環境再生・資源循環

第12回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事要旨

日時

平成26年5月13日(火) 15:00~16:10

場所

砂防会館 別館 淀・信濃

出席委員

(委員)(五十音順)
伊規須委員、織委員、影山委員(代理:井上委員)、鬼沢委員、酒井委員、鈴木委員、田中委員、田和委員、春名委員、永田委員、福間委員、森田委員
(各事業所の安全監視委員会等の委員長等)
眞柄北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議(以下「北海道監視円卓会議」)委員長、中杉東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会(以下「東京環境安全委員会」)委員長、松田豊田市PCB処理安全監視委員会(以下「豊田監視委員会」)委員長
(オブザーバー等)
日本環境安全事業株式会社(JESCO)
日本環境安全事業株式会社の事業所が立地する自治体
(北海道、室蘭市、東京都、江東区、豊田市、愛知県、大阪市、大阪府、北九州市、福岡県)
経済産業省
産業廃棄物処理事業振興財団

議事

PCB廃棄物処理基本計画の変更について

議事概要等

  • 会議は公開で行われた。
  • 井上環境副大臣より挨拶があった。
  • 事務局より、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画の変更(案)について説明し、自治体、JESCO及び委員から意見があった。

主な意見等

(北九州市)要請自体は誠に遺憾と言わざるを得ないが、市民からの処理の安全性、期間内の確実な処理といった意見を受け、27項目の条件を提示し、これら全ての項目について国から承諾を受け、万全を尽くして対応をいただくことを前提に要請を受け入れた。今回の基本計画変更により、地元の意向も踏まえ、関係者が一丸となって安全かつ1日も早いPCBの根絶に向けて取り組んでいただきたい。北九州市としても、そのために国と二人三脚で取り組んでいきたい。

(室蘭市)東北、北陸、北関東などの15県から廃棄物を受け入れている。基本計画変更案により、新たに安定器などを受け入れることとなり、エリア拡大に伴う不安・不満等の声があったが、地元理解に取り組んできた。PCB廃棄物の処理は世界的な環境貢献に資するものであり、この環境貢献が環境産業都市を標榜する本市の役割と考える。安全で確実、そして期限内に終了することに万全を尽くすという国からの話を受け、安定器、エリア拡大、処理期限延長の申し入れの受け入れを決定した。

(眞柄北海道監視円卓会議委員長)室蘭市での事業が、当初計画よりもかなり大きなものになることから、市民・円卓会議のメンバーの多くは慎重な考えであったが、国全体としてPCBを処理するという考え方から、受け入れる形となった。技術的な点では、施設も計画段階から既にかなりの月日が経過し、例えばモニタリングを含めた処理技術はかなり進歩している。設備の更新や改良の際には、最新の技術を鑑みて採用してもらいたい。また、現場技術者のサポートができるよう、情報技術などを活用する工夫もしてもらいたい。さらに、他の地域の円卓会議・監視会議のメンバー同士の交流などを積極的に行い、市民レベルでのPCB処理に関する意識を今後ももり立てるようにしてもらいたい。

(東京都)処理施設の稼働やPCB廃棄物の事業者間移動など、今後の事業運営にあたっては、環境対策も含め、安全については十分な配慮をお願いしたい。次に、基本計画変更案では一定の処理期間が示されているが、JESCOの操業期間について可能な限りの短縮をお願いしたい。最後に、基本計画変更案を進めていくにあたり、自治体の負担も増加すると考えられることから、環境省・関係機関との連携、御支援、御協力をお願いしたい。

(中杉東京環境安全委員会委員長)他の自治体の協力を得ることで、当初計画より短い期間で処理が完了する基本計画変更案を策定していただいた。住民の方は、安全に処理することを第一に考えて欲しいという要望が強い。今後、想定外のトラブルというものが起こらないとは限らないため、そのようなことが起こった場合も迅速な対応をお願いしたい。安全を確保しつつ、着実に期限内の処理を完了させてもらいたい。

(豊田市)豊田市は、自動車産業都市として多くのPCBを使用してきた背景もあり、東海4県のPCBの処理を行っている。操業開始後すぐに、PCBガスの漏えいという事故が発生したこともあり、一部の市民の方には根強く反対の意見がある。施設の安全性だけでなく、広域化する収集運搬に関する取組等について条件を出すことにより、計画変更の手続きに入ることを了承した。JESCOに対しては、二度と漏えい事故を起こさないよう安全運転をしていただきたい。今後も安全に確実に処理ができるように、関係機関が一丸となって進められるように支援と御協力をお願いしたい。

(松田豊田監視委員会委員長)監視委員会の席上で環境省がしっかりと丁寧に説明したことにより、協力をしていきたいということで、今日に至っている。ただ、処理工程の変更、施設の老朽化対策、搬入に伴う危機管理について注意を払っていかなければならない。JESCOには、豊田市と歩調を合わせながら地元の住民の方の協力、信頼にきちんと対応できるように事業を進めてもらいたい。

(大阪市)大阪市此花区は、処理施設があるとともに、関西電力の柱上トランスの自社処理施設があるため、PCB処理に関して関心を持つ方が多い土地柄である。地元の方からの大きな反発・反応は無いが、処理期限が延長されることに対して不安がある。できる限り前倒しで処理を完了させるよう、市長からも環境省に要望した。輸送時も含め安全には万全を期していただき、近畿ブロック2府4県13政令市がPCBの保管事業者の掘り起こしなどをすすめ、早期処理が完了するようにしたいと考えている。

(経済産業省)経産省としては、PCB含有電気工作物の使用及び廃止に関して適切にその状況を把握し、電気事業法やPCB特措法に基づく届出について、各地域の産業保安監督部と各都道府県市との間で情報を共有し、両制度の連携を図ってきた。また、環境省で実施したPCB機器の設置状況の把握についても協力を行った。
微量PCB汚染廃電気機器等については、今後、その結果に応じて電気主任技術者、保安関係団体等との関係者とも連携して必要な指導等を行いたい。微量PCB汚染廃電気機器等の保有者及び使用者に対しその処理の選択肢を増やし、取り組みやすい環境を整えることが極めて重要と考えており、環境省と連携し、検討を進めている。使用段階における課電自然循環洗浄法等を活用した無害化処理スキームなどを早期に実現していきたい。

(JESCO)平成24年8月に検討委員会でまとめていただいた報告を踏まえ、安全確実な処理を第一とし、効率的な処理を進めている。トランス・コンデンサについては、5カ所の処理施設での操業が順調に進み、もとの計画に比べて少し遅れているが、我が国のPCB処理もJESCOとして全体では道半ばを越えるところまで来た。安定器等汚染物の処理についても昨年9月から、北海道事業所の増設施設が順調に操業を開始し、北九州事業所と合わせ、2カ所のプラズマ溶融処理設備で処理が進んでいる。PCB廃棄物処理の一層の処理の加速化に向けて体制が整ったと考えている。これもひとえに皆様方の御支援のたまものと厚く感謝申し上げる。今後も施設の健全性、処理の安全性の確保、処理の困難なものなどの処理に向け、取組を着実に進め、安全確実に事業を進めたい。本検討委員会で御意見をいただいており、その御意見も踏まえ、今回の基本計画変更案の完遂に向けて最大限JESCOとして、運転会社と一丸となり努力を積み重ねてまいる所存である。

(伊規須委員)今までのような地域割りによる処理ではなく、地域の枠を越えた処理が可能となることで、作業従事者の負荷が低減されると期待している。そのような点から、地域の枠を超えた処理は良い方向に動くと思っている。

(織委員)2年半の検討により基本計画変更案がまとまったことに感無量である。自治体の協力のもとで、JESCOも一体となったと感じる。今後は、JESCO事業所の無い自治体にも掘り起こし等をしっかりと行ってもらうことが重要と考える。また、処理期限が延長となることにより、施設整備維持、安全維持を考えることも重要となる。リスクコミュニケーションを図りながら、一体となって処理を進めてもらいたい。

(代理:井上委員)区域を超えて汚染機器を受け入れが可能となったことに対し、大量保有者である産業界として大変感謝する。微量PCB汚染機器については、課電洗浄等の適用のスキーム、筐体等の合理的な処理方法について検討を進めるということで、我々も具体案を出していきたいと考える。処理スキーム等が確立した段階で、処理計画がブラッシュアップされることを望む。

(鬼沢委員)「関係者とのコミュニケーションやより一層の理解と信頼を得ること」は非常に大切なことである。処理施設のある地域のみならず、国民の合意も大切であることから、合意形成の仕方を工夫し、処理困難物に対するリスクコミュニケーションの良い見本を作ってもらいたい。

(酒井委員)平成37年に処理を完了するという目標を掲げたことは良いことであるが、処理の前倒し、短縮といったような要請を考えていくと、基本計画変更案の進捗状況について、どうモニタリングしていくのかが重要である。5年ごとに基本計画を見直すと記載されているが、継続して事業の進捗状況を確認すべきと考える。また、使用中の機器に対する制度についても検討すべきと考える。

(鈴木委員)電機製造事業者であり、製造事業者の観点から処理に必要な情報について、引き続き提供し、少しでも早く処理が完了するように努めたい。また同時に保管事業者でもあることから、皆様の御尽力により、早期に処理ができる目処が立ったことに御礼申し上げたい。

(田中委員)処理期限が12年短縮される基本計画修正案ができたことは喜ばしいことである。地元自治体、地元住民、関係者の継続的な理解・協力をお願いしたい。今後の課題である未届出・未登録のものについて、早い段階で掘り起こしを行うことが非常に重要である。また、使用中のものについて、3Rの原則である「廃棄物にさせない」という点から、処理が困難とならないうちに解決する必要がある。

(田和委員)産業界の意見にも耳を傾け、取りまとめ頂いたことに感謝する。また、施設のある自治体、住民の方々に大きな御負担・御協力をいただき、処理期限の延長、広域処理という考えについて御理解いただき深く感謝する。石油業界として、これまで以上に前向きにPCBの処理に向かっていくが、施設に運搬できない大型トランスといった課題があるため、対応策について早期に具体化していただきたい。

(春名委員)自治体代表として、掘り起こし調査を国と協力しながら進めていきたい。使用中のPCB機器については産業保安監督部と連携していくことになるが、PCB機器の継続使用する事業者も考えられる。次回の見直しの際には、使用についての制限を掛けることも検討していただききたい。処理施設のある自治体に対しては、事業期間の延長、対象地域を越えた安定器等の受入れなど、地元説明等で御苦労されたことに対し、お礼を申し上げる。

(福間委員)保管事業者の立場から、新たな枠組みにより、保有するPCBが処理できる体制をつくっていただいたことに対し、JESCO立地自治体、また各地域の監視委員会、環境省のご努力に感謝申し上げる。微量PCBについては、安全性を担保しつつ一層の合理化を目指した技術、制度の検討をしていくことが必要であることから、保管事業者としても知恵を出しながら、積極的な提案をしていきたい。

(森田委員)PCB処理について、ほぼ半分が終了したという感想である。安全面を含め、軌道に乗ってきたが、気を緩めずに着実に処理を行うにあたっては、緊張感を持つ必要がある。PCB処理の最終的な完了は、処理施設を撤去し、更地に戻すまでである。そこまでの道筋は単純ではないことから、先生方の意見を踏まえ、改善をしながら進めてもらいたい。

(環境省 中野補佐【浅野委員の意見を代読】)ストックホルム条約に基づき、PCBの処理を進めることについて我が国が果たす役割は大きい。この条約に規定された期限までにPCBの処理を終了するためには、基本計画変更案は非常に重要なものである。体制作りや取組みについて、国・地方自治体・事業者が一丸となって実現することを期待する。残念ながら処理期間を延長せざるを得ないが、安定器等汚染物の処理先が北九州と室蘭市に二局集中し、地域の多大なる痛み、負担感を伴うことになるが、これに配慮した取組みを考えていくべきである。基本計画変更案はこれまでの議論を踏まえ適正なものと考える。

(環境省 塚本課長)酒井委員から意見のあった、基本計画変更案の進捗状況のモニタリングについては、この検討会を継続し、審議していただきたい。具体的には1回/年の頻度で報告し、アドバイスをいただければと考えている。

(永田座長)基本計画変更案について修正の意見は無かったと考え、検討委員会として了承することとする。

(環境省 塚本課長)基本計画変更案については、環境省内の手続きを経て、環境大臣が定める法廷計画として決定する。後日、告示させていただく。

(井上環境副大臣)基本計画変更案を了承いただき、感謝申し上げる。委員の方々、関係自治体を初めとした地元の皆様にも御理解、御協力を賜り重ねて感謝申し上げる。この基本計画変更案は我が国のPCB処理の新たな大きな一歩となる。他方、この基本計画変更案を実行していくことが非常に重要である。処理の安全性確保、期限内の確実な処理に引き続き取り組んでいく。引き続きのご協力をお願い申し上げる。

(永田座長)地元住民の方々、自治体、監視委員会の皆様には非常に無理をお願いし、御協力、御理解を賜った。その意味で基本計画変更案は非常に重要であり、安全第一に処理事業が進められるよう、関係者として活動に対して今後も協力したい。JESCOには、是非とも頑張ってもらいたい。

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