報道発表資料

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1999年07月12日

泉州港内等公有水面埋立て(関西国際空港2期事業)について

環境庁は、関西国際空港2期事業に係る公有水面埋立てについて、公有水面埋立法第47条第2項の規定に基づき、建設大臣及び運輸大臣より環境上の観点からの意見照会があったことから、平成11年7月9日付けで水質保全対策や航空機騒音対策等に関する環境庁長官意見を提出した。

【環境庁長官の意見】

 本埋立計画は、厳に埋立てを抑制すべきとされている瀬戸内海海域で実施される計画であるが、関西国際空港2期事業が、関西圏における航空需要の増加に対応することにより、大阪国際空港や周辺地域における新たな航空機騒音問題の発生の防止に資するものであることを前提とし、環境庁として瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく埋立の基本方針を踏まえ意見を述べるものである。
 計画の実施にあたっては、環境保全に万全を期するため、関西国際空港株式会社をはじめとする関係機関と十分な連絡調整を図りつつ、下記の対策を講じる必要がある。
 なお、関西国際空港株式会社は、関西国際空港用地造成株式会社と協力し、責任をもって下記の措置を講じる必要がある。

1. 本事業が予定されている大阪湾は、水質汚濁に係る環境基準が達成されておらず、富栄養化が進行した海域である上、本件の他にも、大規模な埋立てが実施または計画されていることを踏まえ、大阪湾の水質保全のため以下の対策を講じる必要がある。
  なお、大阪湾の水質予測では、水質保全対策が講じられることが前提とされていることに留意する必要がある。
(1) 埋立地の利用に伴い発生する汚水排水については、放流水質が現状程度以上の良好な水質となるよう下水処理施設の適正な運転管理について措置すること。
  また、生活排水処理施設からの排水については、埋立地内において極力循環利用を図り、新たに発生する水質汚濁負荷量の削減に取組むよう措置すること。
(2) 1期空港島と2期空港島との間に残される内部水面については、水質保全に十分配慮し、周辺海域に比べて水質の悪化が見られる場合には、上下層水の混合等の対策について措置すること。
(3) 工事中の水質汚濁防止に十分配慮し、特に濁水対策として汚濁防止膜の展張等の対策を講じること。
2. 埋立用材については、環境保全上の問題を生じることがないよう以下の対策を講じる必要がある。
(1) 採取及び運搬に係る事業計画、環境保全対策を十分確認すること。
(2) 購入土の代替用材として建設発生土を確保することは、山土使用量の低減や既存処分地の延命化、今後の埋立ての抑制に資するものであるため、その確保に今後とも努め、建設発生土が確保された場合には、積極的に受け入れること。
(3) 代替材の活用等により海砂使用量の低減に積極的に取り組むこと。
3. 航空機騒音については、将来とも環境基準が達成、維持されるよう施設の運用を行う必要がある。このため、以下の対策を講じる必要がある。
(1) 関係機関に対し、飛行経路及び騒音を低減する運航方法の遵守につき、徹底するよう要請すること。
(2) 今後、環境影響評価の前提となった飛行経路、便数等に変更があり、陸域において環境基準の達成が困難になるおそれがある場合には、環境への影響を予測・評価し、所要の対策を講じるよう措置すること。
4. 本計画の工事中及び供用時においては、大気汚染物質や二酸化炭素の排出量の増加が見込まれる。また、背後市街地域においては、国道26号、府道大阪臨海線沿道をはじめとして二酸化窒素、浮遊粒子状物質及び道路交通騒音に係る環境基準が達成されていない。
 これらの状況を踏まえ、大気・騒音や地球温暖化に係る環境負荷を低減するため、関係機関と協力しつつ、以下の対策等を講じる必要がある。
(1) 空港管理用及び作業用の車両については、低公害車とするようその導入について措置すること。リムジンバス及び航空貨物取扱自動車等関連車両についても、低公害車とするよう事業者等に要請すること。また、空港用地内において、電気自動車用充電施設に加えて天然ガス充填施設の設置を推進するとともに、利用者駐車場において低公害車優遇措置を講じるよう措置すること。
(2) 空港へ来港する自家乗用車の公共交通機関へのシフト及び島内事業者における共同輸配送等による積載効率の向上や貨物物流の合理化を推進するよう措置すること。
(3) 航空機においては、タキシング経路の効率化等により、工事用船舶及び関西国際空港株式会社の専用施設に来港する船舶においては、良質な燃料の使用等により大気汚染物質の排出量の低減に努めるよう要請すること。
(4) 工事が長期間にわたることから、建設機械等について最新の低公害型技術や工法を導入するとともに、工事用車両の走行ルート及び走行時間を適切に管理すること。
(5) 燃料電池を用いたコージェネレーションシステム等の省エネルギー技術の導入について検討するよう措置すること。
5. 工事中及び埋立地供用後の環境監視について、以下の対策を講じる必要がある。
(1) 工事中における環境監視を計画的に実施し、工事途中段階に環境監視結果を勘案の上、今回実施された環境影響評価の予測結果についてレビューを行い、その結果を踏まえて埋立工事の工程等の変更を含め環境保全上適切な対策を講じること。さらに、埋立地供用後においても同様の対策が講じられるよう措置すること。
(2) 環境監視結果等を踏まえつつ、大気汚染、航空機騒音、道路交通騒音及び飛行経路に関し、関係地方公共団体と調整しつつ、適宜測定監視地点を追加するとともに、連絡橋における交通量測定を引き続き実施するよう措置すること。また、飛行場からの大気汚染物質の排出量についても継続的に調査するよう措置すること。
(3) 上記を含め、監視調査結果については、適切に公表するとともに、埋立地供用後における適切な公表について措置すること。

添付資料

連絡先
環境庁企画調整局環境影響審査室
室 長:小林 正明(6231)
 審査官:瀧口 博明(6236)