環境再生・資源循環

牛海綿状脳症に関し環境省が講じた措置について

平成14年5月27日 環境省

背景

 従来、と畜場から出る牛の骨等はレンダリング業者により買い取られており、廃棄物として排出される実態はなかった。今般、千葉県において、我が国初の狂牛病発症が確認されたところ、10月1日付けで農水省は「肉骨粉等の当面の取り扱いについて」において、飼料用・肥料用の肉骨粉等の製造及び販売の一時停止を要請し、当省に対しても、レンダリング業者が保持する余剰となった肉骨粉等の隔離、焼却の円滑な実施協力を要請してきている。
 他方、9月27日、厚生労働省によりと畜場から排出される牛の脳、脊髄の焼却を指導する旨の通知が出され、と畜場から恒常的に廃棄物が生じることとなった。
 この新たな廃棄物の発生に対し、廃棄物処理行政を所掌する環境省においては、以下の措置を実施。

講じた措置

  • 10月2日
    1. 製品として売れ残った肉骨粉は事業系一般廃棄物であることを明らかにするとともに、処理の円滑化について地方公共団体に要請。
      • 畜産部局に対する一般廃棄物処理業者の焼却処理施設の所在、能力等についての情報提供。
      • 広域的な見地から必要と認められる場合の市町村自身による焼却処理。
      • 肉骨粉に係る一般廃棄物業者の業の許可、施設許可の手続の迅速化。
    2. と畜場から排出される脳、脊髄等の廃棄物については、産業廃棄物として法令上適正に位置付けるため、所要の政令改正手続を開始。
  • 10月4日、肉骨粉の適切かつ円滑な処理に資するため焼却方法について通知(「廃棄物となった肉骨粉等の焼却処理について」)
    • 未焼却の肉骨粉等の埋立処分の禁止の確認。
    • 農林水産省による肉骨粉の焼却条件の連絡(廃掃法上の焼却基準で牛への誤用・流用は十分防止可能との趣旨。)
  • 10月5日、都道府県の廃棄物処理行政担当者の集まった会議において肉骨粉の円滑かつ安全な処理について協力要請等を実施。
  • 10月9日、肉骨粉の円滑かつ安全な処理・リサイクル体制を確保するため、現在、産業廃棄物処理業者として産業廃棄物のリサイクルに取り組むセメント事業者の活用が図られるよう、環境大臣が再生利用認定を行う方針を決定。
  • 10月12日、と畜場から排出される脳、脊髄等の廃棄物について産業廃棄物とする政令改正(廃棄物処理法施行令)について閣議決定。この政令は10月17日公布、10月27日から施行。
  • 10月15日、肉骨粉を処理する施設としてセメント事業者の活用を図るため再生利用認定制度の適用を行う旨の告示を公布。
  • 10月17日、特定危険部位等の処理の円滑化について地方公共団体に要請。
    (☆10月18日、と畜場における牛のBSE全頭検査開始。)
  • 10月19日、肉骨粉の処理の円滑化についてあらためて地方公共団体に要請。併せて、肉骨粉の性状、運搬方法及び焼却方法について知見を取りまとめ事務連絡。
    • 肉骨粉の発熱量は16~18MJ/Kg。
    • 運搬の際は飛散流出を防止。
    • 焼却方法は、焼却炉における焼却量の1割以内で混焼することを基本。
  • 10月25日、11月8日、11月22日、特定危険部位の焼却方法について地方公共団体に情報提供。
    (☆11月11日から11月17日まで、(社)セメント協会が、セメント工場において廃肉骨粉を受け入れて再生利用することについて技術的情報等を確認するため、処理実績のあるフランス等欧州四カ国(フランス、ドイツ、イギリス、ベルギー)に調査団を派遣)
  • 11月14日、肉骨粉の処理の円滑化について再度地方公共団体に要請。
  • 11月30日、大分県にあるセメント工場において肉骨粉の焼成試験を実施。
  • 12月21日、廃肉骨粉の再生利用について、太平洋セメント津久見工場を認定(第1号の認定)。
  • 12月28日、不要となった市場隔離牛肉は事業系一般廃棄物であることを明らかにするとともに、処理の円滑化について地方公共団体に要請。
  • 12月28日、配合飼料工場等において原料として使用した肉骨粉等が不要となった場合は産業廃棄物であることを明らかにするとともに、処理の円滑化について地方公共団体に要請。
  • 1月25日、輸入されて港湾等の倉庫に保管されていた肉骨粉が不要となった場合は事業系一般廃棄物であることを明らかにするとともに、処理の円滑化について地方公共団体に要請。
  • 2月1日、肉骨粉の処理の円滑化について改めて地方公共団体に要請。
  • 5月7日、肉骨粉の処理の円滑化について改めて地方公共団体に要請。