環境再生・資源循環

第23回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨

日時

平成29年10月6日(金) 10:00~12:07

場所

TKPガーデンシティ御茶ノ水 カンファレンスルーム3A~3C

出席委員

(委員)(五十音順)

浅野委員、大内委員、織委員、川本委員、岸川委員、木村委員、酒井委員、菅委員、田中委員、

田辺委員、田和委員、永田委員、森田委員

(各事業所の安全監視委員会等の委員長等)

東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会委員長

北九州市PCB処理監視会議座長

(オブザーバー等)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業所が立地する自治体

(北海道、室蘭市、東京都、江東区、愛知県、豊田市、大阪府、大阪市、福岡県、北九州市)

経済産業省

産業廃棄物処理事業振興財団

議事

(1)PCB廃棄物処理の進捗状況及び今後の課題について
  1)PCB廃棄物処理の進捗状況
  2)変圧器・コンデンサー等の処分期間までの取組及び進捗状況について
  3)北九州事業対象地域における早期処理に向けた取組について
(2)政府が保管事業者としてPCB廃棄物を確実かつ適正な処理のために実行すべき措置の実施状況について
(3)PCB特別措置法に基づく行政処分等の実施について
(4)その他
  1)低濃度PCB廃棄物について
  2)その他の報告事項

議事概要等

  • 会議は公開で行われた。
  • 事務局、JESCO、経済産業省からPCB 廃棄物処理の進捗状況及び今後の課題について説明を行い、委員から意見があった。
  • 事務局、経済産業省から政府が保管事業者としてPCB 廃棄物を確実かつ適正な処理のために実行すべき措置の実施状況について説明を行い、委員から意見があった。
  • 事務局からPCB 特別措置法に基づく行政処分等の実施について説明を行い、委員から意見があった。
  • 事務局からその他について説明を行い、委員から意見があった。

主な意見等

(1)PCB 廃棄物処理の進捗状況及び今後の課題について
1)PCB廃棄物処理の進捗状況
(田中委員) 表1の29年度以降は、発生量あるいは処分量が上の保管量と所有量を合計したものになっている。実際の発生量は新たに掘り起こされたものが加わると思われるが、それが分からないためこのようになっているのか。また2つ目の行の3,207は、3,107の間違いではないか。
(浅野委員) 大変な苦労をしていることがよくわかった。今回何が問題であったかということをきちんと整理して将来に活かせるように残しておくことが必要。
 徹底的にきちんと検証して記録に残しておかないとまた同じことが繰り返される気がする。
 数字がなかなか合わないというのもわかるが、頑張って下さいという以外ない。もうちょっと早くとお願いしても、もうこの資料を見ると限界がありそうな気がする。後で北九州の話が出てくるが、そこではかなりうまく進展しているように思う。しかし、それ以外の地域ではまだ時間に余裕があるということで、かなりのんびりやっているように見受けられなくもない面もある。各地で同じ問題がぎりぎりのところで起こってくるという危険を感じるため、ぜひしっかり他の地域でこういうようなことで問題ないようにということを、考えていただきたい。
(川本委員) 資料1-1-2の地域、全国レベルの集計時における問題点で、突合する登録情報について、誤記載等の情報と変化を区分する確認作業は、今の実態では、どちらも同じであると思うが、わざわざ分けて書いているのはどういう趣旨か。
 こういう問題点に対する取組として取りまとめと突合作業をより効率的に行っていくという記述があり、具体的には、時間作業として当然迅速にするということと思うが、それ以外に何か考えているのか。
(環境省) 田中先生から御指摘の表のデータについては誤りであり3,107に修正する。また表1の発生量と誤解を招く表現になっているが、現時点で市中に残っている高濃度PCB廃棄物又は使用製品の量である。新たに発生した量という観点で言えば、表2の発生量変化が変化した量ということになる。ただし、これも掘り起こした純粋な量ではなくて、減少の部分も含んでトータルでの変化の量。純粋な掘り起こし量は把握できない状況である。
 浅野先生からの御指摘については今回の経験をしっかりと記録に残し、今後類似するような課題についての対応を効率的にできるようにしたい。
(JESCO) 川本先生の御質問について、届出から突合まで1年以上経っており、届出からの間に登録されJESCOで処理したものもあり、1年以上前のものと突合しているため、タイムラグによる差が生じているということ。
 できる限り早い段階のデータと突合することにより、時間差による、既に処理したものの差、届出の差、登録の差等についてできるだけ小さくする。この作業にかかる時間について、速報データから突合を開始することで、少し減らせると考えている。
(永田座長) こうした情報の把握、それをまた取りまとめての公開というのは非常に重要な作業である。現状では、去年のデータが今でもまだまとまっていないという状況になっているが。説明のあった内容で迅速化し、来年度の状況は改善されるだろう。実績が積まれてくるため、誤記載等はどんどんなくなってくる状況が生まれてくるはず。
 来年度は基本的には、電気事業法データも入ってくる。これはまた新しい話として出てくるかもしれない。それも数はそれほど多くないだろうと思われるので、より正確な情報が迅速に提供できることになろうかと思う。

2)変圧器・コンデンサー等の処分期間までの取組及び進捗状況について
(菅委員) 資料1-2-2の都道府県市による掘り起こし調査の進捗状況について自治体の立場から説明すると、1割が宛先不明で返ってくる。その先は、本当に事業場が無くなっているのか、単に事業者が変わっているのかよくわからないので、現場に足を運ばないとチェックできない。限られた予算、限られたマンパワーの中でやっており、のんびりやっているわけではなくて、非常に汗をかきながらやっていることを御理解いただけるとありがたい。
(織委員) 資料1-2-2で、北九州事業エリアが掘り起こし調査の進捗率がいい。北九州でも事業場が確定できない、あるいはなくなってしまっている、汗をかかないといけないということも多分同じ状況ではあると思う。もちろん期限が迫っていることもあるが、何かポイントがあるのか、ほかの自治体に教授できることがあれば教えていただきたい。
(北九州市) 資料1-2-3で、現在、未登録が保管中と使用中を合わせて64事業場あるが、法改正に伴い、今年度末までに契約をしなければならないことになっているわけで、この64件がちゃんと契約が終わるような状況にあるのかどうかの見通しを、個々の事業所に対しての情報をちゃんとグリップしているのか尋ねたい。
(環境省) 菅委員の御指摘の通り、現場で汗をかいてしっかりやっていただいている。環境省も地方環境事務所の体制を増強し、それを全力でサポートしていきたい。
 織委員の御指摘について、環境省、JESCOも自治体の取組をサポートすることを、まずは北九州事業エリアに特化してやらせていただいている。例えば電話帳データ等を活用して未達の事業場の住所を最新のものに更新をする、例えばグーグルアース等を確認し、その事業場が既に存在しなくなっている、更地になっているところに関しての確認等できる限り効果的に活用できるような取組をしている。
 北九州市の御指摘について、環境省も地方環境事務所の体制、兼任も含めて、当該エリアで総勢12名の増員し、個々の事業場に対しての確認を進めているところ。課題のある事業場に対して、今後来年度の改善命令、代執行も見据えて状況の把握が重要で、情報収集を現在進めている。
(JESCO) 未登録については、地方環境事務所、自治体、JESCOの3者が連携しながら、個別訪問をする等をして、鋭意努力しているところ。
(永田座長) ほとんど把握はされているのか。
(JESCO) 実態は把握している。
(永田座長) 郵便物が届かない状況について、ベースになっているのは、電気事業法のデータなので、経産省からコメントをもらいたい。
(経済産業省) 自家用電気工作物のデータについて、精査していく取組はしているが、電気事業法上の制度は、そもそも登録制のような形ではなく、事業者からの届出に基づく記録ということが理由の一部にある。
 会社が倒産したりすれば、本来、廃止届出が出てくることになるが、倒産してそのまま手続きがされずにデータが残っていることもあり、そういう意味で、届出データが正確でないというのは確かにあるが、立入検査等で事実関係の確認に取り組んでいる。
(北九州市) 使用中の26事業場があるが、これは経産省で早期に使用廃止ということで、今年の11月までにできれば中止を指導することになっていたと思うが、この見通はどうなっているのか。
(経済産業省) 11月までに契約手続きに着手することを目指しており、使用中の方についても指導しているところ。管理状況届出書の中で、廃止の予定を確認しており、11月までに契約手続きに着手するように指導をしているところであり、もし契約手続きに着手されないようなことがあれば指導していくこととなるが、今時点においては、基本的に確認が取れているものについては、対応していただく予定になっている。
(田中委員) 資料1-2-1と1-2-2について、掘り起こしはいつ全部終わるのか。これから見込める掘り起こしされるであろう量は、過去のデータ、実績から予測できるのかという疑問を持つが、資料1-2-1では今年の11月までに全部進捗率100%になると理解してよいか。今まではそれぞれの調査で掘り起こしがどれだけだったのか。同じように、自家用電気工作物の調査は1-2-2だが、残りの進捗が進むとも限らない、100%にならない可能性もあるということか。
(経済産業省) 電気事業法における掘り起こし調査について、まず時期的なものは、11月末までに全て実施するということで指導している。
 数について、電気事業法での掘り起こし調査は、数の報告をいただくものではなく、それぞれの事業場にいる電気主任技術者に年次点検の機会を通じて、届出していない高濃度のPCB電気工作物があるかどうかの確認を義務づけているもので、あった場合には、法令に基づく届出をしてもらう。掘り起こされた電気工作物の数を報告いただくことではなく、確認した事業場の数をサンプルとして確認しているところで、掘り起こされた電気工作物があれば、産業保安監督部に設置等届出が提出され、もしくは廃止されていれば廃止届出を提出する手続きとして、反映されていくことになっている。
(浅野委員) ということは実際どのくらいが届け出られているかについての情報が、こちらには提供されていないことになる。しかし届出の実数は、それぞれの出先が持っているはずなので、それをきちんと出していただかないといけない。
 それから、これはサンプル調査でしかないのでなおさら、このサンプル調査の結果100%掘り起こしができたと言われても現実の届出の実数にはつながらない。届出が何件あってどうなっているという情報をいずれは提供していただけるであろうが、中間段階でもいいからちゃんと実数を開示して、どういう状況なのか教えていただかないと危ないという気がする。実数はどうなっているのか。
(経済産業省) 実際、数としては、届出をするときに掘り起こしで見つかったかどうか分かるような届出にはなっていない。
(浅野委員) どれだけ出ているかが大事。
(経済産業省) 届出の中で新規で見つかったのは少ない状況。ほとんどが廃止の届出。掘り起こしをやったことで、実は廃止届出をしていなかったのが結構多いという現状。その辺の数字を今、精査をしているという状況。
(環境省) 田中委員の御指摘について、掘り起こし調査を100%にしていくところ、事業者が不存在といった状況が確認できれば進捗率の分母から除くことで100%確認する調査をしている。
 掘り起こし調査は、あくまでも行為、行動であって、その結果として、どれだけ掘り起こされたかは、現在のこの集計の仕方では見えてないが、届出量が毎年度増減していることがわかっている。現在のシステムでは足し引きをしたトータルの状況しかわからない状況だが、来年度の集計から、新たに増えたもの、純増したもの、処理によって減ったものがわかるように区別していこうと思っている。
 特に北九州事業エリアが100%になったものから、特に掘り起こし調査が本格化する前の段階と比較することで、正味掘り起こし調査でどれくらい見つかったかということが、ある程度は類推できるかと思っている。それは他の地域でも検討に役立てていくことができるようにしていきたいと考えている。
(田中委員) 最初の資料1-1-1の表2で、保管量の変化と所有量の変化と処分量というデータがわかっている。前の年の保管量と所有量を合計したのが、次年度のスタートの発生量。それで、その次の年の処分量がわかる。そうすると、新たに見つかった量がわかるのでは。
(環境省) そこで発生量というのが正味わかってくると思うので、それを掘り起こしが完了したところで見ることによって、掘り起こしを100%すると大体どのくらい出てくるのかというのが、エリアごとにわかってくるかと思う。
(永田座長) 掘り起こし調査は北九州事業所エリアでは、12月ぐらいまでで終わるはず。できるだけ早期に、その成果を取りまとめて、掘り起こし調査でどれくらいそれぞれの県内、市内で見つかったのか、それから、北九州事業エリアでは、独自の掘り起こし調査というのもかなりやっており、これがどのくらいの意味があったのか、これから続くほかの事業エリアの自治体にとっては重要だろうと思っている。効果について取りまとめていただきながら、全体的に成果の報告と同時に、次の展開に生かすようなマニュアル的な内容で加えていっていただく。マニュアルというのは既に存在するわけですが、それを改定していただくような方向で取りまとめていただければありがたい。
 
3)北九州事業対象地域における早期処理に向けた取組について
(北九州市) この場をお借りしてお礼を申し上げたい。今年度、地方環境事務所に人員体制を強化していただき、その方々の動きが非常にすばらしく、北九州事業エリアの登録・契約困難者に対する対応が非常にスムーズに進んでいることを、地元自治体の担当としては実感している。毎月、地方環境事務所の方とJESCOの営業の方と北九州市の3者が岡山以西の進捗状況の協議をしている。そこで一つ一つ課題を抽出して、どういった形で具体的につぶしていくか、実際に動いていただいた結果が、こういう形で表れていると思う。こういったモデルを今後エリア的には東に動いていくわけで、広げていっていただきたい。
 当面は、変圧器とコンデンサーの処理期限が間近に迫っているが、安定器もすぐ来る。そうすると大阪エリア、豊田エリアの人員も1日も早く増員していただいて、同じような体制で臨んでいただければと思う。
(酒井委員) 北九州では、地方環境事務所とJESCOと北九州市の3者が協議しているという話をお聞きして、独自調査といっているものが指す内容がだんだんわからなくなってきた。自家用電気工作物の設置者以外の調査を全部おしなべて独自調査といっているのか。先程環境省では、電事法以外、所管以外の鉄道とかの移動体、そういうところの調査を指しているのか。はたまた、各自治体がそれぞれ独自に、ある建物面積以上のものとか、あるいはある年次以前のものを調査していることを独自調査と言っているのか。JESCOの報告で掘り起こし及び総ざらいという言葉が出ているが、総ざらいという言葉は、今のマニュアルの中に位置づけられた言葉なのか、あるいは別にJESCO独自でつくられているのか。
 ここで都道府県へのアンケート結果、参考資料1というのが別に用意されているが、そこを拝見しての意見を申し上げる。
 安定器に関する掘り起こし調査に対する要望案件が非常に多いということ。28件ほど寄せられていて、ほかの項目に比べて圧倒的に多いという状況であるが、この要望の要点は何なのか。それに対する対応方針として、今説明できることはあるか。
(環境省) 北九州市の御指摘について、この取組は我々としても大阪、豊田事業エリア、そしてまた東に展開していくことが重要だと思っており、北九州事業エリアを先進事例として、よいところは展開し、改善できるところは改善して展開していきたいと思っている。
 現在でも大阪事業エリアは近畿地方環境事務所、豊田事業エリアは中部地方環境事務所に1名の増員をしており、この取組を進めているところ。また来年度以降も増員強化を環境省として要求しており、今の御指摘も後押しと受け取って進めていきたいと考えている。
 酒井先生から御指摘について、掘り起こし調査の独自調査として、先程の資料でまとめているものですが、まず結論から申しますと、全ての状況をあまり整理せずまとめている状況。御指摘のとおり、主に変圧器・コンデンサーを対象として、自家用電気工作物設置者のリストではないところからアプローチする調査が大きく1点と、それ以外の安定器なども含めた事業者に対する調査がある。
 前者は、例えば電気保安協会など電気主任技術者が所属する事業者と連携をして調査をするなどにより、自家用電気工作物設置者のリストに頼らず、その区画リストなどを活用して、変圧器・コンデンサーをより効果的に調査するといったものが独自調査の中で行う。
 後者は、自家用電気工作物設置者に限らず、ある事業規模、ある事業者、建物の年代等を区切って調査をすることにより、変圧器・コンデンサー以外の安定器等も調査するような内容が含まれる。
 最後に、参考資料1の自治体のアンケートでは、要望等をいただいており、特に安定器の掘り起こし調査については、現在のところ環境省としては、掘り起こし調査のマニュアルの暫定版を自治体の皆様に御提供させていただいている状況。
 この安定器の調査について、自家用電気工作物設置者が主に保管をしているものが残っている状況だが、これに加え、現在使用中のもの、古い建物を持っている方々には一定数あり得るものだと思っており、補完的な調査を行うための方法論を現在検討しているところ。具体的には関係省庁である法務省、総務省とも協議を行い、データ提供等の検討を進めているところ。そのデータが使用可能なものか等を早急に整理し、自治体と連携して取り組んでいきたいと考えている。
(JESCO) 総ざらいという言葉はJESCOが使っている言葉であり、登録されてから処理に至るまでの流れを総ざらいという言い方をしている。
(酒井委員) 安定器対応の方針で、現時点では、法務省との調整もしており、おそらく古い建物の登記情報をいかに円滑に社会として活用できるかという話だと思う。相当に微妙な調整事項があるかとは思うが、できるだけいい方向での調整を期待している。
 それに加え、安定器の掘り起こし調査を進めていくことになると、基本的に技術や製造にある一定の知見があり、その経験のもとで調べていく体制がなければ、簡単には進まないのではないかと思っている。特に照明の関係の事業者さん、電気工作物関係の方々は、主には変圧器・コンデンサーを相手にするのであろうが、安定器も触られているはず。うまく総合的に調整していく体制というのをやはり考えることが必要。
(永田座長) 特に先行して実施している北九州事業エリアについて、できるだけ早く取りまとめをし、それをほかの地域にも活用してもらう。変圧器・コンデンサー以外についても、対応の仕方を整理し、北九州事業エリアやほかの地域でも活用していく方向性で検討していきたい。

(2)政府が保管事業者としてPCB 廃棄物を確実かつ適正な処理のために実行すべき措置の実施状況について
(北海道) 各省庁の取組状況の結果について、道路の照明などに使われている安定器、橋梁塗膜がどうなっているかは、これから掘り起こし調査を行う上で大変かと思う。国土交通省などの数字の中に、これらが入っているのか。入っているとすれば、それらの掘り起こし調査はどのようにしたのか。
(環境省) 今回の最終的な確認を行ったのは、基本的に北九州事業エリアの変圧器・コンデンサー。安定器やその他汚染物の関係については、方法論も含めて検討する必要がある。国交省、その他の省庁も、過去から、様々な取組をやっているものとは承知しているが、全体を把握できている状況ではない。御指摘のあった物についても、どのような確認をしたのか、またさらに確認する必要はないのかはきちんと把握していきたいと思っている。全体的な掘り起こし調査に関してもきちんと受け止めてやらせていただきたく、調整をいろいろやっているという状況。
(北九州監視会議) 北九州事業エリアに関しては、非常に進んだと思っており、ありがたく思っている。やはり期限が間近に迫っており、それによって深化したと思っている。
 ほかのエリアの期限に関してもう1回計画上、設定し直す必要があるのではないか。要するに、間延びする可能性があり、処理事業を完成させるために、全国的にどういう計画で確実に終わらせるのかを検討し直す必要があるのではないか。
(環境省) 役所の取組ということでなく、全体的な話だと認識している。当然ながら処理自体は計画的処理完了期限までに行うことが前提だが、期限間際の去年法改正があり、皆さんの努力なり無理をしているところは否めないと思っている。関係省庁との関係や自治体ももちろんそうだと思っている。
 残された時間を認識して、いつまでどこまでやるのかを現実的にきちんと立てるべきである。瀬戸際になり追い詰められて頑張ったというところで全部が済むわけではないという御指摘を受け止めたいと思っている。

(3)PCB 特別措置法に基づく行政処分等の実施について
(浅野委員) ようやくここまで制度ができたのは大変ありがたく、以前から気になっていた点が、制度的に整ったと思う。しかし代執行はものすごく面倒な手続きが必要。県はともかく政令市の場合、規模の大小があって極めて小さな規模の政令市もある。命令を出して代執行までの手続きをとるほどの人員がいないということが起こりそうな気がする。残念ながら法律上、命令を出さなかった場合、どのようになるかは、何も法的な手当がなくて、これは性善説である。当然やるべきことをやってもらえるだろうという前提で法律ができている。直罰規定もないわけで、命令を出さない限り、結局はさぼっている人はさぼりっぱなしということになりかねないようでは、はなはだ不公平になりかねない。
 そこで何とか財政と話し合って、かかった手続き費用についても、交付税措置を講じることをやれば、自治体としても市民に対して説明ができることがあるだろうと思う。難しいかもしれないが何か検討できないか。
 もう1つは、環境省も人がいないので応援を出すわけにはいかないかもしれないが、やはり都道府県にお願いをして都道府県から、場合によっては、改善命令や代執行の手続きに慣れている人を派遣する等を考えておかないといけないかもしれない。
 命令を出さないといけないのに、行政がそれをさぼっている場合、市民からの行政への義務付け訴訟もないわけではないと思うが、PCB廃棄物の場合には廃掃法の場合の案件とは違うので、そういう訴えを起こしても、おそらく裁判所は訴えた市民の身体、健康に直接に被害が生じるおそれがないと考えて、当事者適格を否定してしまうのではないかと思う。行政に命令をきちんとやってもらえないときにどうするかについては、法律も何の手当もないので、将来的には、もう1回違反者への直罰規定をつけるとか、そのほか何らかの法的手当をしないといけないかもしれないが、当面北九州は間に合わないため、今言ったような点について十分検討をお願いしておきたいと思う。
(菅委員) 使用中の機器を代執行するのは、かなりハードルが高いと思っている。考えていただけるとありがたい。
(環境省) 浅野先生から御指摘いただいた点受け止めきちんとやっていきたい。
 やはり廃掃法の手続きとは違うという点は、まさにそのとおりだと考えている。これまで廃掃法である意味自治体で一生懸命頑張ってもらったところを踏み越えて、PCBについてはやっていかなければいけない。これは期限があり、我々としてもよく認識をして、少なくとも代執行で費用が回収できない等、変な負担がないように、我々としても支援し、事務的な面についても、オーダーメード的に様々な相談に乗る。地方環境事務所において、状況の把握を個々に進めている。法的な要件としてどうすべきかということは並行して議論している。その上でまたさらに何が必要になるのかということをきちんと考えていきたい。
 使用中の機器の御質問について、法律上は電気事業法では代執行の規定がないので、一度、技術基準適合命令という形で電気事業法上の命令を出した上で、それが廃止されて廃棄物になったものを代執行するという形になると思っている。通知には、もしこのようなことが起きた場合の手続きも書いており、直ちに報告徴収・立入検査等で処分の予定等を把握した上で、ない場合にはこれも直ちに改善命令をしていくことを考えている。
 このあたり法的な手続きはこういう形になると思うが、実際、電路につながっているものをどうするかという話になってきた場合には、関係機関と連携しながらやっていくことが必要になる。きちんと個別案件について対応していきたい。
(経済産業省) 電気事業法に基づく技術基準の適合命令については、その後、PCB廃棄物になるということもあるため、当然そういう段階になった場合においては、早い段階から自治体、環境省と情報共有しながら、連携して取り組んでいくことを考えている。
(環境省) 環境省の説明に少し補足する。先程浅野先生から御指摘で、政令市に対する支援について。地方環境事務所の人員増強ももちろんのことながら、来年度の予算要求においても、こういった改善命令・代執行を行う上での支援の体制を予算要求しており、具体的には専門家派遣、相談窓口の設置での体制増強をさまざまな形で措置したい。
(永田座長) 実際には来年度からになるが、次回この会議が年度末には行われるだろうと思っている。その間にもこの件に関しては、さらに突っ込んだ対応を環境省で検討し、報告をすることになると思う。
 代執行の入口は大分明確になってきたかと思っているが、代執行した後の問題として、費用の求償の話は必ず出て、地方自治体としては厄介なこととして残ってくると思う。その辺もここで議論をして結論が出る話ではないと思うし、環境省の出した費用、求償にはきちんと努力してほしいという言い方にはなるのだろうと思うが、ただそれぞれの地方自治体でやり方がいろいろ違ってくる。そして、ある時点で放棄せざるを得ないものも出てくるわけだが、その辺のところで少し規定なりアドバイスなりがあってもいいという気がする。
(浅野委員) 75%までは、徴収できないときには補助するということであるから、求償できない場合には残り25%。
(永田座長) 基本的には求償を続けていかなくてはいけないということになる。
(浅野委員) ただ、求償を続けていくといっても、相手方に支払い能力がないとか、現実には倒産してしまって会社も解散したという場合には、無資力、費用負担者不存在になってしまう。今までの代執行のほとんどの案件は、企業の場合は倒産し、解散しているため、事実上は、求償はほとんどできていないのではないか。
 今回は、在来のものに比べると、意外と確信犯的にさぼっている人がいて、論理的には求償可能という場合があるだろう。最終的には国税徴収法の例によるため、それで本当に財産があるならきちんと差し押さえをかけてやることができるので、差し押さえだけでも効果があるのではないか。最終的に資力がある限りは、国税徴収法の例によって徴収できるということと、ほとんど実際やっていないけれども、今回はやる例が出てくる可能性もあると思う。

(4)その他
(木村委員) 資料4の目的に、いろいろな課題があり、それを踏まえて検討するということで主な課題を書いているが、改めて昨年2月にまとめられた「PCB廃棄物の期限内処理の早期改正に向けた追加方策」に丁寧に課題が書き込まれていたので、ぜひ今回記載している主な課題以外の留意事項や課題についてもしっかりと踏まえて検討をしてほしい。
 9年半の時間があるとのことだが、逆に言うと9年半しかないのではないかと思う。もろもろの課題があるが、昨年まとめられた検討課題としては、今回挙げた全体像の把握から最後の処理までの課題が書かれていたと思うので、その他の課題の検討についても加速してもらえばと思う。
(岸川委員) 課題をこうやって書いているが、低濃度の物量は、高濃度の機器に比べて数倍くらいになるだろうと思っている。その分おそらく関係者というか、所有している事業者は高濃度以上に多岐多様にわたるだろうと思っている。
 そういうことも含めて広い業種、あるいは中小企業も含めて、実情をよく把握をしながら、議論を進めてほしい。
(環境省) 9年半という時間は決して長くはない。なるべくそれに向けてどのように計画的にやっていくのかを考えていきたい。
 また、課題についてはここに書き切れないものが多々あることも重々承知している。ここは代表的なものを書いた。
 またこの検討会以外にも御指摘のあったような、抜油後の容器に関するワーキング等々、ほかの検討も先行して進んでおり、これを総合的に考えながら、低濃度全体どうやっていくかを、この会議体だけでなく、やっていきたいと考えている。
 また、関係者の方々も非常に多岐にわたっているということは承知している。委員にも産業界の方に入ってもらっているが、これで関係者の方が網羅されているとは考えていない。その他検討会で必要と認めた者に関して今後追加していくことも考えている。
(永田座長)  検討の結果については、例えば来年の3月までにまとまった分は、またこの会で報告してもらうということも行うのだろうと思う。
(東京安全委員会) 北九州が先行してやってもらうということで、その経験をしっかりここに置いてもらう。それによってほかも助かってくるため、ぜひよろしくお願いしたい。
 もう1つお願いで、大変な調査をいろいろしている。この結果がPCB特措法の対応だけに、いろんな面でいえば例えば事業者がわからなくなってしまう、それ以上追えないというような事態が出てくる。この情報というのは、環境汚染という観点からいくと、非常に貴重な情報。それをどこかで、環境再生・資源循環局が仮に使えなくても、ほかの環境省の関連部局が使えることにもなるかと思うため、経産省のほうもそういう意味でその要望というのをしっかり押さえておいてもらうことが必要。
(永田座長)浅野先生からも御指摘のあった点、今の中杉先生の話、それから浅岡先生からあった話も一遍どこかでは考えないといけないという気もしている。北九州の経験を生かして今後の進め方というものを、もう一遍再考してみる。もっと早くこの問題が終焉に向かうことができるのなら、それをしたほうがいいという気もしている。そういう点も含めてまた御意見をもらうチャンスがあるというふうに思っている。