環境再生・資源循環

第4回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事録

日時

平成24年2月1日(水)

場所

JA共済ビル カンファレンスホール

議事録

開会

  • 廣木産業廃棄物課長 ただいまから「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会 第4回」を開催したいと思います。
     委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日の出欠状況でございますけれども、川本委員、森田委員が、御都合がつかないということで御欠席です。
     また前回に引き続きまして、JESCO事業所立地の地元で開催されている安全監視委員会の委員長の皆様方、それから、地元の自治体の皆様方にも御出席をいただいているところでございます。
     それでは、早速議事に移らせていただきたいと思います。以降は座長の永田先生に進行をお願いできればと思います。それではよろしくお願いします。
  • 永田座長 どうも皆さんおはようございます。お忙しい中を御出席いただきましてありがとうございます。
     今回の議論の対象は安定器等・汚染物ということでございます。よろしくお願いいたします。それでは議事に入る前に、事務局のほうから資料の確認をお願いします。
  • 廣木産業廃棄物課長 それでは資料の御紹介をさせていただきます。
     まずきょうは議題(1)としまして、「安定器等汚染物の処理の状況について」でございますけれども、その関連の資料として資料1~3を用意しております。
     資料1、「安定器等・汚染物」とありますカラーのコピー。
     資料2、「安定器等・汚染物の処理体制の整備に関する経緯」という1枚表裏の資料。
     資料3、「東京、北九州、北海道事業所における安定器等・汚染物の処理の現状について」というカラー刷りの資料。
     議題(2)「安定器等・汚染物の今後の処理体制の整備について」の関係の資料が資料4「安定器等・汚染物の処理体制の整備の方向性について」というものでございます。
     会議の最後に御紹介させていただきたいと思いますけれども、飯干委員ほか4名の委員の連名で意見が提出されておりますので、席上に配布させていただきました。以上でございます。
  • 永田座長 ありがとうございました。もし不足等ございましたら事務局のほうにお申し出ください。

議題(1)安定器等・汚染物処理の状況について

  • 永田座長 それでは、早速議題のほうに入らせていただきます。
     1番目「安定器等・汚染物処理の状況について」ということで、二つに分けさせていただいて、まず資料1と2の説明をしていただいた後、議論をお願いしたいと思います。それでは、どうぞ。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 資料1をごらんください。
    今回、安定器等・汚染物というカテゴリーでお話を進めさせていただきます。この対象物として何かということの御説明をさせていただきます。資料1の最初の紙の下のほうに種類を書いてございます。
    安定器等というのは、安定器、小型電気機器。小型電気機器というのは低圧のトランス・コンデンサというものが主です。安定器は右側に写真がございますけれども、大体20~30センチのこのようなもので、蛍光灯の付属品として幅広く使われていたものです。
    次に汚染物については、感圧複写紙がかなりPCBが入っているということで知られておりました。また、いろんな場所に保管をされていた関係で拭き取り作業等が発生してウエスが出てきたり、排水汚泥とかその他塗料の中にPCBが入っているとか、建築物のシーリング材に入っているとか、そういうものが汚染物です。
    めくっていただきまして、経緯を簡単に書いてございますが、カネミ油症事件発生と行政指導というところ。最初、当然こういった製品にPCBが使われているだろうということはわかっていたのですが、その後、排水にPCBが混入して汚泥という形でいろいろなところで出てきたとか。小学校で安定器の破裂事故が起きたとか、兵庫県さんが建築物のシーリング材からPCBを検出したといったようなことがございます。いろいろわかってきました。
    2001年のPCB特措法施行後は、すべての汚染物が届出の対象になっています。
    下のほうに安定器の破裂事故というのが一つ大きな社会的な事象としてありました。平成12年、八王子の小学校で安定器が破裂。児童に直接PCBが飛散するといったようなことが続けて2回ありまして、非常に大きな社会的関心を呼びました。
    平成12年に閣議了解をしております。公的な施設では平成13年度末までに交換を終えるといったようなこと。民間の施設でも実態把握をしようといったことがありましたので、このとき、かなり取組が進んだと思っております。
    スライドの5は、保管量としてどれくらいあるのだろうかといったことです。安定器は特措法の届出データですが600万個ちょっとあります。あと、小型のものが170万ということで届出をいただいています。
    汚染物は感圧複写紙が700トン、ウエス、汚泥といったものです。安定器が大体2~3キロということで考えると、1万トン弱ぐらいになるかなということで考えております。
    汚泥が2万トンということで数字としては大きくなっていますが、下の6枚目のスライドにイメージ図ということで、正確性には欠けるんですが、全体は大体こんな感じだということでお示しさせていただきました。横軸にPCBの濃度をとっておりまして、汚泥は量は多いんですが濃度としては低いものが多いだろうということで考えています。トランス・コンデンサに使用されたPCBということで、ほぼ何十%とか100%のPCBとか、感圧複写紙でいくと10%未満ぐらいですが、濃度が高いものを今回主には考えていきたいと思っていまして、安定器、小型電気機器、感圧複写紙、この三つが今回の主な検討対象です。
    ページをめくっていただきまして、最後のページですが、現在のJESCOによる安定器等・汚染物の処理体制ということです。初回にも御説明申し上げましたが、北九州事業所が、平成21年7月に操業開始しております。北海道が建設中で25年操業予定。東京は、平成17年に操業開始したのですが、その後不具合があり、受け入れ中止中ということで、詳細はまたそれぞれの事業所ごとに、後ほどJESCOのほうから紹介をいただきたいと思っています。
    続きまして、資料2を説明させていただきます。資料2は、「処理体制の整備に関する経緯」ということで、法律施行後、これは特措法に基づいて環境大臣が策定するということでやってございます。この中身を見ながら経緯を追いたいと思います。
    平成13年に特措法が施行した後、15年7月に最初の基本計画が策定されています。このとき、安定器等・汚染物、基本計画上は「汚染物等」と一言でくくっているのでちょっと紛らわしいのですが、何が書いてあったかというと、まず今後の処理量を見込むということ。安定器については、大量に保管されている地域の処理体制の整備に着手。それ以外の地域については、今後の技術開発の状況を踏まえつつ、安定器以外の汚染物と合わせて処理体制の整備を検討といったことが書いてあります。
    これは具体的には何かと申しますと、東京事業所だけは、最初から安定器というのを処理対象物として明確に位置づけておりました。それは下のほうに括弧書きでアイウエオと書いてあるところがありますが、東京事業所アのところですが、八王子の事故もありまして、安定器のみであっても、ほかの汚染物、感圧複写紙とかとりあえずは置いておいて、早期の処理にまず着手しようという状況であったということで、最初から位置づけされておりました。
    イですが、そのほかの地域は、安定器以外のものも合わせて汚染物としていろいろ処理をするようにということで、まず技術開発の状況をしっかり見ていこうということで、このころはまだこういう状況、段階であったということです。
    ウとエとありますが、北九州と室蘭においては、環境事業団や地元でも検討がなされまして、早い段階から安定器を処理対象として検討されていたということです。
    オにはこのころ、近畿地域においても、処理施設の立地に向けて技術的検討が行われたんですが、立地は結果的に具体化していないということになっております。
    その下に東京事業所が平成17年に開業しておりますが、初回にも少し御説明申し上げましたが、アスファルト充填型の安定器処理に困難があるということ。それから、安定器処理で施設全体に負荷をかけると、高圧トランス・コンデンサの処理に遅れを生じさせるといったことから、現在は受け入れを停止しております。これは後ほどまた詳しく御説明をいただきます。
    めくっていただきまして、平成18年、平成19年とそれぞれ基本計画を改定しています。
    平成18年には、北九州事業所で第2期工事の処理対象物として汚染物等、汚染物等に安定器も入っているんですが、「汚染物等」ということで位置づけています。
    平成19年の改定では、北海道事業所で増設工事の処理対象として汚染物を位置づけております。
    その後、北九州のプラズマ溶融分解施設1号機が操業開始し、この1月、先月2号機も操業開始しているところです。北海道は現在建設中と、こういった状況になっております。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。それでは、議論に入らせていただきます。まず、今の資料の中で、1ページ目のアイウエオで書かれているところのオで、近畿地域においても検討がなされたということでございましたが、具体的な検討に関しては、きょう委員として御出席の築谷委員が加わってやっておられたということでございますので、何か補足的な事項がございましたら、御説明いただけますでしょうか。よろしくお願いします。
  • 築谷委員 兵庫県において、いろいろ検討の経緯がございましたので、簡単に説明をさせていただきます。
    兵庫県におきましては、PCB廃棄物の保管量が多いこと。また県内にPCBを製造した工場があること。また、液状PCB廃棄物を初めて処理した経験があること。こういったことから、広域的なPCB廃棄物処理施設の整備について、検討をしていこうということで、平成13年終わりごろから検討が始まっています。
    そして14年には、県と保管量の多い8市でPCB処理行政連絡会を設置しまして、処理の進め方の協議とか候補地の検討を行っていくようにしました。また、14年度には旧環境事業団のいろんな協力をいただきまして、安全性が確保できる処理技術やシステムを確認するために、処理技術の検討調査を行っております。この検討調査の前に、近畿においてまず大阪市におきまして、高圧トランス・コンデンサ等の処理施設を立地するという方向に決まりましたので、兵庫県の検討においては、その他のPCB汚染物等を対象にしようということで検討しております。
    そして15年度には、処理技術の公募を行いまして、県内の工場においてプラズマ溶融処理のパイロットプラントを設けての実証試験なども行っております。
    そういう検討の経緯はございまして、技術検討はそれなりに進んだんですけれども、立地場所の検討という点ではいろいろと議論いたしましたけれども、なかなか協力が得られるところが出てこずに、最終的に17年秋には、断念するというような状況になっています。以上でございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。それではどうぞ、御発言を希望される方は、札を立てていただくとマイクが参るかと思いますので、よろしくお願いします。
  • 松田豊田市PCB処理安全監視委員長 豊田市PCB処理安全監視委員の松田でございます。前回の審議内容に関連して、3点ほど発言させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
    前回の委員会でPCBの処理のスピードアップについての意見が出されました。豊田市としましては、処理スピードアップを急ぐ余りに、安全が損なわれることにならないかを非常に危惧しているところです。
    と申しますのは、豊田市では一昨年、豊田事業所再生計画を実施していただいておりますが、それにもかかわらず、現在も新規のトラブルに悩まされておりまして、操業停止の状況下にあるという現状がございます。
    そういうことを考えますと、効率アップと処理のスピードアップの議論というのも非常に大切なことではあると認識していますが、現場の安全性を確保するために、特にJESCOと運転会社と製造会社、それとメンテナンス会社の連携をより一層緊密にしていただきまして、安全かつ安定処理を目指してほしいと思います。
    これに加えまして、優秀な熟練技術者の長期安定確保ということが非常に重要かと、私どもは認識しています。
    以上の点につきまして、特に環境省におかれましては、統括責任者という形で御指導をいただくとともに、強力な指導力、統率力を発揮していただきたいというのがまず1点でございます。
    第2点でございますけれども、前回のお話にございましたが、処理期間が延長、あるいは処理エリア外の廃棄物の受け入れといった話が出てまいりました。地元にとりましては大変深刻な問題でございまして、ぜひとも環境省、JESCO初め、関係の方々によくこのことを御理解いただきまして、地元に対して適切丁寧に話を進めていただきたいと思います。
    最後になります。処理エリア外のPCB廃棄物処理についてですけれども、事業所間PCB廃棄物の搬出・搬入に対する安全なシステムを御検討いただきたいと思います。JESCOと収集・運搬業者の間で、責任の所在の明確化をしていただきまして、何か不測の事態が生じた場合にも、そういったことにきちんと対応をしていただけるように御検討いただきたいと思います。
    御参考までに少し御紹介申し上げますと、豊田市のほうでは、一昨年から適宜、収集運搬業者にも委員会に出席していただきまして、PCBの安全な収集運搬についての事情聴取、そのあり方について意見要望を聞いていただいております。このことによって、JESCOともども収集運搬業者にも、PCBの安全な取り扱いについて認識を共有していただいているという状況にありますので、その辺のことも御参考にしていただきまして、より安全で効率的なPCB処理を考えていただきたいと思います。
    以上、豊田市のほうから要望と意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。何か環境省のほうからコメントありますか。
  • 廣木課長 どうもありがとうございます。
    今の御指摘は前回までの議論を踏まえたものだというふうに受け止めておりまして、私どもでしっかり受け止めたいと思っています。
    特に処理のスピードアップの話ですけれども、私どもとしては、効率アップというのは、当然必要だろうと思っています。ただ、当然のことながら、それによって現場の安全性を損なうことがあってはいけないということでございますので、今の御指摘の点、私どもは国が特別措置法をつくってPCB処理の責任を持っているという立場である以上、きちんとそういったことを監督していく責務があると思っていますので、そこはしっかり現場の状況もまたお聞かせいただきながら、効率の向上と現場の安全性の確保の両立ということを大命題として、しっかりやっていきたいというふうに思っています。
    また処理期間の延長についても、地元説明の話がございました。この話は、やはり検討委員会で議論されていることは、いろいろな可能性も論じながら、こういうふうなことが必要なのではないかということですが、実際に延長をお願いするということになる場合は、最後、取りまとめの段階でどういうふうに考えていくかということで、まず第一のステップがあると。
    その上でどうしても処理の延長をお願いしなければいけないとか、こういうことをお願いしなければいけないということになった場合には、取りまとめを受けた上で、私どもは、地元の自治体には丁寧な説明をしていかなければならない。このPCB処理事業は発足のときから、地元には丁寧な説明をしていって、それでしっかりと合意形成を得た上で、PCB廃棄物処理というものがどうしても必要なんだということを訴えながら進めてきたという経緯がございます。
    ですから今回、最終的な取りまとめでどういうふうなことになるかということによりますけれども、それを受けていろいろお願いをするときには、そういった手順をしっかりそれぞれの自治体の状況に応じながらやっていくということが、必要だと思っています。
    また、この検討委員会での議論を、その過程、過程において機会をとらえて説明するということも、していかなければいけないと思っていますし、また、そういったことは、地元の自治体の皆様、監視委員会の先生方の御示唆もいただきながら、しっかりと対応していきたいというふうに考えているところでございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。それではどなたか御発言ありましたらどうぞ。
  • 影山委員 前回までの意見が今ありましたので、産業界のほうからも、前回までの検討に対して産業界の意見を取りまとめ、最後から2枚目の紙で、飯干さん以下4名の連名で、意見を出させていただきます。もしお時間をいただければ、簡単に御説明をさせていただければというふうに思います。
    最後の紙の中でございますけれども、「『高圧トランス・コンデンサ等の処理推進策の基本的な方向性について』に対する意見」ということで、最初のところは、前段でございますので、産業界もしっかり取り組みますと。その上で国もしっかりとPCBの迅速・確実・合理的な処理を確保するための体制の整備その他必要な措置を講じていただきたいという下りが書いてございます。
    その下の「記」のところの1番につきましては、前回示されました基本的な方向性がありまして、その処理の具体化に当たりまして、下線のところですが、「それぞれの対策に必要なコストとその効果(処理期限の短縮と国民負担の減少)の定量的な分析を前提に、保管事業者(産業界)との意思疎通を十分に諮ったうえで進めるべきである。特に、JESCOにおける新たな設備投資については、保管事業者の負担する処理コストが増加することのないように進めるべきである」ということでございます。
    2番目としまして、「基本計画で定められたJESCOの五事業所の事業対象地域を越えたPCB廃棄物の処理は、処理委託をする事業所の変更に伴い保管事業者に追加負担が発生することも考慮しながら、既存施設の有効利用により、国全体としての短期間での処理完了かつ国民負担の減少につながるのであれば、産業界は支持」したいと思います。
    その中で「国・都道府県、JESCO、保管事業者がそれぞれの責務を果たすことが重要であるので、「契約の変更が必要な場合等、関係者間での十分な協議をすべきである」というふうに思います。
    3番でございます。「漏えい機器・超大型機器の保管現場における作業(前処理)は、短期間での処理完了かつ国民負担の減少につながるものであれば、産業界としても検討」したいと思います。
    「ただし、保管場所におけるPCB廃棄物の対応・処理(前処理)について、保管事業者のみに一方的に著しい負担増を強いることは、公平性の観点からも望ましくない」というふうに思います。「保管場所における対応・処理についての技術開発を進めるとともに、現場対応に際しての諸手続きについての統一的、かつ、効率的なガイドラインを作るべき」と思います。さらに、「廃棄物法等関係法令の適用関係の整理」もお願いしたいというふうに思っております。
    4番でございます。「無害化処理認定施設の活用による内部構成部材の処理については、短期間での処理完了かつ国民負担の減少につながると思われるので、国は、実証試験によるリスク評価に基づき、筐体も含め積極的に処理対象範囲の拡大を図るべき」というふうに考えます。よろしくお願いしたいと思います。
    5番、「期限までの迅速・確実・合理的な処理を可能にするために、国は、JESCOの財務状況に加え、処理計画と実績について、中間指標も含めて詳細に管理・公開し、『JESCOにおけるPDCAサイクル』を適切に監督」していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。さらに、「国・JESCO・保管事業者間で意見交換等を行う場を設け」て十分な意見交換を行っていただきたいと思っております。
    以上でございます。先ほどの意見にありましたように、安全が大前提ということはそのとおりでございますけれども、保管事業者として長期の保管というのは大変なリスクがございますので、迅速・確実・合理的な処理ということを、ぜひともお願いしたいと思います。
    以上、意見とさせていただきます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。
    きょうの議論は安定器等・汚染物ということでございまして、松田先生の御発言は第1回目所用で御欠席されたので、そのとき御発言いただけるような内容を、きょう御紹介していただいたというふうに解釈しております。
    ということで、できましたら議論のほうは、安定器等その他汚染物の関係で御議論いただければありがたいというふうに考えています。よろしくお願いします。
    何か御意見ございますか。もしよろしければ、先に進めさせていただいて、また議論の中でここに戻っていただいても結構ですので、次の議題のほうに移らせていただきます。
    同じく1番目の議題の中ですが、引き続きまして資料3について、説明をしていただきます。どうぞ。
  • JESCO 資料3につきまして、JESCOから御説明申し上げます。
    「東京、北九州、北海道事業所における安定器等・汚染物の処理の現状について」ということでございます。まず、汚染物処理の全般、一般的な技術について御説明申し上げまして、その次に三つの事業所におきます状況について、御説明申し上げます。
    最初のページは、安定器等・汚染物の処理技術でございますけれども、トランス・コンデンサと同様でありますが、用いる技術につきましては、JESCOとして開発したというものではございませんで、環境省などによって公的に認定されました技術がございますので、その中から選ぶということを条件にいたしまして、技術提案を募って選定しているものでございます。
    この一覧表が、安定器等・汚染物の処理ということで認定を取られている技術の一覧でございます。赤で二つつけておりますのが、JESCOとして現実に採用した技術でございまして、上の赤が水熱分解法、三菱重工業の技術でありますけれども、東京事業所で用いているものでございます。
    下がプラズマ溶融分解法、新日本製鐵、神鋼環境ソリューションが開発企業でございますけれども、これは北九州、北海道で用いている技術でございます。
    ここで、典型的なものといたしまして、北九州、北海道で用いておりますプラズマ溶融分解について、どのような仕組みかということを御説明申し上げたいと存じます。
    安定器等・汚染物の処理につきましては、いろんな種類が含まれているものでございますので、それぞれ別に処理するというのは非常に非効率でございます。しみ込んでいるものとか小さいものがございますので、トランス・コンデンサのように、PCBをきれいに分離した上でそれぞれ処理するということも、非常に困難が伴うわけでございます。
    このため、いろいろな汚染物につきまして、一括して処理できるということで、この溶融分解する方法というのが、一つの有力な方法でございます。
    この施設につきましては、そういったPCBを含んでいる廃棄物を安全に確実に処理するということのために、非常な高温、15,000℃という高温のプラズマトーチで加熱して溶かすという仕組みでございます。炉内は1,300℃以上の高温で安全に処理するというものでございます。
    このため、非常な高温の施設でございますので、その管理には十分な注意をする必要がございます。炉の内側は非常に厚い耐火レンガ、耐火材で内張りをしているという厳重な構造でございます。炉自体は溶かすというシンプルなものでございますけれども、非常に高温であるということで、そもそも非常に注意を要する施設でございます。また、この中で廃棄物を溶かしてスラグ状にして排出いたしますけれども、そのやり方によっては、スラグがうまく流れないといったことが起きまして、そうなると非常に大きな問題になるわけです。
    また、トーチとか耐火材も、損耗いたしますので、損耗を見計らって適宜補修などを入れていくという必要がございます。
    この施設は非常に高温でありますので、一度トラブルが起きますと、冷やすのに3日ぐらいかかります。さらに直した後に立ち上げるのに1日かかります。ということで何かトラブルがありますと、小さいものでも中断期間が起きるということで、十分な管理をして運転するということが必要な施設でございます。
    左側にまいりまして処理対象物の主なものとして、今扱っておりますのが、安定器、小型電気機器、感圧複写紙、二次廃棄物、この写真は事業所の中で使っております白い防護服を詰め込んだものです。このようにそれぞればらばらのものでありますので、缶など容器に入れて扱うということが通常です。
    これが、JESCOの中に搬入されまして、まずその下の前処理ということで処理をいたします。処理対象物を処理するのに適当な量に分けまして、ドラム缶とかより小さなペール缶というものに詰め込みます。また、廃棄物だけではなくて、先ほど申し上げたスラグが溶けてそれがうまく流動するように、塩基度調整剤という薬剤を一緒に投入します。これは廃棄物の種類によってはかなりの量を投入する必要がございます。このような形で、プラズマ炉に投入できるように処理するというのが、前処理の過程でございます。
    全体のフローを、次の絵で御説明申し上げます。まず、搬入・受け入れがございまして、それを今申し上げた前処理、検査、詰めかえ、それから薬剤を投入するということが含まれます。PCB廃棄物でございますので、トランス・コンデンサ同様に作業環境の問題に非常に気を遣っています。このため、汚染の影響がないようにということで、一つは人間と隔離されたグローブボックスで扱っているということでございます。また、それで扱えないものにつきましては、ほかの解体室で行いますけれども、そうなりますと、防護服を着て非常に厳重な装備で扱うということが必要になるところでございます。
    これを1缶ずつプラズマ炉に投入いたしまして、プラズマを照射して溶かすというプロセスでございます。ものによって違いますけれども、例えば1缶溶かすのに30分とか40分、そういう時間がかかりまして、溶けたところで次のものを投入するという仕組みであります。
    溶けた後、ここでルートが二つに分かれまして、一つは溶けたものがスラグとして下にたまります。これをある程度たまったところで、1日約2回炉全体を傾けまして排出するという操作をいたします。出たものについて、非常に高温でありますので、冷却した上でPCBが残っていないかどうか、卒業判定をして払い出すという流れであります。
    一方、排ガスが出ます。排ガスにつきまして、環境に影響のないように非常に厳重に処理しております。フィルター、触媒あるいは最終的に活性炭を通して問題のないように処理をしております。
    その過程で、また煤塵が固化物として回収されますので、これもPCBが残っていないか、卒業判定をして払い出すというプロセスの仕組みです。
    言葉ではなかなかおわかりいただけないところがあると思います。北九州の事業所を一般の皆様が見学されるときに紹介をしているビデオがございますので3分ほどでありますが、ここでビデオを御紹介させていただきたいと存じます。
    (ビデオ上映)
    この工程では蛍光灯の安定器、感圧複写紙、汚泥、使用後の防護服やウエスなどの運転廃棄物を処理します。PCB汚染物はグローブボックス内で搬入容器を開梱して、異物や遊離した水分がないか、可燃物が多量に入っていないかなど、内容物の検査を行います。
    検査が済んだものは、汚染物の種類ごとに決められた量をドラム缶などに詰めかえます。詰めかえ後のドラム缶などは、基幹物流室へ送られます。ここで一時保管されていたドラム缶などはプラズマ溶融分解炉へと送られます。
    こちらがプラズマ溶融分解炉です。送られてきたドラム缶などは、そのままの状態で一缶ずつ炉内へ投入されます。
    プラズマ溶融分解炉の内部では、プラズマアークと呼ばれる15,000℃の熱を当てることにより、炉内温度を1,400℃の高温にし、PCB汚染物をドラム缶、ペール缶ごと溶融分解、無害化することができます。溶融分解したものは、溶融スラグとなり、一定量ずつ溶融分解炉から排出されます。
    排出された溶融スラグは、冷却チャンバーで冷却、固化されます。こちらが固化されたスラグです。このスラグも卒業判定によって、PCBが基準値以下であることを確認後、払い出します。
    また、プラズマ溶融分解炉からの排気は、高温チャンバー、減温棟、バグフィルター、触媒反応棟などの排気処理装置によりPCBやダイオキシン類などの有害成分を除去した後、大気放出しています。
  • JESCO 以上でございます。それでは、資料の説明を続けさせていただきます。資料の5ページです。ここでJESCOが処理をする汚染物・安定器等の対象物量について、推計をしたものを掲げております。各事業地域ごとにまとめておりますけれども、合計として全国で12,000トンという数量を見込んでいます。これは先ほど環境省から届けの量の一覧表がございましたけれども、その中で現実として、JESCOの処理に入ってくるものを推定してまとめたものです。
    下の注意書きに書いてございますが、まず年次は、平成19年度末のものを用いております。
    届け出の数量というのは、台数と重量が混在しているということで、そのまま重量にはなりませんので、例えば小型電気機器は0.3キロ、それから安定器は2.2キロというデータをもとにいたしまして推計をかけています。また、PCBの入っていない機器も届け出上含まれておりますので、これも推定して除いております。
    使用中の機器については、今後どのようなことになるのか。あるいは、使用中がどういうことかということで、まだ詳しい情報がよくわからないデータでございますので、これはとりあえず横に置いているものでございます。
    また、代表的な汚染物の中でウエス、汚泥等というものがございますけれども、環境省の説明にありましたように、これは濃度の薄いものが多いので、今後の議論でありますけれども、無害化認定で処理されるというものも相当に上ると考えられますので、とりあえずこれは横に置いて集計をしたものです。この結果が全国で12,000トンという量であります。
    続きまして、次のスライドから各地域の状況ですが、まず東京事業所の処理施設の現状について、御説明申し上げます。
    東京事業所では、環境省の説明にありましたように、当初からトランス・コンデンサの処理施設をつくる際に安定器等の処理も行うということで、一体の施設として計画実施いたしました。平成14年9月に技術部会で報告をまとめていただきまして、14年11月には東京の事業部会で報告をいただいております。こういった報告を受けまして、16年に着工して、17年11月から操業開始したというのが経緯でございます。
    次のページですが、この東京事業所の施設は非常に問題が多く発生いたしまして、現在、受け入れ停止しているという状況でございますので、全体の背景を含めまして、概要について最初に御説明申し上げます。
    最初の○ですが、平成10年前後にPCB廃棄物の不明の問題ですとか、POPs条約のことから、この処理が全国的に問題となったというのが一般状況でございますが、特に東京地域では、これに加えまして、都内の小学校で安定器の破裂事故があったということから、PCBを含んだ安定器の処理を求める社会的要請が極めて強くなったというのが同時に起きてございます。
    このため、このような背景状況を踏まえまして、東京地域においては、地域の方々に多大な御理解をいただきまして、この東京事業の立地ということが可能になったという事情がございます。安定器処理ということが、立地の大きな背景でございました。
    当時東京事業の処理施設を検討していたころは、トランス・コンデンサについては、かなりの蓄積があったわけでございますが、安定器の処理については、まだ技術的蓄積が遅れておりまして、一部の処理技術について、事業化が可能と見込まれる段階にようやく到達したという状況、時点でございました。しかしながら、この体制整備を急ぐという社会的要請もございましたので、実現可能性について、一定のめどが立つというところまで何とか見た上で、東京事業の施設整備を進めるというのが、当時のスケジュールでございました。かなりぎりぎりのところで、何とか早くということで進めてきたものでございます。
    その結果でございますけれども、始めてみて多くの問題に行き当たったというところが実際のところでございまして、一つは入ってくる安定器の種類について、充填剤というもの、後ほど御説明いたしますが、これに樹脂を用いているものが大半だと考えていたところ、実際にはアスファルトのものが多く、これが処理に非常に影響を及ぼしたという問題がございます。その他、当初わからなかった問題が出てまいりまして、いろんな対応を迫られたというところでございます。このために、施設を実際に動かし始めてから、こういった技術的な問題について、いわば試行錯誤しながら対処して改善を図ってきたというのが、この施設の実状でございます。
    幾つか改造等を行いましたけれども、特にトランス・コンデンサの処理を阻害するということもございましたので、平成20年7月の段階から、安定器の受け入れを停止しているというのが現状でございます。
    以下、少し詳しく御説明申し上げます。
    次のページが、安定器一般でございます。この絵のようなものでございまして、右側に見取り図みたいなものがございますけれども、この中にPCBコンデンサというのが入っておりまして、全体を充填剤というもので封入しているものでございます。コンデンサのPCBは100%でありますので、高濃度のPCBであります。この充填剤として先ほど申し上げました、ポリエステル等の樹脂のものとアスファルトのものがあったということでございます。
    最後の印ですけれども、これは長期使用されることによって、コンデンサが過熱されたりということで、コンデンサ内のPCBが気化して漏れたり、あるいはコンデンサの缶体が破裂するといったことが起きる場合がございまして、これが破裂事故にもつながったところでございます。
    次に、東京事業所の処理の仕組みについて、御説明申し上げます。次のものが設計当初計画の考え方でございますけれども、黄色の箱にありますように、安定器の効率的な処理を行うために、高圧トランス等の処理プロセスと設備を一部共有する形で施設全体を整備しております。
    図のほうをごらんいただきたいと思いますが、入口の破砕・分別、それから予備洗浄といったところにつきましては、安定器のみを扱う専用設備を設けております。この後、ばらばらになったもの、あるいはPCBの油につきましては、以前御説明しましたトランス・コンデンサの処理施設に投入するという形で加熱、洗浄、液処理をする。こういう大きく二つに分かれるプロセスでございます。
    次のページ、少し細かいフローで御説明させていただきます。水色のところが安定器処理の専用設備でありまして、やや赤みがかっておりますのがトランス・コンデンサと共用の施設でございます。
    まず受け入れしたものが大きく破砕・分別で素子・充填剤、細かい粉末とそれから右側の金属類・充填剤の大きな「つぶ」に分かれます。
    さらに左側の素子・充填材の粉末というのをふるいで分別いたしまして、一番左に行って充填剤の細かく粉末になりましたものは、加熱処理。これは以前御説明しました、真空加熱処理の中で180℃ぐらいで処理する低温の真空加熱でございます。この真空加熱をかけた上で、洗浄して卒業判定、払い出すという流れでございます。
    一方、素子は紙とアルミが張りついたようなものでございますけれども、紙とアルミを分別する。アルミのほうは、加熱洗浄、卒業判定、払い出しをする。紙につきましては、加熱した上で液処理、水熱分解施設にそのまま投入するという、こういうフローでございました。
    一方、戻って右側に参りまして、金属ですとか充填剤の大きな粒については、磁石で分別をかけて、磁石にくっつかなかった非鉄とか充填剤の粒につきましては、予備洗浄して洗浄して卒業判定して払い出す。
    鉄分につきましてもプロセスは同じでございまして、予備洗浄、洗浄、卒業判定、払い出しをする。こういう形で処理をするというのが、当初計画したフローでございます。
    しかしながら、さまざまな問題が開始後に判明したということでございます。最初の○は先ほど御説明しました、そもそも入ってくる安定器の種類として、充填剤が樹脂のものが大半と見積もっていたところ、実際にはアスファルトが多かったということが判明いたしました。こういったアスファルトの影響も含めまして、試運転、運用開始後に、いろいろな問題が起きて、施設改造などを行ってきたところでございます。
    表の御説明をさせていただきますけれども、アスファルトについては、問題としては破砕機にくっついて破砕機が動かなくなる。加熱設備の後の回収系統、これは洗浄液の蒸留施設でございますが、ここで詰まってしまうという問題がございました。このため、2~3度いろいろプロセスを変えて対策を講じたんですけれども、なかなかうまい手が見つからないということで、最終的にはアスファルトのものは中からコンデンサだけを抜き出して処理をして、残ったアスファルトの部分については、当面保管をするという方針にしたところでございます。
    次の素子中の紙とアルミの分別が困難という点でございますが、アルミが入りますと水熱処理に非常に影響を及ぼします。このため、アルミの分別が必要なんですけれども、非常に小さいコンデンサですので、中の紙とアルミも非常に薄いものが張りついて、なかなか分別できないということが判明いたしました。そのために、対策ですが、分離せずに一括して加熱洗浄で卒業させるということにいたしました。
    それから、充填剤にPCBが染み込んでいるために、洗うだけでは卒業させることがなかなか困難という問題が発生しております。このため充填剤等については、加熱処理工程を新たに追加いたしまして、よりきれいにするプロセスを強化したというところでございます。
    この結果のフローが、次のページでございます。黄色の吹き出しが、それぞれ今申し上げた改良したところでございます。順にたどらせていただきますと、受け入れしたものをまず大きくアスファルト型のものと樹脂型のものに選別して分ける、アスファルト型については、手解体でコンデンサとコンデンサ以外に分けるというプロセスをここで入れました。人間がそこに触るものですから、解体してPCBが漏れる、あるいはもともと漏れているという場合がございますので、作業環境の管理というのが、非常に問題になります。それから、手間も非常に大きいというプロセスでございます。これによりまして、コンデンサ以外の部分は、当面保管をするということにいたしました。
    コンデンサにつきましては、もう一回樹脂型と同じプロセスに戻して処理をいたしますプロセスでございます。
    樹脂型のものにつきましては、破砕、分別をかけまして幾つかに分離すると。真下のところは中に入っている素子の部分でありますけれども、紙、アルミを一括のままに、予備洗浄以下のプロセスで卒業、払い出しをさせるという仕組みでございます。
    鉄、非鉄、その他充填剤の粒が右側に分かれますけれども、これは磁石で非鉄と鉄に分けまして、非鉄につきましては、予備洗浄の後に、黄色い吹き出はついていませんけれども、加熱というのを新たに追加いたしました。その上で洗浄して払い出す。鉄については、前回と同じような形で予備洗浄、洗浄、卒業判定、払い出しというプロセスでございます。
    2~3度改造をかけて、最終的にこのプロセスまでたどり着いたわけですけれども、次のページをごらんください。なお、幾つか未解決の問題が残されたところです。3点挙げておりますけれども、一つは洗浄設備と水熱分解設備がトランス・コンデンサと共用でございます。ここで安定器の部材を処理いたしますと、量的にはトランス・コンデンサに比べて非常に少ないんですけれども、一つにはPCBの液を抜かずに破砕いたしますので、PCBがかなりついたような状態で入ってまいります。このため、洗浄の能力をかなり安定器のほうで、いわば食ってしまいまして、PCB処理施設全体に大きな負荷をかけるということが判明いたしました。安定器を処理いたしますと、一方、トランス・コンデンサの処理があまりできないということが判明したところでございます。
    2点目でありますが、樹脂型の安定器につきまして、処理を進めますと樹脂を加熱分離にかけた際に、無水フタル酸という物質が出まして、これが、加熱装置の後段のプロセスを閉塞させるという懸念が出てまいりました。すぐに詰まるということではないんですけれども、操業をしている間に詰まってきてしまうという懸念が、どうしても解消できないという問題がございました。
    アスファルトにつきましては、申し上げましたように、手解体を行いますので、作業安全上の問題、それから処理時間が非常にかかるという問題を抱えているところでございます。
    このような状況でいろいろ努力もしてまいりましたけれども、20年7月の段階で、当面トランス・コンデンサの処理をまず安定化させるということもありまして、安定器の新規受け入れを停止したところでございます。その後でありますが、トランス・コンデンサも含めまして、幾つかの改造なども行ってきております。しかしながら、その後の東京事業所やほかの施設も含めて、設備、稼働状況などを見ますと、安定器を受け入れた場合には、一つは樹脂型のものの問題もありますし、アスファルトも完全には取り切れないところがございますので、こういった成分によりまして、設備の閉塞などの問題が生じるということが、現時点でも解消できないという状況でございます。
    この施設について、今後どう取り扱うかにつきましては、一たん技術的な整理もいたしまして、判断をすることが必要であると認識しているところでございます。東京事業所につきまして以上であります。
    次のスライドですが、北九州事業所における処理の状況について、御説明申し上げます。北九州は5事業所の中で一番早く始まったところですが、全体を第1期と第2期に分けまして施設整備を行っております。第1期というのは比較的小さいトランス・コンデンサ処理施設でありまして、主に北九州市内のものを処理するという施設でございます。これがめどがついたところで、2期の整備を行いまして、トランス・コンデンサの増設とあわせまして、本日の議題であります安定器等・汚染物の処理の施設の検討に入りました。
    時系列的にそこに掲げてあるとおりでございますけれども、19年9月から第2期施設に着工しておりまして、一つ飛んで21年7月にプラズマ溶融分解設備の第1号機が操業開始をいたしました。
    しかしながら、その次の8月すぐでありますけれども、溶融設備の排気を処理する活性炭のところで火災が起きるという事故がございました。これは幸い、すぐ消えまして、汚染の問題とか施設が壊れるという問題はなかったんですけれども、改造などを行いまして、ここで3カ月運転停止いたしました。このようなことがございまして、その後、運転再開をしたところでございます。
    第2号機につきましては、少しずらして着工いたしまして、22年8月から着工したものが、先月1月に操業開始に入ったというところでございます。この施設としては、プラズマ溶融分解設備を2基設置するというものでございます。
    その稼働の状況でありますけれども、まず年間処理量を当初どう考えていたかというところでございますが、施設の設計時、これは平成19年より前でありますけれども、当時は安定器と汚染物は届出ベースのものを想定しておりまして、合計約3,100トンを6年間かけて処理するということで、運転を設定したところでございます。そうしますと、6年間で割り戻しますと、1年当たりは520トン、2基ありますので、1基ですと260トンというのが、年間処理しなければならないという見通しの量でございます。
    現在まで操業しておりますのが、1号機であります。1号機の処理実績を表に掲げました。一番下の欄が、毎年度の計でありますけれども、21年度は申し上げたように、7月から始まってすぐに3カ月とまったということもありまして、ほとんど稼働していないというのが実情でございます。そのため26トンの処理にとどまっております。これが22年度は144トン、22年度もかなりトラブルがございましたので、144トンということ。23年度になりまして、166トン処理していますが、これは12月までの実績でございますので、この3分の1ぐらいはさらに年度末まではふえるという見通しでございます。
    以上が廃棄物でありますけれども、このほかに、JESCOの中で出ます二次廃棄物も、一部このプラズマ炉で処理しているところでございます。
    まとめまして、現在どれくらいできているかというところについては、平成23年度1年間の推計としては、200トン程度の廃棄物が処理できるというところまで至った次第でございます。
    ここまで21、22年度などでかなりトラブルがございまして、初めての施設ということで予想できないことが幾つか出てまいりました。代表的なものでございますが、一つは、ドラム缶の投入装置の水冷ゲートの作動トラブルというのが二度ほど起きております。これはドラム缶を投入するところにゲートがございまして、中と遮断をするという仕組みになっているんですけれども、その水冷ゲートの炉の内側に溶けたものが飛び散ってこびりつき、水冷ゲートが動かなくなるというトラブルでございます。水冷ゲートを上げ下げをするときに、水冷ゲートの脇のところで付着物をこそげ落とすという仕組みであったんですけれども、それが摩耗してなかなかうまく働かないということでありましたので、ゲートの収納部分にスクレーパー、かき取るような装置をくっつけまして対応するといったようなことで、改良したところでございます。
    2点目が炉内耐火材の想定以上の損耗ということであります。これは1,300℃以上の高温でありますので、どんどん耐火レンガが薄くなってまいります。ある程度まで薄くなりますと、これは交換をしたり補強したりということが必要ですけれども、当初の想定よりも、部分的には損耗が激しいということで、より頻繁に交換が必要だという状況が発生いたしました。対策といたしましては、損耗の激しいものについては、より耐久性の高い材質に変更するということで、逐次対応を図ってきたところでございます。以上が、北九州のこれまでの現状でございます。
    次のページですが、今後の処理を考えて、いつまで処理がかかるかということについて、一つの試算として整理させていただきました。年間の処理量について、どのようなものを使うかということは、議論がございますけれども、トランス・コンデンサと同じように、実績のあります現状の処理量で、今後処理が進んだ場合ということで、ここでは試算をいたしました。
    これを用いますと、年間の処理量としては、23年度ベースで安定器と汚染物が約400トン、その外でありますけれども、二次廃棄物が約50トンを処理すると。こういう量で当てはめております。処理対象量は1,200トン。これは全処理量の1,600トンのうちに400トンは今年度までで終わる見込みでございますので、残りの量であります。
    これを当てはめて計算いたしますと、平成26年度ごろまでには、処理が終了するという一つの試算でございます。
    次のページをお願いいたします。現状はこうでございますが、引き続き、処理の向上に向けた努力を進めてまいりたいと考えております。3点挙げさせていただいておりますが、1点目は耐火材の損耗の点検、補修期間の短縮であります。現在、まだどこがどのくらい減るかということについて、十分な情報の蓄積はございませんので、かなり頻繁にとめたりということがございます。また、炉の補修のために、年間2回ほどを長期でとめますけれども、それで年間100日ほど補修にかかります。このため、損耗の状況について、データを蓄積いたしまして、最低どれだけとめて補修すればいいかということを見極めまして、点検期間などを少なくしていくということで、処理の向上が図れると考えています。
    2点目でありますが、処理物の形状等に応じた運転方法の最適化でございます。これは安定器、汚泥、紙とか処理物によって、詰め込み方も違います。溶けるスピードも違います。このため、そういったデータを蓄積いたしまして、一番効率的に溶けるためには、どういう順番などでやったらいいかということを最適化していきたいというところでございます。
    3点目が、プラズマ前処理の効率化でございます。プラズマ炉は二つありますけれども、前処理設備は共通ですので、効率的に2系列に投入できるように、運転の期間をずらすとか、そういったことで対応していくといった内容。また、ほかの設備でも前処理を実施するといったことを考えております。
    一方、前処理につきましては、人が触るところでありますので、作業環境の問題に十分注意してやっていく必要があるところでございます。以上、北九州について御説明申し上げました。
    次に、北海道事業所におきます状況について、御説明申し上げます。北海道については、着工したところでございます。これまで平成19年ごろから、準備作業を進めてまいりましたけれども、最終的には平成22年5月の事業部会報告をいただきまして、23年12月に着工いたしました。工事を急ぎ25年に操業開始予定ということで、現在建設工事を進めているところでございます。
    施設の概要につきましてはプラズマ溶融分解炉2基ということで、北九州と同様の設備でございます。
    次をごらんください。北海道におきまして、今後、処理にどれぐらいかかるかということの一つの試算をしてみたものです。しかしながら北海道については、建設中でまだ実績というものがございませんので、実績量で計算するということができません。このため同種の施設でございますので、北九州事業の実績数値というものを仮に持ってまいりまして、それを用いて期間を試算いたしました。そのため年間処理量400トンという北九州事業のものを借りてきて用いております。
    処理対象量は1,900トンでございますので、これを割り戻しますと、それから処理開始につきまして平成25年度の中ごろというふうに見込みますと、北海道事業域内の1,900トンを処理いたしますのに、平成29年度ごろまでには処理が終了する試算となるわけでございます。あくまでも北海道の実績ではございませんので、一つの試算として御理解いただきたいと存じます。説明につきましては、以上でございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。それでは、この件に関しての御質問、御意見等をちょうだいしたいと思います。どうぞ。
  • 浅野委員 単純な質問です。東京は受け入れ停止ということは書いてあるのですが、受け入れ停止までに集まったものについては、既に全て処理済みと理解してよろしいでしょうか。
    それから、後から批判するのは実に簡単なことなので、余りこういうことは言ってはいけないのかもしれないのですが、こういう事態が生じたことは会社の責任というよりも、むしろ企画を立てたときのお話なのではないか。当初は充填剤に樹脂を用いているものが大半を占めるとの見積であったが、実際はそうでなかった。処理を始めてみて実際そうでなかったことがわかったということはしょうがないのだけれども、少なくとも、製造事業者からちゃんと情報を得ていれば、どういう実態なのかあらかじめわかっていたはずではなかったのかということが疑問です。
    むしろ企画を立てたときのやり方に問題があったのではないかということですが、先ほども言いましたように、後から批判するのは楽ですから、このぐらいにしておきます。
  • JESCO 今、二つ御質問がありましたが、受け入れ停止までに受け入れたものについては、処理をしております。ただ、アスファルトの充填剤のものについては、これは処理できませんので、JESCOが保管事業者から譲渡を受けた形で、現在保管をしているところでございます。
    充填材の種類については、最初の見込みと違ったということでございますけれども、製造業者の団体からもヒアリングをさせていただいたのですが、その情報で進めたところ、実際に違いがあって、見通しが違ったということでございますので、今となって考えれば、そのときに徹底的に調べておけばということがございますけれども、一方、かなり限られた時間で準備をした中で、一定の情報を得たところで進めたというのが実情でございます。
  • 田辺委員 安定器のことに関して東京事業所、それから北九州、北海道事業所、この状況はよくわかったんですが、残りの二つの事業所、大阪、豊田、ここは例えば5枚目の表を見ますと、安定器全体の3割近くを占めていまして決して少ない量ではないんですが、この二つの事業所では安定器の処理について、計画があったのかどうか。実行されたのかどうか。あるいは東京事業所と同じような問題を抱えたのかどうか。その辺をちょっと教えていただければと思います。
  • 永田座長 先ほどもその話はしていただきましたが、もう一回まとめてやっていただけますか。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 環境省です。大阪の事業所はもともと、大阪も豊田もトランス・コンデンサの計画があって、安定器をどうするかというのは具体的にはなかったということです。近畿地域には先ほど御紹介いただいたいように、かなり努力はされたんですが、結果的に立地できていないということで、東京と同じようなことではなくて、もともとまだ計画に位置づけられていないという状況です。
  • 本多委員 東京事業所において受入が停止されている件ですが、従前より申し上げていますけれども、計画あるいは予定がどうなっていて、それが実績でどうだったかというのをおっしゃっていただかないと、何が問題だったのか明らかとならず、処理促進方策を検討することが困難だと思います。
    結果的に受け入れ停止との御説明でしたけれども、要するに処理できる設備ができなかったということをおっしゃっているのでしょうか。
    また、アスファルト充填型の比率がすごく高かったとの御説明ですが、13ページを見ると、樹脂充填型でも問題があったというように読めます。樹脂充填型の件も含め、先ほどの御説明では十分理解できないところもありましたので、改めてご説明をお願いします。
  • 永田座長 大分内容は説明してきたつもりで、事務局サイドはいると思います。解釈の仕方がいろいろあるのかもしれません。もう一度今いただいた御意見に対して、コメントがあれば言っていただけますか。
  • JESCO 処理の状況につきましてですけれども、17年から20年にかけて、断続的に稼働はいたしまして、その期間に安定器でおよそ13,000個の安定器を処理したところでございます。これが実績でございます。
    アスファルトと樹脂の問題については、御説明しました11~13ページのところでございますが、アスファルトにつきましては、破砕機につまるという問題、それから後段の加熱設備などに影響があるということから、これは最終的には取り外して保管をするという方針にしたところでございます。
    樹脂型につきましてもさまざまな問題がございまして、対策工事をやりまして、一通り問題については対応したところでございますが、その施設を長期に稼働した場合にどのような問題が出るか。例えば、どこかで閉塞が起きてとまってしまうなど。その対処に時間を要するという問題もございますので、そういった稼働する中でどういった問題が出てくるかというのは、まだ見極められていないというところでございます。
    もう一つは、後段のトランス・コンデンサと共用している設備のところで、安定器を処理しますと、非常にそこの能力を使ってしまう。トランス・コンデンサとの関係で、トランス・コンデンサの処理がすごく減ってしまうという問題もございますので、そういったところから、安定器については当面受け入れをせずに、トランス・コンデンサの処理をまず伸ばすほうに主力に置いて頑張っていくという判断をしたところでございます。
  • 本多委員 当初の計画と実績のどこが違っていたのでしょうか。例えば6ページに、平成14年の9月と11月にそれぞれ処理施設に求められる技術的条件等、あるいは満足すべき条件等が取りまとめられているとの記載がありますが、それのどこが違っていたのでしょうか。
    また、11ページに出てきている三つの問題はすべて立ち上げる、あるいは計画段階でわかっていなかったのでしょうか。
  • JESCO 計画段階で、まず一つわかっていなかった問題といたしましては、充填剤のアスファルト型、樹脂型の割合といったもの。それからアスファルト型、樹脂型の充填剤の中に、無機質成分がかなり入っていたといったような話。コンデンサの中に入っているPCBについては、十分に把握されておりましたけれども、充填剤にどの程度漏れ出ているかといったようなのは、その時点でわかっておりませんでした。
    水熱酸化分解装置でPCBが分解できるということは、確認できておりましたけれども、その後の管路の部分での詰まりが生じる等の問題につきましては、実際に運転稼働してからわかった問題でございます。
  • 本多委員 エンジニアリング上の問題が大きいような気がします。私はこれはできる、できないの問題を超えていると思います。
    もう一つ13ページで、「このような状況を総合的に踏まえて、判断が必要である」との記述がありますが、すでに、立ち上がって6年も経過していることもあり、JESCOさんには責任のある対応をお願いしたいとかんがえております。
  • 廣木産業廃棄物課課長 この点に関しましては、この後の資料の説明で改めてさせていただきたいと思っておりましたけれども、環境省はこの問題、10年見直しを機に、きちんとしなければならない。ただ、この点については技術的なレビューというものが必要だというふうに考えていますので、そういった点で学識経験者より技術的な評価を行っていただいて、それについて結論を得る必要があるというふうに考えているところでございます。
  • 永田座長 よろしいでしょうか。
    最後の文章で先ほどから御質問をいただいているような、そういう意味では現状もそれに至る経緯も含めて、どういう状況であったかということも検討課題としていただいて、できればまた発表の機会を設けますので、そこでお話をいただけるとありがたいというふうに思っています。
    先ほどの浅野委員のお話ではないですが、後から言うのは、そういう意味では、指摘事項としてここに書かれている内容がなぜわからなかったのかという話が出てくるのは指摘しやすい内容だと思いますが、その経緯等についてもう少し、皆さん、まだ御納得されていないような方もいらっしゃるようです。わかりやすい形で提示していく努力は続けてください。
  • 浅岡北九州監視委員会委員長 今、安定器に関する説明を聞いていますと、要するに安定器は、下手をすると、最初から処理対象物として想定されていなかったのではないか。そう思わざるを得ないような説明になっていると思います。各5地域で独立にそれぞれの処理を完結するというのが、最初のシナリオだったんじゃないかと思うんですけれども、それも特措法の期限までに終了するというシナリオで、どういう技術を対置して処理すれば、確実にその期限までに処理できるというシナリオが描かれたと思うんですけれども、それをもう一回確認していただきたいんです。無責任に安定器の処理に関しては施設をつくっていませんとか、そういう状況が生まれているのが非常に不思議でしょうがないんです。
    安定器の処理に対して技術を選定したら、選定した技術がうまくいかないのであれば、それに対する代替策をきちんと期限内に立てて、完了させる義務があると思うんです。それぞれの地域に、こういう処理施設を設置するときに約束したことですから。
    そういうことを見越さないで、何でも処理できない施設でも部分的に立ち上げてしまえば何とかなるという考えがあったのではないかという気がしてしょうがないんです。そこら辺をきっちり示していただきたい。環境省側もそうですし、JESCOさん側もそうだと思います。
  • 永田座長 コメントありますか。
  • 廣木産業廃棄物課長 おっしゃったことを非常に厳しく受け止めたいと思っています。高圧トランス・コンデンサをきちんと処理しなければならないということが、まず大前提としてあって、5地域において事業所をつくってやってきたと。当然そのころから安定器の問題は意識してきたわけです。実際、当初私どもは資料2のほうで御説明したとおり、北九州、それからその後の北海道、東京もそうなるわけですけれども、それぞれの地域の実情を踏まえて処理施設を整備してこようとした。
    ただ、初めのほうで、築谷委員から御説明がありましたとおり、他の地域においても立地の努力はされてきたわけですけれども、それは結果として実が結ばなかったということも確かにございます。東京事業所における安定器処理が頓挫したということも含めて、私どもその点について反省すべき点は多いと思っています。
    ただ、私どもはこの検討会を開いた意義は何かということをもう一度しっかりと考えてみると、だからこそ私どもの責任として、この後どうやってこれをきちんと処理していくかということを考えなければいけない。事業所を立地するというのは、また大変な話でございます。同時にさまざまな面で、例えば費用対効果というあたりも考えなければいけないというところがございます。その中で何が一番ベストというよりはベターなシナリオなのかということを、一生懸命考えなければならないと思っています。
    この後資料4で、一つの考え方を提示させていただきたいところでございますので、その点について、また真摯に御意見をいただければというふうに考えています。
  • 浅岡北九州監視委員会委員長 私自身、この安定器に関しては、3事業所が取り組んだというのはわかります。だけど残りの2事業所が何ゆえに取り組まないのかというのを、きちんと結論づけてほしいんです。そうしないと、次の提案にきちんとした説明ができないのではないかと思います。
  • 廣木産業廃棄物課長 先生がおっしゃることは大変よくわかっているつもりです。やはりこういった問題について、私ども環境省は当然のこととして、またそれぞれの地域において、どういうふうに取組をしていかなければならないかという結果、今の事態を招いているということについては、真摯に反省しなければならないというふうに思っているところです。そこは本当に先生の御指摘は、甘んじて受けなければならないというふうに思っていますけれども、本当にそこで切にお願いしたいのは、その中で、こういうふうに至ってしまったということをきっちり感じながら、しかしこの先どうやっていけばいいのかということを、真摯に御意見をいただきながら、考えていければというふうに考えているところでございます。
  • 浅野委員 そのような答弁をしている限り、資料4の説明に入れないわけです。要するに、そこをきちんと総括というのか、説明をしない限り、次の方向性についてはかなり説明しづらいという御指摘を地元の委員長のお立場でしておられるわけです。
    御理解くださいという場合に、大阪は立地の努力はしたけれども、うまくいかなかった。では豊田は全く何もしていないのか。いろいろ努力をしましたということを、わかる限りちゃんと説明をすればいいのですが、何もしていないという印象を与えてしまうと、後がきわめてやりづらくなるという御注意を受けたというようにまずは理解をしてほしいということでしょう。ここで課長が弁解をしなさいと、浅岡委員長は言っておられるわけではないと思います。
  • 永田座長 その件に関して、もう一度資料を事務局のほうにまとめるようにしておきますので、きょうは口頭だけではなくて、もうちょっと詳細な経緯を踏まえながら、なぜそうなったのかという話を、皆さんにお示ししたいと思います。よろしくお願いいたします。
    中杉先生、どうぞ。
  • 中杉東京環境安全委員会委員長 きょうはだれの責任だということを追及する場ではないと思いますけれども、どういう原因でこういうことが起こったのかというのはちゃんと検証しておく必要があるだろうと。そういう意味で、東京事業所の話を伺いましたけれども、これほど詳しくは環境安全委員会では説明を受けていない。委員会のメンバーもこのことを十分に理解はしていないと思います。これはいろいろあって先のことが見えないから、説明できなかったということなのかもしれませんけれども、ぜひこの次の委員会のときにはきちんとした説明をしていただく必要があると思っています。
    それともう一つ、東京もほかもそうだと思いますけれども、それぞれ技術的な検討を専門家が集まってやっている部会があるはずなんです。委員会です。これはJESCOのほうに設けられている。そこでこの問題に関してどういう検討をされたのか。東京事業所もうまくいかないので技術改良をしていますという御説明は受けましたけれども、それがどういうふうにやられたのかというのも整理をしていただいて、今度お話しいただければというふうに思います。
  • 永田座長 それぞれの地域の対応の監視委員会関係ですが、そちらでまた話をさせていただきます。
    ちょっと時間も大分経過しましたので、後でまとめての中での御意見、次の資料がそれに該当するような内容になっているかと思います。そこでいただければと思います。
  • 飯干委員 一つだけ確認させていただきたいのですけれども、資料3の18ページで、「処理物の性状等に応じた運転方法の最適化」というものが書いてあります。「処理物の種類と順序などについて最適な運転パラメーターを整備」と書いてあります。そうしますと、処理物の種類によって処理時間等は異なるのでしょうかという確認と、もし異なるのであれば、どのように異なるのかというのがわかりましたら、教えていただきたいと思います。以上です。
  • JESCO 処理物の種類、例えばコンクリートとか安定器、電気機器、複写紙などによりまして、一つの缶に入れられる量が違っていたり、処理のプロセスからここまでしか投入できないというような量が決まっております。
    また、性状によりまして、先ほど申し上げた塩基度調整剤というのを入れる量がありますが、これも対象物によって変わってくるところでございます。
    これによって、1日当たり処理できるというものも多いものと少ないものとでは、倍以上開きがございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。

議題(2)安定器等・汚染物の今後の処理体制の整備について

  • 永田座長 それでは、2番目の議題になりますが、そちらの関係の資料4に入らせていただきます。事務局のほうから説明を願います。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 資料4をごらんください。「安定器等・汚染物の処理体制の整備と方向性」ということでまとめてございます。
    まず(1)基本的な考え方です。[1]は実態把握ということで、先ほど資料1でも御説明申し上げましたように、まだ汚泥とかそういったものは濃度がはっきりわからない部分があるので、その辺の実態把握をしっかりやっていくことが必要だと思っております。
    「[2]広域的拠点施設の体制の整備」ということで、まさに今も御議論いただきましたけれども、現時点で処理の見込みが立っていない地域の保管事業者にとっては、いつまで保管を続ければいいのかといった不安があります。これが紛失等につながるといったようなこともありますので、処理体制の整備の具体的な方針を早期に明らかにするということが必要だろうということです。
    次の○が、「処理の見込みの立っていない地域の自治体からも、早期に処理体制を整備することについての要望」があるということで、国は関係の自治体と連携し、早期の処理体制の整備を図ることが必要だということでございます。
    「(2)現状の認識」につきましては、先ほどからの御説明にもありました。北九州事業所につきましては、まずは安定稼働できるようになってきましたけれども、さらなる処理量増大とか処理方法の確立について、取り組む必要がある。
    北海道事業所につきましては、施設の建設を速やかに進めることが必要だろうということです。
    東京事業所につきましては、今停止しているということです。
    豊田、大阪については、努力をしたところであるが、現時点では見込みが立っていないということ。
    東京事業所については、もともと安定器等のみあったので、感圧複写紙といった汚染物の処理体制はもともとなかったので、こちらはどちらにしろ、考えていかないといけない課題となっております。
    めくっていただきまして、「(3)今後の処理体制の整備」というところです。北九州、北海道事業所の処理施設において、みずからのエリアの安定器等・汚染物の処理を行い、自分のところの廃棄物の処理終了の見通しがついた後、高圧トランス・コンデンサの処理をしている期間内においては、施設立地の自治体の理解を得ることを前提に、豊田、東京、大阪エリアの安定器等・汚染物の処理を行う。
    この結果、高圧トランス・コンデンサの処理をしている期間内に、もしすべてのものの処理が終わればそれが望ましいだろうということです。
    ※印は、東京事業所が先ほどから問題になってございますけれども、これにつきましては、学識経験者による技術的評価といったものを行って、取扱いについて結論を得る必要があるだろうと考えてございます。
    2施設、北九州、北海道事業所で、仮に期間内に豊田、東京、大阪エリアのものの処理が終われば望ましいと書かせていただきましたが、それが終わるのかどうかというのを別紙に試算をしてございます。これは北九州、北海道事業所において豊田、東京、大阪事業エリアのものをどの程度処理できるのかといった試算をしてみたということです。
    考え方として、まず処理対象量としては豊田、東京、大阪エリアは約8,800トンあるだろうと。これは国の届出データをもとにJESCOが推計した値を活用しています。条件としましては年間の処理量として、先ほどあった北九州の施設の実績量をもとに年間450トンと仮定しています。それから条件の2としましては、処理を行う期間として、自分の地域の安定器等・汚染物の処理が終わった後、トランス・コンデンサの処理が続いている期間とすると。これはもちろんトランス・コンデンサの処理がいつまで続いているかというのは、結論はないわけでございます。なのでなかなか難しいのですが、前回第3回検討委員会で、試案ということで示した年数を仮定で使わせていただきたいと思っています。北九州事業所は平成30年度、北海道事業所は平成35年ということまで仮に仮定した場合、どの程度できるかというのが2ポツの処理可能量というものです。
    これによりますと、北九州事業所においては自分のところが26年度ごろに終わるので、その後の27年度から平成30年度まで年間450トンということで、汚染物は400トン処理をすると1,600トン程度の処理が可能だと。北海道事業所におきましても、29年度ごろには地元が終わるとした場合、30から35年度まで処理を行うと2,400トン程度の処理が可能だろうと。合わせると4,000トンになります。
    先ほどありましたように、この三つのエリアでは8,800トンございますので、4,000トンといいますと、残り4,800トンが未処理ということになってしまいます。この試算を踏まえて、先ほどの(3)前のページに戻っていただきまして、今後の処理体制の整備の2番目の○の「しかしながら、」というところでございます。しかしながら、現状の処理実績に照らすと北九州・北海道事業所において、豊田・大阪・事業エリアの処理を行っても、この期間、トランス・コンデンサを処理をしているという仮の期間の間では、相当の量の処理が終わらないと見込まれます。このため、早期の処理完了を目指してJESCOは北九州、北海道事業所の処理推進をもちろんやるんですが、国が、豊田、東京、大阪事業エリアにおける処理体制の確保に具体的に取り組むということです。
    その上で、北九州・北海道事業所については、当該エリアの安定器等・汚染物の処理終了の見通しがついた時点で、全国に残存する廃棄物量とか処理の状況を踏まえ、国は、処理体制の方向性について判断するということで書かせていただいております。
    「(4)関係者の協力等」というところです。これは、安定器だけではなくてトランス・コンデンサにも関係しますけれども、国、自治体、保管事業者の関係者は、処理施設が立地している自治体への適正な搬入に協力する。特に、自治体については、処理施設が立地している自治体とそれ以外の自治体との間での、PCB廃棄物問題への認識の差が大きいという指摘をこの検討会でもいただいておりますので、収集運搬業者、保管事業者への指導強化といったことによって、適正保管、処理施設への適正な搬入に努めることが必要だろうということでまとめております。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。この件に関して御意見をちょうだいしたいと思います。
  • 浅野委員 前提としては見通しを早く立てないといけないということが、現在の保管者の強い要望でもありますし、自治体の要望でもあるわけです。それが大前提なのですが、この安定器等・汚染物に関しても、なかなかその見通しを立てにくいという状況であることがわかりました。
    ここに示されている試算結果を見て、仮にという、これも毎回私が指摘しているように、このようにやりたいという提案ではなくて、仮にやると考えて机上の計算をしてみても、こんな状態であるということがわかってきたわけです。
    それであればやはり何としても、どういう手立てを打つにしても、現在、何も処理できていない地域について、まずは処理の開始のために積極的に努力をしていくということがまずはないと、どうにも話は進まないのではないだろうか。つまり、前回の検討会までに取り上げてきた対象物については、一応曲がりなりにもなりにも全部の事業所で取り扱ってきているわけです。その上で設備の効率性とか性能とか、得意、不得意があるのだから、相互に入れ替えをすることも、運搬の危険性を最大限配慮した上でということであれば、何とか説明できるかもしれないけれども、全然やっていない地域があって、やっていない地域の分をやっている地域に持ち込んでやりましょうという話になるとは、ちょっとこれは話の質や筋が違ってくると思います。
    ですからやはり立地の努力ということを、とにかく今後も遅まきながらやっていく以外ないのではないかと思います。そういう努力をして、その努力とあわせて、今現実に既設の施設がきちんと機能するのであれば、その機能の有効利用ということも、それは選択肢としてあるでしょうと。こういう話になっていくはずです。きょうのペーパーは慎重に書いてありますけれど、しかしよくよく今までの流れを踏まえて読んでいくと、かえって混乱の種になる可能性もあります。
    大事な点は(3)3番目の○のところで、「このために処理体制の確保に具体的に取り組む」というところが極めて重要で、これをもっときちんと強調していかなければいけないという気がいたします。
    その上で、しかし同時に、全部終わってから次をというような言い方をしていくことは、ことこの問題に関してはいいのかもしれませんけれども、全体として前回までに議論したテーマに関しても同様ですが、当初の予定期間で終わらないという可能性がいろいろあるのだという話をしているわけですから、そこは、ひとつセットできちんと考えていかないといけないのではないか。この検討会では、処理対象物ごとにこれをどう扱うのかという議論を、これまでは、思考の便宜上やってきているのですが、最終的には地元に対するお話という場合には、総合的にお話をする以外にないだろうという気がします。
    きょうのこのペーパーだけが、単独に全く前後の脈絡なしに、どこかの新聞なんかに書かれたりすると、全然やっていないものをここに押しつけるというようなことを言っているととられかねない。これはちょっと怖いと思います。
    その上で立地の促進に関して、やはり手順をきちんと踏んでいくことが必要であって、それはどういうことかというと、地元の説明、説得ということをやれば済むというのは、昔の立地のパターンです。そうではなくて、きちんとアセスもやって、その手続きの中で情報をきちんと開示して、意見も述べてもらうという、そういった手順を踏んだほうがいいのではないか。
    つまりアセス法の対象ではないのだからといっても、自主的にアセスをやればいいではないですか。例えば福島の原発被害対策の特措法ですら、政府の基本方針の中では、中間貯蔵施設については、アセスの考え方にそってちゃんとした予測調査をやりますと書いてあるわけです。それがアセス法の対象であるのかどうかということとは関係がないわけです。あのような難しい問題ですら、それをやりますと政府が基本方針で決めている時代に、廃リ部は何を考えているのですか。
    具体的に取り組むという、こんな抽象的な書き方でいいのですか。もっとこの具体的に取り組むと書かれていることの中身を詰めて示していかないと、なかなか説得できないのではないか。それをちゃんと用意した上で、とにかく各地域でそれぞれてんでにやります。だから処理施設の立地できなかったら、永久にこの地域ではPCB廃棄物が完全には処理しきれませんという状態が続くことが、本当に日本のためにいいのか、地球のためにいいのかという議論をやっていけば、また話は違ってくるのではないでしょうか。何の努力もなしに、安易にここでやりますみたいな話では、保管者もいつまでも持っていなければならないという話になるわけです。これは問題ではないかと思います。
    やはり具体的に取り組むということを、抽象的な言葉で終わらせないということを、ぜひ考えていただきたい。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。時間も大分たっておりますので、御意見だけちょうだいして、基本的に後で整理をさせていただきながら、適切な状態で今後の議論につなげていきたいと思います。よろしくお願いします。
  • 眞柄北海道監視円卓会議委員長 前回も申し上げたことと重複するかもしれませんが、北海道事業所で立地して操業する段階で、現在の特措法の期限の中で処理区域内の物はすべて処理できるという前提でやってきたわけです。不幸にして、増設工事は順調にいけばもう1年早く済んだ予定だったんですがこれが、遅れたわけですから、現実の問題として、現在の法律の期限内ですべて処理できないということは、地元の方々も承知をしておられますけれども、そのことについてすら、現在の段階でまだ環境省からもきちんと説明をいただいておりません。
    その上でさらに、先ほど浅野委員がおっしゃったように、ほかのところのまで処理をするのという話になると、二つの話があるわけです。二つの話を同時にしていただくと、ある意味で地元側の市長さん、関係の市町村長さんも整理がつかなくなってしまいますので、順序立てて説明をしていただきたいということが、一点です。
    もう一点は、もともと北海道の施設は、期限内に処理できるということを前提に、施設設備の設計・施工がなされているというのが常識的な理解だと。それがさらに10年近く延びるわけですから、その間に現状の施設設備があと10年確実にもつという、これはある種の御説明が要るし、できないとなれば、建物でもほかの構造物もそうですが、定期的に大規模な点検を行って必要な補修をするというのが、これは常だろうと思います。
    そういう意味で、前回も今回の説明も、そういう作業をいつの段階でして、どれぐらいの期間がかかるかと。1年に2回ぐらい、例えば北九州で炉をとめて、保守点検をやられると。これは毎年行う、言うなれば点検のようなもので、車でいえば3年ごとの車検とは違うわけです。そういうような大規模な点検と補修をどれくらいのインターバルでやるのかということの御説明を伺いたいと思います。
    特に北海道のトラブルのことをいいますと、PCBそのものを処理するところよりも前処理の段階の機器のトラブルが非常に多いんです。そういうことも含めて、施設全体の大規模な点検と必要に応じた補修を何年タームで行うかということを御説明いただかないと、さらに期限が延びることに関して、地元の理解を得るということが非常に難しいというふうに感じますので、その点お願いします。
  • 中杉東京環境安全委員会委員長 東京の環境安全委員会の立場でということでございますけれども、東京事業所については、今回話題になって一つの議論の焦点だろうと思います。安定器の処理設備が使えるのかどうか。これは技術的に検討していただくことが必要だろうと思います。これはもう早急にやっていただく必要があるんだと思います。
    実際にこれを使うとなったときに、高圧トランスも事務局から御説明があったように、後ろは共用なんですね。安定器を処理し始めると、今、高圧トランスの処理期限というのは、計算上は必ず延びることになるんです。そこのところをどういうふうに考えるのかということが、一つの問題。
    そういう意味では、なかなか処理施設を稼働するというのは難しい。そうなると新たな設備が必要であるというのが、今の御説明ですけれども、新たな設備をどこにつくるのかということが、一つの問題になるわけです。仮に東京事業所のところにつくるとしたときに、その施設でどういうところの安定器を受け入れるのかというところの議論が必要になってくる。
    そうしますと、前回、高圧トランスで申し上げましたけれども、東京事業所はほかから受け入れて、その上長くなる。これはどうしても、地元の理解を得られない。それがほかの地域からの安定器も受け入れるということになると、さらにそれを増幅させることになります。これはなかなか地元の理解を得るのは、難しい。
    仮に東京事業所の範囲の中の安定器を入れるにしても、これは確実に延びてしまう。そこら辺のところをどうするかというふうなことで、そこら辺の部分について、十分な御説明をいただかないと、地元の理解はなかなか得られにくいだろうということを申し上げておきます。
  • 福永大阪監視会議座長 大阪の監視委員会の福永です。地元説明ということでは、ほかの先生方も皆さん、たくさんおっしゃって、私もそのとおりだと思います。
    特にこの「基本的な考え方」というのを出していただいて、処理対象物の実態把握とありますが、対象物の種類、量及び性状について。特に保管状態の把握というのは、この話が順調に進んだとしても、数年後にしかまだ大阪の関西地方の分は処理にかかれないということで、特に保管状態、ほかの地域も同じだと思うんですが、保管状態の把握をしっかりしていただきたい。
    高圧トランス・コンデンサのように崩れかかっている、そういうようなものはないかもしれませんが、保管状態は、収集運搬に深くかかわると思います。簡単に輸送できるんでしたら、簡単にいきますけれども、厳しくしないといけないのか、あるいはもう少しある量以上は簡単でいいのかということにかかわりますので、保管状態の把握ということをよろしくお願いしたいと思います。
  • 織委員 私も東京事業所にかかわってまいりまして、この御説明を今までずっと聞いてきたんですけれども、一つはかねてから指摘されているように、体質の問題がすごくあると思うんです。まさに前処理のトラブルが何回も続いて、説明を受けるたびに詰まってしまいましたという話を受けたときに、私たちまた地元の方も非常に強く言われたのは、なぜエンジニアリングの会社のほう、受託事業者のほうにもっと強く言えないのかと。そちらのほうに責任をとらせるような体制をとれないのかということは、地元の方々からもさんざんかねてから言われていたことだと思います。それはもう体質の問題というか、今ここでがいのがいの言っても仕方がないことなんです。
    私が懸念するのは、基本的なこういう体質、あるいはこういうものを持ちながらさらに新たな施設を何百億円もかけてつくって、そうすればまた同じ問題が出てしまうのではないかという懸念が非常に強いです。
    だからといって、2事業所の方に負担させればいいのかということではないんですけれども、それにしてもこのようなことをやりながら、また何百億を使って本当にいいのかという気持ちがあります。そのくらいだったら、もっと効率的にみんなで痛み分けをしながらでも、今の施設を何とか効率的に使っていく方向で前向きに考えていったほうがいいのではないかという気がしております。
  • 本多委員 先ほども申し上げましたとおり、JESCOさんは突然東京事業所で、1,810円で受け入れていたものを29,400円に改定しました。北九州限定だった処理料金が、いつの間にか全国になり大方300億~400億円だった国民負担が、3,000億~4,000億円と10倍になり、これが混乱を招いておりまして、ここのところからもう一度やり直さないといけないと考えております。
    この29,400円という値段は、ある安定器をもって、これはきっとPCBは入っていないはずだと思わせてしまう誘惑を非常に招くのではないかというふうに思います。その誘惑を招かないようにするというのも、制度設計をするときには非常に大事な話です。
    幸か不幸か、まだ余り日本全体の処理が進んでいないので、これからそういう議論をしても間に合うのではないかと思います。これは外国の例ですけれども、そういう危ないものは処理費をあえて安くするというスキームをつくっている国もあるというふうに聞いています。一旦捨てられてしまうと、土壌が汚染され100倍では済まないくらい国民負担が増え、税金などを投入しなければならなくなるということを考えると、入口のところできっちりとした制度設計をしていただきたいというふうに思います。
    コストの話というのは、経済的な問題だけではなくて、そういうところまでかかわってくるという認識で、我々も協力していきたいと思います。
  • 影山委員 浅野委員と同じ意見になるかもしれませんが、処理体制の整備について、書かれている内容、これでは我々はいつ処理ができるのか。処理が本当にできるかどうかというのがわかりません。もっとしっかりと書いて方向性を示していただかないと、これではせっかく検討会をやっている意味が全くないというふうに思いますので、ここをしっかりと書いていただきたいと思います。
    先ほど浅岡委員から話があった点で、私は別に環境省の肩を持つわけではありませんが、当社も経験がありますので、立地がいかに難しいかというのは十分承知しております。多分豊田とか近畿、東京でさぼっていたわけではないだろうというふうに思います。今の発電所でも立地が20年、30年というオーダーでの立地になりますので、これが難しくてできないということは、十分私もわかっているつもりです。
    ただ、それをしっかりと前に出して、今は各地の事情でできる、できないという議論をしていたのでは、全然その処理が進まないという、そういう状況に立ち入っています。だからこそ多分、こういう検討会も開いてやっているんだろうというふうに思います。
    その中でオールジャパンでしっかりとみんなで分ち合わないといけない。みんなで処理していこうという、そういう機運をつくっていかなければいけないんだろうと思います。
    そのためには、この資料では余りにも、リーダーとしてやっていこうという環境省の姿勢が見えない。はっきりと恐れずに、どこに何を頼むんだと、北九州、北海道さんに頼むんだったら頼む。違う地域につくるんだったらつくるという、そういうことを明確に打ち出していただかないと、全く前に進まないと思います。それでみんなでやっていただければ、ここに来ている浅岡委員も含め、先生方は協力してくれるのではないかと思いますので、やはり勇気を持ってもう少し前に出すような、そういう書き方をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 永田座長 ちょっとここで議論を一たん切らせていただきますが、今の特に問題になっている(3)番のところの内容です。これからどう手順として進める。この委員会の中での話とそれから制度設計、地元への対応、ここら辺について、環境省からコメントしていただきます。
  • 廣木産業廃棄物課長 御指摘ありがとうございます。特に浅野委員、影山委員から御指摘のあった点、非常に重く受け止めている次第でございます。
    私どもは、特に今後の処理体制の整備について、もう少し本当に具体的に書きたいと思っております。ただ、具体的に出そうとする場合、それぞれの地元自治体との関係も含めまして、私どもの今までの総括というのが十分でないというのは、正直あるだろうと思っています。
    その上でもう少し次回いただきまして、私どもももうちょっと具体的に、どういう格好でこれを進めていこうとしているのかということについて、これは詰めなければいけない。これは取りまとめのときにどう書くかという話もあります。またそれだけではなく、実際にどう進めていくかという話、それがしっかりできるように関係各位とも十分に話を進めながら、しっかりして具体的なものを出せるように心掛けていきたいというふうに思っているところでございます。
  • 永田座長 もう一つ、この(3)の中で東京事業所についての安定器の処理の問題なんですが、記載されています。先ほどからもいろいろと御指摘をいただいている点なんですが、特に技術的な評価を中心に、現状、それから過去にさかのぼって想定したところ、設計の状態。そういうところを含めた検討をきちんとやっていく。その上でどう結論づけられるのかということ。
    このために、学識経験者による技術評価が必要だということになっています。今頭に浮かべますのは、技術部会というものが、JESCOの中にございますので、そこで検討してもらうのが、一番流れとしてはいいのかなというふうに思っています。
    酒井委員、そこのヘッドをしておられて、もしコメントがあったらお願いできますでしょうか。
  • 酒井委員 御指名でございますので、発言させていただきます。
    東京事業所の安定器の処理プロセスの評価という点で見た場合ですが、大きくポイントは三つかなと思っています。技術の本質的な意義と課題、これは恐らく水熱分解をどう見るかという、そういうポイントがまず1点あると思っています。
    2点目としてはそのコアのプロセスの周辺、先ほど来、前処理の難しさということを先生方からも御指摘いただいておりますけれども、その点とその後の改修の点。いわゆる周辺のプロセスを含めたシステム的課題、ここに対してどれだけ熟度があったのか。その間10年間どう進展したのか、そういう整理のポイントがあろうかと思っています。
    それと現状で見て技術、現行システムの対応可能性をどう見極めるかという、大きく三つぐらいの技術的課題があろうと思っています。
    既に過去に何を検討したのか。ちゃんとつまびらかにせよという指摘もいただいていますので、その点も含めて御期待に沿えるように努力をしたいと思います。以上でございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。
  • 田中委員 資料4について、「基本的な考え方」のところで、対象物の量とか性状とかもう少し精査が要るかもしれないという気がします。
    性状についてPCBの濃度。それから濃度が高いところは量が少ないんですけれども、PCBで換算すると、比較的濃度が高いところのほうが多いので、そこを重点的にプライオリティを高めて順番にやるということだと思います。
    東京事業所については、酒井先生、よろしくお願いしたいと思います。
    私も今までの話を聞きますと、全体の処理をやるためには、北九州と北海道事業所に御迷惑をかけるけれども、ぜひお願いして、処理をしていただくのがいいかなと。これから新たにつくるとすると、アセスやいろいろやるともう予定されている時期を失してしまうということで、御理解をいただいてお願いしたいと、私はそのように思います。以上です。
  • 伊規須委員 今まで出た議論と違った視点から一言。
    今までの議論は、すべてこのPCB処理施設がいわゆる迷惑施設であるという前提のもとに、議論がなされていたように思います。私は北九州に直接かかわっているものですから、ちょっとひいき目になっているかもしれませんが、北九州の施設を見ておりますと、これは迷惑施設なんかではなくて、将来的に大きなビジネスに結びつくような施設ではなかろうかというふうな、私は個人的にそういう感じを持っております。
    今やっているこれが、将来的にこういうふうなところに具体的に役に立ちますよというふうな話を、もうちょっと出してもいいのではないかと、私は思います。そういうふうな努力を、JESCOにしていただけたらいいのではと、私は思っています。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。
    きょうは資料4について、いろいろ貴重な意見をちょうだいしました。取りまとめに向かいまして、今後どうするかという議論の中で、いただいた御意見をできるだけ反映するような方向で検討してまいります。
    ということで資料4の関係は、これで終わりにさせていただきます。
  • 影山委員 取りまとめのほうでということでございますけれども、ちょっとこの扱いを環境省さんにお聞きしたいのですが、やはり保管業者として、このままで検討を終わるというのは、余りにも我々今後の処理ができるかどうかというのでおぼつかない。できればもう一回やっていただいて、どんなふうに処理をしていただけるのかという具体的なところを示していただけると、大変ありがたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  • 廣木産業廃棄物課長 この点に関して、今回の議論を踏まえてさまざまな作業をしなさければならないと思っています。これまでのレビューも改めてしないといけないと思っています。今後、自治体の皆さん方への説明、調整等も含めて、やる作業は相当あると思っています。
    私どもとしては、取りまとめをする段階で、どういうふうにしていくのか、どこまで明確に出せるかというのはあると思います。なるべく明確にできるようにしていきたいと思います。またそういう過程で取りまとめの段階で、具体的な議論をさせていただければというふうに思っています。
    いずれにしても、若干期間を置きたいというふうに思っています。ただ、いずれにしても、取りまとめではもう少し、このままではものが進まないというのも、十分理解しているつもりですので、もっと具体化を図りたいと、その過程で御相談させていただくということにしたいと思います。
  • 永田座長 よろしいでしょうか。取りまとめといいましても1回で終わりというわけではなくて、議論をする機会はつくれるかと思いますので、よろしくお願いします。

その他

  • 永田座長 それでは、最後に「その他」ということで何か、事務局のほうありますか。
  • 廣木課長 私どもは特にございません。済みません。次回の日程なんですけれども、3月6日に予定しているところでございます。3月6日午後1時から、この場所で開催させていただきたいというふうに考えています。
    次回安定器等・汚染物の話につきましては、先ほどお話しさせていただいたとおり、また改めて取りまとめの段階で議論をさせていただくということで、次回は、微量汚染物の話に、一たん議論を移したいというふうに考えています。
    そういう関係で、JESCO、地元の監視委員会の先生方におかれましては、第2回目の検討会から今回まで御出席いただきまして、本当にありがとうございました。また、JESCO立地自治体の皆さん方にも、これまで毎回御出席いただきましたこと、まことに感謝したいと思います。
    また、監視委員会の委員長の先生方、自治体の皆さん方には、大変恐縮ですけれども、また先ほど申しました取りまとめの議論をする段階において、また御出席を改めてお願いしたいというふうに考えているところでございます。どうもありがとうございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。
    監視委員会の委員長、自治体の皆様、毎回御出席いただきまして本当にありがとうございました。第2回から急遽ということで御参画いただいたのですが、非常に貴重な御意見をさまざまいただきまして、本当にありがとうございました。
    それでは、本日の委員会はこれで終了とさせていただきます。どうも長時間にわたり、ありがとうございました。

(了)