報道発表資料

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2022年08月09日
  • 地球環境

令和4年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の第二次採択案件の決定について

  1.  令和4年8月9日(火)、令和4年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の第二次採択案件として、令和4年7月1日に公表した第一次採択案件の16件に加え、今般、新たに4件を選定しました。これまでに本事業により採択した案件による2030年までの累積温室効果ガス(GHG)削減量は、約1,933万トンを見込んでいます。
  2. 引き続き、第三次採択に向けて案件を募集(募集期間は令和4年11月30 日(水)正午まで)しています
  3. 今後も、「地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定)」等に基づき、「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism:JCM)」を通じた環境インフラの海外展開を一層強力に促進していきます。 

1.事業内容

 本事業は、優れた脱炭素技術等を活用し、途上国等における温室効果ガス(GHG)排出量を削減する事業を実施し、測定・報告・検証(MRV)を行っていただく事業に対して、初期投資費用の1/2を上限として補助を行います。
 途上国等における温室効果ガス(GHG)の排出を削減するとともに、JCMを通じて我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成に活用することを目的とします。また、「地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定)」、「環境省 COP26後の6条実施方針(令和3年11月環境省発表)」、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ(令和4年6月閣議決定)」等に沿って、相手国のニーズを深く理解した上で先進的な脱炭素技術等を普及・展開することにより、世界の脱炭素化に貢献することが期待されています。

2. 採択した案件の概要

「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の執行団体である(公財)地球環境センター(GEC)が令和4年4月6日(水)~同年11月30日(水)正午まで日本の民間企業等を対象に公募を行っています。

この度、書面審査、ヒアリングによる二次審査及びその結果を踏まえた採否審査を実施し、下記のとおり、7月1日に公表した第一次採択案件の16件に加え、4件を第二次採択分として選定しました。
今後、交付決定の手続等を進め、JCMの実施に向けた手続きを進めていきます。
 
<第二次採択分の選定事業>
 
No. パートナー国 プロジェクト名 代表事業者 想定GHG削減量(tCO2/年)
17 インドネシア 車両・エンジン工場への5MW太陽光発電システムの導入 トヨタ自動車株式会社 3,788
18 チリ マウレ州及びニュブレ州の農地を活用した6MW太陽光発電プロジェクト ファームランド株式会社 4,400
19 タイ 果物加工品工場における有機廃水から生成するバイオガスとバイオマスの混焼による熱供給及びメタン回避事業 株式会社ドール 43,343
20 タイ プラスチック容器工場及び化粧品工場への1.6MW太陽光発電システムの導入(JCM エコリース事業) 東京センチュリー株式会社 595

【参考1】令和4年度の本事業第一次採択案件(令和4年7月1日報道発表)

https://www.env.go.jp/press/press_00054.html
 
No. パートナー国 プロジェクト名 代表事業者 想定GHG削減量(tCO2/年)
1 ケニア 食品加工施設への3.1MW屋根置き太陽光発電システムの導入 株式会社AAIC Japan 2,454  
2 ケニア 養鶏場・食肉加工施設・バッテリー工場への2.3MW屋根置き太陽光発電システムの導入 株式会社AAIC Japan 1,735
3 ベトナム ハウジャン省における20MWバイオマス発電事業 イーレックス株式会社 36,814
4 ベトナム ビントゥアン省における16MW小水力発電プロジェクト 株式会社兼松KGK 16,910
5 ベトナム 自動車部品工場及び衣料品製造工場への7.9MW屋根置き太陽光発電システム導入による電力供給事業 関西電力株式会社 2,634
6 ベトナム アルミホイール製造工場への0.4MW屋根置き太陽光発電システムの導入(JCMエコリース事業) 三井住友トラスト・パナソニック ファイナンス株式会社 156
7 インドネシア 化学工場への高効率貫流ボイラの導入 DIC株式会社 1,652
8 タイ タイヤ工場へのガスコージェネレーションシステム及び22MW屋根置き太陽光発電システムの導入 関西電力株式会社 31,652
9 タイ 板ガラス製造工場へのORC廃熱回収発電設備の導入 AGC株式会社 7,845
10 タイ 部品工場及び工具製造工場への4.3MW屋根置き太陽光発電システムの導入による電力供給事業 関西電力株式会社 1,926
11 タイ 金属加工工場及び冷凍倉庫への2.9MW屋根置き太陽光発電システムの導入による電力供給事業 大阪ガス株式会社 1,150
12 タイ 金属リサイクル・自動車部品工場への1MW屋根置き太陽光発電システム導入による電力供給事業 丸紅株式会社 403
13 フィリピン マハナグドン地熱発電所における28MWバイナリー発電プロジェクト 日揮グローバル株式会社 76,220
14 フィリピン ミンダナオ島シギル川における14.5MW小水力発電プロジェクト 豊田通商株式会社 47,349
15 フィリピン 窯業・セメント工場への9MW太陽光発電システムの導入による電力供給事業 丸紅株式会社 5,957
16 フィリピン アルミニウム製品・包装資材・車両部品工場への0.8MW太陽光発電システムの導入(JCMエコリース事業) 東京センチュリー株式会社 544

【参考2】地球温暖化対策計画(令和3年10月閣議決定)におけるJCM)の位置付け

 途上国等への優れた脱炭素技術、製品、システム、サービス、インフラの普及や対策実施を通じ、実現したGHG排出削減・吸収への我が国の貢献を定量的に評価するとともに、我が国のNDCの達成に活用するため、JCMを構築・実施していく。これにより、官民連携で2030年度までの累積で、1億t-CO2程度の国際的な排出削減・吸収量の確保を目標とする。
 現時点のパートナー国は、モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア、メキシコ、サウジアラビア、チリ、ミャンマー、タイ及びフィリピンの17か国。
 

【参考3】環境省 COP26後の6条実施方針(令和3年11月発表)

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、パリ協定6条(市場メカニズム)ルールの大枠が合意された。市場メカニズムを活用した世界での排出削減が進展することが期待される。6条ルール交渉をリードし、世界に先駆けてJCMを実施してきた我が国として、以下3つのアクションを通じて、世界の脱炭素化に貢献する。
<3つのアクション>
1.  JCMのパートナー国の拡大と、国際機関と連携した案件形成・実施の強化
2.  民間資金を中心としたJCMの拡大
3.  市場メカニズムの世界的拡大への貢献
 
 ● 参考サイト
https://www.env.go.jp/annai/kaiken/files/r04/cop26%206jou.pdf 

【参考4】新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画・フォローアップ(令和4年6月閣議決定)(抄)

JCMの拡大のため、2025年を目途にパートナー国を30か国程度とすることを目指し、関係国との協議を加速するとともに、2022年度に民間資金を中心とするJCMプロジェクトの組成ガイダンスを策定し普及を行う。
 
 ● フォローアップ(令和4年6月閣議決定)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/fu2022.pdf