報道発表資料

この記事を印刷
2023年12月26日
  • 自然環境

種の保存法に基づく緊急指定種の指定について

 令和5年11月に発表された論文において新種として記載された、ミナヅキギボウシHosta minazukiflora及び新亜種として記載されたセトガワギボウシHosta takiminazukiflora subsp. grandisを、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号。以下「種の保存法」という。)第5条に基づく緊急指定種に指定する件について、本日公示しました。
 指定期間は、令和5年12月28日から令和8年12月27日までの3年間です。
 緊急指定種に指定されると個体の採取・損傷、販売(標本を含む。)などの行為が規制されます。

■ 今回指定した緊急指定種の概要及び指定理由

○ ミナヅキギボウシ 
【学名】  Hosta minazukiflora
【分布】  高知県
【特徴及び生態】 
 キジカクシ科の1種。花弁は淡灰紫色(ラベンダー色)。シコクギボウシに近縁だが、葉が波打たないことや、花弁の色、開花時期が早いことなどから区別される。
【指定理由】
 令和5年11月に発表された論文で新種として記載された。本種の生育数・生育範囲は非常に限られており、過度な採取圧により個体群が消滅する可能性があることから、緊急的に個体の採取や販売等を規制するために、緊急指定種として指定を行うもの。
(参考)
Yahara T, Hirota SK, Fujii S, Kokami Y, Fuse K, Sato H, Tagane S, Suyama Y (2023) Molecular phylogeny and taxonomy of Hosta (Asparagaceae) on Shikoku Island, Japan, including five new species, one new subspecies, and two new status assignments. PhytoKeys 235: 137–187.

○ セトガワギボウシ
【学名】  Hosta takiminazukiflora subsp. grandis 
【分布】  高知県
【特徴及び生態】
 キジカクシ科の1種。花弁は薄紫色。タキミナヅキギボウシに近縁だが、花茎が長いことや、葉身が広いこと、葉裏が白色を帯びること、花茎や葉柄の基部が緑色で赤みを帯びない点などから容易に区別される。
【指定理由】
 令和5年11月に発表された論文で新亜種として記載された。本種の生育数・生育範囲は非常に限られており、過度な採取圧により個体群が消滅する可能性があることから、緊急的に個体の採取や販売等を規制するために、緊急指定種として指定を行うもの。
(参考)
Yahara T, Hirota SK, Fujii S, Kokami Y, Fuse K, Sato H, Tagane S, Suyama Y (2023) Molecular phylogeny and taxonomy of Hosta (Asparagaceae) on Shikoku Island, Japan, including five new species, one new subspecies, and two new status assignments. PhytoKeys 235: 137–187.

■ 種の保存法に基づく緊急指定種制度の概要

 ・緊急指定種は、種の保存法第5条に基づき、環境大臣が指定するもの。
 ・特にその保存を緊急に図る必要があると認められる種について、生きている個体の採取・損傷、個体等(標本を含む。)の販売・譲渡し、陳列等を禁止する
  緊急的な措置。
 ・指定の期間は、3年が限度となる。
 ・緊急指定後は、調査や研究等による生物学的知見を集積し、国内希少野生動植物種への指定の要否を検討する。

■ 参考

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号)(抄)
(緊急指定種)
第五条 環境大臣は、国内希少野生動植物種及び国際希少野生動植物種以外の野生動植物の種の保存を特に緊急に図る必要があると認めるときは、その種を緊急指
定種として指定することができる。
 2  環境大臣は、前項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)をしようとするときは、あらかじめ関係行政機関の長に協議しなければなら
  ない。
 3  指定の期間は、3年を超えてはならない。
 4  環境大臣は、指定をするときは、その旨及び指定に係る野生動植物の種を官報で公示しなければならない。
 5  指定は、前項の規定による公示の日の翌々日からその効力を生ずる。
 6  環境大臣は、指定の必要がなくなったと認めるときは、指定を解除しなければならない。
 7  第二項、第四項及び第五項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。この場合において、第五項中「前項の規定による公示の日の翌々日か
  ら」とあるのは、「第七項において準用する前項の規定による公示によって」と読み替えるものとする。
                                                                                                                                                                                          以上

連絡先

自然環境局野生生物課希少種保全推進室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8353
室長
河野 通治
室長補佐
谷垣 佐智子
係長
早瀬 穂奈実
係長
皆藤 琢磨