報道発表資料

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2022年11月08日
  • 自然環境

日豪中韓渡り鳥等保護協定等会議の結果概要について

 第20回日豪渡り鳥等保護協定会議、第18回日中渡り鳥等保護協定会議及び第15回日韓渡り鳥保護協力会合が、令和4年10月31日(月)~同年11月2日(水)にオンライン形式で開催されました。
 各国における渡り鳥等の保全施策及び調査研究に関する情報共有のほか、日豪、日中、日韓での今後の協力のあり方に関する意見交換を行い、2024年に開催予定の次回会議までに取り組む事項を確認しました。

■ 会議の経緯について

 我が国は、日豪渡り鳥等保護協定に基づく日豪渡り鳥等保護協定会議(注1)、日中渡り鳥等保護協定に基づく日中渡り鳥等保護協定会議(注1)、日韓環境保護協力協定に基づく日韓渡り鳥保護協力会合(注2)及び4カ国全体会合をおおむね2年ごとに開催しています。
 これらの会議において、渡り鳥や絶滅のおそれがある鳥類とその生息環境を保護するため、各国における関連事項の最新情報を共有するとともに、二国間で実施されている共同研究等について議論を進めてきました。
 平成30年11月以降、新型コロナウイルス感染症の影響により延期となっていましたが、このたび約4年ぶりにオンライン形式で開催されました。

■  開催日程

令和4年10月31日(月) 日豪中韓4カ国全体会合
    11月 1日(火) 第20回日豪渡り鳥等保護協定会議(午前)       
                                  第18回日中渡り鳥等保護協定会議(午後)
    11月 2日(水) 第15回日韓渡り鳥保護協力会合(午前)

■  開催方法

 オンライン形式

■  各会議の概要

(1)日豪中韓4カ国全体会合
  各国から、前回会議以降に講じた渡り鳥保全施策や、渡り鳥に関する新たな調査研究結果が報告されました。また、各国のモニタリング調査の実施方法、渡
 り鳥の保全状況の情報共有や保全活動の紹介などがなされました。

(2)第20回日豪渡り鳥等保護協定会議
  ○前回会議以降の渡り鳥保護の取組
   日本から、鳥類にかかる国内希少野生動植物種の新規指定及び指定の解除について報告を行いました。豪州から、希少鳥類の指定やレビューの状況につい
  て報告がありました。
  ○共同作業計画について
   減少が確認されているシギ・チドリ類について、日豪両国よりモニタリング結果や個体数変化の要因等について情報交換を行いました。また、人工的な休
  憩地創出に関するガイドラインの邦訳を協力して進めることに合意しました。
   日本からベニアジサシ・エリグロアジサシの繁殖状況について共有し、今後も情報交換を継続することを確認しました。
  ○その他
   豪州より、ラムサール条約第14回締約国会議(2022年11月、中国・武漢及びスイス・ジュネーブ)及び東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パー
  トナーシップ第11回パートナー会議(2023年3月、豪州・ブリスベン)における関心事項について説明がありました。
   豪州で減少が懸念されているハリオアマツバメについて、日本から国内の生息状況について共有し、今後も情報交換を継続することを確認しました。    次回会議はおおむね2年後に中国で開催することを合意しました。

(3)第18回日中渡り鳥等保護協定会議
  ○前回会議以降の渡り鳥保全の取組
    日本から、鳥類にかかる国内希少野生動植物種の新規指定及び指定の解除について報告しました。中国から、国家重点野生動物保護目録の改訂等につい
  て報告がありました。
  ○共同研究及びプロジェクト
    絶滅危惧種のズグロカモメについて、日中両国よりモニタリング調査や追跡調査の結果を共有するとともに、本会議後に開催する日中韓ズグロカモメワ
  ークショップにおいて、専門家間で今後の協力の方向性について詳しく議論することを確認しました。
   また、陸生鳥類モニタリングスキームについて、これまでの経緯や今後の計画について国際コーディネーターから説明し、中国から最新のモニタリング調
  査結果について報告がありました。本会議後に開催する陸生鳥類モニタリングワークショップにおいて、専門家間で今後の活動の方向性について詳しく議論
  することを確認しました。
  ○その他
   ツル類の生息状況、鳥インフルエンザの発生状況や野鳥のサーベイランス調査等について、日中両国から報告し、情報交換を行いました。
   次回会議はおおむね2年後に中国で開催することを合意しました。

(4)第15回日韓渡り鳥保護協力会合
  ○前回会議以降の渡り鳥保全の取組
   韓国から、各種群に関する最近の調査研究及び保全の取組について報告がありました。
   日本から、鳥類にかかる国内希少野生動植物種の新規指定及び指定の解除、さらには国内のラムサール条約湿地の新規登録や東アジア・オーストラリア地
  域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク参加地について報告しました。
  ○共同研究及びプロジェクト
   絶滅危惧種のズグロカモメについて、日韓両国よりモニタリング調査や追跡調査結果を共有するとともに、本会議後に開催する日中韓ズグロカモメワーク
  ショップにおいて、専門家間で今後の協力の方向性について詳しく議論することを確認しました。
   また、陸生鳥類モニタリングスキームについて、これまでの経緯や今後の計画について国際コーディネーターから説明し、韓国におけるモニタリング調査
  の最新結果について報告がありました。本会議後に開催する陸生鳥類モニタリングワークショップにおいて、専門家間で今後の活動の方向性について詳しく
  議論することを確認しました。
   減少が確認されているシギ・チドリ類について、日本からモニタリング結果について報告を行うとともに、シギ・チドリ類を含む水鳥の個体数データの共
  有について提案しました。
  ○その他
   ツル類の越冬状況や保全の取組、鳥インフルエンザの発生状況や野鳥のサーベイランス調査等について、日韓両国から報告し、情報交換を行いました。鳥
  インフルエンザについては、連絡窓口を設定して迅速な情報交換を図ることを確認したほか、韓国からワークショップ開催について提案がありました。
   また、日韓渡り鳥保護協定の署名に向けた両国の調整状況について確認しました。
   次回会議はおおむね2年後に中国で開催することを合意しました。

 (注1)日本とオーストラリア、日本と中国の間には下記の協定が締結されています。
  〇日豪渡り鳥等保護協定(正式名称は「渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境の保護に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協
  定」:昭和56年4月30日発効)
  〇日中渡り鳥等保護協定(正式名称は「渡り鳥及びその生息環境の保護に関する日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定」:昭和56年6月8日発効)

 (注2)正式名称は「環境の保護の分野における協力に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定」(平成5年6月29日発効)。環境保護の分野で両国の
  協力を強化することを目的として協定が締結されている。渡り鳥の保全に関しては、渡り鳥保護に関する情報交換や、渡り鳥の生息地・移動状況の共同調査
  等の規定が盛り込まれている。

連絡先

環境省自然環境局野生生物課
代表
03-3581-3351
直通
03-5521-8284
課長
中澤 圭一
課長補佐
守分 紀子
専門官
酒井 郁
担当
池田 厚志