報道発表資料

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2025年04月25日
  • 地球環境

令和6年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の第六回採択案件の決定について

1.  令和6年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業(以下、「本事業」という)」の第六回採択案件として4件を採択しましたので、お知らせいたします。
 
2.  今後も、「地球温暖化対策計画(令和7年2月閣議決定)」等に基づき、「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)」を通じた環境インフラの海外展開を一層強力に促進し、世界の脱炭素化に貢献していきます。
 
 JCM(Joint Crediting Mechanism)とは、グローバルサウス等のパートナー国において、日本企業や日本政府が技術や資金の面で協力して対策を実行し、追加的に得られた削減や吸収の効果を、パートナー国側と日本側で分け合う仕組み。

■ 二国間クレジット制度とは

 二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)とは、グローバルサウス等のパートナー国で、日本企業や日本政府が技術や資金の面で協力して対策を実行し、追加的に得られた温室効果ガス(GHG)の削減や吸収の効果を、パリ協定6条に沿ってクレジット化し、パートナー国側と日本側で分け合う仕組みです。
 日本とパートナー国双方のNDC(Nationally Determined Contribution:排出削減目標)に貢献し、かつ民間企業の参画により両国の経済が活性化することが期待されます。さらに、パートナー国側の社会・経済・環境面の各種課題の解決(持続可能な発展)にも寄与するものです。
 2013年にモンゴルとの間で初めて署名して以来、これまでに29か国※とJCMを構築し、250件以上のプロジェクトを実施中です。官民連携で2030年度までの累積総量で、1億トン程度の国際的なGHGの排出削減・吸収の実現を目指しています。
 
 モンゴル国、バングラデシュ人民共和国、エチオピア連邦民主共和国、ケニア共和国、モルディブ共和国、ベトナム社会主義共和国、ラオス人民民主共和国、インドネシア共和国、コスタリカ共和国、パラオ共和国、カンボジア王国、メキシコ合衆国、サウジアラビア王国、チリ共和国、ミャンマー連邦共和国、タイ王国、フィリピン共和国、セネガル共和国、チュニジア共和国、アゼルバイジャン共和国、モルドバ共和国、ジョージア、スリランカ民主社会主義共和国、ウズベキスタン共和国、パプアニューギニア独立国、アラブ首長国連邦、キルギス共和国、カザフスタン共和国及びウクライナの29か国。

■ 二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業の概要

 二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業では、パートナー国において優れた脱炭素技術等を活用して温室効果ガス(GHG)の排出量を削減し、GHG排出削減効果の測定・報告・検証を行い、JCMクレジットを発行し、我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成に活用することを目指します。

■ 採択した案件の概要

 「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の執行団体である(公財)地球環境センター(GEC)が令和6年4月5日(金)~同年11月29日(金)正午まで日本の民間企業等を対象に令和6年度事業の公募を行いました。
 この度、書面審査及びヒアリング審査を踏まえ、パートナー国の合意を得た4件を第六回採択分として選定しました。JCMの実施に向けた手続を進めていきます。

<令和6年度第六回採択分の選定事業>
No. パートナー国 プロジェクト名 事業概要 代表事業者 想定GHG
削減量
(tCO2/年)
12 タイ アユタヤ県バンパインにおける104MW太陽光発電・129MWh蓄電池導入プロジェクト 本事業は、アユタヤ県バンパインに 129MWhの蓄電池を備えた104MW地上太陽光発電所を設置し、発電した電力の全量をNMB-Minebea Thai バンパイン工場で使用する。
化石燃料由来の系統電力の一部を、再生可能エネルギーに代替する事で、温室効果ガス(GHG)排出量を削減する。
ミネベアミツミ株式会社 43,577
13 タイ ロッブリ県における48MW太陽光発電・60MWh蓄電池導入プロジェクト 本事業は、ロッブリ県に60MWhの蓄電池を備えた48MW太陽光発電所を設置し、発電した電力の全量をNMB-Minebea Thai ロッブリ工場で使用する。
化石燃料由来の系統電力の一部を、再生可能エネルギーに代替する事で、温室効果ガス(GHG)排出量を削減する。
ミネベアミツミ株式会社 21,545
14 タイ 包装工場への太陽光発電・ヒートバッテリーの導入 ソンクラー県の包装工場隣接地に太陽光発電システムとヒートバッテリーを導入し蓄えられた熱で発生させた蒸気を同工場に供給する。
再生可能エネルギー由来の電力による熱をヒートバッテリーに蓄熱し、安定して供給された熱で昼夜を問わず安定的に蒸気を供給することで、既存ボイラーによる化石燃料の利用を代替し、温室効果ガス(GHG)排出量を削減する。
東京センチュリー株式会社 2,969
15 チュニジア シディブジッド地域における100MW太陽光発電プロジェクト シディブジッド地域において、100MW太陽光発電システム(追尾式架台)を導入し、再生可能エネルギー由来の電力をチュニジア電力ガス公社(STEG)に売電することで系統電力を代替し、温室効果ガス(GHG)排出量を削減する。 株式会社ユーラスエナジーホールディングス 91,118
 
【参考1】地球温暖化対策計画(令和7年2月閣議決定)〔抄〕
 グローバルサウス諸国等への脱炭素技術、製品、システム、サービス、インフラ等 の普及や対策実施を通じ、実現した温室効果ガス排出削減・吸収への我が国の貢献 を定量的に評価するとともに、我が国のNDCの達成に活用するため、JCMを構築・ 実施していく。このような取組を通じ、官民連携で2030年度までの累積で、1億t-CO2程度、2040年度までの累積で、2億t-CO2程度の国際的な排出削減・吸収量の確 保を目標とする。
 ● 地球温暖化対策計画(令和7年2月閣議決定)
 
 
【参考2】 令和6年度の本事業第一回採択案件
・令和5年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の第五回採択案件及び令和6年度の第一会採択案件の決定について(令和6年10月18日付け環境省報道発表)
 https://www.env.go.jp/press/press_03834.html
No. パートナー国 プロジェクト名 事業概要 代表事業者 想定GHG
削減量
(tCO2/年)
1 チリ共和国 ランカグア市における12MW太陽光発電・41MWh蓄電池導入プロジェクト 12MWの太陽光発電と41MWhの蓄電池システムを導入し、発電した電力を蓄電池の活用も通じて効率的に売電することで、系統電力を再生可能エネルギー由来電力で置き換え、系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。 ファームランド株式会社 9,682
2 タイ王国 化学工場へのバイオマスコージェネレーションシステムの導入 バイオマスコージェネレーションシステムを導入し、製造された電力・蒸気を化学工場の生産プロセス用の自家消費分として供給することで化石燃料の使用を削減する。 日鉄エンジニアリング株式会社 48,429
3 タイ王国 アルミインゴット工場への高効率システム導入による生産性改善 アルミインゴット生産設備において、生産過程の炉へ省エネ型バーナーを採用した一貫生産システムを導入し、生産性改善とエネルギー利用の効率化を実現する。 株式会社大紀アルミニウム工業所 4,009
 
【参考3】 令和6年度の本事業第二回及び第三回採択案件
・令和6年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の第二回及び第三回採択案件の決定について(令和6年12月6日付け環境省報道発表)
 https://www.env.go.jp/press/press_04095.html
No. パートナー国 プロジェクト名 事業概要 代表事業者 想定GHG
削減量
(tCO2/年)
4 モンゴル ドルノゴビ県エルデネにおける15MW太陽光発電・80MWh蓄電池導入プロジェクト 15MWの太陽光発電と80MWhの蓄電池システムを導入し、発電した電力を蓄電池の活用も通じて効率的に売電することで、系統電力を再生可能エネルギー由来電力で置き換え、系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。同時に、モンゴルにおけるエネルギーインフラの強化に貢献する。 アジアゲートウェイ株式会社 16,396
5 インドネシア 自動車部品工場への0.8MW屋根置き太陽光発電システムの導入 0.8MWの太陽光発電システムを導入し、発電した再生可能エネルギー由来電力を工場内で自家消費することで系統電力の消費量を削減し、系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。 関西電力株式会社 681
6 パラオ リゾートホテルにおける0.6MW太陽光発電システムおよび0.3MWh蓄電池の導入 0.6MWの太陽光発電と0.3MWhの蓄電池システムを導入し、発電した電力を蓄電池の活用も通じて効率的に売電することで、系統電力を再生可能エネルギー由来電力で置き換え、系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。同時に、パラオにおける再生可能エネルギーの活用モデルとなることを目指す。 シードおきなわ合同会社 506
 
【参考4】 令和6年度の本事業第四回及び第五回採択案件
・令和6年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の第四回及び第五回採択案件の決定について(令和7年3月13日付け環境省報道発表)
 https://www.env.go.jp/press/press_04541.html
No. パートナー国 プロジェクト名 事業概要 代表事業者 想定GHG
削減量
(tCO2/年)
7 インドネシア 自動車ガラス製造工程における省エネプロジェクト 自動車用ガラス製造工程における高効率のガラス曲げ加工装置(電気加熱炉、曲げ成形装置)を導入し、電力消費量の削減を通じて系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。 AGC株式会社 10,715
8 インドネシア 食品工場及び自動車部品工場への1.5MW屋根置き太陽光発電システムの導入 1.5MWの太陽光発電システムを導入し、発電した再生可能エネルギー由来電力を工場内で自家消費することで系統電力の消費量を削減し、系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。 関西電力株式会社 1,244
9 カンボジア プルサット州クラコー地区における20MW太陽光発電プロジェクト 20MWの太陽光発電システムを導入し、発電した再生可能エネルギー由来電力を売電することで系統電力の消費量を削減し、系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。 ミネベアミツミ株式会社 14,135
10 カンボジア プルサット州における10MW太陽光発電・3MWh蓄電池導入プロジェクト 10MWの太陽光発電と3MWhの蓄電池システムを導入し、発電した電力を蓄電池の活用も通じて効率的に売電することで、系統電力を再生可能エネルギー由来電力で置き換え、系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。 中国電力株式会社 7,975
11 フィリピン ルソン島ピアピ川における4.5MW小水力発電プロジェクト 4.5MWの流れ込み式小水力発電設備を導入し、発電した再生可能エネルギー由来電力を売電することで系統電力の消費量を削減し、系統電力の発電時の化石燃料の使用・燃焼の量を削減する。 株式会社TOKAI 13,701

連絡先

環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8246
室長
飯野 暁
企画官
百瀬 嘉則
室長補佐
木滑 黄平
担当
境野 達也