環境再生・資源循環

第1回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事要旨

日時

平成23年10月1日(土)

場所

環境省第1会議室

出席委員(五十音順)

  • (委員)
    飯干委員、伊規須委員、影山委員、川本委員、鬼沢委員、酒井委員、田中委員、田辺委員、築谷委員、永田委員、本多委員、横山委員
  • (オブザーバー)
    日本環境安全事業株式会社の事業所が立地する自治体(北海道、室蘭市、東京都、豊田市、愛知県、大阪市、大阪府、北九州市、福岡県)
    日本環境安全事業株式会社
    経済産業省
    産業廃棄物処理事業振興財団

議事

  1. (1)PCB廃棄物処理の現状について
  2. (2)検討委員会における検討の論点について
  3. (3)その他

議事概要

  • 会議は公開で行われた。
  • 座長に永田委員が選出された。
  • 事務局(環境省産業廃棄物課)より、PCB廃棄物処理の経緯と現状について説明し、その後、日本環境安全事業株式会社(以下JESCO)より、JESCOのPCB廃棄物処理事業について説明した。
  • 事務局より、本検討委員会における論点に関する説明があり、委員から意見があった。
  • 事務局より次回以降のスケジュールについて説明があり、JESCOに関する議論を行う際には、各事業所の監視委員会の委員長等に出席を依頼することとなった。

主な意見

(1)PCB廃棄物処理の現状について

  • JESCO事業所への見学者数や安全監視委員会への市民の参加人数について、「真空加熱分離法」という用語について、「PCB汚染物」という用語の整理について、作業者の安全に関する「許容濃度」と「作業管理濃度」の用語の使い方の整理について、これまでの事故について、各事業所の処理方式や処理能力について、それぞれ質問があった。

(2)本検討委員会における論点について

  • 織委員提出意見(事務局代読) JESCOで処理に従事する従業員のモチベーションを高めることが事故防止のキーになるのではないか。また、組織としての効率的なマネジメントを行うため、5つの事業所がそれぞれ独自に操業を行うのではなく、人事交流、技術交流等を行い、全体的な視点から決定するのがより合理的。民間企業のノウハウを取り入れ、徹底した合理化等を行うことにより赤字削減に努めることが適当。現場の従業員が本当に頑張っているので、その頑張りを理解してもらいながら、マネジメントの合理化を行うことが必要。
  • 飯干委員 多種多様なPCB廃棄物のすべてのものについて、なおかつ、漏れのないような処理体制の整備という点が非常によいのではないか。
  • 伊規須委員 作業者の安全な作業に万全の配慮をしていただきたい。生物学的モニタリングの導入は、作業者のモチベーションを高めるという点でもプラスになっている。
  • 影山委員 トランス・コンデンサについては、特に東京事業所での処理が遅れている。JESCOでの処理の遅れの原因を追究したうえで、あらゆる方法を尽くして効率的な処理をお願いしたい。
     安定器等・汚染物については、今後の処理の見通しを立て、しっかり処理が進むような方策を考えていただきたい。
     微量PCB汚染廃電気機器等については、処理対象量を把握いただき、その上で漏れなく処理できるようになるようお願いしたい。微量汚染物については、高濃度に比べるとリスクが格段に低いので、リスクを勘案した上で、処理方策を考えていただきたい。特に、油を抜いた容器についてはかなりリスクが下がる。また、使用中のものについては、絶縁油を入れ替えて安全なものになる。
     さらに、移動が難しい非常に大きなトランスがあるので、移動式処理の仕組みを打ち立てていただきたい。また、OFケーブルの処理が課題となっているので、その取組についてもお願いしたい。
     産業界は、保管等で大変苦労をしており、現実的な方法で処理が確実に進むということを考えて検討をお願いしたい。
  • 川本委員 化学プラントである以上、事故は起きるものだが、過去の事故から科学的な解析をして事故が操業停止に結びつかないような手立てを考える必要がある。
     実際の処理において、最も律速な工程はどこかということをよく精査して、その対応を検討するということが原則。
     5事業所の連携も必要になってくる。また、活性炭や保護具等の二次廃棄物が大量に発生しており、低濃度の汚染物をどのように処理するかという見極めも必要。
  • 鬼沢委員 まだ1万以上の保管場所があり、漏えいや紛失事例もあり、早急に処理をしていく必要がある。処理量をアップしていけるかということが大切。
     PCB廃棄物の処理をしているということが全国的には知られていないような気がする。リスクコミュニケーションをしっかりしていくという意味でも、事業所の周りの住民にとどまらず、情報開示をしっかりしていかなければいけないと思う。
  • 酒井委員 資料5について、合計で千数百箇所で漏えいや紛失が起こっていることは、相当深刻に考えるべき。PCB廃棄物の把握と管理について、再度強化していただきたい。また、機器の台数だけではなく、PCB総量としてどの程度あるのかという試算も進めていただきたい。
     事業所のある自治体や周辺住民の方々には非常にご苦労いただいて、情報も伝わっているが、それらの地域とほかの地域で温度差が相当に生じ始めている。PCB廃棄物処理について全国民に向けて理解していだくことが必要であり、5地域にお世話になっているということの広報をもっとやっていくべき。他地域の方の認識が薄くなっているということに関しては、非常に危機感を持っている。
     技術性能の再検討というという点について、事業所間の移動は簡単ではないが、二次廃棄物に対する的確な対応をとらなければ、処理に影響が生じるため、日本の総力を挙げて取り組まねばならないと思う。
  • 田中委員 可能な限り早急に処理を終わらせること、また考えられる対策を可能な限り実施することが必要。処理のペースを上げるためには、JESCOの処理施設について得意、不得意な分野を最大限に活用して処理を進めることが必要。PCB汚染物については、大臣認定施設の処理対象とするということが考えられる。JESCOの施設を最大限活用するということはもちろん、民間が持っている施設を活用することも検討すべき。
  • 田辺委員 JESCOの操業の過程で出てくるPCB汚染物の処理をどうするかということが、最大の課題。これらの廃棄物をJESCOの施設で処理すると莫大なお金がかかる。焼却技術はかなり整っているので、焼却で何とか対応できないか考えるべき。
     低濃度の汚染物の処理ができるように早急に対応を進めること、また、場合によっては、高濃度の汚染物も同じような方法で処理できないかということもまじめに検討する必要がある。いずれにしても、処理施設の能力を増強させることを議論していく必要がある。
  • 築谷委員 高圧トランス・コンデンサの処理が進み出したことについては、立地自治体のご協力があってのことで非常にありがたく思っている。
     高圧トランス・コンデンサについては、漏えい機器が受け入れられていないことが課題。本来は、処理を急ぐべきものであり、運搬・処理の方法を決めていただいて、漏えい機器も早く処理できるようにしていただきたい。
     安定器等・汚染物については、近畿圏もまだ処理体制が整備できない。何とか整備をお願いしたい。
  • 本多委員 JESCOは大変な赤字であるので、マネジメントや経営状況を含めて、計画と実績の中身ができるだけ見えるようにしていただき、より上手に合理的に処理できるスキームを考えていただきたい。
     これからの議論の過程でいろいろな論点が出てくると思うので、また出てくるたびに座長にお願いして論点に追加していただくということをお願いしたい。
     微量汚染物については、特措法ができてから出てきた問題であり、特措法施行時にはもともと認識されていなかったので、それをどうやって位置づけていくのかということを議論する必要があると考える。
     不法投棄については、罰則だけでは解決せず、不法投棄も防止できるような合理的なスキームというのを考えていかなければならないのではないか。
  • 横山委員 JESCO全体の効率を高めて、できるだけ投入エネルギーも下げ、結果として処理料金も下がるということの努力をお願いしたい。安全を中心にしてもっと一体化した効率的なマネジメントをお願いしたいという意見があったが、まさに同じ考え。安全意識の強化と技術力の向上が全体の処理費の低減につながるため、その点を強化していただきたい。
     安全・確実・迅速が最優先ということは反対するところはないが、そういう中で合理的に進めるということで、国際競争力、技術力、その結果としてのコストを意識しながら、取り組んでいくことを議論していただきたい。
  • 永田座長 「高圧トランス・コンデンサ等」と「安定器等・汚染物」という仕分けがあるが、処理の方から見てどういう分類、定義をしていった方がいいのか、検討していただきたい。
     情報提供・情報発信について、10年経って一区切り、今後どうするのかという話の中で、積極的に市民、国民のみなさんにお知らせすること、現状がどうなっているかということを解説することが必要であり、その方策についても、論点の中に入れるべき。現状や実績の整理についても不十分であり、その整理についても論点の中に入れるべき。

(3)その他

  • 永田座長 各事業所の監視委員会についは、地域住民との間の情報共有、リスクコミュニケーションにとって重要な位置づけを持っており、JESCOに関する議論がなされるときには、地域の監視委員会の委員長に参加をいただきたい。