報道発表資料
環境庁では、学識経験者からなる「自動車排出ガス低減効果評価検討会」を設置し、9月12日に第1回検討会を開催する。同検討会では、より効果的な自動車排出ガス低減対策に資するため、大気汚染物質について、物質間の複雑な相互反応作用を含んだ生成メカニズムの解明と、これを踏まえた自動車排出ガス低減対策による環境改善効果についての分析、検討を行うこととしており、年内に中間的な検討結果等のとりまとめを行うこととしている。
1.背景及び目的我が国においては、大都市を中心として、二酸化窒素、光化学オキシダント等の大気汚染が依然として厳しい状況にある。このような状況を踏まえ、平成8年5月には、環境庁長官が、今後の自動車排出ガスの低減対策のあり方について中央環境審議会に諮問を行い、現在、同審議会大気部会において審議が進められているところである。
自動車排出ガス対策については、これまで、個々の大気汚染物質に着目して低減対策を進めてきたところであるが、より効果的な低減のためには、物質間の複雑な相互反応作用を含んだ生成メカニズムの解明と、これを踏まえた自動車排出ガス低減対策による環境改善効果についての分析及び検討が必要である。
このため、環境庁では、今般、学識経験者からなる「自動車排出ガス低減効果評価検討会」を設置し、9月12日に第1回検討会を開催することとした。
2.検討内容
同検討会では、大気常時監視データの解析、大気モデルでのシミュレーションや文献調査により、二酸化窒素、光化学オキシダント等の大気汚染物質について、物質間の複雑な相互反応作用を含んだ生成メカニズムを明らかにするとともに、自動車排出ガス低減対策による環境改善効果の分析及び検討を行い、中央環境審議会における審議に資する。
3.当面のスケジュール(予定)
標記検討会を年内に2回程度開催し、中間的な検討結果及び今後の方針をとりまとめ ることとする。
4.自動車排出ガス低減効果評価検討会 委員名簿(五十音順、敬称略)
※ ○は座長
いぶすき たかし 指 宿 堯 嗣 |
工業技術院資源環境技術総合研究所 大気圏環境保全部長 |
きむら ふじお 木 村 富士男 |
筑波大学地球科学系教授 |
さかまき しろう 酒 巻 史 郎 |
国立環境研究所大気圏環境部 大気反応研究室主任研究員 |
さかもとかずひこ 坂 本 和 彦 |
埼玉大学大学院理工学研究科教授 |
わかまつ しんじ 若 松 伸 司 |
国立環境研究所地域環境研究グループ 都市大気保全研究チーム総合研究官 |
わしだ ぶあき ○鷲 田 伸 明 |
国立環境研究所大気圏環境部長 |
(参 考)
1.大気常時監視データ解析について
我が国においては、大気汚染防止法に基づき、都道府県及び大気汚染防止法上の政令市により、全国2,131の測定局(平成7年度末現在)において、二酸化窒素、光化学オキシダント、浮遊粒子状物質、非メタン炭化水素等の大気汚染物質の常時監視が行われている。
このデータを用いて、大気汚染物質の汚染状況の経年変化、高濃度汚染地域の分布の変化、大気汚染の形態の変化等について解析を行う。
2.大気モデルによるシミュレーションについて
大気汚染物質の生成には、気象と化学反応が同時に影響を及ぼすため、3次元的な解析が必要であり、また、大気汚染の影響は複合的であることから、複数の大気汚染物質の動態を同時に評価することが求められる。このような複雑な大気汚染の発生機構を解明することや、大気汚染物質の発生源と大気環境濃度との因果関係を定量的に把握することは、大気汚染対策を進める上で重要であり、このために大気モデルが利用されている。都市域の大気汚染に使用される大気モデルは、{1}気温、風向風速等のデータからなる気象モデル、{2}大気汚染物質排出量の推計を行う発生源モデル、{3}汚染物質の物理・化学反応を表す拡散・反応モデルから構成される。
- 連絡先
- 環境庁大気保全局自動車環境対策第二課
課長 三宅 哲志(6550)
担当 野津 真生(6552)
担当 竹本 明生(6553)