報道発表資料

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2025年05月28日
  • 地球環境

二国間クレジット制度(JCM)の構築に関する日・タンザニア間の協力覚書に署名しました

<外務省、経済産業省同時発表>
 
1. 2025年5月28日(水)、東京において、浅尾慶一郎環境大臣とハマド・マサウニ・タンザニア連合共和国副大統領府付国務大臣(連合・環境担当)との間で、二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)の構築に関する協力覚書の署名(三上陽一駐タンザニア特命全権大使の連署)が行われました。
 
※ JCMパートナー国:モンゴル国、バングラデシュ人民共和国、エチオピア連邦民主共和国、ケニア共和国、モルディブ共和国、ベトナム社会主義共和公、ラオス人民民主共和国、インドネシア共和国、コスタリカ共和国、パラオ共和国、カンボジア王国、メキシコ合衆国、サウジアラビア王国、チリ共和国、ミャンマー連邦共和国、タイ王国、フィリピン共和国、セネガル共和国、チュニジア共和国、アゼルバイジャン共和国、モルドバ共和国、ジョージア、スリランカ民主社会主義共和国、ウズベキスタン共和国、パプアニューギニア独立国、アラブ首長国連邦、キルギス共和国、カザフスタン共和国、ウクライナの29か国であり、タンザニア連合共和国は30か国目となります。
 
2.今後、タンザニア連合共和国とのJCMを通じて、同国内の温室効果ガスの排出削減等に関する事業の実施により、両国のNDC(国が決定する貢献)の達成に貢献していきます。また、パリ協定第6条の市場メカニズムとしてJCMを実施し、地球規模での温室効果ガス排出削減・吸収、持続可能な開発を促進することにより、世界の脱炭素化に向けた取組に貢献していきます。
 
【添付資料】
  ・ 別添1 日・タンザニア間の二国間クレジット制度に関する協力覚書(英語)
  ・ 別添2 日・タンザニア間の二国間クレジット制度に関する協力覚書(仮訳)

■ 協力覚書の概要

○ パリ協定の2度目標と1.5度努力目標を追求し、気候変動への対処における二国間協力を強化するため、日本国政府及びタンザニア連合共和国政府(以下、個別に「政府」といい、「両政府」と総称する。)は二国間クレジット制度(JCM)を創設する。

○ 両政府は、パリ協定6条2で言及される協力的な取組に関する指針に適合して、JCMの下での排出削減及び吸収から発行されるJCMクレジットの一部を、国際的に移転される緩和成果として、日本の国が決定する貢献(NDC)の達成に利用できること、及び当該JCMクレジットの残余がタンザニア連合共和国のNDCの達成に寄与することができることを相互に確認する。

○ 両政府は、JCMの透明性及び環境十全性を確保し、JCMを簡素かつ実用的なものに維持する。

※ 協力覚書の詳細については別添を御参照ください。

【参考】 地球温暖化対策計画(令和7年2月閣議決定)におけるJCMの目標等

 グローバルサウス諸国等への脱炭素技術、製品、システム、サービス、インフラ等 の普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への我が国の貢献 を定量的に評価するとともに、我が国の NDC の達成に活用するため、JCM を構築・ 実施していく。このような取組を通じ、官民連携で 2030 年度までの累積で、1億 t-CO2 程度、2040 年度までの累積で、2億 t-CO2 程度の国際的な排出削減・吸収量の確保を目標とする。
 
 JCMを活用した緩和対策促進に向けて、第一に、プロジェクト開発ソーシングの領域・規模・ルート等の拡大に取り組む。分野・領域について、制度開始以来多数の案件を稼働させている省エネルギー・再生可能エネルギー・廃棄物分野に加え、農業・泥炭地管理などの非エネルギー分野の排出削減、CCS、さらに、削減のみならず温室効果ガス除去など幅広い分野・領域へと拡大を図るとともに、特に、削減ポテンシャルの大きい案件の発掘・形成に優先的に取り組む。そのためにも、政府資金によるプロジェクト支援と併せて、民間資金を中心とするJCMプロジェクトについても、官民の幅広い関係機関等とも連携しつつ、国も技術面やMRVなども積極的に支援し、拡大・加速させる。パートナー国についても、削減ポテンシャル等も加味しつつ、戦略的に新規開拓を進める。
 第二に、担い手となる政府関係者・事業者等の能力向上に取り組む。具体的には、パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)等を通じたパートナー国の理解増進や事務能力向上の支援や、我が国民間企業によるパリ協定第6条(市場メカニズム)及びそのガイダンスの趣旨(環境十全性など)への認識の醸成、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)やG7等の国際枠組みを通じたカーボンマーケットに関する知見や経験の共有に取り組む。
 第三に、事業運営の効率性の向上や必要な体制・インフラの整備に取り組む。具体的には、改正地球温暖化対策推進法に基づき指定実施機関を立ち上げ、プロジェクト管理及びパートナー国との各種ガイドラインや規則等の改定や合同委員会等によるクレジット化手続に係る運営実施の効率と実効性を高める。これを通じて、JCMの実施体制の強化を図り、世界における更なる温室効果ガスの排出削減・吸収を進める。関連して、クレジット発行量や口座開設者の増大を見据え、セキュリティを十分に確保し強靱で利便性の高い登録簿システムの整備を進める。
 
地球温暖化対策計画(令和7年2月閣議決定)

連絡先

環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8246
室長
飯野 暁
企画官
百瀬 嘉則
国際炭素市場調整官
宇賀 まい子
主査
岡島 裕香
担当
森 要