環境再生・資源循環

第32回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事録

日時

令和5年10月16日(月) 1300~1600

場所

産業廃棄物処理事業振興財団 会議室+WEB方式(YouTube配信)

開会

(谷口係長) それでは定刻となりましたので、ただいまから「第32回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」を開会いたします。
 初めに、環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課長の松田から御挨拶いたします。
(松田課長) 皆様、本日はこの検討委員会にお忙しいところお運びいただきまして、誠にありがとうございます。皆様には日頃からPCB廃棄物の処理の推進に御理解、御協力を賜り、とりわけJESCO各事業所の立地自治体の関係者の皆様には、格別の御高配を賜りまして厚く御礼を申し上げます。
 初めに、本検討委員会はPCB廃棄物の適正処理の推進策を検討するという目的で設置しております。これまでも技術と制度の両面から御助言をいただいてきているところです。PCB廃棄物の処理期限まで残された時間が少なくなってきている中、前回の第31回検討会の開催から第32回の検討会の開催の間が、1年半ほど空いてしまったことについては、お詫び申し上げます。
 本日の委員会では、議題1で前回の検討会以降の動きについて御説明をし、議題2で高濃度PCB廃棄物の処理の進捗状況や期限内処理に向けた取組、議題3で低濃度PCB廃棄物の処理促進に向けた取組、議題4で低濃度PCB廃棄物の早期処理に向けた方針案、議題5でJESCOのPCB処理施設の解体撤去方針について説明いたします。
 環境省としては、引き続き経済産業省をはじめとする関係省庁とも連携しつつ、立地自治体の御理解、御協力をいただきながら、JESCO、自治体、産業界の皆様と一丸となって、PCB廃棄物の適正処理が1日でも早く進むようにより全力を尽くしていきたいと思います。
 本日は皆様の活発な御議論をどうぞよろしくお願いいたします。
(谷口係長) ありがとうございました。冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。
 本日の委員の出席状況を報告いたします。14名の委員中12名が出席いただいております。浅野委員、伊規須委員が御欠席です。JESCO PCB処理事業所立地自治体及びPCB処理監視委員会委員長等にも御参加いただいております。よろしくお願いいたします。
 委員の皆様には会議場に資料配付、またはあらかじめ資料をメールにて送付させていただいております。不備等がございましたら、事務局にお知らせください。
 また、Web参加いただいている委員におかれましては、発言される際にWebシステム上の挙手ボタンを選択してお知らせください。
 それではこれ以降の進行は、座長の永田先生に進行をお願いいたします。
 

議事

(永田座長) どうも皆さん、お忙しい中、御参加いただきましてありがとうございます。議事を始める前に、先ほど松田課長から、1年半の間隔が空いてしまったことに対するお詫びがございました。これにつきましては私も責任があると考えております。
 PCB処理基本計画の中には、1年に1回、最新の情報を提供しなければならないという規定がございます。これは環境省がみずから決めた規定であり、それを今回破っているわけです。こうした情報は今後、的確、円滑な推進ができる、そういうための資料でもあると思っています。そういう意味ではそれに対しても阻害しているということになるわけで、重大なことを今回の1年半の中では問題になることをしてしまったというふうに、私は解釈をしております。
 それと同時に先ほども話がありましたが、もう3年半しかPCBの処理期限として環境省が定めたところに対して余裕がございません。そういう意味で非常に切迫した状態になっていると考えております。またその前にPOPs条約では、平成7年にPCBの使用の全廃、廃絶がうたわれておりますから、もっとその期間は短くなるということになるわけです。
 これから先残された時間を考えた際、1年半という期間が空白とはいわせません。そこの中できっと環境省もいろいろなことをやっておられたと思いますので、それを無為に過ごしていたのではないということを証明していただいて、今後の進展をできるだけスムーズに進めるように努力していただきたいと思っています。環境省にはよろしくお願いいたします。
 それでは議事に入らせていただきます。議題の1番目、前回1年半前の検討会以降の動きについて、環境省から説明をしてもらいます。
(切川課長補佐) 廃棄物規制課の切川から資料1-1、1-2について御説明させていただきます。資料1-1を画面上でも表示しておりますけれども、お手元の資料を御覧いただければと思います。
 まず「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」を令和4年5月31日に変更することを閣議決定していただいております。この内容ですけれども、令和3年9月に環境省から北九州市、大阪市、豊田市ほかに対して、処理の継続の要請をさせていただきまして、それを受け入れていただきました。ありがとうございます。それを受けまして、その内容を基本計画に反映させたという計画の変更をしています。
 ポイントとしまして下に入れています事業終了準備期間、この資料の3枚目に参考で入れていますが、事業終了準備期間を活用して処理を行うということを基本計画に明記したこと、また北九州事業エリアは平成31年3月で事業終了していますが、その後に見つかった変圧器・コンデンサーに関して大阪と豊田事業所で御協力をいただきまして、広域処理を実施するということを追記しています。
 具体的に広域処理に関しては、このページ右側の欄、事業対象地域以外に保管されている処理対象物というところで、大阪と豊田の事業エリアを黄色く塗っていますが、A地域、北九州事業エリアの変圧器・コンデンサーの一部を追記したという変更をしています。
 こちらが処理スケジュールになっていまして、現在青い線がありますが、豊田、東京、北海道が令和4年度末で計画処理完了期限を迎え、その後、緑の事業終了準備期間が始まるという状況です。北海道の一番下の安定器・汚染物等に関しては、今年度末が計画的処理完了期限になっていまして、その後、事業終了準備期間が始まるという状況になっています。
 続きまして資料1-2を御説明させていただきます。冒頭座長から御指摘がございました、年に1回のPCB特措法に基づく保管等の届出の全国集計結果となっています。こちらを4月24日に公表させていただき、その概要を御説明させていただきます。
 令和4年3月31日時点でのPCBの所有状況、保管状況のとりまとめとなっています。集計の範囲としては表にあります①~⑬のものを高濃度、低濃度、濃度不明の3種類で分類して、集計しています。
 令和3年3月末時点から1年間の変化量を2ページ目に入れていますけれども、高濃度PCBを含有する機器のうち、変圧器約480台、3kg以上のコンデンサー約1万1千台、安定器約68万個、こちらを処理できていることが確認できます。
 引き続き、これらのPCB廃棄物が適正に保管され、不適処理が生じないようにするということと、期限内に確実に処理を実施することに向けて周知・啓発等を行っていきたいと考えています。
 具体的な現在の保管状況を表1に示しています。上の保管状況が廃棄物の状況ということで、2の所有状況は使用段階ということになっています。真ん中が高濃度、次が低濃度で一番右が濃度不明ということで整理しています。こちらが保管の台数になります。
 次のページに行きまして、上のほうが前回令和3年3月末時点のもので、下の表が変化量ということで、数が減ったものについてはマイナスで表記しています。説明は以上になります。
(永田座長) ありがとうございました。それでは御質問、御意見等のある方、Webで参加の方は挙手マークを押していただければと思います。こちらで参加いただいている方は名札を立ててください。田中先生、どうぞ。
(田中委員) 今の資料1-2のPCB廃棄物の高濃度と低濃度に分けて書かれています。簡単な質問ですけれども、低濃度PCB廃棄物の定義を改めて説明いただきたいと思います。低濃度PCB廃棄物の処理を進めるためには、もともとJESCOの施設でもやっていたのではないかと思って聞くのですけれども、2010年から大臣認定の無害化認定処理施設があります。それが合理的な処理だと思っていますので、そちらのほうに誘導されているのかどうか、その辺を聞きたいです。以上です。
(切川課長補佐) まず低濃度PCBの定義ですけれども、PCB濃度が0.5mg/kgを超えるものがPCB廃棄物に該当します。その上で濃度が不燃物は5千mg/kg、可燃性のもの、この表にあります汚泥や塗膜は濃度が10万mg/kgまでが低濃度PCBに該当するという定義になっています。それぞれ不燃系の5千を超えるもの、可燃系の10万を超えるものが高濃度という定義になります。高濃度が10万までになったのは令和元年の制度改正でなっています。議題3で御説明しますが、低濃度PCB廃棄物は無害化認定施設で処理を行っており、現在、事業所今31か所ありまして、そちらでしっかり処理ができるように推進をしている状況になっています。
(永田座長) よろしいでしょうか。
(田中委員) 2番目の質問の無害化施設に誘導しているのかどうか、JESCOでも低濃度の処理ができるわけですね。その辺はいかがでしょうか。
(切川課長補佐) JESCOの施設の設置許可としては、低濃度、高濃度を含めてPCB廃棄物の処理ができる施設になりますが、受入れ条件として高濃度に限定していまして、低濃度に関しては無害化のほうで処理を進めるということで進めています。
(永田座長) よろしいですか。表2の所有状況というのには、経産省の電事法の届出のものとの整合性とかそういうものは入っているのですか。
(切川課長補佐) 電気事業法に基づき自家用電気工作物の届出がされたものに関しても、経済産業省から自治体に情報提供をいただきまして、自治体でまとめて集計をしてこの表に入っているという整理になります。
(永田座長) ありがとうございます。
(鬼沢委員) 濃度不明というのがあるのですが、使用中のものの濃度不明というのはまだ分かるのですが、廃棄物として保管されているものの濃度不明というのは、今後これが低濃度か高濃度か分かるということでしょうか。それとも今調査中だと濃度不明ということでしょうか。
(切川課長補佐) 大きく2つに分かれます。まず、変圧器やコンデンサーで抜油をして濃度が測れるものに関しては、分析費用が発生しますので、保管事業者でまだ分析されていないものとなります。機器情報や銘板情報からでは判断できないものが濃度不明となっています。安定器に関しては、分解できないと通知を出していますので、ここは銘板情報とかで判定できないものは濃度不明と整理されています。
(永田座長) よろしいですか。
(鬼沢委員) そうしたらいずれ処理をしないといけないときに、どちらか決めないといけない。それはどういうふうに判断をされるのですか。
(切川課長補佐) 現時点では濃度不明なものに関しては、濃度を測ってPCBが入っていないのか、低濃度なのか高濃度なのかということを確認いただいて処理をしていただくことになります。特に高濃度の疑いが高いものに関しては、処分期限もすぐ来ますので、急ぎ取り組んでいただきたいというお願いをしてもらっている状況です。
(永田座長) よろしいでしょうか。そういう意味で事業者数もさることながら、保管量としての台数が、かなりの数あります。これが例えば今年度中に調査できるのかどうか、なかなか難しい数字かなという気もしています。どういう対応を各事業者でされているのか、様子を聞いていただくことも必要かなという気がします。あまり大量のものが残ってくるものはおかしいし、これは昨年度と今年度と比較できるわけですから、減っているのか、増えているのか、この辺のところは分かるはずですね。その点も含めて保管量、あるいは事業者数をチェックしていただくのと、事業者数の中でも数だけではなく、地方自治体の方は分かっていらっしゃると思います。それとの関係を見極めて、どういう指導をしていったらいいのか考えていただきたいと思います。
 使用のほうもかなりの台数が存在しているわけで、これを使用禁止という状況でPOPs条約の期限までには廃止しなくてはいけないということになると思います。その状況はどうなっているのか、調べていただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは2つ目の議題に入らせていただきます。高濃度PCB廃棄物処理の進捗状況ということで、環境省、経産省、JESCOに説明していただきます。どうぞ。
(切川課長補佐) まず環境省から御説明させていただきます。資料2-1を御覧ください。これは自治体の皆様方の多大なる御協力をいただいて進めてきました、変圧器・コンデンサー、安定器の掘り起こしの状況です。令和5年3月末時点で掘り起こしは全て完了しているという状況になっています。
 まず1ページ目は、変圧器、コンデンサー等です。下の表の緑のところを見ていただきますと、豊田、東京、北海道のエリアで約52万5千事業者、北九州、大阪で約33万9千事業者に対して調査を実施してございまして、その結果、青く濃くしている掘り起こし台数は、豊田、東京、北海道では合計しまして約1万台、北九州、大阪事業エリアを合わせて約9千台ということで、合計約1万9千台の変圧器・コンデンサーを掘り起こすことができたという状況です。ただ、掘り起こし調査を実施したときに、建物はあるけれども事業者と連絡がつかないというものも数万件あるという状況になっています。発見率としては約1.7%、見つかった場合の発見台数は、1事業者当たり約1.3台という結果となっています。
 続きまして安定器も同じように、緑のところが調査対象事業者数で約190万事業者に対して調査を行っています。その結果、5事業エリアを合わせ、約19万台の安定器の掘り起こしをいただいています。発見率は約0.7%で、1事業者当たりの発見台数は約34台となっています。
 低濃度PCBにも関連することですが、誰が持っているかなかなか分かりにくいところもございまして、約190万事業者に対して調査を行ってここまでの成果を上げたという状況です。
 続きまして、資料2-2の御説明させていただきます。高濃度PCB廃棄物の処理の進捗状況です。令和5年8月末時点の速報値です。まず変圧器・コンデンサーですが、JESCOに約39万5千台登録されています。このうち約39万4千台まで処理が終わっています。ただ、もともと事業を始める段階で40万台ほど処理対象物があるのではないかと推定されており、残り数千台まだ掘り起こしの可能性があるという状況です。処理の進捗状況としては変圧器が約99%、コンデンサーも99%という状況です。
 安定器・汚染物に関しては2.2万tが登録されており、そのうち2万tの処理が終わっている状況で進捗率は90%となっています。
 各事業エリアの右側に赤で、計画的処理完了期限と事業終了準備期間を参考で示しています。
 続きまして資料2-3を御覧いただければと思います。冒頭の資料1-1で東京、北海道事業エリアのJESCO北海道PCB処理事業所で処理をいただいております安定器・汚染物等に関して、令和6年3月で計画的処理完了期限を迎えるということで、そちらに対して処分期間の終了を受けた対応に係る基本的な考え方に関する通知を出しています。高濃度PCBの発見事例集を更新しまして、見つかりにくい場所に保管されている事例を整理するとともに、そういった情報を早期処理連絡会や環境省ホームページを通じて周知を行うとともに、後ほど資料2-5-3で御説明をいただきますが、JESCOとも連携して総ざらいを実施しています。
 また、下に概要を示していますが、行政指導や行政処分を必要に応じて実施していただきたいということです。産廃振興財団の支援を受けまして、技術的な支援も行っている状況になってございます。
 次のページが行政処分の実施状況ということで、実数で書いてあるのが実施した件数です。地方環境事務所エリアごとに分けていますが、関東が1件、東北が18件、北海道6件ということで、残り関東で3件、今後行政代執行の実施を予定している状況です。
 続きまして資料2-4になります。北九州、大阪、豊田事業エリアの高濃度PCB廃棄物の処理スケジュールになります。この3つのエリアに関しては、PCB特措法に基づき届け出られております、高濃度PCB廃棄物の処理を完了できる見込みが立っているため、令和5年度末で処理を終了する予定です。それまでに確実に処理ができるようにスケジュールをお示しするとともに、必要な行政指導等を着実に実施するということで対応を進めています。
 続きまして、資料2-5-1を御説明させていただきます。高濃度PCB廃棄物の処理完了に向けた環境省の取組状況です。まずはPCB特措法の届出情報やJESCOへの新規登録情報等を参考に、JESCO事業において高濃度PCBを着実に処理できるように、今後の処理見込み量を精査して、西日本の北九州、大阪、豊田事業エリアに関しては、令和5年度で処理事業を終了していきますので、契約スケジュール等を周知しています。また、先ほど発見されにくい事例として、ポンプ場や廃墟、無人の共同基地局などがありまして、そういった情報を整理し、関係省庁と連携しながら周知を徹底しています。地方環境事務所も自治体向けの説明会を実施するなど、連携して進めています。
 具体的に見つけにくい場所に設置された高濃度PCB使用機器の例を示しています。1つ目がこうした小屋の中のポンプの電源受電設備のコンデンサーの中に高濃度PCBが使用された低圧進相コンデンサーがありました。こういったところは掘り起こしをするのが困難な例ということで示しています。2つ目が廃墟です。廃墟はこれまでの検討会の中でもこういった事例があると御説明しましたが、立入りができないような危険性があるものもございまして、廃業したホテルでもまだ安定器が見つかっている状況です。3つ目が山頂の無人共同中継所ということで、無人で共同だということでなかなか調査がされておらず、そこで蛍光灯安定器が見つかったという事例です。
 地方環境事務所の取組です。まずはPCB全般に関する説明会の開催ということで、特に自治体の皆様も人事異動がありますので、新任の担当者に対する初任研修も実施しています。産業保安監督部様とも連携して、電気保安協会等での講演会を実施しています。また、技術的助言として、産廃振興財団さんと連携しながら、自治体からのいろいろな照会に対応している状況となっています。行政処分等でも支援を行っています。
(電力安全課) 資料2-5-2に基づきまして、経済産業省電力安全課から御説明をさせていただきます。
 今御覧になっている資料は、電気工作物に接続されている高濃度PCB含有電気工作物の台数になっています。表の真ん中に令和4年3月17日とございますが、こちらが前回の本検討会で御報告した件数となってございます。そのときは全国で92台となっておりました。今回はそれ以降の日付として、処分期限の令和5年3月末及び直近の時点として令和5年9月末時点の台数をお示ししております。
 経産省産業保安監督部から電気工作物設置者に対して、高濃度PCB含有電気工作物の取り外しの指導などを行い、令和4年3月で92台の高濃度PCB含有電気工作物となっております。令和5年3月末で12台、直近の令和5年9月末では、残念ながら9台残っているという状況です。92台残っていたところから、このような形で台数を減らしているところです。
 残りの台数については、早期に0を目指すべく、産業保安監督部から設置者に対して電路から取り外しの指導を引き続き継続するとともに、関係自治体さん、環境省地方事務所と情報共有などを図りながら、対応をしてまいりたいと考えているところです。以上です。
(JESCO) JESCO PCB処理営業部長の石垣でございます。資料2-5-3について御説明させていただきます。先ほど環境省から御報告がありましたとおり、令和4年5月に処理基本計画が変更になり、一旦北九州での処理を終了しました北九州エリア内の変圧器・コンデンサーについて、大阪事業所及び豊田事業所で処理をするという情勢の変化を踏まえた上で、各事業エリアの状況をまとめています。
 まず大きく1番です。変圧器・コンデンサー等に関する処理に関しまして、1)北九州事業エリアの状況です。2つ目のマルのところに書いています、環境省から先ほど申し上げましたとおり、北九州で平成30年度末以降に新たに見つかった変圧器・コンデンサーの処理については、大阪並びに豊田で処理をする。一方、豊田、大阪に持っていくと運搬距離が長距離になるということから、合積みにより収集運搬料金の低減を図るべく、集中搬入期間を設ける形で実施しております。時期は括弧内に記載しております。
 これを受けまして、JESCOでは令和5年3月までの間に、北九州エリアの大阪並びに豊田での処理についての実績を3つ目のマルに記載しています。令和4年度の集中搬入期間が終了した時点、令和5年3月末時点に、実際には搬入する予定で未搬入となったものが5件ございました。現時点で1件の搬入が済んでおりまして、残り4件がまだ搬入されていないという状況ですが、主にこれは代執行案件になっています。今のところ、12月までには搬入される予定で進めているところです。令和5年度についても、環境省から、集中搬入期間を令和5年11~12月の間に大阪事業所で処理をするべく、期間の設置が示されております。この集中搬入期間に処理をするための手続きを令和5年8月から再開しております。再開された8月の新規登録件数ですけれども、北九州エリア内で25件の新規登録がございました。これにつきましては、9月の段階で既に登録を締め切っております。資料には記載しておりませんけれども、合計で42件、コンデンサーでは107台の登録がされています。この11月から12月にかけて大阪で処理をする予定としています。
 2)大阪事業エリアの状況です。大阪事業エリアでの変圧器・コンデンサーについては、令和3年度末に計画的処理完了期限を迎え、現在事業終了準備期間を利用した処理を進めているところです。大阪事業所では処理に手間のかかる廃PCB油を今、計画的に処理していますけれども、令和4年4月以降はおおむね毎月15保管事業者程度の新規発見が続いているという状況で、速やかに処理できるように取組を実施している状況です。
 令和4年4月以降に新規登録された保管事業者については、事業終了準備期間での保管登録者です。そこに記載のとおりの保管事業者数並びに対象物の台数です。事業終了準備期間における代執行が1件発生しておりますが、それ以外の処理手続難航者は発生していないという状況です。
 大阪事業エリアにおきましては、新規発見の低減に向け、各自治体において広報誌への掲載やホームページによる発信等、広報活動をしっかりやって、令和5年度末での処理完了に向けて、環境省から示された期限を守って実施していく予定としています。
 続きまして、3)豊田、東京及び北海道の事業エリアでの状況です。この3エリアとも令和4年度末に計画的処理完了期限を迎え、現在は事業終了準備期間を活用した処理を進めているところです。令和5年4月以降、事業終了準備期間に新規登録された保管事業者は、9月20日時点で記載のとおりの事業者数並びに対象物が登録されている状況です。
 3つ目のマルです。令和5年9月20日時点で各事業所へ未搬入の保管事業者数は、その次に記載しております豊田エリア、東京エリア並びに北海道エリアで、それぞれそこに記載のものがまだ未搬入となっている状況です。北海道事業所では処理対象事業地域が広範囲にわたることから、保管事業者が減ってきていること、保管場所が点在化しているということで、収集運搬事業者の集荷の調整に時間を要していることから、他の事業所に比べて若干多い状況とはなっていますけれども、総量は少なく、年内には全て搬入できる見込みとなっています。
 2.安定器・汚染物等に関する処理です。まず、1)北九州・大阪・豊田エリアの状況です。このエリアでは令和3年度末に計画的処理完了期限を迎えて、令和4年6月から事業終了準備期間を活用した処理を進めている状況です。本年4月に開催された監視会議において、令和4年並びに令和5年の2年間で対象処理、全体で1,196tの処理計画に対して、令和4年度末までに既に783tの処理が完了しておりまして、今年度で処理を終えるべく処理が順調に進んでいる状況です。
 3つ目につきましては、先ほど環境省から御説明がありましたとおり、今年度で処理を終えるための契約期限、完了期限等について改めてここに記載しています。
 2)北海道・東京事業エリアの状況です。このエリアでは、4年度末に処分期間を迎え、今年度末で計画的処理完了期限を迎えることになります。6年度以降は、事業終了準備期間を活用した処理を現在予定しておりまして、このような状況を踏まえつつ、掘り起こし、総ざらいを強化している状況です。昨年度には各自治体の担当職員向けに、安定器に対する最終版での掘り起こし調査の一助となるよう、PCB使用安定器の判別に関する研修会等を地方環境事務所や自治体と連携して開催しております。こういった対応を今年度も実施しているところです。また、併せて現地調査につきましても、要請に基づいてJESCOでも協力させていただいている状況です。
 北海道事業エリア、東京事業エリアが北海道事業所での安定器・汚染物の処理エリアになっていますけれども、従来はそれぞれの事業所ごとに営業活動を行っておりましたが、処理終盤になるということから、変圧器・コンデンサーと合わせて一体的な営業活動に取り組んでいます。
 3.今後の対応です。各事業エリアでの変圧器・コンデンサーに関する処理手続難航者の状況は、豊田事業で現在1件、その他のエリアではありません。北九州、大阪、豊田エリアの安定器・汚染物等の処理手続きについても1件、処理難航者がおりますけれども、北海道、東京事業エリアでは発生していないという状況です。
 環境省からの処理継続要請の結果、北九州、大阪、豊田での処理は令和5年度末には終了するということも踏まえて、終了に向けて関係者と連携してしっかりと対応をしていくということで進めていく予定としております。
 最後、参考ということで、新規登録事業場件数の推移ということで記載しております。グラフを御覧いただければと思います。まず図1が北九州事業エリアでの変圧器・コンデンサーの登録状況です。一旦平成30年度で処理を終えた以降、処理継続要請に基づいて、改めて令和4年8月から登録を再開しています。令和4年度で一旦これも集中搬入期間が終わった以降、しばらく登録を停止しておりましたけれども、令和5年8~9月に登録を再開しているということでこのような登録の推移がございます。
 続いて図2です。こちらにつきましては、大阪・豊田・東京・北海道での新規登録事業場件数の推移です。令和3年度末に豊田・東京・北海道の処分期間が終わった。それから大阪の処理完了期限が終わった以降、令和4年度は新規の登録件数は随分少なくなってきたという状況ではございますけれども、令和4年度末に豊田・東京・北海道の計画的処理完了期限を迎えた以降、まだ新規発生が出ておりますけれども、また一段と低くなった登録件数となっています。
 図3は北九州・北海道両施設での安定器等の新規登録事業場件数のグラフです。まずは青いラインが北九州です。令和3年度末から令和4年4月まで、新規登録は、一旦処理が終わったということで停止しておりましたけれども、その後、だいたい月に100件程度の新規登録が出ているという状況です。
 令和5年7月に一旦登録件数の数字が増えているという状況がございますけれども、グラフに書いてありますとおり北九州は第1段落の登録の期限ということでアナウンスしておりまして、駆け込みの登録があったという状況です。
 オレンジの線が北海道の状況です。北海道の処分期間末に駆け込み登録で登録件数が上昇した以降、令和5年4月からは登録件数が低くなっている状況です。この状況は、青い線の北九州が令和2年度末の処分期間末を迎えたときのグラフの状況と傾向はおおむね似ているということが伺えると思います。御説明は以上です。
(永田座長) どうもありがとうございました。それでは3者からの報告に関しまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。
 JESCOの件で大阪事業所でまだ新規発見物が継続的に続いている。これは最後の図を見ますと、大阪が計画的処理完了期限を迎えた後、確かに多い、少ない傾向の変化はあるのですけれども、安定して10台ぐらいがずっと出続けている印象です。今後、広報活動とかいろいろな形でそれを低減させていくという話ですが、もう一段強い方法を取らないと、これがなかなか減っていかないのかなという印象があるのですが、この辺はどうでしょうか。今日は大阪の関係者の方も参加されていますが、どうでしょうか。
(JESCO) どうもありがとうございます。おっしゃるとおり今継続的に月10件程度の新規登録が出ているという状況の中で、我々としても大阪市さまはじめ関係の自治体の皆さんと協力しながら、しっかり最後まで対応していくべく取組を行っています。この資料にも書いておりますけれども、各自治体さまにおかれましても、広報活動等をやっていただいている状況です。そういった取組をしっかり進めていきたいと思っています。
(永田座長) ありがとうございました。要望としてこれを減らすべく様々な努力をしていただきたいと思います。
(酒井委員) 今の永田座長の御質問を踏まえてですが、大阪事業所の月10件という新規登録案件の件数は、北九州の同時期と比べて数字的にはどのようなものなのかというところを教えていただきたいと思います。それが1点です。
 それから北九州の依然残っている残存物を、本年度11~12月に集中搬入期間を設けて大阪で処理をすることは結構ですけれども、この時点で42件、百何台という御紹介が口頭であったと思います。この時期に至ってまだ新規登録される、その理由、台数とか件数の御紹介は分かっているのですけれども、その理由の主たるものはどういう理由で、この時期まで遅れているのか、この2点を御紹介ください。
(JESCO) ありがとうございます。1つ目の質問で説明をしっかりできなくて申し訳なかったのですが、4ページの一番下のところに変圧器・コンデンサーの一番下のポツですけれども、北九州事業エリアの処理期限が終わったそれ以降出てきたものに関しては、令和5年3月までの期間で平均を取ると毎月8件程度ということで、数字が出ております。他のエリアでの事業終了準備期間での新規登録件数と、ほぼ同等の水準であるという状況を確認しています。
 新たに出てくる理由につきましては、再調査を我々営業部隊から各企業、特に大企業さんに再調査をお願いできないかということで、新たな調査での対象物が見つかったり、あるいは施設の解体時に新たに発見されるというような状況が一番多くなっています。
(酒井委員) 記録しておいていただくのがいいと思います。
(永田座長) 北九州の状況の話は、図の中に、色が違うのかもしれませんけれども入れて、もう1回追加して全事業所がどうなっているのか常に見られるようにしておいてもらったらいいのかなと思います。表現の方法を考えてみてくれませんか。
 ほかにいかがでしょうか。
 私のほうから、経産省の資料で令和5年3月末、東京はその後0になっていますが、北九州、北海道事業者の1も残っている。豊田事業所の8も9月末まで残っているという状況です。これは令和5年3月末で基本的にはここから先は、使用しているとすると、違反状態に入っているわけですね。それは命令とかいろいろなことをかけられることになると思うのですけれども、どういう対応をしているのか、そして見込みとして8件なり1件なりがいつ頃なくなっていくのか、その辺を話していただけますか。
(電力安全課) 直近で全国で9台残っている状況です。これにつきまして早急に取り外しを行わせるべく、産業保安監督部から引き続き事業者の状況等も十分に勘案しながら指導を継続している状況です。今9台残っていますけれども、一部については、近日中に事業者が取り外しを行う計画となっています。きちんと取り外して廃止届が出てくる状況を産業保安監督部も進捗を確認して、早急に残り台数0を目指していきたいと考えています。
(永田座長) いろいろそういうものに対する対応の手続きが存在するわけで、加速していっていただかないと、真面目に対応した人にとっても不公平だという感覚を持つと思います。直接の規定というのは、たしか廃止させ、みなしで廃棄物になっているはずです。そういう状況も存在しているわけですから、そういう意味での対応も考えていただかなければいけない。今年度末には解消されているだろうとは思いますけれども、できるだけ早く対応していただきたい。その状況を我々にも会議のときに説明していただけるような状況にしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 いかがでしょうか。最後にまとめてまた御意見を頂戴しますので、議題の2番はこれで終わりにさせていただきます。
 次に議題3番目、低濃度PCB廃棄物の処理促進に向けた取組について、これも環境省、経産省から説明をお願いします。
(谷口係長) 資料3-1、3-2について、環境省廃棄物規制課の谷口から御説明させていただきます。資料3-1では、低濃度PCB廃棄物の処理体制の整備状況について御説明します。まず1ページ目に記載されておりますのが、低濃度PCB廃棄物を処理することができる無害化処理事業者の認定許可の状況について示しています。令和5年8月1日現在の状況として、大臣認定を持っている無害化処理認定の事業者数は31事業者となっております。このうち焼却方式で処理ができる事業者が23事業者、洗浄方式で処理ができる事業者が8事業者となっております。また都道府県市の長の許可で処理できる施設が事業者数として2業者ございます。焼却処理の能力としては右のグラフにありますとおり、令和5年8月1日時点で1日当たり約500t弱の処理ができることとなっています。
 次のスライドをお願いします。続きまして、低濃度PCB廃棄物の無害化処理施設のうち、焼却処理方式で処理をする施設について御紹介します。焼却処理の認定については、全国で23施設ございます。このうち筐体を処理可能な施設については、緑色で塗られています15施設となっています。最近の無害化認定の更新としては、左下にありますオオノ開発さんのほうで5千mg/kg超の低濃度PCB汚染物を焼却可能な施設として認定を新たに取得しています。
 次のページをお願いします。低濃度PCB廃棄物の無害化処理施設のうち、洗浄方式で処理を行っている施設になります。令和5年8月1日現在で8施設、処理を行うことが可能となっています。
 次のページをお願いします。続きまして、低濃度PCB廃棄物等の処理の進捗状況について御説明させていただきます。低濃度PCB廃棄物については、処理期限である令和9年3月末に向けて処理を実施しているところです。その処理の実施状況としては左下の表で示してあるとおりです。まずPCB絶縁油については13,785t、廃電気機器類についてはトランス・コンデンサー等が118,669台、その他汚染物については19,918tに加え、ドラム缶で21,000本ほど処理を行っております。令和4年度末の処理実績としては約119,000台、累積の処理実績としては約706,000台の処理を行っております。
 次のページをお願いします。PCBを含有する汚染物のうち、PCB濃度が5千ppmを超えるものの処理実績となっています。こちらについては令和元年12月にPCBを含有する汚染物のうち、5千~10万ppmの廃棄物の処理体制構築を目的としまして、無害化認定施設で処理できる対象を拡大するために、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画を変更するとともに、関係法令を改正し、可燃性の汚染物について10万ppmまで焼却範囲を拡大しました。各事業所における処理状況として下の表にお示ししています。2020年度から処理を行っておりまして、毎年数十万kgのPCB汚染物の処理を行っております。こちらを見ていただきますと、2020年から2022年度までで累計で100万kgの処理を行っているところです。
 次のページをお願いします。また、PCBを含有する汚染物の処理を実施した際の処理施設における排ガス等のモニタリング結果について、御説明させていただきます。処理を行いました6社に対して排ガス、排水、燃え殻、ばいじんのそれぞれについてPCBとダイオキシンの濃度超過がないかどうかについて確認しました。こちらについてはいずれも設定している値よりも低い値となっておりまして、安全に処理を行うことを確認しています。
 次のページをお願いします。続きまして、課電自然循環洗浄法の実施状況について御説明します。課電自然循環法により、平成27年度以降、これまで1,897件のPCB含有電気工作物の洗浄または一部洗浄を実施しました。このうち令和4年度については508件、515台の洗浄処理を実施しました。資料3-1については以上になります。
 続きまして、資料3-2では令和3年度のPCB含有塗膜の保管及び処理状況の調査結果について、御説明します。まずPCBについては一部塗料に添加されていることが知られておりまして、特に一部の塩化ゴム系塗料に使用されており、当時塗料が塗装されていた道路橋等の鋼構造物の塗膜からPCBが検出されております。これらにつきましては、PCB廃棄物になるものにつきましては処分期間内の処理を義務づけられていることから、PCBを含有する塗膜について環境省が作成した調査実施要領を参照の下、各省庁、自治体、民間事業者におきまして保管や処理状況等の調査を行っております。
 次のページお願いします。調査対象施設につきましては、こちら(1)~(5)にあるとおりで、主に橋梁を中心に調査を行っております。これらについては赤字で書いてありますとおり、昭和41年~昭和49年までに建設又は塗装の塗替えが行われ、屋外に設置されているものが調査対象となっております。
 次のページをお願いします。調査方法につきましては、まず調査対象施設等の抽出を行いまして、1966年から74年の期間に建設、塗装の塗替えが行われたものがあるか調べていきます。その後、塗替えの有無の確認であったり、仕様書等の残存の有無を確認しまして、条件に合致するものにつきましては、塗装サンプルの採取、含有量試験を行いまして、濃度が0.5mg/kgを超えるものについては、低濃度PCB廃棄物として適正に処理される必要がございます。
 次のページをお願いします。調査の進捗状況の把握について御説明します。調査結果の更新については、毎年3月末時点に行っております。今回については各省庁、地方自治体、民間事業者における令和4年3月末時点の調査の状況について、環境省において情報を整理しております。具体的な調査内容としては、①~④のとおりです。調査対象施設等の数、サンプル採取及び含有量試験を行うべき調査対象施設等、保管しているPCB含有塗膜の処理状況の予定となっております。
 まず調査対象施設等について御説明します。200の機関、事業者において35,309の調査対象施設が存在し、このうち地方自治体で占める割合が73%、約25,000施設を占めております。こちらを見ていだだくと分かるとおり、全体の86%、約3万施設が橋梁であり、続いて排水機場・ダム・水門が10%となっております。
 次のページをお願いします。また、分析等を行うべき調査対象施設につきまして、これらは全体で26,157となっておりまして、調査対象施設全体に占める割合として74%になっています。PCB濃度把握済みのものにつきましては、分析等を行うべき調査対象施設全体の75%となっております。実際に把握している量としては下の赤い四角の一番左側を見ていただくと分かるとおり、約19,500についてPCB濃度の把握が行われております。
 次のページをお願いします。調査対象施設の内訳について御説明します。各省庁、地方自治体、民間事業者に対してそれぞれ調査を行っております。PCB濃度がまだ把握できていないものであったり不明なものについて、各省庁においては1,000件超、地方自治体においては橋梁で4,500を超えておりまして、全体としても5,000を超える対象施設で未把握・不明となっております。
 次のページをお願いします。続きまして、塗膜くずを保管する施設数・保管塗膜量について御説明いたします。現在929の施設で2,224tのPCB塗膜くずを保管しています。このうち、5千mg/kgを超えるものが435t、5千mg/kg以下は合計1,100tとなっております。また、不検出/非PCBは498tとなっております。下の四角のほうに記載がございます。
 次のページをお願いします。内訳についてはこちらで示しているとおりです。
 続きまして、PCB塗膜くずの処理状況について御説明します。PCB含有塗膜くずの処理が可能である無害化処理認定施設において、右の図を見ていただくと分かるとおり、平成28年頃から処理量が少しずつ増加しております。毎年約1000t塗膜くずの処理を行っております。令和4年度については、1,364tの処理を行っておりまして、令和4年度までの累計で7,114tの塗膜くずを無害化処理いたしました。
 最後に今後の予定について御説明いたします。今年度につきましては令和5年7月に国の機関、自治体、民間事業者に対して保管及び処理の状況に関する令和4年度末の調査を依頼しております。こちらにつきましては回答が出そろい次第、令和4年度末の状況の整理を予定しております。資料3-2については以上です。
(切川課長補佐) 続きまして、資料3-3-1の御説明をさし上げます。低濃度PCB廃棄物の早期処理に向けた環境省の取組状況ということで、大きく4つ実施しています。
 1つ目が有識者会議における議論ということで、非公開で実施していますが、低濃度PCB適正処理推進検討会において、次のページに入れていますけれども、低濃度PCB廃棄物の早期処理の課題等について検討を進めています。無害化認定会議においては、先ほど田中委員からもございましたが、低濃度PCB廃棄物の無害化処理体制、こういった手段を確保をしていくということで、認定当局での審査を行っています。課電洗浄WGは先ほど資料3-1でもありました、課電洗浄に関して処理技術に関する検討を行っています。こういった様々な議論を行いつつ、2つ目ですが、低濃度PCB汚染疑い機器の所有者・保管者への啓発・周知ということで、高濃度のときに効果がありました発見事例集をしっかり拡充していくということで、低濃度PCB廃棄物の早期発見、早期処理を推進しています。また、高濃度のときにはテレビCM等も実施してきましたけれども、低濃度PCB廃棄物の処理促進のためにパンフレットとか動画という形での広報活動を行うとともに、環境省ホームページや説明会等を通じ早期処理、低濃度の期限についての周知啓発を行っている状況です。先ほど鬼沢委員から濃度不明という御指摘がございましたが、早期に確認していくことが大事になってきますので、その調査方法とか見つかった後の適正処理に関する手続きを御説明する手引を活用して、発見を支援するということも実施しています。3つ目が実態調査ということで、どのくらい低濃度PCBのものがありそうかということを確認していこうということで、製造業者を中心に経済センサスに登録されている事業者の調査を行っていく準備をしている状況です。その調査結果を用いて、良い取組事例や課題を整理していきたいと考えています。最後が補助事業に関してです。
 具体的な中身を御説明します。まず低濃度PCB適正処理推進検討会ですが、前回令和5年3月に開催していまして、真ん中に絵がございますが、PCB処理基本計画の中に示されております低濃度PCBの早期処理に向けての取組ということで、1、2,3とありまして最終的に4ということで低濃度PCB廃棄物の全てについて、特措法に基づく届出をしていこう。さらに届出がなされた全ての低濃度PCB廃棄物について、自ら処理または処分委託を行うように取り組んでいくと書かれてございます。これを踏まえて検討を行っていくということで、低濃度PCB廃棄物の届出情報の分析、ヒアリング調査、自治体アンケート等を実施し、これらを参考に検討を進めていただくとともに、低濃度PCB含有機器の量の推計や所有・保管の可能性が高い業種等の分析を行ったほか、手引、チラシをこの場でいろいろな技術的なアドバイスをいただいて作成している状況です。
 次に、前回の検討会でもお示しした資料になりますけれども、令和2年3月末時点での汚染廃電気機器の届出状況の分析結果です。こちらはPCB特措法の届出情報を用いまして、次のページにありますが43業種に分類し、そちらで低濃度として届出がされた変圧器とコンデンサー、柱上変圧器・その他機器に関して、どの程度の量が届け出られて処理がされたのかを整理したものになっています。下の表で全機種が合計で67,586が事業所数で、届出されたのが約700万台ということで95%処理がされている状況です。特に数の多い柱上変圧器と小型コンデンサーを除きますと下のような数字になります。
 届出が多い業種を整理したのがこちらになっています。届出が多いのは公立施設や学校等の公共施設、金属類製造業、機械・器具製造業、ビル、農協等の団体などの業種になっています。届出台数が多い業種は、電力業、公共施設、交通機関、金属類製造業、機械・器具製造業、処理比率が高い業種は電力業、造船業、電気部品等の製造業、石油・ガス製造業、化学品製造業となっています。
 先ほど申し上げました柱上変圧器、3kg未満コンデンサーを除いた集計結果になっています。同じように、業種別の1事業者当たりの平均届出台数を整理したものがこちらになっています。左上のほうが届出の事業所も多くて台数も多くて処理が進んでいるものです。右下に行くほど1事業者当たりの台数が少ないものになっています。電力業が一番多くて、1事業者当たり約126台となっています。一番右下ですと福祉施設が1事業者当たり約1.7台という状況になっています。色分けで上位から黄色、オレンジ色をつけてございます。電力、交通機関、製造業、鉄鋼、造船、自動車が1事業者当たりの届出台数が多いとなっています。続いて製造業で、機械器具、製紙、化学肥料、石油・ガス、部品・半導体となっています。こちらの業界団体におかれましては、積極的に確認を行って、取り組まれている事業所になるかなと考えてございます。それ以外のところは、真ん中のほうを白くしており、台数が少ないところを青としています。
 続いて課電洗浄ワーキングにおける検討状況を御説明させていただきます。先月開催していまして、図が見にくくて申し訳ないのですけれども、課電自然循環洗浄法の中のCDP洗浄法という方法を用いまして、課電をしながら絶縁油中に含まれているPCBを脱塩素化分解・洗浄法という技術の審議を行っていただきました。その結果、ワーキングの中で技術的な部分に関して確認いただけましたので、今後パブリックコメントを行った上で、手順書の内容を踏まえ、関連法令や告示の改正を行っていきます。これを行いますと、これまで課電洗浄に加え、CDPでPCBを分解できることになり、さらに使用中のものの処理無害化が進んでいくと考えています。
 次が掘り起こしの発見事例集になります。こちらは高濃度と同じように、自治体様に御協力をいただきまして、こういった事例を提供いただいて整理しているものです。1つ目が自作のオーディオ用のアンプということで、その中に小型コンデンサーを組み込んでいたら、その銘板情報を見ると低濃度PCB含有機器があるということで発見された事例です。もう1つが製造業で使われるグラインダー(研磨機)になります。こちらもモーターに内蔵されているコンデンサーについて銘板情報を確認し、メーカーに問い合わせたら、単相モーターのコンデンサー、起動用コンデンサーでPCB混入の可能性があると回答がありました。こういった事例を適宜回収していくとともに、今年度も実態調査とフィジビリティ調査を実施していきますので、その中で事例の拡充を進めていきたいと考えています。
 次が業界団体へのヒアリングです。各業界の皆様に御協力をいただきまして、取組状況を確認させていただいています。環境省から業界団体に協力依頼をしまして、自治体の皆様にもできるだけ御参加いただいて、業界団体の皆様に会員企業の構成とか規模、PCBに対する認知度とか活動実績を確認するのに、特に取り組まれているような個社を紹介いただきまして、ヒアリングさせていただくということで、いろいろな良い事例をしっかりと把握していくとともに、現状の課題に関しても聞き取りを行っている状況です。
 次が、先ほど申し上げました電気機器等の早期確認のための調査方法の推進ということで、手引きを用いましてそちらの確認を推進しています。こちらは十数ページの冊子で、PCBが入ってる可能性がある機器やその確認方法を分かりやすく図を入れながら説明した本編と、技術者向けの詳細版があります。詳細版はメーカーに問合わせをしまして型番とかの情報もできる限り入れ、こういった機器に関しては低濃度PCBの疑いがあるということの確認の仕方とか、見つかった後の手続き方法に関して詳細に示しています。さらに、従前から課題となっています封じ切り機器とか絶縁油の封入量が少量である小型の変圧器等では、確実にPCBが使用された絶縁油に由来するものでないことが銘板情報等から明らかであれば、分析しなくても低濃度PCBみなしで、無害化処理施設で処理ができることなども、この中で御案内させていただいている状況です。
 次は実態調査です。こちらは今年度実施するものになりますが、平成6年以前に事業所を開業した事業者に対して、経済センサスを用いてその事業所がどこにあるのか特定し、業種別のリストを作って業界団体等の方々に御協力をいただき、所有の有無の調査をメールベースで調査を行って実施状況を確認するということで考えて準備を進めている状況になっています。
 次が説明会です。後ほど次の資料のほうで経済産業省様から御説明していただきますが、昨年度、業界団体向けの低濃度PCBの説明会を実施したということで、経済産業省、国土交通省、農林水産省、文部科学省所管の関連団体の方々に積極的に参加をいただきまして、先ほど御説明しました調査のための調査方法の手引、こちらの内容に関して丁寧に説明するということで、説明会をさせていただきました。特に教育機関、公共施設、製造業、総合工事業、不動産といった方々に多く参加いただいて、一番下のところにありますが、調査から処分までの手法が分からないとか、スキルが不足しているとか、調査範囲の具体化、制度の認識不足、こういったお声としていただいていますので、ここに関して具体的な取組を進めています。
 次が周知・啓発の動画です。低濃度PCB廃棄物の処理情報サイトを開設していまして、そちらで3本の動画を公開しています。一番右側のピンクのものが調査判別方法ということで、具体的にどのような調査を進めていくのか、どういった場所を確認すればいいのかといったところの確認ポイントなどを説明しています。真ん中が処分に向けた手続き編ということで、具体的な届出の方法とか収集運搬の委託先、処分の委託先の見つけ方などを示しています。最後の緑のものが啓発の動画になっていまして、こんなところにPCBがある可能性があるということで、リスクがあることを分かりやすく説明する動画になっています。
 次が補助事業になっています。エネルギー特別会計の予算を使いまして、低濃度PCBに汚染された疑いがある変圧器を対象にして、分析調査費の10分の1、低濃度PCBに汚染された変圧器を高効率のものに変換・交換する事業費の3分の1を補助する事業を今年度開始しています。10月2日時点になりますが、事業者から452件、自治体から46件の相談を受けている状況です。
 次が地方環境事務所の取組です。高濃度と同じように低濃度に関してもしっかりと自治体の方々とタッグを組んでできるように説明会を実施するとともに、技術的な助言等も実施している状況です。
 最後に参考情報として、自治体においてもかなり積極的に取り組まれているところもありますので、そちらを整理させていただきました。説明は以上になります。
(永田座長) どうもありがとうございます。では経産省から。
(環境管理室) 低濃度PCB廃棄物等の適正な処理促進に向けた経済産業省の取組として、環境管理推進室より主に事業者向けの周知啓発活動について、電力安全課より低濃度PCB含有電気工作物の把握に向けた取組について御説明します。
 次をお願いします。まずPCB廃棄物の適正な処理促進の周知活動としまして、経済産業省は環境省と連携して平成27年度から、毎年全国主要都市で本説明会を開催し、これまでに延べ7,660名の参加がありました。令和4年度は全国5都市で開催し、それぞれの会場からライブ配信を行いました。実地説明会の参加者、オンライン配信及びオンデマンド配信の視聴者は、スライド1のとおりです。
 令和4年度の講演では、低濃度PCBの調査及び適正処理について重点を置いた内容としまして、調査処理の手引きの詳しい説明や発見事例の共有を行い、参加者へ早期の調査及び計画的な処理を要請しました。
 参加者アンケートでは回答者の約3割が中小企業の方で、回答全体の7割が初参加の方でした。事業者のPCBへの関心の高まりに対応し、周知を拡大強化しております。
 次をお願いします。さらなる周知といたしまして、説明会の案内に合わせまして、廃棄物の期限内処理の周知や早期の調査・処理を促すポスターやチラシを作成し、自治体や関係団体の御協力の下、全国で掲示・配布しております。また、経済産業省所管業界団体だけでなく、関係省庁からもそれぞれの所管団体への説明会やチラシの内容について周知いただいております。そのほかに経産省のホームページ、旧TwitterのX、メルマガ、インターネット等を活用して周知を幅広く行っております。
 次をお願いします。また、一方向の情報周知だけでなく、事業者から質問をいただいた不明点が解消できるよう、説明会の特設サイトにて環境省に協力いただき作成したFAQを掲載しました。説明会で質問が多かったものを中心に作成しておりまして、低濃度PCBの調査対象や適正処理に関する質問に対して解説しております。
 そのほか特設サイトでは、資料や動画を誰でもダウンロードできるようにしています。なお、特設サイト終了後は、経済産業省ホームページで引き続き資料、動画、FAQを公開しております。
 次をお願いします。こちらは先ほど環境省から報告がございました業界団体向けの説明会と同様になりますので、説明は省略いたします。参加者のアンケートにおいて、情報提供や補助制度に関する要望など、広く御意見をいただいております。引き続き周知・情報提供を推進してまいります。
 次をお願いします。こちらは参考としまして、現在開催中の令和5年度の説明会の予定を記載してございます。令和5年度は、低濃度に焦点を当てた講演内容とし、引き続きPCB廃棄物の適正な処理促進の周知啓発に努めてまいります。
 続きまして、当省の電力安全課より、低濃度PCB含有電気工作物の把握に向けた取組について御説明します。
(電力安全課) 最後のスライドについて、電力安全課から御説明させていただきます。
 低濃度PCB含有電気工作物の把握に向けた取組で、低濃度PCB含有電気工作物については、電気事業法に基づきまして、新規に電路への施設を禁じるとともに、現に設置されているものが低濃度PCB含有電気工作物であることが分かった場合、そしてこういった電気工作物を廃止した場合には、産業保安監督部への届出を義務化しております。
 先ほど齋藤室長からも説明がありましたとおり、経産省は環境省さんと連携しまして、PCB廃棄物に関する全国説明会やパンフレットの作成、配布、ホームページでの周知、そういったものを通じまして、採油可能な機器のPCB濃度測定の実施による低濃度PCB含有電気工作物の確認を設置者の方に呼びかけをしておりました。
 これらの取組等によりまして、変圧器等の採油可能な機器のPCB濃度を測定し、その結果、低濃度PCB含有電気工作物に該当していることを確認した設置者から産業保安監督部へ届出が出されています。令和5年9月末時点の届出台数は、全国で4.6万台となっております。
 今後につきましても、産業保安監督部による電気工作物の立入検査等の機会において、設置者に対しては、PCB濃度測定、そして低濃度PCB含有電気工作物の確認をさらに促進するとともに、各種届出状況、機器の保管状況、処分状況等を監督部が確認した上で、必要な指導を行っていくことにしております。
 なお、コンデンサー等の「封じ切り機器」については、使用中のPCB濃度測定が困難でありますので、現時点においては、電気設備の更新工事に取り外して廃棄するときにPCB濃度の測定を行いまして、判明したものについては適切に廃棄物処理を行っている状況です。以上です。
(永田座長) どうもありがとうございます。
(切川課長補佐) 最後に資料3-3-3の御説明をさせていただきますこちらは、低濃度PCBの処理完了に向けた産業界の取組ということで、環境省がヒアリングさせていただいた状況をとりまとめています。
 まず上の四角のほうから説明しますが、令和9年3月末の処理期限を目指して、高濃度PCB廃棄物の掘り起こしに続きまして、低濃度PCB廃棄物の早期処理や低濃度PCBの汚染の可能性のある機器の調査を進めていただいている状況です。いくつかの業界団体におかれましては、所属する事業者の対応状況を確認するとともに、良い取組事例の共有や期限内処理に向けた課題を業界ごとに整理いただくなどの取組が実施されています。
 具体的には、低濃度PCB廃棄物と分かっているものに関しては、確実な処理期限に向けた計画策定をされるとともに、POPs条約で資料4でも御説明していただきますが、管理が義務づけられております50ppm超の低濃度PCB汚染がある使用中の機器に関しては、廃止に向けた準備に取り組んでいるところもございます。PCB汚染が濃厚な機器の特定などによりまして、使用中機器の最小化に向けて取り組まれている状況になっています。
 前回の31回検討会のときに委員から御指摘がありました、下に抜粋で記載していますけれども、今後の処理計画等に関して説明いただくという御指摘については、本日の検討委員会までに資料が整わなかったということで、報告できることはないような状況でございます。以上になります。
(永田座長) ありがとうございました。まず低濃度の検討会の座長をお願いしています高岡先生から、コメント等をいただければありがたいと思います。Webで参加いただいています。
(高岡委員) 環境省のほうから御説明されたとおりですが、今年の3月に低濃度の検討会を行いました。まずはPCBの各種廃棄物の保管状況等の整理を報告いただき、様々な主体からの議論を行いました。特に自治体、産業界からも現状を報告いただきまして、その中で様々な課題を見いだして、それについて議論を行っております。期限内かつ早期の処理を目指して、その課題をクリアにしていくべく、現在対策を環境省とともに練っているというところです。
 本日具体的な話の内容については、検討委員会ということもありなかなか申し上げることができませんけれども、各主体の話を聞きながらできるだけ最小化を目指してやっていきたいと思っております。以上になります。
(永田座長) ありがとうございました。産業界のほうからコメントございますか。
(岸川委員) 電気事業連合会の岸川です。今、御紹介をいただきましたとおり、環境省様、経産省様、関係の皆様方の御指導をいただきまして、我々は最大限の処理を進めています。今、御説明いただきました最小化というところに向けて進めているところです。具体的には分析法あるいは処理法の開発・適用というところから含め、状況については関係省庁の皆様方に適宜情報提供をしているところです。とはいうものの、書かれてありますように基本計画の課題もございまして、我々もさらなる努力をしてまいりますが、これは電力だけではなく裾野の広い業種の間の話であることも含めまして、適切な評価をしていただければと思っております。引き続き我々は全力を尽くしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
(永田座長) ありがとうございます。最後の環境省からの説明で、それぞれ1社当たり多数持っているような企業も出てきました。特に電力が多いわけです。そういうところがどうなっているのか、どういう計画で処理を進めているのか、あるいは調査をされているのか、そういう実状が見えてこないのです。それをそれぞれ企業の方にお話しいただきたい。次回にはそれをぜひやっていただきたいです。電気事業もそうだし、鉄鋼も石油関係もいらっしゃる。そこを約束してほしいのです。でないと次の展開を我々で考えることができません。そちらはいろいろ要求されて、なかなか無理ですとかいろいろなことを言われているのですけれども、実態が見えてこないです。そこをはっきり我々に知らせてください。
(岸川委員) ありがとうございます。電気事業につきましては、情報の公開、インフラに関わるものですので、情報の公開ができるものと難しいものとございます。その中でできるものの範囲でということであれば…。
(永田座長) 個別にどこという話ではないのです。できる範囲というのは大きいと思います。
(岸川委員) なかなか御説明が難しいところも多々あります。私がこの場でできますというところまでは申し上げることはできませんが。
(永田座長) できる範囲内で話はしていただくのです。それはきちんと約束してください。
(岸川委員) 承知しました。できる範囲を確認してまいります。ありがとうございます。
(永田座長) どうぞ。
(木村委員) 日本鉄鋼連盟の木村でございます。今の岸川委員からのコメントと同じですけれども、やはりいわゆる営業秘密に当たるところもありますので、我々の業界としてもできる範囲で。
(永田座長) 分かりました。企業の方はよく企業の機密とか何とか言われるけれども、我々はその細かいところを知りたいわけではないのだと。もう少し外部に出してもいいデータをきちんと判断しながら、あるいはどういう情報だったら出せるのかということを考えながら対応してください。
(木村委員) 承知しました。そこをしっかり共有させていただきながら、報告したいと思います。よろしくお願いいたします。
(永田座長) 私だけお話しして申し訳ないですけれども、経産省には事前の打合わせのときに低濃度に関わる、経産省が管轄している法制度の中でどういうふうな扱い方をしているのかということを整理して出してくれとお願いをしました。もう既定の事実ですから、それを出さないのはどういうわけかなと思っているところです。
 1つは、私自身が調べた限りで法制度上問題があると思っていますのは、基本的にPCBを電路に施設してはならない、施設というのは新しく設置してはならないという規定があります。それにはただし書きがくっついていまして、その時点までに施設したもの、あるいは着工したものについてはそのままでいいですというのが、これまでずっと続いているわけです。途中平成9年に高濃度については例外で、処理しなければいけないというのが出てくるのですが、低濃度についてはそのままずっと続いています。そうするとどういう問題が起きるかというと、結局平成9年の処理完了のところの段階では、電事法関連では、一方ではそのまま使っていい、一方ではもうそれは使ってはいけませんという法律、法律に抵触することになります。このままほうっておいていいのか、それは基本的には高濃度のときに経産省が技術基準を改定したように、今回も法制度を改定していかないといけないだろう。そういう状況が生まれているのではないかと認識しているわけです。
 もう1点はこの基準が決められたのは、昭和51年1976年です。1976年以降、低濃度のトランスとかコンデンサーが設置されたのが、分布を判断しないといけないのですけれども、30~40%あります。これは法律違反ではないですか。新たに設置していけないと言われているのに、後で分かった話になるかもしれませんけれども、PCBを含有しているものが設置されているのです。その後、平成9年とか28年にそこの部分の改定が行われているのですけれども、その時点でも同じ文書が入っているわけです。そうすると、違法だったものを追認して了解してしまっているような感じを受ける法制度の並びになっている。私は法律の専門ではないので、これにどういう対応をしていったらいいのかというのは、その方々に聞かないといけないのですけれども、何となく今になって違法状態を放置しているという状態が、電事法の関係では存在しているのかなと思っているところです。
 もう1点は環境省の話になってくると思います。環境省が安全宣言を出されました。皆様あまりそれを見ていらっしゃらないかもしれませんけれども、私もつい最近、見たというか知らされました。トランスなんかは1994年以降作られたものは安全ですと。コンデンサーは1991年以降作られた封じ切り機器は安全ですという趣旨の通知を出されました。通知でいいですか。日付とかどういう文書なのか書いていないです。原典はこの委員会が平成24年に出した報告書の中に書かれている文書とほとんど同じです。原典はそれです。ですから比較的古いといったらあれですけれども、前の時点で出されたものかなと思います。ただ、基本的には安全宣言を出した以降に、コンデンサーで低濃度が見つかりましたという会社、メーカーが2社あります。この2社に関しては、従来も1994年までは含まれていますということを言われた企業が従来2社あったんですけれども、これはもう了解済みの話として1994年が決められてきたのですが、今度は1991年からはないと言っていたコンデンサーに対して、ありますという話がごく最近出てきてしまった。
 こんなことがあってはいけないのです。だからメーカーの調査もかなりいい加減だったのかという判断ができてしまいます。もう一遍精査していただいて、メーカーの方は我々に報告してください。そうでないとこの問題は、まだ起こる可能性もあるのではないかという気もしてしまいます。そこのところは承知ください。
 もう1点はこれに対する取扱い方は、従来どおりユーザーからの報告を待って対応していく、そんなやり方でいいのかというと、もう今の段階から見つかったものは、それこそ東芝なんかは10月5日に出しています。今年です。そんな状況のことをやっておいて、もうあとはユーザーの方からの報告を待ちますなんていう態度は許されないと思います。積極的にその企業がアプローチして、そういうものを探していく努力をもっと真剣に対応していかなくてはいけないだろうと思っています。
 高岡先生、低濃度検討会のほうでこういうものに対してどう対応していくのか、現在は2事業者ですけれども、あるいはこれからも出てくるかもしれません。そういう点も含めて対応を検討していただければありがたいと思います。私の話が長くなって申し訳ないです。
(高岡委員) ありがとうございます。御意見は承って、今後の処理期限内での処理も考えないといけませんので、もう時間もあまりないと思います。3年と半年と期限も見えておりますので、できる限りのことをやってまいりたいと思います。ありがとうございます。
(永田座長) ほかにいかがでしょうか。
(田中委員) いろいろな取組がされていることが分かりました。少し気になった点は、経済産業省の取組は通知をするとか広報に力を入れているのですけれども、その中で説明会に参加した人からの声が資料3-3-2の5ページ目にあります。3つ紹介したいと思います。対象となる機器が膨大過ぎて調査が困難というのが1つ目です。それは製造業です。2つ目が全業種ですけれども、機器更新、処理に関する補助制度を設けてほしい。3つ目が今から準備するのでというので、処分期限後に低濃度PCBを発見した場合の対処方法を知りたい、とあります。期限があるのでそれまでに最大限努力して期限までに全部終わらせるためにどうするかということを議論するのに、こういう質問が出ています。前は電気絶縁物処理協会というのがあって、そこが取り組んでおられました。今はそこがないので、PCBを使った製品を製造したり販売したりする業界やそういう業界を監督指導している経済産業省も本気で問題に取り組んでほしいと思います。よろしくお願いします。
(永田座長) 経産省、コメントありますか。
(環境管理室) 我々としても今後とも周知を徹底していくとともに、課電洗浄法の適用拡大とか、引き続き業界と協力して進めてまいりたいと思います。使用中の封じ切り機器を廃止して分析しない限り汚染の有無が確認できない機器がある中で、どのように実態を把握していけばいいのかというところも、環境省と連携して検討していきたいと考えています。
(永田座長) 今ここで既にあなたたちがしゃべったような内容を繰り返しても意味がありません。今、田中先生は、もっと新しい考え方で真剣に取り組んでくださいと言っているのですから、また帰ってからいろいろ考えてみてください。
 支援措置の中で変圧器については支援措置が取られている。一方で本当はコンデンサーのほうが封じ切り機器でなかなか調査ができないから、コンデンサーに対しての支援をお願いしたいという気があるのですけれども、これはなぜできないのですか。トランスができてコンデンサーができない理由です。
(切川課長補佐) 回答致します。環境省の資料で説明させていただきました変圧器の交換事業ですけれども、これはエネルギー特会の予算を使っています。CO2の削減ができるというところが条件になりますので、変圧器だと高効率で省エネ125%以上達成する機器があるということで、こちらは事業として実施できています。ただ、コンデンサーに関してはそういう機器が存在しないと聞いています。それのため、事業としてはできていません。
(永田座長) そうですか。この制度の中での支援はできなくても、ほかに考える余地はあるのかなという気がします。コンデンサーに対して、あるいは封じ切り機器その他もあるかと思います。その辺のところを考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 前回、高岡先生が課電自然循環洗浄法の話で進捗状況を聞かれていました。ここに出てきているように、今のところ、年間500台程度ぐらいは実施できている。これのやりたいと考えている台数の母数はどれくらいですか。どなたか御存じないですか。そういうのもさっきヒアリングとか何かでお答えいただくことがあれば、チャンスとして調べてみてくれませんか。
(切川課長補佐) 環境省でも母数まで把握できておりません。座長の御指摘を踏まえまして、確認はできる範囲でやっていきたいと思います。
(永田座長) 令和7年の使用禁止までに終わるぐらいの数なのか、それともさらに必要なのかその辺のところを定めていかないといけないと思います。
 高原さん、御発言ください。
(兵庫県) 兵庫県環境整備課、高原でございます。自治体のほうから何点か、状況報告等、御要望になるかもしれませんがよろしくお願いいたします。
 自治体としても掘り起こしの必要性を理解しております。環境省のほうでも調査方法とか適正処理の手引を令和4年3月に出していただいております。やはり低濃度の対象物の種類が非常に多岐にわたっております。特に非自家用電気工作物についてどのように周知していくか、非常に難しい状況にございます。また、自治体としても調査予算の確保が難しい状況にあるというのがまず1点です。
 分析調査、処分についてですが、低濃度PCB廃棄物につきましては、土木サイドなどからも例えば下水処理場内の電気説明の安定器・コンデンサーなどに微量PCBの混入が否定できないと、メーカーから後から公表されたこともございます。分析処分を令和9年3月を目指していくのなら、自治体としても多額の費用を一度に要するという意見もあります。費用に関連しますが、特に中小企業などに支障があると考えております。低濃度機器の銘板情報がない場合などは、分析費用も推進の妨げになると考えております。あるいは筐体の処理施設の県内にないということで、運搬距離が伸びるとかで収集運搬・処分費用が高額になるという可能性もございます。高効率の変圧器の交換時だけでなく補助制度も御検討いただければと思います。
 最後ですが塗膜調査です。各省庁から自治体のほうにも協力依頼文が各部署宛てに出ているのですけれども、依頼文を見ていても各省庁で力の入れように差があると考えています。また調査結果を見ましても、各所管で十分に調査が行われているのか、危惧するような点もございますので、精度の向上と見つかった場合の処理費用の確保等に御協力いただければと思います。よろしくお願いします。
(永田座長) ありがとうございます。環境省の関係が多いので答えていただけますか。
(切川課長補佐) 回答致します。まず費用の補助に関してですが、1つ目の調査の必要性は認識していただいていますが、調査に係る費用が大きいというところです。高濃度PCBでは掘り起こし調査の費用に関して交付税措置をさせていただいておりましたが、低濃度に関しては助成制度がありません。いただいた御指摘は課題として受け止めさせていただければと考えてございます。
 2つ目が都道府県様が管理されている設備での低濃度PCBの調査に関して、期限が迫っていることで多額の費用がかかることに関して、こちらもすぐにこういうやり方がありますとはお答えできません。こちらも課題として受け止めさせていただければと思います。
 3つ目が中小企業向けの支援です。高濃度PCBでは環境省と自治体の皆様とで基金を設置しまして、中小企業、個人向けの軽減措置が、JESCOで処分する場合にはございますけれども、こちらも低濃度に関しては、民間での処理のため制度がありません。こちらも申し訳ございませんが、課題として受け止めるということで対応させていただければと思います。
 最後、塗膜調査に関してですが、各省庁で力の入れ方に差があるということですが、今度、個別に具体的にどのくらいの差があるのか教えていただいて、どのようなことができるのか、検討させていただければと考えてございます。ありがとうございます。
(永田座長) よろしいですか。
(鬼沢委員) 今話題になりました塗膜調査の件です。私も資料を見ていて資料3-2スライド7のところに、各省庁と地方自治体の未把握・不明の件数が多いなという感じがしました。これは多くないですか。非常に多いという気がしました。ここはもっと積極的に進めていくべきことではないかと思います。
(切川課長補佐) 資料3-2の7ページ目のところに、調査対象設備の中で濃度が未把握・不明というところで、赤く線をつけています。特に橋梁のところで約6千のものがあるということが御指摘の点と思います。これに関しては各自治体、行政側も期限を分かった上で計画的に進めている状況だとは聞いているのですけれども、何分数が多くて調査にもそれぞれかなり費用がかかるということで、かなり頑張ってもそのような状況と聞いています。環境省としてどのような支援策ができるのか、課題として考えていきたいと思います。ありがとうございます。
(川本委員) 私から資料3-1の6枚目のスライド、表になります。細かい点が中心ですけれども、教えていただきたいと思います。表の中で各社ばいじんという項目があるのですが、これに*がついているのは何でしょうか。また、F社のところでは燃え殻のPCB濃度0.2に*2というのが別途ついております。この意味合いを教えていただきたいと思います。またF社においてばいじんの項目に「-」が入っているのはどういう意味合いでしょうか。お尋ねします。
 F社が一番新しい2022年度からの適用ということになっているようです。排水の全体の産業廃棄物の焼却炉ですから、湿式洗浄が多く、C社を除いて全て排水という項目があるので、そういうことなのだろうと理解します。F社のダイオキシンの排水が管理濃度は超えてはいません。おおむね同じぐらいの水準であるということで、これはこれで管理以下ですから問題ないです。1つ関連して確認したいのは、特に排水のような場合、どうしてプロセス排水だけが測定の対象になっているのか。生活排水あるいはほかのプロセスが混じり込んでいたりしないかということが個別の事情であったりすると思います。細かいのでこの場でお分かりにならなければ、後で改めてでも結構です。そういった点を確認したいと思います。以上です。
(谷口係長) 御指摘ありがとうございます。まず、御指摘いただきました*につきまして注釈の漏れがありまして大変申し訳ございませんでした。その他御指摘いただきました各事項につきましては、各事業者の事情を改めてヒアリングの上、御回答させていただきます。
(永田座長) 修正をやられた資料をまたお送りさせていただく。*のところはばいじんのところが1ですか。下の漏れのあるところの0.2の*は2が入っているから、この2つは注書きが入るということでいいですか。今ここでは分からないけどということですね。
(谷口係長) 確認して修正させていただきます。
(永田座長) それから御質問のあったばいじんの計測がないF社はどうなっているのかとか、排水の話は後で分かるように、資料の中で分かるように記載させていただきます。
 あとはいかがでしょうか。
 それではこの資料についてはこれで終わりにさせていただきまして、次に議題の4番目、低濃度PCB廃棄物の早期処理に向けた方針の策定です。これは非常に重要な話になってまいりますので、時間がかかるかもしれません。よろしくお願いします。
(切川課長補佐) こちらは事務局案ということで環境省で作成させていただきました。低濃度PCB廃棄物の早期処理に向けた方針案です。まず、「1.低濃度PCB廃棄物の処理に関する考え方」を整理しています。1つ目のポツがPCB特措法の記載になっています。PCB特措法においては、低濃度PCB廃棄物を保管する事業者は令和9年3月末までに無害化認定事業者と処分委託を結ぶこと。もしくは自ら処理を行うことが義務づけられています。
 その下からPOPs条約、ストックホルム条約での記載ぶりを整理しています。こちらは平成13年5月に採択されまして、日本は平成14年8月に締結、平成16年に発効というものになっています。POPs条約の中でPCBの規制について整理をしています。(1)が附属書Aに書いている廃絶というところになります。こちらでは第2部にPCBがございまして、PCBの使用は2025年、令和7年までに廃絶するということが定められています。その中で以下にあります①②③の優先順位で取り組むこととされています。①は10%を超えるPCBでかつ容量が5Lを超えるものに関しては、流通を中止するよう確固たる努力を払う。②が500ppmを超えるPCBで、かつ容量が5Lを超えるもの。こちらに関しては機器を特定し、ラベル等により表示し及び当該機器の流通を中止するよう確固たる努力を払うこと。③が50ppmを超えるPCB、かつ容量が0.05L(50cc)を超える機器に関しても、同じように機器の流通の中止に努めることということで、①②③と整理されています。
 次が処理等になります。処理等は(2)条約の第6条の1、条約の条文の中身は最後のところに参考ということで、PCB特措法の条文と一緒に整理していますので、併せて御覧いただければと思います。廃絶の2部で以下のように、(2)50ppmを超えるPCBを含有する液体及び50ppmを超えるPCBで汚染された機器について、できる限り速やかに、締約国会議が検討することを条件として、遅くとも2028年(令和10年)までに廃棄物の環境上適正な管理を行うことを目的とした確固たる努力を払うこと。(3)さらに、50ppmを超えて含有する他の物品(ケーブルのシースとか、硬化することにより水漏れを防止するシーリング材、塗膜)を特定し及び当該物品を第6条1の規定に従って管理するよう努めること、と書かれています。
 ここで(d)廃棄物が次のように取り扱われるよう適当な措置を行うということで、(i)環境上適正な方法で取り扱われ、収集され、輸送され及び貯蔵されること。(ii)国際的な規則、基準及び指針、並びに有害廃棄物の管理について規律する関連のある世界的及び地域的な制度を考慮して、ということで最後ですが、含有量が少ない場合には、環境上適正な他の方法で処分されること、と整理されています。こちらが低濃度PCBの早期処理に向けての考え方ということになります。
 先ほど議題3でも取組状況に関して御説明をさせていただきましたけれども、まず「2.低濃度PCB廃棄物の実態把握に向けた対応」ということで、資料1-2で御説明しましたPCB特措法の届出状況の最新版(令和4年3月末時点)で1年前にはなりますが、現状が把握できています。こちらで変圧器と3kg以上のコンデンサー、約9.8万台ございます。低濃度と報告されている汚泥と塗膜が合計で約1.8万tあります。濃度不明のものが変圧器・コンデンサー約1万台という状況になっています。コンデンサーの一部が低濃度だとして、合計で11万台ほどの台数を今保管中・所有中ということで登録がされている状況になっています。ただ、これが全てではないだろうということで、令和3年度から先ほどの調査の手引を作成しまして、低濃度PCB廃棄物の早期確認を促進していこうということで取り組んでいます。令和4年度は業界団体向けの説明会も開催しています。今年度は経済センサスを用いまして実態把握をしていこうということで、先ほどの説明のときに省きましたが、約100万事業所に対して調査を実施する準備を今進めています。そこで低濃度PCBの調査がどれくらい進んでいるかというところを確認していきたいと考えてございます。
 また、資料3-3-1参考ということで自治体の取組を入れさせていただきましたが、複数の自治体において高濃度PCBの掘り起こし調査のときに一緒に低濃度かもしれない、もしくは濃度不明だけれども製造年度が古そうだから怪しいといった機器に関しても調査されています。その把握されているもののフォローアップということで、これらが低濃度PCBかどうかの確認が実施されています。環境省の実態把握と自治体における具体の調査をうまく連携していきながら、先ほど課題になっています低濃度PCBに汚染されたような機器がどのようなものかというターゲット、対象を絞るということを1つ視野に入れて、実態把握を進めていきたいと考えています。
 その中で課題となっているのが、使用中機器の実態把握です。安定器の掘り起こしのときもどういうふうに進めていくのかということでいろいろ検討をしながら進めていただいて、先ほどのように十数万台の安定器の掘り起こしができましたので、そういったノウハウを参考に、先ほどの手引を使い、民間事業者みずからも調査をしていただきたいということで、関係省庁、自治体と連携して広報とか周知を実施していく必要があると考えています。特に資料3-1でもお示ししましたが、1事業者当たりで低濃度PCBの登録を多くいただいているところに関しては、関係団体の協力を得て、実態把握をさらに進めていければと考えています。
 使用中を含めた低濃度PCB含有物の把握のために、特に封じ切り機器に関しては、廃止して破壊しないと分析ができないという課題がありますので、PCB基本計画に記載されているような課題に関してどのような対応ができるのか、引き続き検討しつつ、制度的な対応や必要性に関しても検討できればと整理しています。
 また政府の率先取組ということで、高濃度PCBに関しても取り組んできていますので、低濃度に関しても同じように計画的に取り組んでいくということをここで記載しています。
 「3.期限内かつ早期の処理に向けた対応」ということで、PCB特措法やPOPs条約の規定を達成するには低濃度PCBに関する一層の取組の必要があるということで、具体的な内容として(1)現状できることということで、特措法24条、25条の報告徴収、立入検査とございますので、PCB廃棄物を保管している事業者に対してしっかりと期限内に早期に処理いただきたいということで取り組むとしてございます。
 (2)が使用中機器の処理促進に向けた今後の対応ということで、まず努力義務になるのですけれども、PCB廃棄物について特措法3条で使用製品の廃棄に努めることというのが、所有事業者の責務とされています。高濃度PCBに関してはさらに特措法18条で使用製品を廃棄物とみなすことができると規定されていますけれども、低濃度PCBに関してはそういった規定がございません。そういった中で使用中の機器に関してどのような対応を検討していくのか、先ほどの実態把握と同じようなものになりますけれども、制度的な対応の必要性を検討していくということをここで整理しています。
 次に使用中の電気機器の最小化は、先ほど業界団体、産業界の取組ということで説明しましたけれども、使用が長期化した場合には適正に処理することが困難となるおそれがありますので、そういったこともしっかりと広報・啓発の中でお伝えしていければと考えています。
 最後は先ほど高原委員からもありましたけれども、処理促進のための新たな支援策の必要性の検討を整理しています。高濃度PCBについては、中小企業や個人等を対象に収集・運搬費用、処分費の一部をPCB廃棄物処理基金等によって補助をしています。低濃度PCBについては高濃度と異なりまして、銘板情報などで該当性の判断ができないということで、濃度測定も課題となっておりますので、変圧器に関しては、エネ特事業で令和5年から分析費と交換費の一部を補助するという事業を開始しています。補助事業の実施状況等も踏まえながら、今後の支援策を検討できればと考えています。高濃度PCBと比べると、無害化認定施設での処理のほうが費用は安価という状況ですけれども、PCB非含有の金属くずやプラスチックを処理するのに比べると高いという状況がございます。地方公共団体や自治体の皆様から、中小企業や個人等を対象に費用の一部補助の要望がありますので、そこに関してもこちらで整理しています。
 次のページ以降は参考ということで、各条文の抜粋を入れています。以上が資料4の説明になります。続きまして、本日御欠席の浅野委員から意見書をいただいていますので、御紹介させていただきます。
 「低濃度PCB廃棄物の方針に対する意見」、「低濃度PCB廃棄物の令和9年3月の期限内に確実かつ早期に処理を実施するためには封じ切り機器など、様々な課題はあるが、低濃度PCB汚染疑いのある使用中の機器についても、その所在を適切に把握することが必要である。これらについて、高濃度PCB廃棄物のように使用中機器についても、処理期限が到来したら高濃度PCB廃棄物とみなし、PCB特別措置法の対象とすることは、危険性のバランスを考えると同様に扱うことは難しいとも考えられるが、しかし使用中の製品が廃棄物になった段階で低濃度PCB廃棄物になることは間違いないことから、PCB特措法を改正して使用中の低濃度PCB廃棄物予備軍(廃止した後、PCB濃度を測定する等を行った結果、低濃度PCB廃棄物として処分が必要なもの)を届け出る義務を規定することを検討してはどうか。低濃度PCB含有の機器についてはいずれ廃棄物になることから、届出義務を課すことにより、低濃度PCB廃棄物の予備軍を保持していることを使用中の者に認識させることにもなり、廃棄時の適正処理につながることになる。POPs条約において締約国はPCB廃棄物を適正に管理する義務があり、この届出義務の追加によって、締約国として、使用中の機器を経済産業省、廃棄物を環境省が把握・管理し、関係省庁が連携して適正処理につなげていくことができることから、条約義務の履行のためにもこの改正を行うことには意味がある。低濃度であってもPCB廃棄物となることが確実な機器を保有していることを認識させることで廃棄時の不適正処理の抑止につながることから、これらを保有する者に届出を行わせる制度設計によりPCB廃棄物の適正処理につながるのではないか。」という御意見をいただいています。説明は以上になります。
(永田座長) どうもありがとうございました。ただいまの浅野先生の意見も参考にさせていただきながら、対応させていただければと思います。
 どうぞ御意見のある方、名札なり挙手機能を活用してください。いかがでしょうか。
 まず私のほうから、資料4のPOPs条約の記載ですけれども、「流通」という言葉が出てきます。「流通」は日本語だと意味が違ってきていて、もともと原文を読むとこれは「use」です。何を間違えたか、外務省が訳すときに「流通」と、故意に間違えたような気もしないではないけれども、「流通」にしてしまったのですけれども、ここは「使用」です。使用を禁止する、使用を廃絶するという話です。ここはuseなので原文をよく見てください。原文に沿った形で直していったほうがいいと思います。後ろのほうで「管理」という言葉が出てきます。確かに管理という状況が生まれているのですけれども、厳密に読み込んでいくと、結局は一番下に書いてあるように、「特性を示さなくなるように破壊されもしくは不可逆的に変換されるような方法で処分されること」に結論的にはなってしまいます。そこをちゃんとしておかないと、管理しておけばそれを持っていてもいいような印象を与えるような表現はしないほうがいいと思っています。管理という言葉の使い方、上のほうにも「規定に従って管理するよう努める」と確かに書いてあるんだけれども、管理する内容というのは今のような状況を示しているということを考えて文書を作っていってほしいと思います。1点目はそういうことです。
 今後の対応の中に法制度も改正するかもしれませんという話が書かれているわけです。浅野先生の話も法制度の改正だと。もう1つ先ほど私が経産省の省令も直さないといけないのではないかと申し上げた、そういう意味では、関連する法令を今の状況に合わせて変えていかないといけないということで、これは独立させたほうがいいような気がします。今後の対応の中にそれを盛り込むのではなくて、法制度の改正が必要なんだということを書いていったほうがいいかなと、その内容については議論の対象になると思います。
 もう1つ自治体等から保管事業者への指導の中で、低濃度の情報を特措法のほうから取ります。先ほど申し上げたように、電事法でもこの情報を取っているわけです。それをうまく連携させて、地方自治体にお渡ししたり、地方自治体と一緒に活動をしなくてはいけない。その活動の本体は、高濃度の場合はJESCOでした。JESCOの営業部がいろいろ担当していただいて、円滑な処理にかなり貢献していると、私自身は思っています。
 まだJESCOがあるうちは、できれば、これが可能かどうか知りませんが、低濃度についても、今活動されている営業の担当の方は、地方自治体とのつながりも強いし、保安監督部、環境省の出先ともみんな連携してやっている。その人材の能力、知恵、知識をこの際に活用してほしい。それが早期処理につながっていくのではないかという印象が強いです。まだJESCOはしばらく続きます。その間に何とかならないかなと思っているところです。
 もう1点申し上げておきたいのは、先ほども出てまいりました、計画的な処理を行っている事業者は結構いるのだろうと。計画策定もしているという事業者もいました。低濃度が問題になったのは、実は特措法が作られた翌年です。随分前です。2002年か、それくらい前の話です。その後調査もいろいろ進んで、私も関与して低濃度の実態、原因究明ということをやりましたけども、それが2005年で報告書が出ています。そうするともう18年前です。その間に調査がされないはずはないと思っています。特にトランスについては、電気工作物になっているものは1年あるいは3年に一度、停電状態にして精密な調査をやらなければいけない。そういう中の調査をやるコンサルタント会社とかそういうところでも、PCB濃度を測りますという案内があるわけです。実態としてもPCB濃度を測っていらっしゃるのだろう。ですからトランスについては、電気事業に使うようなものは、ほとんど分かっているはずです。そうでないとおかしいでしょう。3年に一度やっているのに、18年かかっています。そうした中でどういう状況になっているのか把握した上で、それを計画的に処理するにはどうしたらいいかということを考えていただきたい。それが今回ここで要求したいことです。計画を出していただき、計画を策定していただくのではなくて、策定したものがあるはずだから、それをまず出していただきたい。公開する方法として環境省がやっています、環境報告書とかSGDsの報告書とかそういうところを使って出していっていただくとありがたいと思っています。そのためにどういう報告書を作ればいいかというガイドラインを、至急環境省で整備していただきたいと思います。また、そういうものを公開することに対するインセンティブも何か考えていただければありがたいと思っています。以上です。
(田中委員) 私が言いたいことは、PCB廃棄物は安全性を確保して、効率的・合理的な処理が重要ではないかと思っています。ちょっと疑問点を指摘したいと思います。埋立処分は廃棄物の有害性に応じて、遮断型、管理型と安定型とある。と同じように、PCB廃棄物も厳重にそうでないものと、そういうことで効率性をどこまで高められるかということが大事かなと思います。
 ここで例えばストックホルム条約、POPs条約では50ppmを超えるというところがあります。50ppmを超えるPCBを含有し、かつ容量が0.05Lを超える機器に入っているものということで機器に入っている。これを考えると、今まで日本は国際的なレベルに比べて100倍厳しい基準をやって、安全を最優先しているということで安心を最優先していたのだけれども、ある程度限度があるだろう。いろいろなコストの算定も何年か前には、低レベルの量が多いから5兆円とか6兆円とかそういう数字も見たことがあります。そんな金額が低濃度PCB処理にこれから使われるとすれば、もう少し合理的な方法はないものだろうかと考えるわけです。
 そういう意味では、1つはここで言っているように50ppmを超えるものがストックホルム条約の考え方です。今までは日本では0.5ppm以上のものはPCB廃棄物だという考え方で、100倍違います。そこまで日本は厳しくやっているのだということで、その分だけ量が大量に増えてきます。低濃度の説明でいただきましたように、5,000ppmと10万ppmという数字が出てきました。特に私が思っているのは塗膜です。塗膜はペイントだと。ペイントはPCBが中には含まれているけれども、そう簡単には環境には放出されないと思われます。ですから、有害特性は溶出試験でばらばらにしてpHコントロールして、どれだけ振動して出てくるかという溶出量を判断している。PCBの塗料のデータが非常に数は多いのだけれどもなかなか処理ができていないというデータを見ると、ストックホルム条約の規制の対象にもなっていない。
(永田座長) なっています。
(田中委員) 塗料がなっているのですか。
(永田座長) ええ。
(田中委員) 機器に入っているものという言葉が入っているので、機器をどう読むのか。電気機器をイメージすると、それとは全然違うだろうということで、高い所の鉄橋のような所で、そこに使われている塗料を危険を冒して除去して、それを早急に処理することのリスクと、期限後もそのまま寿命まで使って最後の処分は熱的、焼却処理をするということを義務づけて使えるときまでは使うというのも、合理的な考え方ではないかと。そういうふうに考えてみると、どこまで現実的にコストが削減できるか。処理する過程におけるリスクもあるし、それらを総合してライフサイクル、収集・運搬、処理・処分、最後の後始末まで含めて合計して、総合処理計画みたいなものをリスクの面からやって、経済的、財政負担、排出者の負担も減らすことも考慮して、ここは議論していただかないといけないという感じがしております。それだけ指摘しておきます。
(永田座長) 先ほど先生が低濃度の期限が出てきた後に低濃度が出てきたらどうするのだという話に対して、今の時期ではという話をされました。今の話もそれにつながってしまいますね。いずれどこかで何かの形で話をして議論をしていかないといけないテーマですけれども、いつやるべきなのかというのは、また違うのかなという。今ではない、今後の対応の中で考える話ではない。今はとにかく処理するまでの期間、ここのところでどうやって取り組んでいくかということをきちんと考えていかなくてはいけない段階と思っています。いずれはやらないといけない話ですけれども、今ではない。
 さきほどの塗装の話は1ページ目の真ん中辺りに(3)が出てきます。例えばケーブルのシース、硬化することによる水漏れを防止するための物質、塗装されたものというのがあって、この塗装されたものの中に入ってきます。これも同じように管理しろということは、要するに破壊しろということになっています。ただ、濃度によって差、強弱がつけられたり、あるいは優先順位が決められたりしています。そういう点も、どんな状況なのかという調査結果を見せてもらわないと、我々は判断できません。そういうのが要求だけはされるのだけれども、実態を見せてもらわないから、考える余地が私たちのほうにはないのです。そこのところはよく考えて対応していただきたいと思います。
(酒井委員) 今、田中先生から処理の合理性とか総合性といった御指摘がありました。その点について個人的な見解になりますけれども、発言をさせていただきます。
 こういった廃棄物処理において、処理の合理性を図ることは常に必要な話だと認識しています。無限に財政負担ができるわけではないということは、当然念頭において進めなければいけない。PCB処理もそういう意味で、無害化認定制度を用意されて、今日の冒頭でも紹介がありましたけれども、30施設以上の処理可能な施設を用意してそれに携わっていただいている方々もよく仕事をしていいただいているという状況、これがある限りはしっかり社会も合理性を考えてきたということを、日本社会が誇ってもいいのではないかというのが、私の見方です。そういう意味でむやみに高コスト受容ばかりしてきたわけではないというところは、これまでのPCB処理の歴史として我々は認識しておかなければならないと思います。
 その上で今日の資料4の今後の方針というところですが、基本的に使用中機器の処理促進に向けた今後の対応というところで、浅野先生からもっぱら法改正での対応という御提案をいただきました。ここは極めて重要なポイントだと思います。それ以上に今日永田座長から指摘いただいた点を、もう一度全委員あるいは関係者はしっかり認識しなければならないと思いました。
 1つは、電気事業法でのこれまでの改正経緯と現状をどう解釈すればいいのかというところです。お恥ずかしいことですが、十分に理解・認識できていなかったことを御指摘いただいたと思っています。それに加えて、現時点でコンデンサーの新たな発見があったとのこと。それもまた直近の日付のようで極めてショッキングな状況です。この辺りのところも改めて事実としてしっかり確認の上、物事を考えさせていただきたいと思いました。そうした御発言を受けてということですが、やはり特措法とともに電気事業法、使用中機器という限りは、この2つの法令をしっかりと車の両輪として考えていくという姿勢が必要ではないかなと思いました。今日の資料に電気事業法という言葉はほとんど現れてこないということ自体に、少し違和感をもっているところです。
 使用中機器の問題はなかなか取り組めない、低濃度だから進めないという理解、現実の認識を長くしてきたところですけれども、そうはいいながらやはり両方をしっかり考えていって初めて何とかなる話だということかと思います。廃棄物段階から始めるのでは時間的にも間に合わないでしょう。まさに始めるのなら今という意味で、使用中機器のところにしっかりと取り組む観点が必要だろうと思いました。以上です。
(永田座長) ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 この方針については今日ここで出された資料と理解しています。今日御参画いただけなかった先生方もおられるし、これからじっくり読み込んで意見を言いたいという方もおられると思います。ということで2週間ほどの余裕を取って、御意見を頂戴したいと思います。事務局にメールで出してください。御意見をいただければ、それをまとめて私と事務局で相談しながら、もう一度方針案を作り直すということをやらせていただきます。
 よろしいでしょうか。
(木村委員) 今日の資料を見て、実態把握に向けた対応、早期処理に向けた対応といったところに異論はないのですけれども、今日の報告の中でやはりいろいろな課題を現場課題として、説明会のときに受けた話があります。我々も以前も報告した内容として、前回私コメントさせていただいて、基本計画に載っている低濃度の諸課題、封じ切り機器はもとより、それ以外についても停電を伴うものとか、高濃度に比べたら非常に数が多いという留意点を基本計画にしっかり書き込まれることに対して、これをどう解決していくのか、あるいは解決できなれければそれに応じた対応をすべきかということで意見を出させていただきました。まだそれは解決していないと思っていますので、ぜひこれを進めるに当たってはそういった課題、留意点の解決が必要だという前提だとは思っています。
(永田座長) あなたは理解していないですね。私が申し上げているのは、その前提となるような状況を我々に説明してくれと、それを出さずにあなたは要求だけしているんです。また今回やろうとしている。そういう態度が基本的に我々に考えることをさせない、結局は遅れていくという状況を作ってしまうので、そこは反省してください。
(木村委員) それはまた次回御説明したいと思っています。ただし、それらはもう課題として挙がっているもので…。
(永田座長) その課題を我々に考えさせなさい。そのための資料を出しなさい。
(木村委員) もう1つお願いは、これは経産省、環境省へのお願いかもしれません。たまたま鉄と電力が委員として出席していますので、その業界のお話はさせていただこうと思いますけれども、ここに書き込まれていますように、中小も含めた非常に裾野の広い話ですから、他業界についても同じように把握していただかないと、全体的な対策の進め方の判断が、特定の業界だけですと違うと思います。そこも含めて調査とかとりまとめをしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
(永田座長) 時間も大分経過しました。議題の5番目、高濃度PCB廃棄物処理施設の解体撤去、これをJESCOから説明していただきます。
(JESCO) 今後のPCB廃棄物の処理施設の撤去について資料を2点御用意しています。5-1が先行して解体しております北九州の解体の現状です。5-2がJESCO全体、ほかの事業所も含めた状況をまとめた資料です。5-1から説明させていただきます。
 5-1は(その7)というナンバーリングをさせていただいておりました。これまで平成31年の検討会から随時報告させていただいているところですけれども、7回目ということで、今回報告させていただければと思います。
 スライド2を御覧いただければと思います。北九州1期施設の全体工程になっています。段階的には第一段階先行工事、あるいは液抜きとかそういった事前作業を令和元年から令和3年頃に実施しています。現在は、その後令和4年度から今年度にかけて、プラント設備の除去分別、実際の解体撤去工事を実施しております。
 この後、令和6年度以降から今度は建設物、建屋のPCBの除去分別、解体撤去という形に移っていくことを考えています。本日は真ん中のところのPCBのプラント設備の除去分別と解体撤去の状況を、図を交えながら御覧いただくという形で用意しています。
 次のスライドを御覧ください。以前も御報告させていただいたことのある写真です。解体のノウハウをためるとか、運び出しをするためのスペースを確保する目的で行った先行工事の状況です。このようにプラント設備を大分なくしてしまって床だけにして、そこにいろいろな物を置けるスペースを確保するようにしました。粗解体設備と破砕分別設備をここでは工事しました。
 次のスライドをお願いします。その後、プラント設備のPCB除去分別、洗浄や拭き取り等によって、PCB濃度を管理可能なものに下げるという作業です。除去分別作業について、溶剤蒸留回収装置を例に挙げています。左側の図にありますとおり、もともと分離塔加熱器や貯槽があります。こちらについて配管を洗浄にかけて配管や塔槽類は浸漬洗浄を実施しまして、その後でも高濃度の付着があるようなものについては、北九州事業所は真空加熱分離装置を持っていますので、同装置で処理をしてPCBがないことを卒業判定で確認した後に、JESCOから搬出するという形にしております。
 低濃度PCBとして処理するものについては、切ってしまったりするとPCBが飛散する可能性がありますので、なるべく有姿のままPCB無害化処理施設に運び出していくという形で考えています。
 次のスライドをお願いします。次がいよいよ除去分別を経まして、実際の解体、設備を取り除いていく行為です。こちらも上から見た図でいろいろな設備を描いておりますけれども、色がついているところが今回プラント設備として解体撤去を行っているところです。色がついていないものは先行解体でスペースを空けたり、事務棟という形でPCB処理を行っていなかったスペースです。順番に次から写真の形で御覧いただきます。
 まず受入保管・払出設備です。左側の図がもともとあった荷捌室とか検査室です。こういったトランス・コンデンサーの保管棚とかデッキ昇降台を除去し、床だけになるという状況です。
 次のスライドをお願いします。スクラバー設備です。こちらも撤去して右側にあるように2階、1階とも床だけという状況になっています。ほかの設備もそうですけれども、階数をまたいだ塔槽類のような大型の設備については、切断して運び出しております。上の図のスクラバーについては、切断して運び出して処理をする。下にあります塔槽類の槽については、槽の形のまま払い出す。もちろん梱包してPCBの飛散防止対策を講じて運び出すという形で処理をしています。
 次のスライドをお願いします。溶剤蒸留回収装置、こちらも同じように上のほうの分離塔については切断して撤去しております。下のほうの貯槽は有姿のまま、無害化処理認定施設のほうに運び出すという形で処理をしています。
 次のスライドをお願いします。次が解体・分別設備、液処理設備です。上のほうが解体・分別設備、切断機3台を解体撤去しておりまして、右図のように設備がない状態になっております。下のほうの液処理設備も同じような形で塔槽類を撤去、架台を切断して撤去している。塔槽類は有姿のまま払い出しています。
 次のスライドをお願いします。こちらの直接の設備とは違うのですけれども、先ほどの塔槽類を運び出したりとかそういったことをするために、既存の開口部で大きさが足りなかったりすることがあります。あるいは払い出しのところが通常の処理と違う道を使って運び出したほうが合理的である場合には、ドアを開けたりしておりますので、付帯工事として搬出ルート確保のためのドアを新しく工事する箇所を幾つか作っております。
 次のスライドをお願いします。今後の予定です。プラント設備については、おかげさまで今年度を目途に大きく作業が進んでおりまして、廃棄物の搬出とかそういったところを含めると、来年の6月完了を目指して進んでいるところです。その後、建屋の解体撤去に移りたいと思っています。一部プラント設備とかぶりますけれども来年度になりましたら、建屋のPCBの除去分別を開始して、その翌年には建屋の解体撤去工事に入りたいと思っているところです。以上です。
 続いて、資料5-2の説明をさせていただきます。5-2はJESCO全体の状況です。
 次のスライドをお願いします。2ページ目です。これは昨年3月30日に御説明した資料のアップデートの形です。少し駆け足で御説明させていただきますが、前回のアップデートであると思っていただければと思います。
 JESCO全体の取組の概要になります。4ページを御覧いただければと思います。まず全国5か所のPCB廃棄物処理施設については、操業が終了したら安全第一に解体撤去を実施するという方針で考えております。JESCO内のPCB廃棄物処理事業検討委員会で、まず全体の大方針である基本方針をまとめていただきました。その後、解体撤去実施マニュアルを策定しています。このマニュアルを策定したのは令和3年11月です。本年6月に新しい知見を追加して、改訂しております。詳しくは後ほど御説明します。
 北九州1期施設については先ほどの説明のとおり、先行しまして今はプラント設備の解体を行っているところです。ほかの事業所についても、解体撤去の計画とか一部実施という段階に進んできているところです。
 こうした取組状況は、各事業所の事業部会の御指導を受けながら進めていくとともに、監視委員会にも適宜御報告して、いただいた御意見を作業に反映していこうと思っているところです。
 次のスライドをお願いします。こちらはおさらいになりますけれども、JESCOの基本方針です。基本的な考え方、環境保全、工事の安全、ステークホルダー等の理解と信頼の確保といったことを大前提にしております。そのためには関係法令を遵守して、PCB除去分別、濃度をちゃんと下げていくということを優先して実施している。なおかついろいろ新しい使える技術は使っていくということでbest available techniques、best environmental practiceを使っていく。事業所ごとの対応というものは知見をちゃんと横展開して、また後に伝えていくようにするということを大きな目標としております。
 これは先ほどの繰り返しになりますけれども、実際に解体撤去をしていく上では各事業部会とかJESCOの中に設けている技術部会、作業安全衛生部会とかそういうところから御意見をいただいて、それを踏まえて作業をしていく。監視委員会にも御報告をしていくという、通常のPCB処理業務と同じような形でしっかりと進めてまいりたいと思っています。
 解体撤去マニュアル改訂の状況です。こちらは2番目の四角を御覧いただければと思います。先ほど申し上げた今年6月の改訂です。最初のバージョンは、設備解体のほうを優先して作ってしまったものですから、建屋の解体についてまだ記述が薄いところがあります。それらに大きく追加したり、あるいは北九州の先行解体の知見を反映して、例えば、熱中症予防の観点から保護具も少し使えるのが増えるといいというところを充実させたりしてアップデートしたものです。
 続きまして、各施設の状況を御説明させていただきます。次のスライド8ページ目をお願いします。先ほど北九州事業所を例に説明させていただいたとおり、最初の解体撤去の流れとして先行工事とか事前作業、洗浄、液抜き工事など先行工事を行いまして、その後まずプラント設備の分別除去、その後プラント設備の解体、次に建屋の除去分別、建屋の解体工事という形に移ってまいります。
 これらが今、各事業所でどうなっているのかというのを次のスライド9ページ目にまとめました。青い色がついているところは完了したところです。北九州は先んじて先行工事、プラント除去分別が終わって、今プラント本工事に進んでいるところです。北海道以外の事業所については、北九州1期も含めて豊田、大阪、東京も先行工事に既に着手して始めているところです。
 下のプラント除去分別のところを実施しているか、あるいは計画しているというのが多くの事業所の状況です。北海道事業所についてはまだ操業をしておりますので、現時点では特段の作業はまだできていないという状況です。
 次のスライドをお願いします。今後についてです。11ページを御覧いただければと思います。今後の進め方、これはもう繰り返しになりますが、解体撤去に当たっても周辺の安全・環境の保全を第一に工事を進めてまいりたいと思っています。
 各施設の解体撤去については、施設ごとに処理方式などが違うところがございます。施設の特性にしっかり合致した計画・工法とすべく、各段階に応じた必要な計画を作って計画的に進めていこうと考えています。また、先ほどの繰り返しになりますが、各事業部会の御意見をいただくとともに、監視委員会にはしっかり報告させていただいて、いただいた御意見を次の工程に反映させてまいりたいと思っています。
 北九州事業所1期施設につきましては、来年度以降に建築物の解体撤去工事に移ります。そのための準備を今年度は進めてまいりたいと思っています。北九州事業所1期以外については、計画的解体の実施について検討していくということと、現在まだ操業していますので操業に支障のない形で先行工事とか除去分別作業を進めてまいりたいと思っています。
 最後に、これらの知見はしっかり横展開をして、後に残すべきものであると思っております。こうした知見は適宜とりまとめを行って、JESCO内の各技術部会とかそういったところで御審議をいただいて、マニュアル等に反映させていくような形とさせていただきたいと思っております。以上です。
(永田座長) どうもありがとうございました。何か御意見、御質問等お願いします。
 最初のほうの資料で撤去とか除去分別の話を簡単に整理していただいたのですが、先ほども先行工事で排気とか換気のところをやろうとしたときに、そこを洗浄することができないものだからどう対応したらいいのか。特にちょっとした計器等のポケット部みたいなところに、油がたまっている可能性もないわけではないです。北九州は監視カメラを挿入しながら中の状態を判断していくとか、そんなことも検討されているようです。そういう細かいところで、難しそうだなというところはメモでもいいから残して、ほかの事業所にも渡してやると、いずれマニュアルのほうの資料集の中にもそういうものを入れていくとか、そういう点、現場で重要だと思われるような点を整理して出していくように努力していただけるとありがたいなと。それが横展開の重要な柱になってくるかもしれませんと思っています。
 もう1点は資料の最後のほう、資料5-2の中で記載の方法をもう少し考えたほうがいいと思っているのは9ページ目です。先行工事、事前作業として洗浄とかいろいろなことをやっているのは事実です。次のプラントの除去分別というのは、基本的には先行工事というのは、不要プラントの除去分別です。不要な施設を除去分別するので、プラントの本工事のところがここは本当は2行になってプラントの除去分別と、プラントの解体撤去が入ってくるのではないでしょうか。上にだけプラント除去分別があると、全体はもう除去分別してしまっているのか、本工事のほうで解体撤去するのかという印象にもなってしまうので、ここの書きぶりはよく考えてみてください。上の2行はあくまでも先行工事です。まとめて先行工事の事前作業とか、先行工事で不要設備の解体というようなことを入れるとはっきりする。
 建築物についても、最後に建屋の除去分別、次は建築物の本工事となっているけれども、これは建築物の解体撤去です。あるいは建屋の解体撤去でいいのではないですか。建屋と建築物を分ける必要はないのかなという気がします。用語をきちんとしながら、何をやってるのか、皆さんに分かるように記載していただき、また原則論としてPCBをできるだけ除去して安全な範囲ですということで解体するということになるのかなと思います。これは徹底してください。
 もう1点は、洗浄とかいろいろなことをやって除去分別をするわけですけれども、その結果として、該当性判断基準よりも下になる可能性のものも出てくるのではないかと思っています。そういう意味では普通の産業廃棄物と同じように扱います。
 ここに書いてあるのはみんな、低濃度のところに回しますと書いてありますけれども、そういうものがあるのだったらきちんと仕分けして、どのぐらいそうなったかというのを示していただけませんか。それが効率的な解体撤去の方法論だと思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、資料5については終わりにいたします。以上でこちらで準備した資料は終わりです。何か御意見があればお願いします。Webで参加の方も御発言いただければありがたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 それでは事務局にお返しします。
 

閉会

(谷口係長) 永田座長、ありがとうございました。本日は貴重な御意見をいただきありがとうございました。本日の議論を受けまして、関係者のほうで引き続き連携して対応してまいりたいと考えております。
 また、本日の議事録についてはこの後、事務局で原案を作成しまして、委員の皆様に御確認をいただきました後、環境省のホームページにて掲載する予定ですので、よろしくお願いいたします。
 以上をもちまして、第32回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会を閉会します。本日はありがとうございました。
(了)