報道発表資料

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2022年11月15日
  • 自然環境

ラムサール条約第14回締約国会議(COP14)の結果概要について

 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(通称 ラムサール条約)第14回締約国会議(COP14)が、2022年11月5日から11月13日まで、武漢(中国)及びジュネーブ(スイス)で開催されました。
 本会議では、条約実施の進捗等について事務局から報告が行われたほか、ラムサール条約第4次戦略計画の見直しを含む合計21本の決議が採択されました。
 また、期間中に新潟県新潟市及び鹿児島県出水(いずみ)市の「ラムサール条約湿地自治体認証制度」に基づく認証式と、呉地(くれち)正行(まさゆき)氏(NPO法人ラムサール・ネットワーク日本理事、日本(がん)を保護する会会長)のラムサール賞ワイズユース(湿地の賢明な利用)部門の表彰式が開催されました。

■第14回締約国会議(COP14)の結果概要

 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(通称 ラムサール条約)の第14回締約国会議(COP14)が、以下のとおり開催されました。
 また、会議2日目には、本会議の議長国を務める中華人民共和国政府(以下、「中国」という。)主催による閣僚級会合が武漢で開催され、締約国会議として交渉・合意した成果文書ではありませんが、議長国である中国主導の成果文書である武漢宣言が発出されました。
(1)期日・形式
  2022年11月5日~同年11月13日
  対面(スイス・ジュネーブ)とオンライン(開会セッション及び閣僚級会合のみ中国・武漢)の併用で開催。
(2)会場
  中国・武漢      ELICC東湖国際会議場
  スイス・ジュネーブ  CICG国際会議センター
(3)参加者
  172カ国の締約国及びオブザーバー。我が国からは、政府代表団(環境省及び外務省) のほか、関係地方公共団体、NGO等のオブザーバーが参加しました。
(4)テーマ
  "Wetlands Action for People and Nature"(人と自然のための湿地行動)
(5)会議の概要
  ア. 議長国である中国及びムソンダ・ムンバ条約事務局長等が冒頭に挨拶をしました。この中で、中国は、湿地保全のための世界規模での取組推進の必要
   性を指摘し、条約事務局長は、湿地の保全と再生はパリ協定の目標やSDGsの達成に貢献するものであり、気候変動枠組条約や生物多様性条約等へ重要な
   情報を提供すると述べました。 

  イ. 全体会合では、条約事務局より条約の履行状況の概要報告があったほか、常設委員会、財政小委員会及び科学技術検討委員会より前回締約国会議以降の
   活動についての報告がありました。

  ウ. 全体会合やコンタクト・グループ等での審議の上、ラムサール条約第4次戦略計画の見直しを含む合計21本の決議が採択されました。採択された主な決
   議は次のとおりです。
   ○ラムサール条約第4次戦略計画の見直し及びCOP14からCOP15の期間における追加事項と枠組に関する決議:
    現行のラムサール条約戦略計画2016ー2024の連続性を保つため、残りの期間における計画の修正は最小限にとどめる一方で、新たな課題等に対応するテ
   ーマ別附属書の追加が決まりました。具体的には、ポスト2020生物多様性枠組が採択された際に更新するとともに、新たに(1)SDGsの達成につながる
   湿地活動、(2)CEPA(Communication, Capacity building, Education, Participation and Awareness;交流、能力養成、教育、参加、普及啓発)の新し
   いアプローチ、(3)ジェンダーに配慮した湿地政策、に関する附属書を追加することとしています。
   ○ユースを通じたラムサール・コネクションの強化に関する決議
    湿地の消失を止め、再生していくためには、新しい世代(ユース)の専門家、学識者、活動家等を含む幅広い主体の関与が必要となるため、国の担当窓
   口の任命を含めユースの関与を強化するものです。
   ○ラムサール条約基準6に基づく新規及び既存のラムサール条約登録地指定を支援するための水鳥の個体数推定 - 代替推定値の活用に関する決議:
    条約湿地の登録基準6(1種/亜種の水鳥の個体群の1%を定期的に支える湿地) の「1%基準」の計算に適用される水鳥個体数推定値(Waterbird
    population Estimate;WPE)は2012年以来更新されていないため、最新の推定個体数に更新されるまでの間、本決議が定める条件を満たす適切な情報源
   をWPEに代替して適用することを可能とするものです。
 
   エ.次回締約国会議(COP15)について、ジンバブエ共和国政府より開催の意思が示されました。

■ ラムサール条約湿地自治体認証制度に基づく認証式

 会期中の11月10日(木)に、ラムサール条約湿地自治体認証制度に基づく新規認証都市への認証式が開催され、我が国からは新潟市(新潟県)及び出水市(鹿児島県)が新たに認証されました。式典には、新潟市の中原八一市長及び出水市の吉田定男副市長が出席し、ムソンダ・ムンバ条約事務局長より認定証が授与されました。また、同認証を受けた両自治体から、条約湿地における取組内容と今後の抱負についてサイドイベントで発表がありました。

■ 呉地正行氏のラムサール賞受賞

 会期中の11月7日(月)に、ラムサール賞授賞式が開催され、呉地正行氏(NPO法人ラムサール・ネットワーク日本理事、日本()を保護する会会長)が同賞のワイズユース(湿地の賢明な利用)部門を受賞されました。呉地氏の保全活動に関するショートムービーが上映されるとともに、受賞に当たって抱負を述べられました。

■ その他

 環境省は、スイス・ジュネーブ会場において2つのサイドイベントを開催しました。ラムサール条約湿地自治体認証を受けた新潟市及び出水市並びにラムサール賞を受賞された呉地氏の取組を紹介し、また、農林水産省やラムサール・ネットワーク日本、渡良瀬遊水地保全・利活用協議会とともに水田の生物多様性保全の取組等の発表を行いました。
 また、会場内の展示ブースにおいて、日本のラムサール条約湿地の紹介を行いました。

連絡先

環境省自然環境局野生生物課
代表
03-3581ー3351
直通
03-5521ー8284
課長
中澤 圭一
課長補佐
守分 紀子
専門官
酒井 郁
担当
池田 厚志