環境再生・資源循環

第1回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会議事録

日時

平成23年10月1日(土)

場所

環境省第1会議室

開会

  • 廣木産業廃棄物課長 定刻になりましたので、ただいまから「第1回PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」を開催したいと思います。
     それでは開催に当たりまして、環境省廃棄物・リサイクル対策部長の伊藤よりあいさつさせていただきます。

挨拶

  • 伊藤部長 環境省の廃棄物・リサイクル対策部長の伊藤でございます。委員の皆様方には御多忙のところ、また、土曜日にもかかわらず、御出席賜りまして感謝申し上げます。PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会の第1回の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
     皆様御承知のとおり、PCBは極めて優秀な有能な物質として電気機器を初め、幅広い用途に使用されてきたわけでございますが、昭和43年にカネミ油症事件が発生し、大きな社会問題となったわけでございます。
     昭和47年以後、製造が中止されたということでございますが、その後、使用を終えたPCBを処分するために、民間主導によるPCB処理施設の立地の動きは何回もあったわけでございますが、地元の理解を得られないといったことで実現に至らず、30年以上の長期にわたりましてPCB廃棄物の保管が継続されてきたという状況にあったわけでございます。
     この間、紛失や行方不明になったトランスなどもあることが判明し、PCBによる環境汚染が懸念されるようになり、また国際的にもPCB等の有機汚染物質の処理を義務づけるPOPs条約の採択等の取り組みが進められてきました。
     こういった状況の中、まさに環境庁が環境省となる平成13年6月に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理に関する特別措置法」、いわゆるPCB特別措置法が制定され、平成28年までにすべてのPCB廃棄物を処理するということになったわけでございます。まさに国が中心となって、日本環境安全事業株式会社を活用した処理体制の整備を図る。こういうことでございまして、これまで、日本環境安全事業株式会社(JESCO)の5カ所で拠点的な処理施設を整備し、処理を着実に推進しているという状況にあるわけでございます。
     一方、PCB特別措置法の施行後にPCBを使用しないとされていたトランス等の電気機器の中に微量のPCBが混入する。こういったことが判明するなど、新しい課題も出てきているということでございます。
     PCB特別措置法は10年間施行してまいりまして、一定の成果があったことは間違いないというふうに考えております。このことにつきましては、本日も御出席を賜っておりますけれども、オブザーバーとして御参加いただいておりますJESCOの各事業所が立地する自治体の皆様の御協力、御尽力がなくてはなかったものというふうに考えております。この場を借りまして環境省を代表して深く感謝を申し上げたいと思います。
     この10年間、一定の成果は上がってきたわけでございますが、一方では必ずしもJESCOにおける処理の進捗率が当初の想定どおりにいっていないといった問題。それから先ほど申しました微量PCBの問題など、課題が多く残されていることも事実でございます。
     PCB特別措置法では施行後、平成13年7月19日でございますけれども、施行後10年を経過した場合に、施行状況の見直しをきちんとやるというふうなことが、法律上定められているということで、この検討会におきまして、ぜひPCB行政についてきちんと検証していただきまして、今後の取り組みについての方向性を御議論いただき、きちんとした報告書を出していただきたいというふうに考えているわけでございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
     せっかくの機会でございますので、3月11日の震災後、私ども廃棄物・リサイクル対策部あるいは環境省全体として最も大きな課題となっております災害廃棄物の処理の状況について、若干御報告を申し上げておきたいというふうに思います。
     災害廃棄物、膨大な量のがれきが生じたわけでございますが、政府全体の当面の目標としましては、今年の8月いっぱいに居住地周辺の災害廃棄物については、一時仮保管場所まで全部持っていこうということ。それから、全体の処理・処分につきましては、3年間でやろうという目標を立てて、これを政府の目標として取り組んできたところでございます。
     幸い当面の目標、8月いっぱいに居住地近傍のがれきを一時仮置き場まで持っていくという目標につきましては、福島県内の人が立ち入れない市町村を除きましてすべて達成できたという状況でございます。
     これからはまさに災害廃棄物の処理処分ということを本格的に進めていかなければならないということでございますが、その中でもとりわけ広域移動を進めることは不可欠だというふうに、環境省としても考えています。そういった中でたくさんの被災していない自治体からの受け入れの可能性の表明がなされていたわけでございますけれども、放射性物質によって汚染されたおそれがあるのではないかというふうな懸念もあって、なかなか広域処理が進まなかったという状況でございます。
     そういった中で、昨日、今日も御出席いただいている東京都におかれまして、岩手県と協定を結ばれて3年間で宮城も含めて50万トンの災害廃棄物を処理しよう。こういうふうな目標を立てていただいたということで、本当にこれは私どもとしても敬意を表したいと考えているところでございます。
     東京都に先陣を切っていただいたところでございます。ほかの自治体にも広がりますように、もちろん放射性の問題がない、安全性の確保が前提でございますけれども、そういった広域処理ということについても、環境省としても全力を尽くしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
     もう一点、放射性物質に汚染された廃棄物の問題についても、せっかくの機会でございますのでお話しさせていただきたいと思います。これは、皆様方御承知のとおり、廃棄物処理法では、明確に放射性物質によって汚染されたものを除くというふうに、今現在もされているわけでございます。こういった中で、今回の東京電力福島第一原子力発電所の事故によって、放射性物質が発電所の構外に広く放出された。そういったことでがれきを初めとして、廃棄物の汚染ということも当然懸念されたわけでございます。
     当初は廃棄物処理法では扱えないのではないだろうかと、こういうふうな法的な問題があったわけでございますが、一方で、そういった問題自身が、こういうことを言ってはいけないのですが、まさに想定していなかったということで、発電所の外の放射性物質によって汚染された廃棄物をどういうふうに処理するのかということの法的枠組みはなかったわけです。
     そういった中で、環境省は、正直申し上げまして、それまで放射性物質の問題は除外されてきたというか、関係ないと言われてきた状況であったわけでありますが、私どもは、廃棄物処理法をもとに、その延長線上で処理を進めていこうということで、これまでやってまいりました。
     ただ、これは明らかでございますけれども、無理があるというのは当然でございました。そういった中で、先の国会で、今回の事故によって放出された放射性物質による環境汚染の対処に関する特別措置法という法律ができました。この法律によりまして、放射性物質によって汚染された廃棄物、土壌の対策をきちんとやっていこうと。法律の枠組みができたということでございます。この法律自身は来年1月本格施行ということで、現在その準備作業を一生懸命やっているところでございます。
     この問題はまさに環境省として当然国として、最優先課題としてやっていかなければならない。こういったことが政府の中ではコンセンサスになっているところでございまして、この問題についても全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えています。
     そういった中でもちろん政府は全力でやりますし、とりわけ産業界の皆様方におかれましては、これは私が言うまでもなく、1992年のリオサミット、それからその後の環境基本法制定当初から、まさに自主的、積極的な取り組みが非常に重要であると、従来から主張されておられたわけでございます。今こそ単に国や地方公共団体の施策に協力するということにとどまらず、自主的、積極的にいろんな面で取り組みをやっていただきたい。こういったこともちょっと今日の本題とは離れますけれども、この場をお借りしてお願いしたいというふうに考えます。
     いずれにしましても、この検討委員会はPCB廃棄物の処理について、これまでのことを検証し今後どうしていくかということの御議論を賜るわけでございますが、今日出席の先生方におかれましては、PCB対策のみならず、放射性物質も含めて環境行政全般にいろんな側面で、御支援、御協力を賜りますことをお願い申し上げまして、冒頭のごあいさつとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

委員等の紹介

  • 廣木産業廃棄物課長 それでは、この検討会は今回が第1回目ということでございますので、議事に先立ちまして委員の皆様、それから事務局、その他御出席の方を私から簡単に御紹介させていただければと思います。御所属等につきましては委員名簿が配付されておりますので、御参考にしていただければと思います。
     着席順に紹介させていただきます。
     日本電機工業会PCB処理検討委員会委員長の飯干委員です。
     福岡中央総合健診センター施設長の伊規須委員です。
     電気事業連合会環境専門委員会の影山委員です。
     早稲田大学理工学部教授の永田委員です。
     国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター副センター長の川本委員です。
     NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット事務局長の鬼沢委員です。
     京都大学環境科学センター長の酒井委員です。
     鳥取環境大学サステイナビリティ研究所所長の田中委員です。
     愛媛大学沿岸環境科学研究センター教授の田辺委員です。
     兵庫県環境管理局長の築谷委員です。
     日本鉄鋼連盟環境保全委員会 化学物質分科会主査の本多委員です。
     まだ本日お見えになっていませんけれども、愛媛大学農学部客員教授の森田委員です。
     石油連盟 環境専門委員会の横山委員です。
     以上の委員のほか、本日は、どうしても御都合がつかずに御欠席ということでございますけれども、福岡大学法学部教授の浅野委員、それから関東学院大学法学部教授の織委員にも委員を御就任いただいているところでございます。
     続きまして、私ども事務局についても御紹介させていただきたいと思います。今し方もごあいさつ申し上げました廃棄物・リサイクル対策部長の伊藤です。
     廃棄物・リサイクル対策部、企画課長の坂川です。
     総合環境政策局総務課、調査官の河本です。
     産業廃棄物課課長補佐の鈴木です。
     申し遅れましたけれども、私、産業廃棄物課長の廣木です。どうかよろしくお願い申し上げます。
     また本日この検討委員会のオブザーバーとしまして、日本環境安全事業株式会社の事業所が立地している各自治体の皆様方にも、御出席いただいているところでございます。
     また経済産業省環境指導室から沖嶌管理官です。
     日本環境安全事業株式会社から矢尾板代表取締役社長、小川管理部長、榑林事業部長に御出席いただいているところでございます。
     また、PCB廃棄物処理の技術的観点からの調査研究を長年行っております、産業廃棄物処理事業振興財団から飯島専務理事にも御出席いただいているところでございます。

資料・開催要領の確認等

  • 廣木産業廃棄物課長 それでは、次に移りたいと思います。まず、お手元の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
     議事次第に資料一覧を記しております。委員名簿、資料1、資料2、資料3、資料4、資料5、資料6。織委員提出資料、参考資料1、参考資料2ということでございますけれども、もし資料の不足がございましたら事務局にお申し出いただければと思います。
     また、別とじでこのような、黄色い紙ファイルが委員の先生とオブザーバーの皆様への配付しており、関係法令の条文、国の基本計画等をとじております。参考資料として適宜御利用いただければと思います。
     それでは、続きまして本委員会の開催要領につきまして、私のほうから簡単に御説明させていただきたいと思います。資料1をごらんください。「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」開催要領(案)というものでございます。
     まず、目的でございます。このPCB特別措置法、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法が施行されて10年が経過した。この附則第2条に「政府は、この法律の施行後10年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」というふうに規定されているところでございます。これに基づく検討が必要だということでございまして、そのためPCB廃棄物の処理の現状を把握した上で、今後のPCB廃棄物の適正処理の推進策を検討すること目的として、この検討委員会を開催するというものでございます。
     2番目、構成でございますけれども、この検討委員会は学識経験者、事業者等の関係者及び自治体職員等で、廃棄物・リサイクル対策部長が委嘱した委員をもって構成する。また、必要に応じ、検討事項に関係のある者を座長の了解を得た上で出席させることができるものとする。また、検討委員会には、そこにあるような者がオブザーバーとして出席できるということでございます。
     3番目として検討事項でございますけれども、この検討委員会の検討事項は次のとおりとするということでございます。
    1.  (1)以下に掲げるPCB廃棄物についての適正処理推進策について
      1.   [1] 高圧トランス・コンデンサ等
      2.   [2] 安定器等・汚染物
      3.   [3] 微量PCB汚染廃電気機器等
    2.  (2)今後のPCB廃棄物処理の見通しについて
    3.  (3)微量PCB廃棄物に関する課題について、これらを検討事項としたいと考えております。
     4番目座長でございますけれども、この検討委員会には座長を置く。座長は検討委員会の議事運営にあたる、ということでございます。
     次のページに参りまして運営でございますけれども、検討委員会は原則として公開とするものとする。
     また、そのほかについては資料に書いてあるとおりでございます。
     6.庶務として、この検討委員会の庶務は、私ども環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課において行うということになってございます。
     以上、簡単に開催要領について説明させていただきましたけれども、もし御質問がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
     特にないようでしたら、この案をもちましてこの検討委員会の開催要領とさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。
     続きまして、本検討委員会の座長でございますけれども、私ども事務局のほうから御提案をさせていただければと思っております。
     事務局といたしましては、長年PCB問題に深く関わってこられ、また中央環境審議会の微量PCB混入廃重電機器の処理に関する委員会の委員長もお務めになっていらっしゃいました、早稲田大学の永田委員に御就任いただきたいと思っておりますが、皆様、いかがでございましょうか。
    (「異議なし」と声あり)
  • 廣木産業廃棄物課長 特に異議がないようですので、以降の進行につきましては永田座長からよろしくお願いしたいと思います。
  • 永田座長 永田でございます。座長を務めさせていただきます。
     先ほど部長のほうからもお話がございました、特措法が制定されるまでの間の期間、それから特措法から10年ということで、ここまで来れたのも今日御出席の皆様を初め、特に処理施設の関係自治体の方々、それから、その地域に住んでおられる住民の人々の役割は非常に大きかったなというふうに思っております。それに加えまして産業界、学界、それから国も含めての官界。そういう意味では産学官民、4つの市民といいますか、4つの協働でここまで来れた。
     時々私は、「共創」と、「共に創る」という言葉で一つの理念を呼ばせていただくことが多いのですが、目的を同じくする主体的関係者。ただ、主体的関係者といってもみんな役割が違うということで、その参加協働によって目標を達成していこうという理念ということになるのですが、まさにその共創でここまで来れたのではないかというふうに思っています。
     ただ、先ほどもお話があったように、まだまだ不十分なところ、あるいは新しく起こった問題に対して考えていかなくてはいけないところがあるというふうに思っています。
     今日は第1回目ということで、いろいろ御意見をちょうだいしていきたいと思っています。今後も引き続いてそうした点について御議論をお願いしたいというふうに考えているところでございます。よろしくお願いいたします。

議題(1)PCB廃棄物処理の現状について

  • 永田座長 それでは、早速ですが議題に入らせていただきまして、まず「PCB廃棄物処理の現状について」ということで、議題1番目から始めさせていただきます
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 それでは、お手元の資料2をごらんください。スクリーンのほうにも同じ資料を投影させていただきます。「PCB廃棄物処理に関する経緯と現状」ということでございまして、委員の皆様にとりましてはもう既によく御存じのことかと思いますが、初回ということもありますので、もう一度改めてどういう問題だったのかというのを御紹介させていただきたいと思っています。
     まず、「PCBとは」というところでございます。ビフェニルの水素が塩素に置換したものということで、水に溶けない、化学的に安定、電気絶縁性が高いといったものでございます。写真のように、見た目は普通の常温であれば、油のようなものでございます。主に絶縁油、熱媒体、感圧複写紙というものに使われてまいりました。
     次のページをめくっていただきまして、有害性ということでございます。有害性につきましては難分解性、生物蓄積性、濃縮性、揮散・移動性といったことでございまして、水や底質、生物などに広範囲に残留しているということ。それからPCBを使用していないような極地の人、野生生物、遠洋の魚介類、そういったものに汚染が拡大しているということで、環境汚染物質としては、一回環境に出ると非常に厄介なものということになってございます。
     続きまして、4ページ有害性ということでございます。強い急性毒性は、PCB全体ではそれほどないのですが、目やにとかまぶたの膨張、色素沈着・黒化、塩素ニキビ、肝臓肥大、そういうものが報告されています。ただ、目やにといってももう目が開けられないぐらいの目やにとか、非常にたくさん摂取してしまった方には、そういう大きな障害が生じているということも報告されております。
     209種類のPCBの異性体のうち、12種類をもちましてコプラナーPCBと呼んでおります。これは特に毒性が強いということで、ダイオキシン類の1つと位置づけられているものでございます。
     それから、ポリ塩化ジベンゾフランというものがPCB製品の中に含まれているということでございます。これもダイオキシン類の1つとして位置づけられているものでございまして、カネミ油症はPCBとPCDFの複合的な中毒だということで分析がされております。
     なお、最近は70年代と比べれば、かなり母乳中のPCB濃度は下がっているという報告もございます。
     続きまして、基準でございます。大気、水質、土壌ということで、公共水域はND、土壌は検出されないこととか、かなり厳しい基準になってございます。特に、環境基準ではないのですが、作業環境基準というもの。これも非常に厳しく労働者が継続的に曝露しても健康上の影響が見られない濃度ということで、PCB0.01mg/mということで設定されております。
     さらに先ほど申し上げたように、一部がダイオキシン類に位置づけられておりまして、ダイオキシン類の作業環境は非常に厳しい。これはPCBの処理をしていく中で非常に重要な視点というか、ここをちゃんと順守してやっていかなければいけないということで、なかなか大変な作業になっているということにもつながってきます。
     6ページ、用途ですが、これはここに見ていただきますように工場、ビル、学校など電力を多く使うところではどこにでもあるということで、日本中どこにでも存在するということで、またこれも問題の難しさということになっています。熱媒体であれば、カネミ油症の原因となったのも食品工場での使用でありましたけれども、どこにでも使われている。下のほうの可塑材とか塗料とかそういったものに幅広く使われているというのも、このPCBの特質かと思っております。
     めくっていただきまして7ページでございます。用途としては約7割が、電気機器用トランス・コンデンサということでございます。16%ぐらいが熱媒体、10%ぐらいがノンカーボン紙というふうになっておりまして、その下の四角のところでございますが、1972年に製造中止、回収ということになっておりまして、74年に労働安全衛生法特定化学物質第1類、それから化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の第一種特定化学物質にも指定され、製造、輸入、新規の使用が原則禁止されている。そういう経緯でその後30年近く処理のメドが立たなかった、事業所において保管されてきたとことになっています。
     30年間どういったことがあったのかというのが、次の8ページでございます。昭和29年に製造が始まり、カネミ油症が発生した後昭和47年、行政指導によって製造中止、回収といったようなことがございました。
     この後、世の中でものすごくいろんなところで使われていたということでございまして、これを処理しようということになったのでございますが、処理は簡単ではない。先ほど申し上げたように、非常に安定しているといったようなこともございました。
     その中で事業者団体、電気絶縁物処理協会というものを事業者の皆様で立ち上げていただきまして、この中で、処理施設の立地というものに非常に努められたという経緯がございます。39カ所施設の立地を試みたのですけれども、どこにも建てさせていただけなかった。なかなか理解をいただけなかったということでございます。
     この間、実は昭和60年ぐらいから環境庁とカネカが高温焼却ということで、一部処理をしたのでございますが、それが処理施設を立地するというところには至らなかったということで、非常に長い間、課題となっていたということで、平成10年には左側にありますが、厚生省が調査をしていまして、1万1000台のトランスとかコンデンサが紛失しているといった問題が判明しております。
     そういった経緯でこれをどうにかしなければいけないということで、社会的に非常に強く望まれていたわけでございますが、ストックホルム条約(POPs条約)締結といったような国際的な流れも踏まえて、平成13年にPCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法、PCB特措法が制定されまして、先ほどから申し上げているように、国が中心となって、処理の体制を整備していくという体制になったわけでございます。
     めくっていただきまして、その後、PCB特措法ができた後10年間、どういうことがあったのかというのが次のスライドでございます。
     10年間、環境事業団で最初スタートしたのでございますけれども、平成16年には環境事業団からJESCOに事業が引き継がれてございます。左側に高圧トランス・コンデンサということで、それぞれ廃棄物の種類ごとに10年間に何があったのかというのをまとめております。まず高圧トランス・コンデンサというのは、順次JESCOの事業所が全国で5カ所操業を開始して、全国的な処理体制が構築されたということでございます。
     安定器等・汚染物につきましては、平成21年にJESCOの北九州事業所の操業が開始されまして、処理に着手されてございます。
     右側の微量PCB汚染廃電気機器等と書いてあるところでございますが、これにつきましては、平成14年の法律ができた後にその存在が判明したということで、かなり量もあるということで、これをどうしようかということで検討会を開催、先ほどあったように中環審を開催して、環境省が焼却実証試験というものをやりつつ、平成21年に無害化処理認定制度というものを創設、この中にPCBを追加ということでございます。平成22年に第1号の大臣認定がおりまして、処理に着手されたという経緯でございます。
     次に、言葉の整理をさせていただきますが、10ページにあるのは、今後しばらくこの3つに分け、御説明をさせていただきます。
     [1]高圧トランス・コンデンサ等、[2]安定器等・汚染物、[3]微量PCB汚染廃電気機器等とこの3つのカテゴリーで御説明します。一番上の高圧トランス・コンデンサ等というものは、絶縁油としてPCBを使用した電気機器ということで、もちろんこの中に絶縁油が含まれておりまして、具体的にはトランスが大体1万5000台、コンデンサが28万台、その他機器ということでリアクトル、放電コイルといったものがございます。
     微量PCB汚染廃電気機器等というものも、実際にはトランス・コンデンサということで、物としてはほとんど同じでございます。ただこの違いというのは、[1]のほうは意図的とよく言われるのですけれども、PCBそのものを使っていたというものが、[1]番でございます。
     [3]番はPCBを製造段階で使ったわけではなかったという認識があったのでございますけれども、製造とか流通とかそういった段階で、何らかの汚染によってPCBの微量に汚染された絶縁油が使われている。数limから100limオーダーぐらいがほとんどだと言われていますけれども、こういったものが、[3]の微量PCB汚染廃電気機器等ということで分類させていただいております。
     真ん中の安定器等・汚染物というのは、安定器は蛍光灯の安定器。コンデンサはいろんなところに使われている小型のコンデンサ等でございます。汚染物は、感圧複写紙、ウエス、汚泥といったものを汚染物と呼ぶようにしております。
     めくっていただきまして、それぞれ台数と濃度というものを3つに分けて御説明をしております。高圧トランス・コンデンサ等は34万台、絶縁油のPCB濃度は60%とか100%といったオーダーです。安定器については600万個、汚染物は、700トンとかそういった量でございます。安定器については、コンデンサのPCB濃度は100%、汚染物はさまざまな濃度がございます。微量物については160万台といった量がありまして、そのような低濃度のものになっております。
     次からは写真で、よく皆様も御存じかと思うんですが、トランス、こういった感じで人の背丈があるようなものもあれば、電柱に付いているものもあります。
     コンデンサにつきましてもいろんな形状がございます。一個一個形状が違うというのも特徴になっています。
     その他機器として変成器、リアクトル、放電コイルといった電気系統で使われている機器ですが、トランスかコンデンサ、どちらかに分類をして処理をしてございます。
     安定器は、高圧トランス・コンデンサとは違って、2~3kg、これぐらいの小さいものでございます。この中に赤い○で囲ってありますが、コンデンサが入っていまして、ここにPCBが使われているということでございます。
     続きまして、少し制度の御説明に移らせていただきます。17ページでございます。まず、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約POPs条約でございます。PCB、ダイオキシン、DDTといった物質でスタートして、その後、9物質が追加されていますが、各国が講ずべき対策として、製造、使用等の原則禁止、在庫・廃棄物の適正管理及び処理を行ったことが求められ、条約は平成16年5月17日に発効しております。
     PCBにつきましては、附属書A(廃絶)というところの対象物質になっていまして、2025年までの使用の廃絶と28年までの廃棄物処理が求められているということでございます。
     それから、PCB特措法です。これも3点重要な点だけ、期間内の処分(第10条)、施行後15年というのが、政令で定められております。
     保管の届出(第8条)、毎年、保管事業者は、都道府県・政令市に保管・処分の状況を届け出る。
     譲り渡し・譲り受けの制限が第11条にありまして、これも原則してはならないということになっています。
     その他、国、自治体、事業者の役割がありまして、国には処理施設の整備の推進ということ、自治体には保管事業者への指導・助言、それから事業者さんには、自らの責任による処理といったようなことが役割・責務として位置づけられてございます。
     19ページは少し飛ばしますが、全体の法律の構造はこのようになっておりますので、またごらんいただければと思います。
     その次に、日本環境安全事業株式会社(JESCO)の法律がありまして、ポリ塩化ビフェニル廃棄物を処理する事業ということで、目的に位置づけられております。政府が株式の過半数を保有するということ。それから、環境大臣の認可ということで、長期借り入れ、役員の選定・解職といったことが規定されておりまして、環境大臣が監督すると。財務大臣にこういった認可の場合、協議しなければならないということも定められております。
     国の基本計画には、日本環境安全事業株式会社を活用して、国が拠点的広域処理施設の整備を図るといったことが位置づけられております。これは法律の第6条に基づき、環境大臣が定めております。
     続きまして、処理の体制でございます。左から、[1]「高圧トランス・コンデンサ等」はJESCOが処理をして全国5カ所の化学処理ということでやっております。おおむね今3割程度の処理が終了したという状況でございます。
     [2]安定器等・汚染物につきましては、JESCOの北九州事業所のみが処理が開始しております。北海道事業所でも処理施設の整備に着手しておりまして、プラズマ溶融処理という方式にしております。
     [3]微量物につきましては無害化認定施設ということで、環境大臣が認定した施設で処理をする。それが現在4件あります。
     柱上トランスにつきましては、電力会社が、自社処理をされておりまして、これは絶縁油で6割、容器で4割程度の処理が完了しているということでございます。
     高圧トランス・コンデンサ等は北海道、東京、豊田、大阪、北九州ということで5カ所の施設が稼働しております。
     安定器・汚染物等につきましては、今北九州が開始していまして、北海道は25年の操業予定ということで、現在整備を進めているところでございます。
     続きまして、基金の説明ですが、中小企業者対策ということでございまして、負担能力の少ない中小事業者向けに国と都道府県の共同補助により基金を造成して、70%の助成をするということで立ち上げて活用されているところでございます。
     微量PCB汚染廃電気機器等に関する問題を簡単に説明させていただきます。中央環境審議会、平成19年に専門委員会を設置しまして、21年3月に取りまとめをしております。ここでアウトプットとしては、先ほどから申し上げているような、廃棄物処理法に基づく無害化処理認定制度に微量PCB汚染物質を処理対象物質として位置づけたというものでございます。収集・運搬のガイドラインとか簡易分析法の整備といったことをしてございます。
     大臣の認定ということで、申請者の希望を受けて大臣認定。環境省としては、専門的な知識を有する先生方の御意見、今日御出席いただいている先生方にも御意見をいただきながら認定を進めているということでございまして、今現在、4者、全国で認定を受けているところでございます。
     廃棄物処理法ですので、都道府県・政令市の許可事業者というものもあるんですが、これは今までなかったんですが、平成23年8月に1件岡山で出ております。
     最後、電力会社の自社処理でございます。東北から中国の6電力会社がみずから整備を行っているということでございまして、平成13年の東京電力を皮切りに平成19年の東北電力まで処理を開始して進行中でございます。かなり進んでいまして、絶縁油で6割。一番下の容器については4割。こういったことで電力会社のほうでも処理をしているということで、全体の経緯と現状ということで、御説明させていただきました。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの資料の関係につきまして何か御質問がおありでしたら、札を立てていただければ、発言のほうをお渡しします。いかがでございましょうか。
     よろしいでしょうか。もし何かありましたら、最後にまとめて御意見を伺うチャンスがありますので、そのときにでも発言をいただければと思います。
     それでは、次の議題に移らせていただきます。次は、日本環境安全事業株式会社(JESCO)でございます。矢尾板代表取締役社長から説明をしていただきます。どうぞ。
  • 矢尾板社長 改めまして、日本環境安全事業株式会社(JESCO)の矢尾板でございます。よろしくお願い申し上げます。
     お手元の資料3、あるいは画面に従いまして、日本環境安全事業株式会社についてということで当社の概要、位置づけ、PCB処理事業の仕組み、処理方法、安全対策、情報公開、各種委員会などについて、簡単に御説明申し上げます。最後にビデオで実際の無害化処理を5分程度編集してきてございますので、それをごらんいただきます。
     ただいま環境省の御説明にもございましたけれども、平成13年度でございます。環境事業団法一部改正によりまして、環境事業団の業務に、PCB廃棄物処理事業が追加されました。平成16年に特殊法人改革によりまして、PCB廃棄物処理事業を承継いたしました、私ども日本環境安全事業株式会社(JESCO)と独立行政法人の環境再生保全機構というのが設立されたという経緯にございます。
     3ページのとおりでございまして、日本環境安全事業株式会社法という法律により設立された特殊会社が、私どもJESCOでございます。基本的にはPCB廃棄物の処理事業に特化した事業目的を有しております。
     環境大臣の定める処理基本計画に従いまして、事業基本計画を策定し、認可を受けます。それに基づきまして、毎年度、事業計画を定めまして、環境省の認可を受けまして事業を実施しているということでございます。
     4ページ、会社概要でございます。ごらんのとおりでございます。主務大臣、環境大臣、資本金6億円、国100%出資でございます。その他もごらんのとおりでございます。
     5ページになります。改めまして、当社の位置づけでございます。環境大臣の定めるPCB廃棄物処理基本計画におきまして、スライドの上のほうに書いてございます、JESCOを活用した拠点的な広域処理施設の整備が定められておりまして、この中に各事業の施設の設置場所、処理対象区域、処理対象廃棄物、処理能力、それぞれ基本計画で定められております。
     5カ所の拠点的広域処理施設、それと処理対象地域、ごらんのその下の地図のとおりでございます。年が書いてございますけれども、トランス・コンデンサにつきましては、平成16年12月北九州を皮切りにいたしまして、古い順から申し上げますと、豊田、東京、大阪と順次操業を開始いたしまして、平成20年5月の北海道事業の操業開始をもちまして、全国の処理体制が整ったという状況にございます。
     7ページは先ほどの処理基本計画に基づいた、事業基本計画の概要でございます。先ほど御説明いたしましたとおりでございますけれども、JESCOは(国の定める)処理基本計画に従いまして、処理事業の基本となるこの計画で、各事項に関する計画、施設の設置場所、処理量、処理方法、処理対象、処理の開始、完了等々を定めまして、それで国の認可を受けて事業を進めているという構成になります。
     その下の8ページが事業全体の仕組みでございます。ちょっと込み入った図で大変恐縮でございます。
     PCB廃棄物の処理の基本的な流れの御説明でございます。全国に数万おられる保管事業者の方とJESCOが個別に契約を締結いたしまして、保管事業者の方が収集・運搬事業者に依頼して、JESCOに搬入されまして、JESCOで無害化処理が実施されるという構図になります。
     中小の保管事業者の方には、処理料金の助成の制度がございます。先ほど環境省の説明にありましたとおりでございます。
     当然JESCOは国あるいは自治体の皆様方の定める各種計画に従うほか、都道府県あるいは地元の自治体の指導監督を受けます。また、地元住民の方々に積極的に情報公開を行いながら、処理を進めてきているというのが、全体の仕組みでございます。
     次に具体的なPCB廃棄物の処理の方法でございます。ポンチ絵的なもので大変恐縮でございますけれども、トランス・コンデンサの処理の方法でございます。
     まず、トランス等から油を抜きます。当然油で中が汚れておりますので、容器の中とか中に含まれている部材を洗ってから分解いたしまして、PCBの油をまず分離していく。これを前処理の工程というふうに呼んでおります。この工程がひとつ重要な工程でございます。
     PCBを分離する。あるいは洗浄するのに非常に時間がかかるという現状になっております。このやり方のほかに、後ほどビデオでも御紹介申し上げますけれども、真空状態にいたしまして加熱してPCBを蒸発させて、そうして分離していくという方法もございます。
     こうして油が全部一まとまりになりますので、分離いたしましたPCB油を化学分解処理いたしまして、無害化処理をするという形になります。これを液処理工程というふうに呼んでいます。
     操業が大分進んできておりますけれども、それに伴い発生するPCBを含んだ二次廃棄物、右下のほうに書いてございますけれども、使用した活性炭あるいは防護服でございます。これが、相当量発生してきております。このPCBを含んだ二次廃棄物の処理が、今後の課題の1つでございます。
     図には記載してございませんけれども、安定器等PCB汚染物の処理は、高温で溶融分解をするプラズマ処理を用いて処理を行っております。
     10ページに記載しましたPCB分解技術方式でございますが、廃棄物処理法に基づく化学処理方式の中で、JESCOの各事業所において用いている処理方式を、その下に記載してございます。脱塩素化分解法ということでPCBの塩素を水素に置きかえて無害化する方法でございます。水熱酸化分解法ということで、PCBそのものを塩、水、二酸化炭素に分解して無害化する方法、安定器等汚染物に使っておりますプラズマ溶融分解法でございますが、プラズマでPCBを二酸化炭素、塩化水素などに溶融分解する方法。この3つの方式を、JESCOで採用いたしております。
     次のページ、スライドページで11になります。ここに各事業所で実際に採用しております具体的な処理方法を載せております。それぞれの処理方式、事業所でどうやって決定したのかということにつきましては、学識経験者の方々によって構成されましたPCB廃棄物処理事業検討委員会、この委員会関係は後ほど触れますけれども、この傘下のもとの事業部会に諮りまして、その結論に従って技術提案公募ということで、一般競争入札を行います。安全性の確保を大前提といたしました技術面あるいは事業実施面の評価基準に基づいて審査を行って、決定いたしたものでございます。
     1番目に書いてございます北九州事業のトランス・コンデンサの処理方法、これを後ほどビデオでごらんいただくということでございます。
     会社で最も重要な基本理念としております安全確実な処理の安全対策について、12ページで御説明申し上げます。今申し上げましたとおり、JESCOは安全確実な処理を最優先の基本理念といたしまして、各施設の設計に際しましても、右側に記載したとおりでございますけれども、排気関係の対策、排気処理装置でクリーンにした後、さらにセーフティネットといたしまして活性炭吸着槽で処理してから、外気として排出しています。また、右の上のほうになりますが、漏えい防止対策でございます。取扱場所、あるいは取扱機器の下にオイルパンという受け皿を設置します。さらに、防油堤あるいは不浸透性、浸透しない床を施した上で、さらにそれに加えまして、建物全体の空気の圧力でございますけれども、実際の管理区分ごとに外部より低くいたしまして負圧管理をいたします。航空機は与圧ですけれども、私どもは、負圧管理をいたします。施設内の空気が外部に流出することを防止するということにいたしました。安全対策に万全を施しながら、作業を進めているということでございます。
     スライドの13ページになります。作業従事者の安全衛生対策につきましても、PCB取扱区域の管理区分を設けまして、作業環境モニタリングの実施あるいは保護具の着用、特殊健康診断の実施、こういったことを行いまして、負担の軽減、PCBにさらされるという曝露防止、こういったものにつきまして十分な配慮を行っております。当然作業時間の制限等が必要でございます。こういったことが作業の効率に影響を与えております。
     また、PCBの作業環境基準が事業を開始した後に強化された部分もございまして、処理に当初の計画以上の手間がかかるようになってきているという現状にございます。
     その下、14ページは当社が実際に使用している主な保護具の例でございます。作業場所、内容、そこに応じた保護具を着用して実際に作業を行っております。
     次に地元の方々に安心していただけますように、情報公開につきまして取り組みを御説明申し上げます。情報公開につきましては、重点的に取り組んでおりまして、施設の見学受け入れ、ウェブでの情報提供を行い、処理の状況や安全対策を広く公開しております。また、事業所ごとに定期的に事業だよりということで現状あるいは処理の進捗状況などをお知らせしております。
     16ページになります。当社では専門家の皆様方の意見を聞きながら事業を実施しております。処理事業を推進する上で処理の安全性、確実性を確保するために設置したものでございます。PCBの分野において高い知識・経験を有する学識経験者の方々から構成されます親委員会といいますか、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業検討委員会を設置いたしまして、さらにこのもとに置かれたごらんの各部会、技術部会、作業安全衛生部会、それから各事業、北海道から北九州まで事業ごとに事業部会を設置いたしまして、それぞれの観点から検討をいただきまして貴重な御意見をいただきながら、事業を進めてきてございます。
     次の17ページに記載のとおりでございますけれども、JESCOの事業を地域の方々が監視するとともに、また地域住民の皆様方に情報提供をする場ということで地元住民の方々、学識経験者の方々等で構成する組織が地方自治体等に置かれております。こうした場で地元の方々に御報告するとともに、御意見などをいただきながら事業を行ってきております。それぞれその委員構成、設置の日等々は17ページのスライドに記載のとおりでございます。
     そこから先は写真でございます。収集・運搬の様子が18ページの写真でございます。収集・運搬は冒頭申し上げましたとおり、当社ではなく保管事業者の方が、収集・運搬業者と契約を結んでいただきますけれども、許可を受けた運送業者が行っております。
     運送中のPCB漏えいを防ぐために、厳重に容器に入れまして運搬されております。当社ではPCB廃棄物を受け入れるわけでございますけれども、その受け入れに当たりまして安全確実な搬入を確保し、円滑な処理を実施するために事業所ごとに地元の自治体と御協議させていただいた上で、搬入する会社が守らなければならない受け入れ基準というのを定めました。その受け入れ基準を守れるところに入門許可書を交付しております。この交付を受けなければ、我々の施設に搬入できないという形にしております。
     その次は、これからごらんいただきます北九州施設の外観の写真。それから高圧トランス、21ページに参りまして、コンデンサ、安定器の写真というのを参考までに載せさせていただいています。
     口頭での御説明は以上にさせていただきまして、最後に北九州事業の具体的な処理の様子を御紹介申し上げます。スクリーンのほうをごらんいただきます。今回は、ごらんのフローのうち、「受け入れ」、「抜油」、「解体」、「洗浄」、「真空加熱分離」、このあたりが先ほど申し上げました前処理というものです。それから「液処理」ということについて、ごらんいただきます。それではごらんいただくようにお願いいたします。
    (ビデオ上映)
     では受け入れ工程から見てみましょう。PCBを使用していた事業者によって保管されていたPCB廃棄物は収集・運搬業者によりこの処理施設へと搬入されます。搬入されたPCB廃棄物は漏れがないかなどの受け入れ検査を行います。検査が済んだものから、一時保管され処理されていきます。
     続いて、トランスやコンデンサなどの抜油・解体・洗浄工程を見てみましょう。まずはトランス内部のPCBを抜き取る抜油を行い、その後、洗浄液を入れて解体に適した状態にまでトランス内部を粗洗浄します。
     粗洗浄後のトランスは解体され、次の洗浄工程に進みます。
     コンデンサは、グローブボックスに送られます。グローブボックスとはPCBが外部に漏れないように密閉された空間で、作業員はグローブを介してパネル越しにコンデンサを解体します。また、コンデンサ内から紙とアルミはくでできた素子と呼ばれる部材も取り出し細かく切断します。
     このように解体したトランスやコンデンサを1次洗浄装置で洗浄します。1次洗浄後の部材をさらに細かく解体し、鉄や銅などの金属、碍子、紙や木材などの部材ごとに分別します。これらの部材を再度洗浄装置に入れて洗浄します。
     二次、三次と洗浄を繰り返すことで確実にPCBを取り除きます。
     では、次に真空加熱分離工程を見てみましょう。第二次処理施設では、コンデンサは抜油せずに、真空加熱分離装置でPCBを取り出します。こちらが真空加熱分離装置です。コンデンサは、このように装置内部へとセットされ処理されます。この装置では、真空にした状態で炉内を過熱することにより、部材の中に染み込んだ PCBを蒸発させて取り除きます。
     ガス状になったPCBはオイルシャワー部へと到達します。ここでは上部から循環油が降り注いでおり、PCBはこの循環油と接触することで、液体となり回収されます。回収されたPCBは液処理工程へと送られます。
     一方、真空加熱分離処理が終わったコンデンサなどは、装置から取り出されます。そしてその一部はPCBが基準値以下であることを確認する分析用として解体され、金属、碍子、炭化物などのサンプルを回収します。JESCOではこの分析のことを、卒業判定と呼んでいます。
     安全が確認されたものを細かく切断分別し、コンテナに積み込みます。
     では、次にPCBを化学分解する液処理工程を見ていきましょう。トランスやコンデンサから抜油されたPCB、洗浄装置や真空過熱分離装置で分離回収されたPCBなどは、液処理工程において、脱塩素化分解法と呼ばれる化学分解方式で処理されます。脱塩素材の入ったタンクの中に、PCBを少しずつ投入して撹拌します。脱塩素材は金属ナトリウムの微粒子を鉱物油に混ぜたものです。PCBは、ビフェニルといわれる骨格に塩素原子が結合しています。槽内で撹拌されることで、塩素は脱塩素剤のナトリウムと結合し、食塩を生成します。
     さらにほかのナトリウムが塩素のかわりにビフェニルと結合します。このナトリウムがほかのPCB分子の持つ塩素と結合し食塩を生成。これを繰り返すことでビフェニル同士の結合を促し、最終的には無害のビフェニルの重合物と食塩が残ります。
     この脱塩素化分解が安全確実に終了したことをサンプリング、分析をして確認をします。脱塩素化段階が終了したものは、遠心分離機により、処理済油と固形物に分離されます。処理分離油は施設内で再利用されるほか、再生油として売却されます。
  • 矢尾板社長 北九州事業所のビデオの中から5分程度に短縮いたしましたので、申しわけございませんがコマ切れになっております。御容赦いただきたいと思います。なお、より詳細な処理の流れ等につきましては、お手元の黄色いフォルダの基礎資料の中に、5つの事業所のパンフレットあるいは私どもの本年度の環境報告書が後ろのほうに入っておりますので、あわせて追って必要に応じて御参照いただきたいと思います。私からの説明は以上でございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。それではただいまの件につきまして、何か御質問等がございますでしょうか。どうぞ。
  • 鬼沢委員 スライド15枚目の情報公開のところとスライド17枚目のところで御質問をさせていただきます。
     情報公開のところで地域の住民の方たちは、年間どれぐらい見学に来られているんでしょうか。スライド17枚目の地域の市民代表の委員というのは何人ぐらい委員会に入っていらっしゃるか教えていただけたらと思います。
  • 矢尾板社長 最初の御質問でございますけれども、2010年度で合計4580人の方に施設を見学いただいております。各事業所大体1000人前後、北九州が1200名、豊田が360名程度、東京が1300名程度、大阪が630名程度。北海道が1100名程度でございました。
     ちなみにその前の年が5600人、その前の年が7700人程度でございました。毎年、1000人程度ずつ減ってはおりますけれども、それでも5000人程度の方がお見えになっているというのが、見学者の方の人数でございます。
     それぞれの委員会の住民の方たちの人数でございますけれども、各委員会にそれぞれ数名ずつ入っていただいているということで御理解いただきたいと思います。
  • 永田座長 ほかにいかがでしょうか。
  • 酒井委員 スライド11ページの各事業の処理方法のところですけれども、この中の真空加熱分離法なんですが、豊田、東京、北海道事業が真空加熱分離法を含むという括弧書きがされてあって、あとの2事業は真空加熱分離法と括弧書きなしで明記されているんですが、この表記になっている理由を教えてください。
  • 榑林事業部長 お答えいたします。大阪と北九州に関しましては、温度はおおむね600度前後でコンデンサをそのまま入れて、紙が炭化して全部PCBが飛ぶまでの温度で真空加熱分離させていただいております。
     それから、豊田、東京、北海道に関しましては、洗浄工程と併用させていただいてPCBを飛ばすということで温度はおおむね170~230度ということで、完全に真空加熱分離でPCBを全部飛ばすか、洗浄と併用しているかによって括弧書きの違いで書かせていただいています。
  • 酒井委員 条件、使い方が違うということで表記を分けているということですね。わかりました。
  • 永田座長 どうぞ、田中先生。
  • 田中委員 今JESCOの説明を受けて、5つの事業所でここまで行ったということは、大変評価しています。今抱えている課題ということで、説明の一部にもありましたけれども、スライドの9番目で、金属容器の中のPCB汚染物という言葉があります。これを洗浄、あるいは分離、その後、二次廃棄物の問題。こういうところが問題を抱えているのかなというようにも承ったんですけれども、環境省資料の22枚目のPCB廃棄物の処理体制、あるいは進捗率というところで、ここに真ん中の2番目に安定器等・汚染物というのがありますね。
     汚染物の処理、特に紙や木材の洗浄というのは大変時間がかかるし大変だと思いますが、これを洗浄するというやり方と、それから環境省資料の22枚目の安定器等・汚染物の処理というので下のほうにあるプラズマ溶融処理と、ここで洗浄というやり方とプラズマ溶融処理と2つの選択があると、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  • 榑林事業部長 今、先生がおっしゃったのは環境省のほうの汚染物としては感圧紙、ウエス、汚泥ということでよろしいでしょうか。
     先ほど私どもの9ページのところでいろいろ洗浄、分離と出てまいります洗浄というのは、トランスやコンデンサの中に入っております絶縁紙のように、性状が一定のもの、何が入っているかわかるようなものを洗浄で液と紙木を分離するというような方法でございます。現在それ以外の汚泥、ウエス、何が入っているかわからないような汚染物につきましては、プラズマでPCBそのものごと全体を分解するというような方式、そういうことで分けてございます。
  • 田中委員 JESCOの9のここにもPCB汚染物という同じ言葉を使っていますね。これはトランスの中のPCB含有物を総称して呼んでいるわけですか。
  • 榑林事業部長 そうでございます。
  • 田中委員 そうすると、環境省資料の22ページの真ん中の安定器等・汚染物の処理体制というのを見ると、下にプラズマ溶融と書いてありますけれども。
  • 榑林事業部長 多分2つの図で言葉の使い方が違っているのだと思います。JESCOのほうで書いてあるこれは、あくまでもトランスの中に入っている金属容器とあとは中に入っているような、金属の素子、絶縁紙みたいなものということで、環境省の資料に書いてある汚染物というのは、トランスやコンデンサではなくて、PCBが付着していたり含有していたりする別のもので、たまたま同じ用語ということで、ちょっとわかりにくい表現で失礼いたしました。
  • 矢尾板社長 結果的に同じ言葉を使っており、表現が混乱しまして、大変申しわけございません。
     私どもの資料の9ページのPCB汚染物というのは、あくまでもトランスの中に入っていてPCBで汚れたものという意味での汚染物ということでございます。
     環境省の資料の22ページのほうの汚染物は、もちろんPCBで汚染されたものなんですけれども、トランスとかコンデンサの中に入っていて汚染されたものという意味での汚染物ではございません。恐れ入ります。申しわけございませんでした。
  • 永田座長 よろしいでしょうか。今の関連で二次汚染物で活性炭とか防護服というのが出てまいりますけれども、環境省の資料の10ページ目のところの分類で、汚染物それから微量の定義の問題もいろいろあると思いますけれども、二次汚染物はどこに入るというふうに想定されているんですか。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 そこまでどこからどこというのは、環境省のほうは余りしっかり書いていなくて、法律の定義だけで言えば、高圧トランス・コンデンサという環境省資料の10ページのほうは電気機器というのが[1]のほうで、[2]のほうは電気機器ではなくて木、紙、鉄くずとかもすべて[2]に分類しています。
     正直申し上げて、トランス・コンデンサの中のものをどっちにするかというのは、余りしっかり想定して書いていないんですけれども、どちらと言われたら、[2]のほうに入っているということです。
  • 永田座長 この辺の定義とか用語とか少し統一しておいたほうが混乱しないと思います。田中先生の御質問とあわせて。
  • 伊規須委員 今のことにも関連することなんですが、作業者の安全に関連することなんですが、許容濃度と作業管理濃度がちょっと混乱しているところがあるように思います。言葉の使い方を整理したらよいかなと思います。
     今の説明のところで、管理濃度が引き下げられた。確かにその面で厳しくはなっています。しかしそれはあくまでも作業環境測定士が判断する基準が引き下げられたということであって、実際にJESCOの作業場で働いておられる作業者に対するPCB負荷を防止するという観点からしますと、既に2.5lig-TEQ/mというダイオキシンのレベルがありましたものですから、それに従って保護具も最初から使っているんです。作業者の皆さんは最初から厳しい条件のもとで、作業をしてこられたということは言えると思います。
  • 永田座長 どうもありがとうございます。
  • 横山委員 スライドの11枚目で処理方法に関してですけれども、特に液処理方法、基本的な方式は、脱塩素化分解方式ということで、同じような方式だと考えられますけれども、それを達成するための方策ですね、この括弧内。これは各事業所によってそれぞれやり方が違うような内容になっていますけれども、これは何か考え方があるのかが一点。
     それと各事業所、こういった方式の違う設備をつくった考え方。それぞれの事業所の処理原単位といいますか、そういったものを参考までに、お聞かせ願えればと思います。
  • 榑林事業部長 まず処理方式でございます。ただいま御指摘がございましたように、大きく2つございますけれども脱塩素化方式と水熱酸化分解方式。いずれも私どもは公的な会社なものですから、それぞれの事業所でどのような方式を採用するかにつきましては、一般競争入札の上行っております。それぞれ会社の持っている技術により、いろいろな方式がとられることになります。それが適切にできるかどうかにつきましては専門の先生方に入っていただいておりますそれぞれの事業部会において、スペック等を示させていただいているといったところでございます。以上です。
  • 横山委員 それと処理原単位に差がないのでしょうか。
  • 榑林事業部長 何に対する原単位でございましょうか。
  • 横山委員 単位量です。
  • 榑林事業部長 単位量というのは、処理能力という意味でしょうか。
  • 横山委員 何か基準があるんじゃないですか。
  • 榑林事業部長 トランスやコンデンサでありますと、中でPCBがどれぐらい入っているか。そのPCBをどうやって処理するかということがございますので、PCB処理基本計画に基づいて、例えば1.6トンとか2.0トン、1日PCBとして処理できるというようなことが決められておりまして、お手元の資料だと5ページ右側ですけれども、それぞれの事業所、例えば北九州事業所であればPCB分解量として1日1.5トン。豊田であれば1.6トン、東京であれば2トンといったような処理能力が定められてございまして、これに応じて処理を進めているところでございます。
  • 永田座長 よろしいですか。
  • 横山委員 はい。
  • 永田座長 ほかにいかがでしょうか。
  • 鬼沢委員 資料12ページのセーフティネットのところで伺いたいのですが、これまでにこのような万全の対策をとってこられて、事故というかそういうことはなかったんでしょうか。
  • 矢尾板社長 2004年に会社を設立いたしまして、順次事業所を開いてまいりました。結論から申し上げますと、事業の開始直後に東京と豊田におきまして、排気のトラブルが1件ずつ。それで操業を一旦止めてもう一度きちんと機器類等をチェックし直したという経緯がございます。
     それとは別に今年の年初、去年11月からにかけてでございますけれども、これも豊田で施設の中でございますが、PCBを含んだ液を漏えいさせました。これは施設の中だったのでございますけれども、豊田市から管理監督あるいは指揮命令系統につきまして、もう一度きちんと見直しなさいという御注意をいただきました。自主的に操業を2カ月とめて、指揮命令系統を全部見直しました。それをまたほかの4事業所にも展開したというような経緯がございます。
     したがいまして、事業所をとめたというようなトラブルは、これまで3回経験しております。

議題(2)検討委員会における検討の論点について

  • 永田座長 よろしいでしょうか。大分時間も経過しておりますので、議題1のほうはこれで終わりにさせていただきまして、2番目の議題、「検討委員会における検討の論点について」、事務局より資料の説明をお願いします。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 資料4をごらんください。資料4につきましては、この検討委員会における論点という資料になってございます。この検討委員会で今後どのような点を論点として御議論いただくのかというのをまとめさせていただきました。
     1番から御説明させていただきます。「経緯等」ということで先ほど説明申し上げましたので省略しますが、30年間、先ほどの、保管が続いて処理施設の立地に向けたいろんな動きがあったということを踏まえ、その社会的必要性からPCB特別措置法が制定され、JESCOによって施設整備が図られ始めました。
     4番目の●です。この10年間何があったのかということをまとめて書いております。「高圧トランス・コンデンサ等」につきましては、全国5事業所での処理が稼働し、「安定器等・汚染物」については、北九州事業所での処理が始まりまして、微量汚染物についても処理に着手できたという、一言で言ってしまえばこういう10年間であったということでございます。
     一方でいまだに多くのPCB廃棄物が存在しております。保管場所も重複はありますけれども、延べ1万カ所以上、分散して存在していることも事実でございます。
     最近数年間においても、PCB廃棄物が紛失した事例、誤ってPCB廃棄物でないと思って普通の産業廃棄物として処理してしまった事例、こういったものが発生しているのも事実でございます。
     四角の中でございますけれども、この検討委員会として、今後こういったところを基本的に考えて御議論したらどうかということで書かせていただいたのが、安全・確実な処理を前提としつつ、PCB廃棄物処理を可能な限り早急に終わらせることが必要。多種多様なPCB廃棄物のすべてのものについて、処理体制が確保されるよう努めていくことが必要。漏れがないようにしていくことが必要だと思っております。このため、考えられる対策を可能な限り実施する、と。こういったことで御議論をいただきたいと思って書いてございます。
     2番目、それぞれ個別の論点に入っていきますけれども、高圧トランス・コンデンサ等につきまして、これが本当に先ほどからありましたが、立地地域に多大な御理解・御協力をいただき、全国5カ所に処理施設を整備できて、30年間保管を余儀なくされたものの処理が始まった。JESCOにおいては先ほど御説明があったように、安全性を最大限配慮しつつ処理を進めて、3割の処理が完了した。これは大きな前進であったろうということでございます。
     一方で、現在の処理の進捗状況で、あと5年で、今3割完了ということでございまして、想定よりは遅れているといったことでございます。
     トランス・コンデンサについての大きさ、構造、多種多様、規格品の製造施設とは異なる難しさというのがございまして、遅れの原因になっているのではないか思っております。第2回以降で詳細にこのあたりをまた分析をしていますので、紹介させていただきたいと思っております。
     PCB・ダイオキシン類の作業環境基準を順守するため、厳しい制約の中での処理作業となっていると。
     それから今、御説明があったようなトラブルもありまして、操業の一時停止ということもございました。
     四角の中ですけれども、このように、高圧トランス・コンデンサの処理が進んだことについては、一定の評価ができるのではないかということでございますが、今のペースで処理を続けた場合、今後の見通しはどうなのか。それから、JESCOでの処理が遅れている原因は何なのか。その対策としてどういうことが必要か。遅れている原因だけではなく、今後さらにペースアップしていく。そういったことについても対策を考えていかなければいけない。そういったことを書かせていただいています。
     ※印で、「なお」ということでペースアップをこれからしていくといった一方で、漏えい機器とか超大型機器への対応、それから、機器を集約して搬入することが難しくなってくるということで、処理ペースの低下要因があることにも留意して議論をしていけたらと思っております。
     操業に伴い発生する二次廃棄物(活性炭・保護具等)といったものも、相当膨大な量が発生してきておりまして、その処理も課題になってきている。こういったことに留意しながら対策を検討していきたいというふうに思っております。
     「3.安定器等・汚染物について」ということでございます。これも先ほどから御説明申し上げましたように、北九州、北海道事業所以外につきましては、国のPCB処理基本計画に、処理の体系ということでまだ位置づけられておりません。東京事業所においては、安定器の処理施設は設置しているのですが、アスファルト充てん型の安定器処理に困難があるといったことで、現在受け入れを停止しているという状況もございます。
     そこで、四角の中でございますが、現時点で処理の見込みが立っていない地域(東京、豊田、大阪事業所の処理エリア)の処理について、どのような処理体制の整備を図っていくべきかということが論点となってございます。
     次のページに行っていただきまして、汚染物につきましては、先ほどもありましたが、いろいろなものがあって、濃度も多種多様でございます。こういったもののうち、低濃度の汚染物について、無害化処理認定施設の処理対象にする可能性を検討できないかということでございます。
     4番、微量汚染物でございます。これは先ほども申し上げましたが、特措法施行後に判明し、その量が膨大になっているということで、大臣認定の処理が緒に就いたということでございます。しかしながら、まだまだ特に筐体の処理施設が少ないという課題がございまして、処理施設の能力を増強させるにはどのような対策が必要かということ。
     次の2つ目の◆は、前の中環審の専門委員会からの一部宿題にもなっていることでございますが、機器の絶縁油を入れかえて部材の洗浄を行う技術というものが提案されております。こういったものの技術について実用化した場合に考慮すべき点はどういった点かといったことでございます。
     3番目、その他ということで、微量汚染物の処理を推進する方策として御議論いただけたらと思ってございます。
     その下でございますが、近年、電気機器メーカーが、製造段階でPCBが混入しないことを確認しております。こういったことで電気機器の製造年によって、廃電気機器へのPCBの混入の有無というのが、どのようなことが言えるのか。データを示しながら御議論できたらと思っています。
     5.その他の課題ということで整理をしています。(1)適正保管。今、都道府県・政令市で指導していただいているところでございますが、さらにどういった取り組み、いい事例とか自治体によっての温度差というものも生じ始めてきている点もございます。こういったところも御議論できたらと思っています。
     最後のページに行っていただきまして、「(2)未届出者への対応について」ということで、PCB特措法8条で毎年保管事業者は保管状況を届け出なければならないのですが、未届け者がいるということがわかってきております。こういった者についてちゃんと届け出をさせる、どのような方策が考えられるか。
     それから使用中の機器のみを所有している者については、特措法の届け出対象外、これにつきましては環境省の所管ではないのですが、電気事業法に基づく届出制度ということで、一部制度はございます。
     それからその次でございますが、処理委託をしない事業者、また会社の倒産、事業の閉鎖等によって、費用を捻出できない者がいると。これらの者に確実に処分をさせるためにはどのような対策が考えられるかということでございます。
     「(3)入口基準について」と書いてございます。現行では金属くずや廃プラスチックについては、PCBが付着していれば、「PCB廃棄物」ということになってございますが、一方で、PCBの処理物については一定の処理基準が設けられております。PCB廃棄物について入口基準を設定することについてどのように考えるかと、書かせていただいています。
     最後、「6.PCB廃棄物処分の見通しについて」ということでございます。現在、PCB特措法で平成28年7月までに自ら処理する、または、他人に処理を委託するということが規定されております。
     こういったことで1~5番までの現状と対策を踏まえまして、今後のPCB廃棄物の処分はどのような見通しとなるのか。また、PCB廃棄物の処理完了を見据え、どのような点に考慮すべきかということで整理させていただきました。
     あと、資料5というものを関連で御説明させていただきます。
     冒頭で、まだ最近3年間においても紛失した事例があるということで御説明申し上げましたが、この9月に環境省から都道府県政令市に対して、平成20年度以降に発生したPCBの廃棄物に係る漏えい、紛失、不適正事案、不法投棄事案といったものの情報提供を求め取りまとめました。
     簡単に御説明させていただきますが、「1.漏えい事案」ということで件数をまとめております。漏えいした高圧トランス・コンデンサの台数といったものを書かせていただいています。事例1番でございますが、これは市の職員が定期的な立ち入りをしたときに発見したということで、抜油をしていたと思ったコンデンサが実はそこから120リットルもの絶縁油を漏えいさせてしまったということで、土壌汚染等が生じているということで、廃棄物処理法に基づく措置命令が発出されたという事例がございます。
     事例2番、解体工事中に重機がトランスに接触してしまって、損傷して漏れたといったこと。
     事例3番、濃度測定のために小さな穴を開けていたということでございますが、そこから運搬のときに漏れてしまったといったことがございます。
     2ページ目には紛失事例ということでまとめさせていただいております。件数はこういった表でまとめております。事例の4番、キュービクル、変電設備の箱、小さな部屋みたいなものですが、これはキュービクルごと盗難に遭ったといったこと。
     事例5、破産し行方不明となった保管事業者の保管場所において、保管されているはずのPCB廃棄物がなかった。コンデンサがなかったということが判明した。
     事例の6番でございますが、閉鎖した工場で保管されていたものが土地・建物の賃貸借を繰り返すうちに紛失していたことが判明した。こういったことが報告されております。
     3ページ目に不適性処分事案ということで、件数をまとめさせていただきました。事例の7番につきましては、微量のものがトランスの更新工事を行ったときに、誤って2台とも廃棄してしまったということ。
     事例8番は、金属くずの業者に立ち入ったところ、電気機器が40台あり、そのうち5台からPCBが検出されたという事例が報告されております。
     事例の9番、不動産を解体する際、そこにPCB電気工作物が含まれているという認識が薄く、金属くずのリサイクル業者に渡してしまったといったこと。そういった事例が報告されています。
     最後に不法投棄事案でございます。これも件数が幾つかありまして、事例10番はマンションのゴミ置き場に高圧コンデンサが投棄されていたとか、建設工事の現場から発見された。市道に不法投棄されたという事例が報告されております。
     注で書いておりますが、環境省としましては、こういったことを今回取りまとめさせていただきまして、この調査結果について、都道府県政令市に対して情報提供を行い、改めて保管事業者への指導徹底についてお願いしたというところでございます。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。論点について、これは全員の方からいただくということで、飯干さんのほうから順に進めていく予定にしておりますが、その前に意見ではなくて質問で何かございましたら、ここで取り上げさせていただこうかと思っています。どうぞ御質問のある方おられましたら、お願いしたいと思います。
     よろしいでしょうか。それでは論点に対する御意見を頂戴したいと思います。論点にこういった点を追加してほしいとか、あるいは各論点のポイントでこういったことは強調すべきではないかというようなお話がございましたら、ぜひ御発言の中で触れていただきたい。
     実はきょう御欠席なのですが、織委員のほうから書面で御意見を頂戴しておりますので、飯干委員に御発言いただく前にそれを紹介させていただきます。
  • 鈴木産業廃棄物課課長補佐 資料6の後に、織委員からの意見メモというのを配付させていただいています。簡単に御説明させていただきます。
     「1.従業員のモチベーションをいかに高めるか」ということでございます。処理場の作業をされている従業員の方々は大変な作業をしていると。防護服とか保護メガネです。そういったことでこういう作業をされている取り組みは高く評価されるべきと思いますということです。ただ、このプラントは化学工場などと比較すると、何でこういうことが起こるのかというような事故とかそういったものが発生しているということで、うまくいって当たり前ということが、ひとたび事故が起こると周りから突き上げが激しいという、そういう職場環境なんじゃないかというのが先生の問題意識としてございます。
     従業員のモチベーションを高めていくということが、事故防止のキーになるのではないかということで、経営陣との定期的な会合とかそういったこともモチベーションの向上につながるのではないか。ランチョンミーティングとか具体的に御提案をいただいてございます。
     「組織としての効率的マネジメントにむけて」ということで、「エリアごとの独立性よりも、一体としてのマネジメント」ということで、「5つの事業所がそれぞれ独自の技術、独自のマネジメントで操業を行い、一つのJESCOという組織であるという一体感が薄い」のではないかということ。扱っているもの、量も技術も異なっているため、独立性が強いということ。エリア処理の原則もあるということで、そのままでは、せっかくの事故の経験などが十分に共有できていないといった弊害も大きくなっているのではないか。会社でいえば、同じ会社のそれぞれが支店ということになるので、それであれば人事交流、技術交流等々ということで全体的視点から決定するのがより合理的と考えているということでございまして、効率的なマネジメントに向けてエリアごとの独自性よりも、組織としての一体性ということを検討することが必要ではないかという御意見です。合理的なマネジメントをするためには、共有できるもの、合理的に配分できるものは何か、一つの組織としての視点から総合的に検討してみる時期にきたように思います。
     「(2)赤字削減にむけての一層の努力」ということで、赤字に関しては民間企業と比較すると切迫度は少ないようにも思いますというような御意見で、マネジメントの合理化、見直すところは徹底して探し出す、そういった民間企業のノウハウを取り入れていってもよいのではないか。民間企業はこんなことまでしているのかという例がたくさんあるということでございます。
     最後、現場では、皆さん本当に頑張っていらっしゃるということで、そういった頑張りを理解してもらいながら、社会からの認知度を上げていくこと、上記のように組織としてのマネジメントの合理化といったような総合的な視点での処理促進ということで、御意見をいただいております。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。きょうは論点の整理といいますか、それをやらせていただくので、いちいちこれに対して答えるというわけではありません。こういう点を配慮した形で次から検討を進めていく。これから先は各委員のほうからの御意見をちょうだいします。
     時間も大分押してまいりまして、申しわけないんですが、前からそういう予定だったんですが、3分以内、この辺のところはぜひ御配慮いただきながら、各委員の意見をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。
     それでは、飯干さんのほうからどうぞ。
  • 飯干委員 論点の説明をありがとうございました。私のほうからは、経緯等の一番下の四角く囲まれたところに書いてあります。「多種多様なPCB廃棄物のすべてのものについて」、なおかつ漏れなきようということで言われていましたので、この点は非常にいい内容ではないかと思いました。よろしくお願いいたします。
  • 伊規須委員 私は作業者の安全を守るという点から、作業者の皆さんに安全に作業をしていただくということに、万全の配慮をしていただきたいと思います。JESCOの事業の中では、最初はかなり抵抗もあったのですが、いわゆる生物学的モニタリングを導入するということができました。要するに血中のPCBを測ったりダイオキシンを測ったりということです。これで実際に作業者の体の中にどの程度PCBあるいはダイオキシンが入ったかということがモニタリングできるようになっています。このことが、それこそ作業者のモチベーションを高めるという点でも、私はプラスになっているのではないかと思いますので、ぜひ作業者の安全ということに御配慮いただきたいと思います。以上です。
  • 影山委員 影山でございます。私は経団連のPCBワーキングの座長もしております。非常に難しい課題でありますPCBの問題について、ここまで取り組みを進めていただいたということにつきまして、環境省を初めJESCO、それから関係の自治体の御理解と御努力の賜物だと思いますので、産業界を代表して御礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございます。
     まず御礼申し上げたうえで、言いたいことが結構たくさんあります。
     この資料の順番でいきますと、ますトランス・コンデンサでございますが、これにつきましては、四角で囲まれてありますところに異存はございません。東京事業を中心にして、非常に処理が遅れているという状況がございます。何とか処理を進めるということにぜひとも取り組んでいただきたいと思いますので、このところは原因を追求した上で、効率的な処理を何とか、あらゆる方法を尽くしてお願いしたいというふうに思うところでございます。
     安定器等・汚染物についてでございます。これはここにありますように、東京等の本州のほうでは処理の見通しがまだ立っていない状況でございます。ぜひとも本州エリアの処理について、見通しを立てるべく全力をお願いしたいというふうに思っております。
     その上で安定器等・汚染物については、トランス・コンデンサのところに書いてあるような、今後の処理の見通しなどが課題として掲げられてございません。確かにまだ処理ができていないところもあるわけでございますので、なかなか先の話ということでございますけれども、もうそれほど時間は残っておりませんので、全体的な処理の見通しを立てられて、それでしっかり処理が進むような方策を考えていただきたいというふうに思います。これは追加の課題としてお願いできればというふうに思っています。
     微量PCBのところでございます。微量PCBにつきましては、これも処理を進めていただいて感謝しておりますが、多くのものがまだ残っている状況でございます。ここにトランス・コンデンサの量ですとか、OFケーブルの長さ、こういったものが書かれていますが、多分まだこの量については推定でかなり大幅に増えるところがあるのではないかと思います。ここら辺の処理の全体量というのをしっかりといいますか、できる限り把握していただいて、その上で漏れなく処理をするというところをお願いしたいというふうに思います。
     処理を実施していく際には、微量PCBは高濃度と違いましてリスクが格段に違うと、リスクが低いという性格がございますので、そのリスクを勘案した上で処理の方策を考えていただきたい。そこを切にお願いするところでございます。
     その中で、微量PCBについては、特に、容器の処理がまだ見通しが立っていない状況でございます。油を抜いた容器というのはかなりリスクが下がるという状況もございますので、そういったことも考えられて、ぜひ処理が進むような方策を考えていただきたいというふうに思います。
     また、ここに書いていただいたように、使用中機器については絶縁油を入れかえて安全なものになるという、そういう可能性がございます。ぜひ、その点についても考慮いただいて、処理をさらに進めていただければと思います。
     さらに電力会社もそうでございますが、非常に大きなトランスでこの微量PCBに汚染された機器がございます。これは移動させることが非常に難しい状況にございますので、移動式の処理の仕組みといったものをぜひ打ち立てていただきたいというふうに思います。
     加えて、OFケーブル等、こういったまだ処理方法自体が課題となっているものもございますので、それの取り組みについてもよろしくお願いしたいということでございます。
     いろいろ申し上げましたけれども、特措法制定後10年が経ちました。皆様の御努力により状況は進展しておりますが、これ以降、それほど時間がない中でやっていかなければならないということで、できる限り処理が進むように対策をお願いしたい。いろいろ方法が考えられると思いますが、もうここに至っては、現実的な方法というものが必要だと思います。我々産業界は保管等で大変苦労をしておりますので、現実的で、かつ、処理が安全確実に進むようにお願いしたいと思います。以上でございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。
  • 川本委員 川本です。主に2番目の高圧トランス・コンデンサのあたりの囲みに関連して発言したいと思います。
     一つは処理が遅れている原因は何か。いろいろあると思うのですけれども、私は豊田事業部会のほうに個別に関わっている経験からしますと、やはり事故というものが起きて、それによる操業の停止ということが、かなりの比率を占めているように感じています。化学プラントである以上、ある頻度で事故は大きいものが1割、小さいものはその100倍ぐらいあるかもしれませんが、そういう事故というものは必ず起きるものではあるのですけれども、起きたときにどういうふうに操業停止に至らないように収めるかというところが、1つの面としては人的な要素もありますので、なかなか難しいと思うんですけれども、過去の貴重な事故から科学的な解析をして、事故が操業停止に結びつかないような手立てを考える必要があるのではないかと思います。
     あと、関連するかもしれませんけれども、これまでの説明の中でも、前処理の範囲でかなりの手間と時間、労力を要するという御説明だったと思います。実際の処理において、どこが最も律速かということを改めてよく精査をして、スピードアップをするのはやはり、律速になっているところの対応をとるというのが原則だろうと思いますので、そこをもう一度よく見ていく必要があるだろうと思います。
     地方自治体の産業廃棄物の処理・処分について、審議する場にいる立場もありまして、そういうところで東京事業の遅れということをよく耳にします。ということで、5事業ということでやってきているわけです。先ほどの織先生の連携というのもどこら辺の連携かよくわかりませんが、5つの事業の区分けというものを、あくまでもそのままやっていくのか、あるいはどこも余裕のない状況かもしれませんが、ある程度の連携というものも必要になってくるのではないかと思います。
     それから二次廃棄物ということで活性炭、保護具等が大量に発生しているということがあります。ただこれも低濃度のPCBとも関連しますけれども、非常に薄いものと、多くのPCBを捕捉した部分、付着してしまっている部分というのがあるんだろうと思います。それらがどういうふうに保管されているのか、明らかでありませんけれども、やはり膨大な量を前にして、そういった見極めというものもある程度含めていかないと、なかなかこういったものの処理が進捗しないのではないかというふうに思っております。私の意見は以上です。
  • 鬼沢委員 いまだに多くのPCB廃棄物が存在し、保管場所も延べ1万以上あるというのはこれからどんどん世代交代をしていくと、そこで行方不明になっていく数が非常に増えてくるのではないかという懸念もあります。先ほど説明いただきました資料5を見ても、こういったことが起きているのだなということが実際にあるので、やはり早急に処理をしていく必要があると思います。これからどうやって短い間に処理をしていく量をアップしていけるかということがすごく大切だと思います。
     それともう一つ、先ほど地域住民の見学があるという御報告でしたけれども、周りの地域の方だけでなく、そういう処理をしているということがなかなか全国には広がっていないような気がして、実際私も一度も見学ができるということを聞いたこともないですし、やはりリスクコミュニケーションをもっとちゃんとしっかりしていくという意味でも、周りの住民だけでなく、そういうことをちゃんとしているということの情報開示をしっかりしていかなければいけないと思います。
  • 永田座長 はい。酒井先生。
  • 酒井委員 資料5で漏えい紛失の事例報告をいただきました。機器の台数で千数百点程度起こっているように見受けられます。平成10年が先ほど1万1000件という資料でも報告がございました。やはりこの時期にこれだけの紛失あるいは漏えい事例があるということは、やはり相当深刻に考えるべき話だというふうに思います。
     このことは、今後の処理対象の機器がどの程度あるのかということの把握と表裏一体の問題のはずですので、ここの把握あるいは管理に向けては再度強化をしていただきたいというふうに思いました。
     それとの関係で今回は個数だけの提示なのですが、PCB総量として一体どの程度あるのかという試算もぜひ進めていただきたいというふうに思います。
     2点目は今鬼沢さんがおっしゃった点とよく似た視点なのですけれども、今日御出席の自治体の方々、あるいはその周りの方々に非常に御苦労いただいて、そして情報も相当伝わっているということだと思うんですが、その地域と日本のほかの地域との温度差が相当に生じ始めているのではないかという認識を持ちます。やはり全国民に向けて理解をしていただくということが必要だと思いますので、今の5地域に御世話になっているということの広報というのをもっとやっていくべきだろうというふうに思います。他地域の方が、自らの認識というのが薄くなっていることに関しては、非常に危機感を覚えます。
     それと最後にもう一点ですが、いわゆる技術性能の再検討という点は、この時点で一回考えていいんだろうと思います。事業所間というのは簡単ではないということは十分に理解しておりますけれども、少なくとも二次廃棄物に対する対応というのを今的確にとらなければ、今後の処理は進まないという認識を持って、二次廃棄物への処理の道筋というのは、日本の総力を挙げて取り組まねばならないというふうに思っております。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。田中先生どうぞ。
  • 田中委員 皆さん御指摘のように、資料4の1.経緯のところ、最後のところの括弧にあるように、「PCB廃棄物処理を可能な限り早急に終わらせる」と、同感ですし、「考えられる対策を可能な限り実施する必要がある」、そう思います。
     ペースを上げるためにどうしたらいいかということですが、一つは2番目の高圧トランス・コンデンサ等の部分についてですが、JESCOが持っている施設を得意、不得意な分野を最大限に活用して、処理を進めるということはもちろんですけれども、技術的にも、先ほどありましたように、金属容器の中にあるPCB汚染物のようなものは大臣認定施設での処理対象とするということが考えられると思います。
     全体としては、JESCOの施設を最大限に活用することはもちろんですけれども、民間からも新たにつくられているようですし、それから民間が持っている施設を活用する手立てということを検討するべきではないかと思います。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。田辺先生。
  • 田辺委員 もう何人かの先生方が説明されたのですが、私もこのPCB汚染物の問題が一番気にかかっております。私は大阪事業部会とそれから北九州事業部会、JESCOの2つの事業部会に委員として出ておりますが、操業の過程で出てくるPCB汚染物の処理をどうするかということが、今、最大の課題になっていると思います。大阪事業部会等では保管場所のトラブル等もありまして、低濃度及び高濃度廃棄物の処理を急がなければならない事態になっております。
     この廃棄物を従来JESCOの施設で処理をすると莫大なお金がかかるわけで、これは焼却で何とか対応できないかという方向を考えるべきだと思っております。もちろん今後も検討は必要ですけれども、処理する、焼却する技術あるいは施設はもうかなりのものが十分整っているのではないかと思いますので、今後その方向で進める必要があるだろう。
     微量PCB汚染廃電気機器等の流れの中で、低濃度汚染物の処理ができるように、早急に対応対処を進めるということ。それから場合によっては、高濃度の汚染物もこの方法でやれないかというようなことも、今後まじめに検討する必要があるのではないかというふうに思っています。いずれにしても、処理施設の能力を増強させるということ。またそれに対してどういう具体的な対策が必要かということを、今後真摯に議論をしていく必要があるのではないかというふうに思っています。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。
  • 築谷委員 兵庫県の築谷でございます。高圧トランス・コンデンサの処理が進み出したことにつきましては、立地自治体の皆様のいろいろな御協力があってのことだと非常にありがたく思っております。この高圧トランス・コンデンサの関係の中では、今回の論点のまとめ、一番最後のところに書かれていることですけれども、漏えいが認められる機器がまだ受け入れられていない。本来であれば処理を急ぐべきものというものだと思いますので、そこの運搬方法とか処理方法、そのあたりをきっちり安全確保の上決めていただいて、漏えい機器も早く動くようにしていっていただきたいというのが一点ございます。
     安定器等・汚染物につきましては、近畿圏もまだ処理体制が整備できていないところでして、機会あるごとに処理体制の整備を要望させていただいているところでございます。これにつきましては、いろんなところの協力をいただきながら、何とか体制整備をお願いしたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。本多さん。
  • 本多委員 本多でございます。具体論は次回以降にいろいろ出てくると思うのですけれども、先ほどの織先生のお考えの中で5カ所は独自のマネジメントというので、そこまでわからない話がいろいろ出てきてたのですが、それから、JESCOの赤字もホームページを拝見しますと確かにすごい赤字ではあるので、これからレビューが行われると思いますけれども、マネジメントといいますか、経営状況も含めて計画と実績の中身ができるだけ見えるようにしていただいて、次回以降、より上手に合理的にPCBを処理できるスキームを検討いただきたいというふうに思います。
     また、これからの議論の過程でいろんな論点が出てくると思います。きょう全部の論点を申し上げられませんし、また出てくるたびに、それは座長にお願いをして論点に追加していただくということをお願いしたいと思います。
     微量の話はまだまだ広がりが大きい話と考えておりまして、特措法ができてから出てきた話で仕方がないのですけれども、特措法の施行時にはもともとなかった、すごく難しい問題であり、法律的にも難しい問題に取り組んでいただいているというのが、非常によくわかります。それを承知の上でやはりどういうふうに位置づけていくのかというのを議論しないといけないだろうと思います。
     最後ですが、不法投棄の問題が出ましたけれども、これはやはり罰則だけでは多分解決しないと思われまして、微量PCBも処理がなかなか進まないというのがあるのですけれども、これも含めて、不法投棄も防止できるような合理的なスキームというのを、ここで考えていかなければいけないと思いますので、これが論点として挙がってくるのではないかというふうに思います。以上です。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。横山さんどうぞ。
  • 横山委員 先ほど各事業所の処理原単位について御質問をさせていただきましたけれども、確認したかったのは、各事業所のそれぞれの技術を総合的に見ながら、JESCOさん全体の効率を高めて、できるだけ投入エネルギーも下げる。あるいはその結果として、処理料金も下がるといったようなことの努力をもっとお願いしたいという思いで質問をしたわけです。
     そういう質問をした後に、織先生の、安全を中心にしてもっと一体化した効率的なマネジメントをお願いしたいといったような文書を拝見しまして、まさに全く同じ考えだと思ったわけです。安全意識の強化と技術力の向上が全体の処理費の低減につながる。安定操業と処理費の低減にもつながっていくわけで、まさしくそういったことを強化していただきたいというのが一点。
     それと安全・確実・迅速、これは最優先ということ。これは反対するところはないわけですけれども、そういう中で合理的に進めるということで、この合理的の意味の中にはやはり国際競争力といったこと。これは基準、技術力、それとその結果のコストといったようなことも意識しながら、今後、どうして取り組んでいくのかといったようなことを議論していただくとありがたいというふうに思っております。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。ひとわたり御意見をいただきました。あとは、いただいた意見の総体の中でそれぞれどうするという話ではないんですけれども、何か事務局のほうでコメントあれば。どうぞ。
  • 廣木産業廃棄物課長 いろいろ御指摘いただきましてありがとうございます。今、御指摘をいただいた点というのはそれぞれ重要な御指摘だと思っています。私どもとしてこのPCBの処理事業というものが立ち上がって、なるべく早く迅速かつ確実に処理しなければならないという命題を持ってやってきているわけです。ですからそのために本当に何が必要なのかということです。今、御指摘のさまざまな論点があると思います。それぞれの中でどのように対応していけばいいかということを、これからの審議の中でしっかりと議論し、本当に高圧トランス・コンデンサ、安定器等・汚染物、微量PCB廃電気機器、それぞれの課題があるということは十分承知していますので、私どもは今の御指摘をしっかり受け止めて、これからまたいろいろ御意見をいただきながら、そういったものを含めて検討していければ、というふうに思っていますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。この後、今後のスケジュールについて説明、議論になるのですけれども、ちょっと私が皆さんの御意見を聞いた限りで、後のスケジュールのときもそうなんですが、「高圧トランス・コンデンサ等」、「安定器等・汚染物」というような仕分けでやってきたのですが、何人かの先生方からも御意見がありましたが、処理のほうから見てどういう分類、定義というのをしていったほうがいいのか。さっき二次汚染の廃棄物の話もありました。そういう意味でこういう仕分けでしていきますが、最後のところで、そこのところも一緒に議論をしてもらうか。あるいはそれぞれの中で非常に濃度の高いもの、低いもの、いろいろ考えるわけですから、それに対してまた御意見もちょうだいしていきたいと思っています。
     一応はスケジュールの中では、この分類の形で整理はさせていただいていますが、その内容については処理のほうから見てどうだということも、御議論願いたい。
     もう一つ、情報提供、情報発信の話なのですが、これも何人かの先生方から御意見をちょうだいしました。具体的には余りここには書いていないのですが、10年たって一区切り、今後どうするんだという話の中では、積極的に市民・国民の皆さんにお知らせする。それから、現状がどうなっているということを解説する。そういうことが必要になってくるのかなと思っています。そういう意味では、その方策等についても論点の中に入れるべきだろうと思っています。
     それから現状なり実績なりというものの整理でしょうか。これもまだまだ不十分だというお話がございました。そういう意味では、それもあわせて整理をさせて、これは随所にそういうものを入れさせていただくということになるかと思います。そういう形で進めさせていただければと思っています。
     ちょっと先を急がせていただいて、今後のスケジュールというのが次の議題ということになろうかと思います。まず、事務局のほうから説明をしていただけますでしょうか。

議題(3)その他

  • 廣木産業廃棄物課長 資料6、今後のスケジュール案でございます。今回は第1回ということで検討委員会の論点についてということでございます。私どもが今考えておりますのは、そこにございますとおり、まず高圧トランス・コンデンサ等、安定器等・汚染物、微量PCB汚染廃電気機器等というのを、それぞれについて議論をするのかなというふうに思っております。ただいま御指摘の点、特に処理という側面を見た場合、共通する事項が結構ありますので、そこは実は、結構クロスオーバーする部分というのが出てくるものと思われます。特に高圧トランス・コンデンサ等、安定器等・汚染物というのはJESCOで処理するという意味では、一体不可分の部分もあるかなというふうに思っています。そこのあたり、今の御指摘を踏まえて、また座長ともよく相談しまして、それぞれの課題設定をしていきたいと思います。
     基本的には、高圧トランス・コンデンサ、安定器等・汚染物、微量PCB汚染廃電気機器等といった、物の面から見ていきますけれども、また処理の面からもそれぞれについて、クロスオーバーしながら議論をするというような格好ができれば、あるいは場合によってはどこかで、別の側面から見ていくような機会というものも必要かもしれないと思っています。そこは、進めていく段階で、まず最初にそれぞれ実績がどうかというレビューをするということを一通りやる必要があると思っています。まずはこういう格好にさせていただいて、その中で実際に処理とかそういう面でお互いクロスオーバーするところをどうするかというところを、整理させていただければと思っています。
     また、その他の課題ということで、今、情報発信の話もございましたし、また紛失事例をどうするかとか、今後終わらせるための様々な課題というものもございます。そういったその他の課題等をいうのもここに1回程度としていますけれども、これはまたしっかり議論しなければならないと思っています。
     微量PCB汚染廃電気機器等ですけれども、この課題については、またここの検討会で議論したことを受けて、またさらに詰めなければならない部分もひょっとしてあるかもしれないと思っています。いずれにしても、この検討委員会の中でまず一通りきっちり議論をして、ここで結論を出せるところは出していく。また課題というものはしっかり「施行後10年の見直し」という検討の中でやっていくということを明確にした上で、最終的に取りまとめに持っていきたいということです。
     一応今のところ、こういった議論をしていきながら、大体月1回ぐらいのペースで、皆さんお忙しいので、大変なことは十分承知しておりますけれども、できましたらば、来年の前半ぐらいのうちに最初の取りまとめに持っていければいいなというふうに思っています。ぜひともそういうことで、またいろいろと御意見を聞かせていただければと思っています。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。このスケジュールはその他という議題の中で審議をお願いしたということでございます。
     私のほうから、2つ目の〇の高圧トランス・コンデンサ等について、安定器等・汚染物の話にもかかわってくる可能性も高いのですが、JESCOがいろいろな状況を説明していただく。今日はいろいろとJESCOに対する質問、コメント等が出てきたと思います。その機会は今日ではなくて、こちらでやっていただければと思います。また我々の参考になるような資料を積極的にお出しいただきたいと。そういうふうに思っているところでございますが、その話のときに、先ほど御紹介のあった監視委員会、呼び方はちょっと違うところもありますが、監視委員会が、それぞれの事業所に置かれている。ここが地域住民との間の情報共有、リスクコミュニケーションにとって重要な位置づけを持っているというふうに認識しています。
     そういう意味では、特にJESCOに関する議論がなされるようなときには、その地域の監視委員会の方々も、非常に大きな関心を持たれることになるのではないかというふうに思っています。その地域の実情がどうなのかということも我々は知っておく必要がある。と同時に、その地域にここの議論をフィードバックしていただくには、監視委員会の委員長あるいは座長と呼ばれている方にもお越しいただいて、その議論をするときにはここに参加していただく。どういう名称でお呼びするかということは、また事務局と相談させていただきますが、委員会の運営の開催要領でも、委員の構成の中の(2)で、「検討事項に関係のある者を座長の了解を得た上で出席させることができるものとする」という規定もございますので、ぜひそのときには、委員長、座長、事業部会に関連する監視委員会の方をお呼びしたいというふうに思っていますが、よろしいでしょうか。
    (うなずきあり)
  • 永田座長 それでは御了承をいただいたということで、事務局のほうで対応方、よろしくお願いいたします。
  • 廣木産業廃棄物課長 しっかり受け止めてそのように手配したいと思います。
  • 永田座長 それでは、資料6の件ですが、先ほどのコメント等で若干変わってくるかもしれませんが、基本的な流れとしてはこのスケジュール案でよろしいでしょうか。
    (うなずきあり)
  • 永田座長 それでは御了承いただいたということで進めさせていただきます。
     最後に全体を通してこれだけは言っておきたいということがありましたら、どうぞ御発言のある方、手を挙げていただいて。
  • 鬼沢委員 質問なのですけれども、広域処理施設5つの拠点が書いてあるところで北海道事業所でされるエリアが非常に大きいのですが、これは、北海道が1日当たりの処理能力が8トンという量が多いからこれだけ広域なのでしょうか。それとも何か他に理由があってなんでしょうか。
  • 廣木産業廃棄物課長 経緯を簡単に説明させていただきたいと思います。北海道事業所というのは、北海道のPCB廃棄物を処理するということでもともとスタートしたということなのですけれども、実は東北、北陸等と、そういった地域でも実はPCB廃棄物の処理施設を立地しようという試みはなされたのでございますけれども、結局そこはいろいろあって立地ができなかったということがありました。これらの地域のものについては、その後北海道や室蘭市のほうにもいろいろお願いをしまして、そういった他のエリアのものをぜひ処理していただけないか、ということをお願いしました結果、御了承をいただきまして、結果として北海道事業所では広範なエリアのものを処理いただいている状況だということでございます。
  • 永田座長 ほかには、よろしいですか。それでは、事務局のほうにあとはお返しします。
  • 廣木産業廃棄物課長 それでは、本当に長時間にわたりましてどうもありがとうございました。
     私のほうから、次回の日程ですけれども、お手元に委員の先生方のスケジュール確認をさせていただく紙を配付させていただきましたので、お手数でございますけれども御記入いただき、お帰りの際に事務局まで御提出いただければ幸いでございます。
     現在11月中のどこかということで、3週間ほどの日程の中で選んでいただくという形になっています。なるべくお休みの日にはしたくないというふうに思っておりますけれども、場合によってはそういうふうになってしまう可能性も結構ありますので、その点については大変恐縮ですが、本当に御容赦いただきたいと思います。
     日程については座長とも十分相談させていただきながら最終的に決定して、これは、なるべく早く、来週の前半ぐらいに御連絡できればいいのかなというふうに思っているところでございます。
     また、会議の冒頭にも申し上げましたけれども、本日の議事録及び議事要旨をまとめた後、大変恐縮でございますけれども、委員の皆様方に対しまして御確認をいただくということを考えておりますので、どうかその際にはお手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。以上でございます。
  • 永田座長 どうもありがとうございました。それでは本日の委員会はこれで終了します。どうも活発な御議論をいただきましてありがとうございました。次回もよろしくお願いします。