報道発表資料
2023年08月01日
- 保健対策
令和4年度 大気中水銀バックグラウンド濃度等の モニタリング調査結果について
1.環境省では、国内の発生源による影響を直接受けにくい地点(バックグラウンド地点)である沖縄県辺戸岬及び秋田県男鹿半島において、水銀の大気中濃度等のモニタリング調査を実施しています。
2.令和4年度の調査においては、これらの地点の大気中水銀濃度等は、指針値等を十分下回っており、これまでの調査結果とも大きな乖離はありませんでした。
2.令和4年度の調査においては、これらの地点の大気中水銀濃度等は、指針値等を十分下回っており、これまでの調査結果とも大きな乖離はありませんでした。
1.調査の概要
測定は、沖縄県辺戸岬(国立研究開発法人 国立環境研究所 辺戸岬 大気・エアロゾル観測ステーション)と秋田県男鹿半島(秋田県船川測定局隣接地)で行っています。
対象物質は、大気中にガス状で存在する金属水銀、酸化態水銀、及び粒子状水銀の濃度と、降水中の総水銀濃度です。辺戸岬では、水銀の発生源・挙動等を解析するため、大気中粒子状物質中の水銀以外の金属類等(有害17成分、指標6成分)の濃度の測定も行っています。
対象物質は、大気中にガス状で存在する金属水銀、酸化態水銀、及び粒子状水銀の濃度と、降水中の総水銀濃度です。辺戸岬では、水銀の発生源・挙動等を解析するため、大気中粒子状物質中の水銀以外の金属類等(有害17成分、指標6成分)の濃度の測定も行っています。
2.測定結果の概要
(1)大気中水銀濃度
大気中の形態別水銀の合計の年平均値は辺戸岬において1.6 ng/m3、男鹿半島において1.5 ng/m3であり、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値。年平均値40 ng/m3)を十分下回る値でした。
なお、大気中の水銀は、そのほとんどが金属水銀でした。
また、辺戸岬における形態別水銀の合計の濃度及び形態別の水銀濃度の年平均値は、昨年度とおおむね同等の値で、平成25年度以降はおおむね横ばいで推移しています。
男鹿半島における形態別水銀の合計の濃度及び金属水銀、酸化態水銀、粒子状水銀の濃度の年平均値は、過年度とおおむね同等でした。
なお、大気中の水銀は、そのほとんどが金属水銀でした。
また、辺戸岬における形態別水銀の合計の濃度及び形態別の水銀濃度の年平均値は、昨年度とおおむね同等の値で、平成25年度以降はおおむね横ばいで推移しています。
表 1 辺戸岬における大気中水銀濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/m3[注1])
測定項目 | 平成 25年度 |
平成 26年度 |
平成 27年度 |
平成 28年度 |
平成 29年度 |
平成 30年度 |
平成 31年度 |
令和 2年度 |
令和 3年度 |
令和 4年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金属水銀 | 1.7 | 1.7 | 1.6 | 1.7 | 1.6 | 1.6 | 1.7 | 1.7 | 1.7 | 1.6 |
酸化態水銀 | 0.002 | 0.002 | 0.001 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.001 | 0.001 |
粒子状水銀 | 0.004 | 0.004 | 0.002 | 0.003 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.002 | 0.002 |
合計 | 1.7 | 1.7 | 1.7 | 1.7 | 1.6 | 1.6 | 1.7 | 1.7 | 1.7 | 1.6 |
男鹿半島における形態別水銀の合計の濃度及び金属水銀、酸化態水銀、粒子状水銀の濃度の年平均値は、過年度とおおむね同等でした。
表 2 男鹿半島における大気中水銀濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/m3)
測定項目 | 平成 26年度 |
平成 27年度 |
平成 28年度 |
平成 29年度 |
平成 30年度 |
平成 31年度 |
令和 2年度 |
令和 3年度 |
令和 4年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
金属水銀 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.5 | 1.6 | 1.6 | 1.5 |
酸化態水銀 | 0.002 | 0.003 | 0.002 | 0.003 | 0.003 | 0.002 | 0.003 | 0.003 | 0.003 |
粒子状水銀 | 0.009 | 0.009 | 0.011 | 0.009 | 0.008 | 0.006 | 0.012 | 0.006 | 0.007 |
合計 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.6 | 1.5 | 1.6 | 1.6 | 1.5 |
※平成26年度については、測定を開始した8月8日以降のデータを用いて平均値を算出。
(2)降水中水銀濃度
降水中の水銀濃度の年平均値は辺戸岬において5.4 ng/L、男鹿半島において6.2 ng/Lで、辺戸岬、男鹿ともに過年度の測定値の範囲内でした。
表 3 辺戸岬と男鹿半島における降水中水銀濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/L)
測定項目 | 平成 28年度 |
平成 29年度 |
平成 30年度 |
平成 31年度 |
令和 2年度 |
令和 3年度 |
令和 4年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
辺戸岬 | 6.6 | 4.8 | 3.9 | 5.6 | 5.0 | 5.3 | 5.4 |
男鹿半島 | 6.3 | 5.7 | 6.0 | 6.0 | 7.9 | 5.5 | 6.2 |
(3)大気中粒子状物質における水銀以外の金属元素の濃度
辺戸岬におけるクロム、マンガン、ニッケル、ヒ素、カドミウム及び鉛の令和4年度の年平均値はそれぞれ3.9 ng/m3、2.9 ng/m3、0.90 ng/m3、0.51 ng/m3、0.057 ng/m3及び1.4 ng/m3でした。環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針値が定められている物質については、同指針値(年平均値 マンガン140 ng/m3、ニッケル25 ng/m3、ヒ素6 ng/m3)を十分下回る値でした。
クロムについては、測定開始以来2番目に高い値になりました。
マンガンについては、平成28年度に並び、測定開始以来の最低値となりました。
ヒ素、カドミウム、鉛についてはいずれも測定開始以来2番目に低い値となりました。
ニッケルについては、過年度の測定値の範囲内でした。
[注1]水銀及びその化合物を水銀の量に換算した濃度を示す。表2及び表3も表1に同じ。
[注2]当該金属及びその化合物を当該金属の量に換算した濃度を示す。
クロムについては、測定開始以来2番目に高い値になりました。
マンガンについては、平成28年度に並び、測定開始以来の最低値となりました。
ヒ素、カドミウム、鉛についてはいずれも測定開始以来2番目に低い値となりました。
ニッケルについては、過年度の測定値の範囲内でした。
表4 辺戸岬における粒子状物質中の金属類の濃度の年度別測定結果(年平均値)
(単位:ng/m3[注2])
測定項目 | 指針値 | 平成 25年度 |
平成 26年度 |
平成 27年度 |
平成 28年度 |
平成 29年度 |
平成 30年度 |
平成 31年度 |
令和 2年度 |
令和 3年度 |
令和 4年度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
クロム (Cr) |
– | 1.2 | 1.4 | 0.69 | 0.65 | 0.91 | 1.8 | 2.1 | 4.3 | 2.5 | 3.9 |
マンガン (Mn) |
140 | 4.9 | 6.6 | 3.7 | 2.9 | 4.0 | 4.9 | 3.7 | 4.2 | 3.0 | 2.9 |
ニッケル (Ni) |
25 | 1.8 | 1.5 | 1.1 | 0.74 | 0.98 | 0.97 | 0.86 | 1.0 | 0.76 | 0.90 |
ヒ素 (As) |
6 | 0.98 | 1.1 | 0.74 | 0.73 | 0.73 | 0.70 | 0.66 | 0.61 | 0.43 | 0.51 |
カドミウム (Cd) |
– | 0.19 | 0.20 | 0.13 | 0.13 | 0.11 | 0.096 | 0.083 | 0.067 | 0.052 | 0.057 |
鉛 (Pd) |
– | 6.9 | 6.5 | 3.4 | 3.1 | 2.9 | 2.7 | 2.1 | 1.8 | 1.3 | 1.4 |
[注1]水銀及びその化合物を水銀の量に換算した濃度を示す。表2及び表3も表1に同じ。
[注2]当該金属及びその化合物を当該金属の量に換算した濃度を示す。
連絡先
環境省大臣官房環境保健部環境保健企画管理課水銀対策推進室
- 代表
- 03-3581-3351
- 直通
- 03-5521-8260
- 室長
- 森谷 直子
- 室長補佐
- 五十嵐 祐介
- 主査
- 黒田 一樹
- 担当
- 塚本 啓之