環境再生・資源循環

第27回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨

日時

令和元年10月16日(水) 10001158

場所

KPガーデンシティ御茶ノ水 カンファレンスルーム3A3C

出席委員

(委員)(五十音順)

浅野委員、伊規須委員、石岡委員、川本委員、鬼沢委員、岸川委員、木村委員、酒井委員、鈴木委員、高岡委員、田中委員、田辺委員、永田委員(座長)、三浦委員、森田委員

(各事業所の安全監視委員会等の委員長等)

東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会委員長

大阪PCB廃棄物処理事業監視部会委員

北九州市PCB処理監視会議座長

(オブザーバー等)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業所が立地する自治体

(北海道、室蘭市、東京都、江東区、愛知県、豊田市、大阪府、大阪市、福岡県、北九州市)

経済産業省

産業廃棄物処理事業振興財団

議事

(1)無害化処理認定施設の処理対象のPCB廃棄物の拡大について

(2)北九州PCB廃棄物処理事業(変圧器・コンデンサー等)の先行事例の展開について

(3)PCB廃棄物処理の進捗状況について

(4)PCB廃棄物処理の早期処理に向けた取組について

(5)PCB廃棄物処理施設の解体・撤去について

(6)低濃度PCB廃棄物の処理に向けた取組について

(7)その他

議事概要等

  • PCB濃度が0.5~10%の塗膜、感圧複写紙、汚泥等の可燃性PCB汚染物を無害化処理認定施設で処理する体制を構築するため、全国4か所の施設で実施した焼却実証試験の結果、その結果を受けて策定した関係法令等の改正案及びPCB廃棄物処理基本計画の変更案、高濃度PCB含有塗膜調査の進捗状況について事務局から説明があった。
  • 本年3月末に計画的処理完了期限を迎えた北九州事業地域の変圧器・コンデンサー等の先行事例の展開について事務局から報告があった。
  • PCB廃棄物の発生量、保管量及び処分量の見込みと、都道府県市による掘り起こし調査の進捗状況について事務局から報告があった。また、高濃度PCB含有電気工作物に係る電気主任技術者による掘り起こしの進捗状況について経済産業省から、変圧器・コンデンサー等の未処理事業所数についてJESCOから報告があった。
  • PCB 廃棄物の早期処理に向けた取組ついて事務局から報告があった。また、事業者向けのPCB廃棄物適正処理促進に向けた説明会について経済産業省から、PCB廃棄物の早期処理に向けた政府の率先実行の実施状況について事務局から報告があった。
  • 北九州PCB処理事業所第1期施設の解体撤去の実施状況についてJESCOから報告があった。
  • 低濃度PCB 廃棄物の適正処理推進に向けた取組について、処理体制の整備状況、PCB汚染物等の該当性判断基準の明確化を受けた低濃度PCB含有廃棄物に関する測定方法(第4版)の改訂及び今後の低濃度PCB廃棄物の適正処理の進め方について事務局から報告があった。
  • 環境中のPCB濃度の経年変化について事務局から報告があった。

主な意見等

(1)無害化処理認定施設の処理対象のPCB廃棄物の拡大について

  • 焼却実証試験では、PCB濃度が10%程度までのものを混焼率5%で処理したとのことだが、単純計算では廃棄物全体のPCB濃度は計算上0.5%となる。実際は現状も他の廃棄物と混焼して処理されると思うので、従来の基準の0.5%と変わらないではないかと誤解されないよう説明する方が良い。(東京PCB廃棄物処理事業環境安全委員会委員長)→処理対象のPCB濃度が10%までということであり、混焼率は各施設の処理能力などに応じて最適な量を申請してもらい、個別に認定をしていく。(事務局)

  • JESCOのプラズマ炉における処理では、作業員により一定量ずつドラム缶に詰め替える作業が行われている。PCB濃度が0.5~10%のPCB汚染物の焼却処理においても同様の作業が前処理として行われるのか。(伊規須委員)→ 直接焼却炉に投入できない荷姿で搬入された場合にはプラスチック容器等への移し替え作業を行うことになるため、必要な安全防護策を実施するよう事業者を指導する。(事務局)

  • 実証試験の結果に基づいて提案された制度改正案を支持したい。その上で、温度、滞留時間を中心とした規定に基づき、PCB汚染物を安定的に分解処理し、環境保全を図るためには、日々の適正な運転管理があって初めて達成できるものであることを理解しておく必要がある。加えて、炉床負荷や火炉負荷、排ガス処理施設が適正に運転されることの確認も必須であり、これらの条件が十分に満たされて個別施設が管理されているか、くれぐれも注意するようお願いしたい。(酒井委員)→日々の維持管理の重要性を肝に銘じ、制度改正後の認定の際には維持管理についてしっかりと確認していく。(事務局)

  • PCBの焼却処理は1985年に鐘淵化学工業(株)の高砂事業所において実証試験を行い、安全に無害化処理ができることを確認しており、その後5,500トンの液状PCBを処理した実績がある。このことから焼却処理は非常に高効率な分解法であることは確認できており、提案のPCB廃棄物の焼却処理対象の拡大について賛成する。今回の提案はPCB濃度を最大10%とするとのことだが、混焼時の平均的なPCB濃度も重要なパラメータであり、10%に必ずしも限定しなくても、過去の実績からいけるのではないかと思うので、今後もデータを蓄積しながら、次の指針になるようにしてほしい。(田中委員)→今回は10%とするが、実績を重ねデータを蓄積し、さらなる制度改正も必要に応じて検討したい。(事務局)

  • JESCOの処理施設の設置を検討していた当時は、焼却処理ではダイオキシン類の生成の懸念があるとして非焼却処理の方法を選択した経緯がある。今回提案のPCB濃度が10%以下のものでは焼却してもダイオキシン類が排出されず、安全に処理できるということの科学的な根拠を示してほしい。(北九州市PCB処理監視会議座長)→ 0.5%以下のものの焼却処理で、安全性も含めた焼却処理の実績が蓄積されてきたこと、最近になってPCB濃度が0.5%を超えるPCB含有塗膜、感圧複写紙、汚泥等が一定程度存在することが判明し、これらのPCB濃度が10%程度までであることを受け、これらを試験試料にした焼却実証試験を実施し、その結果を基に処理対象物のPCB濃度を10%まで引き上げようというもの。(事務局)

  • 実証試験において目標とした数値は全てクリアし、ダイオキシンもPCBも環境への漏出は無かった。試験だけで合格ということではなく、施設の運転管理を含めたきめ細かい指導が必要なので、それは今後まとめていくということだと思う。PCB処理の歴史を振り返ると、高温で焼却すればダイオキシンは発生しないというのはある種のコンセンサスになっており、高砂事業所での液状PCBの焼却処理ではPCB濃度を10%程度にしたものを高温で焼却することでダイオキシン類の発生もなく行えることを確認した。焼却処理は能力面でもよい方法であることが証明できたが、当時はダイオキシンが社会問題化していて住民の不安を解消できなかったため化学処理を採用したという歴史がある。焼却処理の利点を考慮したうえで最適な方法として組み込むことは重要な意味があると考える。(森田委員)

  • これまで0.5%以下のPCB廃棄物については多数の無害化処理施設で安全で安定的にかつ円滑に焼却処理してきた実績があることが今回の制度改正につながったもの。制度改正に至った背景の説明ではその点が説明されていないので強調して説明すべき。また、日ごろの運転管理が極めて重要であり、0.5~10%のPCB廃棄物を焼却処理する際には、認定時の審査だけでなく、日ごろの運転管理の状況を確実に把握していく体制を整えておくことが重要。ぜひ検討してほしい。(永田座長)

  • PCB含有塗膜の剥離作業におけるマニュアルを低濃度PCBの委員会等で整備しておくこと。(永田座長)

(2)北九州PCB廃棄物処理事業(変圧器・コンデンサー等)の先行事例の展開について

  • 懸念していた北九州事業地域での代執行が概ねトラブルなく順調に進んだことはよいこと。北九州事業地域での経験をこのような形にまとめていただいたことに感謝する。この中で、管理者不在で代執行になった事例が紹介されているが、PCB含有の有無の確認がされていない絶縁油が入ったままの廃電気機器が金属くずとして回収業者に回っているのではないかと懸念される。フロン法ではフロンを含有している機器からは必ずフロンを抜いてから引き取ることが規定されている。廃電気機器にはそのような規定はないため、業界団体等を通じて金属くずの回収業者に注意喚起してことが必要ではないか。(浅野委員)→ フロンを含む機器では確実にフロンが入っているので義務付けは容易だが、電気機器ではPCBが含まれているか一概に判断できないため法制化は困難と思われる。今後情報提供は重要と考えており、どういった関係業界に情報提供するのが適切か検討して対処する。(事務局)

  • PCB含有の変圧器等を新規に発見したきっかけの最も多い事例として電気主任技術者の関与が挙げられている。電気主任技術者には使用中の電気機器のPCB含有の有無確認が義務化されており、多数の事例が蓄積されているはず。経産省でもそれをまとめて次の展開に活かしていただきたい。(永田座長)→まとめ方は検討が必要だが、 経産省では各産業保安監督部毎に電気主任技術者や自家用電気工作物設置者向けに電気保安のためのセミナー等を開催しており、その機会を通じて広く周知していく。(経済産業省)

(3)PCB廃棄物処理の進捗状況について

  • 照明器具安定器の掘り起こし調査の実施状況で、(北九州・大阪・豊田事業地域の)約半数の自治体が処分期間末日の1年間までに調査完了としているが、少なすぎるのではないか。(鬼沢委員)→ 各自治体に調査完了予定を早めてもらっている。1年前は1つの目安であり、できる限り未回答者を減らした上で実施していくことが重要と考えている。自治体による掘り起こし調査の支援など、掘り起こし調査の確実かつ早期の完了を図っていく。(事務局)

  • PCB使用安定器の交換促進策として実施されているLED化支援事業が今年度で終了するとのことだが、まだ使用中の安定器が多いので、延長を検討してほしい。(永田座長)

(4)PCB廃棄物処理の早期処理に向けた取組について

  • 中小事業者に対してPCB廃棄物に係る運転資金を低利で融資する制度に関する説明があったが、活用事例はあるか。資金繰りが困難で代執行の対象になるような事業者に対して有効と考えるが、実態として有効に活用されていなければうまく機能するよう検討していただきたい。(永田座長)→ 活用実績はあるが、より周知を図っていく。(事務局)

  • 各省庁等の高濃度PCB廃棄物等の保管・使用状況の集計では数量の単位が統一されていない。集計できる形での取りまとめを行うこと。(永田座長)→ 集計結果は特措法の届出情報を基にまとめたものだが、今後は単位を統一して整理し、示していく。(事務局)

(5)PCB廃棄物処理施設の解体・撤去について

   (意見等なし)

(6)低濃度PCB廃棄物の処理に向けた取組について

  • 抜油後の容器の新たな処理方策については、1年前に早期に制度化を図るとされており、現在実務的な詰めを行っているところだが、産業界からの期待が大きいので早期に制度化につなげていただきたい。(木村委員)→ 既存の制度への反映等の対応を行っているところ。なるべく早く作業を進めたい。(事務局)

  • 低濃度PCB廃棄物の処理については、産業界から多数の難しい課題があるとされているが、処理完了までの期間はさほど残されていない。産業界から期限内の処理に向けた取組の状況を聞かせていただきたい。(永田座長)

  • 電力業界としては、多数ある課題の中でまず使用中の変圧器等に適用する課電自然循環洗浄の適用範囲の拡大を図るべく試験結果のとりまとめを行うなど関連する課題の整理を行っているところ。環境への配慮と電気の安定供給を両立させることは非常に重要であると認識しており、バランスを取りながら取り組んでいる。(岸川委員)

  • 鉄鋼業は装置産業であり、非常に多くの装置やプロセスを有している。PCB汚染の機器をどの程度所有しているか調査を進めてはいるが、ハードルが高く、特定すること自体が難しい。そのため今後どのように進めていくか具体的な計画の策定には至っていないのが実情。(木村委員)

  • 石油業界は、電力会社や鉄鋼業界ほどは対象となる機器の数は多くはないが、まだ全量の把握や処理の完了には至っていない。今後も法令に沿って着実に進めていく。今後、塗膜に含まれるPCB等の新たな問題には新たな課題が出てくると思うが、それらへの対応を進めていく必要がある。(三浦委員)

(7)その他

   (意見等なし)