報道発表資料

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2023年07月20日
  • 地球環境

「第7回EU・中国・カナダ主催気候行動に関する閣僚会合(MOCA)」が開催されました

 2023年7月13日~14日、ベルギー王国・ブリュッセルにおいて、「第7回EU・中国・カナダ主催気候行動に関する閣僚会合(Ministerial on Climate Action:MOCA)」が開催され、国定勇人環境大臣政務官他が出席しました。

1. 会合の概要

(1) 日程・場所
    2023 年7月 13 日 ~ 14 日 ベルギー王国・ブリュッセル
(2) 主催
           ヨーロッパ連合(EU)、中華人民共和国(中国)及びカナダ
   (共同議長:フランス・ティマーマンス 欧州委員会筆頭上級副委員長、
         黄 潤秋 中国生態環境部長、
         スティーブン・ギルボー カナダ環境・気候変動大臣)
(3) 出席者
    共同議長である EU、中国及びカナダを始め、アル・ジャーベルアラブ首長国連 邦(UAE)産業・先端技術大臣兼気候変動特使兼 COP28 議長を含む 28 か
    国の閣僚 級と、サイモン・スティル国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長を含む3国際機関の代表が出席した。我が国からは、国定勇人環境大臣政
    務官他が出席した。

2. 議論の概要

 本会合は、2017年以降、主要国及び当該年の気候変動枠組条約COPの議長国の閣僚級が、COPの主要な交渉議題について議論する会議である。例年およそ30か国が参加しており、日本は第1回MOCAより毎回参加している。
 今次会合では、基調講演が行われた後、グローバル・ストックテイク、ロス&ダメージ資金、緩和行動に関する協力の強化、適応に関する行動の促進、気候資金の提供のテーマごとに、COP28に向けた論点についての議論が行われた。
 基調講演では、ジャーベルUAE産業・先端技術大臣から、COP28に向けた以下の4つの柱の説明が行われた。
  • エネルギー移行の迅速化
  • 気候資金の変革
  • 自然・人々・生命・生活を中心とする
  • 包摂性の確保
 閣僚らは、COP28に向けて、COP27決定を踏まえたロス&ダメージ資金の運用化や、温室効果ガス排出量を減少に転じるための議論の成果の取りまとめ等の様々な作業が課せられていることを認識した。これらを全て実現するためには、行動と野心向上が実施しやすくなるよう、世界経済・市場・投資の構造を改革する必要があることを認識した。
 閣僚らは、グローバル・ストックテイクが政治的機運を盛り上げるものであること、COP28の後も1.5℃目標に向けて将来の野心を高めるべきものであることを指摘した。
 閣僚らは、世界全体のエネルギー移行が重要であることを認識し、1.5℃目標を達成するため、排出削減対策の講じられていない化石燃料からの脱却や、明確な目標に基づく再生可能エネルギーの拡大や省エネの推進等について議論した。また、公正な移行に至る道筋を示すことで、誰一人取り残さないことの重要性を認識した。
 閣僚らは、ロス&ダメージの資金面の措置に関する移行委員会に対して、各国が適切な指示を行うことにより、移行委員会がCOP27決定にのっとり勧告をまとめることを支援する必要があることを認識した。
 閣僚らは、適応に関する世界全体の目標には様々な道筋があることを認識するとともに、適応策として国レベル・地域レベルで実施されている取組の進捗を踏まえた決定がCOP28でなされることの重要性を認識した。
  閣僚らは、気候行動のために数兆米ドル規模の資金フローが必要であること、そのために投資の対象を、温室効果ガスを排出する活動から再生可能エネルギーや低炭素で気候強靭な活動に切り替える重要性を認識した。
 閣僚らは、COP28だけでなく、G20を始めとした様々な国際会議において議論すべきことを認識した。
 我が国からは、国定環境大臣政務官から、グローバル・ストックテイクには、遅くとも2025年までの世界全体の温室効果ガス排出量ピークアウトへのコミットや、全ての国、とりわけ主要経済国が1.5℃目標と整合するNDCや長期目標を策定することが盛り込まれるべきであることを述べた。また、国内外の官民の資金の流れをパリ協定2条1cの目標に適合させる必要があることを述べた。ロス&ダメージについては、基金の支援対象を特に脆弱な国とし、新興国も拠出する幅広い資金源にすることや、G7気候災害対策支援事例集を通じて災害リスク削減等への支援を早急に活用すべきことを主張した。さらに、各国の事情に応じた多様な道筋の下でネットゼロという共通のゴールを目指すこと、需要側対策として日本が展開している脱炭素につながる国民運動の政策や経験を各国とも共有していきたいこと、パリ協定6条の能力構築を支援することにより民間資金の緩和策への動員を促進していくことを発信した。

連絡先

環境省 地球環境局 国際連携課 気候変動国際交渉室
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8330
室長
青竹 寛子
地球環境問題交渉官
伊藤 貴輝
担当
圓尾 明子