環境再生・資源循環

第7回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事録

日時

平成24年5月18日(金)

場所

JA共済ビル カンファレンスホール

開会

  • (鈴木課長補佐) ただいまから「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会第7回」を開催します。本日は委員の皆様は全員出席いただいております。ありがとうございます。今回からまたJESCOの地元の自治体で開催されている監視委員会の委員長の皆様にも、再び御出席をお願いしているところでございます。大阪の監視会議の上野座長のみ御都合がつかないということで御欠席ですが、ほかの4地域の委員長、座長の皆様には御多忙のところ御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
     それでは、早速本日の議事に移らせていただきたいと思います。以降は座長の永田先生に進行をお願いします。
  • (永田座長) どうも皆さん、おはようございます。委員の皆さん、監視委員会の委員長の皆さん、御多忙のところお集まりいただきましてありがとうございます。
     今回のこの検討会では、とりまとめ素案について御議論いただきます。12時半まで十分時間をとってございますので活発な御議論をお願いしたいと思います。
     それでは、議事に入る前に事務局から資料の確認をお願いいたします。
  • (鈴木課長補佐) 議事次第に配付資料一覧ということで書いてあります。資料は3点です。委員名簿の後に資料1とりまとめ素案というものがあります。これは別添資料がありまして、次のホッチキスどめの資料1の別添ということで1~6というのが一つの資料となっております。
     資料2が「東京事業所における安定器処理の方針について」、資料3が「PCB廃棄物の処理期限について(論点)」です。
     そのあと参考資料は前回の議事要旨と報道発表を一つにしているので、参考でお配りしております。以上です。不足等がありましたらお知らせください。

議題1 検討委員会のとりまとめ素案について

  • (永田座長) よろしいでしょうか。それでは早速審議に入りたいと思います。
     議題1「検討委員会のとりまとめ素案について」ということで資料が大部のものになっていますので、「2-2安定器等・汚染物」までを最初御説明いただいた後、ディスカッションいただくということにさせていただきます。それではどうぞ。
  • (鈴木課長補佐) 資料1をごらんください。今までの検討委員会での資料と議論を中心に「とりまとめ素案」ということで作成しております。
     1ページ目には目次を書いています。「はじめに」ということで「経緯」と「各主体の責務・役割」、それから「処理推進に当たっての基本的な考え方」という三つ。2番に今までの検討委員会での議論をお願いしてきました各論をそれぞれ書いていまして、3番に「処理期限・その他」としております。
     めくっていただきまして、黄色でマークがされている部分が最初はかなり続きますが、後のほうはちょこちょこ出てくる程度です。基本的には今まで検討委員会に資料としてお示ししていなかったところを黄色で示しています。既に資料としてこの検討委員会に提出させていただいている部分は色をつけていない。大まかにそういったことで見ていただければと思います。
     2ページめくっていただくと、「はじめに 経緯」ということで書いてございます。まず、今、処理の状況を考えるに当たってどういう経緯でここまで来たかというのをしっかりともう一度書いておくべきだろうということで書いてございます。
     一つ目の○は70年代からの長い道のりを経て現在に至っているという話。
     2番目の○が72年に製造中止、回収というのがなされた後、我が国にPCBを処理する施設がなかったということで、保管されることになったということが書いてございます。
     それからその処理施設の立地に向けて、財団法人電気絶縁物処理協会を立ち上げてメーカーを中心に取り組んだけれども、39カ所どこにも設置ができなかったということで書いてございます。
     その後、30年近く処理のめどが立たなかったということですが、一方で約1万1,000台のトランス・コンデンサの紛失が問題になり、また国際的にはストックホルム条約の締結といったようなことで議論が活発になってきたということで、PCBの処理の必要性が高まってきた。
     このような国内外の状況を踏まえ、我が国においてもPCB処理の必要性が高まり、平成13年にPCB廃棄物特別措置法が制定され、国が中心となって処理の体制を整備していくということになりました。具体的には国が環境事業団、現在のJESCOを活用して、処理施設の整備を推進するということ。PCB廃棄物の保管者は法の施行後15年、平成28年7月までに処理を行うことなどが義務づけられました。
     施設の具体的な立地、整備という段階に入ったわけですが、地域住民の理解協力を得て、5地域に立地が可能になったということでございます。その処理施設の立地の条件としては、化学処理ということが提示され、かつ安全対策に万全を期するということが条件となったわけでございます。化学処理方式が採用されまして、PCBが直接外部排出されない閉鎖系の処理施設が整備されました。
     JESCOでは順次施設の整備を進めて、平成16年から20年にかけて5地域の施設が稼働を開始。その後、23年度までに高圧トランス・コンデンサで、今3~4割の処理が完了したというところまでやっと来たという状況でございます。
     安定器・汚染物については北九州事業所において平成21年に処理を開始。北海道については平成25年から開始の予定ということで建設中でございます。なお、東京事業所においては、安定器の処理施設について稼働に問題があり、現在、停止しているという状況でございます。
     3ページに行っていただきまして、一方で特措法施行後の平成14年に微量のPCBの問題が判明したわけでございます。こちらについても平成17年度から環境省、経済産業省、事業者団体が連携して対策のあり方を検討し、平成19年度からは中間審の専門委員会を設置して検討を続けてきたわけでございます。
     その中では環境省が平成17年度から実施してきた焼却実証試験の結果というものを踏まえまして、廃棄物処理法に基づく無害化処理認定制度を活用した処理体制の確保ということを行うことになり、平成21年に告示改正。その後22年6月の認定ということで処理が約2年前に着手されたという状況でございます。
     続きまして「(2)各主体の責任・役割」ということで、主なものだけ書いてございます。PCB特別措置法では、国は処理体制の確保を行うことに努めるということ。都道府県及び政令で定める市、都道府県市と呼びますが、保管事業者への指導・助言を行うということ。それから保管事業者は、法の施行15年後までの処分ということ。当然その他廃棄物処理法に基づく適正保管等の義務もかかっているわけです。
     PCBを製造した者及びPCBが使用されている製品を製造した者については、PCB特措法において国、地方公共団体の施策に協力しなければならないということも規定されています。
     実はこのほかPCB廃棄物処理基本計画というものは、特措法に基づいて環境大臣が定めることになっていまして、皆様のほうには基礎資料というファイルの中にとじ込んでありますが、さまざまいろんな役割が期待されているということでございます。
     「(3)基本的な考え方」というところでございますけれども、高圧トランス・コンデンサはおおむね順調な処理ができるようになり、安定器等・汚染物、微量のそれぞれについても処理に着手されたわけでございます。
     しかし、いまだに延べ9万カ所にPCB廃棄物が保管されているという状況です。既に40年近く保管され続けている機器も数多くありまして、腐食等が進み始めています。最近でも保管場所において漏えい事案というものが発生して、4ページに行きますけれども、汚染が少なからず生じている状況であります。
     また、前回お示ししましたけれども、東日本大震災においても津波によるトランス・コンデンサの流失が発生しているわけでございます。こういったことからPCB廃棄物の一刻も早い処理完了が求められます。
     しかしながら、JESCOについては操業開始後に明らかになった課題というのがたくさんあるということで、また、微量PCBについては2年前からやっと処理が始まったということです。このような状況で考えますと、PCB特別措置法で規定されている施行15年後、平成28年7月までに処理が完了するというのは、なかなか今は困難な状況にあるということです。
     そのため処理のスピードアップということで、関係者は一刻も早い処理の完了に向けた努力が必要になるということでございます。
     ただ、今後安全確保を最優先としたペースアップに取り組むということになりますけれども、一方で処理困難物の処理ということにも対応していかなければなりません。これはむしろ処理スピードの低下要因にもなるということですけれども、関係者の協力のもと、処理を進めていく、対応をしていくということをしなければならないということも考えていく必要があります。
     処理のペースアップもしなければいけませんが、その一方で安全第一の操業の最優先と、これをないがしろにしてはならないということで明記してございます。国、JESCO等の処理事業者が安全確保に最大限の措置を講じるというのは当然でございますが、都道府県市、保管事業者、収集運搬業者など関係主体が、連携協力した安全確保ということが必要ですということでございます。
     その後、処理体制の確保ということですが、安定器等・汚染物については、まだ処理体制がない地域があり、早急な処理体制の確保が求められるということ。それから安定器以外のPCB汚染物の中には処理体制がいまだ明らかではないものも少しはあるところでございます。こういったところの実態把握をして、PCB廃棄物の処理体制の確保に取り組んでいくことが必要であるということです。
     4ページの一番下、無害化認定施設というのはJESCO操業開始時にはなかったわけでございます。これについては平成22年から、微量の処理のほうで実績を積んできておりますので、今後その活用を図ることが適当であろうと。
     5ページ目はJESCO地元地域への協力ということで、JESCOの施設が立地する地元自治体においては、安全確保担保ということでモニタリングを行ったり監視委員会を開催するということで、地域住民の理解を醸成するための取組に相当な手間と時間をかけているということでございます。ほかの地域ではやっていないような収集・運搬業者さんの普及啓発や未届け者の掘り起こしといったことにもさまざま取り組んでいます。
     こういったことで前回までに、それ以外の地域では意識が低くなっているという御指摘もありまして、最大限こういった地元の施策に協力するといったことが求められる。そういったことの一つの場として広域協議会という場、これは都道府県各地域で開いていますので、これはPCB廃棄物のための広域協議会ですが、こういったものの活用ということも期待されるということでまとめてございます。
     ここまでが全体の話で、次の6ページに進んでいただきまして、今後の処理推進策についてということでまとめてございます。
     ここからが各論でまず「2-1高圧トランス・コンデンサ等」というところでございます。基本的には第2回の資料でこの辺の話をさせていただいています。まず、どれほど処理する機器があるのかということでございますけれども、一つはアというところでPCB特別措置法に基づいて、保管業者は毎年1回都道府県市に何台、どういう機器を持っているという届出をします。これのデータがそこにトランス3万4,000台、コンデンサが24万6,000台ぐらいということであります。
     一方でイのほうですけれども、JESCOでは効率的な処理ができるように、処理の委託契約を行う前に保管業者に対して機器登録というものの働きかけをしています。この台数が、7ページ表1、A欄というところにあります。大体1万7,000台と28万台くらいです。
     ウということで処理対象量、実は特措法のデータをそのまま使えれば一番いいんですが、微量の問題という法律ができた後にわかってきた問題があります。微量なのか高濃度のものかの識別がなかなかつかないものがあるということで、環境省とJESCOが協力して届出データとJESCOの登録データとの突合作業というものをしてきました。また経済産業省から使用中の関係の情報提供を受けまして、JESCOの処理対象量の推計をしたということで、これも第2回のときにお示しさせていただいた数字です。それが、表1の一番右側に書いてございます。こういった高圧トランスが1万8,000台くらい、高圧コンデンサが33万台ぐらいということでございます。「エ.課題」と書いてありますが、これ以外にもPCB特別措置法と使用中の機器の報告をする電気関係報告規則のどちらの届出も行っていない事業者がいるだろうということが、これは若干だと思いますが見込まれています。これらの者について、環境省、都道府県市、関係府省が事業者団体と連携し確実な届出が行われるよう呼びかけを行う。こういったことも重要になっているということでございます。また、JESCOへの登録の確実な実施ということも必要になっています。
     これらを踏まえて処理の進捗状況でございます。7ページ表2に書いています。23年度末の時点で各事業所ごとに出しています。進んでいるところは北九州事業所のトランスなんかはもう6割、半分を超えてきました。全体としてはトランスで45.7%、コンデンサで34%という状況でございます。
     めくっていただきまして、8ページです。処理完了までに要する期間ということで、このあたりは既に過去の資料で出さしていただいています。資料1の別添という別とじのものがございます。これをめくっていただいて1ページ目に、横の表がございますけれども、図になっているものがあります。これは第2回検討委員会資料4ということで、カラー刷りのグラフが出ているかと思います。これは現状の年間の処理台数で、新たな対策を導入せずに処理が進んだとした場合の処理期間がどうなるかということで、JESCOが試算したという資料でございます。これによりますと、平成27年度中に全体の7~8割の処理が終わるけれども、すべての処理は完了しないという見込みであるということを既にお示しさせていただきました。
     大体全体この図を見ると、大型トランスがどこも時間が比較的かかっているという話、東京事業所は特にかかっていると。それから、豊田事業所の車載トランスというのも、これは東海道新幹線の車両に使われたものですが、これが多いということです。豊田事業所エリアにあるということで影響しています。コンデンサは東京と大阪で比較的長くかかっています。大阪はポリプロピレンやポリエチレンが使用されたコンデンサが影響している。豊田は特殊コンデンサについて、現状の設備では作業環境上の問題があるといったこと。北海道事業所では大型のコンデンサについて課題がある。こういったようなことで、それぞれの地域で課題を抱えているということでございます。
     PCB廃棄物処理基本計画は先ほども出ましたが、環境大臣が定めている計画では28年3月までの処理期間を予定と定めていたわけです。その中での処理が完了しない原因を整理しています。これにつきましては別添2というのが次の3ページに、第2回検討委員会資料3というものをそのまま提示しております。これにつきましても、きちんとどういう状況でこういう状況になっているかというのをまとめる必要があるということで、第2回のときにお示ししております。
     簡単に述べますと、もとの本体の資料1の8ページ下のほうです。JESCOにおける高圧トランス・コンデンサ等の処理事業は地元の理解を得て、安全・確実な処理を行うため、以下のような条件を満たす必要があったということで、処理物の多様性、複雑性への対応、化学処理を用いた処理システムで先行事例がほとんどなかったといったようなこと、閉鎖系での処理であって労働環境の確保が困難になったといったようなことを書いてございます。
     9ページに行っていただきまして、トランス・コンデンサの特徴というか、内部に銅線、鉄心、紙といったいろんなものが入っています。こういったものは、それぞれ分別して処理をしていくということが必要になるので、さらに各部材からPCBを分離するといったようなこと。なので化学処理といっても、その前に粗洗浄、解体、洗浄という多段階の工程を経るといったようなこと。中には、手解体の工程、こういったことで、操業開始後に課題が明らかになり稼働の低下につながった部分がどうしてもあるということでございます。
     特に実際に作業をしてみると、設計時の知見以上にPCBの揮発量が多かったということがわかりまして、作業環境の悪化といった問題にも対応しなければならなくなったということ。血中PCB濃度の指標とした健康管理の導入、局所排気設備の設置、こういった対策をしてきまして、現状では作業員の血中PCB濃度の許容値を超えることは見られなくはなっています。
     それから含浸物といって、紙とか木にPCBがしみ込んでこれがなかなか処理が大変だということで、時間を要する原因となっている。これについても24時間化などの対策をしてきています。
     次の黄色の「別添2にまとめている」というのは、さっき申し上げた別添2のことでございます。
     また、JESCOの施設の能力は、特措法の期限までに処理を完了するように設計されてはいますけれども、その設計能力は、操業開始から終了まで100%の能力を発揮できるようにということで計画されてきていました。こういったことだったんですが、操業開始後の問題の対応による立ち上げの遅れ、一部ではそもそも段階的に立ち上げを行うというようなことがあったり、東京と豊田では漏えい事故というのがあって停止した。こういったようなことがありました。
     9ページの一番下のところですが、JESCOではこういった経験を積み重ねて施設の改良、改善等も行ってきて、最近は施設能力の8割程度は確保されてきています。中には設計能力以上の能力を発揮している事業所もあるということですが、一方で、いまだに処理能力が上がっていない施設も一部あるということでございます。
     めくっていただきまして、「漏えい機器・超大型トランス等」ということで実は外部に付着した漏えい機器が、JESCO施設に入ると作業環境が悪化してしまうということが出てきたり、超大型については施設にそもそも搬出・搬入ができないといった問題がございます。車載トランスについても、なかなか洗浄工程で当初想定の数倍の時間が必要になるという課題が実はありまして、処理が困難なものへの対応というのも今後必要になってきます。
     10ページの下のところに、「(2)今後の処理推進策について」とございます。これは第3回検討委員会資料2をそのまま貼りつけていまして、黄色のところは御意見を踏まえて修正しています。第3回検討委員資料2というのは、基礎資料という黄色い紙ファイルが机に配られておりますが、この中に今までの主な検討委員会の資料を抜粋していますので適宜参照いただければと思います。基本的にはこのまま貼りつけて、黄色い部分を追加していると思っていただければと思います。
     まずJESCOの操業改善、施設改造等ということで「ア 律速工程の改善、効率化」「イ 処理施設の改造」といったことは既に説明させていただいています。JESCOで改造の中身というのは、試案の別添3ということで、これも既に検討委員会でお示しして別添の13ページから、第3回の検討委員会資料3-2というものを示してございます。
     本体のほうの11ページに戻っていただきまして、黄色い部分「ウ 設備の点検、補修、更新」といったようなことを加えています。JESCOでは毎年定期点検など補修を実施してきていますが、操業期間の経過に伴う経年劣化の進行も想定されるということで、従来にも増した点検をし、また更新の必要があるだろうということ。
     「エ 作業従事者の安全確保」というものを加えました。これは、オの中に入っていたのですが、エとして独立させています。2番目の〇で中規模・大規模な改造を行う際には、設計当初の段階から、産業医による助言等を得て、作業環境の安全を確保するといったことを追加しています。
     オの中の三つ目の○「さらに、安全確保や処理量向上に寄与した従業員の表彰、資格取得の奨励などの取組、特許の取組など従業員の創意工夫をいかす取組も重要である」ということ。
     11ページ、(トラブル・事故対策)の2番目の○JESCOの事業所においては、これまで以上に運転会社や設計・施工会社と十分連携を図り、事故・トラブルの削減に努めるということ。
     11ページの一番下から(コミュニケーションの推進)ということで御意見もいただいているところです。12ページに入っていただきまして、JESCOは処理事業における安全確保への取組について、地域住民をはじめ幅広く理解されるよう、各地域での監視委員会への対応、見学者の受入れ、その他情報発信などに積極的に取り組むこと。今までもやっていますけれども、今後も一層ということでございます。
     また、処理契約の仕組み、処理の状況、処理困難物の問題等について、保管事業者の理解を得られるよう丁寧な説明に努めるなど、コミュニケーションの推進を図る、といったことも追加しています。
     [2]は「5事業所の有効活用」ということで、別添の16ページの上の図で各事業所にどういった有効活用ができるかというのを取りまとめています。これも第3回のときにお示ししたものでございます。
     本体の資料に戻っていただきまして12ページ[3]、13ページ[4]というものは、無害化処理認定施設の活用をしていきましょうということを書いてございます。
     13ページ[5]「機器の搬入等」でございます。廃棄物処理施設における廃棄物の保管物の上限を定めていますが、これについて14日間というのは、もう少し拡大してもいいんじゃないかという御意見もあったんですが、1カ所に多くのPCB廃棄物が集積することも考慮しながら検討を行うことが必要であるとしています。
     また、保管事業者は、都道府県、JESCO等との連絡調整を踏まえて、円滑な処理のため、処理ラインごとバランスよく機器が搬入されるよう取り組むことが必要であること。
     一方でマニフェストの返送期間というものも廃棄物処理法で定めてございますけれども、こちらについては、効果と影響を考慮しつつ、今後の対応について検討を進めるということで書いてございます。
     13ページ「[6]漏えい機器、超大型機器等」の対応ということで、基本的にお示ししたままになってございますが、保管事業者さんと関係者との協力ということでこれからの対応をしていくことが必要だろうと。都道府県を含め保管現場で保管事業者さんが抜油をするとか、付属品取り外しとかそういったようなことも、これから実施していくべきだということで書いてございます。
     14ページ「[7]処理完了までに要する期間」ということで書いてあります。JESCOが第3回の検討委員会に提出した12月時点の試算によれば、概ね平成35年度までには、処理期間を短縮することができる見通しであると。別添4というのは別とじの19ページからあります。これについては、上記[1]~[6]の対策を一層の取組を含めて、環境省・JESCOでさらに検討を進めることが必要である。また、その実施については地元地域の理解を得ることに努めることが必要であると。
     2番目の○は、この見込みの処理期間までに処理が完了するためには、処理能力に応じた廃棄物が確保されることが前提であるので、保管事業者は計画的な機器の搬入に協力することが求められるということ。
     それからその次の○です。ただし、現状の処理台数については、今後、相対的に処理が困難な機器が増えてくること、又、処理残り台数の減少に伴い、JESCOの施設への効率的な搬入が難しくなることから、年間の処理台数が減少するといったことがあります。それから、超大型トランスについての対策を個別に検討するといったようなこと。さらには現在まだ使用中で届出をしていない機器も多少存在するだろうと。15ページ一番上ですが、こういった課題があるので、この処理期間の設定に当たっては、2年程度の余裕を見込むべきであるということ。
     最後、なお、以上のような取組をしても2年程度の余裕を含め、その後に未処理物が現れる可能性はございます。そういったものの処理のあり方について環境省・JESCOは必要な検討を始めることが重要であろうということでございます。
     次の16ページ「2‐2安定器・汚染物」ということで書いてございます。安定器については冒頭御説明したように、北九州で始まっていますが、北海道では来年度。それから豊田、大阪ではまだ体制がないということで、16ページ真ん中ほどに東京事業所のことが書いてありまして、稼働に問題があり停止している。これは2月の第4回の検討委員会のときには、専門家による評価をしていくということで書いたわけでございますが、その検討結果が出されていますので、これを踏まえれば、東京事業所の設備は、高圧トランス・コンデンサの処理に集中させ、東京事業エリアの安定器処理については、豊田・大阪事業エリアと併せ早急に別途適正処理が確保されるよう措置すべきであるということ。これは資料2というものが後でありますけれど、JESCOの事業部会で急いで第4回検討委員会の後に検討をいただいて、その結果は既に公表されておりますので、こういったものを踏まえて検討していこうということでございます。
     16ページ下の「(2)今後の処理推進策について」でございますけれども、ここも既にお示したとおりであります。北九州・北海道事業所で仮にすべてほかの地域のものの処理を行った場合に、期間内にすべて処理が終わることが望ましい、とした上で17ページ、ただ、すべてのものが期間内に終わるというのは、なかなか難しい見込みであるということなので、「このため」というところですが、2行目から、国は豊田・東京・事業エリアにおける処理体制の確保に具体的に取り組むべきであるということ。その上で、北九州・北海道事業所については自分のエリアの処理終了の見通しがついた時点で、そのときの状況を踏まえて国は処理体制の方向性について判断するということをお示ししていたわけでございまして、いろいろと御意見をいただいたところでございます。この検討をしていくため、今後、環境省と自治体等との協議の場を設けるべきということで17ページの最後に記載させていただいたところでございます。
     ちょっと時間が超過して恐縮ですが、前半部分は以上です。
  • (永田座長) どうもありがとうございました。
     ただいまの説明の中で最後のところ安定器と汚染物の関係ですが、この中で東京事業所の安定器の処理の方針について、JESCOの技術部会での検討結果に言及されていました。酒井委員がJESCOの技術部会の主査を務めておられますので、酒井委員に資料2の説明をお願いいたします。
  • (酒井委員) 承りました。資料2の説明をさせていただきます。1枚めくっていただきまして、ページ番号は打ってございませんが、3ページ目に検討の経緯をまとめさせていただいております。先ほど御紹介がありましたとおり、本委員会の第4回会合、2月1日開催でございますが、この時点で検討の指示をちょうだいいたしました。
     その後3月に2回の技術部会、メンバーは下に書いてございますが、会合を行いまして、東京事業所における安定器処理の経緯、現状、安定器の部位別の汚染実態、処理方法として採用しております水熱酸化分解設備における安定器処理の課題等に関して議論を進めさせていただきました。
     その後3月31日にJESCOの処理事業検討委員会が開催されましたので、その場に報告させていただきまして、その委員会の御承認をいただいたという経緯でございます。その後に安定器処理の報告書をつけさせていただいています。
    では、報告書の概要を説明させていただきます。下のページ番号で1ページ、後ろから3枚目になろうかと思います。まず、東京事業所における安定器処理の経緯をまとめさせていただきました。東京事業所で先行して安定器処理に取り組まれたわけでございますが、その経緯は一つ目の〇で示してあります。平成12年の都内の小学校の安定器の破裂事故でございます。その後12年11月に安定器に関しても緊急の安全対策が必要だと、閣議での議論がなされております。
     14年に東京都からの受入表明がなされまして、東京事業で安定器処理に取り組むという方向で意思決定されていったわけです。ただ、安定器処理に係る技術的な蓄積というのが当時はまだ十分とは言えなかったわけで、高圧トランス・高圧コンデンサの処理技術の蓄積とともに可能な方向性を模索して、現在のシステムが採択されたと、こういう経緯になります。
     具体的に東京事業で採用されている技術ですが、報告書の2ページにまとめさせていただいております。高圧トランス・コンデンサのPCB処理設備は水熱分解処理ですが、そこの技術が先行していたということもありまして、安定器に含まれるPCBもこの処理設備と共用して進めるという方針がとられております。
     それから安定器は非常に多くの数があるわけでございますが、一つ一つがさまざまな形状をとっております。ということで一括機械破砕、選別という要素技術も採用されております。そういうことで当初の処理システムは破砕機で破砕、そして水熱分解での共用処理ということが採用されたわけです。
     ただ、分別をされた鉄、非鉄等の部材に関しては、洗浄処理を行うということ、そしてその洗浄に伴って発生する廃洗浄油も水熱分解処理をするという処理システムが採用されたということになります。
     その後、試運転に入られたわけですが、一つこの時点で、計画時点と想定が異なったポイントに、安定器の種類というものがあります。安定器にはアスファルト型の安定器と樹脂型のものと大きく2種類あるわけですが、当初のアスファルト型の安定器の数量の見積もりが非常に低かったのです。アスファルト型が思ったよりも多い。70%程度あるということがわかってきました。そしてこの多いアスファルト型の安定器が、破砕機の工程でいろいろな課題をもたらしてきたということです。アスファルトの素材に起因する閉塞等の問題が起こったということでございます。
     そういうことでその後、施設改善等相当な努力をJESCOのほうで進められたわけです。その内容を3ページ「(3)施設改善等の内容と効果」というところにまとめさせていただきました。アスファルト充填材に関しては先ほどのような課題がわかってきましたので、当面保管をして樹脂型の安定器のほうの処理に注力していったという経緯になっています。
     具体的には洗浄工程の前に加熱工程を置いて、PCBの除去を行うというプロセスの変更が行われました。ただ、樹脂型の場合も加熱処理に起因する凝縮器での無水フタル酸の析出といった問題も発生してまいりまして、これを次の水熱分解のほうでともに処理をしなければならないという経緯になっています。
     こういった経緯で進めてこられたわけでございますが、現段階での東京事業の安定器処理の方針ということでの結論は、資料2の表の1ページ、2ページにまとめさせていただきました。1ページのところはほぼ今御説明申し上げた報告書の要点を整理しています。そのまとめということで2ページに結論をまとめさせていただきました。
     安定器処理の課題に関しては、東京事業所の稼働以来7年間にわたり、工程変更、設備改善など試行錯誤を繰り返し、様々な努力をしてきました。今後、更なる改良により樹脂型安定器の処理が可能になるとしても、その水熱酸化分解設備への負荷は相当大きい見通しになっております。今推進されております高圧トランス、あるいはコンデンサの処理の妨げになる可能性があります。またアスファルト型安定器の混入といいますか、これを厳密に区別して受け入れることも簡単ではないようで、全体のPCB処理の効率性という面で疑問が多いというふうに言えるかと思います。
     ということで、東京事業の水熱酸化分解設備は当面は高圧トランス等の処理に集中させ、東京事業管内の安定器処理については、豊田・大阪事業エリアと併せ早期に別途適正処理が確保されるように措置されることが望ましいのではないかというまとめにさせていただいております。日本全体の方向性を含めた議論が必要な課題と思っておりまして、また今後ともに議論していただきたいというふうに思っております。以上でございます。
  • (永田座長) どうもありがとうございました。
    それでは、ただいま説明いただいた箇所、2-2まで該当いたしますが、御質問、御意見等ありましたら名札を立てていただきますと指名させていただきます。よろしくお願いします。
  • (中杉東京環境安全委員会委員長) 資料1の3ページのところで、「(3)今後の処理推進に当たっての基本的な考え方」というふうに書いてありまして、一番最初のところの目次が「今後の」が抜けているので、どちらが正しいのかなというところがあります。
     5ページの一番最後のところ、「JESCO地元地域への協力」というところですが、ここについては、今後のということでいきますと、今後、事業が延びるということに関して地元の理解を得るということが非常に重要な要素になってくるわけですね。さりながらここに書かれていることは、例えば環境監視委員会については「相当の手間と時間をかけている」という言い方しかないわけです。これは非常に不十分な記載ではないだろうか。ここら辺が非常に重要な要素になると思いますので、そこは適切に書いていただく必要があるだろうと。
     もう一つ、これは、この部分の全体のまとめとして、「JESCO地元地域への協力」というネーミングが適切なのかどうか。これも少し違和感を感じるところであります。以上です。
  • (永田座長) どうぞ、浅野先生。
  • (浅野委員) こうなってしまったからこうなったという説明はそれ以外ないわけですけれども、もう一回基本計画に立ち戻ってみて、そのときに想定していた量よりも現実にやってみたら量が多かった。資料にもとづいてざっと計算してみると、28万台ぐらいの高圧コンデンサを想定していたが、実際には32万9,000台だったということらしいのですが、この点をもっとはっきり示していかないといけないのではないか。基本計画を策定したときはこういう見込みでしたが、実際やってみたらこんなにありましたというような説明が出てこないわけです。両方を対照させて計算してみれば、こんなに増えたのか、これは大変です、というような印象になるので、もうちょっとそこは説明にひと工夫要るのではないでしょうか。
  • (眞柄北海道監視円卓会議委員長) 先ほど中杉先生がおっしゃったことは北海道でも同じでございます。5ページのところの文言については、もう少し工夫していただきたいと思います。北海道の監視委員会はすべからく皆ボランティアでありまして、市民が積極的に参加して事業をサポートしているわけでございます。そのことをもって「相当な手間と時間」と書くと、彼らは侮辱されたと。表現は悪いかもしれませんが、そういう印象を持つと思いますので、もう少し工夫をしていただきたいと思います。
     私が申し上げたいのは、11ページの設備の点検と補修と更新でございます。北海道事業はほかの事業所と比べて後発でございます。後発でありながら、現にトラブルが発生している箇所は、疲労と腐食が原因でございます。もちろんメインの脱塩素系統ではなくて、それ以外の周辺部分でのバルブだとか伸縮継手とかそういうトラブルが出ております。本体については、関心が行き届くわけですが、全体のシステムとしてパーツのチェックをどう進めるかということについて、専門家の意見も入れていただきたいと思います。
     北海道の監視円卓会議の中で、監視委員の中には、そういうケミカル等々のプラントで経験をお持ちの方がいらっしゃいますが、そういう周辺部分についてちゃんと設計基準を計画段階で示していたのかというふうにおっしゃる方もいらっしゃいます。そういう観点で期間が延長するということであれば、現有の施設の一つ一つの部品についての再点検を行っていただきたいということでございます。
  • (影山委員) ありがとうございます。2点お願いします。
    1点目は13ページから14ページのところの漏えい機器、超大型機器等の扱いのところでございます。これらについて保管事業者が積極的に協力をしまして、処理の促進を図るということについては、できるだけ前向きにやらせていただきたいと思います。これがJESCOの処理の迅速化にもつながると思いますので、そこのところは我々もできる限り前向きに協力させていただきたいと思います。
     ただ、この表現で保管事業者は必要な措置を講ずる必要があるとか、推進すべきであるというような形で義務的な表現がありまして、かつ、これについては費用の負担の公平化という問題もありますので、関係者はみんな協力して推進していくというような形でまとめていただければというふうに思います。ちょっと表現ぶりはまた御相談させていただきますが、少し言葉ぶりを注意していただければというふうに思います。
     もう一点目は3ページの各主体の責任役割にかかわる、ここのところの全体に関わるところでございます。微量については国の責任、役割等が必ずしも明確ではないというふうに感じています。これまでいろいろ無害化処理認定施設の話ですとか、国のこれまでの取組は非常に前向きにやっていただいて、感謝しているところでございますが、今後も保管事業者だけではなくて、国のほうにおいても積極的に微量のほうに関与していただき、かつ、ある位置づけを果たしていただきたいと思っております。そこのところについては、できれば書き込んでいただければありがたいということでございます。以上です。
  • (田中委員) ありがとうございます。資料1の2ページに関連しますが、経緯のところで、72年で製造中止、回収して、30年何もしなかったかのごとく読まれるんですけれども、一つは化学的な処理をしなくてはならないということになったいきさつと、処理技術が未熟でいろいろ問題があって進行を遅らせたというようなこともあります。環境省が高砂で熱的な処理をやったということとか、あるいは技術開発、評価などもやってきたということもあれば、その辺のいきさつ、化学処理をしなくてはならない、あるいはまだ使ったことのないような化学技術を実際の施設で使っているということがわかるので、書き込んでいただいたほうがいいかなと思います。
  • (築谷委員) 私も経緯の中で先ほど田中先生がおっしゃったカネカ高砂での熱分解、昭和63年ごろでしたか、5,000トンほど処理しておりますので、それは経緯の中にぜひ追加していただきたいと思います。
     それから、6ページ、7ページの高圧トランスの台数ですが、6ページのほうでは22年3月末現在で3万4,298台で、7ページの表では、高圧トランスが1万7,728台と相当大きな差があるんですけども、これは何なのか。要はJESCOに未登録の分であるのか、そこらがもう一つわからないんです。それと表2の進捗率というのも、同じく先ほどのベースが3万4,000なのか、1万7,000なのかで大きく違ってくると思いますので、そのあたり説明をいただきたいと思います。
     13ページになりますが、[5]機器の搬入の三つ目の○で、保管事業者はバランスよく機器が搬入されるよう取り組むことが必要であると書かれているんですけれども、今の実際の調整の仕方というのは、JESCOのほうで基本的に計画を立てて通知されているというやり方をされていると思います。ちょっとこの記載は違和感を感じますので、もう一度お考えいただきたいと思います。以上です。
  • (本多委員) ありがとうございます。具体的に追記する部分をどこというのはなかなか難しいでが、高濃度についてはJESCOさんにいろいろお世話になっていおり、今までいろいろ御努力されてきているのは十分承知いたしておりますので、今後、施設あるいは技術の運営、改造について、我々産業界も知恵がないわけではありませんので、我々のノウハウを提供できるような枠組みをつくることについて書いていただきたいと思いますけれども、今後、環境省さん、政府がJESCOさんの経営の中身についての適切な管理監督や情報開示、説明をしていただくというところをどこかに書き込んでいただけるのであれば、産業界としてもその場を活用し協力しやすくなると思いますので、そのような追記も含めよろしくお願いします。
  • (永田座長) それでは一たんここで切らさせていただいて、事務局から答えられるものは答えてください。
  • (廣木課長) 産業廃棄物課長の廣木でございます。いろいろ御意見をいただきましてありがとうございます。
     委員に今御指摘いただいたところは、非常にもっともな点が多いと思いますので、基本的にはそれを踏まえていきたいと思います。特に例えば中杉委員あるいは眞柄委員からお話のあった、地元の監視委員会のかかわりという点については、PCB処理事業というのは大きなポイントになっている、各地域の監視委員会、監視円卓会議等、そういう組織がきちんと機能してきたからこそうまくいっている面があると私は思っています。そこは、非常に重要なところだと思っています。そういう皆さんの思いが損なわれないような表現にするということは必要だと思いますので、ぜひそこはやりたいというふうに思っています。
     浅野委員からいただいた御指摘も、的確に反映していきたいというふうに思っています。
     影山委員から御指摘があったところなんですけれども、表現の適正化を図りたいと思っていますが、一方で保管事業者に処理責任があるということもございますので、そういった点も含めてしっかり書いていければというふうに思っています。
     また、PCB特措法の中ではもともと高濃度のものについて明確に国が先頭に立って処理体制の整備を進めるという規定がありますけれども、微量においても法ができてから後に顕在化した話でありますが、そこでも国が一定の役割を担うべきだという御指摘がありました。高濃度のものと違って国が中心になって処理施設を整備すべきという話とは違いますけれども、そこは民間が施設を整備していく過程で国も一定の役割を果たすことは必要だと思いますので、そのことを踏まえて記述していくということは、当然必要かなと思っています。
     また、高砂に関する話について、特に経緯の点で十分反映してほしいという話は、旧環境庁時代、大いに関わってきて、その当時PCB処理に進展が見られないときに、何とか進めたいという思いで、まさに兵庫県を含めまして地元自治体の協力を得ながら進めてきた。ただそれでも結果的に処理施設の立地はうまくいかなかったわけですが、一石を投じたのは間違いないと思います。そういった歴史の積み重ねがあって、今の状況があると思っていますので、そこはしっかり書ければというふうに思っているところです。
     そのほか御指摘いただいた点を踏まえて、反映できるところはできるだけ反映していきたい。吟味して、書き方も工夫しなければならないところがあると思います。その点に関しては、次回お示しするときに御説明しながらやっていきたいと思っています。
  • (鈴木課長補佐) 築谷委員から数字の話がありました点については、もう一回確認させていただきます。一つこの場でわかることとして、特措法の届出のほうの数字が、微量のものも入ってしまっているだろうと思っています。このあたりはもうちょっと精査したいと思います。以上です。
  • (永田座長) よろしいでしょうか。基本的にはいただいた御意見は、これまでもそうだったんですけれども、それを反映するような形で、とりまとめの素案をつくってございます。いただいた御意見を参考にしながら次回に向けて、また修正等をしてまいります。
     それでは2回目で御発言のある方、また、名札を立てていただけますでしょうか。浅岡先生、どうぞ。
  • (浅岡北九州監視会議座長) 処理終了時期の予測の話ですけれども、これ自身は第4回の検討委員会で資料で出された話ですよね。それに基づいて各地域の監視委員会で、これについて議論をされて、それぞれの地域で検討されたと思うんです。その結果を反映した報告書にすべきだというのが、私の意見です。
     これを見ますと、例えば北九州の場合もある程度甘い見通しでもう少し短縮できるのではないかということの説明を、北九州のJESCOさんからは受けています。そういうことでこれ自身が現状を維持し続けたら、この期限になりますという資料なので、具体的に地域での検討結果を反映させてくださいというのが、私の意見です。
  • (織委員) 一番気になっているのは、12ページの全国的な視点に立った5事業施設の有効活用というところだと思います。今まで地域の方に、地域内処理ということで御説明していたところを、こういう形でまたがってやっていくということについては、より一層のコミュニケーションというか、理解、不公平感というものをなくしていくために説明なり政策なりということを強く打ち出していくということは追加で、さらっと書かれているので、ここのところはちょっと丁寧に書いていただきたいということ。
     それとあわせてだと思うのですけれども、結局、この報告書が地元の方に説明するベースになっていくかと思います。やはり国を挙げてこれを進めていかなくちゃいけないんだというところの必要性というのをもう少し強調して書いていただければなと思います。紛失もそうですし、震災の話もあります。国際的なストックホルムということもあるので、今までの地域ごとのやり方でやっていくのでは、どうしても行けないと。だから今まではこういうことで御了解をいただいていたのだけれども、どうしてもこういう形でやっていかなければいけないという、何か決意というか気持ちというか、そういうのが最初の「はじめに」のところでにじみ出てくると、私たちもこれを使って説明がしやすいかなと思いますので、そこのところはよろしくお願いいたします。
  • (鬼沢委員) 今、織さんが最後のほうで、おっしゃったことなのですが、11、12ページにわたるコミュニケーションのところで、地域の住民だけでなくてやはり国民全体が、このことは社会的な課題で緊急に解決していかなければいけないという危機感が持てるようなコミュニケーションを進めていかないといけないと思うのです。そういったことを、今すぐ言葉が出ないのですけれども、もう少し織り込んでいただけたらと思います。
  • (浅野委員) 今、織委員が発言されたことに関連することです。もともとの基本計画をつくったときの考え方と、それから現状との違いについては、作業が遅れているというその点の理由だけがずっと強調されてきていますが、そうではなくてもっといろんな要因があるということではないでしょうか。当初考えられていたのは、絶対的にこの地域で出たものはこれをこの地域内で処理すると考えていたのかということです。よくよく読めば拠点的広域処理ということを言っていて、全国一カ所でまとめてやるというわけにはいかないから、拠点的広域という考え方をとるということではなかったのか。とりあえず拠点的な施設を整備しないといけないということが考えられていて、さらに当時はその拠点ごとにそこで出るものを完結的に処理できると思っていたけれども、やってみたらそうではないということがわかってきたので、それは変えなければいけないということになった。
     ここら辺の事情が変わったということを、きちんと説得的に述べていかないといけないのだろうと思います。特に織委員が言われたように、POPs条約もありますし、思いもかけず微量のものがあちこちにあって、それが放置されていればひいては海洋汚染につながるような問題があるということがはっきりしてきましたから、そのことをもう少しきちんと強調していく必要があるだろう。
     最初からそれを書くといかにもこの枠組みを壊すために言っていると思われるのも真意ではないので、書きぶりはこういう書きぶりでいいのだけれども、やはり当初の基本計画とはどう変わってきたのか。こういう事情があったから変わったということを言わなければいけないし、一般廃棄物の自区内処理原則のような考え方とは違うということがわかるようにしなければいけないと思います。その発想でこれを見ていくと、話がこれ以上先に進まなくなってしまうのではないかという気がします。
  • (伊規須委員) 11ページのところで作業従事者の安全確保ということが強調されていること。これは非常に結構なことだと思います。ただ、2番目のパラグラフのところを見ますと、これは産業医だけができるわけではないんです。これを読むと産業医だけがやるかのような印象を受けますが、実際は作業環境管理、あるいは作業管理の専門家の協力が非常に重要なわけですから、そのことがわかるような書き方が大事じゃないかなと思います。
     それから非常にテクニカルなことですが、「作業環境」といいますと、一般に作業中の空気のこと、気中のレベルのことをイメージしますので、これは「作業」ぐらいにしておいたほうがいいのではないかと思います。
  • (川本委員) 現状の施設が化学処理方式なんですけれども、それぞれ多少の違いがあるという状態だと思いますけれども、そういった施設整備の基本的な、整備する段階にあって確立していた技術的な知見、現実に装置化されていたプラント設備。そういったものをそのときの当時の最先端の知見で選択したという経緯があったと理解しています。そのことがどこまで詳細に書くかですが、2ページの下から3項目目に処理方式を採用したという下りがあるわけですけれども、この中に書くのかあるいは別添にするのかわかりませんが、そういったことは正確に書いておく必要があるんだと思います。それがまた東京事業所での安定器処理が、先ほど説明がありましたけれども、なかなか進まないということは、一つは水熱酸化分解方式が、液状のPCBについて非常にすぐれた方式であるというその当時の知見に基づいてやったわけですけれども、いざやってみると、先ほど説明がありましたけれども、アスファルト型安定器の中に砂だとか無機物があって、そういった水熱酸化が無機物に必ずしもいい効果を持っていないというところがだんだん明らかになってきた。そういったことの集積で至っているわけですので、技術がその当時は最先端で、いろいろやってみるとPCBそのものあるいはPCBを含むものの影響によって、必ずしも当初のもくろみどおりにいかない。それをその時々の技術的な観点で乗り越えてきたけれども、問題はこれだけあるということがよくわかるように、構成していただければというふうに思います。以上です。
  • (永田座長) それでは2回目の部分について。
  • (廣木課長) 御指摘いろいろありがとうございます。
     まず、浅岡座長から御指摘いただいた点でございますけれども、非常に重要なところだと思っています。私どもまさに監視委員会での話も踏まえながらやっていく必要があるというふうに思っています。他方、いただいている御指摘を踏まえて、JESCOの試案をどうするかという点に関しては、いろいろ数字的に見直しをする必要があるとは思っていますが、そこを実際このとりまとめにどういうふうに反映させていくかという話は別途考えなければいけないと思います。 いずれにせよ、そこはきちんと精査したいと思っています。その点に関しましては浅岡座長が御指摘のような話も伺っておりますが、他方いろいろな話も別途聞いております。こちらもきちんと精査してどういう数字を使うのがいいのか、しっかり見ていきたいと思っているところです。
     それから、織委員、鬼沢委員、浅野委員から御指摘をいただいた点ですけれども、しっかりここで言っているところの処理促進をするためには、今まではエリアごとに処理をするという前提で進めてきたわけですけれども、今の状況を踏まえると、一部エリア以外のものについても処理を行っていかなければいけない。それに改造を加えることによって、的確に対処していくという基本路線の必要性、有効性等について、ここにおられる委員の多くは御賛同をいただいていると理解していますけれども、そういうことをきちんと伝えられるようにしていきたいと思っております。
     そういった点で、それぞれJESCO事業所が立地している地域には特に丁寧に御説明していく必要があると思っています。もちろんそれ以外の地域に対しても、全国的にそういったことの必要性を訴えていく必要があります。この事業というのは、PCB廃棄物の処理が長年できなかったというものをJESCO設置地域にいろいろと負担をかけながらやってきている。そういうことの重みというのを全国的にきちんと理解していただくということは大切だと思っていますので、そういう思いが出るように、このとりまとめにも何とか書きたいと思っているところでございます。
     また、伊規須委員、川本委員から御指摘いただいた点、もっともでございますので、そこはしっかり反映していきたいと思っております。
  • (眞柄北海道監視円卓会議委員長) 今、課長がおっしゃったことと関係するかもしれませんが、御承知のように北海道は既に本州の半分ぐらいの場所の機器の処理を承っているわけです。道なり室蘭市の方々から北海道にPCBの処理対象物を処理することに対して、関係の府県の方々と協議をしておられる。協議の中で、モニタリング費用の分担の話までしているわけです。そういう事柄を考えますと、将来的に今の北海道が対象としている以外のエリアからも入ってくるわけです。そういう観点から言いますと、17ページは安定器等・汚染物ですが、一番最後に書いてあります「今後、環境省と自治体等との協議の場を設けるべき」というのは、この自治体というのは北海道だけでなく、現に北海道が処理の対象としている県の方々、プラス今後入ってくる県も入ってくるわけですので、そういう意味ではエリアごとで協議をするというよりは、この部会でもどこでも結構ですが、国で全体に係るコストをどうやってお互いに負担をし合うのかというような、もう少し広い協議の場をつくっていただいて、そして北海道あるいは室蘭の市民がそれぞれ納得して分担をしているんだという環境を、ぜひ今後醸成していただきたいと思います。
  • (永田座長) ありがとうございます。何かありますか。
  • (廣木課長) 御指摘ありがとうございます。まさに高圧トランス・コンデンサ等もそうですし、特に安定器はそういうことだと思うんですけれども、やはり今の5地域にお願いするに当たって、ほかにも立地しようとした県、市等あったわけですけれども、結果的に今の5地域にお願いすることになった。その当時はいろいろこういうことでお願いしますというふうに、それぞれ地元地域にお願いしたというのがあったわけです。そこが今に来て、必ずしもその当時お願いをした際の切迫感が、ほかの地域では少なくなってきているのではないか、という思いが私は非常にしているのは事実です。
     ですからもともとこのとりまとめ素案のほかのところで、JESCOの立地地域以外の自治体にはしっかりやってほしい。広域協議会の場を使っていろいろ考えてほしいということを我々が書いたのは、まさにそういう思いからです。それはもう少しきちんとわかるように書く必要があるのかなと思っているところです。
     今の、眞柄委員から御指摘がございました、特に安定器等・汚染物のところ、環境省と自治体等との協議の場を設けるべきというところについて、もっと他の自治体もいろいろあるのではないかという御指摘ですけれども、これは現実的にどう協議を進めていくかというといろいろな話があります。まず、一義的には環境省、それからそれぞれの地域の代表ということですが、最終的に合意形成、さまざまなステークホルダーがいるわけです。それをどう巻き込んでその総意としてまとめていくにはどういうプロセスが必要なのかと、いろいろ考えなければいけないところがあると思っています。
     ここではなかなかそこのところは見えない、見えにくいところもあったので、今後、環境省と自治体等との協議の場を設けると表現していますけれども、ここは幅広いステークホルダーがきちんと関与して、合意の上でやっていくということができるようなことを考えていかなければいけないと思っているところです。
  • (永田座長) ありがとうございました。前半部分についてひとわたり御意見をちょうだいいたしました。また最後にまとめて御意見があればということでお伺いしますので、とりあえずここで一たん区切らせていただいて、資料1の残りの部分を事務局のほうから説明してもらいます。
  • (鈴木課長補佐) 資料1の18ページ2-3から御説明します。2-3は「微量PCB汚染廃電気機器等」でございます。「(1)現状・課題」は第5回の検討委員会のときの資料をベースに作成してございます。まず、認定の状況というものですが、平成22年6月に最初の認定がなされて以来、5施設が認定されて処理が始まった。これは5施設で終わりというわけではなくて、今でも既に2者申請中のものがいて、ほかにも相談をたくさん受けているという状況でございます。
    環境省では安全な処理のためのガイドライン作成ですとか、認定に当たっては一つずつ、ここにいる委員の方々にも御助言をいただいていますけれども、学識経験者からなる委員会において評価を行っているところでございます。
     現在認定されている施設ですが、絶縁油のみの処理が可能な施設が多いということで、筐体、内部部材の処理能力は現在は限られているということではあるんですが、四つ目の○で一部の施設では固定床炉とか連続処理方式の炉というものの処理が既に始まっています。なので、こういったことは、これから期待されてくる状況でございますけれども、現時点ではなかなか期限までの処理は難しい状況であるということが書いてございます。
    認定施設の課題ということでございます。その処理の方式については、今後増えることが見込まれていますが、また洗浄方式とか別の方法による大きな処理能力を持つ施設の操業といったことも期待されていると。認定事業者に対する支援制度としては税制優遇措置が現在設けられています。固定資産税が3分の2免除されるということでございます。21から23年度、都道府県と国で連携して、施設整備の補助も実施したところでです。これは23年度で終わっているという状況です。
     産業廃棄物処理、既存の施設を活用した処理ということで、さらにほかの産業廃棄物処理業者さんに、課題とかPCB処理に対する意識を聞いていまして、これも第5回のときにアンケート結果ということでお示ししました。8割以上の業者さんが処理に関心を示す一方で、処理事業を行うに当たっての課題ということで、手続きの煩雑さとか地元の理解、採算性等を挙げている事業者が多かったということでございます。
     また、地元の理解とも関連しますけれども、無害化認定の申請を行おうとするとき、実証試験をちゃんとやらなければいけないということになっているんですが、地元の理解がなかなか得られなくて実証試験も行えないといった場合があるということでございます。
     [2]は「課電自然循環洗浄法の活用」ということでトランスの絶縁油を入れかえて、一定期間課電することにより内部部材の洗浄を行う処理技術が提案されている。この技術ができるようになると、廃棄物となる機器の数量を削減できる可能性があるだろうと。
     [3]は「様々な機器に対応するための処理方法の多様化」ということで、大型機器には移動式の処理設備を用いるとか考えていかないといけないということです。また、OFケーブルとか処理方法の確立が必要なものもございます。こういったものが確立されつつあるので、今後、事業者の認定といった段階になっていくだろうと思っています。
     [4]は「電気機器の製造年によるPCBの混入の有無について」ということで、このあたりも既に前々回、データをお示ししています。こちらは別添の資料5に微量PCB、21ページに今までのデータを示しておりまして、その検出事例が最近どうなのかということを、90年以降かなり見られなくなってきているとか、トランスは93年以降見られていないとか、そういったことを書いてございます。
     19ページ下「(2)今後の処理推進策について」ということですが、第5回の検討委員会の資料2をベースに作成しています。一つは、処理能力の増強ということで、無害化認定制度の着実な運用ということでやっていくということ。それから、税制優遇や財政支援にも努めることが必要であろうということ。具体的には燃焼温度を1,100℃ということでやってきましたが、850℃以上も認定対象とするような話。それから認定されている業者さんは新たな設備投資というものが多少必要になってくるわけですが、期間も限られた事業であることから財政的な支援の重要性等も書いてございます。
     めくっていただきまして20ページ。黄色い部分が少し書いてありますが、いろんな関係者の理解とか地元での理解を得るに当たって、環境省としては、実証試験を30回ぐらい繰り返しやってきたわけです。前々回そういった資料、データを上手に活用して地元に説明するときと関係者に説明するときのようなものを支援できるような資料作成等、そういったことも必要ではないかという御指摘をいただいたので、追加して書いてございます。
    それから都道府県の許可施設も出てきているといったことでございます。
     [2]は「課電自然循環洗浄方式の活用」ということで、技術的な観点からの検証ということでどういった観点の検証が必要かということを、2点書いてございます。このあたりも既に前々回お示ししたところです。
     [3]の移動式の話、洗浄方式の活用によって筐体とか内部部材を安全かつ合理的に処理する方法についての技術的な検討、こういったことも必要ではないだろうかということでございます。
     それから電気機器の製造年によるPCB混入の有無についてということも、先ほどのデータを踏まえまして、封じ切りの機器であるコンデンサについては91年以降、国内で製造された機器のうち、日本電機工業会加盟のメーカーのものは、汚染がないと言えるということ。ただ輸入されたものとかそういったものは、別途配慮が必要だろうということ。
     2番目の○はトランスのような絶縁油の交換が可能な機器については、94年以降、検出事例はほとんどないけれども、検出されている場合は出荷時点では混入されていないということなので、メンテナンス等での汚染の可能性があるだろうということ。ですのでこういったメンテナンス等が行われていない場合は、汚染がないだろうといったこと。汚染のない油への入替え等が行われているということが確認できれば汚染がないと言える。
     最後、(ただし)ということで、特定のメーカーの機器はそうでないということが判明している。そういった情報は既に業界団体さんのほうでお出しされているのでそういった情報も参考にしたりとか、同様に輸入されたものは別途検討が必要ということも書いてございます。
     めくっていただきまして、22ページ「2-4無害化処理認定施設等」ということでございます。これは今まで実証試験をずっと繰り返しやってきたわけです。実証試験については別添6、23ページに前々回お示しした資料を抜粋してお示しています。これについては実証試験の結果を踏まえて、実証試験は数百、数千ppmと段階的に試験をやってきたわけでございます。その結果、いずれも安全に確実に処理できることが確認できたということで、PCB濃度が5,000mg/kg以下のものを無害化処理認定施設における処理対象物とすることが適当であるということです。
     ここの部分については、取りまとめの前に必要な告示改正の手続きに入らせていただけませんかということで、お伺いさせていただいて了解をいただいていました。参考資料というのが最後についています。参考資料2と右上に書いてあって、環境省の報道発表資料を配付させていただいています。既に5月11日に無害化処理認定施設での処理対象の部分の見直しの案をお示しし、御議論いただいた部分を、現在パブリックコメントの実施中ということで、手続きに入らせていただいているところでございます。
     本体の資料の22ページに戻っていただいて、真ん中廃アルカリのところが黄色くなっています。前々回御説明したときには、廃アルカリの試験は実施中だったわけですが、試験を行って結果が出てきています。もうすぐその結果を報道発表できると思います。そういうことで廃アルカリについてもしっかり処理できたということで、加えて書いてございます。
     そういったようなことでいろいろなものが処理できるだろうということが確認できてきました。処理に当たっての留意事項みたいなものも機器の構造とか廃棄物の状態、通気性とかそういったことの重要性を書いてございます。
    一番下に黄色になっていますけれど、今後も技術的な観点からの検討や実証試験を行うことにより、無害化認定施設の処理条件の検討を行うことが必要であるということ。
     23ページの[2]は、[1]の無害化処理認定施設は大臣が認定をしてPCBの処理をしていく施設でございますが、[2]の産業廃棄物処理施設というのは、都道府県知事の許可施設のことでございます。技術上の基準というのが廃棄物処理法に定められています。これは1,100℃以上ということで基準があるんですが、実証試験の結果で850℃以上でも安全確実に処理できるということが確認できてきましたので、微量PCB汚染油については、許可要件を850℃にすることが適当であろうと。
     黄色になっているのは、その他の廃棄物についても今後また実証試験を行っていく予定をしていますので、その結果を踏まえて検討していくことが適当であるということで書いてございます。
     めくっていただきまして、24ページ、「2-5保管場所での適正な保管等」ということで、処理施設で最大限安全確保ということで関係者は非常に努力しているわけでございますが、一方で保管場所もたくさんあってそちらで漏えいとかが起きていれば、国内でのPCBの環境汚染が起きてしまうわけでございます。したがってそちらの対策も必要だということで、前回議論をしていただきました。24ページはそのときの中身を中心に書いています。ほとんどそこで出したデータをまとめています。
     1番目の○は保管場所がまだ9万カ所以上あるということ。それから保管事業者の法令にのっとった適正保管の必要性。2番目の○は長期間保管していることでの機器の老朽化等といったことを書いてございます。実際3番目の○で保管現場では最近でも、30~40件の漏えい事件が発生しているというデータ、これは第1回のときと前回と両方お示ししています。そういったことがある状況ですということです。したがって都道府県等の現場の指導助言がされているわけですけれども、一層の強化が期待されるということでございます。
     PCB特別措置法第8条に基づく届出というのがありまして、これで、何台だれが持っている。それがどういう状態であるというところを届出をしてもらっていますので、この届出を今後ももっとしっかりやっていくということが、最低限必要であるということでございます。
     真ん中したあたり「なお」と書いてありますが、使用中の機器につきましても届出制度が、これは各地域に産業保安監督部があるので、そういったデータもこれから活用していくことができないだろうかということ。
     下から3番目の○はJESCOで機器の登録をしていると、先ほども御紹介させていただきましたけれども、こういった登録の促進ということも今後も必要である。
     保管している方の中には事業を廃止してしまっている方で、処理費用の負担が困難という方もいるのも事実でございます。こういった者の適正な処理委託というのを促すことが必要だということ。
     24ページの一番下は、収集・運搬の過程での安全対策というのも重要でございますので、その点について書いてございます。
     25ページ、「今後の適正保管等の確保について」ということで書いてございます。これは前回の資料8をベースに作成しています。
     まず、[1]は少しタイトルを修正して、「保管事業者の責務に関する理解の増進」ということで、責務について立入検査とかPCB廃棄物特別措置法の届出がなされた場合などいろんな機会を通じて、都道府県市は、そういう保管事業者の責務についての理解というものを求めていく。また環境省はそういったものの説明がやりやすいような資料の作成をしていくといったことが書いてございます。
     [2]は「都道府県市の保管事業者への指導の徹底」ということでございます。まず保管状況をしっかり把握することが、第一だろうということでございます。その上で毎年の届出があるので、保管台数が変化していればわかるわけでございます。その変化は何だったのかというのを精査していく。これは既に都道府県市で取り組まれているところでございますが、改めてしっかりとやっていきたいと書いてございます。
     電気関係報告規則というか使用中のもののデータについても活用するということ。
     届出様式について、前回濃度とか型式のところが明示的でないというような御意見をいただいていますので、この必要な見直しを行うということを書いてございます。
     イは「立入検査の計画的・効果的な実施」ということで、都道府県市では取組に差があるというようなことを前回御紹介いただいて、約3割については3年以内ぐらいにすべての事業者の立入検査を行って、そういうのを繰り返していくということをやっていたので、こういった取組を参考にしてやっていくことが求められるだろうといったようなこと。
     それから事業の廃止、移転、売却といったときに紛失が起きたりしているので、こういった機会をちゃんととらえて対策、未然防止を図っていくことが必要だろうということが書いてございます。
     26ページに行きまして、適正保管のあり方とか保管場所での補修等について技術的助言を行う、の後に黄色くなっていますが、前回いただいた御意見で、「漏えいが生じた保管場所における室内空気の汚染状況」についても、もうちょっと調査をして知見の充実に努めるということで書いてございます。
     [3]は「紛失・不適性処理の防止」ということで、ラベル貼付とか施錠とかそういったようなこともしっかりと、都道府県市が立入検査等の際に確認していくといったことが書いてございます。
     [4]は黄色くしておりますけれども、「保管事業者の不明、処理費用負担の困難な者」ということで、閉鎖された工場跡地にPCB廃棄物が放置されている。そういったことが少なからずあるということが報告されています。
     また、保管期間が長期に及んでいるということで、事業を廃止している者が保管している場合も少なくないといったようなことです。実は国と都道府県で費用を半分ずつ出して、PCB廃棄物処理基金というので7割費用の負担軽減というのをしているのですが、それでもなお、負担が困難な者がいるということです。こういった事案についての対応ということで、国都道府県の課題として書いてございます。
     掘り起こし・未登録者の登録というのは、[5]27ページを見ていただきまして、JESCOでは未登録者に対する登録の呼びかけを行っているということ。これは今後もずっと毎年続けるということが重要だろうと御意見をいただいていますので、書いてございます。
     「[6]使用中の機器の対策」で使用中の段階から、廃棄物になったときどういった対策が必要かということをちゃんと周知するということで、環境省、都道府県市、経済産業省、事業者団体とこういう関係機関の連携ということが書いてございます。
     「機器の解体」のところですが、こういったことを解体せずにやることが望ましいということで書いてございますが、前回御意見をいただいたのは、PCBは皮膚を通じても体内に取り込まれる。こういったことも認識して作業者の安全確保を行うことが必要だということで書いてございます。
    めくっていただきまして、28ページの「収集・運搬における漏えい防止」ということで、ガイドラインに即した作業を行うことが必要と。当然ですが追加で書いてございます。
     JESCOでもGPSを使ったシステム等で、収集・運搬のモニタリング的なことをやっていますので、収集・運搬業者への助言ということも書いてございます。
    ここまでが2でございまして、いわゆる各論の話をまとめてございます。29ページに「3.処理期限・その他」ということで書いてございまして、3-1は今空欄になっています。これは資料3で論点をお示ししますので、後で御説明をして御議論をいただいて、次回ここにも記述していくということで考えでございます。
    「3-2その他」というのが29ページにあります。(1)拠点的広域処理体制というのは、国の基本計画でやっていくということで、今、これをJESCOが担っているということでございます。これについてJESCOは、施設整備の主体として、また化学処理によるPCB廃棄物処理を行う事業者として、安定的な施設の稼働を目指して取組を進め、安全かつ確実な処理を最優先として、着実な処理ができるようになってきたということ。
     高濃度PCB廃棄物の処理完了のためには、立地地域の理解と協力を得て、安全かつ確実な処理を進める必要がある。このためには、引き続き、国が処理体制の確保に責任を持ち、JESCOはこれまでの経験と技術的蓄積を生かして、処理施設の整備及び維持管理、経年劣化等への対応といったようなことを確保することが必要であるということで、今後の体制についても、そういったJESCOを活用し、JESCOでの知見も生かしつつまた国も一定の責任を持ちつつということで書いてございます。
     「(2)PCB廃棄物処理に関する周知」ということで、これはもう初回から各委員に御意見をいただいていて、意識低下のようなところがあるということでございました。環境省及び都道府県市は、PCBを含有している電気機器の所有者、利用者やPCB廃棄物の所有者に対し、PCB廃棄物の適正な取り扱いに関し周知していくことが重要であると。
     ○の2個目は、また、幅広く国民が、PCB廃棄物の処理の重要性と状況について知ることができるよう、経緯や現状、施設の安全管理対策、立地自治体における取組等についてわかりやすく説明した資料を作成し、事業者団体などの関係機関と連携して周知を図ることが必要であると書いてございます。
    さっき申し上げた3-1の処理期限について、別途資料3という裏表の資料を配っておりまして、論点ということで書いてございます。少し読ませていただきます。PCB廃棄物特別措置法により、保管事業者は定められた期間内にPCB廃棄物を自ら処分し、または処分を委託しなければならないと規定されております。
     環境大臣又は都道府県知事は、保管事業者が期間内に処理を行わない場合には、必要な措置を講ずることを命ずる。改善命令といったことが規定されていて、この期限が今は28年7月になっています。
     高圧トランス・コンデンサ、安定器、微量PCB汚染物ということで三つの種類ごとに今まで検討をしてきたわけでございますが、今の現状と見通しにかんがみれば、現行の28年7月の処理期限までの処理の完了というのは、なかなか難しい状況であろうということでありますが、三つ目の○です。わが国における早期のPCB廃棄物の処理完了に向け、国、都道府県市、保管事業者、処理事業者等が、確固たる意志を持って、それぞれの責務・役割を果たしていかなければならない。これは基本計画に既に書かれている文言ですが、このため、適切な処理期限を設定し、その期間に関係者の努力を集中することが重要ということで、新たにちゃんと状況を踏まえて、また集中的な取組ができるよう期限の設定というものが必要だろうと書いてございます。
     その期限の目安はどういうことなのかというのを次に書いてあります。処理期限について、関係者が最大限努力を図った場合に、PCB廃棄物全体の処理完了が達成すると見込まれる期限まで延長することが適当ではないかということ。
     2番目ですが、期限の検討に当たって、処理に最も時間がかかるのは、処理が着手されたばかりである微量PCB汚染廃電気機器等であると考えられると。これがどれくらいかというのを考えるというのがありますが、三つ目の○で一方で、具体的な期限についてはストックホルム条約で求められている年限(平成40年)までに処理が完了できるようにすべきではないかということ。
     四つ目、このためには、処理期限が到来してもなお未処理の廃棄物についても、PCB廃棄物特別措置法に基づく命令等により確実に処理をさせるよう措置する期間として一定期間を見込んで、処理期限の年次を設定することが適当だろうということでございます。
     ただ、そうはいってもそれぞれのPCB廃棄物については、それぞれの中で早期な処理が必要なわけでございます。「それぞれ」というのは、三つのカテゴリーを主に指しています。処理期限までに処理し続けるのではなくて関係者の対策に基づく処理の見通しを踏まえて適切なスケジュールを設定すると。できるだけ早く処理を終わらせるよう取り組むことが適当ではないか。保管事業者は、都道府県市の指導等に従い、処理施設の計画的な搬入など早期処理に協力することが求められると
     裏の1番目の○、高圧トランス・コンデンサについて、これはJESCOでやっているものですけれども、国及びJESCOはできるだけ早期に処理が完了するよう、事業エリアごとに5カ所のエリアごとに、具体的な処理見通しを設定し、適切に進行管理を行うことが重要ではないか。
     各事業所ごとの操業期間については、今後の処理推進策について地元地域の理解を得ながら、さらに詳細を検討することが必要ではないかと。
     二つ目の○は、安定器等・汚染物については、国と自治体等が協議を行い、できる限り早期に処理がなされるよう協力して体制を確保する。
     三つ目は、微量PCB汚染物については、先ほど御説明したように既存の産業廃棄物処理施設を活用した無害化処理認定制度の着実な運用を図れば、今後、その処理量は増大すると考えられると。先ほど申し上げましたように、既に2件申請中で、5プラス2ということで申請中になっています。特に、筐体の処理施設についてこの制度の着実な運用を図り処理能力を増大させることが必要ではないかと。
    最後、使用中の機器というのが実はあります。使用中の機器の取扱いについては、環境省は関係省に対し、PCB廃棄物処理の状況を情報提供しつつ、連携して検討を行うことが必要ではないか。特に、高圧トランス・コンデンサ等については、関係省や事業者団体と連携して、使用中機器の台帳を作成するなど早期にその使用実態を把握し、JESCO処理施設が稼働している機関に処理を行うようにするといったことに取り組んでいく必要があるということでまとめております。
     また御意見をいろいろいただきたいと思っています。説明は以上です。
  • (永田座長) ありがとうございました。それではただいま説明のあった部分について、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
  • (中杉東京環境安全委員会委員長) 最後の処理期限に関連してなんですが、資料3の期限の目安というところで、関係者が最大限努力を図った場合というのは何かというのがよくわからないという感じがします。
     先ほどの資料1のほうでいうと、14ページのところに、これまでやったものについての試算が平成35年というふうに書いてあります。これが一つの数字として出てきているわけですけれども、資料3の次のページの「高圧トランス・コンデンサ等については」というところに絡む話ですが、この35年というのが最大限努力を図った場合なのかどうかというのは、少し誤解があるといけないなという感じがしています。必ずしもこれは最大限の努力を払った場合という話ではないんだろうと。東京事業所が、高圧トランス・コンデンサ等が一番最後になるとすると、全体の足を引っ張ってしまうことになります。ほかのところはもう少し早くなってお互い融通し合いながらやりますというところが、一応入ってくるわけですけれども、そこら辺のところにさらに検討が必要ではないか。これは14ページのほうに書いていただいていますけれども、それらを踏まえた形での議論だろうなというふうに思いますので、そこら辺のところがどうなのかというのを、注意して表現ぶりを工夫して書いていただければと思います。
     もう一つ細かいところなんですが、保管場所のところで災害時の対策というのが書いてあります。東京事業所の監視委員会でも申し上げたんですが、処理施設の安全運転のためには、処理施設が災害時にどうかということも一つの要素として非常に重要になってきました。今回はそれがよくわかったということです。あえて書く必要はないのかもしれませんけれども、そこも一つ重要なポイントであるということを申し上げておきたいと思います。
  • (浅野委員) 後半の書きぶりは、こんなものかなと思って聞いていたわけです。あまり明確にすぱっと言えない部分もあって、このような書き方になっていることは否定しがたいと思うのですが、やはり微量のものについては、できるだけ広範囲に処理できる場所をつくって早く処理ができるように努力するということが必要であろう。今までは何となく、どこか決まった場所で処理しなければいけないと考えられていたのですが、そのような発想を変えるという意味では、大変大事なことです。それによって急ぎますということは必要だと思います。それを言わないで、処理期限が延びるということだけを言っても誰も納得できないと思いますから、これはもう少し強調してもいいのかなという気がします。
     それから法律をいじるわけにはいけないという前提で考えると、なかなかこれは苦しい面がありますし、こういう発言をすると、事務局は嫌がると思いますが、現行法には問題点がはっきりあるのです。つまりPCB廃棄物を持っている者は届け出なければならない。だがPCB廃棄物でない限りは、届出の法的義務はないわけです。廃棄物になった瞬間に届出義務が生じる。これは現行法の持っている限界になってしまうのだけれども、ここをもう少し何とかしないといけない。つまり、幾ら期限を切ってもいつまでも使う人がいたらPCB廃棄物は出てくるわけです。ごくわずかになってしまえばもういいと言えばいいのだろうけれども、そこのところがどうも気になります。法律の立場からいうときわめて落ち着きが悪い。
     もう一つはこの制度は15年くらいで処理できるという前提で法ができているものですから、おおらかに書かれていますけれども、保管をする者は届出をしなければいけないのですが、一たん届け出てしまってその後事業廃止という場合には全く手の打ちようがない。規定上どこにも既定がない。もっとも事業の継承があるということは想定していますけれども、完全に事業を廃止されてしまった場合には、個人の場合はもちろん相続人がいるのでしょうけれども、それにしても相続放棄というのがあり得るわけです。そして、法人の場合は法人が解散して清算法人になった場合、清算法人に果たして保管義務を課すことができるかというと、非常に厳しい。そうなるとやはり廃止についてもきちんと把握する方法がなければいけない。
     今の政令省令を見ていくと、例えば譲渡ができる場合ということで、適切に管理できる者に譲渡する場合は、譲渡してもよいと規定されています。そうであれば廃止の場合には、譲渡を促さなければいけないかもしれない。そういった点については今のところ、法令上は手の打ちようがないです。だからここは法改正をしないのであれば、やはりとりあえず指導ベースで運用をきちんと適正にやらなければいけませんし、都道府県知事にもしっかり御協力いただいて、そういう情報を得た場合には適切に承継ができるようにということをやらなければいけない。その辺りの問題が明らかになってきたような気がします。だからもう少し踏み込んで、例えば26ページの[4]などに、書き込まなければいけないのではないかという気がします。
  • (飯干委員) 意見ですけれども、前回の第6回のときに、津波想定地域に保管されているPCB廃棄物の処理を優先的に行うことができないか検討するということがありました。それが28ページの上から二つ目のところに、しっかりまた記載されているので、こういったことを配慮するというのは非常にいいことかと思いましたので、意見させていただきます。以上です。
  • (影山委員) 2点お願いいたします。1点目は全体にかかわるところなんですが、今回こういった形で報告をしていただくわけですけれども、この委員会が積み残した課題、あるいはフォローアップすべき点というのがあろうかと思います。そのチェックが必要だというふうに思っております。今後だらだらと年限が過ぎるのではなく、ある期限でチェックをするということは必要だろうと思っています。
     フォローアップの仕組みです。検討の場が必要だとは思いますけれども、こういった大きな場が現実的かどうかというのもわかりませんので、そこは事務局のほうで考えていただいて、フォローアップについて、何らかの仕組みを御提案していただければと思います。
     もう一点は、20ページ「[2]課電自然循環洗浄法」、あるいは、「[3]様々な機器に対応するための処理方法の多様化」というところで、いろいろな方法がこれからあろうかと思いますので、こういったものはぜひ積極的に取り入れていただきたいと思っています。一つはこれにかかわる法整備というのも必要だろうと思います。当たり前の話で書いておられないのかもしれませんけれども、そこのところはしっかり認識するということでお願いしたいと思います。
     さらにこういったいろんな方法を今後取り入れていくということについては、もちろん安全は十分必要だと思いますが、いろんなリスクを勘案しながらやっていくということをお願いしたいと思います。記載できるところであれば、記載していただければというふうに思っております。以上です。
  • (酒井委員) 一つは揮散管理についてです。JESCOの処理施設のほうは相当慎重に揮散管理の経験を積まれてきており、非常に結構なことだと思います。作業者のモニタリング等々も続けながら、ここまで来ているということです。保管中のほうにつきましても26ページの上5行目あたり、あるいは27ページのほうで一定の書き込みをいただいていますが、前回か前々回か資料として、ドイツのドルトムントでの処理施設の汚染事例、それで施設が廃止になったこと、あるいは、作業員の方、周辺住民の方の血中PCB濃度が上がったという資料を提出いただいたと思います。こういう国際的な知見もあるということを、明示的にこの中に明記いただいたほうがいいのではないかと思っています。
     例えば27ページ、「機器の解体」のところで、二つ目の〇あたりで、ドイツドルトムントの汚染事例を十分に念頭に置いて、安全対策の維持に努める必要があるという趣旨の文言を入れながら仕上げていただくといいのではないかというふうに思います。
     もう一つは、全体の報告書のつくり方なんですが、「1 はじめに」というのがあって、「終わりに」というのはないのですが、これは今後、用意されるのかどうか。用意をされるのであれば、ぜひそこにこれまで御意見の出た、織委員からの国際的な処理の意義というような点を再度そこにまとめるとか。あるいはもう一つ、ぜひ書くものができるのであれば、今やっていることの技術が相当に複雑で難しい技術なんだということが、再認識できるようなパラグラフを用意いただきたい。機器自体が相当に複雑で製造の段階で相当に芸術的な機器をつくっておられるわけです。それを解体するわけですが、解体の手順も相当大変な技術と認識しています。
     かつ、そこに安定器とか超大型とか、依然技術革新の必要なところがある。さらには今、揮散管理に徹底が必要な対象物質を相手にしていること。それと、眞柄先生がおっしゃった、現有部品の再チェック。まだ時間がかかるのであればそういうことも要るという技術的な難しさの部分をちゃんと再認識できるような書き込みが欲しいというふうに思いました。以上です。
  • (田中委員) 資料3の処理期限について。一つは処理期限という言葉ですが、特措法で言っている処理期限の平成28年7月を変えてどうするかという話と、それから未処理のものをある程度の一定期間で処理をして、本当に全部実質上処理してしまうというのがあると思うんです。実質上すべてを処理するまでの期限というのが、特措法でいうべき処理期限にすべきじゃないかなというのが、一つです。
     原稿の締め切りではないですけれども、ある程度ゆとりを持って処理したいというPCBは処理をする期間はある程度早目にしておいて、それでも残っている未処理のものを一定の期間でと。ここでは「例えば2年間」と書いてありますけれども、この2年間をちょっとゆとりを持って、2年よりもちょっと長めのほうがいいかなと思います。どれぐらい未処理があるかわかりませんけれども。
     今後の評価ですけれども、PCBがどれだけ処理されたかという点では、ネットでPCBがどれだけ除去されたか、処理されたかというパーセンテージでする。その意味では高濃度から安定器から、最後は微量のものも徹底的にして何年までには90%、何年までには99%というようにして、それでも残された土壌汚染とか、幾らかは残ると思うんですけれども、ほぼ99%を何年までに徹底的に処理すると。こんな期限のイメージかなと思います。以上です。
  • (田和委員) 全体的なことですけれども、資料を見ますと、このPCB処理は状況の変化と試行錯誤の歴史のような気がしています。また、この整理もいろいろ課題が残っていますということになっています。これはまだまだ国が前面に立っていただかないと、なかなか関係者の調整というのも進んでいかないかと思いますので、そこの意気込みかなんかも、織先生もおっしゃっていましたけれども、見えるような形にしていただきたい。法律で役割がある程度制限されているのかもしれないんですけれども、そこの意気込みをちょっと出していただけるとありがたいと思うことと。
     この報告書では書かないことになるかと思いますけれども、残課題。これからいろんな検討会なりワーキングなりというのが出てくるかと思いますけれども、そのときに関係者の中でそれを検討するときに、この報告書に基づいてそれぞれがどういう役割でどういう方策をやっていくんだということを、一回具体的に整理していただいて、そこでお互い理解を共有化した上で進めていっていただければと思います。
     やはりこの文面の理解がお互いちょっと違っていたりすると、あとぐちゃぐちゃになったりすることもあると思いますので、そういったところの確認についてお願いしたいと思います。以上です。
  • (永田座長) どうぞ事務局のほう、何かありましたら。
  • (廣木課長) いろいろと御指摘本当にありがとうございます。非常に的確な御指摘を全般的にいただいたというふうに思っています。
     資料3に書いた処理期限の話というのは、非常に難しいところがあるというふうに思っています。今この処理期限というのは、政令でいうところの期限、法に基づく期限ということになっているわけですけれども、これはこのまま資料3に書いてあるとおりで、今法の対象となっているもの全般。これは高圧トランス・コンデンサ等もそうですし、それから安定器等・汚染物。それから法は当初は想定しなかった微量PCB廃電気機器もこれに入るという認識のもとに、どうするかということだろうと思っています。
     ここで書いたものは基本的に全般にかかわってみると、ストックホルム条約で求められている年限、特に微量物というのは、これだけ出てきたものをある程度やらなければいけないというふうな思いがあるわけです。そういったものでいくと、やはり少なくともストックホルム条約の年限前には処理を終わらせなければならないという思いで、こういうふうな処理期限の目安というのを書いたわけです。
     「それぞれのPCB廃棄物の早期処理」というところにも書いたように、なるべくその中で、個々のものについて早く終わらせるものは終わらせたいということで書いたわけでございます。例えば今、最大限努力するのは当然のことだと思っていますけれども、個々の、例えば高圧トランス・コンデンサに関する、昨年12月に検討しています試算とかそういったものを今後どう扱うかについては、またいろいろこれまで出てきた御意見等を踏まえ、検討しなければならないと思います。ただ、そこではそれぞれ相互のいろいろ地域の持っている状況、それぞれの地域の思いというものを踏まえながら、なるべく円滑に行くように調整を図っていく必要があると思っています。
    ただ、この処理期限に関していうと、その一方で、全体の期限としては、一定の年限を延ばす必要があると思っています。というふうなことで調整を図りたいというふうに思っています。
     そのほかにさまざま御指摘をいただいた点、御要望等もあると思います。浅野委員、それから影山委員から御指摘をいただいた点、特に使用中のもの、廃棄物にされた瞬間に届出が必要になってくる。そういうところを法的にどうやっていくかというところは、いろいろ考えていかないといけないと思っています。この点に関しては、私どもは経済産業省さんとしっかり連携をとりながら、今のところの不備な点を、少なくとも実質上カバーしていくということをしっかりやらなければいけないというふうに思っています。その点は、対応していきたいと思っています。
     そのほかさまざま御指摘をいただきました。特に、国際的な早期処理の意義とか今やっているところの技術というのは、非常に大変であるという点も含めて、どういうふうにやっていくか。それから、国がもっと前面に立つという意気込みですね。それはこのPCB特別措置法というのは、もともとPCB処理というのが長期間にわたってうまくできなかったということで、国が前面に立ってやりますということで、これまで来たと。
     その後微量物という問題も出てきましたけれども、やはりPCBに関して、特に微量物の場合、民間主体というのを先ほど御説明しましたけれども、民間主体とはいいながらも、国がある程度リードをとってやっていかなければならないというのは当然だと思っています。ですからそこが報告書にどう書けるのかというのもありますけれども、我々はそういう意気込みでしっかりとやっていきたいと思っています。
     またさまざま課題というのが当然あるわけでございますけれども、これは私どもが報告書をまとめた段階で、それで終わりということは当然ないわけです。そこはしっかり、この後どういうことを検討しなければならないのかということは明確にしていきたいと思っています。そこは報告書に書ける分、書けない分、あると思いますけれども、そういった課題をしっかり明確にしておいて、今後、抜かりがないようにしていくというのは、この報告書をまとめる上での当然の前提だと思っています。またそれについては、案をまとめた段階、次回の検討委員会も含めまして、御相談させていただければと思います。
  • (永田座長) 2回目に入らせていただきますけれども、どうぞ。
  • (松田豊田市PCB処理安全監視委員長) 地元の立場から少しご配慮をお願いいたします。最後にとりまとめをされるときでも結構なんですけれども、先ほど眞柄委員からもお話があったと思いますが、この処理計画を推進してきちんとできるということの裏づけとしては、地元の協力が絶対不可欠でございます。そのために皆さんボランティアでやっておりますし、関連する自治体なんかも、このことにほとんど集中して当っていただいています。そういうことを少し感謝の気持ちがわかるように入れていただけると、地元の人たちにさらに延長をお願いする場合にも、理解が得られやすいと思います。ぜひその辺のところを一言でも二言でも結構ですが、加えてもらえるとありがたいです。
     もう一件、19ページあるいは23ページにも出てまいります。微量のPCB油の処理のハードルが下がるというお話があるんですけれども、そこの中に出ております850℃ぐらいで分解処理できると書いてあります。PCB汚染物に関しては実際の実証試験のデータなんかも添付資料でついてくるんですけれども、この確認といったところについても、もし何かデータ等あれば、それをアペンディックス等でも何でも結構なんですが、入れていただけると誤解を招かないと思います。といいますのは、皆さん御高承のことと思うんですけも、温度だけではなく、滞留時間とか接触効率とかのファクターも関係してまいります。850℃という言葉だけが独り歩きしないように、少し工夫していただけると良いと思います。以上です。
  • (伊規須委員) 今の微量汚染物の処理の件ですが、ここでも実際にやる処理業者というのは、比較的規模の小さい業者がやることになる可能性が高いのではないかと思います。そういう意味でも作業者の安全ということに、ここに触れておいていただいたほうがいいのではないかと思います。厚生労働省の領域になってしまうのかもしれませんけれども、そういうのが入れられれば、そこのところを検討されてはどうでしょうか。
  • (東京都) 東京都の山根でございます。オブザーバーとして参加させていただきます。よろしくお願いいたします。
    検討会のとりまとめに当たりまして今までの議論と重複いたしますが、都としての要望を述べさせていただきます。1点目は処理期間の短縮についての検討でございます。資料にもございましたように、保管期間が長期に及んでおります。事業者の保管の負担軽減とともにPCB廃棄物の漏えいや損失に伴う環境リスクの低減のために安全性を十分に確保した上で、処理期間の延長が可能な限り最小限になるよう、引き続きの御検討をお願いいたします。
     2点目は負担の公平化についてでございます。地元への説明に当たりましては、負担の公平化が重要でございます。JESCO5事業所の設置自治体負担の公平を図るためにも、終了期限が全体として均衡のとれたものとなるよう、御配慮をお願いいたします。
     3点目は、課電自然循環洗浄法の確立についてでございます。使用中の微量PCB汚染廃電気機器等については、絶縁油の入れかえにより合理的に処理できる課電自然循環洗浄法の確立をお願いいたします。また、この方法により絶縁油のPCB濃度分析結果が0.5ppm以下になれば廃棄する場合にPCB廃棄物に該当しないなど、取り扱い方法を明確にされるようお願いいたします。
     4点目は使用者リストの活用についてでございます。処理促進のため使用中の事業者に対し分析の必要性、適正な処理についての周知が必要であることから、経済産業省の使用者リストの活用をお願いいたします。以上でございます。よろしくお願いいたします。
  • (廣木課長) 御指摘いろいろありがとうございます。松田委員からの御指摘、特に今まで監視委員会で一生懸命やってきた方々に関しては、我々は非常に大きな感謝の意を持っているところでございます。そこをとりまとめにどう反映するか、ちょっとそこは検討させていただきますけれども、少なくともこの場ではっきり申し上げておきたいのは、やはりこのPCBの処理事業というのは各地の監視委員会が的確に機能してやってきたからこそ成り立っているというところはございますので、そこのところの感謝は私も思っておりますし、また今後もしっかりやっていただけるよう、我々は切にお願いする次第でございます。またそういった面で誠意を持って対応していきたいというふうに思っています。
     そのほか御指摘いただいた点については、いろいろ検討させていただければと思います。松田委員御指摘の点、それから、伊規須委員御指摘の点については、記述にどう反映できるか検討させていただければと思います。
     東京都、オブザーバー山根さんから御指摘いただいた点に関してですけれども、まず最初の二つは処理期間の短縮、負担の公平化について御指摘いただいた件についてですけれども、この問題は非常に難しいと思います。
     高圧トランス・コンデンサについては、JESCOのほうで試案を出しました。それに対しいろいろ御指摘いただいているところでございます。それぞれ地域においてさまざまな事情がございますし何とかそういった御不満に対して、しっかり対応できるところは対応して、なるべくその解消を図っていきたいというふうな思いがございます。
     他方、今でこぼこがあるところを完全に均一にしようとした場合に、一つは、短く終わろうとしているところに大きな負担をかけることになる。もう一つは、当然それぞれの地域のものを大幅に移動するということは、今までも幾つかのものについて、地域間移動しようということでこの検討会にもご相談しているところでございますけれども、これは完全に均一化しようとする場合は大規模な移動を伴う。そうなると、保管事業者にとって大きな負担になるということがございます。そういった点も十分に考えなければいけない。それがかえって東京事業所エリアの事業者に対して大きな負担をかけるのかなというような思いがございますので、そういったことを総合的に見ながら、JESCOの示した試案を再度吟味して、どこまでのことができるのか。そこは具体的な年限をどこまで示すことができるのかというのは、模索しなければならないと思っていますけれども、そういった点について十分考慮しながら、少なくともそれぞれの地域が抱えている負担感というものをなるべく公平にしていくような努力が必要だと思います。
    もちろんいろんな状況の違いがございますので、完全に全部が全部満足できる解というのはそんなに簡単には見つからないと思いますけれども、我々としてはそういったものに少しでも近づけるように、これから誠心誠意また協議を持たしていただければというふうに考えているところでございます。またデータについてもしっかり吟味したいというふうに考えているところです。
     山根オブザーバーから御指摘いただいたあとの2点、課電自然循環法、使用者リストの活用についてですけれども、この点に関しては、先ほど若干申し上げましたけれども、経済産業省さんとこの点については密接に連携をとりながら進めていきたいと思っています。先ほど御指摘がございましたけれども、今のほうでいうと廃棄物になったらいきなり対象になってしまう。そういったものを解消するために、課電自然循環法を的確に活用した上で、円滑に移行していくということが絶対に必要になってきますので、そこは私ども経済産業省さんとしっかり連携をしながらスムーズに、そこがうまく行くように対応していきたいと思っています。以上でございます。
  • (永田座長) よろしいでしょうか。
     二つに分けましてそれぞれ意見をちょうだいしました。最後に全体をまとめてこれだけは言っておきたいということがございましたら、どうぞ札を立てていただければ。
  • (田辺委員) きょうは議論されなかったのですが、高濃度PCBの処理が完了したら、五つの施設は解体するのかどうか。あるいは一部残して別の目的で何らかの活用を期待する、あるいは計画するのかということでございます。
     私個人の意見としては、全国5カ所の高濃度PCB処理施設はすべて解体してしまうのはいかがなものかと思っています。せめて1カ所ぐらい公共公益施設として存続させてはと思っています。その理由は、便利で快適な人間生活を享受したいと思えば、今後もPCBと類似の厄介な化学物質が登場し、その環境汚染あるいは生態リスクが、社会問題になる可能性があるからです。
     施設の存続が真に必要かどうかということにつきましては、今後議論を重ねる必要がありますが、化学汚染にかかわる予防原則を実質化できるような施設、あるいは産業活動の負の遺産を次の世代に残さないようにする施設、こうした必要不可欠な公共財としての分解施設が我が国に一つぐらいあってもいいのではないかと思っています。これに関しては地元の説得等、極めて大変だと思いますが、今後いつかの時点で、この検討を開始していただければと思います。以上でございます。
  • (廣木課長) 御指摘ありがとうございます。今の点に関して言いますと、やはりまさに田辺委員がおっしゃったように、地元の合意が大前提ということになるかと思いますけれども、私どもとしてせっかくの施設でございますので、その施設がうまくほかの用途に使えるのであれば使うということは、当然選択肢に入れる必要があると思っています。ただ、この施設の性質上、どこまで転用がきくのかという側面は当然あるかと思います。そうしたこともよく見ながら、何よりもこれはもしそういったことに活用させていただくとすれば、地域の方々に受け入れていただくということは当然の大前提でございます。それがなければ当然解体しなければならない代物だと思っています。ただ、もし合意が得られるのであれば、そういった他の用途に転用できる可能性は、模索していきたいというふうに思っています。
  • (永田座長) どうも、長時間にわたりまして、貴重な御意見をありがとうございました。資料のとりまとめに当たりましては、今日いただいた御意見を参考にしながらまた次回案の形でお示しできるようにいたしたいと考えています。よろしくお願いいたします。

議題2 その他

  • (永田座長) その他について事務局から何かあればよろしく。
  • (廣木課長) どうも長時間にわたりありがとうございました。
     次回の検討委員会でございますけれども、6月28日午後5時30分。かなり遅い時間になってしまって大変申しわけございませんけれども、また御参加いただけるようお願いしたいと思います。以上でございます。
  • (永田座長) どうもありがとうございました。それではきょうはこれで閉会といたします。

(了)