環境再生・資源循環

第21回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨

日時

平成28年11月15日(金)10:00 ~ 11:55

場所

TKP市ヶ谷カンファレンスセンター8階大ホール

出席委員

(委員)(五十音順)

浅野委員、上野委員、川本委員、鬼沢委員、酒井委員、菅委員、高橋委員、田和委員、中井委員、永田委員、森田委員

(各事業所の安全監視委員会等の委員長等)

中杉東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会委員長

浅岡北九州市PCB処理監視会議座長

(オブザーバー等)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業所が立地する自治体

(北海道、江東区、愛知県、豊田市、大阪府、大阪市、福岡県、北九州市)

経済産業省

産業廃棄物処理事業振興財団

議事

  • 電気事業法関係省令等の改正及びPCB特別措置法との運用上の連携について
  • PCB廃棄物処理の進捗状況について
  • JESCOによる処理の長期見通し等について
  • その他

議事概要等

  • 会議は公開で行われた。
  • 事務局及び経済産業省から電気事業法関係省令等の改正及びPCB特別措置法との運用上の連携について説明を行い、委員から意見があった。
  • JESCOからPCB廃棄物処理の進捗状況について説明を行い、委員から意見があった。

主な意見等

○ 電気事業法関係省令等の改正及びPCB特別措置法との運用上の連携について

(浅野委員) 電気事業法とPCB特措法が全く別法であるという状況は、全然克服できていないという面がある。これらの連携の部分が特に重要ではないかと思う。

電気主任技術者というのがある意味では独立の専門職としているのだろうが、どこまで権限があるのかよく分からない。ある意味では、事業者に雇われて仕事をするという雇用関係があって、事業者の側が強いということがあるかもしれない。PCB廃棄物となったものを都道府県市へ届けるよう周知する等を電気主任技術者へ協力要請というのはちょっと心もとない面があって、強制力がないためなかなかうまくいかないことがあるのではないか。技術者集団の内部的な職業倫理管理が徹底しているのなら心配ないが、経産省はこのあたりの監視監督をしっかり行っていただかないといけない。

本来ならば、同時に法改正をしてこちらの届出をもってこちらの届出とみなすという規定を置いておけば手間がかからず、事業者も一度に全部が終わるので良いのですが、そうなっていないので、都道府県市に情報提供をしてくださいとお願いをせざるを得ない状況は困ったものだと思う。もっとこれは一貫したものにしてもらいたいという気持ちがある。

また、アンケート調査の結果から、自治体の取組状況をみると工業が盛んで主要産業である地域でない地域において進捗の遅れが見受けられる。これから先はむしろそういったところに力を入れないといけないだろう。経産省の産業保安監督部や環境省の地方事務所等が連携して自治体にお願いを一生懸命やっていただかないといけないと思う。

(鬼沢委員) 参考資料1の8ページ7ポツにおいて、確認をこれまでの記録を確認することでも良いとなっているが、これまでの記録でもしかしたら掘り起こし漏れがあるかもしれないし、記録の間違いがあるかもしれないという心配がある。再確認するということが必要なのではないか。

(酒井委員) 参考資料1について、今後、電気主任技術者と都道府県市との接点を考えると、資料1-2にある電気主任技術者に対してPCB特別措置法の届出の事業者への周知依頼ということは極めて重要であると思う。都道府県市が使用中の認識であって、かつそこに電気主任技術者の調査で分かってきたものをどう的確に扱うか、あるいは、電気室残置というような状況は現実には相当あることは事実であり、このあたりを電気主任技術者の方がどのように情報をつないでいただくかということも、極めて重要なポイントかと思う。是非今後の運用を強化していただきたい。
 また、資料1-2の3ページで、安定器と低濃度に関して極めて緩やかな書きぶりになっているので、今後具体事例が蓄積されていくうちに、これに対する有効な方策をどう反映するか、場合によっては、それにプラス制度論的な反映をどう図るかということが重要であると思う。

(経済産業省) 情報共有というものが非常に重要と考え、今後PCB含有電気工作物廃止等の届出があった際には、都道府県市との情報共有を的確に行ってまいりたい。
 電気主任技術者に関した掘り起こしについても、これが的確に行われるよう、場合によっては立入検査などを行い厳しく対処していきたいと考えている。
 また、参考資料1の8ページのこれまでに行った記録等を確認するということについて、年次点検というものは、基本的に事業場を停電させて行うことになり、高圧という種類の電気工作物は大きな建物になると電気室も複数あり非常に手間がかかる。全数を確認するとなると、長時間かかるということになる。また、無停電点検の場合は、感電防止の観点から充電部に近づかないようにするため、既に十分な確認をやっているところや設備管理台帳の様なもので適切に管理されているようなところについては、それを確認することによって停電時間を短くしたりする等効率的に検査することにより事業そのものに影響がないようにするというところも実態面に合ったところから必要と考え、このような規定ぶりにしている。

(環境省) 連携については、今後強化をしていき、運用でいかに的確にしていくかというところで考えている。特に、環境省も地方環境事務所の体制の強化について、今現在検討しているところであり、次年度からしっかりと連携をして取り組んでいけるような体制を整えたい。
 また、安定器、低濃度の取組についても、知見を蓄積して今後、取組を進めていくということで、今後、安定器の掘り起こし調査についてのマニュアルの整備を進めていくこととし、それと合わせて知見の蓄積を経て的確な取組・連携ができるように体制を整備していきたいと思っている。

(酒井委員) 記録等の確認について、全館停電とか、あるいは感電の恐れとか電気を扱うことの難しさ、あるいは安全の観点が必要だということはよく分かるが、これまで行った確認の記録がどういったものであれば、これは今後活用ができるのかということを具体化していただく必要があるのではないか。
(菅委員) 資料1-2の2ページの真ん中あたりに、各都道府県市から産業保安監督部さんの方に情報提供を依頼するということになっているが、具体的にどのくらいの頻度まで許容されるのか。また、都道府県市から依頼したときに、どのくらいの期間で回答をいただけるのか。
 また、この別紙の依頼文の例の最後の方に個人情報の扱いをきちんとしますというふうに記載してあるが、都道府県も守秘義務というものは十分承知しているので、ここまで書かないと信用してもらえないのかなというのは気になるところである。

(環境省) 頻度、期間については、処分期間が切迫している状況等個々の地域の状況によるかと思うが、御指摘を踏まえて出来る限りの調整を詰めていきたい。
 個人情報についても、もちろん信頼していないということではなく、環境省から経済産業省に依頼する際も、こういうふうに記載しているので御理解いただきたい。

(東京安全委員会) 記録等の確認について、例えば建物を壊すときにも再度全部点検をするべきではないか。届出において把握していない建物が撤去される場合、調査漏れが生じるおそれがある。今回の中での議論ではないが、期限後に解体することが起こり得るので、そこら辺について将来的に何か措置を施していく必要があるのではないか。

(経済産業省) 電気工作物の廃止の届出は、PCBの機器単位といいますよりも、事業場単位として出されることになる。一般的、電気工作物は、使用を止めた時、要は電力会社との契約を切って電気を受電しなくなったタイミングで廃止届出を出したり、合わせてPCB含有電気工作物としての廃止届出も出される。

把握されていない施設を解体した場合でも、廃棄物として排出することになるので、PCB含有かどうかということの確認を求められるので、判明すればPCB特措法に基づく届出を行っていくことになるので捕捉されるかと思う。

○PCB廃棄物処理の進捗状況について

(永田座長) 資料2-3-2の2ページ目の一番上の囲いの中の「事業者数」と書いてあるところは「事業場数」ではないか。

(環境省) 事業場である。1ページ目も同様に、分母が事業場となっているが、分子が事業者となっているので、両方事業場で統一する。

(川本委員) 今の資料2-3-2の進捗状況把握方策(案)についての意見です。進捗管理ということを念頭に置いて進捗率としたと思うが、おそらくこれはそれぞれの調査なり何なりの実施率、実施割合、実施済み割合みたいなものを表すもので、進捗というと何かあるゴールに向けてあるときまでにどこまで進めるかということになり、そういう考え方がもう1つ入らないと進捗管理にならないのではないか。
 例えば、平成31年3月31日までの進捗管理であるならば、どこの時点までに実施済み率をどれだけまで上げるかの様なことを合わせて方策を立てないと片手落ちのように思う。

(東京安全委員会) 資料2-3-2で進捗状況の把握方法を見ていくと、最後にJESCOへの登録が終わるかどうかという観点で評価をしているように思う。事業場の委員会の立場からいうと、そこで登録が終わってもそこで処理ができるかどうかというところが非常に重要なところである。

(浅野委員) 今のお二方の御意見は先々のことまで考えた上での御意見だろうと思う。今の段階では、いつまでにどれだけなんていうようなことを言えるような状況ではないだろうと思う。これを毎年2回ずつ繰り返して見ていけば、ただ数字が積み上がっていくはずなのに全然数字が動かなかったらこれはだめだということになるわけで、それからかなり数字が積み上がっていけば大分いいということになるので、その段階でまた次を考えようということだろうということで良いかと思う。
 その先をどうするかということについての腹積もりが必ずしも明確に見えてこないので、その辺をもっと事務局が今想定していることがあれば、それを少し丁寧に説明すると良いかと思う。

(環境省) まず川本委員からの御指摘で、どの時点までかということについては、基本計画にも書いてあるが、各都道府県市においてその目標期日を定めるということであり、こちらについては、各都道府県市の皆様にお伺いをしていくということにしている。
 それにより、その調査がいつまでということを念頭に置いて、それぞれの数字が順調に積み上がっているのか否かというところを見ていくということになろうかと思うので、現時点でいつまでというのを全ての地域においてまとめて示すことは出来ていないが、今後合わせてそれを示していくことになる。
 また、その1番目の進捗率の全体の期日が見えてきたら、それが完了した段階で2点目、3点目についても全ての量というところが見えてくるかなと思っている。
 また、東京安全委員会から御指摘の点で、登録ができたものが間違いなく処理されているというところは、当面は個別のJESCOの事業所で取り組んでいき、それが事業完了についてのボトルネックになってくる段階において、それを間違いなく100%に進めていくというところの進捗管理に移行していくということが重要かと考えている。

(永田座長) 東京安全委員会の御指摘の部分で3ページ目の上のほうに、「加えて、最終的には、JESCOへの処分に委託がなされることが重要」とあり、これが最終的とは言えないのかもしれないが、処分委託の段階での集計というのも必要になってくる。

JESCOは、次回までにこういうことができるか、できないかを少し考えておくように。特に北九州エリアではもうこういう取組が必要になってくるだろうと思うので対応をお願いする。
 それから、実際にJESCOの中で処理が完了していくという話もきっとその次の段階で出てくると思うので、徐々にこの辺の取組の指標は付け加えていく方向で対応していくことになろうかなと思う。
 また、地方自治体の掘り起こし調査について、資料1-2では、未達の事業所あるいは新しく登録があった分に関しては、電事法の関連の掘り起こし調査を活用していくように書かれている。そうすると、その分は資料2-3-2ではどういう扱いになってくるのか。
 少し心配なのは、基本的にはこちらでやられたものが2ページに出てくるサンプル調査なので、そういう意味では1の調査の結果が信頼できるものかどうか、評価するときに活用できるかなというふうに判断しているが、これよりもかなり低い値が1の地方自治体の掘り起こし調査の進捗率として出てきてしまうという可能性もあるのではないかと懸念する。

(環境省) 御指摘についは、参考資料2-4の2ページのフロー図にどのように進捗管理を行っていくかというところをまとめている。全てがこの順序になるかは分らないが、一番の基本形としてまとめており、まずアンケートを行い、未回答のところに対してフォローアップ調査を行う。一方で、未達事業所に対しては「連絡先確認調査」を行う。これで確認できた事業場に対しては、次のステップの2回目のアンケート調査(フォローアップ調査)を行い、回答が得られるまで調査を行う。それでも連絡先が確認できなかったところは、ステップ3の紫色のところであり、都道府県市で行うアンケート調査の分母からは除外して、100%に達するようにしていく。こういったところに関しては、年次点検を活用した調査において調査をしていくということにしたいと考えている。

(永田座長) そうすると、資料2-3-2の1ページ目の下に書いてある、都道府県ごとの事業者数というのは全体数ではないということか。

(環境省) 御指摘のとおり。その意味では最終的に、その住所が確認できないところに関しては、分母から除外するという形になる。ただ、これに関しては、実際に存在しているのかどうかも含めて、特に北九州事業エリアにおいては、別途の調査でそういったところに関しても、試行的に確認するということを、あわせて環境省の方で取り組んでいきたいと思っているところ。

(永田座長) 先ほどの1-2の資料の方で、1番目の連携と2番目の連携、その間の連携がどう対応するのか。漏れがないような形できちんと地方自治体のほうで把握していただけるような体制が非常に重要なのかなと思う。その辺のところをよく考えていただきたい。

○JESCOによる処理の長期見通し等について

(永田座長) 最初の説明の中で、平成28年度末の国の基本計画に書かれている部分と、JESCOで28年度以降にこれまで集計した分、ここでかなり数量が増えているような状況が見受けられるが、これはどういったことか。

(JESCO) 国の基本計画は、平成28年3月末で整理していただいているが、JESCO計画は、その後4月以降に新しく判明したものも含めているので数字として新しく増えてきているという状況である。

(永田座長) その判明したという状況というのが、掘り起こし調査に絡むような話であったり、あるいは事業者サイドの積極的な対応がこういう格好で現れているのか。

(JESCO) 掘り起こし等の状況も含めている。

(永田座長) この長期計画に当たって、こういう状態がどうして起きたのかという分析をそれぞれのエリアごとにある程度やっておいていただいた方が、将来的な見通しとしてこういうものがまた更に増えていく可能性があるのかないのか、あるいは減る要因も当然出てくるのではないかなと推測できるというふうに思っている。そして、そういうものがまた数量の算定の中に組み込むことができるのか、できないのかという点も含めて、将来予測の数量、将来処理しなければいけない数量の精度をできるだけ高める努力をしていくということで考えていただきたい。

(JESCO) 承知した。

(浅野委員) JESCOにおいて平成28年度と書いてあるのが、PCB廃棄物の処理基本計画が平成28年度の数字を反映をしていないように見える。

(JESCO) 国の基本計画は、平成28年3月31日現在で数字を整理しており、その時点での28年度以降に処分すべき廃棄物の数量ということで整備したものである 一方で、JESCOの計画の中では、その後、つまり4月以降にその時点時点で分かっている廃棄物の数量についても含めている。数字時点、各事業ごとに異なるわけだが、6月時点であったり、7月時点であったり、そこまでの数字が含まれているというものである。

(浅野委員) 了解したが、この書き方が年次が同じなものだからちょっと間違いやすい。もう少し分かるように書いた方が良い。

(JESCO) 承知した。

(永田座長) 下の注釈では書いてあるが、表記の仕方が少し分かりにくい。ただ、違いが何なのかというのはきちんと調べておかないといけないと思う。
 処分委託のところもこれからどんどん重要性が増してくるので、その流れをきちんと実現させるように、JESCOの方も十分考えて対応していただきたい。

○その他

(中井委員) 参考資料4-5の関係において、産業界としてもPCB処理の選択肢の拡大というところに力を尽くしてまいりたいと思っている。最近特にこの数カ月間、処理の選択肢の拡大について、積極的にまた精力的に御議論いただいて進展が出てきていることに御礼を申し上げるとともに、今後とも御指導いただきたい。

(永田座長) 今のメルマガの話も、先ほど11月に漏洩事故を起こしているので、こういうものが起きた後に、こんな事故が起こっているんですということを適宜広報でお知らせをお願いしたい。

(経済産業省) 参考資料4-6のリスト中に、幾つか経産省のメールマガジンでも入っていないものがある。これは、11月16日付けで出すメールマガジンがリストアップされているのだが、自分たちのメールマガジンの中でも各地方局のメールマガジンの中で、例えば毎週何曜日とか、毎月第2、第4何曜日とかに定期的に出しているものがある。そういったものについては、11月16日以降、適宜情報発信を行うつもり。随時これだけではなく、何かあったときは、こういったメルマガを通じながらいろいろな情報発信を出来る限り知恵を絞ってやっていきたいと考えている。

(酒井委員) 参考資料4-2で経産省からPCB安定器についての講習会等での説明をしていただいているが、この資料において、今の漏洩事故等の事実がまだ紹介されていないようなので、やはり基本的には過去の通知等も含め、直近で起こっていることを正確に伝えていただくようにお願いしたい。せっかくこういう資料を作っておられるのであれば、是非その中に盛り込んでいただきたい。

(経済産業省) 承知した。