環境再生・資源循環

第2回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事録

日時

平成23年11月12日(土)

場所

スタンダード会議室301新橋Museum 8階ホール

議事録

開会

  • 廣木産業廃棄物課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第2回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」を開催いたします。
     委員の皆様におかれましては、大変御多忙にもかかわらず、また本日、前回に引き続き土曜日にもかかわらず、御出席いただきまして本当にありがとうございます。また、本日委員の中で田辺委員が御都合がつかずに欠席という連絡をいただいているところでございます。
     また、前回の検討委員会の中でJESCOの各事業所が立地している地域に設置されている、いわゆる監視委員会という、JESCOの事業がしっかり行われているかどうかを地域の住民と学識経験者でしっかり見ていくための委員会でございますが、その委員会の委員長の方々にも御出席をお願いするということになりまして、事務局よりお願いしましたところ、それぞれ5名の各地域の委員長から御出席いただくことについて御了承をいただいたところでございます。これは開催要領の2(2)に「必要に応じ検討事項に関係のある者を座長の了解を得た上で出席させることができるものとする」とございますので、これに基づいてJESCOに関する議事を行う場合に出席をお願いするということにさせていただければと考えているところでございます。
     それでは、私から各委員長の先生方を紹介させていただきたいと思います。
     まず北九州市立大学国際環境工学部教授で、北九州市PCB処理監視委員会の浅岡委員長です。
     元大阪人間科学大学教授で、大阪市PCB廃棄物処理事業監視会議 の福永座長です。
     元上智大学大学院地球環境学研究科教授で、東京ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業環境安全委員会の中杉委員長です。
     学校法人トキワ松学園理事長で、北海道PCB廃棄物処理事業監視円卓会議の眞柄委員長です。
     また、もう一方、名古屋大学大学院工学研究科教授で、豊田市PCB処理安全監視委員会の松田委員長でいらっしゃいますけれども、本日は残念ながら、御都合がつかず欠席という御連絡をいただいたところでございます。
     それではお手元の配付資料を確認させていただきます。議事次第に資料一覧を示しています。
    委員名簿。
    資料1として、「高圧トランス・コンデンサ等の処理プロセスについて」。
    資料2、「高圧トランス・コンデンサ等の処理の進捗状況・処理対象量について」。
    資料3、「高圧トランス・コンデンサ等の処理の現状と遅れの原因について」
     資料4、「現状ペースの場合の高圧トランス・コンデンサ等の処理見通しについて」。
     資料5、「高圧トランス・コンデンサ等の処理推進策について」ということで資料1は補足と書いてあるものも用意しています。
     参考資料1として、第1回検討委員会の議事要旨。
     参考資料2として、「電気関係報告規則 関連条文」。
     参考資料3として、これは本日の議事とは直接関係ないんですけれども、微量PCB汚染廃電気機器等を処理する無害化処理認定施設につきまして、5件目の認定 として、エコシステム秋田株式会社が11月8日付で認定され、環境省が報道発表し ましたので、これを参考資料として配付させていただいたところでございます。
     委員とオブザーバーの皆様のみでございますけれども、別とじの紙ファイルを机上に配付させていただきました。これは内容は前回と同じでございます。参考資料 として適宜御利用いただければと考えております。
     それでは、早速議事に移らせていただきたいと思います。以降は座長の永田委員に進行をお願いしたいと思います。それではよろしくお願いします。
  • 永田座長 どうも皆様、こんにちは。お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。
     本日は第2回の検討会ということで、JESCOで処理をしている高圧トランス・コンデンサ等に着目した議論を進めてまいりたいと考えております。
     議事に入る前に前回の資料で訂正事項がありますので、事務局から説明してもらいます。
  • 鈴木産業廃棄物課長補佐 前回第1回の資料4の1ページ目に、現在PCB廃棄物の保管場所が1万カ所以上に及ぶという記載をさせていただいたんですが、これは9万カ所の間違いでございました。申しわけありません。委員とオブザーバーの皆様のみで恐縮でございましたが、訂正した資料を机上に配付させていただいております。よろしくお願いいたします。
  • 永田座長 よろしいでしょうか。第1回の資料4の1ページ目、保管場所の件で1万カ所以上という記載がございますが、これが誤りで9万カ所以上ということで訂正させていただきます。

議題(1)高圧トランス・コンデンサ等の処理の現状について

  • 永田座長 それでは、早速議事に入らせていただきます。今日は第1の議題が高圧トランス・コンデンサ等の処理の現状についてということでございます。JESCOでの処理において、当初想定したよりも処理に時間がかかっているということについて、その原因を御説明いただくことになっています。それに先立ちまして、まずそもそもJESCOの処理の工程とはどのようなものなのか。またどのような点に配慮して現場で処理をしているのかといったことについて、もう一度おさらいをしてまいりたいと思います。
     資料1が説明資料になっておりますので、説明のほうをよろしくお願いします。
  • JESCO JESCOでございます。資料1と資料1の補足について説明申し上げます。内容が大部にわたりますので駆け足になろうかと思いますが、御容赦をお願いいたします。
     資料1、高圧トランス・コンデンサ等の処理プロセスについて、2ページでございます。まず私どもJESCOの処理施設で用いております処理技術につきましては、JESCOが独自に開発したものではなくて、環境省の検討委員会などによりまして、認定されている技術一覧の中から選択をしております。この図は、処理プロセスの中のPCB液処理について認定された技術の一覧でございます。赤くしておりますのが、実際にJESCOの施設で用いられている技術でございます。
     同様にこれは、缶体、箱、外部の構成部材を洗ったり分離したりする技術の認定一覧でございます。これから選んだものが赤でございます。
     以上の化学処理のプロセスですけれども、備考にありますように、このほかに高温焼却というのも認定の技術に含まれているところでございます。
     これらの技術一覧の中から、実際に処理施設の技術を選んで実施する、処理方式決定までの流れがこの絵でございます。まず、環境事業団の時代でございましたけれども、各事業5事業に共通する、どうすべきかという形での委員会報告をまとめていただきました。これを踏まえて[2]として、5事業各地域ごとに地域条件を踏まえて、部会の報告をまとめていただきました。これに合う形で、[3]発注の公告をかけております。
     これに対して、何社かから技術の提案が上がってくるわけです。この内容につきまして、まず安全性の確保を大前提として、技術面、実施面でどう評価するかという評価基準を策定いたしまして、これに照らして、[5]各技術提案の審査をいたします。この技術審査を通って、これで実際に使えると判断された技術の中から一般競争入札をかけまして、コストで最終的に評価をして、どの業者に発注するかということを決めるというのが、施設の発注の流れでございます。
     これは、前回も左側はお示ししましたけれども、こういったプロセスの結果、各5事業で使われている技術の一覧でございます。右側に請負企業という欄を付加しておりますけれども、このように皆様御存じの、この分野で非常に実績のある企業に発注をしてこの事業を進めてまいったところでございます。
     この結果、5事業につきまして、それぞれ使っている処理方式が異なっているという結果になっております。このため、この5事業につきまして、安全対策や操業について横断的にしっかり管理していくということが必要になりますので、JESCOとしては、ごらんのような体制でこれを進めております。
     内部技術評価といいますのは、各事業、年1回操業状況などを調査評価しておりますけれども、これはほかの事業所の職員も入りまして、横断的に見ているものでございます。また、社内の会議でございますけれども、運転管理についての連絡会、あるいは安全対策についての情報交換会などを行いまして、5事業間の連携に心がけているところでございます。
     次に、具体の処理のやり方について、御説明申し上げます。
     このPCB処理フローを大きく分けておりますけれども、緑の箱の2つをごらんいただきたいと思います。トランス・コンデンサが入ってまいりまして、固体の部分、缶体、外側の箱です。缶体、内部構成部材を洗ったりしてきれいにしていくというプロセスが、一つ大きくございます。右側へ行きまして、そういった形で分離されたPCBの油を化学的なプロセスで処理するという液処理のプロセスがございます。大きく区分いたしまして、この二つのプロセスで処理が成り立っているところでございます。
     以下、少し細かくなりますが、5事業所それぞれまで立ち入りまして、どのような処理フロー、処理ステップで処理しているかということを御説明申し上げたいと思います。この資料1の図は大変細かくなりますので、別途A3版で資料1の補足という資料をお配りしています。こちらのほうをお開きいただきたいと存じます。
     最初のページが、トランス缶体、内部構成部材の処理のプロセスでございます。これは1枚の紙に5事業所の処理フローをすべて収めておりますので、かなり煩雑になっています。共通なところは一つに書きまして、違っているところは色を分けたりして分け書きにしているところです。
     左側から代表的なやり方を書きまして、それと違うのを順次右側のほうに枝分かれしておりますので、左側からの順番で御説明申し上げたいと思います。
     トランスにつきましては、まず受け入れをしまして処理ラインに投入いたします。トランスは大きくて手間がかかりますので、投入のスピードとしては、1日に1台といったペースで投入しております。処理全体にはもっと時間がかかりまして、2週間、3週間とかかるものです。
     処理ラインに入りまして、まずAですが、油を抜くと書いて、抜油と呼んでおります。これはトランスに穴を開けたりして、充填されているPCBの油を抜き取るという工程でございます。抜き取った油は、右にまいりましてトランス油と書いておりますけれども、このトランスの油はPCBとトリクロロベンゼンという二つのものが混ざっております。このために、下にまいりまして、蒸留によって、トリクロロベンゼンを分離いたします。2つに分かれまして、PCBについては左の液処理、後ほど御説明いたします、そちらにまいります。TCBにつきましては、PCBが含まれていないか卒業判定をいたしまして、払い出し、再利用をしているところでございます。
     ただ、右の緑の矢印ですが、東京事業所につきましては、このTCBを分離せずに一括して液処理をするというプロセスでございます。
     戻っていただきまして、Aの抜油が終わって空になったものを次に予備洗浄いたします。これは油は抜きましたがまだPCBが中に少し残っております。中の部材などに付着しております。このまま開けますと、作業環境に非常に問題が生じますので、これを予備的に洗うというプロセスです。具体的には、洗浄のための液を入れて、それを何遍も交換する。施設によっては洗浄油を循環させる。さらには入れたトランスを揺すりまして洗っているということをしています。この予備洗浄には非常に時間がかかりまして、何日もかかるプロセスです。
     下にまいりまして予備洗浄である程度きれいになったところで、人間が入りまして、粗解体をいたします。これはふたを開けて大きくトランスを外側の缶体と中の鉄芯、コイルなどの部材に分けるという作業でございます。この分けたものをそれぞれDとしてさらに洗います。
     洗った上でEでありますけれども、さらに細かく分解するという工程でございます。左の説明書きをごらんいただきたいと存じますけれども、非含浸物と含浸物という二つの言葉がございます。非含浸物というのは油がしみ込みません。鉄、銅、碍子といった部品です。含浸物というのは、油がしみ込む紙、木といったものでございます。この含浸物の処理が非常に苦労するところです。
     こういった形で解体、分別をいたしまして、左の矢印をたどっていただきたいと思います。非含浸物と含浸物に分けた処理になります。一番左の非含浸物、鉄や銅ですが、これにつきまして、一つのやり方は洗浄いたします。これは大きな洗濯機のようなものに入れて洗浄するわけですけれども、何回か洗浄いたしまして、最終的に卒業の判定をして、安全であれば払い出すというプロセスでございます。
     右の含浸物については、一つのやり方、北九州の1期については、洗浄いたしまして、洗浄で卒業まで持っていって卒業判定をして払い出すというやり方でございます。
     下のほうで青の矢印で分かれていますけれども、豊田や北海道におきましては、一たん洗浄をある程度いたしまして、次に真空加熱分離装置にかけまして、PCBを蒸発させて卒業させるというプロセスでございます。真空加熱分離というのは、JESCOで2種類使っているものがございまして、こちらのほうは約200度程度まで温度を上げて行うものでございます。豊田、北海道の事業所にこれを設置しております。
     少し戻っていただきまして、含浸物から右に東京の緑の矢印が分かれていますけれども、東京におきましては、この洗浄ということをせずに、スラリー化といっておりますけれども、細かく泥状に砕きまして、これをそのまま液処理のプロセスに一緒に入れてPCBを処理するという、違ったやり方をとっているところです。
     戻りまして、大阪の赤の矢印をごらんいただきたいと思います。大阪では、一番外側の缶の鉄の部分につきましては、洗浄して払い出すというやり方でございます。
     一方、内部構成部材、これは非含浸物も含浸物も入っておりますけれども、これにつきましては、その下のGにあります真空加熱分離装置にかけて処理をいたします。この真空加熱分離は、コンデンサの処理と同じプロセスでございますので、次のページ、コンデンサのほうで再度御説明申し上げたいと存じます。以上、トランスの缶体、内部構成部材の処理の具合でございます。
     次のページをごらんいただきまして、コンデンサの解体、内部構成部材の処理でございます。大きなところでいいますと、トランスと同じように、最初ばらしまして、それからきれいにするというプロセスでございます。
     受け入れて、処理ラインに投入いたしますけれども、コンデンサはトランスに比べて小さいので、おおむね1日20台とかそのぐらいのペースでラインに投入いたします。コンデンサについては、予備洗浄というプロセスはなくて、抜油をして解体するというところにいきなり入ります。
     ここでPCBが揮発する問題がございますので、また後ほど絵で御説明いたしますけれども、グローブボックスといった施設の中で、人間が直接そこには立ち入らずに作業できる仕組みをつくりまして、抜油、解体をしております。抜油した油は液処理のほうに回っております。
     先に下のほうにまいりまして、解体したものでございますけれども、一つのやり方は解体したものを非含浸物、含浸物に分けまして、トランスと同じように、非含浸物については洗って払い出すというプロセスでございます。
     右側の含浸物ですが、コンデンサの中の素子と言われている部分は、アルミと紙が反物のようになったものでございまして、コンデンサでは含浸物が非常に多く含まれております。これにつきまして、一つのやり方は、洗浄して卒業まで持っていくというやり方。これは先ほどのトランスと同じやり方です。
     また、途中から下が青に分かれまして、これもトランスと同じでありますけれども、豊田や北海道におきましては、一たん洗浄して、それを真空加熱分離にかけまして卒業させるというプロセスでございます。これは先ほどと同じ200度の真空加熱分離装置です。
     また、東京の含浸物については、緑の矢印ですが、これもトランスと同様に、スラリー化して液処理に直接持ってまいります。
     ずっと上に戻っていただきまして処理ラインの投入から右に紫の矢印が行っておりますけれども、北九州の2期と大阪では全く違ったプロセスでコンデンサを処理しております。真空加熱分離のプロセスでございまして、これは高温の真空加熱400度まで上げてやるプロセスです。真空にして400度まで上げることによりまして、PCBがすべて蒸発して蒸気の形で回収されます。この蒸気として回収されたPCB油を液体に戻しまして、それから中に含まれる不純物は中間処理で落ちまして、これを液処理するというものでございます。
     真空加熱分離の下でありますけれども、残されました缶体とか内部構成部材はPCBは全部飛んでおりますので、そのまま卒業判定にかけて、安全であるということを確認して払い出しをするというものでございます。以上がコンデンサの缶体、内部構成部材の処理の方法でございます。
     次のページをごらんください。
     以上のプロセスで出てきたPCBの油について、最終的に化学処理で無害化処理をしております。3つ処理方法がございまして、左の2つが同じ脱塩素化分解方式でございます。この脱塩素化分解方式にも2つございまして、一番左は北九州、豊田、北海道で用いているものでございますけれども、金属ナトリウムを使いまして、PCBを酸化しております。これを分解いたしまして、分解された液にPCBが含まれていないか、卒業判定をして払い出しをします。ちょっと複雑に分かれておりますけれども、卒業判定の一番下にいっているプロセスは北九州、豊田のプロセスでありますけれども、この分解の結果、油と固形物に分かれて生成物ができますので、それをそれぞれ払い出すという仕組みでございます。
     一方、右側の北海道は最後のプロセスが違いますので、固形物は出ずに油だけが出るという形になっています。いずれも処理方式は同じ金属ナトリウムでございます。
     真ん中の脱塩素化分解方式、大阪でございますが、これはパラジウムの触媒を使って分解するというプロセスでございます。同じく分解した後、卒業判定して払い出しております。
     右側の水熱酸化分解方式、これは東京だけほかとかなり違うプロセスでございます。これは処理槽の中に水を入れまして、水を高温高圧にいたします。370度ぐらいの温度にいたしまして、気圧も200気圧を超える気圧まで上げます。こうしますと非常に反応するようになりまして、ここに分離いたしましたPCB、トリクロロベンゼン、スラリーというものを入れて分解するものでございます。この東京の場合ですと、最終的に油ではなく、二酸化炭素と水と塩という形にまで分解されてしまいます。最終的に廃水という形で排出することになるものでございます。
     最後に小さい箱でございますが、溶剤の蒸留設備概要というものがございます。これは、左にありますように解体のところ、それから洗浄のところで洗浄の溶剤を使っております。これは洗いますと当然溶剤にPCBが含まれますので、蒸留をかけて分離いたしまして、PCBは液処理のほう、右側に回す。蒸留してきれいになった溶剤については、青の矢印でございますが、再度この洗浄に使うという形で再利用をかけているところでございます。以上、補足の資料の細かい説明を終わらせていただきます。
     資料1に戻っていただきたいと存じます。飛びまして資料11ページをお願いします。言葉だけですとイメージがわきませんので、処理の状況の写真をつけさせていただきました。11ページはトランスの抜油作業をしているところでございます。PCB濃度が所内で一番高いところですので、最も厳しい管理をしております。右側がわかりやすいんですが、パイプがつながっておりますが、こういう形で油を抜いております。
     左の下に、ラッパの大きいようなものがございますが、これは、局所排気装置といいまして、PCBの濃いガスが出るところに置いてそれを吸い取って浄化するというものでございます。
     次は抜油後にトランスを解体している風景です。左でトランスのふたを外そうとしているところでございます。外しまして右側で中のコアを吊し上げて抜き出しているという、粗解体のところでございます。左でぐるっとビニールが囲っておりますけれども、こういう形でPCBが広がらないように、局所的に囲い込んだりして作業環境の保全に努めているところでございます。
     これはコンデンサの処理風景です。先ほどグローブボックスと申し上げましたけれども、グローブボックスは、手袋ボックスという意味でございます。中にはPCBがあるんですけれども、それを外側から、丸いものに手袋がついておりまして、ここに手を突っ込んで処理をする。右の絵をごらんいただきたいと思います。これは中の状況です。これはコンデンサのふたを切って外そうとしているところですが、両側から人が手を入れてやるというプロセスでございます。かなり不自由な作業でありまして、相当熟練を要する作業です。
     このような流れで処理してまいりますけれども、順次、濃いPCBから薄くなって最終的に卒業できるというところまでこぎつけるわけでございます。JESCOの施設につきましては、トランスは60%のPCB、コンデンサは100%のPCBが入っておりますので、それを120万分の1、200万分の1まで順次、途中のプロセスで浄化して安全にしているというプロセスでございます。何段階かのプロセスで処理しているものです。
     これはどのぐらいの時間を処理に要するかということで、少し参考にごらんいただきたいと思います。トランスは予備洗浄に時間がかかると申し上げましたが、このグラフは、横軸が何回洗ったかという回数です。標準ですと12回に設定されておりますが、12回できれいにならずに、19回、20回近く洗ったものもございます。それぞれの色が1つのサンプルでございます。最初のうちは非常に速やかに濃度が下がるんですけれども、その後、横になりまして、なかなか目標まできれいにならないということがごらんいただけると思います。
     これは同じく大型トランスが具体的に処理に要する日数でございます。フローがございまして、左に処理日数という欄がございます。投入から解体のところまで2週間、標準的にかかっております。その後、内部構成部材などを洗うというプロセスでさらに数日要すると。1台で、場合によっては1カ月ぐらいかかるという長いプロセスです。
     これはPCBの建屋外への漏出事故ということで、環境安全について少し申し上げたいと存じます。前回のこの委員会で環境安全上の問題がどのようなものが起きたかという御質問がありました。そのときの回答が正確ではありませんでしたので、再度御説明申し上げたいと思います。
     前回、2回大気への漏出事故があったと申し上げましたけれども、正しくはこれまで3回、大変申しわけありませんが、漏出事故が起こっております。
     平成17年、豊田事業所で大気に対してPCBの排気が出るという事故が生じています。それから、東京事業所におきまして、平成18年3月にこれは排水として、PCBが微量に混じった排水が出るという事故が起こっております。またこの事故の対処のために停止している間でございますけれども、同じく平成18年5月、東京事業所でPCBが揮発して、そこが大気に出てしまうという事故を発生させてしまいました。以上、3件の建物外への漏出というのが起こっております。
     ただ、事後速やかに周辺環境のモニタリングをいたしておりますけれども、幸いなところ、周辺の大気や海水からはPCBは検出されませんでした。これを申し添えさせていただきたいと存じます。
     以上、処理のプロセスを御説明いたしましたが、処理の本体プロセスと並行いたしまして、作業者の安全管理、環境保全というものにも配慮いたしまして、これも作業上大きな労力、時間がかかっておりますので、かいつまんで御説明申し上げたいと存じます。
     これは作業者の作業管理の絵でございます。PCBのあるところは隔離をして、そこを負圧にすることによって、外にPCBが漏れないようにするという仕組みでございます。また、そこに人が入る場合もございますので、作業所の室温を低くしたり換気をすることで、室内での暴露をできるだけ減らすという措置をしているところです。
     これは別の形で先ほど申し上げましたコンデンサのグローブボックスですが、これも隔離の一つの手段でございます。3重か4重の手袋をして作業をするものでございますので、操作性は非常に悪い作業でございます。ただ、安全のために厳重な管理をしております。
     これは必要に応じて段階を追って防護服、手袋などを装着しております。また、暴露量を減らすために、1回当たり作業員が入る時間を2時間とか3時間とかそういうふうに制限いたしまして、暴露を抑えるという措置を行っております。また、定期的に血中のPCB濃度を測定いたしまして、安全を確保しているところでございます。この絵のようなスタイルで作業をいたしますので、特に夏場などは暑くて、なかなか長時間の作業は困難であるという問題もございます。
     全体の管理でございますが、漏洩の対策、労働安全の対策のためにモニタリング監視ということをしっかり行っています。まず、排気処理設備をしっかりつけまして、さらにセーフティネットで活性炭をつけるという形で、排気の面で厳重に外に漏れないという対策を講じております。このためにかなりの量の廃活性炭が発生しております。
     次に、排出源と周辺環境につきましては、定期的にいずれもしっかりとモニタリングしております。また、一部の項目につきましては、オンラインモニタリングといたしまして、常時モニタリングを実施して、常に目標値を超えないようにという配慮をとっているところでございます。
     最後のスライドでございますが、以上のような対策につきまして、常に専門家の方々の助言をいただいて進めております。また、地域の方にも安心していただけるように、関係者とのコミュニケーションということにも配慮をして進めております。
     前回も御説明いたしましたが、PCB廃棄物処理事業検討委員会という形で有識者の方にお集まりいただいております。その中には、作業安全衛生部会として作業環境の問題を専門に扱う部会もございます。また、情報公開につきましては、本日おいでの先生方の監視委員会の場で御説明させていただくということをしておりまして、また施設におきましても、最後、情報公開の取組と書いておりますけれども、各事業所には情報公開ルールがございます。また見学者も随時受け入れているところでございます。JESCO全体として、ホームページでも情報公開をしておりますので、ぜひごらんいただきたいと存じます。
     駆け足で失礼いたしましたけれども、以上で処理プロセスの全体について概要を御説明させていただきました。よろしくお願いいたします。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。ここで一たん切らさせていただきます。おさらいの部分ということでございます。
     何か御質問等ございましたらお願いします。また、御質問のある方は名札を立てていただきますと、マイクが近くに向かうと思いますので、御発言の機会を設けます。いかがでしょうか。
  • 横山委員 JESCOさんのホームページに、各事業の処理対象機器の最大サイズというものが掲載されていますけれども、サイズにつきましては、幅、高さ、奥行きという形で寸法が記載されています。これを見ると各事業のサイズがそれぞれ違う大きさになっているんですね。ちょっとしたサイズになると、受け入れサイズが小さい事業所で処理する場合、トランス等の解体が発生している状況であります。
     できれば、受け入れサイズを大きくする、改造を行うとか。あるいはサイズの小さい事業所で処理できないものは、後の議論になろうかと思いますけれども、事業所間で相互処理、融通し合うとかそういったことが可能かどうか。というのは、当然のことながら、現地で解体作業を行いますと、作業に伴う安全上あるいは環境上のリスクが発生しますし、付帯作業としてのコストも発生してくるということで、保管事業者としては、できればこういった作業は現地で行いたくないという思いがあります。その辺について御見解をお願いしたいんですけれども。
  • 永田座長 もう一人、本多さんのほうも一緒にまとめてさせていただきます。
  • 本多委員 基本的な質問かもしれませんが、3つほどお聞き致します。
     15ページで洗ってもなかなか洗浄液の濃度は下がらないという話がありました。これはそれぞれサンプルによって差が出てくる理由が、多分後々、処理の工期、時間の話につながっていきますので、なぜこういうふうに差が出てくるのかというのを教えていただきたいのが1つ。
     17ページの漏出事故のところが二つ目で、屋内に設置した仮設タンクというのは、ルールどおりされているのかよくわからなかったというところと、同じくその次の、操業停止中に残っていたPCBが気化したとありますが、これは操業停止の手順を守っておられてこういうふうになったのかというところが、二つ目です。
     三つ目で、20ページですが、下から2行目で作業環境が悪化したので、入っている時間が減ったということですが、作業環境が悪化したのは、どういう理由だったのでしょうか。それから立ち入り作業時間が減ったということは、その分、人を増やさざるを得なかったということでしょうかということを、お聞き致します。
  • 永田座長 わかりました。では、まとめてよろしいですか。
  • JESCO はい。それでは、1番目のサイズの点からお答え申し上げます。それぞれの事業所、最大に搬入できるサイズが決められています。一つは道路を運送するような都合。事業所の地元の自治体の方々から、こういうルートを通ってくださいというお話がございまして、ルートによりましては、大きなものを運べない場合もございます。それぞれの事業所において、きっちり処理できるためにということで、現地解体が適切にできる技術開発を行いまして、収集運搬業者の方々に運んでいただいているということです。
     それから、洗っても差が出る理由。後ほど詳しい御説明をさせていただきますが、トランス・コンデンサは千差万別でございます。種類が異なるということと、長期間保管されていて洗浄効果が十分得られないものがあるという点もございます。
     次に17ページの東京事業所関連の御質問がございました。屋外に設置した仮設タンクからPCBを含む排水を送水した際にオーバーフローしたという件でございますけれども、十分に処理、卒業までに一気に至らなかったために、処理途中の水が多く発生してしまって、それを移送中に起こったといったことでございます。
  • 本多委員 東京事業所のオーバーフローした事案の仮設タンクの設置はルールどおりだったということでしょうか。
  • JESCO その際に仮設のタンクの設置につきして、必要な手続きをしていなかったといった問題が当初ございました。
     3番目の東京事業所の事故、液中切断槽の水位が低下したということで、液中で切断することによってPCBが外に出ないようにという仕組みになってございます。要するに水で覆われていることによって、作業中のPCBが外に出ないようにしましょうということで、ヒーターがございましたけれども、ヒーターのスイッチが切断できていなくて起こったといったような事象でございます。
  • JESCO 補足いたしますと、3点目については、操業は停止しております。装置は動いておりませんけれども、とまる前に水中切断槽で切断していたものの、PCBがそこで残っておりまして、施設自体はとめたんですけれども、それが蒸発して出たというものでございます。操業停止自体は守っている中で起きたものでございます。
  • JESCO 最後になりますけれども、作業環境の悪化に伴う対処でございます。作業環境が悪化して作業時間が少なくなった場合に、作業環境を改善するために、例えば室温を下げるための空調の強化をしたり、必要な対処をした上で、また時間を戻すといったような恒久対策も、あわせて実施しています。以上でございます。
  • 本多委員 最後の作業環境の件は、4時間の予定が2~3時間の予定になったということは、その分、人を増員しないと能率が下がりますが、増員されたのでしょうか。それと作業環境が悪化した理由は何だったのでしょうか。
  • JESCO 実際の操業開始以前にシミュレーションを通し、作業環境の濃度を想定しておりましたが、実際の作業をやっていく中で、事前のシミュレーション等で得られた結果より高い濃度が出たということになります。
     おっしゃったような形の人を増加するという対策もございますし、あと、先ほどの繰り返しになりますけれども、作業環境濃度を下げるための恒久対策、囲ったり、温度を下げたりというようなことがございます。一部事業所はおっしゃるとおり、増員で対応しています。
  • 永田座長 よろしいでしょうか。またこの資料のほうに戻って質問のある場合には、続けていただいても結構ですので、先を急がせていただきます。
     それでは資料2、資料3続けて事務局から説明してもらいますが、資料2のほうは環境省、資料3はJESCOということでどうぞ。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 資料2の説明をさせていただきます。資料2は「高圧トランス・コンデンサ等の処理の進捗状況・処理対象量について」ということでございます。
     1ページ目の下にスライド2というのがございます。JESCOの操業以来、処理台数がどのように推移しているかというのをお示しさせていただいております。平成16年に北九州事業所が操業を開始し、順次各事業所が操業して以降、各年度の処理台数、トランス類とコンデンサ類で分けて記載しています。22年度末までの合計が黄色いところでございますが、トランス類で6,214台。コンデンサ類で8万2,586台ということになっております。
     めくっていただきまして、スライド3でございますが、JESCOの全体で見ると、年度ごと、処理の台数は着実に増加しているということがわかるかと思います。
     これがどの程度進んでいるのかということで、そこを確認したいと思います。第1回の検討委員会でも、JESCOの処理の進捗状況はおおむね3割程度という御説明を申し上げました。数字は、後でまた御紹介しますが、JESCO登録ベースで、トランス36.1%、コンデンサ29.3%というのを第1回に御紹介させていただきました。ただこれはJESCOに登録していないものもあります。あとまだ使用しているものも一部ございます。そういったものの台数を入れまして、これが進捗率何%かというのを、もう一度ここで確認させていただきたいと思っております。既存のデータが幾つかあります。それらを用いて一部推計等を行って算出してございます。
     スライドの4ページでございます。スクリーンのほうを見ていただいたほうがわかりやすいかもしれません。このPCB廃棄物は、廃棄物になったものと使用中と横軸にとりまして、縦軸は高濃度か微量かで分けています。JESCOは高濃度のほうだけ処理しているので、緑の部分がJESCOで処理をする対象の機器ということになります。
     PCB廃棄物特別措置法第8条で、PCBの廃棄物の保管者は毎年度、都道府県・政令市に保管状況等を届け出することになっていまして、このデータを使ってあと何台あるかというのを考えるんですが、一部下のほうに紫の枠がはみ出ていますが、これは特措法の届け出データに微量の機器が含まれてしまっていることを表しています。微量は前回御紹介したとおり、特措法の施行後にその存在が判明したということでして、届け出た微量のものと混ざってしまっているという問題があって、ここだけでは推計ができないということです。
     スライドの5ページですが、これもスクリーンのほうを見ていただきますと、JESCOの登録データというのがあります。これは保管業者さんが処理委託をJESCOにする前に、機器情報をJESCOに登録しています。機器番号、型式などを確認しているので、高濃度かどうかという確認がしっかりできております。これを見るとトランス類1万6,735台、コンデンサ類27万8,424台、これがJESCOに登録されている台数でございます。これは処理済のものも含んでおります。
     さらに緑の部分が残っておりますが、特措法の届出済だけれども、JESCOに未登録というものがあります。これを両方のデータを突き合わせをしましてカウントするとトランス類が770台、コンデンサ類が3万1,155台ということになってございます。
     さらに右側に使用中というものがあります。スライドの6ページになります。使用中は、実は廃棄物になっていないので、PCB特別措置法第8条の届出義務は課されておりません。ということでPCB特別措置法のほうからは把握できないのですが、一方で電気事業法に基づく届出制度があります。
     参考資料2というものを、後ろのほうに別紙で1枚配っております。「電気事業法に基づくPCBを含有する電気工作物の届け出(参考条文)」という1枚です。
     電気関係報告規則というものがありまして、これに第4条が、公害防止等に関する届け出ということで、電気事業者、自家用電気工作物を設置する方が、経済産業省や産業保安監督署に届け出をするというのがあります。1号は大気汚染防止法、3号はダイオキシン、15号の2で下線を引いてあるところがありますが、電気工作物でPCBを含有する絶縁油を使用することが判明した場合には届出をするということで、使用中の届出というものが制度としてございます。これを、原子力安全・保安院から御提供いただきまして推計してみました。
     ここにJESCO未登録使用中というのがありますが、これは、電気事業法に基づく届出データでトランス類307台、コンデンサ類1万9,790台、約2万台あるだろうと。これはある地域のデータを使ってJESCOの登録データと一つ一つ突き合わせをしてみました。JESCO未登録であって使用中というものをカウントしまして、その割合をほかの地域も同じであろうということで推定し、このような数字を出しています。
     一方で、実はまだ緑の部分が少し残っておりまして、どうしてもまだ未届けのもので把握できていない部分がこれでも残ってしまいますが、ここは今回は処理対象量として把握し切れていませんので、これはこれで別の課題として、次回以降でいつか議論できるところもあるかもしれませんけれども、今回の処理対象機器としては、ここは入れてございません。
     スライド7ページ目で最後まとめていますけれども、[2]JESCO登録台数、[3]PCB特措法届出済でJESCO未登録。[4]JESCO未登録で使用中というものの数字を全部合わせますと、ランスで1万7,812台、コンデンサ類で32万9,369台。これは処理済の台数も含んでおります。これをもちまして、各事業所ごと、エリアの数字も出ていますので、事業所ごとに振り分けますと、最後のスライドのようになります。大体トランス類で35%ぐらい、コンデンサ類で25%ぐらいということで、若干前回御説明したJESCO登録ベースよりも、数値としては下がるということになります。現在の進捗率ということでございますと、推計ではございますが、おおむねこの程度だろうということで御説明をさせていただきます。
  • 永田座長 ありがとうございました。資料3をお願いします。
  • 矢尾板社長 資料3の説明の前に、先に一言だけ私から御説明させていただきます。資料3の後ろに資料4がついていますので、そちらのペーパーを先にごらんいただけますでしょうか。後ほど再度細かく御説明いたしますが、横向きの1枚もののペーパーでございます。
     これはこれまで処理量が毎年伸びてきたわけですけれども、その実績を踏まえまして、直近の処理実績のペースで、今後処理を進めた場合に、処理が完了するのがいつかという年限を図にしたものでございます。もちろん処理を継続するということにつきましては、施設の地元自治体、住民の方々の御理解をいただくということが必要でございます。
     ごらんいただきまして、対象物の種類によりまして早く終わるもの、時間がかかるものがございます。全体として一言で申し上げますと、大型トランス、それから豊田事業所の車載トランス、新幹線で使われていたものでございます、これに時間がかかるという今の見込みでございます。
     横のグラフを縦にしたものが下の2つ、一番下縦の棒グラフをごらんいただきます。年々の処理量の実績、それから、今後の推移をグラフにしたものでございます。冒頭申し上げましたように、現状のペースで処理が進みますと、現在の処理期限、平成27年度末まで、トランスで約8割まで、コンデンサでは7割まで処理ができる見込みでございますが、10割には達しないという、大変申しわけない見通しでございます。
     今後この委員会の御意見も踏まえまして、また環境省の御指導もいただきながら、処理促進に一層取り組んでまいりたいと思います。先にこの点だけ私から御説明させていただきます。
     それでは資料3にお戻りいただきまして御説明を続けます。
  • JESCO 資料3におきましては、トランス・コンデンサの処理の現状と処理の遅れの原因について御説明いたします。これも各事業所ごとの説明もさせていただきますので、少し時間をいただきまして御説明申し上げます。よろしくお願いいたします。
     まず、2ページの事業の特性に伴う困難性でございますけれども、JESCOの高濃度のPCBの処理事業には、幾つかの特徴的な条件がございます。これが処理の進捗の難しさという問題にも影響しているところでございます。
     まず、処理物の多様性、複雑性としておりますけれども、対象となるトランス・コンデンサというのは、非常に多種多様でございまして、また規格品でないものも多いということがございます。また、30年以上前につくられたものですので、さびたりとかよくわからないものになっているというようなこともございまして、これが1つ処理を難しくしている要因でございます。
     次の点でございますが、我が国では高濃度のトランス・コンデンサ処理に化学処理という方式をとることで、施設の立地につきまして、地元の関係者の皆様の御理解をいただいて、着手することができたというところが大変重要な点でございます。欧米について見ますと、化学処理というのは、低濃度のPCB廃棄物に用いられているのみという状況でございます。このように我が国では化学処理を中心とした処理システムをとりましたけれども、これは先行事例がほとんどないところで着手いたしましたので、特に前処理の部分を中心に操業してみて初めてわかるという問題が発生したという状況でございます。
     そして我が国ではPCBの拡散を防ぐために、閉鎖系での処理ということを厳重に行っております。これが一方では、作業環境中のPCBのために安全な労働環境の確保に大変苦労するという条件にもなっております。さらには大前提として厳重な安全対策ということで、慎重に操業を進めているという条件もあるところでございます。
     次の3ページ目をお願いします。これは海外と日本の作業状況の比較です。どちらもトランスですけれども、扱っているものが少し違ったり、あるいは中のPCB濃度が異なる場合もございますので、厳密な比較というよりも大まかな比較としてごらんいただきたいというものでございます。左の欧米では、一般にこういったオープンなところで、簡易な装備でやっているというのが通常と聞いております。一方、日本におきましては、右側の絵のように、厳重な保護具をつけて作業をしているということをごらんいただきたいと存じます。
     パワーポイントの次のページ4番をお願いいたします。それでは、具体的に稼働の低下、処理の遅れがどういうところで出てきたかという御説明をさせていただきます。
     まず大きく二つのうち、液処理のプロセスにつきましては、当初着手するときは、経験が少ないということから、本当に問題なく処理が進むのかどうか、大変心配して慎重に取り扱ってまいりました。しかしながら、結果としてはおおむね順調に進んでいるということを申し上げてよいかと存じます。
     ただし、東京事業所におきましては、水熱酸化分解方式という、他とは異なる処理プロセスをとっておりますけれども、初期トラブル等に悩まされた時期が相当ございました。しかし、ここ数年は、安定した処理を継続しているというところにこぎつけてございます。
     一方、二つ目の点の缶体や内部構成部材の処理、ここで実際に操業を行ってみると、多くの課題が明らかになったというのが実情でございます。一番下の点のところで書いておりますように、特に揮発してくるPCBによって作業環境の悪化という問題が生じたことが、この主要な原因でございますので、この問題について口頭でありますが、御説明差し上げたいと存じます。
     この問題に関しては、一つは平成16年ごろJESCOの処理を開始した時点では、揮発してくるPCBによる作業環境中の濃度上昇ということについては、十分な認識が学問的にもまだかったということが、重要な1つの背景でございます。二つ目としましては、当時ダイオキシンが大きな社会問題となりました。このため、ごみ焼却施設の炉を解体する現場について、極めて厳しいダイオキシンの労働作業安全衛生基準というものがつくられたときでございます。ちょうどその直後にJESCOも操業を始めたということが、もう一つ重要な点でございます。
     我が国におきましても、PCBの中のコプラナーPCBは、ダイオキシン類に含まれておりますので、PCBの処理でもPCBだけではなく、ダイオキシンの厳しい基準を満たすことが必要になったわけでございます。
     以上のもとでありますが、JESCOの施設といいますのは、先ほど申し上げたように、環境汚染を防ぐために、欧米にも余り例のない、完全に建屋の中で負圧管理をするという閉鎖系の施設でございます。外見的に見ますと、一見大がかりで豪華というふうに見える場合もございますけれども、そういった施設になっておりますのは、このような閉鎖系の要請によるところでございます。
     したがいまして、搬入されたトランス・コンデンサは密閉した部屋で処理作業を行うことになります。施設の建設に着手したころには、常温でのPCBの作業環境中への揮発というのはわずかであるというのが、科学的な認識でした。このためトランス・コンデンサを抜油して、ある程度予備洗浄をすれば、それで解体作業を行っても部屋の中のPCB濃度が余り上昇することはないという判断のもと、ダイオキシン類の基準をおおむねクリアできるだろうと考えて、施設の設計、建設、操業を行ったわけでございます。
     しかしながら実際にやってみますと、この揮発してくるPCBによって、作業環境が悪くなるという問題が生じましたために、特に操業の初期を中心に、解体する能力が低下して、処理が遅れる原因となってしまいました。これを克服するために、作業環境の安全確保ということに非常な努力を払ってまいったところでございます。
     パワーポイントに戻りまして、5ページをごらんいただきたいと存じます。それでは、具体的なこの問題の取組の経過について、御紹介申し上げたいと存じます。
     当初どういうことをやったかということですが、全体の施設の設計に当たりまして、作業従事者の安全確保策の基本的考え方を整備して、これを各事業所の設計に反映しております。それから、最初に事業を開始いたしました北九州の施設については、さらにこの施設の設計と並行して、労働安全衛生の専門家会合を開きました。この施設に即した形の安全衛生対策。例えば具体的な管理区分を定めるとか、作業管理、健康管理の方法をどうするといったことを御検討いただきまして、取りまとめたわけでございます。
     こういった準備をした上で運転に入りましたが、運転に入ったところ、初めて実際のPCBの作業環境濃度がどうであるかという状況が確認できましたので、それに応じて、また追加対策を講じてきております。
     次に以降、開始した事業の操業後の対策について御説明申し上げます。北九の操業の開始後半年たった17年5月ぐらいに、JESCO、当社の作業安全部会というところで、それまでありましたダイオキシン類の濃度測定に加えまして、血中PCB濃度というものを指標として、労働者の保護をどうするかという目安を策定していただきました。
     一方、これはJESCOでございませんけれども、平成17年2月に厚生労働省から、「PCB処理作業に関するダイオキシン濃度やその取り扱いについて」という取り扱いが具体的に出されたわけでございます。このため、その後、これらの内容を踏まえて具体的な対策を進めることとなりました。
     次の豊田、東京、大阪の事業所につきましては、平成17年度から18年度にかけて相次いで稼働が始まっておりますけれども、実際に行ってみると、血中PCB濃度の上昇が見られましたので、作業安全部会の委員からさまざまな提言をいただきまして、作業従事者の健康保護のために、まずは作業制限や処理量の制限といった緊急対策を実施いたしました。このため、処理が低下するという影響が出たわけです。その後は、例えば作業室内の換気をよくするという対策、それから予備洗浄を強化するという対策。さらにはPCBが付着した壁や床を清掃するということまで、このダイオキシン・PCBに関する作業環境対策を強化してまいりました。これにより、作業環境の悪化による解体作業の低下ということを改善しまして、処理量を伸ばすという努力を今日に至るまで、鋭意続けて、現在に至っているところでございます。
     次の6ページのパワーポイントをごらんください。これについての詳しい説明は省略いたしますけれども、大阪事業所における作業環境濃度の問題と、作業時間の制限の状況などについてまとめたものでございます。
     当初1日1人当たり4時間としていたところ、これを2時間ないし3時間に制限する必要が生じて、この結果、処理台数もそれに応じて減少したところでございます。
     次の7ページをごらんください。このような経過を申し上げますと、PCBの揮発の程度について、まず十分に明らかにした上で事業をすべきではなかったかという御疑問もあろうかと存じます。しかしながら、JESCOだけでなくて、施設を建設した業者、御助言をいただきました学識者の方も含めて、常温で揮発してくるPCBで作業環境が濃度上昇するということはごくわずかであろうというのが、当時の一般的な知見でございました。
     また、当時は、この年表にございますように、不明・紛失のPCBトランス・コンデンサが約1万1,000台といった事実が明らかになり、早急にPCB廃棄物の処理に取りかかるべきだということが、極めて強い社会的な要請でございました。
     また、POPs条約が締結されて国際的にもPCB処理が義務となった時期でございます。このためJESCOといたしましては、できるだけ早く処理に取りかかるということで事業を進めまして、結果としては、実際に事業を実施する中で、試行錯誤を重ねながら処理方法を改善するということに、最大限の努力を払って取り組んできたところでございます。以上、全般の状況、原因についてでございます。
     次のパワーポイントをごらんいただきたいと存じます。ここから具体的に事業の進捗状況とそれから各問題につきまして御説明させていただきたいと存じます。
     このパワーポイントは、平成22年度までの処理の予定とそれから実績をグラフにしたものです。これは全社、5事業所を足し合わせたものでございます。
     グラフの一番上の天井の線が、毎年毎年の処理の予定量の線でございます。一方、青紫の部分が実際に処理ができた実績量でございます。年を追うごとに、順次新しい事業所が開きましたので、そういったことで処理予定量は、階段状にふえております。実績を見ますと、年を追うごとにこれも向上いたしまして、予定との差がだんだん狭まっているということをごらんいただけると存じます。
     したがってこのグラフの一番上と、それから青紫の間の黄色ですとか緑の部分。これが予定まで処理できなかった部分ですので、その内容につきましては、凡例で御説明申し上げたいと思います。
     まず、黄色の稼働低下というところは、操業後に顕在化しましたいろんな問題によりまして、なかなか稼働が上がらなかったという部分でございます。
     次のピンクの操業停止ですが、これは事故とか設備の不具合といった問題によりまして、長期的に何カ月か停止するということを余儀なくされた部分でございます。施設がとまっている時期でございます。
     それから、緑の段階的立ち上げでございますが、これは、操業の当初、事故を起こした後とか、あるいは先行の事業所の状況を見まして、段階的に立ち上げるということを行った結果、少し遅れているという問題でございます。
     後先になりますけれども、操業開始の遅れというのは、施設の設置の遅れなどで、一番最初の時期に開始が遅れましたという部分でございます。
     全社として見ますと、申し上げましたように、平成22年度までの予定台数の5割程度の達成という数字でございます。一方、各年について見ますと、年々予定処理台数に近づいてきておりまして、直近では8割程度まで実積が上がってきているところでございます。
     以下、各事業所ごとの状況と遅れの状況というものについて、御説明申し上げます。この絵は北九州事業所です。まず平成16年度だけ、ガタッと低いんですけれども、これは年度の途中から操業を始めましたので、1年分ではないということで低くなっているものでございます。以下のほかの事業所も同じでございます。
     また、北九州につきましては、2期の増設がございますので、途中でコンデンサの処理予定が段階的にアップしているというものが、ちょっと特徴でございます。
     グラフをごらんいただきたいと存じます。まず20年度から21年度にかけまして、第2期増設の開始に当たりまして、やや開始が遅れたということ。それから、段階的にやや慎重に立ち上げたというところで、少し遅れが出ているところでございます。
     またそれ以外の状況を右に文章で書いておりますけれども、北九州につきましては、特に車載トランスについて作業環境を良好に保つために、予備洗浄に時間を要しておりまして、当初設計を大幅に上回る時間が必要となったわけです。これに対して、洗浄時間を長くすることで処理のペースが落ちないようにするために、例えば、洗浄ステーションを増設するとか、洗浄方法の変更を行うということで、努力いたしまして、所定の能力までほぼ回復して操業しているという状況でございます。
     次は豊田の事業所です。豊田につきましては、先ほど御説明しました、平成17年度に施設外への漏洩事故を発生させてしまいました。このため、長期停止がございました。これに加えまして、平成19年度と22年度に、設備の不具合などをきっかけといたしまして、処理体制をしっかり見直すという対策のために、2回長期停止をかけております。その分処理が低下しているところです。豊田では木や紙といったPCBがしみ込んだ内部部材、含浸材を洗浄して真空加熱処理をして卒業させるというプロセスがありますが、この処理に非常に長時間かかるという問題がございます。
     また、1回処理した上でテストして卒業基準を満たさないという場合には、また最初に戻って処理を行うという繰り返しになりますので、こういったことで処理が遅れる原因となっているところでございます。
     また豊田地域では、新幹線などの鉄道車両に用いられました車載トランスというのが多数ございます。車載トランスといいますのは、コンパクトで列車の振動に強くするために、内部に大量の木が用いられております。作業環境保全のため、予備洗浄をしようとしても、洗うのに非常に時間を要するということになってしまいまして、処理が進まない1つの原因となっております。
     車載トランスの処理促進をこれからさらに進めようと思いますと、予備洗浄とか解体現場の改造が必要になってまいりますけれども、豊田事業所は狭くてスペースが限られておりますので、どのような処理方策がとれるかということを検討しておりますが、まだ現段階では、よい知恵が出てきていないという状況でございます。
     次のパワーポイントの11ページでありますが、これが豊田を例にした含浸物処理の長時間化という状況でございます。当初の設計では、40分3回の洗浄と真空加熱で全部卒業できる計算でしたけれども、合格率がそこまで上がらないということがわかりましたので、洗浄時間の工夫とか稼働時間を延長して改善をしてきております。なお対策を検討しているところでございます。
     次のページをお願いいたします。これが豊田で含浸物が卒業できなかったものについて、再度処理するために重なり合ってくっついた紙や木を一つ一つ手作業ではがしまして仕分けをしているという図でございます。ごらんのように、大変時間と手間、人手がかかる作業が必要になってきているわけです。
     次は東京でございます。東京につきましては、初期の漏洩事故を御説明しましたけれども、これによる長期停止がございました。またその再開の過程で、行政の指導もございまして、段階的な立ち上げで慎重に進めてまいっております。この部分が、まず処理が遅れている部分でございます。
     右側でその他の要因について書いてございますけれども、東京では平成19年度、稼働後間もなくですけれど、血中PCB濃度が上昇するということが認められました。このため、作業のために域内に入る時間を厳しく制限するということを行わざるを得なかったところでございます。これに対しては作業エリアを囲い込んだりあるいは空調の温度を下げるという対策を重ねております。例えばこの空調の強化というのは、非常に有効な対策でございますけれども、これ以上下げようとすると結露するといったことで、その対策も必要になるという問題がございますので、なかなか難しい面がございます。
     次に、スラリー処理の際の水熱酸化分解設備の冷却器の閉塞という問題が生じてございます。この水熱酸化処理というのは、PCB油など有機物の処理には強いのですけれども、一方、コンデンサの素子の中には、どうしてもアルミが含まれています。このアルミで冷却器が閉塞してその詰まりを除く作業の間、どうしても処理が滞ってしまうという問題があるところでございます。資料に書きました対策を、現在とっているところです。
     次に3点目ですが、排気系統のPCB濃度高々といっておりまして、一定の高濃度のレベルを示す言葉でありますが、これによる自動停止の影響がございます。東京の事業所では、排気につきまして、最終の活性炭を置いているその前で、排気中のPCBを自動モニタリングしておりますけれども、この自動モニタリングで一定の高濃度PCBを検出すると、施設が自動的に停止する仕組みとしております。これがPCBの揮発によりまして、瞬間的に高い値を検出することがあるために、自動停止になりまして、これによって数日、再開のために時間がかかってしまうという問題がございます。このために、活性炭を強化増設するなどの対策を行っているところです。
     東京の事業所につきましては、このように幾つかの問題がございましたので、現在、当初予定した処理量の6割程度の段階に達したというところでございます。これをさらにアップするということが必要でございますけれども、これにはかなりコストもかけ、相当なチャレンジをしていくということが必要ではないかと考えているところでございます。
     次は大阪事業所です。大阪では、当初、操業開始の遅れがございました。また、先行事業所の経験を踏まえ、初年度はやや段階的に立ち上げを行ったというところの影響がございます。大阪では、右側でありますけれども、トランスの解体室におきまして、作業環境濃度が上昇する。また室温が上がりますと、さらに濃度が上昇するという問題が出ており、これによって作業時間の制限をかけているところでございます。対策といたしましては、予備洗浄の強化、切断装置を囲い込む、局所の排気装置を設けるといったことを行っております。
     次にコンデンサの中にポリプロピレンを用いているものがございまして、これはPPコンデンサと呼んでおります。これを真空加熱炉で処理いたしますと、破裂して部材が中に飛び散るという問題が、操業してみて出てまいりました。このために、あらかじめ穴を開けて鉄の箱に入れて処理するということを行っておりますので、このために処理台数が減ってくるという問題が生じております。
     その様子について、次のパワーポイントをごらんいただきたいと存じます。これは大阪の真空加熱炉の入口から見ている絵です。上の右のぐちゃぐちゃっとなっていますのが、PPコンデンサが中で破裂いたしまして、中身が飛び散っている絵でございます。こういう状況になります。通常の場合、左、これは紙を絶縁紙に使用したコンデンサですが、この場合ですときちんとこういう形で、ぎちぎちに詰め込んで効率よく処理をすることがございます。ところがPPコンデンサはこれができませんで、下の左にありますように、ちょっと見づらいんですけれども、丸の中に四角の鉄の箱が入っているのがおわかりかと存じますけれども、こういう鉄のケースに入れて処理するものですから、中に詰め込める台数がかなり少なくなるという問題がございます。
     その絵の右側は、処理後にこの鉄の箱を開けたところでございますけれども、中の部材ポリプロピレンが破裂はしないんですけれども、穴を開けたところから噴き出しているという状況がおわかりだろうと思います。こういった問題が生じております。
     最後に北海道でございます。北海道は、最後に開いた施設でございます。施設の完成の遅れから、操業開始に遅れが生じております。また、先行の他事業所の経験を踏まえまして、段階的に立ち上げを行ったというところで、最初のところで少し処理の遅れが生じております。
     一方、北海道では、先行の事業所のいろんな改善の事例を踏まえまして、施設使用の前に、作業環境安全の専門家に入っていただきまして総点検を行って、事前に改善できるところを改善をしております。こういった経験を踏まえまして、当初作業所に入る入域時間を制限いたしましたけれども、除染する、きれいにするエリアを追加するとか、あるいは車載トランスの予備洗浄のステーションを追加するといったことを行って、処理を伸ばしてきております。このためスタート後は、比較的早く処理予定の8割程度までこなせるようになってきている状況でございます。
     以上が5カ所の事業所それぞれの状況の説明とさせていただきます。以下、少し時間をいただきまして、残りの説明をさせていただきます。
     次の17ページをごらんください。これは処理対象物の搬入における問題点という横断的な問題でございます。各事業所の処理ラインというのは、大型トランス用とかコンデンサ用とか、種類に応じて幾つかのラインを設けております。このために搬入する物の種類が偏ってしまいますと、幾つかの全ラインがフルに稼働できずに、処理効率が落ちるということになってしまいます。できるだけバランスよく搬入できるように、例えばたくさんの種類のものを持っている大口の保管者さんと相談して、その中で今回はこれが必要なのでということで、搬入物の種類を調整していくといった努力をしているところでございます。
     しかしながら、保管者さん全体を見ますと、いろんな組み合わせで持っておられますし、あるいは1台、2台しか持っていないという方がいらっしゃいますので、そういった中から常に全ラインの能力に合った形で組み合わせて、うまく搬入するということは非常に難しいことでございます。
     また、産業廃棄物処理施設というのは、廃棄物を保管できる数量にかなり厳しく制限がございます。このためたくさんストックを持って、その中からそのときそのときで必要なものを抜いてうまく入れていくといった調節も非常に難しいという状況がございます。
     この問題は現在でも出ておりますけれども、今後処理が進みまして、残りの台数が少なくなると、より一層この調整が難しくなっていくことが見込まれるところでございます。
     次に最後でありますが、パワーポイントの18ページをごらんください。2次廃棄物の問題について御説明いたします。これは現在処理に大きく差し支えるというよりも、今後処理に影響を及ぼすと考えられる問題の一つの重要な問題でございます。2次廃棄物といいますのは、トランスやコンデンサを処理する過程で副次的に発生します、PCBに汚染された廃棄物です。例えば活性炭ですとか作業者が使いました保護具というものでございます。これはPCBが当初想定したよりも、作業環境中に多く揮発するということのために、作業環境とか外部環境を守るために、例えば活性炭の量をふやして交換頻度を上げてやるということによって、廃棄される活性炭がふえてくるという問題です。
     また、作業者を守るために防護服の使用をふやすということで、これも2次廃棄物が増えるということがございまして、当初の計画よりも廃棄物が増えてきております。
     また、ほかの種類といたしましては、大阪・北九州では真空加熱処理というプロセスがございますけれども、このプロセスから副次物として、タール、木酢液という液体状のものが出てまいります。また、これらを処理するために活性炭で処理いたしますので、こういったものを含めて、液状のPCB廃棄物の2次廃棄物というものが発生しております。
     以上の2次廃棄物は、今、5事業所でドラム缶で1万5,000本まで達しておりまして、どこの事業所でも保管できるスペースをぎりぎり使いまして保管し続けているという状況でございます。
     大阪の事業所につきましては、この中でPCB濃度の低い2次廃棄物について、本年春から外部倉庫を活用した保管を行っております。地元の大阪市さんには多大な御尽力をいただきまして、大阪事業所の近くに保管場所を確保することができたところでございます。この場をお借りしまして、大阪市当局の方には、お礼を申し上げたいと存じます。
     豊田とか北九州の事業所では、一部事業所内で2次廃棄物の処理を行っておりますけれども、これを処理すると、その分トランス・コンデンサの処理に響いてしまうという問題もありまして、なかなか難しいところがあるわけでございます。
     次のパワーポイントをごらんください。これが今御説明をしました2次廃棄物の写真でありまして、左側の保管状況、ドラム缶で保管をしているという状況。それから右側がいくつかの2次廃棄物の例でございます。
     以上、大分時間をいただいて御説明申し上げましたけれども、進捗の状況と遅れの原因、問題について再度まとめましたのがこのスライドでございます。処理の遅れの原因といたしましては、その中心は、缶体、内部構成部材というところの処理プロセスでございまして、操業を行ってみて新たな問題が判明して、その対処をしてきたというところにあると考えております。
     この中で最も大きかったことは、POPs条約ができたといったことを受けて、緊急にPCB廃棄物の処理を進めなければならないんだという当時の強い社会的要請のもとに、PCB特措法が制定されて、JESCOが事業を開始したわけでございますけれども、操業をしてみますと、揮発してくるPCBによって作業環境の濃度が上昇するという現象につきまして、当時の専門的な知見よりも、これが大きかったということが判明いたしました。繰り返しになりますが、ここが非常に大きな要因でございました。
     また、同じ時期にダイオキシンについて、非常に厳しい作業環境基準ができまして、これをこういったPCBの揮発のある中でどうやってクリアして、労働安全衛生に配慮しながら、いかにして速やかな処理を実現していくかということに、これまでJESCOとしては注力をしてきた次第でございます。
     以上、御説明させていただきましたが、委員の先生方には当時からさまざまな形で御助言をいただいたり、御指導をいただいた先生方もいらっしゃいますので、今の私の説明の中で足りないところがあれば、御指摘、御見解をいただければ幸いなところでございます。どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。最後に説明者のほうから話がございましたが、特に労働安全衛生の関係、伊規須先生、何かJESCOの説明に加えて補足する点がありましたら、御発言いただけますでしょうか。
  • 伊規須委員 私は作業安全衛生部会の主査をしております。この事業に初期からかかわってきた者です。
     この仕事の難しさの元にありますのは、まだPCB、それからダイオキシンがどのように人の体に影響を及ぼし得るのかというのが、完全に解明されているわけではないということがあると思います。したがって、こういう対策をするときにはやはり安全サイドに立ってものを考えるということが、基本的に重要です。そういうふうなことで慎重に進めておりますので、時間がかかるということがあると思います。
     それから予測が困難なこと。例えば、一番最初、非常に議論になって、最近は大体そこら辺の見当もついてきつつあるかなと思いますのに、PCBとダイオキシンの実際の作業環境中における濃度があります。こういうのも全く実際の値はわからない状態で始めました。最初は本当に手探りで始めた状態です。
     さらに、作業環境中の濃度、作業環境の気中の濃度というのは、作業者に対する負荷の程度を考える上で非常に大事なわけですが、PCBはそれだけでなくて、皮膚からも入ります。消化管からも入ります。要するにどういうルートからでも人の体の中に入ってくるということで、非常にやっかいな物質です。そういうものを扱っておりますので、やはりどうしても時間がかからざるを得ないということが言えようかと思います。
  • 永田座長 ありがとうございました。処理技術的なところで、酒井先生のほうからも発言を願えれば。
  • 酒井委員 ありがとうございます。5年ないし7年の操業のレビューを丁寧にされて、課題等も含めてうまく整理をされておられると思います。多くの課題があるという御説明でございましたが、それぞれの課題の原因あるいは背景、これは相当それぞれ複雑であることは理解しなければならないと思うのですが、加えて課題がそれぞれつながっているといいますか、相互に関係しているということの理解もしなければならないと思っております。例えば今日はPCB自身の揮散の指摘が多くなされましたが、それは、結果として、十分な安全対策の必要性につながり、それは施設対策としての作業環境の対応、すなわち活性炭でちゃんと除去してから、系外へ出さなければいけないということにつながる。その結果として2次廃棄物を多く発生して、今、保管が非常に多くなっているという、そういう意味で課題一つをつぶしていこうとすることが、またその次の課題につながるという、そういう連鎖があったということも、十分に理解をしておかなければならないだろうと思います。
     そういう中で、こういう取組に対して、試行錯誤的に物事を進めてこなければならなかったということ。あるいは処理技術的な改善をトライ&エラーでやらざるを得なかったということは、やはり経験のないプロセスに対しての取組としては、やむを得ない。やむを得ないというよりも、これは必須であったのだろうというふうに思っております。
     特にPCBの揮散の話は、盛んに言われましたけれども、この揮散の問題というのはPOPs条約の中でそもそもなぜPCBをPOPsに指定したのかという点に関係する話です。長距離移動可能性という意味で、極地、北極、南極まで動くということの課題とつながった問題であります。処理の過程で開放系でPCBを出せば、これはその処理の過程で極地まで移動させてしまうと。それは必然的に防がなければならなかったという認識を、我々は持ちつつやってきたということでありますので、その取組に関しては、世界に対しても胸を張っていいのではないかという認識を持っております。以上、補足させていただきました。
  • 永田座長 ありがとうございました。
     それでは、委員の方、それからきょう冒頭に御紹介のあった監視委員会の委員長の先生方、議論に参加していただきながら、御質問、御意見等がありましたら、お願いしたいと思います。いかがでございましょうか。どうぞ中杉先生。
  • 中杉東京環境安全委員会委員長 東京の監視委員会の委員長をしています中杉です。私は東京のことを見ていますので、東京のことが中心のお話になるかと思いますけれども、全体にも少し絡んでくる話かと思います。
     全体に各事業所での稼働がうまくいかなかったというのが、大きな理由であるということを言われたんですが、稼働がうまくいかなかったというのは、いろんなプロセスがあって、どこかのネックのところでとまっちゃうわけです。全部がうまくいかなかったのか、どこがうまくいかなかったのか。そのうまくいかなかったところはどういう理由なのかということの解析が必要なのではないか。これは全体で見てしまっているので、よくわからないところがあります。そういうのは、得意なところ、得意でないところというお話がありましたので、そこら辺もう少しわかってくるのではないかということが1つ。
     もう一つ、東京事業所はごらんのように非常に遅れているので、これはいろんな理由があるんですけれど、今一番私が懸念していますのは、資料3の13のスライドを見ていただくと、このごろ徐々に上がってきています。やや上がってきていますけれど、今はほぼうまくいっているという御説明を受けます。でありながら、このレベルであるということは、すべて問題が解決したときに、どこまで行くんだろうか。当初の設計というのが正しかったのかどうかということを見積もらないといけない。これは非常に重要なことで、一生懸命改良の努力をしても、ここまでしかいかないとなれば、逆に言えば、能力をどういう形かしらないけれども、ふやさなければいけないことになります。そこら辺の見極めというのが必要だろう。もうそういう時期に、今回はそういう時期に来ているのではないかというふうに思います。
     東京の監視委員会でも委員の先生方が、皆さん状況を見ながら、これは多分終わらないなと思っておられる。共通の認識としてそうなんですが、だれも言い出せないという状況になっています。今回、ようやくここでこういう見直しをやっていただいたということが、東京の監視委員会のメンバーとしては、やっと一歩進み出したなという思いでございます。ぜひここで、うまい解決策。延びるということに関して、もちろん地元は非常に反発があるかと思いますけれども、より安全にやるということのほうが重要でございますので、それを踏まえながらしっかりした見通しを示すことが必要ではないかというふうに思います。
  • 永田座長 ありがとうございました。ちょっと今、示していただいている図なんですが、今、中杉先生が御指摘の中で、稼働低下という言葉で整理されているものがあるんですけれども、これって実は下の操業停止とか段階的立ち上げ、あるいは操業開始の遅れ、それ以外のものという意味合いのほうが強いのではないかと思うんです。そういう意味では、これを最初に切り出せるものではないんだと。
     見方を変えれば、その他という類のものに該当してくるわけで、今その内容について、それぞれの事業所ごとにいろいろあるのではないでしょうか。あるいはボトルネックのところはどこなのかという解析も含めて、そういう意味では、もう少し詳細な、今後の処理量アップ対策も含めて、考え方を整理しておかなければいけないので、それぞれの事業所ごと、対象物ごと、どういうところが問題なのかというのをもう少し詳しく示してほしいというお話だと思います。それは出せますよね。次回にでも、あるいはこれからまた追加で資料の要求があるかと思いますので、それに対応していってもらいたいと思います。
     そういう中で、先ほどのお話のような安全性と処理の効率性、これを両立するような方向で対応していかなければいけないわけです。その辺のところの議論のためにも必要なデータだろうと思います。よろしいでしょうか。
     どうぞ、浅野先生。
  • 浅野委員 今の永田先生のご指摘に関してです。資料5でまた後で議論することになるのだろうと思いますが、今の御説明をおききして、それぞれの事業場の事情はある程度わかったのですが、もっと細かく見ていかなければいけないという座長の御指摘どおりだろうと思います。
     とりわけ、それぞれの事業場ごとに処理の方式が全く違うというのを初めて知りましたので、何でこんなことになったのだろうと正直思うわけです。しかしもう運用が始まった以上しょうがないわけです。同時に、それぞれの事業場ごとに処理されるものの特性が、かなり違うということもよくわかったわけです。
     ということはこの事業場はこれが強いとか、別のこの事業場はこれが強いということがかなり明確になってきたと思うので、こういうものはここでならうまくやれるとか。ここではこんなものはうまくいかないとか、そういったことについてもちゃんと整理をしておかないと、先の議論ができないのではないか。何となくそれぞれのブロックごとにそれぞれが勝手にやるというのでは、一つの会社が事業をやっている意味すらないわけでしょう。もともとの各事業場立ち上げのときの事情はよくわかってはいるのですが、ここまで来て、今までと同じようにいつまでも続きますというのでは、納得する人が少ないでしょうから、多くの方々の納得を得るためにも、どこまでどこがどういうことが強い、どこは弱いということを明確に示していく以外ない。
     今さら全部のプラントの方式を変えるなど不可能である以上は、今ある施設をいかに上手に使うかということを考えなければいけない。そういう意味でも、さらに細かく各事業所ごとの特性・特色をはっきりさせる必要があると思います。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。森田先生、どうぞ。
  • 森田委員 一部の遅れという話をJESCOのほうから教えていただきました。遅れているのではないかという御議論があるような気もするんですが、私の感想といたしますと、よくここまでできておるなというぐらいの感想です。
     実はPCBの処理が難しくなっていった理由というのは幾つかあるんですが、一つは化学処理というのが一つの選択肢として議論をされた。第二の原因は、環境側の、例えば環境中に出さないようにという非常に強い制約、さらには労働側の、非常に厳しい数値目標。それが合わさってでき上がっていて、個々のものが非常に難しいところをとにかくクリアしながらやってくると、この程度のことが起こるのはしょうがないかなというのが、全体としての印象です。
     それはもうちょっと詳しく説明しないとここのところはわからないということがあるかもしれませんが、例えば労働サイド、労働安全衛生に関するような基準というのは、極端に厳しいです。特にこれはPCBの問題とダイオキシンの問題を一緒に組み込んでしまったために、従来のPCBの基準を満たしていても、ダイオキシンの基準は満たしていない。つまり同じものであるにもかかわらず、ダイオキシンの条件を満たすために10倍厳しくしなければいけない。これがまずひとつあります。
     この事業そのものがダイオキシンの発生する事業所として認定されなければ、あるいはクリアできたのかもしれませんが、そうでない選択肢がとられたために、非常に難しくなって、しかもその難しさの程度というのは、例えばダイオキシンの基準について言えば、日本の労働衛生環境での基準というのは、ドイツの20倍もしていますので、極端に厳しいという状況でとにかく動かしている。
     第2は、通常、労働衛生上、安全性を担保するためにやられていたやり方は何だったかというと、排気筒から建屋内にある有害物質を排気して外へ出すというそういうアプローチだった。例えばドラフトとかそういう形で環境に放出することによって、作業者の健康を守るというのは基本的なアプローチですが、それは今PCBに関しては封じられている。だから外に出さないように、非常に厳しくやらないといけない。
     そのために、職場環境の安全を確保するための通常のアプローチ以上に、PCBのケースというのは、排気を含め、さらにはPCBというのももちろん一定量は蒸気になりますので、蒸気になったやつは室内の、例えばステンレスの壁にぺたぺたと張りついて、それは作業をやっているうちにどんどんたまってきます。そういう意味で、実は非常に難しい作業をやっているということなんです。それは徐々に難しさは蓄積してきますので、ある程度遅れるというのも避けられないというのは、多分あるんだろうと思います。
     したがって、例えばもし自家処理でPCB処理を計画されたところがあると思いますけれども、そういうところは多分とてもじゃないが、自分たちで高濃度のPCB処理はできないとお思いになっただろうと思います。多分にそういう要素がある。
     今JESCOでやっているような条件を満たして、民間の企業さんがこれをやろうとすると、とんでもない時間ととんでもないコストとエネルギーを使うというのが実態だろうと思います。それをやり始めているので、しかも予想できなかったと。例えば蒸気が出てくるのが予想できなかったというのは、実は必ずしも正しくはなくて、ある程度は予想はされるけれども、しかし、転がしながらやるしかほかの選択肢はないというのが、もう一つの現実だろうと思います。そういうことを含めますと、よくここまで来ているなというが、私の感想であります。
     そうはいいながら一方で、住民の方々に対する説明としては、いついつまでにやると言っておったじゃないかと言われると、確かにちょっと難しいんですが、もし何かを犠牲にするとすると、環境への放出というところは決して犠牲にしないで、そして時間が少し犠牲になるということが起こってくるだろうというのが、私の感じであります。
     こうなっていった背景の一つに、PCBの処理の時間軸に従って、条件がより厳しくなってきたという歴史があります。PCBが第1種特定化学物質になって、そのときに既にPCBの処理というのが念頭にあったんですが、ある県の環境部長さんは、実は48年ぐらいに、感圧紙は焼却炉で全部燃やしたんですと。今考えると本当によかったと思っているとおっしゃっている方がいますが、1975年ぐらいにあった出来事がまず一つあってそこでの相場感と。さらに90年代に入って、そして世界中でPCBを焼却しようとしてつまずき始めて、それで例えば平岡先生が化学処理をある種の念頭に置きながらというふうなシンポジウムもやられた。そういう時期がある。
     さらに90年代に入って、ダイオキシンの問題が急速に広がっていって、PCBの処理自体が焼却しにくいような状況であった。さらに90年代に入っても問題が難しくなっていって、特に住民の方々の御心配といったものがさらに広がる過程で、使える手法の選択肢が減ってきた。それから、外へ漏出されることが許容されるPCBの量、あるいはダイオキシンの量というのも極端に少なくなっていった。その中で作業をやっているということです。
     しかも、国際的にもう少しいくと、POPs条約ができ上がってきたということもあります。もう一つの概念としては、Best Available Technologyという新しい概念で、とにかく最善の手法で、少々お金はかかってもこういうのを片づけていくんだというそういう議論ができてきた。ある種、この処理方法というのはBest Available Technologyの典型みたいなものです。それは実は余り経験のない世界に飛び込んでいくところも、もう一つの真実です。
     そして、確かにテクノロジーとしては非常に立派だけれども、とても時間もお金もかかりますよという方向に、今のところ流れている。しかもそれ以外の選択肢が、住民の方々の意識を含めて、それほどないという状況で流れている。
     その中でとりあえずここまで来たというのは、大したもんだということです。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。どうぞ。
  • 浅岡北九州監視委員会委員長 北九州市のPCB処理監視委員会の委員長になっています浅岡でございます。北九州市のその立場から、今の議論に対してちょっとコメントをしたいと思います。
     最後の委員の方の意見に非常に賛成します。ということは、比較的このPCB処理というのは技術的にうまくいっているのではないか。それを前提に議論を進めていただかないと、我々としては一部の話で、何も余りよくわからないところで開始して、それで実験台になったような情報を外に流されると、非常に不満なんです。そういう意味では、開始した当時の事実認識、知見等をすべてフル活用してこの事業が開始されたという認識だと、我々はいまだにそう思っています。ということが一つです。
     ですから、その中で想定外のこと、例えば揮発性が想定以上だったとか、そういうのは、技術の限界として致し方のないことだと思うんです。ですけれどもそれに対してはきちんと対処してきたというのが、私なんかの委員会の認識でございます。
     そういうことで住民に対しては、きちんとした情報を誤解を与えないように与えていきたいというのが、我々の今までの立場で、今後も一番住民が気にしているのは、本当に想定の期間内、ないしはそれ以上余り遅れずに処理が完了するかどうかということが、非常に関心事でございます。さっきの説明ですと、北九州市の場合は、余り遅れは出ないような想定図になっていますけれども、ほかのところなんかはだらだらというような図が書いてあるので、これもやはり情報としては、そういう無責任な推定というのを情報として公開されるのはいかがなものかというのが、私の考えでございます。ですから、対策を立てて、その対策のもとに、ぎりぎりどこまで延ばさざるを得ないとかそういう議論をしていただきたいというのが、私なんかの希望でございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございます。今の話は資料4の関係の議論で、後ほどまた詳細な説明と御議論をいただくことになっています。御意見として承知いたしました。眞柄先生、どうぞ。
  • 眞柄北海道監視円卓会議委員長 眞柄でございます。北海道の監視委員会の委員長をしております。円卓会議の委員の方々の日ごろの意見なども加えてお話をしたいと思います。
     16ページのパワーポイントにありますように、先ほどJESCOから御紹介がありましたように、先行の事業所の改善事例を積極的に取りいれて今日までまいりました。80%ぐらいになっております。そういう意味では、後から処理が始まったもののメリットを受けているというのは、委員の方々、室蘭の市民の方々も強く認識されております。
     ただ、いろんなことからしまして、先ほどの北九州の事例でもありますが、PCBの処理事業を開始するに当たって、環境省とJESCOが地元の市民の方にいわゆる約束事をされました。それは、今から何年か前の約束ではあったんですが、その約束をした内容、そしてそれの根元は、要するに市民、住民には影響を出さないというお約束でありましたので、その約束は必ず誠意を持って進めていただきたいというのが、委員、市民の実感であります。
     室蘭は特別な地域事情があるのかもしれませんが、ベンゼンが環境基準ぎりぎりであります。瞬間値では環境基準を超えることもございます。そういう意味で、市民の方々は環境、特に大気環境の質に関しては、大変関心を持っておられますので、先ほど森田委員から、今の現状は厳し過ぎるというお話がありましたけれども、やはり地域、地域の実情にかんがみて、事業所から外部に出さないという約束で進めてまいりましたので、室蘭市としては、監視円卓会議の1人としては、そういう認識を改めて持っていただかないと、将来への展望が厳しいのではないかということでございます。
     円卓会議で事業所のやっていることを見ておりますが、PCBを脱塩素化するというプロセスに関しては、これはまさに最先端技術でありますので、完璧でございます。しかしPCBを処理する前までの要素技術が、必ずしも最先端技術でないところで、時々トラブルが起きている。という意味でシステムデザインが、ある意味では私どもは後発事例ではありましたけれども、周辺部分に対する配慮をもう少ししていただきたいということが、一つでございます。
     それから、前回の監視円卓会議で話題になりましたのは、北海道はいずれ2期工事はもう契約が入っておりますが、3月11日の震災の経緯を踏まえて、今の施設の大震災に対するリスクはいかがであるかという質問が出ました。
     いろいろ議論がありましたけれども、先ほど、御紹介がありましたように、産業廃棄物の処理事業所は、事業所内に搬入できる量が限られておりますので、それはある種のリスク軽減につながっているという説明を私はいたしました。そういう意味で、産廃の施設が施設内に持ち込める廃棄物の量にある種の枠がかかっているということは、災害等におけるリスクを管理する上で、非常に重要な要素でありますので、今後どうするかということに関しては、そのような面も配慮していただきたい。以上でございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。織さん、どうぞ。
  • 織委員 私も中杉先生と御一緒に、東京の環境安全委員を、一番最初のころからやらせていただいております。長くやっていて思うのは、まさに先ほどおっしゃったように、最先端技術というよりも日常のヒヤリハットも含めて、何でこんなことが起こるのかなということが、結構起こっているんです。それについてはすごく改善も行われておりますし、従業員の方もすごく一生懸命やっていらっしゃるのが、実際現状なんですが、やはりこの仕事が、働いている人たちの気持ちを考えていったときに、なかなかモチベーションを持ち得ないというところが難しいと思うんです。どんなに一生懸命働いていたって、10年後か20年後には終わってしまう仕事の中で、身の危険を感じながらやっていらっしゃる方たちに、どうやってモチベーションを持って働いていただくのかということを、会社として考えていただきたいというふうに思っております。
     私は例えば、JESCOの東京事業所に見学に行ったときに、耳のピアスを見学中にヘルメットをかぶっていたので、なくしたんです。ピアスなんて小さいものだから見つからないだろうなと思っていたら、帰るときには、先生、ありましたというふうに見つけてくださるぐらい、管理はものすごく行き届いていて、皆さん一生懸命やってくださっているんですけれども、やはり何か活気がないというと変ですけれども、一生懸命やって事故を起こさなくて当たり前、頑張っても褒められないというところに、なかなか苦しさがあるのではないかなと思うんです。
     地元の方々はこうやって話を続けているので、割とPCBについては理解していただいています。リスクについても理解していただいているんですけれども、国全体で、この問題についての認知度がすごく下がっているのではないかと思うんです。例えば国全体でPOPsを承認したわけですから、28年までになくさなくてはいけない。処理しなくてはいけないという全体目標に向かってすごく必要なことなんだと、やっていって意義があることだという意識が、従業員の方にもバックアップとして起これば、さらにヒヤリハットを含めてなくなっていくのではないかなと。その辺の国を挙げてのPCB問題に対する認知度普及というのも、大きな課題なのではないかというふうに感じております。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございます。では、福永先生、どうぞ。
  • 福永大阪監視会議座長 大阪監視会議の福永です。ほかの三つの監視委員会が報告されたので、少し報告したいと思うんですが、いつも私は当たり前のことなんですが、終わるときに、安全だけでなく安心を、大阪市民の方にあるいは此花区民の方に提供していただきたいということをお願いしています。
     もう一つは、かなり海岸部、沿岸部にあるというので海に近いところにあるということで、塩分もかかりますし、もともと塩分の仕事ですから、普通の機械から見れば古くなるのが早いだろうと思うので、事故とか故障が起こってからではなくて、先行的に基準を決めて設備更新をしてほしいと。これを二ついつもJESCOさんにお願いをしています。
     もう一つ、先ほどから実績に対して遅れ気味だ、よくやっているじゃないかという評価をしていただいている方もおられますが、監視委員会でも、全体としては個々の細かいミスもありましたけれども、大きくトラブルを起こすことなく進捗していると。今、14ページの図で大阪は、結局、稼働低下、主な原因は、先ほども説明でありましたように、作業環境が、その当時の知見から見れば少し小さかったのかもしれませんが、作業環境のPCB濃度が上がって遅れている。
     しかしこれも監視委員会では、先ほど中杉先生も時間どおり終わらないという話は、なかなか口に出しては言わないけれどというような感じの話をされていました。大阪でも安全をないがしろにして急いでやれとはだれも言っていません。
     これは次の議題(2)の項目の処理推進策についてというところで、話題が出るかもわかりませんが、一つだけ先に私のほうからお願いというか提案というか。機械のハード的な面は、全国的な委員会とかそれらでかなり検討されているんですが、ソフト的な面を、今まで5事業所がそろってデータとかあるいは教訓とかがそろってきていますので、ソフト的な部分。例えば、先ほどおっしゃったようなモチベーションを上げるとか社内訓練とか、もっと緊急事故の対応訓練とか、緊急事故が起こったときに、市民とか行政にどの程度までは伝える、あるいは、どの程度だったら伝えなくてもよいとか、そういった安心を届けるようなマニュアルをつくっていただくと、各地域にあっても、それぞれ全国的に見れば、この程度はいいんだ、ここは大変なことだったんだなとわかって、地域の皆さんも安心されるのではないか。いわゆるリスクコミュニケーションの一つとして、できればそういうのをつくっていただいて、ソフト的な部分のマニュアルをつくっていただいて、全国で統一してやれば、できない部分もあると思うんですが、安心が届くのではないかと思っています。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。資料2ないし3に関していろいろと御意見をちょうだいしました。
     この後の資料4、5の絡みの御発言も出ているようでございますので、先に進ませていただきます。
     このトランス・コンデンサの関係については、もう一回集中審議的なことやらせていただくということで、その中できょう御指摘のあったような点について、あるいは御質問のあった内容について、また資料等を準備して説明をしてもらうことにいたしますので、先に行かせていただきます。

議題(2)高圧トランス・コンデンサ等の処理見通し及び処理推進策について

  • 永田座長 それでは、二つ目の議題になりますが、高圧トランス・コンデンサ等の処理見通し及び処理推進策についてということで、どうぞ。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 資料4を説明させていただきます。先ほど少し触れたのですが、横表のものですけれども、このまま行けばということで、説明させていただきました。
     浅岡委員長のほうから御指摘がありましたけれども、あくまでも今、処理台数、年間はこれぐらいというところで、処理残数があるので、このまま行けばというところの見通しでございます。詳しくはJESCOのほうから説明をしていただきます。
  • JESCO JESCOでございます。引き続き、資料の御説明を申し上げます。今のような考え方で御指示いただきまして、JESCOで作成したものでございます。したがって、全体のところでございますけれども、(1)処理対象物量としては、今回新たに資料2で御説明のありました、新たな推計の台数で計算をしております。
     また、(2)年間の処理台数につきましては、今環境省から御説明があったように、今後何らかの対策をするということは当然取り組んでいくんですが、まずはそこは考えずに、今の実績で出ている処理量のベースでこのまま行った場合にはどうなるのかということで、資料を作成したものです。そういう前提であるということを御承知おきいただければと思います。また、留意点が幾つかございますが、全体にまだまだ不確定な要素がございますので、そういうものを含んだデータであるということを御承知おきいただければと思います。
     (3)ですが、操業に伴い発生する2次廃棄物の処理を御説明いたしましたが、それから、事業が先に行くに従って想定される、処理委託をしていただけない方など、こういった問題による稼働率の低下といった、まだ今の時点で見通せない問題がリスクとしてはございますので、こういった点に今後注意していく必要があろうと思います。
     図の御説明でありますが、各事業所ごと、各処理のラインごとにトランスは赤線、それからコンデンサは薄緑の線で、今のペースで行くと、22年度末の残りの台数を処理するのにどこまでかかるかというものを絵にしたのがこの図でございます。したがって、22年度末の残りの台数というのが、左の欄に書いてございます。
     それから次の処理台数というのが、現状の実績ベースの年間の処理量。ただ、これに今後、漏洩しているものですとか難しいものがございますので、それで処理がやや難しくなるという要素は加味しております。この処理台数で割り戻したものが、それぞれの線でございます。27年度が現行の法律の処理期限でございますけれども、それを超えているところが相当あるというものでございます。御説明いたしましたこれまでの遅れの要因など、その分が乗っかっているというところが、一つの要因でございます。
     それ以外に、かなり時間がかかるものが幾つかございます。代表的なものは、大型トランスについて、東京を初め幾つかの事業所で、非常に時間がかかるという状況でございます。これは大型トランスについては、非常に大きくて手間がかかると、当初の計画で見たよりも手間がかかる。また特注品が多いために、一基一基いろんなやり方をしなければいけないといった問題で、非常に手間がかかるということが明らかになりまして、そういった要素も加味すると、なかなか処理に時間がかかるというような状況でございます。
     また、豊田の車載型トランスというものも、非常に時間を要しておりますけれども、これは御説明したとおり、作業環境を守るために予備洗浄に非常に時間がかかるという特殊なものでございます。。
     それから、豊田の特殊形状コンデンサという欄で線が引いていないのがございますけれども、これは、5,000台ほど標準的でない、かなり形が変わったものがございます。これを現施設で当初想定した処理をしますと、作業環境が非常に悪くなるということがわかっています。今のところ手をつけずに、今後対策を講じて処理しようということで検討しているところでございます。
     また、大阪のコンデンサが32年までとなっていますけれども、これも御説明いたしました、ポリプロピレンのPPコンデンサというものによる処理の低下がきいているところでございます。幾つかそういう事情で、延びているところがあるわけでございます。
     下の棒グラフですが、これは、毎年の実績の処理量とここではじきました、今後の毎年毎年の処理量を棒グラフにして示したものです。
     冒頭、社長から御説明しましたように、27年度の段階でどこまで処理できるかということについては、トランスで約8割、それから、コンデンサで約7割のところまで行くという計算です。その後につきましては、時間的には長いんですけれども、順次処理が終わるラインがございますので、実際に毎年毎年処理する量としては、28年ぐらいになりますと、若干トランスとコンデンサでペースが違いますけれども、年間の処理量はどんどん落ちていくということがごらんいただけるかと存じます。
     一番最後の行でございますけれども、このトランス・コンデンサに加えまして、2次廃棄物をどのように処理するかという問題。それから漏洩したコンデンサを入れてある保管容器、箱がございますので、これもPCB廃棄物になりますので、こういったものもあわせて処理をしていく必要があるといった課題が残されているところでございます。以上でございます。
  • 永田座長 ありがとうございました。先ほど浅岡先生からも、この資料に関しまして御発言をいただきましたが、それ以外この資料について御意見、御質問がありましたらお願いしたいと思います。
  • 田中委員 豊田事業部会長をやっております。田中です。今の説明の資料4ですけれども、豊田事業所で特殊形状のコンデンサ、これが作業環境上の問題もあってめどが立たないという状況にあると思いますので、こういうのは、次の議題にもなるのかもしれませんが、事業所の得意あるいは不得意の例だと思うんです。したがって、事業所間で移動して、得意なところで処理をしていただく。関係者の理解を得て解決するという努力をしていただきたいなと思います。
     基本的には1900年代の最後に厚生省の時点で、PCBの紛失・不明が結構あったということで、やはり安全は第一ですけれども、迅速に処理して、あるということ自体がリスクをもたらすという認識で、早く解決するということが必要ではないかと思います。とりあえずこの件だけですが。
  • 永田座長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。どうぞ浅野先生。
  • 浅野委員 予測の前提、留意点があるはずです。現段階ではこういう前提あるいは留意点というものが、ある意味では予測結果の信頼性・確実性ということを第一に考えて、書かれていることは一向に構わないのですが、ただ気になりますのは、ここには事業後期には処理委託をしない者がいるということが記されていて、それで稼働率が下がる可能性があることもあり得ると書いてあるわけです。しかし法令上はともかく10条で委託をしなさいと書いてあるわけです。ただし同条には罰則がないのでそういうことも起こり得るという想定をしておられるんだと思いますけれども、この対策も含めて考えなければいけないかもしれない。
     先ほど田中先生が言われたように、ちゃんと早く処理をしないといけないという大きな社会的要請があるわけです。そうなりますと、これだけがぽんと書いておかれるのでは困るわけで、今後の検討会の議論の中ではこの点の検討も入れないといけない。極端なことを言えば、罰則規定をそこに取り込むとか。あるいはそうしないのであれば、それ以外の促進策をどうするんだというようなことがないといけない。このまま、法令に違反して委託しない者があることを大前提としているということでは、ことが予測の正確性ということだけではとまらないということに気がつきました。
  • 永田座長 いかがでしょうか。
  • 酒井委員 今の資料4に関連して、先ほど資料2を環境省から御説明いただきましたが、未届けのもので把握できていない部分が残るというところです。恐らくそういうものもあるんだろうというのは想像がつきますが、その理由は何で、どの程度か、ざっとした相場感でつかんでおられるのかということをちょっと説明しておいていただけませんか。今の資料4に密接に関連してくる話ですので。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 理由は、もちろんこれは届け出は義務なんでございますけれども、いまだに知らないという方。というのは、当時法律ができたころは、周知徹底をやって知っていた担当者が例えば代わってしまったとか。代わった後に使用が廃止されて届出義務がかかっているとか、いろんなケースがあると思います。なので我々としては、ここはもう一回ちゃんと届け出をしていただくように、これから取組をまたやっていかなければいけないと思っております。
     数の相場感は、正直よくわかないのでございますけれども、北九州市さんのほうで少しお調べになった事例があります。北九州市さんのほうで、5人以上の事業所、全部で2万近い事業所のほうにダイレクトメールを送りまして、何台また新たに発見されたというのを去年調査していただきました。そこでは、正確な台数は今わかりませんが、100台という規模ではなかったんですが、数十台見つかっているという事例がありました。ただ、これが全国そのままかというのはなかなかわかりませんので、引き続き、環境省も実態把握も含めてやっていかなければいけないと思っています。
  • 永田座長 他にいかがでしょうか。
     この資料の取り扱い等で御指摘もいただき、それから、浅野先生からの御指摘等もあるんですが、ちょっとこの表題の付け方ですが、確かに、「現状ペースの場合」というのが付いているから、ちょっとはエクスキューズ的なものが入っているんですが、頭にくっついているのと、「処理の見通し」というところだけ目立つと、このままでいっちゃうのかと。ここで検討でまた処理量については、促進策、増加策いろいろ考えられていくわけで、そういう意味では処理量の見通しという言葉、あるいはその前に何かをつけるか。この表題のところ、どういう話をまとめたものなのか、現時点の話なんですよというところを、少しはっきりさせるようなつけ方をしていただく。
     それからさっき浅野先生から御指摘のあった、「処理委託しない者などによる稼働率の低下等」と、これはこのまま入れておいていいんですか。公的な資料でそういうものを出していくというのも、ちょっとさっきの話も絡めてどうかなという気がしますので、この資料についてはそういう修正を加えた上で。ただ、現状としてはどうなんだというのを、端的にこういう形であらわしてもらったほうが、わかりやすいのかなという気もします。
  • 浅野委員 見出しを直したほうがいいのではありませんか。見通しといってしまうと誤解が生まれる可能性がある。
  • 永田座長 そこは直させていただきます。それから、今の文章も表現等を含めて少し考えさせていただくということでよろしいでしょうか。そういう中でこれを公表資料に仕上げていくということ。
     それでは続きまして、資料5について、関連なんですが、事務局のほうから説明をしてもらいます。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 資料5は1枚の紙でございます。処理推進策ということで御説明をさせていただきます。四角の中に書いてあることですが、これは実は前回の資料4の論点のところの抜粋です。先ほども御議論を相当いただいたとおりでございまして、処理推進を可能な限り早急に終わらせることが必要ということではあるんですが、前提として安全確実な処理ということに留意して議論できたらと思ってございます。
     例として7つ示させていただきました。あくまでも例ということで、議論の御参考になればということです。前回、先生方からいただいた意見もかなり入ってございます。
     (1)処理における律速工程の改善、さらなる効率化ということは、当然やっていかないといけないだろう。
     (2)トラブル対策につきましても、先ほどの資料で操業停止というものもございましたので、ここもなくすようにしっかりやっていかないといけないということです。
     (3)処理施設の改造は、実はスペースも限られていますので、また施設をとめて改造するのかといった制約はある中ですが、やれることはやらないといけないのかなと思っております。
     (4)は御指摘のあったとおりでございまして、従業員のモチベーションを向上させていかないといけない。
     (5)は運転廃棄物処理の無害化処理認定施設は、今、微量のPCBの処理をしている施設ですが、こちらも何らか活用をしていくということで、先ほど御説明がありましたが、JESCOの中で処理していると、本来処理すべきものが処理できなくなってくるということもございますので、こういったことも例として挙げさせていただきました。
    (6)は田中委員から御指摘のあったとおりでございまして、苦手なものをほかの事業所でならうまく処理できるといったものがあれば、そういった対策もしていかないといけない。
    (7)は先ほどの説明で、含浸物の処理に非常に課題もあるということになっております。そのまま無害化処理施設に出すということではないと思うんですが、ある程度洗浄して、無害化処理施設を活用していくということもできるのかどうかといったことで、例として示させていただきました。
  • 永田座長 ありがとうございました。キーワード的なものを少し並べていただきました。これに加えるべきもの、あるいは、中身をもっと積極的に推進しろというような御意見も含めて、監視委員会委員長の先生方も含めて、いろいろ御発言をいただければありがたいなと思っています。いかがでしょうか。どうぞ、川本先生。
  • 川本委員 川本です。例として挙げていただいた(1)番と(7)番でちょっとコメントをしたいと思います。
     (1)番はどこが律速かということで、この辺はかなりポイントになるんだろうと思います。そうするときょうの御説明など、あるいは前回からの御指摘を踏まえれば、前処理としての抜油、粗解体のあたり。その後の解体分別のあたりで幾つかの工程が候補になるんだろうと思います。洗浄に時間がかかるというような説明データが、きょう多かったわけですけれども、そういった既にハード的な機械設備がある状態で改善していくというのは、なかなか難しいとは思います。洗浄というのがひとつ大きなポイントであるならば、洗浄効率をよりアップするような技術の改良に取り組む必要がある。そのためには各事業所で、いわゆる工場でいうところの改善というようなことが、日々あるんだろうと思うんですけれども、もう少し基本に立ち戻ったような試験研究というのを、JESCO全体あるいはアイディアを外部に求めるというような、組織的な取組といったものも必要になるのではないかというふうに思います。その前段階として、第三者的に診断をするというようなステップも必要かもしれません。
     (7)番に関連してですけれども、これは現実的な方策として、ある程度進めていくべきことだろうと思います。これがどこかで小型のものであれば、すべて無害化処理認定施設でやることになっていてしまうのではないかと、どこかにちょっと歯どめみたいなものかけておく必要もあるのではないかというふうに思います。以上です。
  • 永田座長 ありがとうございました。どうぞ。
  • 田中委員 田中です。(5)番と(7)番について、コメントしたいと思います。今のPCBの処理は、卒業判定試験というのが安全で、たとえ埋立処分場、管理型処分場に処分されても大丈夫だというようになることを前提にして、判定しています。そういうことはあってはならない。埋立禁止物にしてもいいかなというくらいに思っています。したがって、埋立でないということを前提にすれば、焼却を中心とした無害化処理認定施設を活用して処理すべきだと。
     (7)番目は含浸物ですので、主として紙、木にPCBが付着しているもの。 (5)番目については運転廃棄物、あるいはさっきの説明では2次廃棄物と定義しておりますけれども、中身は活性炭とか作業具ですので、基本的には高温処理で十分、最も適切な処分だと思います。そういう方向に誘導する意味でも、この大臣認定の施設を使ってそれで処理するということで。埋立を前提にして安全にする、洗浄を何回も繰り返してやる、その結果、廃液がいっぱい出るということは、望ましくないなと思っております。
     それに加えてという意味では、どういうふうにやれるか。制度面での支援で処理を促進するということで、先ほどの説明にもありましたけれども、処理施設の保管数量の上限が2週間というのが、今は一般的になっていますけれども、それは腐敗して悪臭が出る、だからある程度制限する必要がある。あるいは処理をする前の保管ということで、実際は不法投棄につながるということで、制限しています。そういうことがないということがはっきりしている。そして適正な処理の促進につながるということであれば、適宜、事業所ごとに申請して許可を出すという弾力的な対応をしたらいいと思います。
     ということで追加的には、制度面で可燃ごみ、一般的にあらゆるものに適用するような制度を、今回のPCBの処理に合ったような弾力的な運用ができるようにしてはどうかと思います。以上です。
  • 伊規須委員 私が申しますのは、結局この例の中にあります(4)につながることかと思います。北九州の監視委員会に時々参加させていただいて、あるいは資料を送っていただいて、そのときに持ちます印象は、監視委員の方々が私が最初に予想していた以上に、作業者の健康状態、健康管理、そういうことに関心を持たれているということです。
     それはなぜかと考えたら、作業者の健康状態に悪影響を与えうるような作業に十分注意を払わないような事業所というのは、自分たちの健康のことも余りよく考えてくれない事業所じゃないかという考えがあるのかなと、私は想像します。とにかく北九州に関して、そういう印象を以前から持っています。
     きょうのお話では、大阪、それから北海道もそういうふうな監視委員会の方々の関心の持ち方があるようです。そういう観点でも作業者の労働安全に十分な配慮をしていく必要があるし、このことをきちんと作業者に、我々はこういうことまで気を遣ってやっていますということを知ってもらう必要があると思います。そういうことが作業者のモチベーションを高めるというということにつながると思います。
     これに関して、もう一つ、それぞれの作業所に産業医がおられるんですが、近くの開業医の先生にお願いするのもいいんですけれども、本格的な産業医に時々は巡視してもらうと、こういうような観点からもプラスになるのではなかろうかと思います。
     もう一つ、北九州の例を挙げたいと思います。この事業では、生物学的モニタリングができていますので、どの程度PCBが作業者の体の中に入ってきているかということを、客観的な数字としてつかむことができます。
     それを見ますと、北九州は事業が始まってもう7年ぐらいになるんですが、最初に比べると、血中レベルは上がっています。これはふつうの検診でやる、基準値との比較でやっているのではないんです。それぞれ個々の作業者の事前の血中レベルと比較してやっていますから、これは非常に厳しい比較をやっている。それをやりますと、確かに事業を始める前に比べると、血中濃度は上がっています。一方、血中のPCBレベルには地域差があります。関東の方の血中PCBは九州に比べると割と高いんです。北九州の作業者の血中レベルは、その上がったところで、大体大まかに言って、関東の事前くらいのレベルに収まっています。これはすごいことだと思います。
     こういうことができるということ、こんなPCBみたいに嫌らしい物質を扱って、こういうふうに処理ができるということを示せたのは、非常に大きい、この事業の一つの成果ではないかと思うんです。もちろん、事業所で差はありますが、こういうことも、PRされるべきではないかと思います。
  • 森田委員 処理の促進に関してですが、結局PCB処理が少し遅れ気味で難しいということの一つの背景は、焼却という手段が封じられているというところにあると思います。しかし、今までの自治体とのお約束で、そこのプラントをつくるときには焼却しないという約束をしているようでございます。したがって、各地に焼却の、低濃度のPCBになったやつは、焼却してもいいという形で各プラントを動かすのは、難しいだろうと思います。
     その一方で、いわゆる、低濃度PCBという、コンタミもののPCBについては、既にいろんなところで、無害化処理認定をやり、ここで焼いて大丈夫ですというのも積み上げてきておりますので、それを非常に積極的に使うというのが、一番重要かなと、そういう感じがいたします。
     例えば洗浄の回数も、今のようなものすごく時間をかけてそして非常に低濃度まで洗浄するのでなくても、その施設で受け入れられる濃度まで下げたらどんどんそこに回すということによって、相当なスピードアップも図れるかなという感じがしますので、ぜひそれをお考えいただければと思います。
     これは多分いろんな意味で、また地元の住民の方々とのコミュニケーションの問題でもあるかもしれませんが、そのあたり少し環境省のほうでも、うまく取り合っていただければスピードが上がるのかなという感じです。田中先生とほとんど同じような意見ですけれども。
  • 永田座長 (7)番が中心ですね。どうぞ中杉先生。
  • 中杉東京環境安全委員会委員長 先ほど田中先生の保管という話がありました。先ほど眞柄先生からでしたか、リスクを下げるという意味合いがあると。この間の東京の安全委員会のときに、震災の話が出てきました。そのときにこの施設は大丈夫か。その説明をJESCOのほうにお願いしました。そのときは明確に出てこない。多分JESCOの施設、最初に監視委員会を引き受けるときに、いろんなリスクについて検討しましたということを言われている。そこの説明がちゃんと必要だろう。
     特に、今回の津波の話があるわけです。今回の大震災でもPCB廃棄物が行方不明になっている例があります。そういうものがどんと集まって、例えば、東京事業所ですと海のそばですから、そこに集まって流れるという話になると、えらいことになる。そこら辺をちゃんと説明しないといけないだろうというふうに思います。
     もう一つ、これは、(3)の処理施設の改造の中に含まれているのかもしれませんけれども、例えば私が先ほど申し上げた東京の処理能力が、もし問題が解決してもどこまでいけるのかという議論が、これは私はわかりませんけれども、そうしたときに、改造という中には、多分処理能力アップというのは、取り扱いを改造して処理能力アップではなくて、施設を余裕があればつくる。これはもちろんお金がものすごくかかる話ですから、難しい問題だと思います。そこまでも選択肢としてはあり得るのではないか。考えなければいけないのではないかというふうに思います。
  • 浅野委員 先ほど田中先生が、廃掃法の保管期間の適用除外を考えたらいいとおっしゃって、それに対して眞柄先生や今の中杉先生からリスクの問題との関係が指摘されているわけです。
     これについてはどちらが正しいかと答えを出してしまおうと考える必要はないわけで、それぞれの状況とか段階とかに応じて、例えばいろんなものを組み合わせてやるよりは、あるものを集中的にやったほうがいいという段階に来たときに、それをちゃんと選ぶようにする必要があるだけで、今のリスク面での問題がクリアできるというような条件があるときには、それをやればいいわけです。一律に保管は期間を延ばすというような議論をするよりも、それぞれの事業所の特性や、その段階での工程に応じて、そのような特例を認める余地があるということは、あってもいいと思います。
     白か黒かの議論をやっていくと、どうしたって答えは右か左かという、永久に答えは出てこないかもしれないのですが、ケース・バイ・ケースで考えるということであればいいのではないか。多分特別に許可を取るというのも、その都度その都度の状況を見て考えるということでしょうから、許可権者側のほうも、当該状況を考えて認められないというかもしれないしというようなことでしょう。これも処理促進の選択肢として残しておくという余地はあるだろうと思います。
  • 浅岡北九州監視委員会委員長 この見通しの図を見てみますと、一番延びているのが、大型トランスがどこの施設も期限が延びていますよね。ということはまず、大型トランスについては、その設備が設計どおりフル稼働したときに、ここまで行くのか。それとも現状の稼働状況で、推定してこうなるのかというのは、違うと思うんです。ですから、設計状態で合っていなかったのか。それとも設備の不具合でこういう処理スピードになっているのかというのを見極めないといけないと思うんです。
     もし設計がもともとこういう遅い設計になっているのだったら増強すればいいし、それから稼働状態が悪いのであれば、設計どおりの稼働状態にどうしたら早く持っていって、早く処理できるかということが、実際にはこういう処理の場合の、設備をつくるときの常識ではないかと私は思うんです。それなしで議論をしても、しょうがないと思うんです。まずそれが1点。
     豊田の車載トランスの話ですけれども、これは設計に入っていたんでしょうか、どうでしょうかという話です。建設当時、対象物として設計されていたんでしょうか。どうでしょうかという話をちょっと聞きたいんですけれども。
  • 永田座長 全体の話も含めて答えていただきます。
  • JESCO まず、豊田の車載トランスですが、設計の当初から台数は含まれております。それから大型トランスの件、性状の件につきましては、当初だと、重量データがあまりなくて、電気容量のkVAデータでどの程度数があるかというようなことで、かなり推計が入っていた部分もございました。以上でございます。
  • 永田座長 処理量として、処理対象量が今回追加分で計算した部分もここには入っているということになっているわけですね。
  • JESCO 新たに資料2で推計した値で入っていますので、当初の設定と台数が少し変わっているところはございます。
  • 浅野委員 今の委員のご質問の趣旨は多分お答えとはちょっと違うと思います。つまり実際やってみたら、中に木製品がいっぱい入っていてとんでもないことになりましたというような説明だったわけです。私は多分それは当初予想できていなったことだろうと思って聞いていたのですが、御質問はそういうこともちゃんと設計時に織り込み済だったかという質問だと思います。
  • JESCO そういう意味では対象物としては考えていたんですが、今、浅野先生がおっしゃったように、実際にかかった時間が長くかかったのは、予想以上の部分があったということがございます。
  • 浅野委員 それと前処理にものすごく時間がかかるということも当初の予想を超えていたという理解を、先ほどの説明をお聴きしたのですけれども、そういう理解でいいですか。
  • JESCO 結構でございます。
  • 浅岡北九州監視委員会委員長 そうすると、そういう部分を増強すればいいという理解でよろしいんですか。推進策としてそういう話なんですか。
  • 永田座長 それを考慮した上での改善策を考えるという話ですね。
  • JESCO そういう提案です。
  • 永田座長 そういう意味では、今御指摘のように、大型トランスに注目しろということが一つの御指摘なのかもしれません。同時に大型トランスの場合は、さらに大型のものが存在していて、その検討もやっていらっしゃるわけですから、あるいはそこでの検討の成果というのがこの促進策につながってくるかもしれないんですね。そういう点も含めて、大型トランスの話を入れさせていただきましょう。
     もう一つ、これは、含浸物だけの話が書いてありますけれども、非含浸物についても考えられる話なんですか。(7)番目の中で。これは、無害化処理認定施設活用という話ではないかもしれません。ただ、田中先生が言われているのは、この後どういう処理をしていくんだと。そのままもう普通の廃棄物と同じような考え方で、無制限じゃないんだよと。その後のシステムがちゃんとしているという状況の中からすれば、あるいは、非含浸物の話もあり得るのかなと思います。
     そういう意味で出口から見てどうするんだという話。前回、田中先生から御指摘もいただきましたが、ここで議論をしています高圧トランス・コンデンサ類。それから、微量汚染物の話。入口論で制度的な切り分けができている形になっていますが、出口の処理の方法論で見ていったときにどう仕分けられるのかという中で、もう一つ考えていくべきことがあるのかなというふうに思っています。ちょっとそちらからの視点も拾い出して、検討対象に加えていきます。
  • 織委員 私は(1)と(4)と(6)で。今の永田先生のお話とも絡むところです。
     (1)の効率化を考えていったときに、オールジャパンで考えていく効率化と事業所内ごとでできる効率化の問題は、一緒に議論するのではなくて、分けて考えていったほうがいいではないかなと思うんです。つまりオールジャパンで5事業者全体で、日本全体のPCB処理をより効率化していくにはどうすればいいかという話になってくると、(6)番の話にまさにつながるところだと思います。この(6)番の「得手・不得手の事業所間移動」の話は、なかなか抽象的でわかりにくい感じがします。
     私も東京事業所で聞いてみたときに、最初、結構ラインが動かなかったということがよくあったんです。それは、先ほどお話が出ていましたとおり、想定していたものと違った。開けてみたら意外に粘度が強かったですとか、思いがけないものがあったというようなことがあって、ラインが対応できないということがすごくあったんです。
     そういった経験を各事業所はもう随分積んできていると思うんです。これはこのラインで動かすと、粘度が強過ぎてちょっとだめだから改善しましたと。それをあわせて類型化していく必要があるんじゃないかと思うんです。例えばそれは大きさの問題なのかもしれないし、形状の問題かもしれないし、内容の問題かもしれないんですけれども、それぞれそのラインに対応して、こういうものが幾つか類型化して、それぞれこういう形で解決していってこういうふうになっていったというのを見せていただくと、得手・不得手って何かとか。どういうところでどういうのが生きるのかというのが見えてくるかなという気がするんです。今、得手・不得手と漠然と話していても、ということがあります。
     もう一点は従業員のモチベーションというところで、先ほどの産業医のお話ももちろんそうです。もう少しちょっと普通の民間企業がやっているようなことなんですけれども、やはり経営陣とのコミュニケーションというのが、非常に重要だと思っています。どれくらいトップの方が現場におりていって、現場の人たちと改善の部分、改善は事業所ごとの現場から出てくるものだと思っています。そういうものを拾い込んでいくか。
     あるいは将来の資格取得とかそういったものについても、少し展望が見えるような何かをやっていくと。将来の資格取得につながるような話というのも、重要なのではないかと思っています。
     それから私は、実際に作業服を着せていただいて、当初してみたんですけれども、あれは本当に大変なんです。あれで作業をするのとかグローブボックスもすごく大変です。あれはこれだけ10年とかやっていて、どんどん改善されていてもっと薄くなったりとか、何かできないのかなというところがあります。もうちょっといろいろ情報を得ながら、せめてもう少し動きやすい、着て動きやすいというか、少なくとも仕事に行くのが嫌だと思わないような形くらいの、何かもう少しあの辺での工夫ができないかというのが、現場を何回か見たときの感想です。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。全般のお話は、浅野先生からも御指摘いただいているので、また、JESCOのほうで整理して資料を示していただけると思います。
  • 影山委員 きょうのお話を聞いておりまして、大変JESCOさんがうらやましいなという気がしています。同じPCBの処理をしている者として、会社でこういう報告をするとぼろくそに言われるものですから。きょうの皆さんの御理解が、非常によく御存じの方の御意見なので、真っ当な御意見なんだろうと思います。
     ただ、会社でどう言われるかというのを踏まえて考えますと、きょうの資料で、PDCAが全く回っていない。次回も含めてやられるというふうに思いますけれども、これまでも含めてどういうふうにやってきたのか。目標管理をどうしてきたのかというのが、ちょっと見えない。
     今いろんなお話、JESCOさんの御回答を聞いていると、どうも言いわけが多くて、もうちょっと前向きにやっていただかないと、これから非常に我々として心配でございます。とにかく早く処理を進めていただかなければいけないというのが、我々の願いでございます。そのためにどうしたらいいのか。これまでの話もありますが、今後どうしたらいいのかというのを、きょうの御意見も踏まえて、しっかりやっていただきたい。
     これからいろんなものを新しく立ち上げるというのは、なかなか時間がかかると思います。現状である中で、できるだけ現実的なことを考えて早く処理が進むようなそういうことを、ぜひいろんな対策を踏まえて考えてほしいと思います。
     技術的な対策も数々あろうとは思うんですが、一つはやはりいろいろきょうもありましたけれども、自治体を初めとして、住民の方の御理解とか国民の御理解が必要なところが非常に多いと思いますので、それをあまり恐れず訴えられて、これだけの味方があるわけですから、それを味方にして処理を安全に進めるということをやっていただければというふうに思います。
     それから、我々処理を依頼するほうも、これもやはり工夫があるかもしれません。処理を依頼する側で努力して、一緒になって考えて処理を進めるという方法があると思います。ぜひそれも御提案いただければと思います。
     そのときにぜひお願いしたいのは、我々は経験がございますが、随分高圧的にJESCOさんが出るものですから、嫌になっちゃうんです。ぜひ一緒にやろうと。我々、有害物があったりして、それはもう受け取れませんと、それだけ言われてしまいますと、これでは話が進みませんので、一緒に考えましょうねというふうにやっていただけると、大変前に進むと思います。ぜひ姿勢のほうもお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  • 永田座長 いろいろありがとうございます。
  • 酒井委員 総合的に御発言されたので、この後、あまりちまちましたことは言いたくないところですが、テクニカルな面だけちょっと発言をしておきたいと思います。
     織さんが言われた経験の類型化とか、得意・不得意をもうちょっとはっきりさせよということは、もう相当やっておられると思いますので、それを踏まえて次回の整理、報告を期待しております。
    その中に少し特出し的な話として、大型トランスの話、車載トランスの話は既に話題に挙がっておりますので、そこが最大のポイントであろうというふうに思います。
     それに加えて、きょう御説明のあった中でまいりますと、いわゆるPPコンデンサの真空加熱処理。これが今の対応、鋼製のケースに入れてやることによって、今後とも本当にそれがそのまま進むのかどうか。その技術に対しての見極めということをぜひ盛り込んでいただきたいところです。
     もう一つの技術的な話として、タール、木酢液の発生というところでございます。これは高温のVTRと低温のVTRで恐らく性状が相当違いましょうし、これの処理可能性、見通しに対して、どう考えるかということも、今後のポイントかと思っています。ぜひこういった点、非常にテクニカルな点になりますけれども、よろしくお願いいたします。
  • 本多委員 作業要件はみんな同じでございまして、できるだけ早く、安全に処理していただきたい。できればあと5年で処理を完了していただきたいと思います。PCB廃棄物は、持っているだけで経営リスクになるとともに、保管費用がかかり、大変ということでございます。
     いろいろ本当にJESCOさんがうらやましい限りで、一般企業であれば少しでも遅れが判明した段階で対処を考えるのが当たり前ですけれども、そうはいってもできるだけ早く処理を進めていただきたいと思います。
     きょうはここに7つの視点が挙がってきましたけれども、JESCOさんが一番操業をわかっておられるわけですから、JESCOさんが考えた御自身の案を次回ぜひお見せいただきたいと思います。
     残念ながら、我々のつくっているもの、あるいは操業しているものとJESCOさんがやっているものは大分違いますので、ここは、餅は餅屋の意見をご提示いただければと思います。
     そのときに定性的にこの対策が効果的では判断できませんので、ここの場で、わかるようにそれぞれの対策の効き代も一緒に御提案いただけると嬉しいと思います。よろしくお願いします。
  • 浅野委員 こういう点は、制約要因があるということもはっきりさせないといけないかもしれませんね。例えば事業所間移動などということは、考えればすぐできそうにも思うけれども、そのためには地元の御理解を得るための調整も大変だということはあるわけですから、その辺はあまり恐れずに、率直にきちんとお出しになって、地元の調整が必要なものについては、みんなが最大限努力をすればいいのです。JESCOだけがすべてをやらなければいけないとはだれも言っていないわけでしょう。
     だから、あまり自分で自分自身に制約を課してしまって、できることの範囲を狭めてしまうというのでは、こんな委員会をやっている意味はないと思います。
  • 永田座長 どうも貴重な御意見を。どうぞ、福永先生。
  • 福永大阪監視会議座長 大阪の福永です。先ほど少し申し上げたんですが、処理推進策の中に、従業員のモチベーション向上というのは、その律速にあると思うんですが、ソフト的な面も一つ項目につけ加えていただいて検討していただきたい。
     例えば先ほど報告のありました処理実績のピンク色というのは、結局それぞれの設備の不具合等で事業がとまった。しかしそのとまった最後の仕上げには、やはり市民の理解が得られないでとまっているという部分もあると思います。そういうことも含めてやはり5年、6年たって、かなりの事業の経験を積んできています。教訓、データを積んできていますので、何らかのある日までにできなくても、マニュアルまでいかなくても、共有できるような文書的なものをまとめていただくようにして、事業所なり行政なり市民が共有して安心して、ここまでやってくれたんだから、もう次再開してくださいというのを1日も早く再開できるような、そういうふうなこと、ソフト的な面をひとつつけ加えていただけたらと思います。
     もう一つ、事業所間の移動ということは、いいとは思いますが、大阪でも例えば運搬コースはみんな決まっているし、自動車はみんなGPSを積んでいてどこを動いているかとか、あるいは交通事故を起こしたらどこでとまったとすぐにわかるようになっているとか、そんなこともやっておられると思います。なかなか難しいところはあると思うので、それを踏み越えてやっていくということが必要かと思います。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。今、お話のようなソフト的な対応、特に市民への説明になるような資料、あるいは国としてPCB処理の取組への意義とか、これはモチベーションにつながる話です。その辺のところの情報をきちんと整理していくように。
  • 眞柄北海道監視円卓会議委員長 北海道は1道15県、日本の約半分の地域のものを扱っていますので、現在はどちらかというと、処理をしやすいものから処理をしているというほうがいいかもしれません。先ほどの工程表を見ますと、私はちょっと楽観的な見方かなという印象を持っていますが、それが一つです。
     もう一つは従業員のモチベーションの向上ですが、北海道はまだ事業が始まってからそれほど長くございませんので、前回の監視円卓会議でも、委員の方から指摘がありました。実際に事業所を動かしているのは、JESCOの社員ではございません。実際に事業を行っている会社が、JESCOの下で動いております。
     そこの職員の勤続年数はどれくらいという質問がありました。そこの社員の勤続年数が長ければ長いほど、ある意味では事故も少なくなりますし、ある意味では効率化もあるというふうな意見の反映かと思います。そういう意味で、ぜひJESCOのほうで、実際に仕事をしている事業所の社員に対する教育指導がどういうふうに進められているかということを、北海道だけでなく全国的にもお調べいただいて、しかもその内容を、改善というお話が先ほどもありましたけれども、そういう実際に働いている方々の知恵と経験を生かす工夫をもう少し活性化していただきたいというのが、私の最後の意見でございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。一応これで資料の関係の説明と議論が終わりでございます。
     幾つかいろいろ指摘をいただいていますので、ちょっと事務局のほうから何かコメントがあったら発言をしてください。
  • 廣木産業廃棄物課長 今、委員の先生方から幅広く意見をいただきました。いずれも本当に貴重な御意見だったと思っています。
     次回におきまして、具体的に今回いただいた意見を取りまとめて、処理推進策の案を示していきたいと考えています。今御指摘いただいたように、かなり具体的なものを出していくことが必要になるかと思っております。もちろんさまざまな制約がありますので、どこまで出せるかとなりますけれども、そこをなるべく具体的に。今後、実際に示していくに当たって、様々な課題があると思います。そういったこともきちんと整理して提示できるようにしていきたいというふうに思っておりますので、また活発な御議論をいただければと思っております。

議題(3)その他

  • 永田座長 よろしいでしょうか。それでは議題の3で、その他ということですが、次回の日程等でございます。どうぞ、事務局のほうから説明してください。
  • 廣木産業廃棄物課長 次回日程でございますけれども、委員の先生方に昨日メールで送らせていただいた先生方もいらっしゃるかと思いますけれども、次回は12月19日、今度は平日の月曜日ということでございます。ただ、時間が16時30分からということでございます。若干遅い時間で恐縮でございますけれども、年末の本当にお忙しいときに大変申しわけありませんが、お時間を割いていただきまして、何とぞ活発な御議論をいただければというふうに考えています。場所等の詳細につきましては、後日また改めて御連絡させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
  • 永田座長 ありがとうございました。本日は、遠方よりお越しの先生方もいらっしゃいます。また土曜日だったというこ ともございまして、大変皆様には御迷惑をおかけしております。またそうした委員会でもありながら、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。また、次回もひとつよろしくお願い申し上げます。

(了)