環境再生・資源循環

第17回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 議事要旨

日時

平成28年3月30日(水)10:00 ~ 11:30

場所

大手町サンスカイルーム E会議室

出席委員

(委員)(五十音順)

浅野委員、伊規須委員、親里委員、川本委員、鬼沢委員、酒井委員、正賀委員、高橋委員、田辺委員、田中委員、田和委員、中井委員、永田委員、森田委員

(各事業所の安全監視委員会等の委員長等)

眞柄北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議委員長

中杉東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会委員長

上野大阪PCB廃棄物処理事業監視部会委員

浅岡北九州市PCB処理監視会議座長

(オブザーバー等)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業所が立地する自治体

(北海道、室蘭市、東京都、豊田市、愛知県、大阪市、大阪府、北九州市、福岡県)

経済産業省

産業廃棄物処理事業振興財団

議事

  • PCB特別措置法の一部を改正する法律案の閣議決定について
  • PCB廃棄物処理基本計画の変更に向けた主な検討事項について
  • 前回検討会以降の国の取組状況の報告

議事概要等

  • 会議は公開で行われた。
  • 事務局より、PCB特別措置法の一部を改正する法律案の説明があり、委員より意見があった。
  • 事務局より、PCB廃棄物処理基本計画の変更に向けた主な検討事項について説明があり、委員より意見があった。

主な意見等

(1)PCB特別措置法の一部を改正する法律案の閣議決定について

(浅野委員)10条の3項で特例処分期限日を許された者が初めは確実だと思ったが、その後確実でないことがわかったときには、この特例の承認を撤回するという手続きがないといけないのだが、この規定の中にはそれがないのは問題ではないか。
 この場合、都道府県知事が11条で必要な指導助言をすることができるという規定があるので、これで指導助言をして撤回してもらうというふうにする以外になくこれは少し問題ではないか。撤回してもらえないと改善命令が出せないということになってしまうので非常に厳しいことになる。

最初から性善説でほとんどの人は大丈夫だと思うが、突然経営が怪しくなって、予定どおりにいかなくなったという不可抗力のような事態もないわけではないので、この特例が撤回できるという規定がないことを少し心配している。事務局で何か考えがあればお聞かせいただきたい。

(環境省) 第10条3項の特例処分日の特例処分期限日の適用対象となる者については、要件をしっかり厳しくした上で、あくまでも本当にしっかりとこの期限日までに処分可能な者のみが、この特例を適用されるような形でしっかり運用したいと考えている。
 その上でなおかつ実際に届出をしたけれども、そのとおりにできない者が出てきた場合、第10条第4項にある内容変更の届出を都道府県知事に届け出なければならない。届け出た内容がこの要件を満たさないということであれば、当然この特例処分期限日の適用対象から外れるということになり、仮に届出内容に虚偽があったような場合、これについては罰則の適用があるという形にしている。その中で届出内容等を行政で把握して、これでおかしい、虚偽があるということであれば、それは特例処分期限日の対象にならないという形で運用する形になろうかと考えている。

(中杉委員) 不法投棄されたものがPCB廃棄物と認められる場合、保管事業者等の規定はどう整理されているのかお伺いしたい。

(環境省) 不法投棄されたPCB廃棄物の保管事業者を徹底的に探し出した上で、その方に処分を求める。ただ、その徹底的に追及した上でなお保管事業者が不明の場合、処分期限日が迫って来るのでどうにかしなくてはいけないということになる。それについては今回、条文の中で行政代執行の規定を設けている。そうした場合に行政代執行が円滑にできるように、要件を明確化した上で、都道府県市等が行政代執行できるという規定を新たに置いている。こうした取組については、国としてはしっかりと後押しをしていきたいと考えている。

(酒井委員) 第2条で今回定義を起こされたということで、これまでの規定と考え方が変わったのかどうかというところはちょっと解説があったほうがいいと思う。

 加えて政令で定める基準という政令事項が置かれているが、ここへの考え方、方針というものもお持ちであれば御紹介いただいたほうがいいかと思う。

(環境省) 定義のところで今までは高濃度、低濃度の区別というものがなく、今回新しく高濃度PCB廃棄物という形で、高濃度と低濃度を分ける形で新たに定義を置いた。

 この区別は、従来の整理をそのまま踏襲した形で法律上位置づけたいと思っている。政令で定める際においても、これまでの整理をそのまま踏襲した形で位置づけしたいと考えている。

(2)PCB廃棄物処理基本計画の変更に向けた主な検討事項について

(上野委員) 高濃度PCB廃棄物は、追加的方策としてはかなり盛り込まれていると思うが、低濃度のPCB廃棄物については、まだ検討が不十分なところもあるのではないかと思う。

(中杉委員) 今後のPCB廃棄物の処理は、JESCOがいかに計画をちゃんとつくってフォローしていくかということが非常に重要なポイントになるだろう。そこら辺のところは、JESCOでどういうふうな検討をされているかまた御報告いただいて、我々も意見を申し上げたい。これはそれぞれの事業者のところでも繰り返し情報が変わるので、その度に計画を示していただきたいというふうに申し上げたのだが、そこら辺のところが非常に重要な話になってくる。事業者のほうが協力してもJESCOのほうができなければ期限前に終わらないということになり、そこら辺のことが最後の肝になると思うので、しっかりやっていただくことが必要ではないか。

(JESCO)計画の数値的にまとめた部分を、監視委員会の場等でもお見せしてこちらのほうで説明をしているので、それをきちんとアップデートしていくということで対応してまいりたいと思っている。

(浅野委員) 今回基本計画の構造そのものが今度すっかり変わるので、今までの基本計画に合わせてぴたぴたとはめ込んでも全然合わない。つまり今までの基本計画はややタイトルが限定的だったので、それに引きずられて無理に狭いタイトルの中に多くのものを押し込んでいる。
 今回はそれが全部改善されたので、基本的な方針は基本的な方針としてはっきり出せ、さらに計画的処理に必要な措置というのをきちんと書くことになっている。今それは体制の話と一緒になっていて、本当は今度の第3号に書かれていることに該当する部分が、今の計画では「その他の項目」で第3章になっている。そこにあるのは単に情報の収集と、情報提供しかないが、これではまずいので、もう一度全部基本計画を新しい法律の構造に照らしてやり直しをする必要があると思う。

 その上で各論的なことだが、今回の改正法で特に重要だと思っている点が幾つかある。使用済み製品について今までと違って廃棄物とみなす規定まで置いているので、これはかなり丁寧にきちんと書いていく必要があると思う。
 さらにまた関係者の連携ということについても、今度ははっきり条文上も明確に出ているのでこういうことは入れていく必要があると思う。
 それから閣議決定で政府全体の基本計画ということなので、特に留意していただきたいのだが、電事法によって特例を設けているのだが、これは当然基本計画の中にきちんと位置づけられなければならない。電事法が何をなさるのかということはしっかり情報を出していただいて、それもこの中に入れることが絶対に必要だと思う。あくまでも環境省のやることだけ書けばいいと言われたのでは困るので、それは相当はっきりと書き込む必要があるだろうと思う。
 低濃度PCB廃棄物についても、今まで以上に書かないといけないことがある。
 それから今度の新しい計画では政府が保有するPCB廃棄物等について、政府がどうやって率先実行するかということについて書かないといけないのだが、せめて政府は3年前ぐらいには全部終わるぐらいのことを言わなければならないのではないか。

 もう一点、稼働中の施設でとても人が上がれないような場所にPCB製品が使われている場合、機械を止めることもできない場合はどうするのかということがある。こういったものも考えておかないといけないかもしれない。

(環境省) 高いところに使用されているPCB製品については、恐らくこれは安定器に多いと思っている。高天井の工場の安定器をどうするのか。実際、そういう実例があって、結局それは工場の操業をちゃんと止めて、高所作業までしないと確認できないというところになる。安定器の掘り起こしもそうなのだが、それについては一部まだ報告書の中で、もっと掘り起こし調査も考えるべきだという御提言もいただいている中で、より実情に応じた実例を我々が整理していく必要があると思っている。

(酒井委員) これまでの基本計画との変更点を頭に置いて意見すると、1つはやはりより協調の観点を強く出していくべき。今各主体の役割でそこに協力の観点というのが盛り込まれているが、より連携の視点を強く出さないと、今後の掘り起こしから処理に向けての流れが進まないという認識を強く持つべきだろうと思う。
 そういう意味では環境省と都道府県、政令市等の連携というのは核になる大事なところ。

もう一つは経産省と電気保安協会等のご協力というところ。そしてその両者をちゃんとつなぐというところを明確に出していかなければならない。
 そういう意味で、これまで連絡会と称しているところの役割を基本計画の中で明確に位置づけていくということは、非常に大事なことになってこようかと思う。今の連携をちゃんとつなぐための非常に重要なプラットフォームだという認識を持つべきであると思っている。
 そういう中で基本的構造が、基本計画が変わっていくということであれば、今書いてある各主体の役割、各主体が現在の整理で十分かという点は考えていってしかるべきという風に思う。国、保管事業者、製造者という整理だけでいくかという点は、今後の作業を踏まえた、ある種の主体というところが出てきていいのではないかという風に思う。
 特に電気保安事業者の関係の方々が製造者等ということで読み込むのか否か。あるいはそこは電事法とのブリッジをどうかけてどうやっていくのかという点は、明確に主体として整理を再度していったほうがいいのではないかという風に思う。 

(永田座長) 基本的に今日見ていただいた資料でおわかりのように、従来の基本計画とそこに報告書で該当する箇所が書かれてみると、これは構造を変えないととても無理だなと、それがおわかりいただけたのではないかと思う。次回に素案をお出しするときには、従来の基本計画と相当違ったものになっている。そういうことをご了解いただきたいと思う。

 基本的にJESCOは、長期処理計画の進捗管理を常にやっていくということになると思う。これはそれぞれの事業所部会、事業所ごとにくっついている部会のほうでも審議していますし見ていきたい。それから、全体像としても事業検討委員会のほうで対応していくという流れになるかなと思う。

(中杉委員) もう一つ追加で申し上げると、やはり保管事業者との連携といいますか、出したいというほうと受けたいというほうが、いかにうまく調整をとるかということが非常に重要だと思う。そこのところがうまくいくのだろうかと心配がある。そこら辺をしっかりつくり込んでほしい。

(JESCO) 今御指摘の点については、JESCOとしてもこれからちゃんと取り組んでいかないといけないと思っている。既に大手の多量保管者とは各事業所の営業課が長期的にどういうものを保管していて、それをどういう年度で順番に処理していくかといった話し合いを開始したところ。これから実際具体的なところを、お互いに希望を言い合いながら前向きに進めていきたいというふうに思っている。

(伊規須委員) 33ページの上のほうに収集運搬を行う際の、それにかかわる人、あるいは周辺の人の安全への言及があるが、確かにここら辺の弱点が出やすいのは、収集運搬のステップかと思う。さらに、例えば先ほど出た高所にある機器の処理、あるいは超大型のトランスからのPCB抜油ということも考えると、必ずしも収集運搬のところだけで安全性についてカバーし切れないのではないかとも思う。もうちょっと広い視点から、作業に従事する人、その周辺の人の安全性に言及するところがあっていいのではないかと思う。

(永田座長)検討会のほうでは、確かに低濃度に関して報告書としてもまだ不十分だという意見を相当お寄せいただいて、まだやることがあってそれを順次積極的に進めていくべきという話になっていたので、今回の基本計画にも、おっしゃるとおり、これで十分だという内容にはきっとならないという気がする。それはもう基本計画の改定を順次、重要なときには実施していくということで対応していく流れが妥当かなと私自身は思う。
 今、伊規須先生がおっしゃったようなところも含めてこれから積極的にそういうところも関連する事項として、どこかで安全性の問題とかいろいろ指摘されていれば、もう一遍その点を見直して次回の素案に反映させていただく。そういう方向でまいりたいと思っている。
 今いただいた御意見、国会での審議が始まるので、その内容も踏まえながら素案を作成して、次回には提示できるように事務局と相談しながら考えていく。

(3)前回検討会以降の国の取組状況の報告

(鬼沢委員) 経産省が説明した最後の参考資料3について、本当に1カ月の間に6回開催して570名の方が参加しているのだが、今年度全国で10回というのはもっと開催してもいいのではないかという気がする。会場の様子を見て参加人数が、非常に多いようだったらこの10回をもっと増やしていくとかそういう計画はあるのか。私は出来れば倍の20回ぐらい開催してもいいのではないかと思う。

(環境指導室) 当省とても環境省と一緒になって積極的に人繰りがつく範囲内で最大限の普及啓発活動を行っていきたいと思う。人が講師とかその辺の兼ね合い、あと会場の設置等々、先ほどもご説明させていただいたが、関係者の方に協力をいただきながら進めている。10カ所に限らず、極力できる範囲内で会場も大きく、できるだけ回数も多く開催したいと思っている。

(永田座長) 普及啓発、広報という関係、これは非常に重要だという御指摘もある。こういう会合、説明会という場だけでなく、もうちょっと広くいろいろ対応もしていただく必要がありそうだなと、その辺の計画も順次立てていただきたいと思う。
また、代執行に対する支援のあり方検討会の方は、結論が得られるのは大体いつごろになりそうか。

(環境省) この検討会の中でも検討会のスケジュールについての御議論をさせていただいて、今のところ、夏ごろをめどに検討を取りまとめる方向で御議論させていただくという方向性である。

(永田座長) 環境省、経産省ともに先の報告書を踏まえたさらなる取組が行われるよう邁進していただきたいと思う。