環境再生・資源循環

第13回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事録

日時

平成27年1月27日(火)

場所

JA共済ビル カンファレンスホール

開会

(角倉課長) 皆様おはようございます。定刻となりましたので、ただ今から「第13回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」を開催いたします。まず議事に先立ちまして、廃棄物・リサイクル対策部企画課長の山本よりご挨拶申し上げます。

(山本課長) おはようございます。ただ今御紹介のありました、企画課長の山本でございます。当部の鎌形部長が少々遅れておりますので、私の方から一言御挨拶申し上げます。
 まず永田先生を初め委員の皆様方、それから各地域の監視委員会の代表の皆様方、オブザーバーの皆様方、本日は御多忙の中御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 委員の皆様方には平成23年10月から前回、昨年の5月まで約2年半にわたりまして今後のPCB廃棄物の適正処理の推進策について熱心な御審議をいただいてきたところです。その結果を踏まえまして御案内のとおり、昨年6月にPCB廃棄物の処理基本計画の変更を行いました。これでまたPCB廃棄物の処理が大きな新たな段階に進んだということでございます。改めまして、委員の皆様方の御協力、それから関係自治体の皆様方の御協力など様々な方々の御協力、御尽力に心から感謝申し上げたいと思います。
 この基本計画の変更によりまして、処理期間が残念ながら延長せざるを得ないという状況になりました。JESCOが持ちます5カ所の処理施設を最大限有効に使って1日も早く処理をしていくということで新たな方針を示したということですが、とにかく処理期間を延ばすということで地元の方々からも大変厳しい御指摘、御意見もいただいているところですので、地元の方々とのお約束をしっかり守りながら、期間の延長ということではありますが、1日でも早い処理が完了できますように関係機関一丸となって取り組んでいく。これを強く関係者からも求められているところでありますし、環境省としても全力で取り組んでいくということで考えております。
 それから前回の会議におきまして本検討会において、新しい基本計画に則っての取組を定期的に御確認、御審議いただくということをお願いしておりますが、今回は基本計画改定後の第1回目ということでありますので、議題にありますようにPCB使用安定器の分解・解体や、低濃度PCB廃棄物の焼却の温度、あるいは課電自然循環洗浄法といった課題についての御審議と併せまして、基本計画変更後の主な取組につきましても本日御報告させていただき、また先生方からしっかりと御意見をいただき、それを踏まえてJESCO共々全力で取り組んでいきたいと思っております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

(角倉課長) 続きまして本日の出席者につきまして、前回から委員の交代がお2人ございましたので御紹介させていただきたいと思います。
 まず、電気事業連合会環境専門委員会委員長の井上委員でいらっしゃいます。
 続きまして、兵庫県農政環境部環境管理局環境整備課長の正賀委員でいらっしゃいます。
 ありがとうございます。続きまして今回御欠席の先生方がお三方いらっしゃいます。浅野委員、伊規須委員、鈴木委員のお三方につきましては本日御欠席との御連絡をいただいております。織委員につきましては遅れていらっしゃるということですので、間もなく到着するのではないかと思います。
 またJESCO地元の自治体で開催されている監視委員会の代表の皆様にも、本日御出席をお願いしております。眞柄委員長、中杉委員長、浅岡座長におかれましては御多忙のところ御出席いただきましてありがとうございます。なお、豊田の松田座長、大阪の上野教授につきましては、本日御都合がつかないということで御欠席との御連絡をいただいております。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただければと存じます。お手元の資料を御覧いただければと思います。1枚目が議事次第でございます。2枚目が委員等名簿をつけさせていただいております。続きまして資料1、資料2、資料3-1、3-2、3-3、4、続きまして参考資料1、参考資料2、参考資料3-1、参考資料3-2、参考資料4、参考資料5、参考資料6、参考資料7でございます。もしお手元に不足等ございましたら事務局までお申しつけいただければと存じます。
 それではこれ以降につきましては、座長の永田先生に進行をお願いしたいと思います。報道関係の方のカメラ撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは永田先生、よろしくお願いいたします。

議事

(永田座長) おはようございます。委員の皆様、また監視委員会の代表の皆様、御多忙の中お集まりいただきましてありがとうございます。
 本日の検討会ですが、先ほど山本課長からも御案内がありましたように、基本計画変更後の最初の開催となります。お手元の議事次第に4つの議題が準備されております。いずれにつきましても、環境省の方から資料を説明いただいた後に、委員の皆様から御意見、御質問等を頂戴したいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず議題の1番目「PCBが使用された廃安定器の分解・解体について」ということで、資料1について環境省の方から説明してもらいます。どうぞ。

(中野課長補佐) 委員の皆様方、おはようございます。環境省の産業廃棄物課の中野と申します。私から資料1に沿いまして御説明させていただきます。
 資料1、「PCBが使用された廃安定器の分解・解体について」でございますが、「1.概要」にございますとおり、JESCOで処理しております古い蛍光灯の安定器につきましては、その中に高濃度のPCBを封入したコンデンサを使用しているものがあるということで、特にこういった高濃度のPCBが使用された安定器が廃棄物となったようなもの、この資料の中ではPCB使用安定器と申します。こちらにつきましてはPCBを封入されたコンデンサ以外の部位も存在していますが、そこもPCBで汚染されているというような報告もなされており、環境への影響が懸念されておりますことから、その性状、取扱いの留意点について、私どもの方で検討を行わせていただきました。
 「2.検討結果」にございますが、私どもといたしましては、既存の文献ですとかこれまでに環境事業団、JESCOの前身でございますが、そちらが平成14年度に行った調査、さらには平成23年度にJESCOの旧称で日本環境安全事業株式会社時代に行った調査、それから平成25年度に、環境省が廃安定器の分解や解体に関する調査をさせていただいております。その結果を御説明させていただきます。
 まず、安定器につきましては、一言で安定器と申しましても構造的には大きく2種類に分類されるところです。写真にありますとおり左と右で構造が違います。左側がコンデンサ充填材固定型の安定器、右側の写真がコンデンサ外付け型の安定器というものです。
 ここから資料を2枚おめくりいただけますと、別添という資料、「PCBが使用された廃安定器の分解又は解体について」ということで、ページ番号1と振ってある資料になります。こちらの別添をさらにおめくりいただき、2ページを御覧下さい。2ページの上の方に図1という模式図を載せております。一般に安定器の構造としてはこの図1のような構造をとっております。大きな箱の中にPCB入りのコンデンサという小さな箱のようなものが、図1でいくと右側に設置されております。本来はこの部分に絶縁油たるPCBが使われているという構造になっております。この構造が先ほど冒頭で2種類の構造になると申し上げましたが、1つがこのページの真ん中からあります①コンデンサ充填材固定型安定器と申しまして、写真を2枚載せております。左側の完全充填型というところをごらんいただきたいのですが、この写真にありますとおり、真っ黒い、いってみるとようかんのような見栄えのものがこのコンデンサ充填材固定型安定器というものでございます。この真っ黒いものが充填材と呼ばれましてアスファルトによる充填材あるいは樹脂による充填材が上の図1でいきますと、コンデンサとかコイルとか鉄心がない空間全部がこの充填材で埋め尽くされているような構造となっているものでございます。
 もう一つが、2ページ目下の②番から書いてございますが、コンデンサ外付け型安定器というものでございます。こちらは右側の3ページに4つ写真が載っておりますけれども、左上とか右下を御覧いただくとわかりやすいのですが、PCBが入っているコンデンサ部分、モーターのように中から出てきている金属製の部分、あるいはプラスチック灰色のものですけれども、こちらがコンデンサになっていて、これがほかの部位とは別に外につけられていて、これが赤とか白のリード線で本体とくっついている構造になっている。これがコンデンサ外付け型安定器というものでございます。3ページの(2)にありますとおり、この廃安定器の数、この構造それぞれの数ですが、全体的には24年3月にまとめた安定器の数量でいきますと、約600万個保管されているのですが、このうち最初に申し上げました充填材でようかんになっているような固定型のものが90%以上、それからコンデンサ外付け型安定器が10%以下ぐらい、9対1ぐらいの構成比で存在するというところがわかっております。
 こういったコンデンサの解体・分解というのは、安定器からPCB入りのコンデンサの部分だけ取り出せば、残りの部位についてはPCBに汚染されていないものとして扱われるのではないかというようなところを狙いとして、そのような処理をしてはどうかというようなところがこれまでもございました。これについて具体的にどういったことをされるのかというのが、この3ページの下以降、次の4ページから書いてございます。具体的には4ページ、5ページで解体・分解の方法を書いてございます。
 まずコンデンサ充填材固定型安定器につきましては(1)ですけれども、ディスクソー、バンドソーと呼ばれるコンデンサが入っている側を、要はのこぎりでようかんを切るような形の切断をするやり方になります。あるいは(2)番にありますとおり、これも充填材固定型安定器ですけれども、あの黒い充填材の中でコンデンサ部分までドライバーなどの工具を使って、むき身をするような形でほじくってコンデンサ部分だけを取り出すというような工程になるということでございます。この場合、取り出されたコンデンサがかなり変形をしているという例がございます。
 これに対してコンデンサ外付け安定器の場合は6ページにありますとおり、コンデンサの部分だけをリード線を切って、そこだけを切れば手作業で簡単に取り外せる。こういった分解の方法があるところでございます。
 こういった分解をしたときの残った部位のPCBの汚染状況について、この後、資料では書いております。結論をポイントだけ簡単に申しますと、この資料の15ページを御覧ください。15ページからは、この2つの構造の安定器の分解・解体をしたときのPCBの汚染状況についてまとめてございます。まず、この15ページはコンデンサ充填材固定型安定器の汚染状況についてこれまでの調査結果等を踏まえますと、一番下にまとめと書いてございますが、結局このようかん型のコンデンサにつきましては、分解・解体前でも実は全体的に内部充填材までPCB濃度が5000mg/kgを超えて汚染されているようなものが存在することがわかりました。かつこれを先ほど申し上げましたように、のこぎりで切ったりあるいは工具でほじくり返したりすると、その残りの部分についてもかなり高濃度、5000mg/kgを超える高濃度のPCB汚染を生じているような状況となってございます。
 一方で16ページです。16ページにはコンデンサ外付け型の方の安定器の汚染状況が書いてございます。こちらは16ページの真ん中辺のまとめにございますが、外付け型の安定器の場合、もともと全体のケースの表面でPCB濃度が1400μg/100cm、これは換算しますと1000μg/100cmを超えると、大体低濃度PCB廃棄物の濃度基準である5000mg/kg以上に相当するものになるのですが、こうしたものが47試験したうちの1個だけございました。こちらについてはそもそものコンデンサが腐食膨張しているということが見受けられまして、それ以外につきましては健全に取り出されていると、それ以外の部位についてはこの1000μg/100cmを下回っていますが、一部やはりPCBが中央値0.5とありますけれども、これ以上の値となるものもあるということがわかったところでございます。
 ここから結論ですが、基本的に分解・解体については、16ページの一番下ですけれども、固定型安定器については、どうも切ったりほじくり返しても残った部位も高濃度のPCBに汚染されているものがあるということで、こういった分解・解体を認めるのは難しい、認めるべきではないのではないか。あるいは②外付け型安定器につきましては、コンデンサの形状が長々と年月がたっておりますので、おかしい場合は高濃度のPCBにコンデンサ以外の部位も汚染されていますので、まずは原則こういったことはやるべきではないのですが、コンデンサの形状、性状に変化が生じていない場合できちんと外付け型のコンデンサを安全に取り外せるようであれば、そこまでは厳密に禁止しなくてもできるのではないか。ただ、その場合も残ったコンデンサ以外の部位についても、PCB濃度が低濃度で汚染されていると考えられますので、こうしたところをちゃんとケアすべきであろうというところを結論としてまとめています。
 最初の資料1に戻っていただきまして、1ページの裏側のページです。「3.これまでの対応」と書いていますが、今申し上げましたような知見から安定器の分解・解体は、コンデンサ外付型の一部を除いて禁止すべきであるという旨を、次のページから平成26年9月に通達という形で都道府県市の皆様方に通知させていただいたところです。
 今回皆様方に申し上げたいのは4番でございます。PCB安定器につきましては、廃棄物処理法上は、特別管理産業廃棄物として特別管理産業廃棄物の処理基準ですとか保管基準というものに従わなければならないという制度になっていますが、今般の状況、知見を踏まえますと、廃安定器につきましては、そこからの解体あるいは解体した残りの部分が広く流通されることによってPCB汚染が広がることを防止するためには、この廃安定器については外付け型のコンデンサの一部を除いて、形状を変更しないようにするような旨の基準の改正を行うべきではないかと考えているところでございます。説明は以上でございます。

(永田座長) どうもありがとうございました。それではただいまの説明に関しまして御意見、御質問のある方、名札を立てていただけますでしょうか。間にマイクが入っていますので、マイクをお使いになって御発言願えればと思います。いかがでしょうか。

(田中委員) 全体としてはやむを得ないかなという感じがします。特に一般的には分ければ資源、混ぜればごみということで、分ければ処理コストが安くなるということで、気持ち的には外付け型の安定器が分離すれば残ったほうは、ほとんど中央値が0.5μg/100cmということで非常に少ないのですが、これらも全てPCB廃棄物、特別管理廃棄物として処理しなければいけないということです。全体としては10%といっても600万個の10%ですので60万個。これをより安全に確認できる方法を研究することが大事かなというように思いました。

(永田座長) どうもありがとうございます。

(眞柄委員長) 北海道の監視円卓会議の委員長をしています眞柄でございます。
 今の御説明のとおり外付けの安定器については、安定器に損傷がない場合、おっしゃるとおりこのような措置をとられて結構かと思います。私のお聞きしたいのは、外付けの安定器からコンデンサを外すのが、例えば北海道の場合は、北海道事業所が行うべき業務であるのか、あるいは安定器が除去されたコンデンサだけが北海道事業所に搬入されるようになるのか。そのあたりのお考えをお伺いしたいと思います。

(永田座長) はい。事務局の方に

(中野課長補佐) 田中先生と眞柄先生の御指摘についてでございますが、まず、外付け型コンデンサについてどちらも御指摘をいただいたというところですけれども、今回、実は通知の中でも、外付け型についてコンデンサの性状が変化していない場合についてはどういうふうにやったらいいかということについては、あらかじめ明示してございます。資料1を1枚おめくりいただいた別添、自治体に通知申し上げた通知の表紙の裏面を御覧いただきますと、分解・解体について2番の(1)(2)に分解・解体作業の内容ですとか、生活環境保全上の支障を防止するための措置といったあたりのことを整理させていただいたところでございます。
 ただ、その前に2番のコンデンサ外付け型安定器の本文のところ第1段落に書いておりますけれども、もちろんそういうことは例外的にやっていただいてよろしいとは書いておりますけれども、どうやら安定器に手を加えるということ自体が、もともと保管期間が30年、40年とたっているものでございますから、確かに見た目で外付けのほうは見た瞬間にコンデンサの状況がわかるというところがあるので、こういった措置を講じさせていただきましたけれども、それでもなおその蓋然性を踏まえたときに、手を加えること自身が広くお勧めできる方法というふうには考えにくいのかというところがございます。まずやり方についてはこのような厳格なやり方でやっていただきたいというところをお示ししているのと同時に、もしこれが今の眞柄先生の御質問でいきますと、JESCOに入ってくる場合にどうするのかということになれば、少なくともJESCOに入ってくればそのもの自体はそのまま処理をするべきではないかというふうに考えております。

(永田座長) よろしいですか。今後のこの問題に関する取扱い、どう対応していくか、ちょっと説明をしておいていただけますか。

(中野課長補佐) はい。まず1つ、廃棄物処理法上の基準の改正ということでございますので、できますればこの後、パブリックコメントを実施させていただいた上で、制度改正を行ってまいりたいと思います。また、この制度の実際の施行等に関しては一義的には都道府県市が管内の保管事業者さんに指導をしていくことになろうかと思いますけれども、我々といたしましてもさまざまな情報発信なり普及啓発というものは役割として担っていくべきと考えておりますので、この制度の施行状況、その後の現場の状況というものは都道府県の皆様と御意見を交換する様々な場面がございますので、そこでの実態の状況をお話を伺いながら必要な対応を図っていきたいと考えています。

(永田座長) あといかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 基本的に所有者あるいはこういうものの処理を担当される方に関わる話なので、環境省の方でいろいろ情報をお持ちなのでできるだけわかりやすい形で公開していただいて、特に保有者に関しては写真で判断していく。例えば固定しているもの、あるいは外付けのものというのが何例かここに載っているんですけれども、もっといろいろあったらそういうものを積極的に載せていただいて、こういうのが具体的な例ですよとか、外観で実際に持っているものと比べていただくような、そんな流れの中である程度の判断は消費者の方でもやっていただけるということで考えていただければと思っています。積極的な情報公開、情報共有をお願いしたいと思っています。
 先程もお話にございましたが、今後パブリックコメントをとるということでございます。本日いただいたご意見、それからパブリックコメントでもいろいろ御指摘があるかと思います。それらを踏まえて制度的な処置については、事務局の方でお考えいただくということで進めていただければと思いますが、よろしいでしょうか。

(うなずきあり)

(永田座長) それではそのように対処してください。
 それでは2つ目の議題に移ります。「低濃度PCB廃棄物の焼却処理の燃焼温度の基準について」、これも資料2に基づいて説明をお願いします。どうぞ。

(中野課長補佐) 引き続きまして、資料2について御説明させていただきます。低濃度PCB廃棄物の焼却処理の燃焼温度の基準ということでございます。1番の概要に書いてありますとおり、これには若干この検討会における経緯がございます。具体的に申しますと、元々廃棄物の処理及び清掃に関する法律におきましては、PCB廃棄物の焼却施設を設置する場合に当たっては、都道府県知事の施設の設置許可を受けるというような規定がある上で、かつ許可を受けた施設が実際に動かされるときには維持管理を適切に行うというような規定となってございまして、この許可をする際の技術上の基準ですとか、あるいは維持管理の基準というものが施行規則に定まっているところでございます。その中ではPCB廃棄物の濃度に限らず、燃焼温度1100℃、それから滞留時間は2秒以上になりますけれども、こういった基準が設けられているところでございます。
 この点につきまして、この検討会で平成24年8月に報告書を取りまとめていただいた際には、今後の、特に微量PCB汚染絶縁油に限っては、この施設の許可要件を1100℃ではなく850℃2秒以上滞留とすることが適当というような御提言をいただいたところでございます。さらにそれに加えて、その他のPCB廃棄物を含め今後の実証実験の結果、安全かつ確実に処理できることを確認できた範囲でこの許可要件の変更を検討することが適当であるといった御提言もいただいたところでございます。
 今般その後に環境省で実施させていただきました、焼却実証試験とかあるいは廃棄物処理法上環境大臣が認定する無害化処理認定を受けた事業者におかれましても、この焼却の温度については一定の知見が蓄積されているところでございまして、これらを踏まえた基準の考え方について改めて検討させていただいたところでございます。
 具体的には2番の検討結果に書いてございます。大きく(1)と(2)の2つに分かれておりまして、(1)環境省で実施させていただいた焼却実証試験の結果を書いてございます。具体的には1枚おめくりいただきまして、表1の方にこれまでに実施されました低濃度PCB廃棄物の焼却実証試験の実施状況がございます。ここでは平成19年から始まって25年までの絶縁油、その他汚染物等を含む、あるいは微量と低濃度どちらになるのかということを分けて表を整理してございます。
 もう一度資料2の1ページ目にお戻りいただきまして、これをまとめますと、2.(1)にあるとおり、「850℃以上で2秒以上滞留」試験の結果、大きく①、②、③の3つに結果が分かれます。
 ①が微量PCB汚染絶縁油の油そのものを焼却する試験が11件行われまして、試料のPCB濃度は、6.5~71mg/kgのもの。
 ②微量PCB汚染絶縁油に汚染されたPCB汚染物、固形状の廃棄物です。こちらについては、試験2件、試料の濃度が6.5~140mg/kg。
 ③微量ではなくてもともとPCBが入っているというその濃度がおおむね5,000mg/kg以下のPCB濃度のPCB汚染物に係る試験を3件ほど行い、試料の濃度は2.2mg/kgからおおむね9,800mg/kg程度のものを実証いたしましたが、いずれによってもPCBの無害化が可能であるという結論が得られたところでございます。
 さらに(2)無害化処理認定事業者における実証試験結果でございます。こちらについては、資料の最後に表2というのをまとめてございます。これは本文では1月13日と書いていますが本日1月27日までこちらについての進捗には変わりのない状況でございます。全部で今認定業者が20事業者いるうちの19業者が焼却という方式を選定した無害化認定の処理になってございます。この19業者全てをこの表で掲げているのですが、このうち認定した処理条件が850℃以上2秒以上の滞留時間という条件に合致するものが、黄色くハッチングさせていただいた17事業者になってございます。
 右側の処理対象廃棄物につきまして、廃PCB等はいわゆる油そのものでございます。それらが付着等されている汚染物というのが右側のPCB汚染物になっています。さらにこの種類が細かく微量PCBに係るものと5,000mg/kg以下のPCB濃度のものということで、それぞれ丸を打ってございます。無害化認定の手続きにおいては、この認定申請者において、この処理条件の中できちんと処理が行われているかどうかというのを実証していただいて、その結果を踏まえて認定しているところでございます。この知見から見ても、微量PCB汚染絶縁油以外にも低濃度のPCB廃棄物、あるいは油のみならず汚染物、固形物についても850℃以上の燃焼温度の2秒滞留の条件できちんと焼却できるという知見が蓄積されたというふうに考えているところでございます。
 このため、資料2の裏面の最後の段落にあります。以上の点から、一般に燃焼条件を「850℃以上で2秒以上滞留」とすることで、低濃度PCB廃棄物の適正処理は可能と考えているところでございまして、これを踏まえた産業廃棄物処理施設の許可要件の変更を行うこととしてはどうかと考えております。
 なお、こちらにつきましても、廃棄物処理法の施行規則に係る部分の改定でございますので、もしよろしければ先程と同様にパブリックコメント等の手続きを経る必要があると考えているところです。以上でございます。

(永田座長) ありがとうございました。これに関しても御質問、御意見等を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

(浅岡座長) 高濃度処理とは関係なく低濃度ですけれども、安全の考え方についてちょっと確認したいのですけども。850℃2秒というのが、どの程度の安全確率で設定されているのでしょうか。例えば800℃2秒だと処理できないのか、850℃で1秒だと処理できないのかという。どの程度余裕度があるのかというのを教えていただきたいです。

(永田座長) ほかにはよろしければ、今の御質問について事務局の方からお願いします。

(中野課長補佐) 御質問の点でございますけれども、環境省が行った実証試験につきましては、これまで全て報道発表では結果を公表させていただいて、この検討会でも結論を御報告申し上げています。試験のやり方としては850℃2秒以上の滞留時間を設定させていただいて、そこにPCB廃棄物を投入したときに、最終的にその廃棄物、その結果、エミッションとして出てきます周辺環境の大気、排ガス、燃え殻、ばいじんのPCB濃度、あるいはダイオキシン濃度を測定させていただいているところでございまして、少なくともその条件で申し上げましたようなPCB廃棄物を投入して処理をさせていただいても、PCB、ダイオキシン類の濃度について、もともと基準値として用意されているような基準を全てクリアしている結果となっているところでございます。それが余裕的にどれくらいかということについては、申しわけありません。お答えが難しいのですが、実際クリアした値を申し上げますと、一例でございます。最近のものですと、三光株式会社さんの施設で焼却試験をさせていただいたとき、こちらについては排ガス中のPCB、ダイオキシン類濃度で申しますと、基準値PCBでいきますと暫定排出許容限界0.10mg/mであるところ、実際試験のときには、0.000011~0.000015mg/mN、あるいはダイオキシンについても排ガス中の濃度、基準値1ng-TEQ/m3Nであるところ、0.02~0.026ng-TEQ/m3Nとか、そのような状況でございます。
 燃え殻、ばいじんについてもPCB、ダイオキシンについては、おおむね検出限界値以下か、ばいじんにおいてはダイオキシン類が大体1.4~1.9ngぐらい、あるいは燃え殻についてはかなり小さい値ですが、ほとんど検出限界値か今申し上げたあたりの濃度までというふうになっているところでございます。一例で申しわけありませんが、以上でございます。

(中杉委員長) 特措法の中のお話としては、これで結構だと思うのですが、PCB汚染物についての考え方です。実は私は、PCBを含んだ不法投棄現場の処理をしていてその処理をやるときに、低濃度であるので低濃度の処理施設でやろうというふうに考えたときに、この850℃2秒というのをどういうふうに理解したらいいのか。PCB汚染物というものと不法投棄されたPCB、実質的にはPCB汚染物と余り変わらないかもしれませんけれども、若干違いがあるのかもしれない。
 これはあくまでもPCB特措法の中でといいますか。いわゆる廃掃法の廃棄物の中でやっているのかもしれませんけれども、不法投棄されたものを処理するということが、今後起こり得ると思うんです。そういうときにこの基準をどう解釈したらよろしいのか、少し教えていただければと。

(織委員) 先ほどの御説明とも関わると思うんですけも、850℃の決め方みたいなものを御説明いただいた方が住民の方も納得すると思います。下げること自体は合理的にこういう形で数値も出ているからということなのですが、なぜこの850℃になったのかという経緯を、例えばさっき話したように何度か実験をしてみたところ、この温度でも十分いけるというような形の経緯があって850℃になりました、といった、住民の方にもわかりやすい形での御説明を一遍いただきたいなと思います。

(川本委員) 技術上の運転にかかわる最低守らなければならないという基準ということでは、850℃以上2秒というのは通常の焼却施設での基準との並びということで、特段そういう意味での整合性もあって、また実際にPCBを微量に含む廃棄物等の数多くの試験から絞り込まれた数値ということで、全く異論はありません。
 ただ、実際の例えば表1にあるような幾つかの、あるいは表2にあるような幾つかの施設での試験データなどを見ておりますと、実際には通常のそれぞれの施設の事情で、実際には900℃ぐらいで運転してとられたデータである。また通常これからもそのくらいの温度で操業していく。あるいは、最高だと1000℃ぐらいになる例もあるように思うのですけれども、850℃という言い方の幅の中で数多くの温度範囲がある、あるいは滞留時間もあるわけです。それは許可の要件ということでは全く何らかかわってくるものではありませんけれども、こういう特定の有害物の処理を技術的にしっかりやっていこうということでは、そういう技術的なデータをしっかりと記録しておくというのですか。後々何か役に立つことがあるかどうか、基準の見直しみたいなことがあるかどうかわかりませんけれども、そういうために技術データとしてはきちんとストックしておくべきだなと、感想ですけれども思っています。以上です。

(中野課長補佐) 中杉委員、織委員、川本委員から今御指摘をいただきました。まず不法投棄された廃棄物のことでまいりますと、原則論からいきますと、そもそも廃棄物であればそれを誰が排出したかというところで整理がなされていくので、一概に申すことは難しいのですけれども、ケースとしては、いわゆる産業廃棄物かつPCBに汚染された廃棄物が不法投棄される場合も当然あるわけでございます。こういったものは当然ながらPCB汚染物と整理されるものだと思います。不法投棄の場合、現場、今日は自治体の皆さんもオブザーバーで出席されていますが、私も経験があるんですけれども、不法投棄された廃棄物の投棄者が誰でそもそも排出工程がどこかというところまで追うのはなかなか難しいです。実際捨てられた状況というのは、当時の廃棄物の状況とは違って土の中にずっとあったので、発熱量も変わるとか、科学的性状も大分変わってくるというところもありますから、そこは確かにより慎重に考えなければならないことも、ケースによってはあろうかと思います。ちょっとそこまでしか今の段階ではお答えが難しいのですが。
 それから、織先生からの御指摘については、そもそも我々は制度なり計画なりというものを策定する以上は、これを国民の皆様にわかりやすく説明するというのは当然のことであると思っていますので、御指摘のとおり、今後もこれに限らず、そういった取組をさせていただきたいと考えております。
 それから、850℃が何でかと、いうところですけれども、ひょっとしたら私の認識で間違いがあれば、もし御存じの方に訂正いただければと思うんですけれども、もともとダイオキシン類問題のときのガイドラインの焼却条件が、確か温度が850℃であったかと。そこからこちらも同じようなところを知見のよりどころとしてやっているのではないかというふうに、私は理解しています。もしどなたか補足等があればよろしくお願いします。

(中杉委員長) 私が確認したかったのは、先程申し上げた事例は、自治体が掘削除去をしたものを処理しようということなので、今はPCBの認定業者の方に処理を頼んでいるんですが、改めて処理実験をやっているんです。認定業者だから一応PCB汚染物として処理ができるという考え方なので、だけども不法投棄したものであるからということで、改めて独自に処理実験をしてやっているということです。これはまた補佐からの話なのでここら辺をどう解釈したらいいのか。確かに、そこを法律上このPCB汚染物がどこまでカバーして言っているのか、認定しているのかというところを確認すのはなかなか難しいのでという補佐のお話で、独自にやってもらわなければいけないという解釈なのか、その方が安全だろうと思います。

(中野課長補佐) わかりました。制度的に申しますと我々が認定している認定対象物というのは、全て特定させていただいて認定しておりますので、廃棄物処理法上のどの条項のどのPCB汚染物かということを認定しているところでございます。
 その中でPCB汚染物と廃PCB等、それからPCB処理物というのが、産業廃棄物のPCB廃棄物上のカテゴリになるわけでございます。油そのものであれば廃PCB等ですし、これが付着したり含まれたりというものについては、PCB汚染物というカテゴリに該当しますから、この汚染物というところで認定をとっているものについては、法的に申しますと汚染物とつくものについて扱うということは可能になると考えています。
 処理物というのは一旦PCB汚染物なり廃PCB等を処理した後に出てくるものが処理物になりますので、これはちょっとカテゴリが違ってきますが、そういったことだと思います。
 それから先ほど川本先生の御指摘にもありましたけれども、産業廃棄物処理施設、あるいは無害化認定もそうです。当然ながら維持管理の状況というのは、記録が義務づけられているものもございますし、その記録の内容については、公共の縦覧の用に供するという制度的な設計もされているところでございます。我々としてもそういった今後の稼動状況からのデータというものを引き続き集めさせていただいて、また新たな知見なり技術的な情報の開示というものに努めていきたいと思います。

(浅岡座長) 高濃度のPCBの処理と低濃度の処理を技術的に比べますと、結局低濃度は処理過程で制御しようというアイディアですね。それに対して高濃度は出口できちんと排出されないように設計されていますね。それを考えますと、排出のところで確実に排出されない、無害化されているということを確認しないということは、確実に処理過程でプリカーサというか中間体も除去されているということを確認しないといけないのではないか。
 このダイオキシン類の話は、デノボ合成という再合成が行われますので、後の冷却過程というのですか、どういう経過をとって排ガスとなって出ていくかということによっても変わるので、そこら辺のところをきちんと技術的にフォローされていると思うのですけれども、それを説明する必要があるのではないかと思います。私の意見はそういう話です。

(永田座長) わかりました。今回この資料に関しても、先ほど御説明があったようにパブリックコメントをとるということに制度改正でなった。そのときに浅岡先生のご指摘のような、今の話はどうかという気がいたしますが、これはちゃんとそれなりの頻度で計測をやって出口濃度としてPCB濃度、あるいはダイオキシン濃度はチェックしているという状況になっていると思います。
 ただ、850℃の意味ですか。これについては、織さんも指摘されましたが、もう少しきちんと説明しておいたほうがよさそうだなと。850℃2秒という話です。先ほど口頭で言われたような実験の結果、どういう状況だったかというもの、そういうものをきちんとつけながらパブリックコメントをとられたほうがいいなと。
 もう一つは、安定な運転状況の確保というのが出てくるわけで、そういう意味では滞留時間の方はきっとそんなに大きな変化はないと思いますけれども、温度条件の方は運転条件の中できちんと確保しているんです。あるいはこれ以上確保しているということは、そういう担保を求めているんだという話もきちんと書かれておいた方がいいのかなと思いますので、まだパブリックコメントをどういう状況でとるか、そのときに出される資料はどうなのかというのがはっきりいたしませんけれども、そこの中でいろいろといただいた御指摘に関しては考慮していただいて資料づくり、パブリックコメントの前書きとかそういうところの説明、それに配慮していただきたいと思います。
 ということでよろしいでしょうか。
 それでは、パブリックコメントの手続きに進めていただくようお願いします。
 それでは議題3番目でございます。「課電自然循環洗浄法について」、事務局の方から説明をしてもらいます。どうぞ。

(中野課長補佐) 続きまして、課電自然循環洗浄法について御説明させていただきます。資料は3-1、3-2、3-3と3種類御用意させていただいています。3-1から順に御説明させていただきます。
 資料3-1、課電自然循環洗浄法については、「1.概要」にありますとおり、こちらについても、微量PCB汚染廃電気機器等の処理を促進するために、特に使用段階においても適用可能な無害化技術であるということで、この課電自然循環洗浄法についてはこれまでもこの検討会の中でも御紹介、御議論をいただく場面もございました。
 その結果、昨年6月に改定させていただきました、PCB廃棄物処理基本計画の中におきましても、この方式の適用の枠組みの早期構築について検討するとされたところでございます。また同時に規制改革実施計画、閣議決定されたものでございますけれども、この中でも電気事業法令上の取扱いの明確化ですとか廃棄段階での課電洗浄法による処理済み機器の廃棄物処理法令上の取扱いの明確化を図るとされたところでございます。
 この課電自然循環洗浄法については、平成22年度から技術的な観点からの検討が進んでいます。一定の条件のもとに、所定の手順を経ることでPCBを無害化できるということもある程度知見として集まってきたところでございます。これを踏まえまして、このやり方を実施する際のスキームについて経済産業省、当省におきまして学識者、それから関係事業者団体等の助言をいただくような場も開催させていただきまして、検討を行ったところでございます。
 この方式の原理につきましては2番に書いております。具体的には2番の図を御覧いただきたいのですが、左から順に申します。左側で微量PCB汚染油を使っているトランス、変圧器が通常使用されている状態のものを、そこから一度微量PCB汚染油を全部抜き出すという作業をするというのが、左から2番目の図ございます。この抜き出された油につきましては微量PCB廃棄物として処分をすることになりますが、この油を抜いたところに新しくPCBを含まない絶縁油を充填しまして、これにより通常使用条件下で動かす。これが課電という表現の状態になります。この状態を一定期間、具体的には90日間以上行うことで、電気が流れることでコア部分と呼ばれていますコイルなどが入っている部分について、発熱があり、その熱によって絶縁油自体が中で自然対流をし出す。この対流によって、コアの中にしみ込んでいるPCB油もしみ出してきて、結果的に絶縁油中のPCB濃度が平均化するような状態になる。これが極めて低濃度でサチュレートすれば中まできれいになったというような原理の技術でございます。
 1枚おめくりいただきましてこうした原則、原理の技術について、これを早期に導入していくためにはどのようなところをケアすべきか、というところについて検討を行った結果が、この2ページ目の3番からでございます。
 まず「(1)対象機器」です。アにありますように、変圧器の一般的な構造というものは、容器本体と呼ばれる、この図の中でいきますと一番大きい箱、変圧器本体と書いております。この本体の中に内部構成物として鉄心、コイル、リード線が入っているというのが、いわゆるコアというものとして総称されております。コアが変圧器本体の中に入っているのですが、このコアをつなぐ幾つかの付随物というものが変圧器にはくっついている状況になっています。
 具体的には、①~④番までございます。①LTCとか浄油機と書いております。これは「負荷時タップ切換装置および浄油機」というものでございます。負荷時タップ切換装置のことをLTCと呼ぶのですが、このLTCという機械自体は変圧器の出力電圧を調整する装置でございます。もっとかみ砕いて申しますと、私の理解が誤っているかもしれませんが、コイルに電線をたくさん巻けば電磁石の力が強くなってここで変圧される電圧というものが強くなります。コイルの巻数を変えると電圧の強弱が変わるということになります。これを意図的にコイルの数を強制的に変えられるような切換装置のことを負荷時タップ切換装置と呼んでおります。コイルの巻数を変えるような物理的な装置を変圧器本体と設置しますので、タップを切りかえるたびに摩耗が起こったりしてそこから出てくるカス等をきれいにするのが、この浄油機という部材の役割になります。
 これは当然ながら電気を扱う電線が入っている機器でございますから、その周辺の絶縁性を保つ必要があります。この機械自体に閉鎖系で絶縁油が入っているという構造のものになっております。
 ②エレファントにつきましては、右側の②番です。この変圧器本体の中に入っていく、あるいは出てくる電線自体の電源ケーブルを最終的にはコアと接続しなければなりませんが、このコアとの接続部分を外から触れないようにするために設けられている部材となっています。
 同様の機能を果たすものがもう一つブッシングというものがあります。ブッシングも同様に本体のコア部分と外から来る電線を最終的につなぐ箇所について、そちらを仲介する、こちらは、陶器、碍子製の部材となっているものがブッシングというものです。こちらはどちらも空隙を絶縁油で充填して絶縁性を保っているようなものになります。
 そのほか、この変圧器内の油の温度を測るために、簡単に言いますと温度計が刺さっています。この温度計の温度を感知する部分についても、変圧器本体の中で接触するところが筒状になっていて、その中に絶縁油が別途入っている。こういう形で、それぞれが絶縁油を充填している付随物というものがこの変圧器にはくっついているというのが、一般的な構造になっています。
 先ほど変圧器本体については、課電自然循環洗浄法というのは、ここから油を抜き出して新しい油を入れて課電をすると申し上げましたが、これに付随しているそれぞれの機器について、同じように課電洗浄ができるかどうかというのが検討の中では1つ焦点となりました。その結論をまとめたものが3ページの表1になります。
 この表1でLTC、浄油機、それからエレファント、感温部、ブッシングについて課電自然循環洗浄法を適用できるかどうかというものを、丸と三角で書いております。丸が書いてある機器につきましては、中に封入されている絶縁油を抜いて新しい絶縁油と入れ替えることが可能でございます。中を電線が通ったりするような、あるいは通っていなくてもそもそも変圧器本体に接続されていますので、変圧器本体の加熱に応じて、こちらも加温されて自然対流が起こるということから、課電自然循環洗浄ができるのではないかというような整理をさせていただいてございます。
 一方ブッシングについては、この後さらに詳細に申し上げますけれども、密閉構造の絶縁油をそこから取り出すことが構造上かなり難しいところがありまして、一部を除いてはそれがほとんどできないということで、三角とさせていただいております。
 1枚おめくりいただきましてこのブッシングの構造が、さらに幾つのタイプに分かれるのが4~5ページの表となっています。簡単に申しますと、共油タイプと油密封タイプの2つに分かれています。共油タイプというのは、このブッシングの中に入っているべき絶縁油が本体に入っている油を引き込んでいるというような構造になっておりまして、これは本体と一体としてブッシングの中まで課電洗浄ができるということで、丸と書いております。
 それ以外のものは密封された絶縁油を取り出す際に、この密封状態を一部壊さないと取り出せないということから、絶縁性の非常に高い機器でございますから、この機器の健全性を保つ観点からも、それはちょっと現状では難しいということから、洗浄は困難というふうに整理させていただいているところでございます。
 また次の6ページです。今般、この課電自然循環洗浄法の対象を検討したときに、これまでこういった洗浄法の実証実験というものが行われています。実証された範囲内が少なくとも変圧器に最初から入っている元油と呼ばれる油のPCB濃度が5mg/kg以下のもの、かつ、この油量が2,000リットルを超える、それよりもいっぱい入っているようなもの。具体的には変圧器の重量に換算しますと7トンより大きいようなものについては実証試験が行われておりまして、こちらについてはうまく課電自然循環洗浄法できれいになるというところがわかっています。
 そういったことから、ある程度対象範囲が限定されるというところが、こちらの検討結果からわかってきたところでございます。これらを踏まえて今後どのようにさせていただきたいかというものが、資料3-2と3-3になります。まず資料3-2を御覧ください。ここでは全体的な我々の考え方の結論をポイントでまとめてございます。先に3-2の裏面を御覧ください。裏面でポンチ絵を描いています。わかりやすく説明をさせていただいているつもりですけれども、この図の右上に適用範囲とありますとおり、この課電自然循環洗浄法については、今申し上げた私どもの検討結果から、①、②、③と書いておりますけれども、実証されている範囲内の油量が2,000リットル以上、かつ変圧器とかLTC、浄油機、エレファント、感温部といったあらゆる部分のPCB濃度が実証されている5mg/kg以下のものであること。それから付随するブッシングは洗える対象になるものか、そもそも洗えなくてもいいような濃度だとわかっているものを対象とすべきで、こういったPCB機器を使用している間につきましては、電気事業法に基づく使用届出というものを経済産業省の出先機関等に出していただく必要があるのですが、そういった機器につきましては、この二重四角囲みで書いている課電自然循環洗浄、後ほどこの手順については手順書という形でもう一つ提案させていただいてございますが、その手順書の中で抜油作業、課電洗浄工程、卒業検定というものを具体的には抜油作業については一定の知見のある管理者のもとで行うこと。あるいは課電洗浄工程については、90日間以上やるときちんとできるという知見がございますので、その間の点検をどうするか、点検した記録、結果の記録をちゃんと閲覧できるようにする。あるいは卒業検定として実際に処理が終わったかどうかを、第三者分析機関が測定するような形で確認した上で、PCB濃度が0.3mg/kg以下であれば、これはPCB含有機器という扱いにしなくてもよかろうとして、電気事業法上のこの機器の廃止届出を出していただく。
 この後も当然ながらこの機器自体は使用可能となっておりまして、最終的にそれが寿命を終えたときに、廃棄物となった際にはこれを廃棄物としないような取扱いをするような全体的な姿を描いてはどうかというふうに考えているところでございます。
 資料3-2表面に戻りまして、今申し上げたところをさらに細かく多少この後に出てくる手順書のポイントを含めて書いております。左側のフローが先ほどのフローとほぼ同じような位置付けになるんですが、もともと対象機器には限定をかけた上で課電洗浄の実施に当たっては、真ん中辺に「課電洗浄実施」という箱があります。その右側に箇条書きを4点書いています。この後御説明します手順書に沿って課電洗浄を実施していただく。さらにこれをしっかり行った場合は、変圧器と付随する全ての機器のPCB濃度が0.3mg/kg以下になっているかどうかを確認した上でそれを報告するような報告書を作成していただく。
 かつその報告書ですとか、そういった記録につきましては、この機器が最終的に寿命を終えて廃棄物として廃止される。あるいはいわゆる鉄なり金属資源の材料として売られていくような場合に当たっては、そこから少なくとも5年まで、これは産業廃棄物のマニフェストが発行後5年保存するという期間と整合を取らせていただいていますが、少なくともそこから5年間はこういった課電洗浄を行ったという報告については保存をしていただく。あるいはこういった記録につきましては、関係する地方自治体とか地域住民の方から閲覧を求められればそれに応じることで、この課電洗浄が適正に行われることを逆に担保できるような措置とさせていただくところも設けさせていただく手順に組み込ませていただいているところです。それが行われた場合には、電気事業法の届出、それから廃棄物処理法のPCB廃棄物として扱わないような取扱いをさせていただいてはどうかというところでございます。
 さらに具体的には資料3-3で、これを行う際の実施手順というものの共通的なあり方を手順書という形でお示しさせていただきたいと考えているところでございます。この手順書は大冊ですのでポイントだけを御説明申し上げます。1枚おめくりいただきまして目次が1ページです。目次では総則、1番目、この手順書ではどういうところが対象機となるのかというところが書いてあります。2番の課電洗浄につきましては(1)~(7)までの6工程+留意事項というもので7項目について整理させていただいています。
 3番ではこういった作業を行った際の記録、その閲覧についての取扱いをまとめているところでございます。具体的には次のページからです。まず「1.総則」では真ん中の(2)番を御覧ください。本手順書の対象となる機器と書いてございます。先ほど申し上げましたような条件に合致するものが、今回のまずは課電洗浄法の対象になると整理させていただいているところでございます。
 3ページからは「2.課電洗浄」といたしまして、目次で申し上げました(1)~(6)までの工程とこれに加えて全体的な留意事項の(7)から構成されています。このうち、(2)番3ページの下の方でございます。まず対象機器から抜油、PCB油を抜く際については、電気主任技術者と特別管理産業廃棄物管理責任者の双方の管理のもとで対象機器の取扱いに習熟した者が行うような作業とすると位置付けさせていただいたところです。
 次は5ページでございます。4ページまでは抜油に関しての詳しい作業の方法についての手順を記載してございます。5ページ(3)番からは油を抜いた後の筐体に新しいPCBの入っていない絶縁油を注油する作業についての手順をまとめさせていただいているところでございます。こちらもかなり具体的に作業についての記載をさせていただいております。
 7ページからは(4)課電の実施ということで、新しい油を入れかえたものを通常の使用条件下で使用する。これを90日以上行うというのが、この課電の実施という行程になります。ここでは、ア)②課電状況の確認・測定とあります。この90日以上の課電作業がきちんと行われているかどうかを確認するために、課電の状況の確認・測定ということで、課電開始に当たっては対象の変圧器に電気が流れる開閉器というところの開閉状態を確認するとともに、操業期間中、課電期間中は関連する開閉器が動作するごとに、動作の状態を現場または制御所できちんと確認する。電気が流れているか、流れていないかというものをちゃんとモニタリングした上で、かつ電力計がついている場合には月に1回対象機器の電力量を測定することで電気が流れているかどうかをさらに確認して、それをさらに③番でこういった開閉状態とか測定値を記録するということを書いています。
 また、イ)課電期間としては、これまでの実証で明らかになっていますが90日間以上やることでこれが、含浸物等を含めた部材までが卒業基準をクリアできるものになるということで、90日間課電していただくということを定めております。
 (5)番が90日以上課電をした後に、絶縁油の濃度を確認する作業でございます。こちらについては、自ら手前みそで測定をするのではなくて、第三者の分析機関で分析していただいて、こちらが次の8ページでございます。
 (6)洗浄処理の完了というところにありますが、実際に第三者分析機関で分析していただいた結果、絶縁油のPCB濃度が0.3mg/kg以下であると確認できれば、この課電洗浄作業は終了ということになります。これが万が一0.3を超える場合につきましては、課電洗浄が終わっていないということで、こちらはまた新しく油を入れかえて合格しなかった部位についての課電洗浄をさらにやることについて検討をするような整理とさせていただいております。
 また8ページ一番下3番からは「課電洗浄の記録及び閲覧」ということでございまして、課電自然循環を行った際の実施報告書の作成あるいはその記録を保管すること。それを少なくとも課電洗浄機器が廃棄物としては廃止された、あるいは資源としてリサイクルされる場合について売却された場合から5年を経過する日まで保管すると。ただしこの機械自体をさらに変圧器としてリユースするために譲渡する場合もあり得ると考えています。そういった場合については、新しい所有者にこの書類を譲渡するということしていただいて、譲渡先のリユース者が最終的にこの寿命を切ったときに、そこから5年間保存するという整理とさせていただいています。
 また(3)番でこうした記録については、関係都道府県市町村あるいは地域住民から求めがあった場合は、これを閲覧させるということが適当だということで、第三者からの目線にもしっかりと応じるような形でこれを運用していただくように、こういった手順を満たしたものが先ほど申し上げました取扱いにさせていただいてはどうかというのが、今回の御提案でございます。
 なお、これにつきましては電気事業法にかかわる手続き等もあったりしますし、今後、この手順書につきましては資料3-2の中でも書いておりますが、できればパブリックコメントを経た上でこういった取扱いを正式に動かしていきたいと考えているところでございます。以上でございます。

(永田座長) どうもありがとうございました。これにつきましても御質問、御意見ありましたらお願いしたいと思いますか。
 森田先生、コメントありますか。

(森田委員) この検討にかかわった委員としまして、補佐の方からいただいたお話で大体尽きているかと思いますけれども、もともとこの課電洗浄は電中研の熱心な御研究とかそういったものをベースにいたしまして、技術的には大体大丈夫だということで目途がついております。ただ、それを実際に適応するに当たって幾つかの課題が新たに見つかったりしたということがございます。またこの方法をもう少し広く適用するには時間をかけながら、データを蓄積しながらということで、とりあえず比較的大きなトランスからスタートさせて、実績を積みながら次のステップにいこうということになっております。
 その過程で一つだけ出てきたのは、ブッシングが少し独立して付いていて、そのブッシングの中に違うPCB濃度の油が含まれている可能性があるということが指摘されまして、それがどんなふうに取り扱ったらいいのかというのが課題でありました。
 もう一つ全体といたしましては、経済産業省の電気事業法上の取扱いの問題もクリアしなければいけないし、また環境省の廃棄物の幾つかのアプローチも今までのアプローチも含めて、全体を解かなければいけないということがありまして、両省の方の御意見なども伺いながら進めたというのが経緯となっております。
 3-1の後ろのところ、6ページ4番目のところに、具体的な方法、洗浄具の取扱いなどについて記載がしてありますけれども、現在の時点で一番いいアプローチとしてこの形が考えられているという状況であります。以上です。

(永田座長) どうもありがとうございます。

(田中委員) 効果がどれくらいあるかなという気がしています。柱上で使っている微量PCBのトランスは現在7万個ぐらいですか。その辺も教えていただきたいと思いますが、そのうち今の対象が2,000リットル以上、5ppm以下と。ブッシングで共有型のしか現実的にはやらないのではないかと思うと、かなり対象の比率が少なくなるので、効果が全体としてどれくらいあるのかという気がします。
 抜油をするというのも、課電自然循環洗浄法を使うために抜油をするわけでしょうか。もしそういうことをしなければずっと使って最後に微量PCB廃棄物として処理するという選択でどちらがいいかということで、それぞれ所有者は検討すると思いますけれども、今後いろいろやりながらもっと合理的な適用対象を拡大するというような方針があれば、また教えていただきたいと思います。

(酒井委員) 議論にかかわった1人として追加的にお話しさせていただきます。経緯は先ほど森田先生が丁寧に御説明いただいたとおりでございますが、そもそもこの課電洗浄技術自身は、長く電中研ほか電事連で取り組まれてきた方法で、基本は絶縁油交換の際に機器を含めてPCBフリーになっているかどうかの確認手続きをどうとるかというところに、この技術の本質的なものがあろうかと思っております。
 そういう意味で相当の台数を蓄積されてきた結果として、今回提示いただいている条件で進めば、当面問題はなかろうということで決められている提案という認識でおります。
 この検討に入らせていただいた後に、先ほど中野補佐が前半部分で非常に丁寧に説明された付属物、付随物の話が分かってまいりました。いわゆる機器の中でも、封じ切り、本体の油と別の油の存在の可能性があるという部分での存在がわかってきたということです。今回、大型機器を対象にしておりますけれども、全体の油量の仮に1%であったとしても、もし1万リットルレベル存在いたしますれば100リットル、200リットルの存在ということになり、油量が相当多いということで慎重に考えた結果として、今回のような条件になっています。それは先程田中先生の方は効果がどの程度なのかと、こういうふうに決めてもなかなか簡単に処理できるものは少ないのではないかという御指摘につながっているんだろうと思います。
 その部分は最後の課題で書いていただいているとおり、特にブッシングでございますが、ここを今使いながらブッシングの油がPCBの含有の有無を確認することの十分な技術がないという状況にありますので、ぜひこの部分はしっかりとした技術開発等をやっていきながら、完全なPCBからの卒業ができる状況をつくっていくことが、先ほどの効果をもっと上げていくための大事なポイントかというふうに思っております。
 こういったところを議論の過程で両省とも御認識いただきましたし、また事業者の方々も真摯に取り組んでいただいていますので、今後に期待をしたいというふうに思っております。以上です。

(井上委員) 電気事業連合会の井上でございます。この課電洗浄につきましては、我々がいただいた技術評価をもとに森田先生を初め先生方にいろいろ運用面からの御心配も含めて検討をしていただきました。結果、両省さんの御協力もございまして手続き的、運用的にこういった方法で実施に移せるであろうというところまでもってきていただきまして、大変感謝いたします。残された課題、今、先生方からいろいろ御指摘がございましたカバー率につきましては、使用中の機器、1,000台を超える機器につきまして、対象となる2,000リットル以上と申しますと、我々電気事業者がほとんどで恐らく取り掛かりは限られると思われ、それについて今全数調査をしております。
 加えてブッシングの濃度測定につきましても、JEMAさんの御協力をいただきながら今後解決に向かって進めていこうと考えています。とにかくまずは実施に移しまして我々は確実にそれが卒業できるというデータを重ねながら、さらには小型のもの、そういった対象を広げるというデータも重ねながら、皆さんが安心できるデータを蓄積して進めさせていただきたいと思いますので、今後とも御指導の程よろしくお願い申し上げます。

(永田座長) どうもありがとうございました。何か事務局の方でコメントはありますか。

(中野課長補佐) ありません。

(永田座長) よろしいですか。それでは、田中先生からご質問のような御意見もございましたが、基本的には微量も含めて処理促進を図っていくという中で、この技術は非常に重要だということで、一番厳しい条件のところからまず認定してやり始めて、安全が確保されどんどんその技術が適用できるようなものが広がっていくということを想定しながら、試験も実施していくということになろうかと思います。実績も先ほど川本先生からも御指摘がありましたけれども、重要な資料となりますのでそういう情報も適宜検討の中に入れていきながら、より確実性の高いものとしてこの技術を成長させていっていただければというふうに思っています。
 パブリックコメントをとるという話、それから電気事業法における運用についても検討しているという状況のようです。今日いただいた御意見とパブリックコメントでの御指摘等を踏まえて必要な措置を講じていただきたいと考えています。よろしく対処してください。
 それでは、最後になります。基本計画変更後の主な取組についてということで、少し時間が押しています。すみませんが、環境省の方から説明してください。

(中野課長補佐) 資料4でございます。こちらは昨年6月にPCB処理基本計画を変更させていただいた後の、私どもの方で取り組んでまいった取組状況をまとめさせていただいたところでございます。若干お時間も押してございますので、ポイントだけ御説明させていただきたいと存じます。
 1枚おめくりいただきまして目次に、今回この資料では6項目にまとめて整理をさせていただいたところでございます。順に御説明していきます。
 まずは3ページ、「1.PCB廃棄物処理基本計画変更の趣旨の徹底」でございます。今回冒頭で企画課長の山本からも御挨拶させていただき、あるいは前回までの検討会でも重ね重ね申し上げてまいりましたが、今回の基本計画というのは、残念ながら処理期間の延長、あるいは地元市町村にとっては、本来想定していないような地域のPCB廃棄物も受け入れざるを得ないような中身を伴っているものでございます。このために、特に今回の基本計画はそういったことを踏まえた上で、処理期間、新たに設定した期間を再延長することはないということ。それからこれは単に終了期限を延長しただけではなくて、これを1日でも早く達成するために関係者が最大限努力をする必要があるということ。あるいはそのために、未処理のPCB機器をきちんと掘り起こさないと終わりが見えてこない。これをちゃんとやることですとか、あるいはこの施設を設置されている自治体にとっては、ともすればなかなか不安のある施設についてこの設置を受け入れているということは、これに対するそのほかの地域の自治体の皆様も国も含めて、最大限協力をする必要があるのではないか。こういったあたりの趣旨を踏まえた基本計画の変更となっております。これが徹底されますよう、かつ、さらにこういった中で都道府県市の取組自体は都道府県のPCB処理計画できちんと位置付けるよう変更していただきたいということを、昨年7月に通知させていただいた上で、さらにこの内容を詳細に8月には説明会を開催させていただいて、御周知申し上げたところでございます。
 この7月の通知につきましては、参考資料2の方にお付けさせていただいておりますので、後程御覧いただければと存じます。
 続きまして4ページでございます。4ページ、下の5ページは2枚使ってJESCOにおけるPCB廃棄物の処理について書いてございます。大きく5項目を書いてございます。ポイントだけ申しますと、まずJESCOにおいては安全第一で作業をしていただくことになりますが、そのための我々は指導監督という権限を持っているのですけれども、その中で特に処理施設の健全性確保の点では、②長期保全計画、要は施設の処理期間が延長になりましたが、延長期間中の老朽化等も含めた対策をあらかじめきちんと長期保全計画というプログラムを策定した上で、そのプログラムに従って取組をきちんと進めていくということで、今はその作業をやっている途中でございます。
 2点目の「安全操業のための運用の徹底」というところでは、JESCOは5事業所がございますけれども、過去に事業所で起こったトラブルを全て再点検してそこから得られる知見というものを、もう一度この5事業所間で共有する。つまりは水平展開をするという作業に取り組んでいるところでございます。
 それから災害につきましては、当然ながら今後も災害の前提条件が変わってくることが想像されますので、そういった場合にもきちんと随時対応をしていくこと。
 あるいは処理の進捗につきましては、現在トランスとコンデンサにおきましては6割を超えるところになってきました。特に地域によっては、北九州事業エリアが一番進んでいることになるのですが、それたエリアについては円滑な廃棄物の搬入の確保という点では、②番にありますけれども、これまでJESCOに列を成して処理の機会を待っていたという方よりも、これから先はむしろその列の解消が進んでいるエリアでは、そこでもまだ残っている方々に対する積極的な営業活動。あるいは①番で今後広域的に移動するものについては、今体制を整えておりまして、原則来年度から順次開始していくべく準備を進めているといったところでございます。
 次の6ページでございます。未処理の機器の掘り起こし調査につきましては、都道府県市の皆様方と国などが連携して行うのですが、連携の1つとして国としてはこの調査を具体的にどうやっていくのが効率的であるのかということを、これまで先行的に取り組んでおります、北九州市さんを初めとするような地域のやり方を踏まえてマニュアルを策定させていただいたところでございます。こちらにつきましては、その抜粋を参考資料3-1に付けております。また、このマニュアルを作成するに当たって、先進的に取り組まれた掘り起こし調査の実施結果の概要について、3-2の参考資料の方でお示しさせていただいているところでございます。
 また関係機関によって連携体制も構築して、この掘り起こしをより効率的に全員一丸となってやっていこうという連絡会議を、右の図にありますとおり、都道府県市、それから経済産業省も含む国、あるいは関係業界等が連携するような連絡会議を早期に設置して、これを定期的に開催させていただきたいという体制を今つくっているところでございます。
 7ページ以降は微量PCB汚染廃電気機器等の処理について、御説明させていただいております。7ページは無害化認定処理業者が20業者に達したという状況で、今後も増加していく見込みですが、まだこれでも足りないという声は事業者の方からいただく機会が多くございます。
 そういったところを踏まえますと次の8ページでございます。この無害化認定のほかに、さらに合理的な処理方法を検討するということで、1つは議題3で申し上げました課電自然循環洗浄法がございます。そのほか基本計画の中では、絶縁油の抜油後の容器、筐体についての安全かつ合理的な処理方策も検討するとしているところでございまして、そういった検討を行っているところでございます。
 その他技術的知見の取りまとめについては、2つのガイドライン的なものを公表してございます。こちらは参考資料4と5でそれぞれ概要をつけてございますので御覧ください。
 9ページ「その他の取組等」として、PCBが使用された蛍光灯安定器ですけれども、いまだに使用されてこれが破裂する事故というのが残念ながら、近年起こっているところでございます。これについて改めて注意喚起等を行う通知を、参考資料6に付けさせていただいているところでございます。
 それから、JESCO法の改正が行われました。こちらを参考資料7に付けてございます。JESCO法を改正したそもそもの趣旨は、福島県の中間貯蔵施設に関する事業を、国とともにやっていくような部分について必要な改正を行っています。それに合わせて会社の名称が中間貯蔵・環境安全事業株式会社に変わりました。ですが略称については、皆様方に御理解いただいているJESCOという略称をそのまま今後も用いるような格好とさせていただいたところでございます。
 最後に、10ページ、11ページ「今後の取組について」でございます。まず、上の10ページですが、我々といたしましてはJESCOを指導・監督していくことに加えまして、今後定期的に情報を2つ把握しながらこの検討会、あるいは各地域では監視会議を開催させていただいているところでございます。そういったところを活用させていただいて、今後の取組の進捗管理をしっかり図ってまいりたいと考えているところでございます。
 具体的に①番としては、PCB廃棄物の保管状況の届出でございます。こちらは法律に基づいて保管事業者から毎年1回届出をしてもらっているのですけれども、この様式をようやく昨年の2月に改正することができて、高濃度と低濃度を分けて届け出ることになってございます。これをきちんと私どもは毎年度集約公表しつつ、処理の進捗のスピードを管理できるようになると考えております。
 もう一点が、②都道府県市における施策の実施状況についても、我々の方で定期的に状況を調査させていただいて、結果を公表させていただく。この2つの情報のモニタリングを定期的にさせていただきたいと考えております。
 11ページですが、平成27年度の環境省の予算案の主なものをこちらにつけさせていただいております。大きく3つの項目を書いていますが、こちらではJESCOの処理施設の点検補修等の費用、再延長しないということになりましたので、その終わりが来たときの対処に係る必要な費用、それから今後の掘り起こし調査とか普及啓発方法、あるいは微量PCBに関する検討等に必要なもろもろの費用として、予算などを要求させていただいているところでございます。
 若干駆け足になって恐縮ですが、私からの説明は以上でございます。

(永田座長) どうもありがとうございました。いかがでございましょうか。ただいまの内容に関して、御質問、御意見ありましたらお願いいたします。

(井上委員) 8ページでございます。微量PCBの電気機器等の処理で先ほど御説明があった課電というのは、使用中のものから浄化の対応をするということでございますが、もう一つその下の抜油後の筐体について安全かつ合理的な処理ということも今、研究会の方でいろいろ検討をしていただいているところでございます。私は昨年から経団連の中のPCB処理推進のワーキングの座長を務めさせていただいているのですが、やはり産業界の中ではコストというものも非常に大きな要因でございますので、リスクに応じた合理的なかつ皆様が安心していただける方策ということで引き続きご検討の程協力していただくよう、よろしくお願いいたします。

(織委員) 全体的な方向としては今回の省令改正案も含め、廃棄物処理を適正にした後に、微量PCB等コストをかけずに合理的にやれるものはやっていきながら、またリサイクルできるものはやっていこうという循環型経済に向けて、次のステップ、PCB適正処理の後のステップも踏まえて、これから進んでいかなければならないと思います。そのときにはやはり住民の方の理解というものがどうしても必要になってくる。今回の委員会もそうですが、技術屋さんが集まっていると皆さんわかっていらっしゃることというのは当然あると思うんですけれども、やはり市民の方にはまだまだこの新しい処理方法とかそういったいろいろわからないことがあると思いますのでその辺のわかりやすさと。それからどの方向に向かってやっているのか。処理が終わった後の図面も含めて、市民が前向きに取り組んでいけるような、理解できるような周知徹底、リスクコミュニケーションの方をぜひよろしくお願いしたいと思います。以上です。

(永田座長) どうもありがとうございました。

(眞柄委員長) 北海道の監視円卓会議の委員長をしております、眞柄でございます。今回の処理基本計画の変更に際しましては、環境省並びにJESCOから丁寧な御説明を行っていただきまして、北海道民なかんずく当該の事業所が設置されております胆振支庁、室蘭市の市民の方々にも理解をいただきました。
 その際大きな議論が2つあったかと思います。1つはいわゆる基本計画の処理期間が38年まで約10年間延びたということで、これまで稼動してきた施設があと10年間きちんと稼動できるかどうかということについての不安があったわけでございますが、これについてはJESCOの方から精密な機能診断をしていただきましたし、必要な措置もとるという御発言がございましたので、それらの事柄についての問題はほぼ解消したというふうに思っております。
 ただいずれにしても、残っておりますのは先ほどの御説明にもありましたように、未登録のPCB廃棄物をいかに掘り起こすかということにかかっております。それにつきましては、監視円卓委員会の委員からも何度もそのことに関して意見が出ておりました。いろんな意味でさまざまな措置がとられているだろうというふうに思いますが、やはり先程のマニュアルを拝見していましても、北九州市で延べ5万3,000の事業所に調査票を送付されて回答があったのは2万6,000ということで、残りはどうなっているのか。いわば空き家、転廃業、あるいは業種が変わったところに対してどういうフォローアップをするのかということが、道の円卓会議の中でも議論になっておりました。
 先程PCB廃棄物適正処理対策推進事業で来年度1億6,600万円の予算を措置されておりますが、この予算的な措置が何年間続いて、国全体として何十万件の事業所に調査を行って一事業者当たり幾らのコストをかけて幾らのパフォーマンスが得られるかというようなことも、私、円卓会議の委員長としては市民が一番知りたいところであります。どの程度丁寧な掘り起こし作業が今後行われるのか。そして基本計画の終了期限が38年でありますので、少なくとも5年ぐらい前までには掘り起こしが終了していなければ対応できないというのが実態だろうと思います。
 そういう意味ではぜひ改めて、国または関係機関にお願いしたいのでありますが、掘り起こし事業についてより積極的になお早急に国全体の残っているものの実態が明らかになるよう努力をお願いしたいということでございます。以上です。

(永田座長) ありがとうございました。全体的に御意見も頂戴しているようでございます。この資料4に限らず全般でもし言っておきたいことがあれば御意見を頂戴したいと思います。どうぞ。

(浅岡座長) 北海道と並んで北九州でも延長して、期限内で処理することが決まって粛々と進んでいる状態でございます。今延長が決まった時期においては、環境省さんは非常にきちんとやっていただいていると思います。ただこれはだんだん掘り起こしとかそういう濃度が薄くなってきますね。そういう意味では集めづらくなって処理スピードが落ちるのではないか危惧しています。
 そういうことでより一層の、延長した時期の、アクティビティを持ってむしろ今の時期よりもさらにアクティブに行動するような計画にしていただきたいというのが、我々の希望でございます。
 先程の北海道の委員長の方から指摘がありましたように、北九州はPCBが比較的高密度にというんでしょうか、存在していた時期です。そういうところでさえ、調査に対して回答率が悪いということは、ほかの地域はさらに悪いのではないかということを危惧しています。ほかの地域からの搬入が今後考えられていますので、それもきちんとフォローしていただきたいというのが、我々の北九州市の住民の希望でございます。よろしくお願いします。

(永田座長) 環境省から。

(中野課長補佐) 御指摘はごもっともだと思いますので、引き続き我々としても最大限、我々だけでなく関係機関と一丸となって努力してまいりますし、その進捗については監視会議あるいはこの検討会の場でも定期的に御報告させていただきます。そこでまたもし我々の取組に足りないところなどがあれば、それは厳しく御示唆いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

(永田座長) よろしいでしょうか。それでは本日の審議議論の方はこれで終わりにさせていただきます。
 本日のご意見等を踏まえまして、今後引き続きPCB処理が安全にかつ1日でも早い終了に向けた進展が図られますよう、対応を関係者一丸となって当たっていただきたいということを、最後に申し上げておきます。
 これで議論は終了ですが、最後に事務局の方にお渡ししますので今後のお話等をしていただければと思います。よろしくお願いします。

閉会

(角倉課長) 本日は委員の先生方におかれましては、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。本日御議論いただいた内容、御指摘いただいた点も踏まえまして、パブリックコメントなど必要な手続きを速やかに進めた上で、私どもとしてまたPCBの処理、安全かつ適正かつ1日も早い処理に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 次回の検討会でございますが、また来年度、基本計画に基づいたPCB廃棄物の処理の進捗状況等について、皆様方に御報告できる時期になりましたら、改めて開催について御連絡申し上げたいと考えております。
 本日はどうもありがとうございました。

(永田座長) 長時間にわたりありがとうございました。これで終了とさせていただきます。