報道発表資料

この記事を印刷
2023年03月08日
  • 自然環境

遺伝子組換えメダカの未承認使用の確認について

<文部科学省同時発表>

 環境省は、警視庁からの情報提供を受け、研究用に開発された遺伝子組換えミナミメダカが「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づく承認を得ずに、国内で飼育・譲渡等されていたことについて、本日、正式に確認しました。
 本件を受け、環境省は、再発防止のため、自治体の関連部局及び関連業界団体に対して同法の周知を改めて依頼し、未承認の飼育・譲渡等を行った者に対しては、文書による指導を行う予定ですのでお知らせします。

飼育・譲渡が確認された遺伝子組換えミナミメダカについて

 研究用に国内の大学で作出された、イソギンチャクモドキに由来する遺伝子が導入されたミナミメダカであり、ピンク色に蛍光発色します(参考写真)。

国内における規制の状況

 遺伝子組換え生物の国境を越える移動を規制したカルタヘナ議定書の国内担保法として「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(平成15年法律第97号。以下「カルタヘナ法」という。)が平成16年2月から施行されています。同法では、環境中で使用(飼育、譲渡等)される可能性がある遺伝子組換え生物については、その使用に際し生物多様性への影響について評価し、主務大臣の承認を得なければならないとされています。
 なお、ミナミメダカを含む魚類の遺伝子組換え生物については、大学等において拡散防止措置を執って使用することは認められていますが、拡散防止措置が執られていない野外や民家等開放系での使用の承認事例はありません。

今回の経緯

  • 昨年3月、都内で開催されたイベントにおいて遺伝子組換えの疑いのあるメダカ(以下「疑いメダカ」という。)が販売されていた旨、環境省に通報がありました。
  • 警視庁にも同様の通報があり、昨年6月から10月にかけて、警視庁の捜査に同席し、疑いメダカの飼育状況や譲渡の状況等を確認するとともに、複数の使用者に対して口頭での指導を行いました。
  • 昨年12月、疑いメダカは、元々国内の大学で研究用に飼育していた遺伝子組換えミナミメダカが持ち出され、個人間で譲渡されたものであることがわかりました。
  • 本日、疑いメダカを使用していた者のカルタヘナ法違反による検挙について、警視庁から環境省に情報提供がありました(参考資料)。
  • 以上を踏まえ、今般、再発防止のため、自治体の関連部局及び関連業界団体等に対するカルタヘナ法の周知依頼を行いました。また、当該メダカの使用者に対して、同法に基づく文書での指導を予定しています。

協力の依頼

 当該遺伝子組換えミナミメダカは、観賞魚として水槽で飼育されている可能性が高いものの、野外に放出された場合の生物多様性への影響に関しては評価が行われていません。遺伝子組換えが疑われるメダカを飼育されている方は、絶対に河川等に放すことなく、まずは、お近くの環境省地方環境事務所まで御相談いただきますよう、お願いいたします。
 https://www.env.go.jp/nature/intro/reo.html

その他

 遺伝子組換えミナミメダカの持ち出しについては、文部科学省から当該メダカを飼育・管理していた大学に対して厳重注意を行っています。詳細は文部科学省からの報道発表を御参照ください。また、当該事案については、本日、警視庁が記者会見を実施しています。

 <文部科学省からの報道発表>
  https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/mext_01197.html