環境再生・資源循環

第13回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事要旨

日時

平成27年1月27日(火)

場所

JA共済ビル カンファレンスホール

出席委員

(委員)(五十音順)

井上委員、織委員、川本委員、鬼沢委員、酒井委員、正賀委員、田中委員、田辺委員、田和委員、永田座長、福間委員、森田委員

(各事業所の安全監視委員会等の委員長等)

眞柄北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議(以下「北海道監視円卓会議」)委員長、

中杉東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会(以下「東京環境安全委員会」)委員長、浅岡北九州市PCB処理監視会議(以下「北九州監視会議」)座長

(オブザーバー等)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)

中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業所が立地する自治体

(北海道、室蘭市、東京都、江東区、豊田市、愛知県、大阪市、大阪府、福岡県)

経済産業省

産業廃棄物処理事業振興財団

議事

  • PCBが使用された廃安定器の分解・解体について
  • 低濃度PCB廃棄物の焼却処理の燃焼温度の基準について
  • 課電自然循環洗浄法について
  • PCB廃棄物処理基本計画変更後の主な取組について

議事概要等

  • 会議は公開で行われた。
  • 事務局より、PCBが使用された廃安定器の分解・解体について説明があり、委員から意見があった。
  • 事務局より、低濃度PCB廃棄物の焼却処理の燃焼温度の基準について説明があり、委員から意見があった。
  • 事務局より、課電自然循環洗浄法について説明があり、委員から意見があった。
  • 事務局より、PCB廃棄物処理基本計画変更後の主な取組について説明があり、委員から意見があった。

主な意見等

(1)PCBが使用された廃安定器の分解・解体について

(田中委員)全体としてはやむを得ない。量として10%といっても600万個の10%であり60万個存在する。これをより安全に確認できる方法を研究することが大事かなと思う。

(眞柄北海道監視円卓会議委員長)外付け型安定器からのコンデンサの取り外しは、JESCO事業所で実施するのか、あるいは除去されたコンデンサだけが搬入されるのか。

(環境省 中野課長補佐)基本的には安定器に手を加えることはすべきではないと考えるが、外付け型安定器は例外的に厳格なやり方を示している。JESCOに入ってきた安定器はそのまま処理をすべきであると考える。

(永田委員長)今後の対応如何。

(環境省 中野課長補佐)パブリックコメントの実施後、制度の改正を行ってまいりたい。実際の制度の施行等に関しては都道府県市が指導をしていくことになる。環境省としても情報発信・普及啓発を実施していく。

(2)低濃度PCB廃棄物の焼却処理の燃焼温度の基準について

(浅岡北九州監視会議座長)850℃2秒というものが、どの程度の安全確率、余裕度で設定されているのか。

(環境省 中野課長補佐)安全確率がどの程度かは判断できないが、環境省がこれまでに実施した実証試験は、850℃2秒以上の滞留時間で試験を実施し、排ガスや燃えがら、ばいじんなどは基準等を満たしている。

(中杉東京環境安全委員会委員長)PCB特措法の考え方はこれで良いと思う。

(織委員)なぜ850℃という温度を設定したのかを解りやすく地域住民などへ説明することが重要である。

(川本委員)850℃以上2秒というのは通常の焼却施設での基準との並びということで整合性がある。また実際にPCBを微量に含む廃棄物等の数多くの試験から絞り込まれた数値ということで異論はない。ただ試験データを見ると、実際には900℃くらいで運転しているデータもあるため、今後も技術データを継続的に取得しておくことも重要である。

(永田委員長)パブリックコメントの実施にあたっては、850℃の意味に係る説明にも配慮していただきたい。

(3)課電自然循環洗浄法について

(森田委員)この検討にかかわった委員として発言する。この洗浄法は(一財)電力中央研究所の熱心な研究をベースにしており、技術的にはほぼ問題がない目途がついている。ただ、それを実際に適応するに当たって幾つかの課題が見つかったことから、問題のないと考えられる比較的大きなトランスから実施し、データを蓄積し、その後適用範囲を広げることとした。

(田中委員)限定的な適用範囲であることから、今後適用対象を拡大することが重要である。

(酒井委員)議論にかかわった1人として発言する。この技術の本質は適正に絶縁油が交換されたことの確認手続きをどうとるかというところにある。これまでのデータの蓄積により、今回提示された条件であれば、当面問題はないだろうという提案と認識している。事務局の説明でもあったが、ブッシング中のPCB含有の有無を確認する十分な技術が現状では無いため、技術開発を進め、適用範囲を拡大していくことも大事なポイントである。

(井上委員)この洗浄法については森田委員を初め、運用面も含めて検討いただいた。環境省、経産省の御協力もあり、運用できるところまできて、大変感謝している。対象機器のほとんどは電気事業者が保有していることから、現在、全数調査を実施している。また、ブッシングの濃度測定については、JEMAの御協力のもと、今後解決に向かって検討を行う。さらに、本洗浄法の適用範囲拡大に向けてデータを蓄積していきたい。

(永田座長)処理促進を図っていくという中で、この技術は非常に重要だということで、一番厳しい条件のところからまず認定しつつ、この技術が適用される範囲を広げるための試験も実施していくということになろうかと思う。実績も重要な資料となるので得られた情報も適宜検討の中に入れていきながら、より確実性の高いものとしてこの技術を成長させていけばよいと思う。パブリックコメントの御指摘を踏まえて必要な措置を講じていただきたい。

(4)PCB廃棄物処理基本計画変更後の主な取組について

(井上委員)抜油後の筐体について安全かつ合理的な取り扱いについて検討をしていただいているが、経団連のPCB処理推進のワーキングの座長を務めさせていただいており、産業界ではコストというものも非常に大きな要因と考えている。リスクに応じた合理的かつ安心してもらえる処理方策を検討してもらいたい。

(織委員)微量PCBの処理はコストをかけずに合理的にやらなければならないが、住民の理解というものも重要である。技術的な面だけでなく、リスクコミュニケーションも考えていく必要がある。

(眞柄北海道監視円卓会議委員長)基本計画変更の際、JESCO北海道PCB処理事業所については大きな議論が2つあった。1つは処理期間の延長による施設の安全性が担保できるかということであるが、JESCOからの精密な機能診断により解決した。もう1つは、未登録の機器の掘り起こし調査である。国または関係機関に対し、掘り起こし調査をより積極的、かつ早急に実施し、国全体に残っているものの実態が明らかになるよう努力をお願いしたい。

(浅岡北九州監視会議座長)未登録機器の掘り起こし調査を実施している状況であるが、濃度が薄くなってきており、処理のスピードが落ちることを危惧している。期限内に処理を完了するためには、より一層アクティブに行動する計画にしてもらいたい。北九州市では比較的高密度にPCBが存在していたが、それでも掘り起こし調査の回答率が悪いため、他の地域では悪い結果になることを危惧している。また、他の地域からの搬入が今後考えられるため、それらについてもフォローをしっかりと実施してもらいたい。

(環境省 中野課長補佐)引き続き関係機関と一丸となって最大限、努力していく。進捗状況については監視会議や本検討会の場で定期的に報告する。

(永田座長)本日の意見を踏まえ、引き続きPCB処理が安全にかつ1日でも早い終了に向けた進展が図られるよう、関係者一丸となって対応をしていただきたい。