報道発表資料

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2023年04月04日
  • 大気環境

令和4年度アスベスト大気濃度調査結果について

1.環境省では、アスベストによる大気汚染の状況を把握し、今後のアスベスト飛散防止を検討するための基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供するため、平成17年度より大気中のアスベスト濃度を調査しています。

2.令和4年度は全国40地点で調査しました。
 一部の解体現場等において1本/Lを超えるアスベスト繊維数濃度が確認されましたので、当該地点を所管する地方公共団体が指導等を行いました。

3.令和5年度も継続して大気中のアスベスト濃度調査を行うこととしています。

令和4年度アスベスト大気濃度調査結果について

1 調査目的

 本調査は、平成17年12月27日付け「アスベスト問題に係る総合対策」(「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」決定)に基づき、アスベストによる大気汚染の状況を把握し、今後のアスベスト飛散防止対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供するために平成17年度より毎年度実施しているものです。

2 調査地点・調査方法

(1)調査地点

 調査地点は、環境省が平成17年度から継続して調査を実施している34地点及び令和4年度に地方公共団体から推薦のあった解体現場等6地点の合計40地点です。
表1 調査地点の内訳
調査区分 調査時期 調査地点 発生源周辺地域調査地点内訳 バックグラウンド地域調査地点内訳 解体現場 その他地域
  調査箇所 旧石綿製品製造事業場等 廃棄物処分場等 蛇紋岩地域 高速道路及び幹線道路沿線 住宅地域 商工業地域 農業地域 内陸山間地域 離島地域 破砕施設
継続調査地域 第1期調査:
令和4年10月~11月
第2期調査:
令和4年11月~令和5年2月
34 73 1 3 3 6 7 5 1 4 4
令和4年度調査地域 年1回 6 33 5 1

(2)調査方法

 試料の採取及び分析は、「アスベストモニタリングマニュアル(第4.2版)」(令和4年3月 環境省水・大気環境局大気環境課)に基づいて行いました。
 採取した試料については、位相差顕微鏡を用いて試料中のアスベスト及びその他繊維を含む総繊維数濃度を測定し、総繊維数濃度が1本/Lを超過した場合は、分析走査電子顕微鏡法(A-SEM)でアスベスト繊維数濃度を測定しました。

3 調査結果の概要

(1)位相差顕微鏡法による地域分類別の総繊維数濃度結果

 発生源周辺地域、バックグラウンド地域、解体現場(施工区域周辺)及びその他の地域(破砕施設)において、総繊維数濃度の幾何平均値は1本/Lを超過しませんでした(表2参照)。
 なお、解体現場においては、飛散・漏えい確認のため、集じん排気装置出口等においても調査を行ったため、併せて、その結果も参考として示しています。
表2 位相差顕微鏡法における地域分類別の総繊維数濃度結果
地域分類 地点数 測定箇所数 測定データ数 総繊維数濃度
最小値(本/L)
(3日間の幾何平均)
最大値(本/L)
(3日間の幾何平均)
幾何平均値
(本/L)
発生源周辺地域 旧石綿製品製造事業場等 1 8 8 <0.056 0.21 0.1
廃棄物処分場等 3 6 12 0.095 0.41 0.24
蛇紋岩地域 3 6 12 0.056 0.47 0.14
高速道路及び幹線道路沿線 6 12 24 <0.056 0.36 0.13
バックグラウンド地域 住宅地域 7 13 26 <0.056 0.39 0.15
商工業地域 5 10 20 <0.056 0.32 0.12
農業地域 1 2 4 0.1 0.79 0.35
内陸山間地域 4 7 14 0.087 0.79 0.28
離島地域 4 8 16 0.056 0.62 0.19
解体現場(施工区域周辺) 5 20 20 <0.11 0.68 0.23
その他の地域 破砕施設 1 5 5 0.07 1.9 0.37
合計 40 97 161 - - -
 
(参考)解体現場の集じん排気装置出口等における調査結果 地点数 測定箇所数 測定データ数 総繊維数濃度
最小値(本/L) 最大値(本/L) 幾何平均値(本/L)
解体現場(セキュリティゾーン出入口) 3 3 3 0.9 68 4.7
解体現場(集じん排気装置出口) 3 3 3 0.11 0.45 0.25
解体現場(発生源近傍) 2 2 2 1 12 3.5
合計 8 8 - - -
注1)検出下限値は0.056本/L(ただし、解体現場の検出下限値は0.11本/L)
注2)施工区域周辺とは、解体現場等の直近で一般の人の通行等がある場所との境界
注3)解体現場以外の地域については、各測定箇所で3日間(4時間×3回)総繊維数濃度を測定しました。また、得られた個々の測定値を幾何平均した値を示しています。

(2)A-SEMによるアスベスト繊維濃度結果

 総繊維濃度数が1本/Lを超過した15試料について、A-SEMによりアスベスト繊維数濃度を測定しました。
 その結果、アスベスト繊維数濃度が1本/Lを超過した試料は、「解体現場(セキュリティゾーン出入口)」の1試料のみでした(詳細、表3参照)。

※近年のモニタリング結果で一般大気環境中の総繊維数濃度が概ね1本/L以下であることから、飛散・漏えい確認の観点からの目安をアスベスト繊維数濃度1本/Lとしています。
 
表3 総繊維数濃度が1本/Lを超過した試料のA-SEM測定結果
都道府県名 地域分類 PCM法 分析走査電子顕微鏡法(長さ5μm以上、幅0.2μm以上)
総繊維数濃度(本/L) 繊維数割合(%) 石綿濃度(本/L)
クリソタイル クロシドライト アモサイト その他石綿繊維 その他の繊維
新潟県 解体現場(作業場近傍) 1 0 0 0 0 100 ND
新潟県 解体現場(セキュリティゾーン出入口) 1.7 0 0 0 0 100 ND
千葉県 解体現場(セキュリティゾーン出入口) 68 1 29.7 25.2 0 44.1 38
北海道 解体現場(作業場近傍) 12 0 0 0 0 100 ND
熊本県 破砕施設 1.4 0 0 0 19.2 80.8 0.2
熊本県 破砕施設 1.3 0 0 0 8.7 91.3 <0.2
熊本県 破砕施設 3.6 0 0 0 13.1 86.9 0.4
熊本県 破砕施設 1.7 0 0 0 13 87 0.2
熊本県 破砕施設 1.3 0 0 0 14.8 85.2 <0.2
熊本県 破砕施設 3.5 0 0 0 12 88 0.4
宮城県 内陸山間地域 1.4 0 0 0 0 100 ND
福岡県 農業地域 2.1 0 0 0 0 100 ND
佐賀県 離島地域 1.1 0 0 0 0 100 ND
長崎県 離島地域 1.7 0 0 0 0 100 ND
長崎県 離島地域 1.4 0 0 0 0 100 ND

4 調査結果を踏まえた対応

 3(2)においてアスベスト繊維数濃度が1本/Lを超過した「解体現場(セキュリティゾーン出入口)」に係る対応は以下のとおりです。
 アスベスト繊維が確認された原因として、チャック付きとなっているセキュリティゾーン出入口の扉部分が、試料採取時は終始閉じられた状態であったため、試料採取箇所であるセキュリティゾーン第1室上部の空気が置換されにくい状態にあったことが考えられます。
 このことから、調査地点を所管する地方公共団体に調査結果を提供し、地方公共団体が事業者に対して調査結果の提供と指導を行っています。
 なお、当該負圧隔離養生内は、差圧計により負圧状態であったことを確認しており、「セキュリティゾーン出入口」より外への漏えいはないものと推察されます。


環境省では、引き続きアスベストによる大気汚染の状況を把握するため、令和5年度も大気中のアスベスト濃度調査を行います。

連絡先

環境省水・大気環境局大気環境課
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8293
課長
太田 志津子
課長補佐
児玉 康宏
課長補佐
桑原 厚