常に大事だろうと思いますので、あえてこのタイミングで発言させてもらいます。
(永田座長) 分かりました。その後半の話は後ほど議論になるかと思いますし、テーマに掲げられていますので、そのときにでもまたアイデアがあったら御指摘いただければと思います。
 それから、まず保安協会のデータで、2025年まで検出なしというところでどのぐらい測定したのかという話ですが、保安協会にも御協力いただくと同時に、鉄連や電事連も多くの機器の濃度分析を実施されてきており、分析結果をお持ちだと思います。外部の主任技術者ではなく、内部の技術者が調査を行っておられ、メーカーのほうにはデータが渡っていないと想像しています。これから調査をするという話ではなく、これまで分析されてきた、それぞれが持っているデータをメーカーにフィードバックしていただき、そしてメーカーごとに分析してもらって、より絞り込みを行えば、そういう意味ではユーザーにも非常にメリットがある。データを提供いただいた鉄連や電事連にもメリットがあるような資料になって返ってくるということで御協力をお願いしておきたい。それ以外のところからももしそういうものがありましたらぜひ出していただいて検討をお願いしたいと思っています。
 今、酒井委員からの御質問があった2015年までのデータも保安協会にお願いして、できるだけ出していただいて、その時点ではほとんどPCBは検出されていないのでしょうが、結構な台数で測られているのかとは思っております。
 これは重要な話ですので後ほどまたここに戻っていただいても結構ですが、次は議題の3番目に入りたいと思います。
 議題の3は「今後のPCB処理に係るPCB特措法等での対応について」ということで、環境省から説明をお願いします。
(切川課長補佐) 環境省廃棄物規制課から説明いたします。まず資料3-1を御覧いただければと思います。PCB特措法の対応(案)の論点整理という資料になってございます。こちらの最後のスライドのところに、前回の検討会の資料5としてお示しいたしましたPCB特措法の点検の進め方をつけておりますが、これに基づいて論点を整理した資料になっております。
 まず1つ目ですが、先ほど酒井委員から御指摘がありましたものに近いのですが、管理の強化をしていくというところと、次はトレーサビリティをどう確保していくかというところになります。
 まず管理の強化に関してでございます。先ほど、議題2で御議論いただきましたけれども、低濃度PCB含有機器及び低濃度PCB含有の疑い機器に関しては、対象の絞り込みが必要だということで、引き続き議題2で実施していく中で対象を絞り込んた後の対象範囲の中で、特に条約で使用禁止になってございます濃度50ppm以上、かつ容量50ml以上の機器については、メーカー等に協力いただきまして、令和9年3月の処分期限がございますので、そこの中で廃止すべきものとして特定することができないかというのが一つ目になります。一方としてございますが、容量や濃度に関わらず、0.5ppm以上の廃棄後に低濃度PCB廃棄物に該当するものに関しては、条約で使用禁止とされていない機器や封じ切り機器等も含めて、行政が低濃度PCB含有疑い機器を管理できるように、今後、PCB特措法の届出の対象としてはどうだろうかということが書いてございます。「PCB特措法の」と書いてございますが、引き続き電気事業法の自家用電機工作物では電気事業法、それ以外のもので使用中のものをPCB特措法で届出の対象にできないかというところで書いてございます。
 次が3kg未満の小さなものですか、こちらは制御盤の中に組み込まれているようなコンデンサーなどで、制御盤には数個もしくは数十個PCB含有疑いがあるコンデンサーが使われているため、PCB含有疑いコンデンサーが組み込まれている制御盤という単位で管理ができないか。さらに、同じような制御盤を幾つもつなぎ合わせて装置を形成しているようなところに関しては、電気室の中で制御盤が並んでいますので、装置単位でそれを管理できないかというところで書いてございます。こうすることで、先ほど酒井委員から御指摘がいただきましたが、他のものと混合されて、PCB廃棄物ではなく通常産廃として処理されるような誤廃棄を防いでいく管理につなげたいと考えております。PCB廃棄物に関しては、保管基準、PCB特措法がありますので、場所を動かさずに管理をするとなっています。使用中の段階から場所を動かさないという観点で管理をしてはどうかということが書いてございます。
 もう一つ、量が多いもの、かつ使用継続の可能性が高いものとしまして塗膜がございます。こちらは、PCB含有塗膜を使用した構造物等と入れてございますが、現在、大きなものに関しては毎年塗膜調査ということで調査に協力をいただいてございます。橋梁やタンクといったものを対象にいただいてございますが、こういった単位で管理をしていくのはどうだろうか。そのときに、塗膜を剥離せずに使用を継続するものに関しましては、行政で管理ができるというところが上の電気機器と同じですけれども、そういった視点で行政に管理計画や処理計画を届け出ていただくということで、その計画を確認することによって管理をしていくことができないだろうかということで整理してございます。
 期限後の令和9年4月以降も使用継続するといったときの管理になりますが、その後、使用・廃止後の廃棄に至るトレーサビリティの確保のための措置ということで、まず1点目は、資料2-2でもお示ししましたが、電気事業法のほうで届けられております使用中の機器の情報というものと、今後、管理を強化していくことでPCB特措法のほうで届けられたものとを連携して集約的に情報管理をしていくということが大事だろうということを書いてございます。廃止後に関しては、自家用電気工作物も含めてPCB廃棄物としてPCB特措法で保管状況の届出となりますので、そこは既存のルールをそのまま使っていくということを書いてございます。
 2つ目です。使用中の低濃度PCP含有機器及び同疑い機器の管理体制でございます。現在、PCB特措法では、PCB廃棄物の保管事業者というものが処理責任を有するとなってございますが、使用中のものの管理を強化していったときに、使用中の機器の所有者が広義の保管事業者ということで位置づけまして、使用中の機器の管理を実施するとともに、自治体の廃棄物部局の定期的な点検を受けることで管理状況を確認していくということができないか。管理状況を確認することによって、途中での紛失がなくなっていくことが見込めないかと考えています。
 そのときに、廃棄物部局が使用中の機器に対して確認点検をしていくというところなので、PCB廃棄物の保管基準のように、管理基準があることによってそれが具体に実施できないかということで、PCB廃棄物の保管基準を参照しながら、具体例としましては、飛散・流出しないような管理基準を新たに定めまして、これを遵守することを使用中の者には義務づけたらどうかということを論点で整理いたしました。
 最後は廃止の促進と廃止後の速やかな処理の規定ということで、廃止を促進するために何らかの規定ができないかということで、一つは補助制度というものがあるかと思いますが、そういった何らかの措置が設定できるかということを最初に整理してございます。
 その次ですが、現在PCB廃棄物に関しては処分期間があって、その中で処分をいただくということが義務づけられておりますが、令和9年4月以降どうするかというところで、廃止された後速やかにPCB特措法に届出をいただくということはもちろんのこと、一定期間内の早期かつ適正な処理を義務づけてはどうかということで記載いたしました。例示としまして1年と書いてございますが、そこはいろいろと御意見があるかと思いますので、一定の期間に関しての考え方を整理したいと考えてございます。
 最後、課電洗浄です。使用中の機器に関して、洗浄することによってPCB含有機器から卒業できるという洗浄法ですけれども、こちらは令和9年3月以降の処分期間以降も実施する場合の条件はどのように設定するか、それをクリアすれば適用可能とするかどうかということを論点として整理しております。
 最後の論点になります。高濃度PCBに関してPCB廃棄物処理基本計画の中で計画策定をお願いしてございます多量保管者に関してです。多量保管者に関して、論点の中で、2つ目のポチで、多量の数値はどのぐらいにするかということとか、かつ対象事業者をどう絞り込んでいくかという論点を入れてございますが、多量にお持ちの方々に関しては処理計画をつくってもらって、もしくは処理実績を報告してもらうといったところを求められるのかどうかということを書いてございます。
 具体的な計画の中身としましては、下のほうに書いてございまして、低濃度PCBの含有機器の使用を継続する理由や管理状況といったものを記載いただく。それに関して提出先は自治体でいいのかと書いてございますが、提出いただいたところ、チェックリストとして中身を確認いただいて、きちんと進められるようなものになっているかどうかをチェックするということを整理してございます。
 次に、資料3-2の説明をいたします。こちらはPCB廃棄物の処理技術ということで、副題としてJESCO事業終了後における高濃度PCB処理に関する検討でございますが、令和7年度末でJESCOにおける高濃度PCB処理事業を終了いたしますので、その後の技術に関して検討を始めようということでまとめた資料となってございます。
 前半は現状の技術の整理をしてございます。こちらは皆さんも御存じの話ですが、高濃度PCBと低濃度PCBの定義と、どこでどう処理をしているかを整理してございます。JESCOでは化学分解処理、プラズマ分解処理と入れてございますが、変圧器コンデンサーに関しては、まず油を出せるように前処理をして、分解洗浄した後に集めたPCBに対して脱塩素化分解法もしくは水熱酸化分解法で処理をしています。安定器・汚染物等に関しては分解処理ではなく、丸ごと脱塩素化分解ということで、プラズマ溶融炉で処理をしています。化学処理に関しては、次のスライドになりますが、洗浄・分離というのと化学処理によるPCB汚染物の分解ということで、ここにあります5つの方法を使って現在は処理がされています。
 ここから低濃度になります。低濃度に関しても、現在33の事業所がございまして、そのうち31が大臣認定の施設となってございます。その31の大臣認定のうち、23の事業者が焼却処理を行っており、先ほど話題になりましたが、そのうち15が筐体の処理もできる事業者となってございます。こちらが焼却処理を行っている事業者の一覧となってございまして、大手の産廃事業者がここに名を連ねている状況で、特に◎をつけているところに関しては10万ppmの可燃物までの処理ができるという施設になってございます。
 次は洗浄です。洗浄に関しては移動式のものも含めてこれだけの事業所が認定を受けている状況です。
 具体の処理方法を7枚目、8枚目に入れてございますが、7ページのほうは焼却処理ということで、ロータリキルンをここに示しておりますが、焼却炉の中にPCBが入っている装置を入れまして、ドラム缶ごととかドラム缶の中身を入れたり、PCB油を炉内に噴霧をしたり、いろいろな方法がありますが、焼却した後に廃ガス処理を行ってきちんと無害化できていことをモニタリングしています。
 次は洗浄方式です。こちらは、今回は説明を省きたいと思いますが、PCBが入っているものの中に洗浄液を循環させて洗浄するという技術になります。
 ここからが論点になるのですが、今後の処理技術の選定についてということで、これまでのJESCOの処理技術の選定の考え方は、広域的な拠点施設を整備しまして、化学処理とプラズマ処理を組み合わせることによって大量の高濃度PCBを適正かつ早期に処理する技術ということで、北九州事業から始まって、このように処理が続いている状況になってございます。現在、大量の廃棄物を確実に無害化できるのはJESCO事業のみです。
 今後ですが、JESCO事業後の処理技術の選定の考え方を下に書いてございますが、これまで処理してきましたJESCOでの高濃度PCBの量に比べまして、今後出てくる量というのは非常に少量かつ散発的に出てくるのではないかという想定をしてございます。
 まずそこの考え方を1つ目のポチで書いてございます。JESCO事業において令和7年度末までに処理を進める処理量と比較して、令和8年度以降なので、あと1年半はJESCOで処理を続けた後出てくる量というのは、現在処理している1年間の処理量に比べて1%未満ではないかと考えております。その考え方を※で説明しておりますが、令和5年度の実績を処分期間の最終年と比べると数%程度の量でした。処理が進展している結果でありまして、今後令和7年度末までに処理を継続した場合はさらに処理が進みますので、そうすると1%未満の量になるのではないかということで、こういった少量で、かつ今後見つかるのは、いつも見つかるというよりは散発的に見つかるだろうということで、このJESCOの処理技術に関しては早期に大量に処理するということと、立地自治体の皆様との約束がございますので、現状の採用の技術では、処理は技術的にも経済的にも難しいだろうと整理してございます。
 次のポチになりますけれども、今後見つかる高濃度PCBというのは、安定器だったり、溶接機やレントゲン機器に搭載されている小さなコンデンサーということで、大きなトランスなどはもう出てこないだろうと考えています。量の点かつ性状の点がこちらになります。
 最後ですが、今後長期間にわたって処理体制を維持するということが大事になってきますので、その場合、少量のPCB廃棄物のPCBを確実に無害化するというのはもちろんのことで、わずかな量を受けていただくということですので、そういったときには他のものと一緒に処理するとか、様々な論点の中で今後の技術を考えていきたいということを整理してございます。
 最後のページは参考でして、現在、廃棄物処理法においてPCBの処理施設はどのような基準が設けられているかといったところを整理しております。説明は以上となります。
(永田座長) ありがとうございました。この3の議題につきましては皆さんから幅広く御意見を頂戴したいということで少し時間を取ってございます。御質問もいいですけれども、意見として言っていただいて、事務局サイドが答える時間はできるだけ短くして、皆さんからの御意見を中心に伺っていきたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
 それから資料3-1の最後のページに、前回の委員会で御議論いただいた点検の進め方(案)というものがありますが、これは(案)がついていますけれども(案)を取るべきではないですか。基本的にはこれは御了承いただいた類のものだと思っています。考え方を変更する可能性はないわけでもないですから修正案を出すことはやぶさかではないですが、現時点ではこの(案)はないと、もう決められた話だと御理解いただければと思います。
 ということで、いかがでしょうか。御意見を頂戴したいと思います。幅広い話になるので恐縮ですが、先ほどの資料3-1、資料3-2にかけて御意見を頂戴したいと思います。先ほど酒井委員から御指摘のあった点につきましては、この資料3-1の1ページ目でしょうか。小型の電気機器ということで、装置単位、制御盤単位で管理してはどうかという話が出てきてございます。いかがでしょうか。酒井委員、どうぞ。
(酒井委員) 先走ってすみませんでした。どこかで拝見したと思いながら忘れて先走ってしまいました。ここでまさに書いていただいたとおり、どういう単位での管理が望ましいかというところで、この装置単位、制御盤単位での管理、これは非常によく考えていただいていると思いますが、どういう名称でどのように認知していくかということの手続的な作業も相当要るかと思いつつもやはり基本的にはこういう方向かと思いました。
 もう一つは、これをどこで誰がどう管理するかいうところを、網羅的に規定としてつくれるかどうかというところも、その可能性を模索しながら、各使用者が管理しやすく、かつ周りがトレースしやすいといったような場と方法を用意していかないと、装置単位の管理ということを決めたとしてもというように思うところがありますので、ここもシステム的な規定の仕方がすごく要るかと思いながら聞いておりました。
(永田座長) ありがとうございました。この問題はまず前回鉄鋼連のほうからもいろいろと話題があったかと思いますので、木村委員、何か御意見があったら聞かせてください。
(木村委員) 鉄鋼連盟の木村です。まさに書いていただいたとおり、前回、概念としては当業界もこういった装置単位、制御盤単位で管理するのが現実的だという意見をさせていただきました。ただし、今、酒井委員からもありましたとおり、それから前回も議論がありましたとおり、どういうくくり方にするか、制御盤と一言で言っても、大きな制御盤、連なった制御盤というように鉄鋼業界でもそういうものがあります。届出をする使用者には、今まさしく酒井委員も分かりやすくとおっしゃっていましたけれども、迷いなく届出ができるような、指示というかそういうことがきちんと伝わらないとばらばらになってしまって、届出をしても管理がしにくいことになってしまいます。もう少し言うと、当業界だけではなく、他の業界も色々な装置を使っていると思いますので、そういった実態もしっかりと把握した上で届出の内容や仕方を議論していくべきではないかと思いました。
(永田座長) 分かりました。御意見も聞かせていただきました。それから、基本的には事業所単位になるのかもしれませんが、あるいは御社みたいにいろいろなところに事業所があるものはまとめて企業単位で報告していただく。その際には、あるいは事業所だと行政、地方自治体単位に報告することになると思いますが、いろいろなところにある企業は環境省に報告するということもあるのかという気もします。事業所単位でばらばらになっていると、基本的にそれを集約した形で、例えば自分の会社ではこのように行っています、これだけの処理が進みましたというような報告をするときに、報告の仕方もしづらくなってくるし、それだったら企業単位で行ってもらってもいいのではないかという気もします。何か御意見はありますか。
(木村委員) 私たちのほうから言っていいのかどうか分かりませんが、これも先ほど酒井委員がおっしゃったように、届けられた側の管理のしやすさの話だと思っています。
(永田座長) そうですけれども、地方自治体で管理するといってもどのような状態で進捗しているのかと問われたときには、会社単位という考え方も出てくるわけです。全国的に展開している会社には、そういう方法を取ってもらったほうが我々も情報がつかみやすい、判断しやすいということになるかと思いますので、その辺も含めていただきたい。したがって管理という話と、それから国民との間での情報共有と、管理の結果として出てくるものが両方あると思うのです。その両方を考えたときにどういう方策があるのかということも御意見としてお聞かせいただくといいかと思っています。
(木村委員) どういう組立てにするかということで、結局、会社として集約することはできると思いますので、それを報告するのは可能だとは思いますが、全体をどういう構成にするかということだと思います。
(永田座長) 織委員、どうぞ。
【織委員】 酒井委員や永田座長の意見と似ているところがあるのですが、結局、業界の方、事業者の方の情報提供の場の設定をどうするかということを事業者の方に示していただければと思います。先ほどお話がありましたように、結局業界横断的なことも出てくる、それから企業横断で業界全体で考えなければいけないことも出てくるということになると、どういう場を設定して、それを逐次私たちがどのようにチェックができて、進捗状況が何らかの方法で見ることができるような場を設定していただけないでしょうかということです。難しいと思いますが、それをぜひ御検討いただければと思います。
(永田座長) 前回決められた話として、特措法の処分期限のところまでは業界の話を毎年聞かせていただくという要件になっていて、それ以降の話について今議論しているのだと思いますので、それ以降については事業所ごととか、企業ごととか、そういう単位での対応で、業界でどうこうというのは、話を聞くことはあるかもしれませんが、原則的にはそれは盛り込まれていないと理解していただければいいかと思います。田中委員、どうぞ。
(田中委員) 資料3-2のほうからコメントしたいと思います。3-2はJESCO事業終了後における高濃度PCB処理に関する検討ということで、ここで考えなければならないのは、PCBの健康へのリスクや環境へのリスク、それに対する費用とかあるいはそれに伴う人材とか、そういうものを総合的に判断して、合理的な対応が求められるかと思います。
 それで、ここまでは高濃度PCBの対応はあそこまで行ったというのは世界にもないぐらい完璧な対応をしたと思うのですが、それでも出てくるものがあるだろうということで、数としては非常に少ない、できればゼロのほうがいいのですが、それぐらい非常に少ない。それから高濃度PCBの処理期限以降は出ないだろうということで施設の解体も始まっている。その施設は使えないということを前提にすれば、今、低濃度PCB廃棄物の処理は行っているし、それから同じように期限が切れてもまた見つかるということも高濃度と同じように低濃度もあり得る。その場合の数は高濃度よりも多いだろうという気がします。
 そういうことを考えると、無害化認定施設というのは非常にすばらしい対応だったと思うのです。約30の事業者が今フル稼働するような状況であって、さらに幾らかは出てくるかと思われるが、そこを中心にして対応する。そうすると、高濃度においても場合によっては今の5,000ppmとか10%とかよりも高い濃度に変えて、それで無害化認定の実証実験を行って、それで高濃度もきちんとできるということを認定した上で、今の無害化処理施設を使うというのが現実的かと思います。
 危惧するのは、廃棄物分野では人材が非常に必要とされていて、人手不足が叫ばれるようになってきました。したがってそういう問題も抱えている今の施設あるいはノウハウ、人材を生かすという方法がいいのではないかと思います。
 それで資料3-2の1ページの下のほうの図を見ますと、ここにありますように、高濃度とそれから低濃度の説明をしています。10万ppmから5,000ppm、それともう一つは、ここにないですけれども、50ppmというのが常に頭にあるわけです。国際的な規制は、50ppmを超えるものは廃止をして、処理・処分をすることが求められる。50をここに書いて、50以下をどうするかということがあります。その資料3-1のほうに、低濃度PCBで今のところ50ppmを超えるものは国際的な約束を守る、これを超えるところはきちんと実行しようと。50ppm以下はリスク管理から見れば桁違いにリスクが小さくなっているだろう。それについては行政が届出をして管理するということは、数の多さからして非常に大変なことになるのではないかと危惧するので、基本的には産業廃棄物は排出事業者の責任で管理し、処理処分をする。処理業者に適切な指導をして、適正処理をきちんとできるような仕組みをして、ちょっと負担を減らした対応ができないかと考えています。以上が私の言いたいポイントです。
(永田座長) ありがとうございます。いかがでしょうか。川本委員、どうぞ。
(川本委員) 3つほどコメント的に申したいと思います。資料3-1のほうで、2枚目のスライドの論点の2番目のところの関係ですが、使用中の機器等の管理体制ということで、この文面としては自治体の廃棄物部局による定期的な点検を受けることなどという想定も書いてありますけれども、特に使用中ということであれば、そういった設備機器などを管理している管理者というのでしょうか、管理的な技術者という関わりがあると思われますので、そういった存在の活用というのも一つあるかとは思います。
 それから3枚目のスライドの関係で、論点の1つ目ですけれども、大量に持つ者の定義というところですけれども、大量とはどのぐらい、具体的な数字はまだこれからかもしれませんが、ここに一つ、量の観点だけではなく、濃度ですね。掛け算すれば絶対量になって、そこが一つリスクの観点が入ることになると思います。加えて、保管などの形態のありようです。環境影響に至る距離感というのでしょうか、そういった観点も必要かと感じました。
 それから3番目ですけれども、資料3-2で、少量ずつ、かつ散発的高濃度と想定されるところですけれども、PCBそのもの、液状のものあるいは固体にしみ込んだものも含めて、そういったもの自体は技術的にはこれまでに培ったもので対応できると思うのですが、やはり前処理のところが、特に高濃度の場合には注意が必要だと思われますので、無害化認定施設を活用していく上でも、これまで前処理の辺りは常に技術的な要素として考慮の対象になっておりますけれども、今回、こういうことをもし行っていくとすると、前処理に関連する多少の後処理的なものも含めて、その辺りの充実が必要になるのかと感じます。
(永田座長) 前処理の中身というのはどういうものをお考えになっておられますか。
(川本委員) 例えば高濃度のものがある容器の中に入っているとその容器から出す必要があると思います。あるいは出さないで行えるかもしれませんが、出さなければそれは有利な点になると思うのですが、もし出すとすればそこでいわゆるJESCOで行っているような切断という工程が一つ入ると思いますし、そうすると作業環境それから周辺環境への影響ということも、今の無害化認定等々以上に考慮する必要が出てくると思います。ちょっとしたイメージで言っているだけですが、そういったことが想定できるかと思います。
(永田座長) 分かりました。あとはほかにいかがでしょうか。酒井委員、どうぞ。
(酒井委員) 田中委員が先ほどおっしゃった無害化処理認定施設制度は社会的に議論してよかったというコメントは、私も全く同感でして、JESCOと無害化処理認定施設の二頭立てでこれまでうまく回してしてきていただいたと思っています。
 それで最後の処理技術の考え方で提示いただいているところというのは、今後の処理対象物の背景を丁寧に説明いただいたものということでいくと、やはりこれまでの液状物中心、また高濃度物が多かったというところから考えて、ここにも書いていただいている新たに発見された安定器あるいは溶接機やレントゲン機器に搭載されている小さなコンデンサー、これはまさに先ほど言われたような制御盤といったような、こういうところの対象物を考えると、これはより少量のPCBとメタル無機物性状が中心の混合物というようなところが中心の処理対象と考えていかねばならないということになろうと思います。
 これはもちろんこれまでJESCOではプラズマ処理ということで非常に丁寧な処理で対応してきたわけですが、そこを今後は活用できないということになりますと、やはりPCB分解という機能と、金属資源を中心とした資源回収に資するプロセスあるいはシステムということを意識して展開していくことが重要なのではないかと思っています。それが恐らくは今後の廃棄物処理からより中間資源を大切にしていく方向の、時代にかなった方法として一般化されていくということを考えても、少しこれまでの適正処理中心の考え方から一歩、もちろん適正処理は大事にするのですが、その上でのもう一つの機能を求めてもいいのではないかと思っているというところでコメントいたします。
(永田座長) ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
 私のほうからも一点コメントします。先ほど、資料3-1の3ページ目のところで、川本委員が、PCB量として多い少ないというのも大量に持つ者の定義の中に入れるべきだといいますか、それを中心に考えていったほうがいいのではないでしょうかという御意見かと思います。私もそう思っているのです。今のところで出てきている台数とかそういう話はしてもあまり意味はないのかと。先ほどの話では濃度範囲もある程度分かってきているところがあるわけですから、そういう意味では大きなトランスをお持ちのところはやはりそれなりの対応をしていただかないと困るということになると思いますので、ここはPCB量を一つの基準に置いていただいてどれぐらいなのかということを。
 それから今になってみればかなり処理が進んで、量的には少ないという事業所も結構多いのではないかと思うのですが、ところがさかのぼって、これが始まったときの低濃度の状態を見ていくと、そこの段階からかなり持っていて処理が進んできたのですが、その経緯も我々としては国民に知らせていくべきではないかという気がするし、これからそれがどう処理されていくかということも知りたい情報としてあるわけですから、さかのぼって、現状だけではなく、その初期にどのぐらい持っていたかということも判断基準の中に入ってくるべきかと思います。毎年そのように見ていくと、処理が済んだらもういいのではないかという話も出てくる事業所もあるかもしれませんが、それは少し話が違うのかと思っています。
 それからもう一点は、先ほどの説明にもありましたように、この管理の話の中でたしか使用の中でも電気工作物は意識が少し違いますという言い方がされていました。この電気工作物については、経産省のほうの担当になってくるわけで、それの処理期限後の対応としてどのようにしてそれを管理していくかという中で、それも併せて行政のほうに報告してもらうという話もあると思いますが、一方で、それはそれで届出情報として行ってきたわけですから、今度は保安監督部とかそういうところで保管状況などは把握していただくのが筋なのかという気がしております。ここでは特措法の対応状況の論点整理をしていただいたのですが、これに絡んできっと経産省のほうの電事法関係の論点整理というのも必要だろうと思っております。経産省からコメントはありますか。
(弥益課長補佐) まず電気事業法では、届出されているものは電路につながっている段階でPCB含有が認められれば要は設置として届けられます。電路から外れた途端、廃止届出として電気事業法の適用から外れ、その後PCB特措法のほうに移るということになっているのが現状です。
 その上で、今後の方針ということですが、実は今回まさにこの場で環境省側の対応をお聞きしたということもありまして、なおかつ現在それを踏まえて、経産省側でも検討中でありまして、産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会電力安全小委員会といった場などを使って審議した上で、本検討会の場で御報告する予定としております。いずれにしましても、環境省といろいろと検討していきながら、経済産業省としても方針が決まった段階でこの場で報告したいと思っております。
(永田座長) ありがとうございます。小委員会が聞いた話では秋に開催され、それが終われば今のような話ができると解釈していいですか。
(弥益課長補佐) はい。今、その方向で検討しております。
(永田座長) はい。いかがでございましょうか。鬼沢委員、どうぞ。
(鬼沢委員) JESCOの処理が終わった後にもし高濃度のものが出てきたときには、低濃度の認定施設で処理をすることになるとしても、これまでのいろいろな経過は一般の国民はあまりよく知らないので、単に燃やすことへの不安がぬぐえないと思います。そうなったときに、今までJESCOがある5つの地域では監視委員会があり、住民の方の代表が出ていろいろ検討して、状況をきちんとウォッチしてきたと思います。無害化処理認定施設ではそういう委員会もなければ、情報共有の場も当然なかったわけですから、そういう意味では地域の方には燃やすことへの不安というものはすごくあると思います。後で焼却処理をしていたという情報が出たときに特定な想像になってしまったり、認定施設がターゲットになるようなことがないように、これまでのPCBの処理の経緯や、どのように対応してきて安全であるということの情報提供は大変重要だと思いますので、前段階からしっかりと周知していくということがすごく重要なのではないかと思います。
(永田座長) 分かりました。これまでの情報提供と同時に、今、鬼沢委員のお話を聞いていると、例えば、既存の認証された低濃度PCBの処理施設は濃度の高いところも処理できますというところを、先ほど田中委員からそれを実証で確かめながら実現していくようにという話がありましたが、実証ができたとして、それを受けられるいろいろな施設があったとして、そういうところで処理するときに監視委員会的なものをつくってきちんと見ていきなさいという話も入っていると理解したほうがいいでしょうか。事業者にお任せして、定期的に報告を求めるだけではなく、それをきちんと実行されているということを監視するような専門家の委員会をつくっていくとか、あるいは消費者代表の委員会をつくっていくというような話と解釈しました。
(鬼沢委員) はい、そうです。昔、清掃工場からダイオキシンが発生するという問題が出たときに、いろいろな対応が行われて現在はそういうことは全く安心であっても、清掃工場から有害物質がたくさん出ているのではと思っている市民は実はまだあって、最新の情報がうまく更新されていないということは実際感じます。きちんと情報が伝わっていないということもあるので、特にPCBの処理に関しては、日本はきちんと行っているということすら伝わっていないと思いますので、情報の周知は非常に重要だと思います。
(永田座長) 分かりました。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。高岡委員、どうぞ。
(高岡委員) 基本的に、環境省から御提案いただいた今まで届出で把握しなかったところを対象の範囲とするということは私も賛成です。あとは、先ほど少しありましたが、管理主体は必ずしも廃棄物部局ではなく、ほかのところも併せてうまく行政の中でも管理できるようにしないといけないとは思いました。したがって、管理体制のところもかなり自治体と調整をしてつくっていかなければいけないと思っています。以上になります。
(永田座長) ありがとうございました。ここには載っていないのですが、いつまで面倒を見なければいけないのか。これも考えていただかなければいけないと思っています。実は先ほどの資料の中で寿命の話を整理したものがありました。例えば変圧器だと、98%だと55年と区切りが出てくるので、それぐらいが限度ではないのでしょうかという話を入れることになるか。寿命で入れるか、ほかに何かアイデアがあればぜひお聞かせ願いたいと思っています。
 それから一番下の課電洗浄の話も、産業界のほうからはまだまだやり残した課電洗浄の対象機器があるという話を聞かされております。では、それは令和9年の3月以降も使いたいという意思表示なのか。ただ、それを使いますという話がそのまま行ってしまうのは、これまで一生懸命努力して期限内に課電洗浄を行ったところもあるわけですから、公平性の観点からそのまま許すわけにはいかないのではないでしょうか。そういう意味で一定の条件下というのはどういう条件を入れるのかという話がございます。
 それから酒井委員からは、植物油の使用の話も提案いただいておりまして、資源の有効利用といいますか、あるいは環境配慮ということになってくるのか、そういう点も含め、それから高効率が進んでいるのですから高効率したほうを使ったほうがいいという機関も当然あるわけで、そのコストバランスを考えてどちらを選ぶのかという話も出てくると思います。そういう点も含めて、この辺のところを考えればと思っています。
 何か御意見がありましたら、会議終了後でも結構でございますので、まだまだその議論を続けていかなければいけないと思いますので、ぜひお考えお聞かせ願いたいと思います。ということで資料3のほうはよろしいでしょうか。
 では次に資料4「PCB処理基本計画の改訂について」に入ります。どうぞ。
(前田主査) PCB廃棄物処理基本計画の改訂について御説明いたします。まず資料4-1を御覧ください。
 PCB処理基本計画と申しますのは、PCB特措法第6条に基づき、政府が定めるPCB廃棄物の確実かつ適正な処理を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画となってございまして、こちらは閣議決定がされる計画となっております。このたび改訂いたしますのは、本年7月9日に室蘭市から受け入れ条件付で承諾いただきました高濃度PCB廃棄物に関する体制の変更に基づく変更となってございます。その改訂方針についてこの4-1では説明しております。
 まず1ポツ目になりますが、PCB廃棄物につきましては、令和9年3月末まで処理をすることと定められておりまして、この廃棄物の処理は終盤にさしかかっていること、また廃棄物の処理については順調に進んでおりまして、高濃度PCB廃棄物に関しましては、令和7年度末までにJESCOによる高濃度PCB廃棄物処理事業を実施することで、おおむね処理が完了できる見込みであることが記載してございます。
 また2ポツ目につきましては、令和5年12月21日に環境省から北海道及び室蘭市に要請しました要請に対して、令和6年7月9日に承諾されたことについて記載されてございます。こちらは室蘭に入れるための計画改訂をしようという内容になってございます。
 また3ポツ目については、PCBの全廃に向けて、現行制度に基づき、政府・自治体・民間事業者の各関係者があらゆる努力を払い、一丸となってこの問題を解決するという確固たる意思を持って、それぞれの責務を果たしてもなお様々な課題が残るということにつきまして、本検討会を含め様々な方法を検討してまいるということが記載してございます。
 また、今回の改訂につきましては、高濃度PCBに関する改訂でございまして、平成28年改訂以降、低濃度PCB処理については改訂がございませんが、今後、段階的に検討を進めていくこととしております。
 またこちらのPCB処理基本計画につきましては、任意のパブリックコメントとして、7月17日0時より8月23日までパブリックコメントを実施しております。こちら5日間通常より長くなっておりますが、システムの休止期間がございますので長くなっているところでございます。
 続きまして資料4-2について御説明いたします。こちらはこのたび改正いたしますPCB処理基本計画についての具体的な内容となってございます。
 5ページを御覧ください。こちらの黄色のハイライト部分を注目ください。こちらにつきましては、「これまで令和5年度末で処理事業を終了した北九州・大阪・豊田事業対象地域で処理事業終了後に発見された高濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物は北海道事業において処理を行う。」と改訂しております。
 続いて6ページを御覧ください。こちらで、A、B、C地域の大型変圧器・コンデンサー等の一部、また安定器・汚染物等の一部につきまして、豊田・大阪地域等にございましたPCB廃棄物につき、北海道事業所のほうで処理するという改訂になってございます。説明は以上になります。
(永田座長) ありがとうございました。資料4に関していかがでございましょうか。基本的には2段階といいますか、今回は令和9年3月までの処理期限に向けての対応が書かれているのですが、低濃度の話も先ほど出てきましたが、高濃度についても、先ほど議論をいただきましたが、その後出てきたものはどうするのかということをこの基本計画の中にうまく反映させていくことになるかと思いますので、それは2段階で対応します。いかがでしょうか。
 よろしければ当面の基本計画の改訂のほうはこれで対応することといたします。
 これに伴って、その3事業所のほうでは地方自治体のほうでもこの部分を変えていかなければいけないということになるわけですね。
(切川課長補佐) まずはJESCOのPCB処理事業基本計画を改訂いただくことになります。政令で定めている立地自治体の処理基本計画に関しては、それぞれの事業所ごとの計画になりますので、北九州市、大阪市、豊田市の計画変更は必要なく、北海道の計画に北九州・大阪・豊田事業エリアも対象に加えていただくことになります。
(永田座長) 分かりました。よろしいでしょうか。それでは御了承いただいたということでこれは終わりといたします。
 全体にわたって何か御意見等がございましたらお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。
 私のほうからお願いですが、高岡委員に行っていただいている低濃度PCB廃棄物の適正処理推進に関する検討会でございますが、これは非公開ということで、そこで出された資料なども含めて本委員会のほうに提示できないような状況になっているのかと思っております。ということで、これの非公開を外していただいて、これからは低濃度の話を中心に対応していくことになりますし、大筋の議論はこの場で行いますが、個別の問題点などはその低濃度に振って、低濃度のほうで検討して、その成果をこちらの委員会に報告していただくとともに、行政のほうに反映させていただくことになってくるかと思っています。できれば高岡委員の委員会のほうは公開ということにしていただけるとありがたいと私個人として思っています。効率的な方法論として、それが必要だろうと思っています。高岡委員、いかがでしょうか。
(高岡委員) はい。その件は私だけでは判断しにくいところがありますので、少し環境省、経産省とも相談をしながら、ただ高濃度がもう本当に最終盤になってきて、その次は低濃度が問題であるということは重々承知しておりますので、より透明性を、それから効率的な議論をというのは座長のおっしゃるとおりだと思いますので、少し検討したいと思います。
(永田座長) ぜひよろしくお願いしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。浅岡先生、どうぞ。
(北九州市PCB処理監視会議浅岡座長) 資料1-3(参考2)のスライド5で最後の文章です。「解体撤去マニュアルに、プラズマ溶融分解設備の解体時のダイオキシン類対策について追加する。」という項目があるのですが、これに関して質問と意見を述べたいと思います。
 プラズマ溶融分解設備の解体時に関してだけダイオキシン類の対策についてマニュアルに追加するということでしょうか。そうすると、プラズマ溶融分解設備はダイオキシン類の発生が極めて少なく、その処理法に関して対策を特に追加する必要がなかったと理解しているのですが、むしろそれ以外のところで実際の北九州の解体の予備作業、予備解体というか事前解体というところで、いろいろなところにダイオキシン類の濃縮された部分が生じているのですが、それに対してはマニュアルに記載しないということでしょうかという質問です。
(永田座長) JESCO相澤部長から回答をお願いします。
(JESCO相澤部長) 今回、午前中JESCOのほうの検討委員会を開いて御議論いただいたのですが、今回御議論いただいたのは、前にマニュアルをつくったときに、プラズマ溶融設備についての検討は今後という形で、まだ書き切れていなかったところがございました。そのため、今回、ダイオキシンの付着状況なども調査をしまして、プラズマ処理設備本体は、先生がおっしゃるとおり、もう分解しているのでダイオキシンはなかったのですが、減温直後に一部ついているところがありまして、そこについては、厚労省が出版しているダイオキシンの焼却炉の解体の要項がございますので、それに基づいて解体を行うというところを書いたものでございます。ほかのところがどうかというよりもむしろ今回プラズマのところについてまだマニュアルに書き切れていなかったので、調査結果を基に有識者の方々に御議論いただいて、追加したというところでございます。
(永田座長) 浅岡先生、よろしいでしょうか。
(北九州市PCB処理監視会議浅岡座長) プラズマ溶融炉の分解施設の排出部分でダイオキシンの発生が見られたということは、実際にはダイオキシンがある程度この技術で発生したということで、その発生量は従来の技術評価に影響を与えるような発生量ではなかったということは確認されているのでしょうか。
(JESCO相澤部長) 濃度的には実はそんなに高い値ではないです。6.2ナノとかそういう値でございました。ただ、廃棄物焼却炉の厚労省がつくっている焼却炉の解体のときの要項についても、特に濃度規制があるようなものではなく、焼却炉であれば適用してくださいという内容になっていますので、JESCOのほうでも濃度いかんに関わらず出ていたというところで適用して、ダイオキシン類にも配慮した解体を行うという内容としたところでございます。
(北九州市PCB処理監視会議浅岡座長) 技術資料、マニュアルなどは科学的根拠、データに基づいてまとめ上げなければいけないものであって、それが問題になるような量であったかどうかをきちんと判断した上で、問題があるからマニュアルにつけ加えるという話でないと、納得がいかないです。
(永田座長) まず、廃棄物焼却炉に関して、先ほどお話のあった解体撤去といったときには、ダイオキシンが配慮されなければいけないという話があって、ただ、結構濃度が低くて厳しいのです。ほとんどの焼却炉がそれに引っかかっているという状況だと思っています。それで、今のプラズマ溶融のほうの廃ガス処理のところでそれに該当するような濃度の付着状況が見られたと解釈してよろしいですか。
(JESCO相澤部長) 廃棄物焼却炉の解体の要綱のほうには濃度的なところはないです。
(永田座長) 書いていなかったですか。ただ相当厳しいという印象はありました。安全衛生のほうでたしか雰囲気の濃度がどうこうということがあったのではなかったですか。違っていましたか。たしか相当厳しい値が入っていたかと。
(JESCO相澤部長) 確認をして御報告をいたします。
(永田座長) はい。それで今の話は、廃ガスとして出てきたときにはきちんと濃度計測はされていますね。それは十分に低い値になっていることですね。
(JESCO相澤部長) はい。
(永田座長) よろしいですか。細かい話は別途浅岡先生に説明していただきますか。
(北九州市PCB処理監視会議浅岡座長) 分かりました。もう一つ、別の件で意見を述べていいですか。
(永田座長) どうぞ。
(北九州市PCB処理監視会議浅岡座長) 低濃度の処理施設に対して、いつも私はダイオキシンの濃度に関してきちんと管理されて処理されているかということを確認しています。それに関して、今日もある委員から、低濃度の燃焼施設に関する管理状況に関して住民に一部不安があるのではないかという話が出ていたのですが、そういう低濃度の設備に関しても適宜監視委員会等の高濃度に準ずるような監視システムを設けたらいいのではないかという意見、それは一理ありますけれども、ただ、私は低濃度はそのような監視体制を強めるような状況ではなく、適正に処理されていると理解していたのですが、その状況は違うのでしょうか。住民にある程度不安を残していますか。
(切川課長補佐) 低濃度PCBの処理施設に関しても、処理量や廃ガスなどのモニタリング結果を環境省のほうに報告をいただくようにしてございまして、トラブル等が起きれば立入検査をして改善いただくということで対応してございます。令和元年に改正しました5,000~10万までの可燃物を処理している施設に関しては、定期的に処理状況を報告いただいています。先ほど鬼沢委員からありましたのは、今後の対応としてどうかという御意見だと認識しております。
(永田座長) 今後の対応の中でも単発的に出てくる高濃度処理をする施設についてはという話です。したがって条件が今までの低濃度の話とは違う中で、田中委員が言われたような方向で安全が確保されたような処理だということが実証されても、その上でもそういうことを行っておいたほうがいいのではないという話で、低濃度で処理するところ……。
(北九州市PCB処理監視会議浅岡座長) そうなのですか。すみません。現在の低濃度の処理施設に対して住民から不安があったり問題視されるようなコメントを自治体や環境省が聞いたことはないですか。
(切川課長補佐) 通常の産業廃棄物処理施設も周辺住民の方々とは協定を結んだり、コミュニケーションを取られておりますので、現在、低濃度PCB処理施設に関して不安だというお声は環境省のほうには届いておりません。
(北九州市PCB処理監視会議浅岡座長) ありがとうございます。
(永田座長) それでは全体をまとめた話で、ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。今後の会議の予定といいますか、概略の話でも結構ですので、環境省のほうからお話し願いますか。
(切川課長補佐) 資料3-1の最後のページに、今年度は4回検討会を行うということが書いておりますが、今回が今年度1回目になります。今後は、今年度中にあと3回検討会を開催して、恐らく3月になると思いますが、そのときには、ここにありますように、低濃度PCBの対応方針の方向性を整理していきたいと考えてございます。次回は、本日いただきました資料3-1と3-2に関しては、いただいた意見をまとめまして、それに対する対応を示したいと考えております。また議題2のところで、幾つも御質問をいただきまして、これについても次回回答しようと考えております。
(永田座長) 分かりました。それで次回までの間にはきっと経産省のほうの小委員会が開催されて、その結果も御報告いただけると私は理解しています。どうぞ。
(JESCO相澤部長) 先ほどの浅岡先生からの御質問の件に関してですが、今、確認したところ、厚労省のダイオキシン濃度の要綱のところですけれども、3,000ピコですので3ナノで、全体的にかかるのですが、特に3ナノを超えているところが厳しくなります。今回の濃度については3ナノを超えていたというところでございます。
(永田座長) だからそれで引っかかっている。廃棄物焼却炉ではないけれどもということですが、準用して考えていきますという話ですね。安全対策を十分に行って対応しなさいという話になっているわけですね。
(JESCO相澤部長) そういうことです。その点についてデータも含めて浅岡先生のほうには別途御説明したいと思いますのでよろしくお願いいたします。
(永田座長) ほかにはよろしいでしょうか。それでは事務局のほうにお返ししますのでどうぞ。

閉会

(前田主査) 本日は貴重な御意見をいただきありがとうございました。本日の議論を受けて、関係者で連携して対応してまいります。
 本日の議事録は原案を作成しまして、委員の皆様に御確認いただいた後、環境省のホームページに掲載する予定ですのでよろしくお願いします。
 これにて本委員会を閉会します。ありがとうございました。
(永田座長) 長時間にわたり貴重な御意見をありがとうございました。
(了)