報道発表資料

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1999年07月22日

日系企業の海外活動に係る環境配慮動向調査結果(タイ編)について

環境庁は、海外において日系企業が環境保全を図りつつ事業を行えるよう、各種情報の提供に努めている。その一環として進出先国の環境規制の状況、それに対応して先駆的取組を行っている企業の事例等に関する情報・事例集作り(「日系企業の海外活動に係る環境配慮動向調査」)を委託調査として行ってきた。
 これまで、フィリピン、インドネシアにおける情報・事例集をとりまとめたところであるが、今般タイにおける情報・事例集がまとまったので、公表するものである。
1.調査の目的

 日系企業の海外活動に係る環境配慮への先駆的取組や経験に関する具体的な事例を収集し、情報として取りまとめ広く提供することにより、現在途上国で活動している他の企業やこれから進出しようとする企業が、今後より望ましい環境配慮を行うための参考とすることを目的に、平成8年度より各国毎に本調査を実施している。

(参考)
 環境基本法では、事業者の海外活動に際し適切な環境配慮ができるよう、情報提供等に努めるとされている。環境庁が実施した「在外日系企業の環境配慮活動動向調査」(平成7年度)において、海外に進出している日系企業に対するアンケートを行ったところ、日本政府に期待することという設問に対して「各国の環境に関する情報提供」とい回答が多数あった。本調査はこのような回答を踏まえて行うものである。

2.調査の実施方法

 タイに進出している日系企業に対し、環境配慮に関する具体的な取組事例について現地実状調査を行うとともに、タイ政府等に対し、環境規制の状況等についてヒアリング等を行った。

3.調査結果
  • タイの環境基本法ともいえる1992年国家環境保全推進法をはじめ、産業公害対策に関係の深い7つの環境関連法についてポイントを明らかにした。

  • タイでとりわけ重視されている排水規制について、我が国よりも規制基準が厳しい場合もあり、日系企業が多額の投資により高度な排水処理をしている事例等が明らかになった。

  • 日本と異なる法体系や基準に対応するため、日本人商工会議所内に環境委員会を設け、日系企業同士が共同して法律の翻訳、研修の実施、情報交換等環境問題への取り組みを進めていることが明らかになった。

  • 工場に対する地域住民の随時の見学の受け入れ、地域の取引先企業等の環境保全への協力等、地域社会との良好な関わりを図っている事例が明らかになった。

4.今後の対応

 当庁としては、この報告書をタイ日本人商工会議所をはじめとする関係者に広く配布することにより、既にインドネシアに進出している日系企業による環境への取組の更なる充実及び今後タイに進出しようとしている企業による環境保全への適切な取組の実施促進を図ることとしている。

報告書(和文)は希望者に無償配布します。希望者は以下にお問合せ下さい。
(英文報告書については、ご相談に応じます)
環境庁地球環境部環境協力室 電話03-3581-3351(内線6745)
電子メール t-ohmura@bigfoot.com

 

(参考)報告書の概要

第1章 タイにおける環境問題の現状と環境保全施策の概要
  日系企業の活動状況、環境問題の現状、環境政策の概要、産業公害と関連法規、水質汚濁対策、大気汚染対策、有害廃棄物対策、環境影響評価制度を解説。
第2章

 タイにおける日系企業の環境対策への取り組み事例(全16事例)

  • 日系企業の環境対策の特徴
  • 厳しい排水基準に対処している事例(5事例)
  • 環境マネジメントシステムを構築している事例(5事例)
  • 地域と密着した環境対策に取り組んでいる事例(3事例)
  • その他の先進的取り組み事例(3事例)
資料編 1992年国家環境保全推進法(全訳)、有害廃棄物処理関連工業省告示(全訳)、タイ及び日本における環境情報関連窓口一覧 等
報告書は以下のアドレスからダウンロードできます。
https://www.env.go.jp/earth/coop/oemjc/index.html
連絡先
環境庁企画調整局地球環境部環境保全対策課環境協力室
室長 田口 博之(内線6742)
 補佐 大村  卓 (内線6744)