報道発表資料

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2026年02月13日
  • 地球環境

二国間クレジット制度(JCM)グローバルパートナーシップ第5回会合を開催しました

1. 2026年2月2日から同年2月6日にかけて、二国間クレジット制度(JCM)グローバルパートナーシップ第5回会合及び関連イベントを開催しました。

2. JCMパートナー国31か国から24か国の政府担当者や実施機関関係者が参加し、JCMの詳細についての講義、政府間での二国間協議、日本企業とパートナー国との個別面談、パリ協定6条に沿った実施に関する能力構築等を実施し、パートナー国でのJCMのこれまでの実績や今後の可能性について共有するとともに、プロジェクト形成の促進、クレジット発行の拡大、プロジェクト実施の効率化等について意見交換を行いました。

3. 環境省では、パートナー国と協力し、JCMをパリ協定6条に沿った形で運用するとともに、具体的なプロジェクトの拡大・加速に取り組んでいきます。

■ 参加国等

JCMパートナー国:アラブ首長国連邦、インドネシア共和国、ウクライナ、ウズベキスタン共和国、エチオピア連邦民主共和国、カンボジア王国、キルギス共和国、ケニア共和国、コスタリカ共和国、スリランカ民主社会主義共和国、タイ王国、タンザニア連合共和国、チリ共和国、チュニジア共和国、パプアニューギニア独立国、パラオ共和国、バングラデシュ人民共和国、ベトナム社会主義共和国、フィリピン共和国、メキシコ合衆国、モンゴル国、モルディブ共和国、モルドバ共和国、ラオス人民民主共和国(24ヶ国)
国際機関:アジア開発銀行(ADB)、国際連合工業開発機関(UNIDO)、欧州復興開発銀行(EBRD)
日本政府関係省庁・機関:環境省、経済産業省、外務省、農林水産省、林野庁、日本政府指定JCM実施機構(JCMA)、地球環境戦略研究機関(IGES)パリ協定6条実施パートナーシップ(A6IP)センター、海外環境協力センター(OECC)

■ 主な議論内容

(1) JCMプロジェクトパイプラインの最新動向と新たな協力
 これまで開催されたJCMに関するビジネスマッチングイベント、国際金融機関を通じた支援事業、JCM実現可能性調査等、多様なチャネルを通じた案件形成の状況が共有されました。JCMプロジェクトパイプラインは、再生可能エネルギー、農業・林業、廃棄物、エネルギー効率化に加え、CCS/CCUS、燃料転換、グリーン水素など新興分野にも広がり、300件超の規模となっていることが報告されました。
 さらに、国際金融機関との連携強化を含む新たな支援枠組みの活用が進んでおり、JCMの実施に向けた資金動員や脱炭素技術の導入を後押しする仕組みが拡充されていることが共有されました。

(2) JCM方法論の概念整理とNDC(※)との整合性の強化
 JCM方法論に関する議論では、BAU(Business-As-Usual)・リファレンス排出量・プロジェクト排出量の関係が整理され、パリ協定6条の下でパートナー国のNDC達成と整合しつつ、実質的な排出削減に資する方法論設計の重要性が確認されました。また、タイからは高効率機器の最新市場データ等を用いた保守的パラメーター設定等方法論構築の実例が共有されました。

(3) 6条技術専門家レビュー(A6TER)の経験共有
 初期報告を既に提出したパートナー国より、A6TERの経験共有が行われました。A6TERの概要やプロセス、パートナー国内における調整、また、初期報告に記載する際の留意点について意見交換が行われました。

(4) ITMOs発行に向けた実践的取り組みの共有
 モルディブにおけるJCMプロジェクトのITMOs発行の経験が紹介され、同国ではエネルギー分野(ミニグリッド、蓄電池、再エネ導入等)を中心に複数プロジェクトが進展し、実際のクレジット発行量やITMOs発行プロセスについて説明がありました。
 また、パリ協定6条2項に基づく実施に必要な制度要件(承認手続、ITMOs登録簿等)が整理され、多くの国で承認・登録簿整備が進行中にあるなど、制度基盤の構築が今後のITMOs発行加速の鍵となることが強調されました。

 (※) NDC:パリ協定において求められている、各国が設定する自国の温室効果ガスの排出削減の目標(Nationally Determined Contribution)。
 
 
 

■ ビジネスマッチングイベントについて

 JCM グローバルパートナーシップ会合にあわせて、参加しているパートナー国政府及びアジア開発銀行(ADB)と、JCM案件を実施中もしくは、具体的に案件組成に取り組む日本企業28社との個別面談会を開催しました。日本企業はプロジェクトの実施等に係る見通しについて共有し、課題や要望等について相談することで、JCMプロジェクト形成に向けた協力可能性を探りました。

■ A6IPパリ協定6条専門家研修について

 ビジネスマッチングイベントに加え、A6IPセンターの主催で、JCMパートナー国を対象にパリ協定6条専門家研修を開催しました。
 本研修では、パリ協定6条実施に向けた各国の準備状況を強化するため、事前に提供された教育動画とオンラインテストを踏まえつつ、承認体制、登録簿の整備、6条報告要件、NDCとの統合等、主要要素に対する国別の課題を把握し、国内制度の整備に必要な課題の特定を行う演習が実施されました。各国における優先プロジェクトの特定、承認レターの作成演習、ITMOsの追跡や合意された表様式(AEF)入力演習など、パリ協定6条を国家制度へ実装するための実務手順を段階的に体験するハンズオン形式のトレーニングが行われました。

■ パリ協定6条とJCMについて

(1)パリ協定では、すべての国がNDC等を定めることが規定されています。一方、世界の温室効果ガスの排出削減・吸収を効率的に進めるため、パリ協定6条には、国際的に協力して排出を減らしたり吸収を増やす対策を行い、その効果を、国際的に移転するという協力枠組みが規定されています。パリ協定6条の実施により、脱炭素市場や民間投資が活性化され、世界全体の温室効果ガス排出量の更なる削減のほか、持続可能な開発にも寄与することが期待されています。
 ・ パリ協定
 ・ パリ協定6条の解説:
   000269848.pdf
 
(2)日本国は、パリ協定6条に沿ったJCM(Joint Crediting Mechanism)という取り組みを実施しています。JCMとは、グローバルサウス等のパートナー国で、日本企業や日本政府が技術や資金の面で協力して対策を実行し、追加的に得られた温室効果ガス(GHG)の削減や吸収の効果を、パリ協定6条に沿ってクレジット化し、パートナー国側と日本側で分け合う仕組みです。
 日本とパートナー国双方のNDC(Nationally Determined Contribution:排出削減目標)に貢献し、かつ民間企業の参画により両国の経済が活性化することが期待されます。さらに、パートナー国側の社会・経済・環境面の各種課題の解決(持続可能な開発)にも寄与するものです。
 2013年にモンゴルとの間で初めて署名して以来、これまでに31か国とJCMを構築し、290件以上のプロジェクトを実施中です。
 
※  モンゴル国、バングラデシュ人民共和国、エチオピア連邦民主共和国、ケニア共和国、モルディブ共和国、ベトナム社会主義共和国、ラオス人民民主共和国、インドネシア共和国、コスタリカ共和国、パラオ共和国、カンボジア王国、メキシコ合衆国、サウジアラビア王国、チリ共和国、ミャンマー連邦共和国、タイ王国、フィリピン共和国、セネガル共和国、チュニジア共和国、アゼルバイジャン共和国、モルドバ共和国、ジョージア、スリランカ民主社会主義共和国、ウズベキスタン共和国、パプアニューギニア独立国、アラブ首長国連邦、キルギス共和国、カザフスタン共和国、ウクライナ、タンザニア連合共和国及びインド共和国の31か国。
 
(3)パリ協定6条実施パートナーシップについて
 「パリ協定6条実施パートナーシップ」は、パリ協定6条に関する能力構築を支援するため、2022年のCOP27において環境省が主導して立ち上げたパートナーシップです。2023年4月のG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合を機に、パートナーシップの活動を促進する事務局となる「パリ協定6条実施パートナーシップセンター」が公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)に設立され、環境省が運営資金を拠出しています。パートナーシップには92の国、300以上の機関・企業等が参加(2026年1月末時点)しています。

連絡先

環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官付JCM推進室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8246
室長
辻 景太郎
室長補佐
髙橋 健太郎
主査
小川 あかり
担当
水野 眞子