環境再生・資源循環

第3回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事録

日時

平成23年12月19日(月)16:30~19:00

場所

JA共済ビル カンファレンスホール

議事録

開会

  • 廣木産業廃棄物課長 それでは定刻となりましたのでただいまから「第3回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」を開催したいと思います。委員の皆様方におかれましては、年末大変御多忙の折にもかかわらず御出席いただきまして、本当にありがとうございます。
    本日は横山委員が御都合がつかないということで、代理で石油連盟から技術環境安全部部長の田和様に御出席いただいております。そのほかの委員につきましては、全員御出席です。
    前回に引き続きましてJESCO事業所立地の地元で開催されております、監視委員会の委員長の皆様方にも御出席いただいているところでございます。
    それでは、早速議事に移らせていただきたいと思います。以降は座長の永田先生に進行をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
  • 永田座長 どうも皆さんこんにちは。委員の先生方、各地のPCB処理事業の監視委員会の先生方にもお越しいただきました。御多忙のところをありがとうございます。
    前回はJESCOで処理をしております高圧トランス・コンデンサ等の処理推進策について御議論をいただきましたが、今回は前回の議論を踏まえて、事務局並びにJESCOから具体的な対応案を示していただきます。これをもって、またさらに議論を深めていただければと考えております。よろしくお願いします。
    それでは議事に入る前に、事務局から資料の確認等をお願いします。
  • 廣木産業廃棄物課長 本日の資料について御説明する前に、前回第2回の検討委員会におきまして議論がございました資料4について、御意見を踏まえて修正させていただいております。クリップどめの今回の資料のほかに、右上に「第2回検討委員会資料4(修正後)」というペーパーを用意していますので、ごらんいただければと思います。
    具体的には前回の議論で、現状ペースで処理を続けた場合に、処理にどの程度の期間を要するのかという資料でございましたけれども、これで新たな対策を導入せず、現状の処理ペースのままでいくとどのようになるのかといったことにつきましてはっきりさせるようにという御意見がありました。また、資料のタイトルに「新たな対策は含んでいない」ということを括弧書きで明示したところでございます。
    また、図の上に主な留意点と書いてございますけれども、(3)に記述がありました処理委託をしない者という点についても御意見をいただきまして、それを踏まえて所要の修正を行いました。この点につきましては、座長に確認いただいたところでございます。
    それ以外の修正点もございます。北海道事業所の部分でございますけれども、これにつきましては、JESCOから修正点を御説明していただきたいと思います。
  • JESCO JESCOでございます。お手元の資料の左のほうの「平成22年度末残台数」という項目がございますが、これの北海道のところをごらんください。データの修正について、申し上げます。残台数につきましては、JESCOに既に登録されている台数と行政に届け出されている台数と突き合わせて計算しておりますが、その中に一部重複がございました。それを会議後に気がつきましたので、修正をしたところでございます。
    北海道の大型トランスにつきまして、659台という数字を入れておりますが、これは前回の資料では666台でございました。659台という台数に修正いたします。これによりまして処理に係る期間の赤の棒でございます。これは前回の資料では、平成36年までとなっておりましたが、台数が減ったことによって平成35年までというふうに修正をしております。
    次に一つ飛んで車載型のトランスです。今の資料で348台としておりますが、前回は425台でございました。重複を除きまして348台が正しいデータでございます。このため、この棒の年限につきまして、前回35年でありましたが、33年までというふうに修正いたしました。
    もう一点の修正でございますが、前回は、下の大型コンデンサという欄がございませんでした。コンデンサ一本だったんですが、中身を精査いたしますと、一部特に大型のコンデンサで現在の施設では作業環境上の問題があって、すぐに手がつかないというものがあることが整理されましたので、その部分について分け書きをしております。この大型コンデンサを560台、前回はコンデンサの内数でありましたけれども、これを別書きにしたところでございます。その結果、この560台分が減りまして、コンデンサの新たな台数が5万812台というものです。これによってコンデンサの終了年限については、特にこの絵で変更はございません。以上でございます。
  • 廣木産業廃棄物課長 そのほかの資料につきましては、クリップどめをしてある議事次第に記載されております資料一覧のとおりでございます。まず、議題(1)第2回検討委員会に係る補足説明についての関係資料というのが、資料1の第2回検討委員会での御意見等に関する補足説明というものでございます。
    議題(2)高圧トランス・コンデンサ等の処理推進策についての関係資料が、資料2。資料3-1、3-2、3-3というものでございます。
    議題(3)の関係が資料4、資料5ということでございます。
    さらにそれに加えまして、参考資料1として、前回検討委員会の議事要旨がございます。参考資料2-1から2-4がございますけれども、これは議題(1)の補足資料ということで用意しております。
    そのほかに委員名簿が配付されております。以上でございます。
  • 永田座長 よろしいでしょうか。もし不足分がございましたら、事務局のほうにお申し出ください。

議題 (1)第2回検討委員会に係る補足説明について

  • 永田座長 それでは、早速議題に入りたいと思います。議題(1)第2回検討委員会に係る補足説明についてということで、前回いろいろ御議論をしていただいた内容について、事務局並びにJESCOのほうから補足の説明があるということでございます。資料1に基づき説明をしてもらいます。どうぞ。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 資料1という横の表になっているものをごらんください。前回、委員の先生方からいただいた御意見の中で、もう少しこちらで補足的に御説明させていただきたいというところがありました。あと、JESCOでも対応をかなりされているというところもあったものですから、少し整理をして御説明したいと思います。JESCOのほうから、具体的には説明をしていただきます。
  • JESCO 内容につきまして、JESCOから御説明申し上げます。資料1の左側の「御意見等」つきましては、環境省に整理をいただいたものでございます。右側のJESCOの対応について、順次御説明申し上げます。
    最初の御意見等の、事業所ごと、対象物ごとに、より詳しくどのような対策をしてきたのかという点でございますが、各事業所におきましては稼働の低下について、工程上の問題点を順次明らかにして、これまでも解決策を進めてきたところでございます。これにつきましては、参考資料2-1がございますので、後ほど少し詳しくこちらで御説明申し上げたいと思います。
    2点目のPDCAが回っていないのではないか。目標管理をどのようにしてきたのかという御質問でございます。これにつきましては、JESCOがどのような処理台数を行うかということについて、毎年度トランス・コンデンサについて全社としてこれだけ進める、各事業所においてこれだけ進めるという目標を設定いたしまして、これに基づいて、操業計画、廃棄物の搬入計画を作成して進めてきております。また実施の過程におきまして、処理の進捗について、毎日週単位あるいは月単位でチェックして、差異の原因を分析しまして、事業所レベル、本社レベルでそれぞれ計画の見直しを行いながら、目標の達成に努めてきているところでございます。これにつきましても、参考資料で少し追加の御説明申し上げたいと存じます。
    三つ目ですが、5事業所で緊急時事故への対応訓練、市民への情報提供など、マニュアルをつくって進めるべきであるという御指摘でございます。これにつきましては、トラブルの連絡公表に関しまして、2010年に全社ルールということでまとめたところでございます。これに沿いまして、各事業所の特性を入れて、緊急時の対応マニュアルというものを各事業所ごとに整備しております。これが動くように、日々訓練などを行いまして、事態に備えているところでございます。
    次の点ですが、作業従事者への教育指導、現場で働いている方々のお知恵や経験を生かす工夫が必要であるという点でございます。これにつきましては、処理従事者に対して、さまざまな教育研修制度を進めております。また現場の知恵ということで、ヒヤリハットの報告とか改善の提案制度というものを奨励して進めているところです。若干後で項目を御紹介申し上げます。
    次の点ですが、作業員のモチベーションを上げるため、社長を初め幹部と現場とのコミュニケーションをよくすることが効果的であるという御指摘がございました。これにつきまして、これまでも経営陣が事業所を訪問して意見交換をするということを行ってきているところでございますが、今後、引き続きこうした取組を進めまして、現場とのコミュニケーションの充実を図ってまいりたいと考えております。
    また、運転会社への表彰等そういった方法を用いまして、モチベーションの向上も、引き続き強化をしてまいりたいと考えております。
    最後の点ですが、JESCOの保管事業者への対応について、高圧的な対応が見られる。保管事業者と一緒になって解決をしようという姿勢に見直しが必要ではないかという御指摘がございました。前回このような御指摘をいただいたことにつきましては、JESCOといたしまして非常に重大なことであるという認識をしております。このような原因のひとつといたしましては、処理の遅れている状況ですとか、あるいはどのようなものが受け入れられないかということについて、それぞれこれまで御説明したような事情があったところでございますが、そういった状況につきまして、個々の事業者、保管事業者の方に十分御説明ができなかったところがあったのではないかと考えているところでございます。
    このため、前回の御指摘をいただきまして、この12月13日に全社のプロジェクトとして、「お客様満足向上検討チーム」というものを設置して、社内でお客様の対応を適切にするということで、鋭意取組を進めてまいります。今後まとまりましたら、適宜御紹介させていただきたいと存じます。
    以下、参考資料2-1以下、これは大分細かい資料などもつけておりますので、全部御説明し切れないところもございますが、幾つか概要だけ紹介させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
    最初の参考資料2-1が、操業上の課題と処理能力向上に向けた取組でございます。各事業所ごとにどのようなことをしてきたかということを一覧に取りまとめたものでございます。横軸が各事業所でございまして、縦の軸がそれぞれの工程ということで整理をしております。
    前回御紹介しましたのは、この中で黄色の部分でございます。前回は主要な問題でございました作業環境の問題、それから各事業所の幾つか特徴的なものを御紹介しましたので、確かに全貌という資料ではございませんでした。大部になりますので、その中で左側の「2 トランス解体工程」、「3 コンデンサ解体工程」、「4 解体品洗浄工程」、このあたりが各事業所共通に一つのボトルネックとなっているところでございますので、この対策につきまして、簡単に御紹介させていただきたいと存じます。
    それぞれ事業所ごとにごらんいただきたいと思いますが、北九州につきまして、第1期と第2期の施設がございます。第1期につきましては、黄色で囲みましたように、前回も御説明しました予備洗浄を進めるために、車載トランスの洗浄ステーションを増設しております。また、コンデンサの解体につきましては、作業時間を土日夜間を使ってやるといったソフトのチェンジをしております。
    さらに解体品の洗浄を進めるため、含浸物の洗浄の仕方を、設備が並列に使っていたものを直列にして、さらによく洗うといったフローを変更して取り組んできているところでございます。
    2期につきまして、トランスの特殊解体室という部屋がございますが、そこを積極的に予備洗浄などにも活用しているという取組がございます。
    また、コンデンサにつきましては、VTRが第2期でございますけれども、排気について例えば活性炭を強化するといったことで、処理を進める取組をしてございます。
    次に豊田事業所です。トランスの解体工程の対策といたしましては、洗浄に非常に時間がかかるということで、洗浄の完了基準をやや緩めまして時間を短くするといった取組。それから、バンドソーというのは、解体のための切る機械でありますが、これをよりよいものにしております。
    コンデンサの解体工程については、コンデンサの中の素子について、非常に分厚い素子などがありまして、なかなか切れないということが発見されましたので、そういった切断破砕の方法を変更して、適切に取り扱うといった工夫をしているところでございます。
    次に解体品の洗浄工程は前回も御説明いたしましたけれども、洗浄のやり方をいろいろ量、質に応じて工夫すること。それから、稼働時間を延ばすといった対応を進めてきております。
    東京事業所でございます。トランスにつきまして、浸漬洗浄という形で液につけて洗っているんですけれども、これがうまくできないトランスがございますので、それについて、新たな方法を工夫して取り組んでいます。
    また、コンデンサにつきましては、三つほど書いておりますが、いずれも特別の性状があって難しいというものについて、個々に工夫をしているところでございます。解体品の洗浄は東京はございませんが、東京の場合は、含浸物については洗浄せずに細かくスラリーに砕きまして、それを水熱酸化施設に直接投入してやるという方法でございます。このため、液処理のところに記録しておりますけれども、このスラリーの中に含まれるアルミが非常に問題になるということで、この対策を進めてきたところでございます。
    次に大阪事業所につきましては、トランス解体でやや時間が長くなっているというところが、引き続きの課題でございます。また、コンデンサの課題については、前回御説明しましたが、ポリプロピレンを使ったコンデンサを入れると破裂してしまうということから、事前に穴を開けたたりケースに入れるといったことで処理ができるようにしておりますけれども、なかなか効率が上がらないといった課題がございます。
    最後、北海道事業所です。トランスについて、抜油ステーションを増設しているといった取組。また、切断機を増設したり、作業時間を延ばすといった取組をしております。コンデンサにつきましても、シフトを変えて作業時間を延ばすといった取組をしているところでございます。
    解体につきましても、含浸物について洗う回数ですとか、重量をいろいろ工夫するといったソフトのやり方、あるいは真空加熱について、やや温度を上げるといった取組をしてきたところでございます。
    次のページにより詳細な説明をつけてございます。こちらにつきましては、説明を省略させていただきます。
    次に参考資料2-2を1ページお開きください。これは、JESCOとして目標管理、PDCAについてどういうふうに取り組んできたかというものでございます。最初のページが、高圧トランス・コンデンサ処理量自体の目標管理をどうしてきたかというところでございます。文書が長いので、図だけごらんいただきたいと思います。まず、青のPlanのところで、毎年の目標につきまして、前年実績とかどのような改善を図るかということを踏まえ、毎年最大限ここまでできるということで目標を設定してきております。
    それについて各事業所の中で実際実施するわけでございますが、一つには施設設備の稼働の計画がございます。もう一つには、お客様からどのように搬入してくるかという計画がございます。搬入につきましては、JESCOにおいては申し込みがあるのを待って対応するということではなくて、すべてJESCOのほうから調整あるいは契約のお願いをして進める形でございますので、非常に詳細な計画をつくって取り組んでいるところでございます。
    先ほど申し上げましたように、日時、毎週、月ごとに事業所さらに本社でこの報告を集めまして、チェックをしているところでございます。
    その結果のActionでありますが、事業所では逐次この改善を図っておりますし、全社といたしましても、四半期ごとに差異の原因を突き詰めて目標達成のための見直し、努力をしているところでございます。
    左下に「進捗状況の把握例」という二つのグラフがございますが、上のグラフはこれは昨年度の前半の目標の達成状況でございます。縦軸が何%達成したかという図でございます。下が通年で、1年間でどのくらい達成したかというものでございます。緑がトランス、赤がコンデンサで、それぞれ事業所ごとの達成率を書いております。
    上のグラフが前半でございますが、このとき北九州でVTRにやや不具合がございまして、改造をしたものですから、北九州で達成率がやや低いという状況がございます。このため、その回復策などをかなり検討いたしまして実施した結果ですが、下のグラフ、通年で見ますと、北九州でもかなり100%まで回復したというところでございます。他の事業所についても、改善をしております。
    ただ、残念ながら豊田事業所におきましては、1月と2月、体制の見直しのために自主的に施設を停止いたしましたので、そこのところが大きく減ってしまったというのが、昨年度の結果でございます。
    このような形で逐次目標の達成状況を見直しながら、措置を行っているところでございます。
    以下、2ページ目が環境マネジメントシステム、ISOのPDCAの取組でございます。内容は皆さん御承知のようなことでございますけれども、JESCOでは5事業所でそれぞれISOを取得したところでございます。今年度内に全社の統合の認証を取得するという予定で、取組を進めています。
    最後に次の4ページです。これは前回も御説明申し上げました、内部技術評価ということで、5事業所の操業状況、安全管理の状況をチェックしておりますので、これも一つのPDCAの例ということで、お示しさせていただきました。
    2について以上でございます。以下について、ごく簡単に紹介したいと思います。
    2-3が緊急時の対応でございます。2010年6月に全社のトラブル発生時の連絡公表のルールというのを定めました。それまでは事業所ごとにございましたが、全社として定めております。表でごらんいただきますように、左の区分のI、II、IIIは対象となります事象の重大性に応じて、重大なものからI、II、IIIとしております。それぞれのレベルについて、いつ通報するのか、どういう形で通報するのかというルールを定めまして、統一的に運用しているところでございます。
    その裏をごらんいただきたいと思います。このルールをベースにいたしまして、各事業所でさまざま緊急時の対応マニュアルをつくって進めております。その中で、これは連絡体制でございますけれども、事態が発生しますと、所管の省庁、警察、消防に連絡する。さらに地域住民の方、監視委員会の委員の方などに連絡を行う。それから、JESCO内部でございますけれども、検討委員会あるいは各部会の方に御連絡するというような体系をとって進めているものでございます。これは大阪事業所の例でございます。
    以下のページはその実績の例でございますので、またごらんいただきたいと存じます。
    最後に参考資料2-4であります。これは、作業に従事している方に対する教育訓練ですとか、現場での知恵を吸い上げる取組というものでまとめたものです。1ページでありますように、教育研修ということで、年間の計画をつくりまして、さまざまなレベルの教育訓練をしているというものでございます。
    また、ヒヤリハット、リスクアセスメント、改善提案というボトムアップで取り組むということも、各事業所で進めております。また表彰制度なども、モチベーションの向上ということで進めているところでございます。
    一例でありますが次のページで、「運転会社による小集団活動の取組」ということで、大阪事業所のこれは通称「モリモリ活動」といっておりますけれども、3年ぐらいにわたりまして取り組んでいるものでございます。これは運転会社の中で班ごとに小集団で改善アイディアを話し合って、実際に自主的に取り組んでいて、その結果を取りまとめていこうという活動でございます。この結果、非常に職場が明るくなったという評価を、従業員の方からもいただいているところでございます。
    以下はデータでございまして、この教育訓練の一覧表と実際に昨年度行いました訓練の、それぞれ5事業所の内容、最後のページではヒヤリハットに関する取組の結果といたしまして、どれぐらいのヒヤリハットの件数が、昨年度報告されたかということを参考につけさせていただいております。説明につきまして、以上でございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。それでは、補足説明ということでございましたが、何か特段の御質問、御意見があれば、お伺いしておきたいと思います。
  • 本多委員 本多です。余り時間がないと思いますので、手短に資料に沿って御質問いたします。参考資料2-1にいろいろ書いていただいてますけれども、それぞれがどのくらいの効果があって、どれぐらいの費用、あるいは時間がかかっているというのが、大事です。こういうのを議論するときには、例えば1年間に何台とかそういう大ざっぱな指標ではなくて、パフォーマンスのわかる中間指標のようなものを出していただく必要があります。
    例えば、作業室内の空気中のPCB濃度が上がっているから、いろんなことが起きているという大事な指摘がございましたけれども、これは予定がどれぐらいで、それに対して実績はどうだというのが、多分5事業所、それぞれ違うと思いますが、そういうのに基づいてそれぞれがどうなったかが重要で、恐らく、いろいろな対策が打たれたと思いますけれども、まずは、そうしたものがどうして上がったのかをなぜ、なぜと原因を深堀りすることが大切だ思います。これは製造業では有名な話があって、なぜを10回繰り返して、本当の原因にたどり着けという話があります。そういうことをやった結果がここにあらわれてきて、これでどのくらいの処理台数の向上につながった、あるいは中間指標の改善につながったというのを示していただきたかったのです。
    参考資料2-2でいうと、これも同じ視点ですけれども、最初のページでPDCAをこうやって回しているという話でしたが、台数は目標というよりも結果です。この台数を設定するための、ラインごとの指標、例えば脱塩素効率、あるいは、排水中のPCB濃度がどうなっているかという目標と実績があると思いますので、それがどうなっているか、予定通りでなかったならば、なぜそうなったかというのを計画で立てて、それを評価し、改善していくのが、本来のPDCAだと思います。これはPDCAというよりも、PLANが抜けて、DOから始まっているような感じがします。
    そういう意味で、参考資料2-4で運転会社に対して、モチベーションも含めていろんなことをされていて、なかなか難しいことを一生懸命やっておられるのはよくわかりますが、例えば運転会社の改善表彰というのがありましたけれども、むしろパテントや実用新案などを取ることを奨励していくほうが、モチベーションの向上につながるのではないかと思いまので、そういうことも考えてもいいと思います。いずれにしても、もう少し個別、かつ総合的なお話を聞きたかったのですが、いかがでしょうか。
  • 永田座長 何かコメントはありますか。
  • JESCO 本日どのような形で御説明しようかというところで、さまざまな活動で努力はしているんですけれども、それを整理して短時間で御説明するということでこのような資料にさせていただいたところです。実際の活動といたしましては、今、委員から御指摘があったようなことを心がけて取り組んでいるということを、総論的に申し上げさせていただきたいと存じます。
  • 永田座長 よろしいですか。
  • 本多委員 後で構いませんので見せてください。
  • 廣木産業廃棄物課長 今の点に関して言いますと、参考資料2-1の1ページ目は概要ですけれども、次のところで示してあるのはかなり細かく書いてある。そういうふうなものは出せると思いますが、いずれにせよ、そこはおのずと限度ある話だと思いますので、少なくともそういうことは、ある程度JESCOにおいてはきちんとやっていると思っています。我々もそういうふうな指導をしていきたいと思っています。
  • 中杉東京環境安全委員会委員長 参考資料2-1について、これは前回私が申し上げたことも絡んでいるのかなと思うんですが、私が前回申し上げた趣旨は、いろんなステップがあって、どこがボトルネックなのかというところを見たいと。特に東京事業所について、そのネックを全部解消したら、どこまで行けるのかというところを見たかったんです。そういう意味でいくと、それぞれの流れのところで細かくやっておられるけれども、全体としてどこがネックであって、そこがどういうフローになっているのか。全部の流れの中で一番細いところがとまるわけですね。そういうところはどういう問題があって、それを解消していくと次に遅いところが出てきて、それを解消していくとという話になる。全部解消したときにどのぐらいになるのかなというのを少し見たかったので、ステップごとにというようなことで申し上げたつもりではあるんです。
    そういう意味では、先ほど本多委員が言われた話と若干違うのかもしれませんけれども、そういう形の見方をして、多分後ろのほうの計画は、そういう形で出てくるんだろうと思います。そこら辺を説明いただくと、後ろのほうの提案というのが、なるほどという理解ができるのかなというふうにも思うんですけれども。
  • JESCO 事業所ごとに主にボトルネックと考えられているものをお答え申し上げます。
    北九州事業所のトランスに関していいますと、作業環境を守るために予備洗浄をするところが長時間化しているというのが、ボトルネックと考えられます。コンデンサに関してはグローブボックス、遮蔽された中で作業をする工程がございますけれども、その作業時間の問題。コンデンサの処理方法が2種類ございますけれども、VTRで処理する際の時間といったものがございます。
    液処理につきましては、おかげさまで特にボトルネックと考えられているところはございません。
    豊田事業所に関しては、トランスについて同様に予備洗浄の長時間化が、ボトルネックと考えられています。コンデンサにつきましては、豊田事業所は主として自動的に処理するラインに収まらないような機器の存在というのが一つボトルネックと考えられます。
    豊田事業所におきましても、液処理は特にボトルネックになっているところはないかと思われます。もう一つ、洗浄のところで含浸物、紙、木とか特にコンデンサで、こういったものの洗浄が長時間かかっているというのが一つあります。
    東京事業所については。トランスの予備洗浄とかコンデンサ、ここも自動ラインに収まらない機器の存在とか、グローブボックスでの間接作業の問題がございます。東京事業所だけ、液処理の原理がほかの事業所と違っておりますが、アルミ等の無機物を水熱酸化槽に入れた場合の配管の閉塞で、これまで随分停止等があったというのが、液処理のボトルネックになっています。
    大阪事業所に関して申しますと、予備洗浄、大型機の解体、コンデンサの処理、真空加熱分離、VTRにおいて、絶縁紙のかわりにポリプロピレンを使ったコンデンサの処理に関して時間がかかっているということです。液処理は大阪事業所もございません。
    北海道事業所に関しては、トランス予備洗浄の問題と、コンデンサのグローブボックスでの間接作業といったものがございます。液処理については、特にございません。以上でございます。
  • 中杉東京環境安全委員会委員長 きょう資料4で前回の資料を修正したものを御説明いただきました。大型トランス、小型トランス、車載型トランス、それぞれについて分けて目標が掲げられている。目標それぞれについて、どこがボトルネックなのか。例えば北九州だと、予備洗浄の時間短縮をするということをやられたので、この問題はもう解消した。だから当初の能力どおりにいくということになったのかどうかというような説明をしていただくと、これが年度までにどこまでが終わるのか、終わらないのかがわかってくるんだろうと思うんです。
    これまでの遅れの部分とこれからの遅れの部分と、それがどのくらいの見通しで、こういうふうになってくるのかというのが見える形で示していただけると、ありがたい、理解しやすいという形で、前回はお願いしたつもりではいたんですが、その後、十分コミュニケーションを図らなかったので、こちらも責任があります。
  • 永田座長 よろしいでしょうか。整理の方法で考えさせていただいて、資料の説明はまた必要かどうかという判断をさせていただきます。資料のつくり方は、もう一度中杉生がおっしゃるような形に修正させていただきます。いいですか。
  • 中杉東京環境安全委員会委員長 何でこんな細かいことを言っているかというと、最終的には地元に理解をいただくためには、そういうものが必要だと思うんです。場所によって、事業所によって、でこぼこが必ず出る。なぜそんなにでこぼこが出るか。それはなぜかということをわかりやすく説明する資料がどうしても必要になるので、これからつくっていただくのでも結構だと思います。つくっていただいたほうが、最終的に地元に理解を得るためにはぜひとも必要なものだろうというふうに考えます。
  • 永田座長 わかりました。福永先生。
  • 福永大阪監視会議座長 大阪の福永です。前回の会議で、緊急時対応などのリスクコミュニケーションについて、マニュアルなどをつくっていただけたらと申し上げて、幾つか環境マネジメントシステムによる継続的改善とか緊急時対応とか、あるいは教育訓練、現場改善の取組ということで整理していただいて、これはこれでありがとうございます。
    これをより一層監視委員会あるいは市民、行政も出席する場で、何回も論議していただいて、より豊かなものにしていただきたいということです。そうでないとJESCOさんだけの内部資料みたいなことになったのでは、必ずしも成果があらわれないと思います。緊急時対応でも厳しければいいということにはなりません。やはりみんながリスクコミュニケーション、安全安心評価について、共有するということで、稼働効率も上がるだろうと思いますので、その辺をひとつよろしくお願いしたいと思います。
    もう一つ、ヒヤリハットについても、この解析をよくしていただきたい。ヒヤリハットの数が少なくなったらよいという、これは大阪の監視委員会でも論議して、毎月のものが提示されて少なくなったり多くなったりしたときのことをよく話しするんですが、やはり各事業所及び会社全体としてよく解析していただきたい。少なくなったらそれは事故が減っているということもありますけれども、やはり緊張感がなくなってきたというおそれもあるわけですから、設備上の問題か、あるいは、ヒューマンな場合か、よく解析してヒヤリハットが本当の事故防止につながるようにお願いしたいと思います。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。
    補足説明ということで、資料のほうを出させていただきましたが、この件についてはとりあえずここで一たん打ち切らせていただいて、また最後にまとめての御意見をちょうだいしますので、そのときにこれに関連することがありましたら、御発言いただければと思います。

議題(2)高圧トランス・コンデンサ等の処理推進策について

  • 永田座長 議題の二つ目ということで、「高圧トランス・コンデンサ等の処理推進策について」に移ります。前回までの議論を踏まえて、事務局で高圧トランス・コンデンサ等の処理推進策を取りまとめております。資料2でそれを説明していただいた後、JESCOのほうから具体的な促進策について、試案ということになっておりますが、それも提出いただいておりますので、それについてまた御説明を加えていただくという形で議論を深めたいと思います。どうぞ。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 資料2をごらんください。「高圧トランス・コンデンサ等の処理推進策の基本的な方向性について」と書いてあるものでございます。これは前回までの議論を踏まえまして、処理推進策として有効と考えられる施策について、こちらでまとめさせていただきました。
    ただ、個別対策については、関係者の理解を得ながら導入を図る必要があるということで、留意点も書かせていただいています。その次の段落の「高圧トランス・コンデンサ等の」というところでございますが、ここはPCB特別措置法に定めるところにより、保管事業者は法律に基づく期限内に処理をしなければならないということ。それから国は、JESCOを活用し、拠点的広域処理施設、これはJESCOのことですが、の整備を行い、都道府県等と協力して広域的な処理体制の確保を図る。
    また、都道府県等は保管事業者に対する指導、広域的施設への計画的搬入の方針について、処理計画を定め保管事業者及び収集運搬事業者の指導に努めていく。こういったことは、国の基本計画で定められているところでございます。今後は各主体の責務、役割を踏まえて、特に保管事業者とJESCOとの協力を強化しつつ、収集運搬事業者、国、地方自治体等の関係者がさらに積極的に協力することが必要であるということで、前段で法律とか基本計画に定められていることを改めて少し確認をさせていただいた上で、以下JESCOを中心として、今後取り組むべきことについて整理するということになってございます。
    括弧で「(基本的な考え方)」と書いてあるところです。「処理を促進し、可能な限り早期に処理を終わらせることが強く求められているが、そのために環境安全対策をないがしろにすることがあってはならない」ということも、前回非常に強い御意見をいただいているところでございます。
    環境・安全対策については、従前よりJESCOで最大限取り組んできておりますが、操業を行うには地域の理解が不可欠であるというところで、JESCOは今後も安全の確保を大原則として、操業を行うことが必要であるということです。
    その上で、三つ目の○ですが、JESCOにおいて律速工程の改善とか施設改造といったことを促進するための対策を可能な限り実施していくことが必要である。その上で、施設立地自治体の理解を前提に、従来の枠組みを超えてJESCO5事業所の処理施設を最大限活用し、事業所連携による処理の効率化を進める。これは後で出てきますが、またエリアを越えた処理といったことも意識して書いてございます。
    その後の五つ目の○、無害化処理認定施設というものは、JESCO操業開始時には存在していませんでした。平成22年から微量PCBの関係で処理実績を積んでおりますので、環境省における焼却実証試験を踏まえつつ、その活用も検討していきたいということです。
    最後の○ですが、これまで処理が順調に進んでいない漏えい機器、超大型機器といったものが、実はございます。これは議題の3でこの後、改めて別の資料で御説明申し上げますが、こういったものについては、保管現場での抜油、JESCO施設の連携による処理の推進を検討していくということでございます。
    「1.JESCOにおける操業の改善、施設改造等(1)処理における律速工程の改善、効率化」というところでございます。処理律速工程の改善については、外部の知見や経験を活用しつつ、今後も不断の努力を続けていくことが必要である。
    また、JESCOにおける処理技術の改良のための調査検討を一層進めることが必要である。その際、従業員の作業性向上にも配慮しながら検討を進めることが重要である」。
    (2)が「処理施設の改造」です。定期点検は約1カ月ぐらいかかるんですが、今までも小規模なものについては、こういった間にやってきておりますが、今後もその効果を見極めつつ、積極的な改造を行うことを検討する。
    その上で中規模・大規模な改造といったものは、改造している間、施設をとめることになるので、処理が滞るということに留意しながら、効果が大きいものについては実施を検討するということです。
    (3)その他ということで、「従業員のモチベーション向上」についても御意見を多数いただいたところです。従業員のモチベーションを向上するということは、確実、迅速な作業を行う上で重要である。また、これは定着率、長く働いていただくことの向上にもつながるというところです。
    2番目の○ですが、従来、従業員の安全確保には万全を期しているところでございますが、モチベーションを上げる観点からも、引き続き重視していくことが必要である。その際、従業員の安全を確保することは、周辺の安全対策にも資するものであるとの認識を持って行うことが重要であろうと。
    3番目の○ですが、PCB処理という我が国の廃棄物処理分野における、極めて大きな課題を解消するための職責を担っているという自負心とか、世界でもトップレベルの安全対策を敷いている施設で働いていることの理解も重要である。その際、経営陣と従業員のコミュニケーションの向上を図ることも重要であるとしております。
    その後、「トラブル事故対策」です。トラブル・漏えい事故等の対策については、引き続きヒヤリハット等の情報の収集活用、作業員の教育訓練等により未然防止に努めるとともに、情報共有を徹底し、地域への説明を十分行うことが必要であるとしています。
    めくっていただきまして「保管事業者とのコミュニケーションの改善」ということで、JESCOは契約の仕組み処理の状況、処理困難物の問題等について保管事業者の理解を得られるよう、丁寧な説明に努める必要がある。
    「(災害対策)」、今までも緊急時に対応できるハード・ソフトの体制を整備してきているところでございますが、大津波等の特別事態による影響等も検討し、災害への備えを十分図ることが必要であるとしております。
    「2 全国的な視点に立った5事業所施設の有効利用」ということで、現在は、各事業所ごとにエリアを決めてそのエリア内で処理を行ってきているところでございますが、事業所では処理に困難な条件があるというところが判明して、一方で、ほかの事業所では処理できる機器が存在してきたということがわかってきております。
    このため処理に困難な条件がある機器については、関係者の理解と協力を得て、円滑に処理する能力のある別の事業所も活用して処理をするということも検討する。
    3番目の〇ですが、二次廃棄物の処理についても、同じように各事業者の処理能力を活用するということを検討すると。括弧で書いてございますのは、例えば北九州市事業所、大阪事業所の真空加熱分離、VTRと呼んでいますが、こういった処理施設に伴う粉末活性炭の処理といったものが考えられるところです。
    最後の○が、別の事業所で処理する場合には、受け入れ先の事業所の処理に大きな影響を与えないように、留意しながら検討をしていくということでございます。
    「3 二次廃棄物処理の無害化処理認定施設の活用」ということでございます。活性炭、防護服等の二次廃棄物については、既に相当量が発生してございます。事業所内で保管しておりますが、これらをJESCOで処理してしまうと、本来処理すべき高圧トランス・コンデンサの処理が停滞してしまうこういったことも懸念されるところでございますので、JESCOは高濃度のPCB廃棄物を優先して処理するようにしていくということで、その下の○ですが、二次廃棄物のうち低濃度のものについては、環境省が行っている実証試験の結果を踏まえつつ、無害化処理認定施設においての処理することを検討するということでございます。
    最後のページです。「4 内部構成部材(紙、木等)処理の無害化処理認定施設の活用」ということで、含浸物は、一定の濃度まで洗浄すると、それ以上の濃度低減に極めて長時間・多大な労力を要し、処理のペース低下要因になっている。このため、一定濃度まで洗浄した後、無害化処理認定施設における処理というものを検討する。
    さらに、トランスのコアなどに含まれる非含浸物、金属とか紙が一体になっているようなものです。こういったものも一定濃度まで洗浄した後、同様に処理することを検討する。ただし、この範囲については、環境省が行っている実証試験の結果を踏まえて検討する。
    「5 機器の搬入等」というところですが、保管事業者は、自治体、JESCO等と連絡調整を踏まえて、安全確実な機器の搬出を確実に進める。
    その上でJESCO施設においては、処理ラインごとに機器が均等に搬入されないと稼働しないラインが生じてしまう。こういったことで、非効率な場合が出てきますので、保管事業者は処理ラインごと、バランスよく機器が搬入されるよう、JESCOと協力し、計画的な搬入に取り組む。
    また、廃棄物処理施設における廃棄物の保管量が14日間分という点や処理期間については前回も議論があったところでございますが、この規定についてはPCBが集積することのリスクや地域の実情を踏まえつつ、引き続き慎重に検討を進めるということです。
    ※で書いてございます、漏えい機器、超大型機器については、次の議題(3)でまた検討させていただきたいと思っております。
    我々のほうで基本的な方向性ということでまとめさせていただいて、また御意見をいただければと思います。この資料2の基本的な方向性を踏まえて、JESCOのほうで具体的な促進策ということで試案ということでございますが、まとめていただいているので説明していただきます。
  • JESCO それでは資料3-1、3-2、3-3につきまして、順次御説明を申し上げます。
    資料3-1ですが、これは対策の前提になります、前回の御議論でも御指摘がありました、各事業所における処理の得意、不得意というものを一覧に整理したものでございます。
    まず、得意なほうからごらんいただきたいと思います。得意という言葉が前回の議論でございましたので、使っていますけれども、円滑に処理することに特段の問題はない、苦手にはしていないといった趣旨で御理解いただければと存じます。
    各事業所ごとに御説明申し上げます。北九州の事業所では、車載トランスにつきましては、今のところ順調に進んでいるところでございます。
    コンデンサにつきましては、真空加熱分離処理でVTRとしておりますが、これは2種類ある真空加熱分離処理の中で高温400℃ぐらいまで上げて処理するVTRでございます。これを用いておりますので洗浄の工程がないといったことで、豊田で問題になっておりますような特殊な形状のコンデンサであっても、特段処理に問題はないといった特徴がございます。
    豊田の事業所でございますが、これはポリプロピレンのコンデンサにつきましては、大阪で爆発するという問題がございましたけれども、豊田の場合は洗浄で処理いたしますので、特段の支障は生じないというものでございます。
    東京の事業所でありますが、ほかの事業所と違うのは水熱酸化分解方式という液処理を活用しておりますので、「二次廃棄物」についてほかの事業所でなかなか処理できないような、例えば、粉末の活性炭などをこちらで処理するポテンシャルがあります。
    大阪も北九州と同じように、真空加熱分離処理、VTRを用いておりますので、特殊な形状のコンデンサなどでも、問題なく処理ができるという特徴がございます。
    最後に北海道でありますが、北海道は豊田と同様のプロセスをとっておりますので、逆に、PPコンデンサにつきましてVTRでは問題が出ますけれども、洗浄ですので問題は出ないという特徴がございます。
    次に不得意なほうを御説明いたしますが、この不得意という言葉も内容としては、今のままの施設では困難でできないというレベルのものでございます。それから処理の速度がなかなか上がらないというレベルの問題もございます。さらには、通常の処理では問題ないのですが、配管が閉塞してまとめて洗浄しなければいけないということで、プロセスを進めるのに問題になるといったレベルの問題もあるものでございます。
    以下、事業所ごとに申し上げます。北九州については、二次廃棄物の欄に書いておりますけれども、二次廃棄物には処理が困難なものや処理効率低下の要因となるものがあるということで、これにつきましては、5事業所横並びで同じ問題を抱えているものでございます。
    その下に3点書いておりますが、いずれもVTRから出てくる廃棄物でございまして、粉末の廃活性炭、アルカリの洗浄廃液、タール、木酸液、こういったものについて、なかなか処理に苦慮するところでございます。
    次に豊田事業所ですが、車載トランスについて非常に洗浄に時間がかかるということで、ネックになっております。また特殊形状のコンデンサがございまして、現行の施設では、非常に作業環境の悪化をもたらすために、今のところ手がついていないというものがございます。
    含浸物につきましては、洗浄に非常に時間がかかって卒業できないもので、繰り返して洗うというものが出ているという問題でございます。
    東京については、トランスについて、洗浄方法の変更など工夫しておりますけれども、一方、使った洗浄液の処理、循環というあたりで処理効率の低下が生じております。
    それから東京につきましても、寸法外の大型コンデンサというものがございまして、これは全くできないということではないのですが、かなり作業環境の問題から制約がかかっているというところでございます。
    含浸物について、先ほど申し上げたようにスラリーが詰まるという問題がございます。詰まった場合には、清掃しなければいけないということが生じております。
    大阪の事業所については、VTRにおいてPPコンデンサの処理に非常に効率が上がらないという問題がございます。二次廃棄物については北九州と同じで、VTRから出ます廃棄物の処理について課題があるという状況でございます。
    北海道については、コンデンサのうち本日追加で修正、御説明させていただきました大型のコンデンサについて、現行の施設では作業環境の問題から難しいという状況にございます。
    含浸物についても、効率向上の取組をしておりますけれども、考えられる対策を一巡いたしましたので、これ以上の効率向上に限界があるという状況でございます。
    以上が得意、不得意ということで、一覧的に整理をしたものでございます。
    次に資料3-2です。これは環境省から先ほど御説明がありました、基本的な方向性を見て、その中でJESCOとして考えられるというものを、今の段階での一つの試案としてまとめさせていただいたところでございます。当然ながら、これを行いますには施設の受け入れの自治体の方、それ以外の関係者に御了解、御理解をいただく必要がございますが、今のところは、JESCOとしてつくったという内容として御承知おきいただければというふうに存じます
    1ページ目、ページは2を振っておりますが、「考えられる処理促進策(試案)の概要」ということで、大きく3項目を挙げております。
    項目といたしまして1番が、設備の改造、操業の改善ということで、主にJESCO内部で対応できる取組でございます。
    2番が他事業所の得意能力の活用ということで、一部ほかの事業所の余力、それから得意なところを活用して、より効率的な処理ができないかという案であります。
    3番目が二次廃棄物・含浸物の処理促進ということで、ほかの事業所の活用、あるいは無害化施設などを使ってより効率的な処理ができないかという取組でございます。
    以下、個別の項目を順次御説明申し上げます。まず、改造の関係ですが、3ページ目が東京事業所の大改造という案です。東京事業所におきましては、大型トランス等の処理に時間を要するというところが、一番大きな課題です。これに対しての方策の案でございますけれども、東京事業所の中には通常のトランス・コンデンサという高濃度のものを処理するという設備のほかに、柱上トランスの絶縁油、これは低濃度のPCBでありますが、これを処理するラインがございます。この柱上トランスについては、今後、早い時期に予定の処理が完了する見込みでございます。このため案といたしまして、この柱上トランスの処理が終わったところを使いまして、高濃度の処理のための設備を設置して、大型トランスとか車載トランス、あるいはコンデンサの処理能力を増強させるという案が考えられるところであります。
    この効果でございますが、設計をかなり詰めていかないと詳細なところは固められないところでございますけれども、非常にラフに現在検討しているところでは、大型トランスでは、現在15台毎年できるものが、40台まで伸ばせるのではないか。車載トランスについても、資料のような数字で伸ばせるのでないかというような想定を置いているところでございます。
    次に各事業所の中規模改造ですが、これについては今後の状況変化ということで、各事業所とも小型トランスの処理ラインが比較的早期に終わる予定でありますので、このスペースを活用した改造ができないかという案でございます。事業所ごとに書いてございますが、大阪事業所では、この小型トランスの処理ラインを使って、大型トランスの一部を平成25年ぐらいからできないかという構想であります。
    豊田事業所につきましては二つございまして、前段は車載トランスですけれども、車載トランスについても、今後空きがでてくるスペースなどを活用して、より効率のよい工程の改造ということを行いまして、処理量を増加させるという案がございます。
    また小型トランスのラインを使いまして、今はできないでおります、特殊形状のコンデンサをやるという案が一つ考えられるところでございます。
    次のページは続きの資料でございます。北海道の事業所でありますが、小型トランスの後に、先ほど御説明申し上げました、現在、手がついていない大型のコンデンサをできるような改造をして、平成28年度ぐらいから取り組むという案が考えられるところです。
    中規模の改造は以上ですが、一方、北九州事業所については、一番早くから始まった事業所でございまして、これまでも能力増強の対策など、かなり考えられるものを講じてきておりまして、さらに対策という内容がなかなか難しい状況でございます。
    また、一部のラインはやや早く終わるところがあるんですけれども、残ったラインとの時間差は非常に短いものですから、そこを改造してプラスアルファの能力を出して意味のある短縮をするということは、なかなか難しい状況にございます。このため、今の知恵では効果の上がる改造は、やや難しいというという状況でございます。
    以上まとめまして、それぞれの効果でありますけれども、大阪、豊田、北海道の事業所につきまして、処理能力が増強される、あるいは今できないものについて、このような台数でできるようになるというような想定を置いているところでございます。
    さらに操業改善等の取組でございますが、以上の設備改造に加えまして、これまでも行ってまいりました小規模な設備改造、あるいは操業上のいろんな工夫ということは、これも今後とも継続的に進めてまいりたいと思います。数字として現段階で挙げるのはなかなか難しいところがございますけれども、このような努力は、JESCOとして継続してまいりたいと存じます。
    以上が、JESCO内部での取組ということで、先ほどの1番に当たるものです。
    次に7ページで一つ図を示していますが、これはこれから説明する何枚かのスライドを取りまとめたものでございまして、JESCOのほかの事業所あるいは無害化処理認定施設を利用して、どういった処理促進ができるかというものを取りまとめたものでございます。各エリアで不得意なものにつきまして、ほかの施設を活用してできないかということ。あるいは無害化処理施設を使って外部で処理できないかということで、案を考えたものでございます。
    その際に、環境省の基本的な考え方にございますように、受け入れる側がございますので、受け入れ先の事業者の処理に大きな影響を与えないということで、これは考えておりました。具体的に申しますと、それぞれのエリアで自地域のものが終わるのにこれだけかかるという年限がございますので、それを超えて、ほかの事業所のものを受け入れるということは、大きな影響になりますので、そういうことはしない。各事業所のエリアで、現在自地域のものが終わるという時間の範囲の中で、空いた余力でほかの事業所のものを受け入れていただけないかということで、今回整理したものでございます。
    順次、御説明申し上げますが、まず車載トランスの状況については、御説明したとおりでございまして、洗浄に非常に時間がかかるという特性がございます。また、全国的に分布に偏りがありまして、そのために処理の終了時期というのは、かなりばらばらになっています。特に豊田の事業所のエリアに、数が集中しているという状況でございます。このため、先ほど御説明した。豊田事業所の改造を行って増強しましても、なお豊田事業所単独では、平成40年度まで処理がかかってしまうという見込みでございます。
    これについて、今想定できる案として、二つここに載せさせていただきました。案の1は、先ほどの基本的な考え方の中にもございましたけれども、保管現場での対策とJESCOとの連携というものでございます。内容は大量に保管されている保管場所におきまして、現場で抜油いたしまして、洗浄溶剤につけるといった措置を行いますと、その後の処理がはかどるところがございますので、こういった形で処理の効率化を図るというのが、案1でございます。
    案の2といたしましては、豊田事業エリアの車載トランスの一部につきまして、北海道については、自地域の車載トランスがかなり時間がかかりますので、これを除きます豊田を含めて4事業所で、一部分担していただいて処理するということが一つの考えられる案でございます。
    具体的には、北九州、大阪の両事業所におきましては、今の車載トランスの収容ラインの余力で一定部分を分担できないか。東京事業所におきましては、施設の大改造の中で車載トランスの処理能力についても増強が可能でありますので、その範囲での処理の分担をお願いできないかというものでございます。
    この効果といたしましては、案1の現場抜油などの取組については、なお実証試験などで定量的に把握する必要がございますので、数字として置くことはまだ難しい段階でございます。一方、案2のほうで分担して処理するということにつきましては、それぞれの余力を使いますので、現在、車載トランスが何台できているかというところで、このぐらいの台数ができるのではないかということが想定できるところでございます。
    次に特殊形状コンデンサ・ポリプロピレンのコンデンサ、PPコンデンサの処理でございます。これについては既に御説明したところでございますので、ここは省略させていただきます。
    方策でございますが、北九州、それから大阪の事業所では、VTRを使いまして一定サイズ以下のコンデンサは処理ができますので、豊田の事業エリアの特殊コンデンサにつきまして、一部を北九州、大阪の事業所で処理できないかという案でございます。
    一方、大阪事業所で問題になりますポリプロピレンのコンデンサにつきましては、豊田事業所の洗浄過程で、スムーズに処理することができますので、そちらで処理をするということが一つの案でございます。
    これによりまして、効果でございますが、各事業所の現在の処理能力を活用いたしますので、それを勘案しますと、そこに書きましたような台数が、年々移動して受け入れることができるのではないかと、見込むことができるところでございます。
    次に、二次廃棄物の粉末廃活性炭等の処理促進です。これはVTRということで北九州、大阪で課題になっているものでございます。方策といたしましては、東京事業所の水熱分解を使うということが、ひとつ考えられますので、実はこの秋から水熱分解で問題なく処理できるかということの実験を開始したところでございます。今のところ、良好な結果が得られています。さらにここを詰めまして、水熱分解施設を活用した処理を考えてまいりたいという内容でございます。
    効果につきましては、これによって、VTR工程の効率がよくなるということが見込まれますので、また、実験の具合などでどの程度できるかということを、鋭意詰めてまいりたいという段階でございます。
    次の11ページでございますが、今のが粉末活性炭のその他の二次廃棄物、それから、含浸物の処理促進ということでございます。課題につきましては、既に御説明したところでありますので、省略させていただきます。
    方策といたしまして、平成21年度、環境省で進めておられます、微量の焼却の実証試験でございますけれども、これにつきまして、この中で、現在一定濃度以下のJESCOの二次廃棄物及び含浸物というものも、実験の対象としてやっていただいているところでございます。これまでのところ、良好な結果が得られております。このため、今後、環境省のほうで、無害化処理の認定制度を進展するということに合わせて、その範囲でJESCOの二次廃棄物や含浸物を外部で処理をしていくという方策が考えられるところでございます。
    効果につきましても、環境省の認定制度の具合によりますので、それに応じて考えてまいりたいというところでございます。
    以上、個別の対策の考えられる内容ということで、JESCOで整理したものが資料3-2でございます。
    次に資料3-3でございます。これは資料3-2で個別に考えた対策を、実際に各事業エリアに落としたときに、どのように処理期間がなるかということを、これも試案のベースでございますけれども、考えたものでございます。本日は冒頭で御説明しました、現在の処理能力でプラスの対策がなくて進んだ場合ということをベースにいたしまして、これらの対策を行ったときに、どこまでの処理になるかということでございますので、かなり仮定の条件を入れて行ったものです。
    二つほど留意点を申し上げたいと思います。一つは、不確定な要因や今後の処理ペースの低下要因というものもございますので、実際の処理完了には、ここで挙げました数字に対して、幾らかの余裕の期間を見ておく必要があるのではないかという点でございます。もう一点につきましては、繰り返してございますけれども、対策の実施には関係者の皆様の御理解が必要でございますので、ここではまだ御了解を得たというものではなくて、一つの試案であるということでお取り扱いいただきたいと存じます。
    以下、各事業エリアについて、まとめたものでございますけれども、北九州の事業所、事業エリアにつきましては、自地域の処理に30年度までかかるわけでございますけれども、これについて申し上げたように、これをさらに短縮する方策が難しいというのが現状でございます。
    一方、30年度までの期間の中で、幾つか余力が出るところがございますので、その中でほかの事業エリアのものを、一部分担できないかという案でございます。具体的には、豊田事業エリアの車載トランス、豊田事業エリアの特殊形状のコンデンサの一部でございます。このため、余力の範囲でございますので、全体の処理期間としては、自地域のものの期間に収めるということで、おおむね平成30年度までに全体の処理が完了するという絵が、ひとつかけるところでございます。
    次に、豊田の事業所であります。豊田の事業所につきましては、車載トランスにつきましては、まずは自分の事業所の中で、よりよい効率の工程に改造するという対策を行います。それから、案1と案2を御紹介いたしましたけれども、案1のほうは、なお数字をつくることは現時点では難しいものですから、ここでは仮に案2を取り上げまして、一部、三つの事業所で分担していただくということで、数字を考えております。
    特殊形状のコンデンサですけれども、まずは自分の事業所を改造して処理を進める。それでもかなりの年月がかかりますので、一部を北九州、大阪の事業所に分担して処理できないかというものでございます。
    一方、大阪事業エリアのポリプロピレンコンデンサを、豊田で処理するという案でございます。これによりまして処理の期間の目処としては、おおむね平成30年度までに、全体が終わるという絵でございます。
    18年の短縮と書いてございますけれども、これは前回の、現状のままのペースのときの数字に比較しまして、18年間短縮になるということで数字を書いたものでございます。
    ひっくり返しまして、東京事業所でございます。東京事業所では柱上トランスの処理が終わった後に、高濃度物の処理のために、かなり大がかりな改造をするという案でございます。これによりまして、大型トランスの処理がかなり短縮されることになります。一方、その範囲でありますけれども、豊田事業エリアでの車載トランスの一部の処理の分担をお願いできないかという内容でございます。
    この結果、処理全体の目処といたしましては、平成35年度まで、前回の図に比べますと、14年間の短縮になるという想定でございます。
    それから、大阪事業所では、大型トランスにつきまして、一部の改造で対応する。それから車載トランス、豊田事業所の一部を分担する。またコンデンサにつきましては、PPコンデンサを豊田事業所で分担いたしまして、一方、特殊形状の豊田のコンデンサを一部大阪で行うという、交換的な処理でございます。
    この結果、処理期間の全体としては、おおむね平成30年度までかかるという見込みになりまして、前回に比べまして、4年間短縮されるという内容でございます。
    最後に北海道事業所であります。現在のところ、大型トランスについて、今の施設では難しいという問題がございますので、これについても施設改造で対応いたしまして、この結果、できなかった大型トランスができるようになるというところで、対策を進めるというものでございます。この結果、処理期間の目処といたしましては、前回と同じ平成35年度まででございますけれども、追加的な対策を施した上でこの年次になるというものでございます。
    資料がたくさんとなりましたけれども、説明は以上でございますので、よろしくお願いいたします。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。ただいま説明のありました資料2、資料3の関係で御意見等がありましたら、また札を立てていただければと思います。
  • 田中委員 資料2の基本的な方向性について、触れたいと思います。特に4ページ目の4番目に「内部構成部材処理の無害化処理認定施設の活用」に関連してです。参考資料2-1でも説明がありましたが、操業上の課題として、含浸物の洗浄処理が大きな問題だということで、私もそのように実感しております。時間がかかる、それから洗浄溶剤が非常に多く要る。使用済みの洗浄溶剤の処理の課題ということで、できるだけ抜油した後は、速やかに無害化処理認定施設を活用して効率化を図るべきだと思います。洗浄の回数をできるだけ減らす工夫。
    そのためには無害化認定施設、抜油をした後に含まれているPCBというのは非常にわずかですので、安全に処理できることを確認して、それを活用すべきだと思います。洗浄以外にもふき取りとか工夫をする余地があるのではないかという気がします。
    また、含浸物の無害化処理施設を活用するということでの時間短縮というのは、この中には含まれているのでしょうかというのが質問です。以上です。
  • JESCO 今の御質問にお答えしますと、含浸物を外で処理することについてどのぐらいになるかというのは、先生のお話がありました、どこまで処理して出せるかといったことにかかわってまいりますので、一方の無害化処理認定制度がどのような形になるかということに大きく依存するものですから、現段階での数字というのは、今回の何年までというものには入れておりません。
  • 田中委員 ということは、そういうことを工夫することによって、さらに短縮できる可能性があるということで、理解していいですか。
  • JESCO そうです。定量化できることになりましたら、入れ込んでいつまでということができるようになります。
  • 酒井委員 第1回目で御説明いただいたんだと思うんですが、この検討委員会の全体の検討予定を改めて紹介しておいてほしいということです。すなわちどういうほかの検討課題をいつ検討するのかということでございます。
    きょうの御説明の中で、例えばプラズマ分解処理の活用の方向性、あるいはそこに安定器がどう関係するかといったあたりを横に見せながら、きょうの高圧トランス、あるいはコンデンサのことを考えたほうがいい側面もあるかと認識しています。恐らくそのあたりは、今後の検討の中で議論される予定だと思うんですけれども、改めてそれをいつ、何に関してどう検討するのか、ちょっと紹介しておいていただけませんか。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 まず、高圧トランス・コンデンサということで、前回、今回ということにさせていただいています。第1回目の資料6でお示ししたスケジュールとしては、次回第4回では、まさに今、御指摘のありました安定器を、今後どういう処理体制でやっていくことが必要かといったことの議論をしていきたいと思います。
    その後、今、田中委員のほうからも御指摘があったような、無害化認定施設の範囲をどうしていくのかといった、実証試験の結果を踏まえた検討といったものを、安定器の後にできればと思っています。その後、微量という順番で考えております。
  • 鬼沢委員 重なるかもしれないんですが、無害化処理認定施設で処理をするというのがあちこちに出てくるのですが、無害化処理認定施設の目安というか、見込みというか、どんなふうに進んでいくことを想定されているのかというところが、すごく大切じゃないかと思うので、そのあたりをお聞きしたいのと。
    例えば東京の事業所の大改造をするというのは、この大改造にどのくらいの期間を要するのかというのが、もしおわかりだったら教えてください。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 無害化施設の話は、資料2にも書かせていただきました、実証試験の結果を踏まえて、その範囲を検討させていただきたいと思っております。実証試験は、まだ分析の結果が出ていない段階ですので、年が明けて5回目ぐらいかもしれませんけれども、どういうような範囲でどうやったかというのをお示ししたいと思っています。
    ただ、今でも微量PCB汚染物ということで、一部、既に処理が可能な無害化処理認定施設がございます。それは微量PCBという範囲なので、そこは濃度で区切ってはいないんですけれども、大体数十ppmから高いもので100ppm。それ以上高いものもあると聞いていますけれども、それぐらいのものは既に処理がなされています。これについても環境省の実証試験を実施していて、その結果を踏まえ、無害化処理認定制度を平成21年に整備しております。
    なので今度は、さらにさっきお話のあった、JESCOの二次廃棄物などについても、まさに実証試験をやっているところでございますので、そういったものをちゃんと処理することができるとわかってくるかどうかという結果を、またここの検討を委員会にも出させていただいて、御議論をいただければなと思っております。
  • JESCO 大改造の期間について申し上げます。大改造を行うこととなった場合は、大体準備から建設を含めまして、2年から2年半ぐらいかかることになります。一方で、改造規模がどのくらいになるかということについては、引き続き検討していかなければならないということでございまして、場合によっては短くなる可能性もございます。
  • 川本委員 二つ申し上げます。一つは二次廃棄物の関係でパワーポイントの10枚目にある粉末活性炭等という項目ですけれども、これは、排ガス処理で使った粒状の活性炭とは多分大分異なっていると理解すればよろしいと思います。ここにも書いてありますけれども、タール等の処理に使ったということなので、高濃度のPCBを含んでいて、さらに性状的には、粉末炭という言葉とは大分違って、粘稠な油まみれの粉末物というふうに理解すればよろしいんだろうと思います。そうすると、ハンドリングが粒状炭などに比べると、大分違うんだろうと思うんです。
    高濃度ということで東京で水熱処理をするというシナリオを描いているんですけれども、東京がいろいろな処理の遅れが大きいというところで、これを果たしてどれだけ東京にゆだねることができるのか。その辺の算定が大丈夫なのかというのが気になるところです。
    高濃度でハンドリングが粒状炭などに比べると難しいとすれば、プラズマなどは原理的にはいいんじゃないかと思うんですが、プラズマを想定していない理由については、どんなことがあるんでしょうかというのが質問になります。
    もう一点は、こうやって五つの事業所で得意、不得意ということで補い合うというのが、ここまでの流れになってそれはいいんですけれども、そうすると、全国をPCB廃棄物が輸送されるということになります。物流ということで、何か問題が生じないのか。例えば豊田からどこそこへ持っていくといったときに、豊田に集めてから一括して持っていくのか、あるいは排出事業者がみずから九州なり北海道なりへ持っていくのかという、そういう物流のことに何も触れられておりませんけれども、それについては何かお考えがあるのか。2点についてお尋ねします。
  • JESCO 第一点目の活性炭について申し上げます。先生がおっしゃったように、VTRで出てきたタール、木酢、廃アルカリ等、これらを処理した廃活性炭というのは大体PCBを10~20%含む高粘度のものでございます。お話がございましたように、高粘度のものできっちり水熱で処理できるかどうかということが懸念されましたので、水熱酸化設備、御案内のように高温高圧で有機物を分解するのに非常に性能が高い施設でございますが、一番心配されたのは管路の詰まりでございます。実験させていただいた結果、今のところはきちんとした処理ができるということを確認しております。
    プラズマではなくなぜ水熱を選んだかというと、プラズマで処理した場合には、有機物のように、熱を加えることによってガスが発生するものについては、プラズマは多くの量を処理することが可能ではございません。一方で水熱酸化は比較的余裕がございますので、そこで処理することによって、適切に処理できるのではないか。その際、現在、水熱酸化で問題になっているアルミ片を含む含浸物を外部に出すというのと合わせてやることによって、水熱酸化の能力を十分発揮できるものと考えております。
  • 廣木産業廃棄物課課長 続きまして、事業所間で交換した場合の物流の問題についての御質問でございますけれども、これまで全国5ブロックの処理をする際においても、例えば北海道事業所で処理をする際、福井県ぐらいからも移動するという話でございます。そのときは、事業者負担になっていたということでございます。
    産業廃棄物の処理である以上、原則はそういうことがベースになるんだろうと思いますけれども、いずれにせよ、収集運搬のリスクの問題を解消するにはどうしたらいいかということを念頭に、具体的に今回の措置を実行する場合、どうするかというのは、また引き続き、いろんな御議論をいただきながら検討していくということになろうかというふうに思っております。
    いずれにしても、これまでの収集運搬については、ガイドラインを設けてリスク管理をしていましたので、そこをどう徹底して収集運搬において問題が生じないようにするかということが大事かと思っておりますので、そこは十分留意してやりたいと思っています。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。あとは御質問をいただいたら、その都度という形ですと、時間が大分足りなくなりそうだと思っていますので、いただいた意見を整理した上でお答えいただくように。
    では影山さんのほうからどうぞ。
  • 影山委員 どうもありがとうございます。いろいろな改善策を考えられて、なるべく処理を進められようとしているところを、評価をさせていただきたいと思っております。
    前回PDCAについても、それから高圧的なということをちょっと申し上げましたが、お客様満足度を向上するようなそういう仕組みをつくっていただけるという点についても、大変ありがたく思います。ぜひそういった形でいろいろ改善していただければと思っております。
    今回、いろいろ出されている改善策については、基本的に方向性として処理を進ませる。あるいは、迅速な処理を志向しているということで、方向性としては我々も理解をさせていただきたいと思います。非常に重要なこととして進めるようにやっていただければと思っております。
    その上で、先ほど本多さんからもPDCAについての御指摘がありましたけれども、やはりPDCAはきょう御提示いただいたのは、ほんの結果のところだけでして、先ほど、なぜ、なぜと言いましたけれども、本当に真の原因は何だという、ボトルネックというふうに見なされるものがあって、その先にさらに何かあるのではないか。そういうのを絶えずこういった現場ではやられている。多分やっておられると思うんですけれども、そういったところを、ここで出すというのは、どこまでできるかどうかわかりませんけれど、専門家の先生方もおられますので、そういった場で、ちゃんとチェックしていただくなり、あるいはエッセンスをここに出していただいて、どんな改善活動をやっている、PDCAを回しているのかというところをちょっと御紹介いただいたほうが、そのやっている内容を我々の目で見てできる限りアドバイスもしたいと思いますし、していただければというふうに思います。
    いろいろ改善策についても、優先順位とかを考えてやっていくべきでしょうし、もちろんコストも含めて、いろんな検討がされるべきだと思いますので、そういったところのエッセンスをここで出していただく。詳しくは専門家の先生方のアドバイスを得てという、そういったことをぜひしていただければと思います。
    もう一つ、保管事業者との連携というところで、我々も一生懸命、迅速なあるいは効率的な処理に協力したいと思います。その点は全く異論はございませんけれども、例えば、抜油とかいろいろな保管場所における作業。これは保管している者の負担も伴いますし、あるいは公平性という面、やる人とやらない人が出てくると、公平性という面もございます。何回も申し上げますが、我々もやることはやりますので、ぜひ相談をして、我々も納得したような形でこういった取組でさせていただきたい。よく相談の上、保管事業者での処理というのを連携するということであれば、一緒に検討させていただければというふうに思います。
    信頼関係を持ってコミュニケーションをよくしてやっていくということが大事だと思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
  • 織委員 3点あります。まず基本的な方向として、無害化処理施設認定を活用していくというのは、焼却処理は合理的だと思っておりますので、ウェルカムです。ここで一点気になるのは、微量PCBとは何かということだと思うんです。この定義がどこに明確にされているか明らかになっていないので、ここについて議論なり説明をしていただきたいと思います。
    私が伺った説明では、微量の分け方というのは、意図的か非意図的かという分け方になっているというふうに前に御説明を伺っていると思います。
    例えば事故で1万ppmということでも、極端に言ってしまえば、それも微量PCB扱いになってしまうということも、理論上はあるのかなということもあります。微量PCBというのは何かということ、どこまで微量PCBとして、無害化処理認定施設で処理をしていく対象にするつもりなのか。あるいは今後、それをどういうふうに議論していくのかということを教えていただきたいというのが、一点です。
    もう一点は、保管事業者の協力をというのは、これはこれで必要なんだろうなと思っています。問題は廃掃法との絡みで、保管事業者にどこまで要求できるのかというところがわからない。つまり、排出処理事業者として、自社処理をするということでやっていくということで、抜油等を事業者がみずからする分には問題ないと思うんですけれども、例えば委託業者に頼んで抜油を頼みますとか、洗浄を頼みますということになると、やはりここも許可業者に頼まなければならなくなってしまうという問題。
    さらにこれから大型トランスみたいなのが出てきて、どうしても解体しないと運べないということになったときには、事業者みずから行うことは、まず不可能だと思いますので、やはり処理業者に頼んでいくということになってくると、そこの委託が、許可業者でなければできないということになってくるかと思います。もしこれを推し進めていきたいのだったら、廃掃法上の改正なり特措法上の特例としてPCBを処理している期間においては、前処理が事業所内で可能だという形で変えていく必要があるのではないかということが、2点目です。
    3点目は先ほど川本先生もおっしゃいましたけれども、得手、不得手でそれぞれやっていくというのは、非常にいいことだと思うんですけれども、問題は、それぞれの事業所の自治体の方たちが今まで住民の方たちに御説明してきたことと齟齬があると、それはそれでそれぞれの事業所の方も非常に困るのではないかということです。物流の面ももちろんそうなんですけれども、今までの事業所のリスクコミュニケーションの説明と、今後ここについて納得していただくということで、自治体の御協力とリスクコミュニケーションの促進を、国を挙げて何とかやっていく必要があるのではないか。これはコメントになります。以上です。
  • 伊規須委員 2点だけです。今の委員が最後におっしゃった点、私もこれまでの議論を聞きながら、非常に気になっていたところです。ぜひこれは真剣に検討していただきたいと思います。
    あと一点申し上げたいことは、事業所を大規模あるいは中規模に改造されることを考慮されているようですが、その際にはぜひ初期から、できれば一番最初から、作業環境管理および作業管理の専門家を入れていただきたい。結局それが、後の仕事をスムーズにするのに、大きく貢献すると思います。
  • 飯干委員 私のほうから質問が一点です。資料3-3で処理促進策を講じた場合の処理期間についてということが述べられているんですけれども、処理期間の目処では期間の短縮効果が述べられているのですが、これらの策を実施することによって、ほかの処理が遅れるとか、短縮できないという影響があるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
    例えば資料2の1項のJESCOにおける操業の改善、施設改造等、(2)処理施設の改造の、中規模、大規模改造については、改造している間、処理が滞ることに留意ということが書いてありましたので、これがどこの事業所で何の処理がどの程度滞るということがもしおわかりなら、教えていただきたいと思っています。お願いします。
  • 浅野委員 基本的な考え方、方向性として書かれていることは、多分環境省としての考え方だろうと思います。そしてここに書いてある基本的な方向性については、おおむね是認し得るものであろうと思います。きわめて慎重に書いてありますので、これだったらほとんど問題がないわけです。しかし実際にこれをやることになると大変だろうなと思って、聞いておりました。
    北九州で最初に処理施設を立ち上げたときにいろいろと議論をしましたが、それが基本方針の中に結構反映されています。実は北九州で最初に考えた段階は、机上のプランでした。実際にどういうものがどういう形で出てくるかということが具体的にわかっていたわけではないので、それでそのときには、たぶんこんなことだろうと想定した上で、安全対策に関して地元自治体・市民の立場からいろいろな要求を国に対してやったわけです。国はそれらを見事に整理して、基本方針をつくってくださって、今日に至っているわけです。
    しかし実際に処理をはじめてみると当初の想定とは違うものが搬入されてきた。だから、この際見直しをしなければいけないということは、当然のことだろうと思います。若干国の責めに帰する事由があるとすれば、各事業所ごとに丸っきりばらばらに違う処理方式を採用してしまったという点に問題があるわけですけれども、結果的にはそうなった以上、しょうがないわけです。前回も言いましたが、その結果、うまくいくものといかないものが地域によって分かれてしまったという結果となったことは、不幸中の幸いといえば、不幸中の幸いということになります。やはりある種の事情変更が生じたということをきちんと踏まえて、この議論を進めていくことが必要でしょう。
    そのことがつまり単に廃棄物をある地域で、自地域処理の原則のもとで考えるのと同じような発想をとるのではなく、PCBの処理は、地球規模の問題であるわけだし、少なくともオールジャパンの問題であるということを、もう一回改めて関係自治体や市民のみなさんにきちんとご理解いただく必要があるのだと思います。北九州で最初にPCB処理施設を引き受けることに市民の皆さんが余り抵抗しなかったのは、これが地球全体に寄与する。北九州は率先してそれができるんだ。それはすばらしいことだという理解もあって、割合うまくいったという背景があったわけです。
    だったら他の地域もしょうがなく区割りをしたので、これで、その中で自己完結的にやらなければいけないというものではないのだということを、改めてもきちんと知っていただかなければいけないだろうと思います。
    当初の机上プランと随分違ってきたなと思うもう一つの点は、やってみると、プラントごとに、ものの運び方についても一段と工夫が要るということだったと思います。我々が当初北九州で、運び込むときにきちんと関係県が協議をしてコントロールしてほしいという話をしたのは、施設が受け入れできない程に、大量にものが一度に集まってしまった場合には、大変困る。だから施設の処理能力に合わせて、計画的にものを出していただきたい。そのために全体の流れを一貫して、全部ヘッドクォーターで統一的にマネージメントするべきであり、そのためにも、都道府県の協議会の役割が大変大きいと考えた。それが基本計画の中にも入ってきているわけです。
    それがより具体的に、今の段階では、当初考えていた漠とした抽象的なPCB廃棄物の運び込みのコントロールではなくて、具体的に、いついつこういうものが来るといいんだが、いついつこんなものが来たら困るという話がわかってきたわけです。どうも聞くところによると、協議会は形式的に年2回ぐらいしか開かれていないようで、ばっとお祭りみたいなことをやって終わっているような印象があります。もっとこれを上手に活用するとか、うまくこのようなネットワークを利用するというようなことを考えるべきではないか。
    やはり一貫してものを集めて出して運んで処理をするところまで,全部がコントロールできていくということによって初めて、地域の住民の方々が安心してくださる。だから一貫したシステムにしていただきたいというのが、当初の考え方だったわけです。そのことは今でも変わらないと思います。
    これの点での効率化を図るという面でもうまく協議会などを活用するということを改めて見直すべき、考え直すべきだろう。原点に帰ってこの辺はしっかり考えてほしい。これが、環境省が考えておられる考え方の中でも、自治体の協議をもっとちゃんとやってということは、再度、前のほうでは書かれているわけですけれども、後のほうでもものを運ぶときの協議をもっと密にやるということが、出ていたと思います。4ページにあります、5の二つ目の○のところです。計画的な搬入というのがありますが、これがただ単に書いてあることよりもより具体的なプロジェクトになっていかなければいけないと思います。
    もう一つは、無害化処理施設で処理をするということについてですが、当初は全くそんな施設ができることは想定していなかったのですが、施設ができてきた以上はこれを使うということは、全くそのとおりだろうと思います。ここでもやはり当初考えられていたもの以上に、個々の出されていくものの性状が異なる。基本計画にも法律にも書いてあるのですけれども、PCBを製品としてつくった人が応分に責任を負いなさいと言っているようにも見受けられるわけですが、果たして本当に責任を果たしてくれてきたのかどうかという点も、改めて検証すべきだと思うわけです。
    費用がかかりすぎると文句ばかり言っていますけれど、そうではなくて、こんなものはこんな性状なんです。こんな性状なんだから、こんなことをやるときには、こういうこと起こるでしょうということは、後で処理をする人にはわからなくても、むしろメーカーはわかっていたはずだと思うんです。それが、やってみたらやっとわかりました。遅れましたということですが、それは遅れたほうが悪いのではなくて、もともと出すほうが、情報提供しなかったことが悪かったということを意識すべきですから、それもこれも含めて、ここに書かれているように、含浸物の取り扱いについて、もうどうにもならないものはこんなふうにやるんだ、それも安全にできるということが立証できるならば、それを積極的に進めることは、大いに結構だろうと、そんなふうに考えています。
    とにかく法律に書いてあることに常に戻って議論をする。環境省もその辺の勉強が足りないという気がするわけです。責務規定に書いてあるのだから、もっと強腰で言えばいいのに、何となくお願いします、お願いしますしか言っていないというのは、事務局の怠慢以外の何ものでもないと思います。
  • 浅岡北九州監視委員会委員長 簡単に、うちの北九州に関するところで、各事業所における処理の得意、不得意に関する資料3-1です。北九州事業所で不得意として挙げられている項目が、本当に単に不得意として挙げればいい項目かというのを、ちょっと質問します。
    真空加熱処理の技術を選んだときにこういう問題が出る。タールがどれぐらいの量発生して、その処理に困るということを認識されていたのかどうか。これは非常に重要な話です。不得意じゃなくてVTRの得意だけを強調して、不得意を認識せずにこの技術を採用したのではないかという疑いがあります。こういう表現をされると。
    それから、一番最後の項目にVTR処理に伴って発生するタール、木酢等による損傷、配管の閉塞、腐食が発生しているという。こんな重大な事実は、装置の事故につながります。ですからほうっておかないで、不得意ではなくてこれは早急に対策してほしい項目です。この表現は改められたほうがいいと思います。この資料自身を。
  • 永田座長 どうぞ。
  • 中杉東京環境安全委員会委員長 東京事業所の環境安全委員会を預かっている者の立場で、東京事業所中心にお話をします。
    まず質問です。東京事業所で大改造をされる。そうすると、今度大改造するのは、水熱は増やさないのかどうか。今までは前処理のほうが、律速であったのかもしれないけれども、今度は前処理のほうができてきて水熱が律速になるのか。そこら辺のところがどうなっているのかということを整理していく必要があるんだろうと思います。改造というのは、そういうところの全体のバランスをうまくとらないと、改造しても意味がないわけです。
    もう一つ大きな点は、7ページの図を見ていただいて、東京事業所は豊田の車載型のトランスを受け取る。北九州と大阪の二次廃棄物を受け取る。確かに東京からも北海道エリアに、二次廃棄物が出ていくという図になっているわけです。
    資料2の全体の考え方というのは、非常に結構だろうと思うんですが、個別に見ていくと、お互いに得意なところを活用しましょうということでやっているわけです。お互いにというところはです。このまま見ていくと、東京に入ってくるPCBはどのぐらいで、東京から出ていくPCBはどのくらいなんですか。それがお互いになっているかどうか、住民が受け入れる、自治体が受け入れるといったときに、必ずここを見ます。
    結果として終了する時期が同じであれば、それはお互い相身互いでということになるのかもしれない。終了する時期は、確かに大幅に前倒しになるけれども、5年遅れるんですね。
    先ほど小川さんは、自分のところで出てくる廃棄物が処理できたら、それ以上はやらないと言われたけれども、東京に持ってきた豊田の車載型が終わっていないかもしれない。豊田の車載型を後回しにするという、言葉じりをとらえてはいけないが、後回しにすれば終わっていないんです。豊田は東京に任せておいて、30年に終わってしまう。それがちゃんと説明できないといけないだろう。そこは受け入れられない。
    一つの考え方としては、車載型のは新幹線のものだから、豊田に任せていた、やらせるのは適当ではない。もっと分担してやるべきだという考え方があるかもしれません。それであればそういうふうにして、東京が分担する。大阪が分担する。北九州が分担する。そういうふうな考え方の整理をしないと、得意なところがあるから融通する。だから東京へ持ってくる。東京は、ほかに比べて5年間延びる。これはどう見たって、地元からは受け入れられないと思います。そこら辺のところの説明をちゃんとしないといけない。
    私は必ずしも周辺住民ではありませんから、あれですけれども。どうして東京が遅れる。北海道も遅れるでしょう。その分をほかの事業所でやって、東京を1年前倒しできないのか。それはほかでもやってくれるという話で、東京はしょうがない。最初の設計が間違っていたという話になって延びていくということで、地元で理解されるかもしれません。そこのところの考え方を少し整理をして、地元に理解を得られるような案をつくってもらわないといけない。
    これは私が思い込んでいるだけかもしれないけれども、なかなか地元の理解は得られないだろうというふうに思います。
  • 眞柄北海道監視円卓会議委員長 私は北海道事業所の監視円卓会議の委員長をしています。前回も申し上げましたけれども、ぜひ皆さん方に御認識をいただきたいのは、北海道事業所は北海道だけでなく、16道県のPCBを処理する役割を負っています。当初は、北海道内のPCBを処理するということで市民の了解を得て、事業がスタートしましたけれども、後になって他の本州の15県の分を扱うようになったという背景がございます。
    そういう前提の上で、監視委円卓会議の平成18年ごろからのメンバーの顔を思い出しながら、彼ならこう言うだろうということをお話したいと思います。
    まず資料3-1の得意、不得意のところで、北海道はほとんどコメントがないんです。もちろんあるんですけれども、ほとんどないに等しいわけです。これは、北海道事業所が一番後発であったからということで、ほかの事業のさまざまな経験を踏まえて事業がスタートしたから、こんなものなのかなということでありますが、一方、参考資料2-4のヒヤリハットに関する取組の件数から言いますと、ヒヤリハットと気がかりを一緒に集計している大阪事業所が、昨年309なのが、北海道は950幾つで3倍なんです。
    私たち円卓会議のメンバーは、北海道事業所から外部にPCBが漏えいしたことはございませんが、なぜ北海道事業所の職員の方々が、これだけのヒヤリハットのことを報告され、それに対して改善行為をとられていて、それでやってきて、まだなおどうしてこんなに多いんだと、ほかの事業所とどこが違うのということを知りたいと思います。
    ヒヤリハットの状況について御説明いただいていますが、私の認識はそれ自体はそれほど深刻なものではないだろうと。逆に言えば、なぜほかの事業所は出てこないのかという印象を持ちました。
    大体ひと月に一回かふた月に一遍ぐらい、こんなマイナーな事故がありましたというのがJESCOの事業所から私を含め、円卓会議のメンバーに報告がありますが、事故のほとんどは、PCBに直接接触するラインではないんです。それ以外の部分の油圧のジャッキのボルトが緩んで油が漏れたとか、本来のPCBのところは大変進んだ技術だと思います。それ以外のところが不具合やトラブルが出ているんです。
    ということで、先ほど期限が伸びるというお話がありましたが、もともと北海道事業所の設備、機器に関して耐用年数、ライフサイクルを何年で設計されていたのか。そのライフサイクルを超えてもし改造して30何年まで使うというのであれば、どの段階でパーツ、パーツのチェックをしてくださるんですか。これはぜひ、明らかにしていただきたいことだと思います。
    また、北海道事業所が動き出すときに、我々が道、環境省、あるいはJESCOから伺ったのは北海道内が処理の対象とするPCBを含んでいるトランス等については、計画年度の27年度までにできますと。現状できなくなるというのは承知していますが、その段階で、大型トランスの処理ができないなんていうことは聞いていません。今までの説明はまだ不慣れだから、小型からやっていきますという説明しか聞いていないんです。大型ができないから、大型を改造するというのであれば、改めてぜひ関係のところから説明をしていただきたいと思います。
    きついことを言う委員の中には、もともと大型ができないことを予見していたのではないかというふうに言う委員がいないとは言いません。ですが、その辺のところは、逆に言うと、保管業者と道県、あるいは処理計画の設定の段階で考慮していなかったということがあるかもしれませんが、そういう点について、もう少し丁寧に実際に延長するという場合には、説明をしていただきたいと思います。
    あわせてお願いしたいのは、北海道で大型トランス年間100台、今の事業計画でほかの事業所で年間100台処理した実績はないんです。うちでなぜできるのか。それは1.5トン超でもっとでかいやつはないからできるんですというのであれば、処理のノルマに関して、もう少し具体的な物理量あるいは化学量で示す指標で、具体的なノルマを示すようにしていただきたいというふうに思います。それはPCBだけではなく、PCBを含んでいる容器になっている外枠、容器等々も含めて、もう少し具体的な指標で説明をしていただくことによって、市民、道民の認識を得られるツールになると思いますので、その点についても工夫をしていただきたいと思います。以上です。
  • 東京都 東京都です。本委員会のオブザーバーという立場ですけれども、今後の運営に大きく影響するということが考えられますので、発言をお許しいただきたいと思います。
    内容的には、先ほど中杉先生がおっしゃったことと同じなんですが、今回の資料によりますと、柱上トランス絶縁油の処理終了後に、設備の大改造を図って大型トランスと車載トランスの処理能力の増強を図る。おおむね平成35年までかかる。その中で車載トランスを依頼する側の処理施設が、おおむね30年。引き受ける側の東京事業所が35年という形になっています。この表現だけですと、地域の方に説明するのが非常に難しいというふうに考えています。
    この表現の中の具体的なところはわかりませんが、車載トランスの処理に関係なく、大型トランスの処理が原因で35年までかかるのかどうか。今後精査をしていただきまして、住民の方に対して説明ができるような形にしていただきたいというのがお願いでございます。以上です。
  • 永田座長 ありがとうございました。それでは全体をまとめて、まず環境省のほうから答えなければいけない話と、JESCOと分けていきます。
  • 廣木産業廃棄物課課長 私どもは主に資料2関係のことを中心にお答えしたいと思います。まず、保管事業者との連携という話がございました。これに関しては、確かに実際に保管場所や作業についての公平性の問題とかいろいろあるというのは十分認識しております。
    ただ、実際問題として、例えば超大型のトランス、この後、話していただきますけれども、そういうものに関して言えば、なかなか現状の施設で、十分できるわけではないというものが確かにあるのは事実でございます。そこのところをどうやっていくのがいいのかというのは、いろいろ考えなければならないということで、こういう問題提起をさせていただきました。
    いずれにせよやるに当たっては、きっちりとどういうものが一番合理的なのかということを、保管事業者と私どもがきちんとコミュニケーションをしてやっていくことが必要だと思っております。そういう観点でしっかりさせていただこうと思っています。
    また、織委員から指摘がございました廃掃法との関係というのもしっかり整理したい。実際そういう問題は生じるだろうと思っています。その上で、実際に現実のものとしてある、超大型トランス、車載型トランス等々について、どう処理するのが本当に合理的なのかというのを、この際きっちり詰めていく必要があると思っていますので、その点でまた御意見をいろいろといただいて、皆が一番納得できる一番いい形でできるようにしたいというふうに思っています。
    また、特に得意、不得意を交換していくということで、先ほどからも物流の話があったのに加えて、リスクコミュニケーションの話をしっかりやるべきだという御指摘は全くそのとおりだと思っています。この点については何よりも重要だと私も思っていますので、具体的にやっていく上では、特にJESCOの事業所が立地している自治体もそうですし、また保管事業者も含めてしっかりとコミュニケーションをとりながら、皆が納得できる形でやれるようにしていきたいと思います。そういった面でしっかり取り組んでいきますし、また皆様方からもしっかり御意見をいただければと思っております。
    あとは都道府県、今後、具体的に搬入を進めていくに当たって、浅野委員から御指摘の、都道府県の協議会の役割というのはもっと大きくあるべきではないかという話。それも非常にごもっともだと思います。これまで広域処理においては、特に事業所が立地している地元のものを優先的に処理していたという経緯があって、それが順次都道府県協議会を通して他府県のものを処理するという段階に、今、移行しつつあるというところです。
    やはり現実問題を見てみますと、事業所が立地している自治体と他の自治体との間での認識の温度差が大きいというのは、実際あると思っています。これは今後、都道府県協議会の場を活用して、しっかり認識を持っていただくというのが必要だと思っていますので、これまでももちろんやっていなかったわけではないんですけれども、これからそういったものはますます重要なステージになっていきますので、こういった場を通して、またそれに関しては各都道府県協議会を主催している各自治体、地元県の方に一層御協力をいただかなければいけませんけれども、私ども環境省としても、そこはしっかり呼びかけをして、問題意識を持って、うまく搬入することなくして、この話はうまくいかないということを、しっかり認識していただくことが必要かなと思っております。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 織委員から微量の定義のお話がございました。今は特措法ではなく、国の基本計画のほうでPCBを使ったもの、微量のそういう汚染があったものということで分けて考えております。どういった処理の区分けをしていくかというのは、初回から処理の側から見てどう考えるかという御指摘もいただいているので、また今後そういったところを考えていきたい、議論させていただきたいと思っております。
  • JESCO JESCOから幾つか御質問について説明させていただきたいと思います。
    飯干委員から、この対策を実施することによって、ほかの処理に差し支えて延びたりすることはないかという御指摘がありましたけれども、改造期間はいつからいつまでといったことも想定いたしまして、ほかのところには支障がないようにという検討して案をつくっております。また詳細を詰めるときに、問題をいろいろ検討していく必要がございますけれども、一通りほかには影響しないという形でこれを設定したものでございます。
    浅岡委員からVTRとタールなど二次廃棄物の問題について御指摘がございましたけれども、VTRを採用した時点からこういったタールなどの二次廃棄物が出るということは設計上の想定をしておりました。それについて当初の考えでは、さらにまたこのVTRに戻して処理するというプロセスを考えていたんですけれども、実際に手をつけますと幾つか新しい問題などが出てきまして、なかなかうまくいかないという状況が出てきたというところが、実際のところでございます。これに対してさらに対策ということが必要な状況でございます。
    また配管の閉塞とか腐食の問題については、定期点検のときにチェックを行いまして、必要なところは配管の補修、あるいは交換するといった対策を逐次とりながらやっておりますので、問題の発見にとどまっているのではなく、安全操業に問題のないようにということで措置をしながら進めているところでございます。ただ、そのための手間、工事がかかる。
  • 浅岡北九州監視委員会委員長 それは技術上の問題であって、不得意分野じゃないでしょうということなんです。だから不得意分野の項目から削除してくださいと言っているんです。
  • JESCO 承知いたしました。ここではタール、木酢の二次廃棄物の処理に問題があるということに限って書かせていただきたいと思います。修正をいたします。
    中杉委員から東京事業所からの観点ということで御発言をいただきました。これについては、本日、冒頭でも御説明を申し上げましたように、今回、試案をつくったベースになる考え方は、まずはできるだけ事業所の改造などを行いまして、その上で、追加の対策ということで、ほかの事業所でどこまで移動できるかという形です。その移動できる範囲につきましては、それぞれの事業所が本来処理する期間を延ばさないようにという観点でございます。ですからこれは一つの考え方でございまして、また御意見などをお聞きしながら整理していく必要があると考えております。
    具体的なところでございますが、東京につきましても、例えば大改造をさらに大きなものにするということができれば、東京でさらに縮めるということが可能でございますけれども、今回、考えました大改造の内容というのは、空いた低濃度のラインを最大限活用するところでどこまでできるかということで検討したものでございます。これをさらにスペースをふやす、増築するといったことまで考えられるのであれば、さらなる検討もあり得ると思いますけれども、実態上なかなかスペースの問題を超えてやるのは難しいという状況もございますので、現状そのような考え方で一つのアイディアをまとめたというものでございます。
    このため水熱については、今の能力の範囲で改造に対応してできるというところで考えています。
    また、車載の問題につきましても、豊田エリアで二つの案について御紹介いたしました。案2のほうの、ほかの事業所で分担するということで今回年数をつくったものでございますけれども、一方、保管場所での抜油等の対策がうまくとれることになれば、豊田でさらに処理をするという方向がございますので、それをさらに追求していく必要があろうと思っております。
    また、東京は35年まで大型トランスにかかるのに対して、豊田のほうは30年で終わるという御指摘がございました。その点につきましては、豊田から東京に車載トランスが来る年限としては、豊田が終わります平成30年度までの範囲で年数を計算したものでございます。ですから豊田が終わった後に、豊田の車載トランスが東京に残って処理するということは想定しておりません。
    次に眞柄委員から耐用年数、ライフサイクルという御指摘がございましたが、これまでの定期点検の中でも、先を見越してどういう対応が必要になるかということを取り上げてきております。経年劣化の問題などもございますので、さらに長期的に保守点検をどうするかということを加味いたしまして取り組んでまいりたいと考えております。
    地元の方々にどういうふうに説明をしていくか。十分な説明が必要だということはまさにそのとおりでございますので、JESCOといたしましても、環境省と御相談いたしまして、こういった問題についてどういうふうに御理解いただけるかということは、一生懸命考えてまいりたいと考えています。また御相談をさせていただければと思っております。
    東京都さんからの谷川さんからの御指摘につきましても、中杉先生の御質問に対してお答えしたところでお聞きいただければと思います。よろしくお願いいたします。○中杉東京環境安全委員会委員長 JESCOの今のお答えに少しコメントしておきます。豊田から運んでくるのは30年までだ。東京のほうで東京の事業所の周辺住民が、東京事業所のものを先にやれという話になったら、30年まで運べないことになります。
    でも運んでくるからそれを優先してやれということで了解が得られるかどうか、そこもちゃんと考えてもらいたいと思います。答えを用意しておかないと、理解は得られないと思います。
  • 永田座長 どうぞ。
  • 福永大阪監視会議座長 大阪ですが、私も今、答えも言われたし、委員の方がたくさんおっしゃったことなんですけれども、大阪もやはり期限が延びるということとよそから入ってくるということについては、十分な説明をしていただきたい。そうでないと地元の理解を得るのに、また行政の方が困られるのではないかと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。この件に関していろいろ御意見をちょうだいしました。そういう意味では、JESCOが出してきている案に関しては、まず試案だということを文書の中でも断っています。そういう形で御理解いただきたいと思っています。
    そういう意味でたたき台といえるかどうかというところもございまして、先ほどから話が出ていきているような方向性に沿って検討したらこういう形になりますという形の程度のものだと、御理解いただいておいたほうがよいと思います。
    先ほど田中先生からも質問のあったような、促進策というものを打っていけばさらに短くできる。あるいは処理の効率化が図れるという話も前からあったわけでございますので、それがどの程度のものなのかということも積極的に出していかなければいけない。ただ、それについては、ここでの検討がそういうところに触れる段階になって初めて出せるということにもなりますので、そういう意味では、これも試案といわれるたぐいの中身もまた変更される可能性はあるというふうに御理解いただいておいたほうがよいと思っております。
  • 浅野委員 きょう出された資料には、試案と書いてあります。たたき台でもなくて頭の体操をしてみたらこうなりました。少なくとも環境省の基本的な方向性というものを前提にして考えると、こういうことが考えられますねといっているだけだろうと思うのです。
    その上でさらにきょうの議論で少しわかってきたのですが、ものの性質という話がもう一つあるということがわかってきた。車載トランスのように、新幹線に積んであるものは、要するに最終的に廃車になった場所で排出されてくるわけです。これはあたかも航空燃料を積んでいる空港の所在地で、積まれた燃料から排出されるCO2がすべて排出されたとして算定されるのと同じような状況が生まれている。車両は全国を走り回っているのですが。たまたま車籍がここにあったので、JR東海が保管しているということになる。
    こういったものと、それから本当にその地域の電気供給のために使われていたトランスのように、地域に貢献しているだけであったというものとの違いがあるという点は、地域への説明するときの材料として大事なことだろうと思います。
    (永田座長) ありがとうございました。今お話のような点は、十分考慮した上で最終的な案を取りまとめさせていただきます。

議題(3)高圧トランス・コンデンサ等の処理推進に当たっての課題について

  • 永田座長 時間も大分経過しましたので次の議題に入らせていただきます。次が「高圧トランス・コンデンサ等の処理推進に当たっての課題について」ということで、資料4関係を事務局から説明をしてもらいます。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 資料4をまず環境省のほうから説明させていただきます。表の上のほうに4点書いてございます。PCBが外部に付着した漏えい機器や超大型機器については、保管場所からの搬出が困難であるということ。JESCOの工程では処理が困難、処理効率が悪いといったようなことから、これまで、順調に処理が進んでおりません。
    こうした機器等のうち、保管場所での対応や収集運搬、処理に関し技術開発が必要なもの、こういったものについては国、保管事業者、JESCO、製造業者、それぞれ責任、責務に応じた役割分担のもとに、協力して技術開発に取り組む必要があるのではないかということでございます。
    具体的にはどういったことかというと、JESCOはこれらの機器の受け入れが可能となるよう必要な工程の改良を行う必要がある。一方で、保管事業者については、これらの機器について抜油、付属品の取り外し等、必要な措置を講ずる必要があるのではないかといったことで、具体的に表にまとめてございます。
    上には漏えい機器ということで現状課題というのは、今あったような缶体からPCBがにじみ出ているもの。こういったものはそのままJESCOに持ってくると作業環境の悪化が生じてしまうということで、そのまま処理することはできないといったことが課題とあります。
    対策案ということでございます。にじみのある機器については、保管現場において保管業者が補修を実施する。
    また、液漏れのある機器については、収集運搬体制の確立が必要と。都道府県市は、収集運搬業者の指導等を行うことも必要だろうと。
    収集運搬業者における密閉型の運搬容器の整備ということも必要だろうと。
    それから、液漏れのある機器の適切な受け入れ、処理を行うために、JESCOにおける設備改造も進める。こういったいろいろな対策が必要だということでございます。
    下のほうに超大型トランス等ということで、現状の課題ですけれども、機器の寸法・重量の制約から、保管場所からの搬出、JESCOへの搬入が困難なトランスがある。保管事業場における抜油、部品取り外し作業等により技術的に搬出可能なものと、このようなことをしても不可能なものがあるといったことです。
    車載トランスについては、内部構造の複雑性により、洗浄工程が当初想定の数倍の時間が必要になっているという課題がある。
    これに対する課題でございますが、超大型トランス等のうち、現地での抜油、付属品の取り外しによる搬出が困難なものについては、保管事業者はこの方法による対応を推進する。
    搬出技術の確立していない超大型のトランス等については、保管事業者、JESCO、製造業者等が協力して現地での解体等の技術開発を進め実用化を図っていく必要があるだろうと。
    車載トランスその他の機器についても、効果が見込まれるものについて、同じような措置を講じていく。こういったことでいろいろな対策をこれから考えていかないといけないと思っております。
    具体的にはJESCOのほうから資料5で御説明させていただきます。
  • JESCO それでは、資料5をごらんください。漏えい機器と超大型機器の問題と取組の現状について、御説明を申し上げます。
    まず、漏えい機器でありますけれども、問題点として4つほど挙げております。まず、運搬というところが問題でありまして、一たん密閉した保管容器に入れて、さらに特別な密閉容器に入れるという段取りが必要になります。この特別な密閉容器というのは、まだ普及が進んでいないので、その普及が必要であるという点がございます。
    受け入れるJESCOのほうでございますが、液漏れの機器が入った容器をそのまま開けますと、作業環境は非常に悪化いたしますので、設備の改造ですとかそれから操作、扱うための治具などを開発して整備するということが必要でございます。
    一部補修の仕方によりまして、処理工程に影響があるものもございますので、また個別に処理の方策の検討が必要だという問題もございます。
    漏えい機器の台数でございますけれども、次の箱の赤のようにトランス類で500台弱、それからコンデンサで1万台超という、かなりの数が漏えい機器としてあるところでございます。
    次の2枚について対策の状況でありますが、漏えい機器の中のにじみ程度のものにつきましては、これも最初は運ぶ方法が確立されていなかったんですけれども、現在、運搬、処理方法についても整理ができまして、保管事業者様のほうでふき取りなど補修していただいて、それを搬入して処理するというルート、やり方ができておりますので、現在進んでいるものでございます。
    一方、次のページですが、それ以上に漏れている、いわゆる液漏れ機器といっているものについては、まだ課題がございます。これも運搬方法について、まずどうすればよいか決まっていなかったんですけれども、環境省のガイドラインで、これが整理されたところでございます。
    ただ、申し上げましたように、二重の密閉容器にする必要があるんですが、収集運搬業者のほうでまだ密閉容器の整備が進んでおりませんので、今後の課題でございます。
    一方、受け入れるJESCOにおける処理方法に関する取組ですけれども、これも実験などを行いまして、どういう対策が必要かということをまとめております。具体的に北九州、大阪事業所では既に設備改造を終えて受け入れができるというところまできております。ほかの事業所につきましても、順次、改造を進めて受け入れるようにしたいということで取組を進めているところでございます。
    次に、超大型トランスについて御説明いたします。まず問題点ですが、超大型トランスはレベルが二つあります。それぞれの○ですが、一つは、そのままでは運び出し、あるいは搬入が困難ですが、抜油して重さを減らしたり、あるいは付属品を取り外して少しサイズを小さくするということで搬入、受け入れができるものがございます。これについては、方法的に確立されまして、現在進んでいるところでございます。
    一方、そこまでやってもさらに動かせないというものもございますので、これについては、さらに手立てを考えて進める必要がございます。後ほどまた御説明申し上げます。
    超大型トランスの数ですが、現場抜油、あるいは付属品取り出しまでで搬出可能なものが600台ぐらい。一方、それを越えて、さらに大型で動かせないというものが、50~60台というところが、今、確認されているところでございます。
    これまでの取組状況でございますけれども、運び出せるものにつきましては、これも保管事業者様のほうでいろいろ措置されるところでございますけれども、JESCOにおいても、トランスメーカー様などと一緒に技術開発を進めてきているところでございます。この結果、抜油の技術、取り外しの技術がそれぞれ確立されまして、現在進んでいるというものでございます。
    一方、それを越えた課題を7ページに示してございます。3点挙げておりますが、一点目の技術開発につきましては、今申し上げたより大きなものについてどうするかという技術でございます。
    2点目が関係法令等の適用関係でございます。これは先ほど、織委員から御指摘があった点でございます。現場でのどこまでの作業で法令がどうかということは、しっかり整理をする必要があります。
    実施体制でございますが、今の現場の抜油までにつきましては、トランスメーカー様を中心に請負体制ができているんですけれども、さらに大型の措置となりますと、これは解体をしたりといったさらに大がかりな取組になりますので、どういう関係者に入っていただいてどういう体制をつくるかというところが、今後の課題でございます。
    一番最後のシートですけれども、JESCOとして、現在行っている実験について、少し御説明申し上げたいと思います。
    非常に大型のものにつきまして解体のための作業方法、手順案などを作成しております。また気化溶剤を用いまして、抜油をしてさらに残った少量のPCBを抜き取るという方法でして、気化溶剤を循環させるという方法の実験を今しているところでございます。右下のポンチ絵で、左がPCB機器でありまして、右が装置であります。これをつなぎまして、気化溶剤の気体をぐるぐる回すことによって、それにPCBを付着させまして、そこからPCBを分離してくるという取組です。現場でやるために、こういった余り大きくない装置でできる手法ということで、現在開発をしておりまして、今年度から実際のPCBが入った機器を用いた実験を始めたところでございます。以上です。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 少しだけ補足をさせてください。
    これは先ほどの議論で、何年までに処理が完了するのではないかという見通しの試案もありましたが、これは入っておりません。これはこれで大きな課題だと認識しています。ということで、国としても制度の検討というのも必要ですし、自治体さんの収集運搬の御指導というのも必要ですし、保管事業者さんでのいろんなことということで、それぞれ対策をこれから打っていかないといけないと考えていますが、きょうぜひ御意見をいただければと思っております。
  • 永田座長 いかがでしょうか。酒井先生、この技術開発の関係、いろいろおやりいただいていたので、何かコメントがあったら。
  • 酒井委員 JESCOさんのほうが、最後の処理方法の検討等を進められるのに参画させていただいているわけでございますが、技術的な取組という意味では、着実に進めてきておられると思います。現場の中で一定レベルまで濃度を下げることが可能な方法というものにたどり着かれつつあるという、そういう現状であろうかと思います。
    ただ、それをどういう体制でやるのか、そのときに必要な法的な手続きは何なのかといったところの詰めは、まだまだこれからの話という認識でおりますので、まさに今、資料5で説明いただいた最後の7ページ目の課題を、ぜひこの場でも認識を共有いただいて、今後、多くの課題があるということの中で議論を進めていただければというふうに思っています。
    それに加えて、きょうの御説明では、超大型機器が具体的にどういったものかということは、多分まだこの場でも認識を共有できていないのではないかというふうに思います。そういう意味では、できれば保管事業者の方から、保管の実態はどうなっているのか。あるいは、そのときの課題は何なのか。特に50台をお持ちになっておられる方からお話を聞かせていただくというのが、一番望ましいと思いますが、それが仮にできない場合でも、50台の詳細はどういうことなのかといったことは、まず情報提供をいただいて、共通認識を持っていただくということが必要なのではないか。少なくとももう少し実態をちゃんと共通認識を持つようなステップを踏んでいただきたいというふうに思います。
  • 築谷委員 漏えい機器の問題ですけれど、行政の立場としては、以前から早く処理できるようにしていただきたいとお願いをしていたわけです。今のお話では、北九州と大阪では設備改造をやって受け入れが可能な状態と書かれていますが、実際いつごろから受け入れ可能になるのか。
    それともう一点、二重の容器を備えている事業者1台のみという話ですが、その業者がどこの所在なのかを教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  • JESCO 御質問いただいた漏えいの関係でございます。二重の容器を備えているのは大阪の業者さんです。
    補足説明をさせていただきますと、そういったある程度大きなものにつきましては専門の容器が必要ですが、ドラム缶の中に入るサイズのコンデンサなどについては、ドラム缶に入れて運ぶということも可能でございます。
    同じ漏えい機器でも、にじみ程度のものについては、樹脂できっちり押さえることによって補修できるんですけれども、じゃぶじゃぶにPCBが漏れていて、容器の中に入れてあるようなものについては、そのまま運び込むと事業所の受け入れ設備の作業環境が非常に悪化するということになりますので、受け入れのところから考えないといけない。
    大阪の場合は、密閉したものをそのまま持ってきて、ケースに入れたままVTRにかけるというような改造をさせていただきまして、途中作業の方が触れないような形にすることで、VTRに入る大きさのコンデンサについては処理できるような施設になっています。
    北九州の場合は、1期、2期とございまして、2期をつくるときにそういったものができるような特殊解体室、気流の操作をすることにより作業環境を良好に保つ施設としています。以上でございます。
    北九州については、今月22日から漏洩物の搬入が開始する予定です。大阪事業所についても、改造工事がある程度進んでいますので、早期にできるという見込みになっております。
  • 永田座長 ほかにはいかがでしょうか。
  • 影山委員 超大型トランスの何台かは、電力のものだろうというふうに思います。JESCOさんともいろいろ相談をさせていただいていまして、事前にどんな手当をすれば持ち込めるようになるかということは、いろいろスタディさせていただいています。
    ただ、ものによっては、地下の変電所にあってなかなか持ち出しもできないというものもありまして、さらに技術開発が必要なものもあります。ぜひいろいろ知見をいただいて、今やっておられる濃度を下げるというようなところも含めて、今後、連携を強くさせていただいて、処理が進むようにさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 永田座長 漏えいとか超大型機器という分類で出させていただきましたけれども、特に超大型トランスというくくりの中では、基本的にはそこから搬出できないとか、条件によっては、超大型と呼ばれるもの以外のトランスも、そういう状況に置かれているものがあるかと思っています。そういう意味で、先ほどの微量という話、それから特措法の対象という話もありましたが、こちらの対応の仕方によって分けて、それの安全な方策というのを御検討いただく流れの中で、これも考えていったほうがよいという気がしますので、また別の機会にそうした視点で見たときに、どういう処理の対応が考え方の中に収まってくるのかとを御議論いただければと思っています。
  • 浅野委員 ものの存在場所が大体わかっていて、取り扱いをする人は、大体わかっているので、一般的に不適正処理を恐れて厳しくコントロールするという廃そう法体系の考え方とは、少し違う考え方を取り入れる余地はあるのではないか。つまり、処理のための前提とする前作業みたいなものまですべて廃棄物の処理行為と考えるのか、どこか廃棄物処理と考えるのかという整理をすれば、あえて法改正をしなくても、解決できる問題であるような気がします。これは今思いつきなので、もうちょっと詰めて考える必要がありますが、およそ触ったら全部廃棄物処理という考え方では、超大型のものは扱えなくなってしまうと思います。
  • 永田座長 その辺のところも含めて、今後議論をお願いしたいと思っています。

議題(4)その他

  • 永田座長 それでは最後に「その他」として、事務局のほうから何かあれば、説明していただきたいと思います。
  • 廣木産業廃棄物課課長 さまざまな御意見ありがとうございました。私どもとしましても、今委員の先生方からいただきました御意見をしっかり受け止めて、また検討していきたいと思っております。
    次回の日程でございますけれども、来年、年明けて1月下旬から2月頭に入るかもしれませんが、そういったタイミングで開催させていただきたいと思っております。よろしくお願いしたいと思います。
  • 永田座長 よろしいでしょうか。それでは本日の会合はこれで終わりにさせていただきます。どうも長時間にわたり貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。また次回もよろしくお願いいたします。

(了)