報道発表資料

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2023年10月27日
  • 自然環境

生物多様性条約第25回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA25)並びに生物多様性条約第15回締約国会議、カルタヘナ議定書第10回締約国会合及び 名古屋議定書第4回締約国会合第二部再開会合等の結果について

1.2023年10月15日から同年10月19日まで、ケニア共和国・ナイロビにおいて、生物多様性条約第25回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA25)が開催されました。この会合では、昨年12月に採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組の実施に向けた指標等に関する議論等が行われ、来年の同補助機関第26回会合(SBSTTA26)及び生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)で決定する事項の勧告案等が採択されました。なお、次回会合(SBSTTA26)は2024年5月にケニア共和国・ナイロビで開催される予定です。
 
2.また、2023年10月19日、20日の両日、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)、カルタヘナ議定書第10回締約国会合(CP-COP-MOP10)及び名古屋議定書第4回締約国会合(NP-COP-MOP4)の第二部再開会合が開催され、昨年12月に開催されたCOP15第二部において残された議題について決議の採択等が行われ、同会合が閉会しました。
 
3.なお、環境省では、当該会期間中に侵略的外来種等に関するサイドイベントを開催しました。

■ 経緯

 2022年12月、カナダ・モントリオールで開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第二部において、2030年に向けた新たな世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組(以下「新枠組」という。)が採択されました。新枠組の実施に向け、科学技術的な見地から検討を行う第25回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA25)が、2023年10月15日から19日の日程で、ケニア共和国・ナイロビにおいて開催されたところです。
 また、COP15第二部、カルタヘナ議定書第10回締約国会合及び名古屋議定書第4回締約国会合第二部については、昨年12月に開催された第二部会合において、一部議題に関する決定の採択が定足数不足等の手続上の問題によりなされず、正式な閉会に至りませんでした。このため、残存する議題に関する審議と決議を行うため、SBSTTA25の開催に合わせ、COP15等の第二部再開会合が開催されました。
 また、第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)の決議等を受け、自然を活用した解決策(Nature-based Solutions: NbS)に関する基準作り等のための協議が、SBSTTA25の直前に同会場にて開催されました。

■ 会議の結果概要

●第25回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA25)
(1)開催期間
 2023年10月15日~同年10月19日
(2)開催地
 ケニア共和国・ナイロビ 国際連合ナイロビ事務局本部
(3)結果概要
 SBSTTA25においては、新枠組の各ゴールやターゲットに関する取組の進捗を測るための指標や、進捗報告の手段として予定されているグローバルレビューに関する事項、政府間科学政策プラットフォーム(Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services:IPBES)及び気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)において採択されたアセスメント報告書、侵略的外来種、生物多様性と気候変動などについて議論が行われ、勧告案等が採択されました。
 新枠組の進捗を測るための指標等に関する議題では、国別報告書において報告することとされているバイナリー(選択回答式)指標(binary indicator questions)についての検討が行われました。バイナリー指標は、定量的な評価が難しい項目について補助的に設けられる指標で、各国の取組に関する設問に対し、「はい」「いいえ」「一部該当」等の選択肢により答える形式を取っています。設問の内容に各目標の要素が適切に含まれているか、各国共通の認識の下での回答が可能か等の観点で議論された結果、多くの指標への修正が提案され、指標の確定には至りませんでした。今後は、COP16までの期限付きで設置されている指標に関するアドホック専門家会合(Ad Hoc Technical Expert Group)において議論が行われるなど、SBSTTA26までに追加的な検討がされる予定です。
 侵略的外来種に関する議題においては、我が国がG7議長国として取り組む、侵略的外来種に関する国際協力の強化に向けた一連の取組についても紹介しました。
 前述の指標に関する議題を含め、一部の議題については各国の意見の隔たりが大きく、採択された文書には複数の選択肢を括弧書きで併記した記述が残る結果となりました。これらの勧告は、2024年5月に開催されるSBSTTA26、実施に関する補助機関(Subsidiary Body on Implementation :SBI)等での議論を経て、同年10月開催予定のCOP16において採択される見込みです。
 当該会合には、環境省のほか、外務省、農林水産省、経済産業省及び水産庁が出席しました。
(4)  会議の公式ウェブサイト
 https://www.cbd.int/meetings/SBSTTA-25

●生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第二部再開会合、カルタヘナ議定書第10回締約国会合(CP-COP-MOP10)第二部再開会合及び名古屋議定書第4回締約国会合(NP-COP-MOP4)第二部再開会合
(1)開催期間
 2023年10月19日~同年10月20日
(2)開催地
 ケニア共和国・ナイロビ 国際連合ナイロビ事務局本部
(3)結果概要
 COP15第二部で審議が終了せず、採択に至らなかった委員の選出などについての審議及び採択が行われ、SBSTTAの議長はボスニア・ヘルツェゴビナから、実施に関する補助機関(Subsidiary Body on Implementation :SBI)の議長はインドから、それぞれ選出されました。
 また、本年2月にトルコ共和国とシリア・アラブ共和国の国境において発生した地震の影響により、COP16の開催が予定されていたトルコがホスト国を辞退しました。これを受け、トルコ共和国が所属する西ヨーロッパ諸国を中心としてホスト国が募集されていますが、本会合においてホスト国が確定した旨の報告はありませんでした。今後もホスト国に関する募集が継続されますが、仮にホスト国の申し出がない場合には、条約事務局のホスト国であるカナダでの開催となることが紹介されました。
 予定されていた全ての議題において決議が採択され、2021年10月にオンライン方式と中国・昆明での対面方式を併用して開幕したCOP15は本会合をもって正式に閉幕しました。
 当該会合には、環境省のほか外務省が出席しました。

●自然を活用した解決策(NbS)に関するコンサルテーション
(1)開催期間
 2023年10月9日~同年10月13日
(2)開催地
 ケニア共和国・ナイロビ 国際連合ナイロビ事務局本部
(3)結果概要
 第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)の決議5/5等を受け、自然を活用した解決策(Nature-based Solutions: NbS)に関する基準作り等のためのコンサルテーションが、SBSTTA25の直前の日程で、同会場にて開催されました。NbSの推進に向けて、“優良事例”、“基準”、“障壁”、“政策”、“評価手法”、“資金”について、地域別及び世界各国からの参加者全体での協議が行われ、我が国からも、各テーマに応じた事例や取組の紹介を行いました。参加各国のNbS実施に向けた認識の違いには依然大きなばらつきが見られたものの、本会合における各国からの様々な意見や発言をとりまとめる形で、議長名での勧告がとりまとめられ、閉幕しました。
 当該会合には環境省が出席しました。

■ サイドイベントについて

SBSTTA25期間中に、日本国政府が以下のサイドイベントを主催・共催しました。

●侵略的外来種による悪影響の最小化に向けた国際協力の強化
(1)日時:2023年10月15日 13:15~
(2)会場:国際連合ナイロビ事務局本部ビル内会議室(CR-11-JUSCANZ)
(3)主催:日本国環境省、英国環境・食料・農村地域省(DEFRA)、国際自然保護連合(IUCN)
(4)概要:新枠組に侵略的外来種に関する目標(ターゲット6)が掲げられたこと、そして、2023年9月にIPBES侵略的外来種評価報告書の政策決定者向け要約が承認されたことを受け、侵略的外来種をめぐる最近の国際的な動向の紹介、世界目標の達成に向けた経験の共有、国際協力の強化や様々な主体の参画に向けた必要な行動について議論しました。本イベントは、G7議長国日本が主導するイニシアティブの一環として、侵略的外来種に関する最近の国際的な動向を踏まえて開催したものです。

●生態系回復のためのランドスケープアプローチの活用
(1)日時:2023年10月16日13:15~
(2)会場:国際連合ナイロビ事務局本部ビル内会議室(CR-8-CEE)
(3)主催:国連大学サステイナビリティ高等研究所、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ、日本国環境省
(4)概要:国連生態系回復の10年(2021~2030)のもと、日本の里山・里海のようなランドスケープ・シースケープで実践されてきたような、統合的なランドスケープアプローチが生態系回復にどのように貢献しているのかについて、世界各地の経験を共有し、こうしたアプローチがいかに生態系回復を加速させ、GBFの実施を支援できるかについてパネルディスカッションを行いました。
 

■ 今後の予定

 次回の第26回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA26)は、2024年5月13日から同年5月18日の日程で、国際連合ナイロビ事務局本部ビル内会議室(ケニア共和国・ナイロビ)において開催され、新枠組の実施に関する進捗を測るための指標等が引き続き議論される予定です。

【参考1】

科学技術助言補助機関(Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice: SBSTTA)
生物多様性条約第25条に基づいて設立された条約の補助機関のひとつ。条約の実施状況について科学技術的な見地から締約国会議(COP)及び他の補助機関に対して助言を行うことを任務とする。

【参考2】

環境省による「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に関するウェブサイト
https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/treaty/gbf/kmgbf.html

連絡先

環境省自然環境局自然環境計画課 生物多様性戦略推進室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8275
室長
鈴木 渉
室長補佐
浜  一朗
係長
石井 颯杜
環境省自然環境局自然環境計画課 生物多様性主流化室
直通
03-5521-9108
室長
浜島 直子
係長
松本 恵里
環境省自然環境局野生生物課 外来生物対策室
直通
03-5521-8344
室長
松本 英昭
専門官
末永 珠佑