環境庁は、1988年からシギ・チドリ類の全国の主な渡来地において観察調査を継続的に行ってきたところであるが、今般1996年までの調査結果をとりまとめ、シギ・チドリ類の観察数が一定基準以上の調査地点を抽出して「シギ・チドリ類渡来湿地目録」を作成した。
この作業過程において、シギ・チドリ類の渡来数が多い、あるいは渡来種数が多いという観点から重要性の高い地域(別紙2;13地域)が明らかになった。
今後、主な渡来湿地について、継続的にシギ・チドリ類の調査を行うとともに、シギ・チドリ類の渡来地として重要な地域の保全に関して、関係都道県と環境庁において「シギ・チドリ類重要渡来地域行政連絡会議」を設ける予定。
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シギ・チドリ類渡来湿地目録の作成について
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経緯
環境庁では、シギ・チドリ類の主な渡来湿地において、(財)日本鳥類保護連盟に委託して1988年から原則として春と秋に渡来状況の観察調査を行ってきている。継続的に実施している調査であるが、調査データの蓄積が進んできたこと、「東アジア~オーストラリア地域におけるシギ・チドリ類に関する湿地ネットワーク」が構築され、シギ・チドリ類の渡来地としての湿地保全の取組が進められる中、湿地ネットワークへの参加促進のための資料を提供する必要があること等により、今般、1988年~1996年までのデータを基に、渡来湿地目録をとりまとめたもの。
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シギ・チドリ類渡来湿地目録作成の考え方
環境庁が調査を行ってきたシギ・チドリ類の渡来地のうち、主な渡来地として「東アジア~オーストラリア地域におけるシギ・チドリ類に関する湿地ネットワーク」への参加基準である次の基準を満たしていると考えられる湿地73箇所を抽出して目録を作成した。(別紙1)
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定期的に20,000羽を超える渡り性シギ・チドリ類が利用している。 |
{2} |
定期的に特定の種(または亜種)の推定個体数の1%を超えるシギ・チドリ類が利用している。
ただし、渡りの中継地の場合には、移動に伴う出入りのため、そこを利用しているシギ・チドリ類の絶対数は、ある一時点のカウントでは把握しきれないため、この基準を中継地に適用する際には、一度のカウントで得られた数値を4倍した数が基準を満たしているかどうかで判断する。従って5,000羽を超えるシギ・チドリ類に利用されている、又は推定個体数の0.25%にあたる特定のシギ・チドリの種に利用されていれば、基準を満たしていることとなる。 |
{3} |
絶滅のおそれのある種(亜種・地域個体群)に属する渡り性のシギ・チドリ類がある程度利用している。
なお、日本で観察できるシギ・チドリ類の推定個体数とその1%の数値基準は別表のとおり。
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シギ・チドリ類重要渡来地域
上記の目録の作成過程を通じて、渡来数が多い、渡来種数が多いという観点から例えば次のいずれかに該当する湿地を1箇所あるいは複数箇所含むシギ・チドリ類の重要な渡来地域は我が国でも限られた地域(13地域)であることがわかった(別紙2)。
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5,000羽を超える渡り性シギ・チドリ類が利用している渡来湿地を含む地域 |
{2} |
推定個体数の1%を超える数の利用がみられる種(または亜種)が2種以上ある渡来湿地を含む地域 |
{3} |
推定個体数の0.25%を超える数の利用がみられる種(または亜種)が3種以上ある渡来湿地を含む地域
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2 |
今後の取り組み
「シギ・チドリ類渡来湿地目録」については、関係団体の調査結果、継続的な定点調査の結果等により、今後細かな改訂を行っていく必要がある。
「シギ・チドリ重要渡来地域」については、地域全体で保全について検討する必要があるため、今後、関係する18都道県と環境庁において、「シギ・チドリ類重要渡来地域行政連絡会議」を設け、
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各地域の重要性についての普及啓発の促進 |
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各地域のシギ・チドリ類の渡来状況に関する調査研究・情報交換等の促進 |
{3} |
各地域の保全に関する調整といった活動を展開していく予定。 |
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また、そのような活動を推進するため、各湿地の「東アジア~オーストラリア地域におけるシギ・チドリ類に関する湿地ネットワーク」への参加を促進する。 |
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別紙1,2及び別表については、添付ファイル参照。 |
添付資料
- 連絡先
- 環境庁自然保護局野生生物課
課長:小林 光 (6460)
環境庁自然保護局野生生物課鳥獣保護業務室
室長:守口典行 (6470)
担当:吉井(6462)小山(6464)
水谷(6472)